図1は、本発明の実施形態に係る計測センサ用パッケージ1を示す平面図であり、図2は、図1の切断面線A−Aで切断した断面図であり、図3は、図1の切断面線B−Bで切断した断面図である。なお、図1の平面図では、蓋体3を省略して図示している。
計測センサ用パッケージ1は、基体2、蓋体3および金属薄層4を含む。基体2は、発光素子および受光素子を収容するものであり、基体本体20と、信号配線導体23と、外部接続端子24と、を含む。
本実施形態の基体本体20は、矩形板状であって、複数の誘電体層が積層されて形成されている。また、この基体本体20には、少なくとも2つの凹部が設けられており、2つの凹部のうちの一方は、発光素子を収容する第1収容凹部20aであり、2つの凹部のうちの他方は、受光素子を収容する第2収容凹部20bである。第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bは、基体本体20の同一の主面(基体2の第1面)21に開口するように設けられている。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、光のドップラー効果を利用して、血流等の流体の流れを計測する計測センサに好適に用いられる。光のドップラー効果を利用するために、計測センサは、被計測物に光を照射する発光素子と、被計測物によって散乱された光を受光する受光素子とを備える。特に、血流を計測する場合には、例えば手指等の身体の一部に外部から光を照射し、皮膚下の血管を流れる血液に含まれる血球細胞によって散乱された光を受光して、周波数の変化から血流を測定する。そのため、計測センサ用パッケージ1においては、照射光と散乱光の位置関係に基づいて、発光素子と受光素子とを所定の間隔で配置する。第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bは、素子の位置関係に応じて設けられる。
第1収容凹部20aの大きさ、第2収容凹部20bの大きさは、収容しようとする発光素子および受光素子の大きさに応じて適宜設定すればよく、例えば、発光素子として、垂直共振器面発光レーザ素子(VCSEL)を用いる場合、第1収容凹部20aの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmであり、深さは、0.3mm〜1.0mmである。また、受光素子として、面入射フォトダイオードを用いる場合、第2収容凹部20bの開口は、その形状が、例えば矩形であっても正方形であってもよく、その大きさは、例えば、縦方向長さが0.3mm〜2.0mm、横方向長さが0.3mm〜2.0mmであり、深さは、0.4mm〜1.5mmである。
第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bは、開口形状が、例えば、円形状、正方形状、矩形状等であってもよく、その他の形状であってもよい。また、第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bは、基体本体20の主面に平行な断面の断面形状が深さ方向に一様な形状であってもよいが、図3の断面図に示すように、所定の深さまでは、断面形状が開口形状と同じで一様であり、所定の深さ以降は、断面形状が小さくなって底部まで一様であるような、段差付きの凹部であってもよい。本実施形態のように段差付きの凹部である場合は、第1収容凹部20aの底部に、発光素子を載置するための第1載置部20cが設けられ、第2収容凹部20bの底部に、受光素子を載置するための第2載置部20dが設けられる。また、段差表面には、発光素子または受光素子と電気的に接続するための接続パッド23aが設けられる。
信号配線導体23は、発光素子または受光素子と電気的に接続され、発光素子に入力される電気信号が伝送され、受光素子から出力される電気信号が伝送される。本実施形態における信号配線導体23は、発光素子または受光素子と接続する接続部材であるボンディングワイヤと、ボンディングワイヤが接続される接続パッド23aと、接続パッド23aに電気的に接続して接続パッドの直下から基体本体20の他方主面22にまで延びる信号ビア導体23bと、信号ビア導体23bに電気的に接続する外部接続端子24とから成る。外部接続端子24は、基体本体20の他方主面22に設けられており、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサが実装される外部実装基板の接続端子とはんだ等の端子接続材料によって電気的に接続される。
