本発明は、ロータに関するものである。
従来より、回転電気機械に設けられるロータが広く知られている(例えば、特許文献1)。同文献のロータは、磁性材料製のロータコアと、該ロータコアの周方向に並んで設けられた複数の永久磁石とを備えている。
ところで、ロータが接続される負荷が変動すると当該ロータの回転速度も変動するところ、この回転速度の変動を抑制するためにロータのイナーシャを増大させることが考えられる。イナーシャを増大させるための部材を設ける箇所は、通常はロータの軸方向の一端または両端になるだろう。
ここで、イナーシャを増大させるための部材の材料として、モータ材料として広く用いられている電磁鋼板のような比透磁率が大きな材料を使用すると当該部材の製造コストを抑えることができる。しかしながら、当該部材を比透磁率が大きな材料で作ると、ロータの軸方向端に設けられる当該部材が磁路を形成し、永久磁石の磁束がロータ内で短絡してしまうおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータのイナーシャを増大させるための部材を比透磁率が大きな材料で作る場合に、ロータ内で短絡磁路が形成されるのを抑止することにある。
第1の発明は、ロータ(10)を対象とする。このロータ(10)は、磁性材料製のロータコア(20)と、上記ロータコア(20)の周方向に並んで設けられた複数の永久磁石(23)と、上記ロータコア(20)の軸方向一方側の端面と対向する対向面(32)を有する、比透磁率が1よりも大きな材料でできたブロック部(30)とを備え、上記ブロック部(30)の上記対向面(32)の外郭形状は、上記ロータコア(20)の軸方向から見て上記複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。
上記第1の発明では、ロータ(10)はロータコア(20)およびブロック部(30)を備えているので、ブロック部(30)がない場合に比べてロータ(10)のイナーシャが大きくなる。これにより、ロータ(10)が接続される負荷が変動しても当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動することが抑制される。また、ブロック部(30)は比透磁率が1よりも大きな材料でできているので安価に製造可能である。
ここで、ブロック部(30)の対向面(32)が永久磁石(23)の径方向内側から径方向外側に跨がっていると、永久磁石(23)によって生じる磁束が当該ブロック部(30)を通って同じ永久磁石(23)または周方向に隣り合う永久磁石(23)に流れ込んでロータ(10)内で短絡磁路が形成される。これに対し、上記第1の発明では、ブロック部(30)の対向面(32)の外郭形状が、ロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。このため、永久磁石(23)によって生じる磁束がロータ(10)外へ流れ出しやすくなり、上述したような短絡磁路が形成されることが抑止される。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ブロック部(30)は、全体が上記ロータコア(20)の軸方向から見て上記複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっていることを特徴とする。
上記第2の発明では、軸方向から見て、複数の永久磁石(23)の径方向外側に比透磁率が1よりも大きな材料でできたブロック部(30)が存在しない。このため、上述したような短絡磁路がロータ(10)内で形成されることがより確実に抑止される。
第3の発明は、上記第2の発明において、上記ブロック部(30)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板によって構成されていることを特徴とする。
上記第3の発明では、ブロック部(30)を構成するために一種類の電磁鋼板を複数枚用意すれば足りる。このため、ブロック部(30)を備えるロータ(10)が低コストに製造され得る。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記ブロック部(30)の上記軸方向一方側に設けられ、上記ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのバランスウェイト部(50)を備えていることを特徴とする。
上記第4の発明では、ロータコア(20)との間にブロック部(30)を挟むようにバランスウェイト部(50)が設けられる。このバランスウェイト部(50)により、ロータ(10)の回転時に生じる振動が抑制される。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記バランスウェイト部(50)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板によって構成されていることを特徴とする。
上記第5の発明では、バランスウェイト部(50)を構成するために一種類の電磁鋼板を複数枚用意すれば足りる。このため、バランスウェイト部(50)を備えるロータ(10)が低コストに製造され得る。
第6の発明は、上記第4または第5の発明において、上記ブロック部(30)およびバランスウェイト部(50)の各々は、上記ロータコア(20)の軸心を取り囲む外周面(33,34,55,56)を有することを特徴とする。
ここで、バランスウェイトとしての機能を実現するために、バランスウェイト部(50)はロータ(10)の軸心から偏心した重心を有していればよい。このため、例えばバランスウェイト部(50)をロータコア(20)の軸心周りに延びる馬蹄状とすることも考えられる。しかしながら、そのような馬蹄状のバランスウェイト部(50)は、ロータ(10)の回転時に、特にその周方向両端部が抵抗となって比較的大きな風損を生じさせる。
これに対し、上記第6の発明では、バランスウェイト部(50)、またこれに加えてブロック部(30)が、ロータコア(20)の軸心を取り囲む外周面(33,34,55,56)を有する。このような外周面(33,34,55,56)を有するバランスウェイト部(50)およびブロック部(30)は、ロータ(10)の回転時に大きな抵抗となる部分がないので、上述の馬蹄状のバランスウェイト部(50)のようには大きな風損を生じさせない。よって、上記第6の発明によると、ロータ(10)の回転時に生じる風損が抑制される。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記バランスウェイト部(50)は、上記外周面(33,34,55,56)の一部に対応するウェイト部(51)と、該外周面(33,34,55,56)の残部に対応する壁部(52)とを有し、上記バランスウェイト部(50)における上記ウェイト部(51)と上記壁部(52)との間には、該バランスウェイト部(50)を上記軸方向に貫通する貫通孔(54)が形成されており、上記ロータ(10)は、上記貫通孔(54)の上記軸方向一方側の開口を閉塞する閉塞板(70)を備えていることを特徴とする。
ここで、ウェイト部(51)と壁部(52)との間の貫通孔(54)の開口が露出していると、ロータ(10)の回転時に貫通孔(54)内で空気流れの乱れが生じて比較的大きな風損が生じる。これに対し、上記第7の発明では、貫通孔(54)の開口が閉塞板(70)によって閉塞されているので、そのような空気流れの乱れの発生が抑止され、よってロータ(10)の回転時に生じる風損が抑制される。
本発明によれば、ブロック部(30)によってロータ(10)のイナーシャが増大するので、ロータ(10)が接続される負荷が変動した場合でも当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動するのを抑止することができる。
また、本発明によれば、ロータ(10)のイナーシャを増大させるブロック部(30)を比透磁率が1よりも大きな材料で形成するので、当該ブロック部(30)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。
また、本発明によれば、ブロック部(30)の対向面(32)が軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっているので、このブロック部(30)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを抑止することができる。
また、上記第2の発明によれば、ブロック部(30)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのをより確実に抑止することができる。
また、上記第3の発明によれば、ブロック部(30)を備えるロータ(10)を安価に製造することができる。
また、上記第4の発明によれば、バランスウェイト部(50)によってロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制することができる。
また、上記第5の発明によれば、バランスウェイト部(50)を備えるロータ(10)を安価に製造することができる。
また、上記第6および第7の発明によれば、ロータ(10)の回転時に生じる風損を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態のロータの斜視図であって、閉塞板を省略してある。
図2は、図1のII−II線における断面図である。
図3は、バランスウェイト部および閉塞板を省略して示すロータの平面図である。
図4は、閉塞板を省略して示すロータの平面図である。
図5は、本発明の実施形態の変形例における図2相当図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態のロータ(10)は、例えば回転電気機械において図示しないステータの径方向内側に設けられるものである。ロータ(10)は、図1〜図4に示すように、ロータコア(20)と、複数(この例では、6つ)の永久磁石(23)と、2枚の端板(24,26)と、2つのブロック部(30,40)と、2つのバランスウェイト部(50.60)と、2枚の閉塞板(70,72)とを備えている。
図1および図2に示すように、ロータコア(20)は、磁性材料で構成された円筒状の部材である。ロータコア(20)は、例えば円環状に打ち抜かれた電磁鋼板を軸方向(図2における上下方向)に積層することによって形成される。なお、ロータコア(20)は、例えば圧粉磁心その他の電磁鋼板以外の磁性材料で形成されていてもよい。ロータコア(20)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(21)が当該ロータコア(20)を軸方向に貫通して形成されている。ロータコア(20)の外周部には、周方向に並んで複数(この例では、6つ)の磁石用スリット(22)が当該ロータコア(20)を軸方向に貫通して形成されている。
複数の永久磁石(23)は、図2〜図4に示すように、ロータコア(20)の周方向に並んで設けられていて、それぞれが磁石用スリット(22)に1つずつ埋設されている。複数の永久磁石(23)は、それぞれの横断面が細長い長方形状になっている。複数の永久磁石(23)は、N極とS極とが周方向において交互に現れるように着磁されている。なお、永久磁石(23)の形状および数は、図示のものに限られない。
端板(24,26)は、図1および図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向両端に1枚ずつ設けられた円板状の部材であって、非磁性材料で構成されている。各端板(24,26)の中心部には、図示しないシャフトと挿通するためのシャフト孔(25,27)が形成されている。
軸方向一方側(図2で上側)のブロック部(30)(以下、第1ブロック部(30)という)は、図1〜図3に示すように、軸方向一方側の端板(24)(以下、第1端板(24)という)の軸方向一方側に隣り合って設けられた柱状の部材である。第1ブロック部(30)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第1ブロック部(30)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(31)が形成されている。
第1ブロック部(30)は、平面視で正六角形の各角部を直線状に切り欠いたような形状を有する。よって、第1ブロック部(30)の外郭形状(図3に示す形状)は、比較的長い辺と比較的短い辺とが周方向において交互に6つずつ形成された形状である。当該外郭形状のうち比較的長い辺は、図3に示すように、平面視で永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。つまり、第1ブロック部(30)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっている。
また、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)は、図1〜図3に示すように、ロータコア(20)の軸心から離間しかつ当該軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第1ブロック長辺面(33)と、この第1ブロック長辺面(33)の間に設けられかつ第1ブロック長辺面(33)よりも周方向長さの短い平面状の第1ブロック短辺面(34)とを有する。第1ブロック長辺面(33)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、長方形状の永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。第1ブロック長辺面(33)および第2ブロック短辺面(44)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第1ブロック部(30)は、図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向一方側の端面と対向する第1対向面(32)を有する。この例では、当該第1対向面(32)は、第1端板(24)と接している。そして、この第1対向面(32)の外郭形状は、第1ブロック部(30)が互いに同形状の複数枚の積層鋼板によって構成されているので、上で述べた外郭形状と同じである。よって、第1対向面(32)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。第1対向面(32)は対向面を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)のブロック部(40)(以下、第2ブロック部(40)という)は、図1〜図3に示すように、軸方向他方側の端板(26)(以下、第2端板(26)という)の軸方向他方側に隣り合って設けられた柱状の部材である。第2ブロック部(40)は、第1ブロック部(30)を構成する電磁鋼板と同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第2ブロック部(40)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(41)が形成されている。