外部接続端子24は、はんだ等の接合材との濡れ性を向上させ、耐食性を向上させるために、例えば、厚さが0.5〜10μmのニッケル層と厚さが0.5〜5μmの金層とをめっき法によって順次被着させてもよい。
基体2は、発光素子および受光素子を収容可能であり、信号配線導体23等の導体を備えるものであれば、基体本体20の誘電体層がセラミック絶縁材料からなり、信号配線導体23等が導体材料からなるセラミック配線基板であってもよく、誘電体層が樹脂絶縁材料からなる有機配線基板であってもよい。
基体2が、セラミック配線基板の場合、セラミック材料から成る誘電体層に各導体が形成される。セラミック配線基板は、複数のセラミック誘電体層から形成される。
セラミック配線基板で用いられるセラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミックス焼結体等が挙げられる。
また、基体2が、有機配線基板の場合、有機材料から成る絶縁層に配線導体が形成される。有機配線基板は、複数の有機誘電体層から形成される。
有機配線基板は、例えば、プリント配線基板、ビルドアップ配線基板またはフレキシブル配線基板等の誘電体層が有機材料から成るものであればよい。有機配線基板で用いられる有機材料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。
蓋体3は、基体本体20の一方主面(基体2の第1面)21を覆い、接合材6によって基体2の第1面21に接合される。蓋体3によって、発光素子および受光素子が収容された第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bが塞がれて封止される。蓋体3は、絶縁材料からなる板状部材であり、第1収容凹部20aに収容される発光素子から出射される
光が透過し、第2収容凹部20bに収容される受光素子が受光する光が透過するような光透過性を有する材料で構成されていればよい。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、蓋体3の表面に、例えば被計測物である手指を当てた状態で発光素子から出射した光を照射する。蓋体3が導電性を有する材料で構成されていると、蓋体3に手指を接触させたときに、手指に溜まった不要な電荷が手指から放出され、蓋体3を通して基体2に電荷が流れ込み、ノイズが発生する。蓋体3を絶縁材料で構成することにより、蓋体3を通して不要な電荷が流れ込むことを抑制することができる。
また、蓋体3は、被計測物への照射光および散乱光を透過する必要がある。照射光および散乱光の特性は、搭載する発光素子によって決まるので、少なくとも搭載する発光素子が出射する光が透過するように構成されていればよい。発光素子から出射される光の波長に対して、当該波長の光の透過率が70%以上、好ましくは90%以上の透過率を有する絶縁材料で蓋体3を構成すればよい。
蓋体3を構成する絶縁材料としては、例えばサファイア等の透明セラミック材料、ガラス材料または樹脂材料等を用いることができる。ガラス材料としては、ホウケイ酸ガラス、結晶化ガラス、石英、ソーダガラス等を用いることができる。樹脂材料としては、ポリカーボネート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
蓋体3は、手指等の被計測物が直接接触するため、所定の強度を要する。蓋体3の強度は、構成する材料の強度、板厚みによる。上記のように透明セラミック材料やガラス材料であれば、所定の厚み以上とすることで十分な強度が得られる。蓋体3の構成材料としてガラス材料を用いる場合は、例えば厚みを0.05mm〜5mmとすればよい。
金属薄層4は、蓋体3の、基体本体20の一方主面21に対向する主面である対向面3a、すなわち手指が接触する側の主面とは反対側の主面に配設される金属材料からなる薄膜層である。金属薄層4には、受光素子によって受光される光が通過する開口であって、光の通過を規制する開口である絞り孔4aが設けられている。絞り孔4aは、平面透視したときに、第1載置部20cの図心と第2載置部20dの図心とを結ぶ方向において、第2載置部20dの図心と、絞り孔4aの、第1載置部20cの図心に最も近接した第1縁部4bとの間の距離が、第2載置部20dの図心と、絞り孔4aの、第1載置部20cから最も離間した第2縁部4cとの間の距離よりも大きくされている。