第2ブロック部(40)は、図1からわかるように、ロータコア(20)の軸方向から見て、六角形状の長辺が第1ブロック部(30)の六角形状の長辺とそれぞれ重なるように(すなわち、第1ブロック部(30)と同じ向きで)設けられている。よって、第2ブロック部(40)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっている。
また、第2ブロック部(40)の外周面(43,44)は、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)と同形状であって、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第2ブロック部(40)の外周面(43,44)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第2ブロック長辺面(43)と、この第2ブロック長辺面(43)の間に設けられかつ第2ブロック長辺面(43)よりも周方向長さの短い平面状の第2ブロック短辺面(44)とを有する。第2ブロック長辺面(43)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、長方形状の永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。第2ブロック長辺面(43)および第2ブロック短辺面(44)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第2ブロック部(40)は、図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向他方側の端面と対向する第2対向面(42)を有する。この例では、当該第2対向面(42)は、第2端板(26)と接している。そして、この第2対向面(42)の外郭形状および向きは、第1対向面(32)の外郭形状および向きと同じである。よって、第2対向面(42)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。
軸方向一方側(図2で上側)のバランスウェイト部(50)(以下、第1バランスウェイト部(50)という)は、図1および図2に示すように、第1ブロック部(30)の軸方向一方側に隣り合って設けられた部材である。第1バランスウェイト部(50)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第1バランスウェイト部(50)は、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのものである。電磁鋼板は、比透磁率が1よりも大きな材料を構成している。
第1バランスウェイト部(50)の外郭形状は、図3および図4に示すように、第1ブロック部(30)の外郭形状と同じである。そして、第1バランスウェイト部(50)の外郭形状のうち比較的長い辺は、図4に示すように、平面視で永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。つまり、第1バランスウェイト部(50)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっている。
また、第1バランスウェイト部(50)の外周面は、図1、図2および図4に示すように、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第1バランスウェイト部(50)の外周面(55,56)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第1バランスウェイト長辺面(55)と、この第1バランスウェイト長辺面(55)の間に設けられかつ第1バランスウェイト長辺面(55)よりも周方向長さの短い平面状の第1バランスウェイト短辺面(56)とを有する。第1バランスウェイト長辺面(55)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、長方形状の永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。第1バランスウェイト長辺面(55)および第1バランスウェイト短辺面(56)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第1バランスウェイト部(50)は、図1、図2および図4に示すように、その外周面の一部(略半部)に対応する第1ウェイト部(51)と、当該外周面の残部に対応する第1壁部(52)とを有する。第1ウェイト部(51)はウェイト部を構成し、第1壁部(52)は壁部を構成している。
また、第1ウェイト部(51)と第1壁部(52)との間には、図示しないシャフトを挿通するための第1シャフト取付部(53)が設けられている。第1ウェイト部(51)と第1壁部(52)の間のうち第1シャフト取付部(53)の周囲には、第1バランスウェイト部(50)をその厚さ方向(すなわち、軸方向)に貫通する3つの第1貫通孔(54)が形成されている。各第1貫通孔(54)の間には、第1シャフト取付部(53)と第1壁部(52)とを連結する2つの第1連結部(57)が設けられている。第1貫通孔(54)は貫通孔を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)のバランスウェイト部(60)(以下、第2バランスウェイト部(60)という)は、図1および図2に示すように、第2ブロック部(40)の軸方向他方側に隣り合って設けられた部材である。第2バランスウェイト部(60)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第2バランスウェイト部(60)は、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのものである。電磁鋼板は、比透磁率が1よりも大きな材料を構成している。
第2バランスウェイト部(60)の外郭形状は、第2バランスウェイト部(60)の外郭形状と同じである。そして、第2バランスウェイト部(60)の外郭形状のうち比較的長い辺は、平面視で永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。つまり、第2バランスウェイト部(60)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっている。
また、第2バランスウェイト部(60)の外周面は、図1および図2に示すように、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第2バランスウェイト部(60)の外周面(65,66)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第2バランスウェイト長辺面(65)と、この第2バランスウェイト長辺面(65)の間に設けられかつ第2バランスウェイト長辺面(65)よりも周方向長さの短い平面状の第2バランスウェイト短辺面(66)とを有する。第2バランスウェイト長辺面(65)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、長方形状の永久磁石(23)の径方向内側の長辺に沿っている。第2バランスウェイト長辺面(65)および第2バランスウェイト短辺面(66)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第2バランスウェイト部(60)は、図2に示すように、その外周面の一部(略半部)に対応する第2ウェイト部(61)と、当該外周面の残部に対応する第2壁部(62)とを有する。
また、第2ウェイト部(61)と第2壁部(62)との間には、図示しないシャフトを挿通するための第2シャフト取付部(63)が設けられている。第2ウェイト部(61)と第2壁部(62)の間のうち第2シャフト取付部(63)の周囲には、第2バランスウェイト部(60)をその厚さ方向(すなわち、軸方向)に貫通する2つの第2貫通孔(64)が形成されている。各第2貫通孔(64)の間には、第2シャフト取付部(63)と第2壁部(62)とを連結する第2連結部(図示せず)が設けられている。
軸方向一方側(図2で上側)の閉塞板(70)(以下、第1閉塞板(70)という)は、図2に示すように、第1バランスウェイト部(50)の軸方向一方側に隣り合って設けられた板状部材である。第1閉塞板(70)は、例えば、第1ブロック部(30)を構成する電磁鋼板と同形状の電磁鋼板である。第1閉塞板(70)の中心部には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(71)が形成されている。第1閉塞板(70)は、第1バランスウェイト部(50)に形成された第1貫通孔(54)の開口を閉塞している。第1閉塞板(70)は閉塞板を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)の閉塞板(72)(以下、第2閉塞板(72)という)は、図2に示すように、第2バランスウェイト部(60)の軸方向他方側に隣り合って設けられた板状部材である。第2閉塞板(72)は、例えば、第2ブロック部(40)を構成する電磁鋼板と同形状の電磁鋼板である。第2閉塞板(72)の中心部には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(73)が形成されている。第2閉塞板(72)は、第2バランスウェイト部(60)に形成された第2貫通孔(64)の開口を閉塞している。
−実施形態の効果−
本実施形態では、第1および第2ブロック部(30,40)を設けることによって当該第1および第2ブロック部(30,40)を設けない場合に比べてロータ(10)のイナーシャが大きくなるので、ロータ(10)が接続される負荷が変動した場合でも当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、ロータ(10)のイナーシャを増大させる第1および第2ブロック部(30,40)を互いに同形状の電磁鋼板を複数枚積層することによって形成するので、当該第1および第2ブロック部(30,40)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。
また、本実施形態では、電磁鋼板でできた第1および第2ブロック部(30,40)の全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっているので、当該第1および第2ブロック部(30,40)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを確実に抑止することができ、よって当該ロータ(10)を備えた回転電気機械の効率が低下するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、電磁鋼板でできた第1および第2バランスウェイト部(50,60)の全体がロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まっているので、当該第1および第2バランスウェイト部(50,60)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを確実に抑止することができ、よって当該ロータ(10)を備えた回転電気機械の効率が低下するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するための第1バランスウェイト部(50)を互いに同形状の積層鋼板を複数枚積層することによって形成するので、当該第1バランスウェイト部(50)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。このことは、第2バランスウェイト部(60)についても同様である。
また、本実施形態では、各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)の外周面(33,34,43,44,55,56,65,66)(すなわち、第1および第2ブロック長辺面(33,43)、第1および第2ブロック短辺面(34,44)、第1および第2バランスウェイト長辺面(55,65)ならびに第1および第2バランスウェイト短辺面(56,66))が、ロータコア(20)の軸方向から見て周方向に延びかつ全周にわたって連続しているので、当該外周面がロータ(10)の回転時に抵抗になりにくく、よって各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)を設けることでロータ(10)の回転時に風損が大きく増大するのを回避することができる。
また、本実施形態では、第1閉塞板(70)によって第1バランスウェイト部(50)の第1貫通孔(54)の開口が、第2閉塞板(72)によって第2バランスウェイト部(60)の第2貫通孔(64)の開口が、それぞれ閉塞されているので、各貫通孔(54,64)を形成することでロータ(10)の回転時に風損が大きく増大するのを回避することができる。
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について、図5を参照して説明する。本変形例では、各ブロック部(30,40)の形状が上記実施形態のそれと異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図5に示すように、本変形例では、第1および第2ブロック部(30,40)が、ロータコア(20)から遠ざかるにつれて径方向外側に張り出すように構成されている。
第1ブロック部(30)におけるロータコア(20)の軸方向一方側(図5で上側)の端面と対向する第1対向面(32)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。第1対向面(32)の外郭形状は、上記実施形態の第1対向面(32)の外郭形状と同じであることが好ましい。
また、第2ブロック部(40)におけるロータコア(20)の軸方向他方側(図5で下側)の端面と対向する第2対向面(42)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て複数の永久磁石(23)の径方向内側に収まる形状である。第2対向面(42)の外郭形状は、上記実施形態の第2対向面(42)の外郭形状と同じであることが好ましい。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)はそれぞれ電磁鋼板を積層して形成されているが、これらのうち少なくとも一方が圧粉磁心その他の磁性材料、または、鉄、SUS304、もしくは炭素鋼などの比透磁率が1よりも大きな材料で形成されていてもよい。各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)の両方を圧粉磁心で形成する場合には、両者を一体形成してもよい。
以上説明したように、本発明は、ロータについて有用である。
10 ロータ
20 ロータコア
23 永久磁石
30 第1ブロック部(ブロック部)
32 第1対向面(対向面)
33 第1ブロック長辺面(外周面)
34 第1ブロック短辺面(外周面)
50 第1バランスウェイト部(バランスウェイト部)