絞り孔4aは、図1に示すように、平面透視したときに、第1載置部20cの図心と第2載置部20dの図心とを結ぶ方向において、絞り孔4aを規定する領域の図心が、第2載置部20dの図心に対して、第1載置部20cの図心に近接する方向にずれていればよい。絞り孔4aを規定する領域は、平面透視において、円形状、楕円形状、長円形状、正方形状、三角形状等であってもよく、その他の形状であってもよい。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、蓋体3の表面に、例えば被計測物である手指を当てた状態で発光素子から出射した光を照射する。通常、手指からの反射光の光量のうち、皮膚からの反射光の光量が血流からの反射光の光量よりも大きい。さらに、皮膚および血流からの反射光はともに、蓋体3の、第2収容凹部20bを覆う領域に向かう反射光は、その大部分が、蓋体3の、第2収容凹部20bを覆う領域のうち、第1収容凹部20aに近接した部分に入射する。上記の構成の絞り孔4aによれば、皮膚および血流からの反射光を、受光素子が収容される第2収容凹部20bに効率的に入射させることが可能になる。よって、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、計測センサの受光素子が受光する皮膚からの反射光と血流からの反射光により発生する干渉光の信号、いわゆるビート信号の強さを高めることができるので、絞り孔4aの孔径を拡大することなく、計測精度を向上させることが可能になる。
また、金属薄層4は、外部から到来する電磁波が第2収容凹部20bに進入することを抑制するための電磁シールドとして機能する。電磁波が第2収容凹部20bに進入すると、信号配線導体23、特にボンディングワイヤがアンテナとなって進入した電磁波を受信してしまい電磁的ノイズの発生原因となる。蓋体3の対向面3aに、絞り孔4aを除いて金属材料からなる薄層を設けることで、外部からの電磁波の進入を抑制し、電磁的ノイズの発生を低減することができる。前述のように、本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、受光素子による受光量を増加させ高精度の計測を可能にする手段として、絞り孔4aの孔径を拡大する必要がないので、計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、金属薄層4の電磁シールドとしての機能を維持しつつ、高精度の測定が可能になる。
さらに、金属薄層4は、外部から第2収容凹部20bへの不要な光の進入を低減する機能を有している。外光など外部から進入する不要な光を受光素子が受光してしまうと、受光素子から出力される電気信号には、被計測物からの反射光による受光量に、不要光の受光量が加わることになり、光学的なノイズが発生してしまう。本実施形態の計測センサ用パッケージ1を備える計測センサでは、上記の構成の絞り孔4aによって、金属薄層4の、光学的ノイズを低減する機能を維持しつつ、高精度の測定が可能になる。
このように、金属薄層4を設けることで、電磁的および光学的ノイズによる影響を抑制しつつ、計測精度を向上させることができる。
金属薄層4は、透明セラミック材料またはガラス材料からなる蓋体3の表面に、例えば、Cr、Ti、Al、Cu、Co、Ag、Au、Pd、Pt、Ru、Sn、Ta、Fe、In、Ni、Wなどの金属及びこれらの合金等の金属材料を蒸着、スパッタ、焼付け等によって形成することができる。金属薄層4の層厚みは、例えば、500Å〜4000Åである。
本実施形態の計測センサ用パッケージ1は、接地導体層5および接合材6をさらに備える。
接地導体層5は、基体本体20の一方主面21に配設されるメタライズ層であって、受光素子が収容される第2収容凹部20bの開口を取り囲むように設けられる。接地導体層5は、例えば、外形が、基体本体20の一方主面21の外形に沿うように矩形状であってもよく、それ以外の円形状、多角形状などであってもよい。本実施形態では、接地導体層5の外形状を矩形状としている。また、接地導体層5は、第2収容凹部20bの開口を取り囲んでいるから、少なくとも開口と同形状または開口よりも大きな貫通孔が設けられたメタライズ層である。本実施形態では、金属薄層4の外形と接地導体層5との外形は同じ大きさである。
接地導体層5は、例えば、基体2に設けられた、図示しない接地貫通導体(グランドビア)などと接続することで、接地電位が付与される。基体本体20の一方主面21に、接地導体層5を設けることで、基体2の表面に設置した接地導体層5は金属薄層4と導電性を有する接合材6により電気的に接続される。その結果、金属薄層4はグランドビアを通じて電気的にアースをとることができ、金属薄層が外部帯電体(特に指等の測定物)からの電気的シールドとして作用し、受光素子31へのノイズ混入を抑制できる。