51 第1ウェイト部(ウェイト部)
52 第1壁部(壁部)
54 第1貫通孔(貫通孔)
55 第1バランスウェイト長辺面(外周面)
56 第1バランスウェイト短辺面(外周面)
70 第1閉塞板(閉塞板)
本発明は、ロータに関するものである。
従来より、回転電気機械に設けられるロータが広く知られている(例えば、特許文献1)。同文献のロータは、磁性材料製のロータコアと、該ロータコアの周方向に並んで設けられた複数の永久磁石とを備えている。
ところで、ロータが接続される負荷が変動すると当該ロータの回転速度も変動するところ、この回転速度の変動を抑制するためにロータのイナーシャを増大させることが考えられる。イナーシャを増大させるための部材を設ける箇所は、通常はロータの軸方向の一端または両端になるだろう。
ここで、イナーシャを増大させるための部材の材料として、モータ材料として広く用いられている電磁鋼板のような比透磁率が大きな材料を使用すると当該部材の製造コストを抑えることができる。しかしながら、当該部材を比透磁率が大きな材料で作ると、ロータの軸方向端に設けられる当該部材が磁路を形成し、永久磁石の磁束がロータ内で短絡してしまうおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータのイナーシャを増大させるための部材を比透磁率が大きな材料で作る場合に、ロータ内で短絡磁路が形成されるのを抑止することにある。
第1の発明は、ロータ(10)を対象とする。このロータ(10)は、磁性材料製のロータコア(20)と、上記ロータコア(20)の周方向に並んで設けられた複数の永久磁石(23)と、上記ロータコア(20)の軸方向一方側の端面と対向する対向面(32)を有する、比透磁率が1よりも大きな材料でできたブロック部(30)とを備え、上記ブロック部(30)の上記対向面(32)の外郭形状は、上記ロータコア(20)の軸方向から見て、上記ロータ(10)の径方向における上記複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。
上記第1の発明では、ロータ(10)はロータコア(20)およびブロック部(30)を備えているので、ブロック部(30)がない場合に比べてロータ(10)のイナーシャが大きくなる。これにより、ロータ(10)が接続される負荷が変動しても当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動することが抑制される。また、ブロック部(30)は比透磁率が1よりも大きな材料でできているので安価に製造可能である。
ここで、ブロック部(30)の対向面(32)がロータ(10)の径方向において永久磁石(23)の内側から外側に跨がっていると、永久磁石(23)によって生じる磁束が当該ブロック部(30)を通って同じ永久磁石(23)または周方向に隣り合う永久磁石(23)に流れ込んでロータ(10)内で短絡磁路が形成される。これに対し、上記第1の発明では、ブロック部(30)の対向面(32)の外郭形状が、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。このため、永久磁石(23)によって生じる磁束がロータ(10)外へ流れ出しやすくなり、上述したような短絡磁路が形成されることが抑止される。
また、第1の発明は、上記ブロック部(30)の上記軸方向一方側に設けられ、上記ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのバランスウェイト部(50)を備えていることを特徴とする。
したがって、ロータコア(20)との間にブロック部(30)を挟むようにバランスウェイト部(50)が設けられる。このバランスウェイト部(50)により、ロータ(10)の回転時に生じる振動が抑制される。
また、第1の発明は、上記ブロック部(30)および上記バランスウェイト部(50)が、全体が上記ロータコア(20)の軸方向から見て、上記ロータ(10)の径方向における上記複数の永久磁石(23)の内側に収まっていることを特徴とする。
したがって、軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の外側に比透磁率が1よりも大きな材料でできたブロック部(30)およびバランスウェイト部(50)が存在しない。このため、上述したような短絡磁路がロータ(10)内で形成されることがより確実に抑止される。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ブロック部(30)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板によって構成されていることを特徴とする。
上記第2の発明では、ブロック部(30)を構成するために一種類の電磁鋼板を複数枚用意すれば足りる。このため、ブロック部(30)を備えるロータ(10)が低コストに製造され得る。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記バランスウェイト部(50)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板によって構成されていることを特徴とする。
上記第3の発明では、バランスウェイト部(50)を構成するために一種類の電磁鋼板を複数枚用意すれば足りる。このため、バランスウェイト部(50)を備えるロータ(10)が低コストに製造され得る。
第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記ブロック部(30)およびバランスウェイト部(50)の各々は、上記ロータコア(20)の軸心を取り囲む外周面(33,34,55,56)を有することを特徴とする。
ここで、バランスウェイトとしての機能を実現するために、バランスウェイト部(50)はロータ(10)の軸心から偏心した重心を有していればよい。このため、例えばバランスウェイト部(50)をロータコア(20)の軸心周りに延びる馬蹄状とすることも考えられる。しかしながら、そのような馬蹄状のバランスウェイト部(50)は、ロータ(10)の回転時に、特にその周方向両端部が抵抗となって比較的大きな風損を生じさせる。
これに対し、上記第4の発明では、バランスウェイト部(50)、またこれに加えてブロック部(30)が、ロータコア(20)の軸心を取り囲む外周面(33,34,55,56)を有する。このような外周面(33,34,55,56)を有するバランスウェイト部(50)およびブロック部(30)は、ロータ(10)の回転時に大きな抵抗となる部分がないので、上述の馬蹄状のバランスウェイト部(50)のようには大きな風損を生じさせない。よって、上記第4の発明によると、ロータ(10)の回転時に生じる風損が抑制される。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記バランスウェイト部(50)は、上記外周面(33,34,55,56)の一部に対応するウェイト部(51)と、該外周面(33,34,55,56)の残部に対応する壁部(52)とを有し、上記バランスウェイト部(50)における上記ウェイト部(51)と上記壁部(52)との間には、該バランスウェイト部(50)を上記軸方向に貫通する貫通孔(54)が形成されており、上記ロータ(10)は、上記貫通孔(54)の上記軸方向一方側の開口を閉塞する閉塞板(70)を備えていることを特徴とする。
ここで、ウェイト部(51)と壁部(52)との間の貫通孔(54)の開口が露出していると、ロータ(10)の回転時に貫通孔(54)内で空気流れの乱れが生じて比較的大きな風損が生じる。これに対し、上記第5の発明では、貫通孔(54)の開口が閉塞板(70)によって閉塞されているので、そのような空気流れの乱れの発生が抑止され、よってロータ(10)の回転時に生じる風損が抑制される。
本発明によれば、ブロック部(30)によってロータ(10)のイナーシャが増大するので、ロータ(10)が接続される負荷が変動した場合でも当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動するのを抑止することができる。
また、本発明によれば、ロータ(10)のイナーシャを増大させるブロック部(30)を比透磁率が1よりも大きな材料で形成するので、当該ブロック部(30)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。
また、本発明によれば、ブロック部(30)の対向面(32)が軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっているので、このブロック部(30)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを抑止することができる。
また、本発明によれば、バランスウェイト部(50)によってロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制することができる。
また、本発明によれば、ブロック部(30)およびバランスウェイト部(50)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのをより確実に抑止することができる。
また、上記第2の発明によれば、ブロック部(30)を備えるロータ(10)を安価に製造することができる。
また、上記第3の発明によれば、バランスウェイト部(50)を備えるロータ(10)を安価に製造することができる。
また、上記第4および第5の発明によれば、ロータ(10)の回転時に生じる風損を抑制することができる。
図1は、本発明の実施形態のロータの斜視図であって、閉塞板を省略してある。
図2は、図1のII−II線における断面図である。
図3は、バランスウェイト部および閉塞板を省略して示すロータの平面図である。
図4は、閉塞板を省略して示すロータの平面図である。
図5は、本発明の実施形態の変形例における図2相当図である。
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態のロータ(10)は、例えば回転電気機械において図示しないステータの径方向内側に設けられるものである。ロータ(10)は、図1〜図4に示すように、ロータコア(20)と、複数(この例では、6つ)の永久磁石(23)と、2枚の端板(24,26)と、2つのブロック部(30,40)と、2つのバランスウェイト部(50.60)と、2枚の閉塞板(70,72)とを備えている。
図1および図2に示すように、ロータコア(20)は、磁性材料で構成された円筒状の部材である。ロータコア(20)は、例えば円環状に打ち抜かれた電磁鋼板を軸方向(図2における上下方向)に積層することによって形成される。なお、ロータコア(20)は、例えば圧粉磁心その他の電磁鋼板以外の磁性材料で形成されていてもよい。ロータコア(20)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(21)が当該ロータコア(20)を軸方向に貫通して形成されている。ロータコア(20)の外周部には、周方向に並んで複数(この例では、6つ)の磁石用スリット(22)が当該ロータコア(20)を軸方向に貫通して形成されている。
複数の永久磁石(23)は、図2〜図4に示すように、ロータコア(20)の周方向に並んで設けられていて、それぞれが磁石用スリット(22)に1つずつ埋設されている。複数の永久磁石(23)は、それぞれの横断面が細長い長方形状になっている。複数の永久磁石(23)は、N極とS極とが周方向において交互に現れるように着磁されている。なお、永久磁石(23)の形状および数は、図示のものに限られない。
端板(24,26)は、図1および図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向両端に1枚ずつ設けられた円板状の部材であって、非磁性材料で構成されている。各端板(24,26)の中心部には、図示しないシャフトと挿通するためのシャフト孔(25,27)が形成されている。
軸方向一方側(図2で上側)のブロック部(30)(以下、第1ブロック部(30)という)は、図1〜図3に示すように、軸方向一方側の端板(24)(以下、第1端板(24)という)の軸方向一方側に隣り合って設けられた柱状の部材である。第1ブロック部(30)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第1ブロック部(30)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(31)が形成されている。
第1ブロック部(30)は、平面視で正六角形の各角部を直線状に切り欠いたような形状を有する。よって、第1ブロック部(30)の外郭形状(図3に示す形状)は、比較的長い辺と比較的短い辺とが周方向において交互に6つずつ形成された形状である。当該外郭形状のうち比較的長い辺は、図3に示すように、平面視で、ロータ(10)の径方向における永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。つまり、第1ブロック部(30)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっている。
また、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)は、図1〜図3に示すように、ロータコア(20)の軸心から離間しかつ当該軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第1ブロック長辺面(33)と、この第1ブロック長辺面(33)の間に設けられかつ第1ブロック長辺面(33)よりも周方向長さの短い平面状の第1ブロック短辺面(34)とを有する。第1ブロック長辺面(33)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における長方形状の永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。第1ブロック長辺面(33)および第2ブロック短辺面(44)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第1ブロック部(30)は、図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向一方側の端面と対向する第1対向面(32)を有する。この例では、当該第1対向面(32)は、第1端板(24)と接している。そして、この第1対向面(32)の外郭形状は、第1ブロック部(30)が互いに同形状の複数枚の積層鋼板によって構成されているので、上で述べた外郭形状と同じである。よって、第1対向面(32)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。第1対向面(32)は対向面を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)のブロック部(40)(以下、第2ブロック部(40)という)は、図1〜図3に示すように、軸方向他方側の端板(26)(以下、第2端板(26)という)の軸方向他方側に隣り合って設けられた柱状の部材である。第2ブロック部(40)は、第1ブロック部(30)を構成する電磁鋼板と同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第2ブロック部(40)の中心には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(41)が形成されている。