接合材6は、基体2と蓋体3とを接合する。より詳細には、基体本体20の一方主面2
1と蓋体3の対向面3aとを、外周部分で接合する。接合材6は、矩形状の一方主面21の四辺に沿って環状に設けられており、基体2の第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20b内の気密性および水密性を確保するためのシール材である。
第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bに収容される発光素子および受光素子は、いずれも水分等に弱く、外部からの水分の進入を防止するために、接合材6は、途切れの無い環状に設けられる。
さらに、接合材6は遮光性を有する。接合材6が遮光性を有することで、外部からの光が、基体2と蓋体3との間を通って、第1収容凹部20a内、第2収容凹部20b内に進入することを防止できる。
接合材6が有する遮光性は、光の吸収による遮光性であることが好ましい。外部からの光の進入を防ぐ観点からは、反射による遮光性であってもよいが、計測センサの内部で発生した迷光が、接合材6で反射してさらに受光素子に受光されてしまうおそれがある。接合材6が光を吸収するものであれば、外部からの光を吸収して進入を防ぐとともに、内部で発生した迷光も吸収することができる。
接合材6は、このような光の吸収による遮光性を有する材料を含んで構成される。接合材6は、例えば、基体2と蓋体3との接合性を有するエポキシ樹脂、導電性シリコン樹脂等の樹脂系接着剤に、光吸収性材料を分散させて得られる。光吸収材料としては、例えば、無機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラックなどの炭素系顔料、チタンブラックなどの窒化物系顔料、Cr−Fe−Co系、Cu−Co−Mn系、Fe−Co−Mn系、Fe−Co−Ni−Cr系などの金属酸化物系顔料等を用いることができる。
本実施形態では、金属薄層4と接地導体層5とは、平面透視において、環状に設けられた接合材6よりも内側の領域にそれぞれ配設される。すなわち、基体本体20の一方主面21と蓋体3の対向面3aとは、金属薄層4および接地導体層5が介在することなく、接合材6によって、全周にわたり直接接合されている。
基体2と蓋体3との接合において、金属薄層4および接地導体層5が介在しないので、基体2と蓋体3との接合強度を高くすることができ、蓋体3の剥離等を防止することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図4は、図1に示した平面図に対応する計測センサ用パッケージ1Aの平面図である。
他の実施形態である計測センサ用パッケージ1Aは、上記の実施形態の計測センサ用パッケージ1に対して、平面透視したときに、第1載置部20cの図心と絞り孔4aの第2縁部4cとの距離が、第1載置部20cの図心と第2載置部20dの図心との距離よりも小さい点で異なっており、その他については、同様の構成であるので、同様の構成には計測センサ用パッケージ1と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、計測センサ用パッケージ1Aは、計測センサ用パッケージ1と比較して、平面透視における、絞り孔4aを規定する領域の図心と第2載置部20dの図心とのずれが大きくなるように構成される。計測センサ用パッケージ1Aを備える計測センサでは、絞り孔4aの孔径を拡大することなく、被計測物からの反射光による計測センサの出力を一層増加させることができ、ビート信号の強さを一層高めることができる。計測センサ用パッケージ1Aを備える計測センサによれば、電磁的および光学的ノイズによる影
響を抑制しつつ、計測精度を一層向上させることができる。
計測センサ用パッケージ1,1Aの製造方法について説明する。まず、基体2を公知の多層配線基板の製造方法と同様にして作製する。基体2が、セラミック配線基板であり、セラミック材料がアルミナである場合は、まずアルミナ(Al2O3)やシリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒を添加混合して泥漿状とし、これを周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシート(以下、グリーンシートともいう)を得る。その後、グリーンシートを所定形状に打ち抜き加工するとともに、タングステン(W)とガラス材料等の原料粉末に有機溶剤、溶媒を添加混合して金属ペーストとし、これをグリーンシート表面にスクリーン印刷等の印刷法でパターン印刷する。また、ビア導体は、グリーンシートに貫通孔を設け、スクリーン印刷等によって金属ペーストを貫通孔に充填させる。また、接地導体層5となるメタライズ層は、金属ペーストによって最表面に形成される。こうして得られたグリーンシートを複数枚積層し、これを約1600℃の温度で同時焼成することによって基体2が作製される。