第2ブロック部(40)は、図1からわかるように、ロータコア(20)の軸方向から見て、六角形状の長辺が第1ブロック部(30)の六角形状の長辺とそれぞれ重なるように(すなわち、第1ブロック部(30)と同じ向きで)設けられている。よって、第2ブロック部(40)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっている。
また、第2ブロック部(40)の外周面(43,44)は、第1ブロック部(30)の外周面(33,34)と同形状であって、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第2ブロック部(40)の外周面(43,44)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第2ブロック長辺面(43)と、この第2ブロック長辺面(43)の間に設けられかつ第2ブロック長辺面(43)よりも周方向長さの短い平面状の第2ブロック短辺面(44)とを有する。第2ブロック長辺面(43)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における長方形状の永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。第2ブロック長辺面(43)および第2ブロック短辺面(44)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第2ブロック部(40)は、図2に示すように、ロータコア(20)の軸方向他方側の端面と対向する第2対向面(42)を有する。この例では、当該第2対向面(42)は、第2端板(26)と接している。そして、この第2対向面(42)の外郭形状および向きは、第1対向面(32)の外郭形状および向きと同じである。よって、第2対向面(42)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。
軸方向一方側(図2で上側)のバランスウェイト部(50)(以下、第1バランスウェイト部(50)という)は、図1および図2に示すように、第1ブロック部(30)の軸方向一方側に隣り合って設けられた部材である。第1バランスウェイト部(50)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第1バランスウェイト部(50)は、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのものである。電磁鋼板は、比透磁率が1よりも大きな材料を構成している。
第1バランスウェイト部(50)の外郭形状は、図3および図4に示すように、第1ブロック部(30)の外郭形状と同じである。そして、第1バランスウェイト部(50)の外郭形状のうち比較的長い辺は、図4に示すように、平面視で、ロータ(10)の径方向における永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。つまり、第1バランスウェイト部(50)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっている。
また、第1バランスウェイト部(50)の外周面は、図1、図2および図4に示すように、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第1バランスウェイト部(50)の外周面(55,56)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第1バランスウェイト長辺面(55)と、この第1バランスウェイト長辺面(55)の間に設けられかつ第1バランスウェイト長辺面(55)よりも周方向長さの短い平面状の第1バランスウェイト短辺面(56)とを有する。第1バランスウェイト長辺面(55)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における長方形状の永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。第1バランスウェイト長辺面(55)および第1バランスウェイト短辺面(56)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第1バランスウェイト部(50)は、図1、図2および図4に示すように、その外周面の一部(略半部)に対応する第1ウェイト部(51)と、当該外周面の残部に対応する第1壁部(52)とを有する。第1ウェイト部(51)はウェイト部を構成し、第1壁部(52)は壁部を構成している。
また、第1ウェイト部(51)と第1壁部(52)との間には、図示しないシャフトを挿通するための第1シャフト取付部(53)が設けられている。第1ウェイト部(51)と第1壁部(52)の間のうち第1シャフト取付部(53)の周囲には、第1バランスウェイト部(50)をその厚さ方向(すなわち、軸方向)に貫通する3つの第1貫通孔(54)が形成されている。各第1貫通孔(54)の間には、第1シャフト取付部(53)と第1壁部(52)とを連結する2つの第1連結部(57)が設けられている。第1貫通孔(54)は貫通孔を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)のバランスウェイト部(60)(以下、第2バランスウェイト部(60)という)は、図1および図2に示すように、第2ブロック部(40)の軸方向他方側に隣り合って設けられた部材である。第2バランスウェイト部(60)は、互いに同形状の複数枚の電磁鋼板を軸方向に積層することによって形成されている。第2バランスウェイト部(60)は、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するためのものである。電磁鋼板は、比透磁率が1よりも大きな材料を構成している。
第2バランスウェイト部(60)の外郭形状は、第2バランスウェイト部(60)の外郭形状と同じである。そして、第2バランスウェイト部(60)の外郭形状のうち比較的長い辺は、平面視で、ロータ(10)の径方向における永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。つまり、第2バランスウェイト部(60)は、全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっている。
また、第2バランスウェイト部(60)の外周面は、図1および図2に示すように、ロータコア(20)の軸心を取り囲んでいる。より詳細には、第2バランスウェイト部(60)の外周面(65,66)は、六角形状の各辺に対応する平面状の第2バランスウェイト長辺面(65)と、この第2バランスウェイト長辺面(65)の間に設けられかつ第2バランスウェイト長辺面(65)よりも周方向長さの短い平面状の第2バランスウェイト短辺面(66)とを有する。第2バランスウェイト長辺面(65)は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における長方形状の永久磁石(23)の内側の長辺に沿っている。第2バランスウェイト長辺面(65)および第2バランスウェイト短辺面(66)は、ロータコア(20)の軸方向から見てそれぞれ周方向に延びている。
また、第2バランスウェイト部(60)は、図2に示すように、その外周面の一部(略半部)に対応する第2ウェイト部(61)と、当該外周面の残部に対応する第2壁部(62)とを有する。
また、第2ウェイト部(61)と第2壁部(62)との間には、図示しないシャフトを挿通するための第2シャフト取付部(63)が設けられている。第2ウェイト部(61)と第2壁部(62)の間のうち第2シャフト取付部(63)の周囲には、第2バランスウェイト部(60)をその厚さ方向(すなわち、軸方向)に貫通する2つの第2貫通孔(64)が形成されている。各第2貫通孔(64)の間には、第2シャフト取付部(63)と第2壁部(62)とを連結する第2連結部(図示せず)が設けられている。
軸方向一方側(図2で上側)の閉塞板(70)(以下、第1閉塞板(70)という)は、図2に示すように、第1バランスウェイト部(50)の軸方向一方側に隣り合って設けられた板状部材である。第1閉塞板(70)は、例えば、第1ブロック部(30)を構成する電磁鋼板と同形状の電磁鋼板である。第1閉塞板(70)の中心部には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(71)が形成されている。第1閉塞板(70)は、第1バランスウェイト部(50)に形成された第1貫通孔(54)の開口を閉塞している。第1閉塞板(70)は閉塞板を構成している。
軸方向他方側(図2で下側)の閉塞板(72)(以下、第2閉塞板(72)という)は、図2に示すように、第2バランスウェイト部(60)の軸方向他方側に隣り合って設けられた板状部材である。第2閉塞板(72)は、例えば、第2ブロック部(40)を構成する電磁鋼板と同形状の電磁鋼板である。第2閉塞板(72)の中心部には、図示しないシャフトを挿通するためのシャフト孔(73)が形成されている。第2閉塞板(72)は、第2バランスウェイト部(60)に形成された第2貫通孔(64)の開口を閉塞している。
−実施形態の効果−
本実施形態では、第1および第2ブロック部(30,40)を設けることによって当該第1および第2ブロック部(30,40)を設けない場合に比べてロータ(10)のイナーシャが大きくなるので、ロータ(10)が接続される負荷が変動した場合でも当該ロータ(10)の回転速度が大きく変動するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、ロータ(10)のイナーシャを増大させる第1および第2ブロック部(30,40)を互いに同形状の電磁鋼板を複数枚積層することによって形成するので、当該第1および第2ブロック部(30,40)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。
また、本実施形態では、電磁鋼板でできた第1および第2ブロック部(30,40)の全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっているので、当該第1および第2ブロック部(30,40)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを確実に抑止することができ、よって当該ロータ(10)を備えた回転電気機械の効率が低下するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、電磁鋼板でできた第1および第2バランスウェイト部(50,60)の全体がロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まっているので、当該第1および第2バランスウェイト部(50,60)を介してロータ(10)内で短絡磁路が形成されるのを確実に抑止することができ、よって当該ロータ(10)を備えた回転電気機械の効率が低下するのを抑止することができる。
また、本実施形態では、ロータ(10)の回転時に生じる振動を抑制するための第1バランスウェイト部(50)を互いに同形状の積層鋼板を複数枚積層することによって形成するので、当該第1バランスウェイト部(50)を備えたロータ(10)を安価に製造することができる。このことは、第2バランスウェイト部(60)についても同様である。
また、本実施形態では、各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)の外周面(33,34,43,44,55,56,65,66)(すなわち、第1および第2ブロック長辺面(33,43)、第1および第2ブロック短辺面(34,44)、第1および第2バランスウェイト長辺面(55,65)ならびに第1および第2バランスウェイト短辺面(56,66))が、ロータコア(20)の軸方向から見て周方向に延びかつ全周にわたって連続しているので、当該外周面がロータ(10)の回転時に抵抗になりにくく、よって各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)を設けることでロータ(10)の回転時に風損が大きく増大するのを回避することができる。
また、本実施形態では、第1閉塞板(70)によって第1バランスウェイト部(50)の第1貫通孔(54)の開口が、第2閉塞板(72)によって第2バランスウェイト部(60)の第2貫通孔(64)の開口が、それぞれ閉塞されているので、各貫通孔(54,64)を形成することでロータ(10)の回転時に風損が大きく増大するのを回避することができる。
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について、図5を参照して説明する。本変形例では、各ブロック部(30,40)の形状が上記実施形態のそれと異なる。以下、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
図5に示すように、本変形例では、第1および第2ブロック部(30,40)が、ロータコア(20)から遠ざかるにつれて径方向外側に張り出すように構成されている。
第1ブロック部(30)におけるロータコア(20)の軸方向一方側(図5で上側)の端面と対向する第1対向面(32)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。第1対向面(32)の外郭形状は、上記実施形態の第1対向面(32)の外郭形状と同じであることが好ましい。
また、第2ブロック部(40)におけるロータコア(20)の軸方向他方側(図5で下側)の端面と対向する第2対向面(42)の外郭形状は、ロータコア(20)の軸方向から見て、ロータ(10)の径方向における複数の永久磁石(23)の内側に収まる形状である。第2対向面(42)の外郭形状は、上記実施形態の第2対向面(42)の外郭形状と同じであることが好ましい。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)はそれぞれ電磁鋼板を積層して形成されているが、これらのうち少なくとも一方が圧粉磁心その他の磁性材料、または、鉄、SUS304、もしくは炭素鋼などの比透磁率が1よりも大きな材料で形成されていてもよい。各ブロック部(30,40)および各バランスウェイト部(50,60)の両方を圧粉磁心で形成する場合には、両者を一体形成してもよい。
以上説明したように、本発明は、ロータについて有用である。
10 ロータ
20 ロータコア
23 永久磁石
30 第1ブロック部(ブロック部)
32 第1対向面(対向面)
33 第1ブロック長辺面(外周面)
34 第1ブロック短辺面(外周面)
50 第1バランスウェイト部(バランスウェイト部)
51 第1ウェイト部(ウェイト部)
52 第1壁部(壁部)
54 第1貫通孔(貫通孔)
55 第1バランスウェイト長辺面(外周面)
56 第1バランスウェイト短辺面(外周面)
70 第1閉塞板(閉塞板)