一方、ガラス材料を、切削、切断等により所定の形状に切り出した蓋体3を準備し、対向面3a上に、蒸着、スパッタ、焼付け等によって金属薄層4を形成する。このとき、フォトリソ(ウェットエッチング)法、ドライエッチング法等によって金属薄層にパターン加工することにより、絞り孔4aを形成することができる。
次に、本発明の他の実施形態である計測センサ100,100Aについて説明する。
図5は、計測センサ100の構成を示す断面図であり、計測センサ100は、前述の計測センサ用パッケージ1と、第1収容凹部20aに収容される発光素子30と、第2収容凹部20bに収容される受光素子31と、を含む。図6は、計測センサ100Aの構成を示す断面図であり、計測センサ100Aは、前述の計測センサ用パッケージ1Aと、第1収容凹部20aに収容される発光素子30と、第2収容凹部20bに収容される受光素子31と、を含む。図5,6の計測センサ100,100Aでは、発光素子30は、発光部の図心が第1載置部20cの図心に一致するように、第1載置部20cに載置され、受光素子31は、受光部の図心が第2載置部20dの図心に一致するように、第2載置部20dに載置される。
計測センサ100は、平面透視したときに、絞り孔4aの第2縁部4cが受光素子31の受光部に重なるように構成されてもよい。このような構成によれば、絞り孔4aの孔径を拡大することなく、計測センサ100の出力を増加させ、計測精度を向上させることができる。
計測センサ100Aが備える計測センサ用パッケージ1Aは、図4に示したように、平面透視したときに、第1載置部20cの図心と絞り孔4aの第2縁部4cとの距離が、第1載置部20cの図心と第2載置部20dの図心との距離よりも小さくなるように構成されている。換言すると、計測センサ100Aでは、平面透視したときに、発光素子30の発光部の図心と受光素子31の受光部の図心とを結ぶ方向において、絞り孔4aの第2縁部4cが、受光素子31の受光部の図心に対して、発光素子30の発光部の図心に近接する方向にずれている。計測センサ100Aによれば、絞り孔4aの孔径を拡大することなく、被計測物からの反射光による計測センサの出力を増加させることができるので、電磁的および光学的ノイズによる影響を抑制しつつ、計測精度を一層向上させることができる。
計測センサ100,100Aは、計測センサ用パッケージ1,1Aに発光素子30と、
受光素子31とを実装し、ボンディングワイヤ32で接続パッド23aと接続した後、蓋体3を接合材6によって基体本体20に接合して得られる。
発光素子30は、VCSEL等の半導体レーザ素子を用いることができ、受光素子31は、シリコンフォトダイオード、GaAsフォトダイオード、InGaAsフォトダイオード、ゲルマニウムフォトダイオード等の各種フォトダイオードを用いることができる。発光素子30および受光素子31は、被計測物の種類、計測するパラメータの種類等により適宜選択すればよい。
血流を測定する場合は、例えば、光のドップラー効果を利用して測定するために、発光素子30であるVCSELとして波長が850nmのレーザ光を出射可能なものであればよい。その他の測定を行う場合は、測定目的に応じた波長のレーザ光を出射する発光素子30を選択すればよい。受光素子31は、受光する光が発光素子30から出射されるレーザ光から波長の変化が無い場合、発光素子30の出射光を受光できるものであればよく、波長の変化が有る場合、変化後の波長の光を受光できるものであればよい。
発光素子30および受光素子31と接続パッド23aとは、本実施形態では、例えば、ボンディングワイヤ32によって電気的に接続されるが、フリップチップ接続、バンプ接続、異方性導電フィルムを用いた接続等他の接続方法であってもよい。
計測センサ100,100Aは、外部実装基板に実装されて使用される。外部実装基板には、例えば、発光素子30の発光を制御する制御素子、受光素子31の出力信号から血流速度等を算出する演算素子等も実装される。
測定する場合には、被計測物として手指の指先を蓋体3の表面に接触させた状態で、外部実装基板から外部接続端子24を介して発光素子制御電流が計測センサ100,100Aに入力され、信号ビア導体23b、接続パッド23aを通って発光素子30に入力されて発光素子30から計測用の光が出射される。出射された光が、蓋体3を透過して指先に照射されると、血液中の血球細胞で散乱される。蓋体3を透過し、絞り孔4aを通過した散乱光が、受光素子31で受光されると、受光量に応じた電気信号が受光素子31から出力される。出力された信号は、接続パッド23a、信号ビア導体23bを通り、外部接続端子24を介して計測センサ100,100Aから外部実装基板へと出力される。
外部実装基板では、計測センサ100,100Aから出力された信号が、演算素子に入力され、例えば、受光素子31が受光した散乱光の周波数毎の強度を解析することにより、血流速度を算出することができる。
なお、上記では、信号ビア導体23bは、基体本体20内で上下方向に一直線状に形成される構成としているが、基体本体20の一方主面21から他方主面22の外部接続端子24まで電気的に接続されていれば、一直線状でなく、基体本体20内で、内層配線や内部接地導体層等によってずれて形成されていてもよい。
また、基体2には、基体本体20を厚み方向に貫通する接地ビア導体を設けてもよい。この接地ビア導体は、例えば、接地導体層5および外部接続端子24と電気的に接続され、基体本体20の、第1収容凹部20aおよび第2収容凹部20bよりも外方に配設される。接地ビア導体は、被計測物の一つである人の手指が計測センサに接触したときに放出される電荷を、基体本体20の一方主面21から基体本体20の他方主面22に誘導し、外部へと放出する。
人から放出された電荷が流れ易い経路を計測センサ用パッケージ1,1A内に形成する
ことで、この経路に電荷を誘導して外部へと電荷を逃がし、電気的ノイズが発生することを防止している。
図1〜図3に示した計測センサ用パッケージ1と同様の構成の計測センサ用パッケージ、および図4に示した計測センサ用パッケージ1Aと同様の構成の計測センサ用パッケージを作製し、それぞれの計測センサ用パッケージに、発光素子30として近赤外線波長のVCSELを、発光部の図心が第1載置部20cの図心に一致するように実装し、受光素子31として受光部の直径が200μmであるシリコンフォトダイオードを、受光部の図心が第2載置部20dの図心に一致するように実装して本発明の実施例である計測センサを得た。
発光素子30の発光部の図心と受光素子31の受光部図心との距離は1.2mmとした。計測センサ用パッケージ1の基体2の材料はアルミナを使用し、蓋体3はホウケイ酸ガラスを使用した。また、蓋体3に形成された金属薄層4における絞り孔4aは円形状とし、孔径は0.3mmとした。
実施例では、平面透視したときに、第1載置部20cの図心と第2載置部20dの図心とを結ぶ方向における、絞り孔4aを規定する領域の図心と第2載置部20dの図心とのずれ量を、−0.015mm、−0.034mm、および−0.081mmとした。ずれ量を規定するにあたって、第2載置部20dの図心をずれ量の原点とし、第1載置部20cの図心から離間する方向をずれ量の正方向とした。
ずれ量が異なること以外は、実施例と同様にして比較例の計測センサを得た。比較例のずれ量は、0.022mm、および0.075mmとした。比較例の計測センサでは、平面透視したときに、絞り孔4aを規定する領域の図心は、受光素子31の受光部の図心に対して、発光素子30の発光部の図心から離間する方向にずれている。
実施例および比較例の計測センサそれぞれにおいて、模擬皮膚として、厚みが0.3mmであり、発光素子から出射された光に対する光透過率が80%であるシリコン板を、計測センサから1.0mmだけ上方に離間した位置に配置した。さらに、模擬血流として、厚みが2.0mmであり、粒径が7μmの粒子からなる散乱板を、模擬皮膚から0.5mmだけ上方に離間した位置に配置した状態で、計測センサを動作させ、模擬皮膚および模擬血流からの反射光によって発生する、計測センサからの出力を測定した。
図7は、実施例および比較例の出力の測定結果を示す図である。図7において、−0.015mmのずれ量に対応する結果、−0.034mmのずれ量に対応する結果、および−0.081mmのずれ量に対応する結果は実施例の測定結果であり、それ以外は比較例の測定結果である。
実施例のように、平面透視において、絞り孔4aを規定する領域の図心が、受光素子31の受光部の図心に対して、発光素子30の発光部の図心に近接する方向にずれていると、計測センサの出力が増加することがわかった。