JP2018192484A - 鍛造金型 - Google Patents

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【課題】従来の鍛造金型では、製品形状によっては型内面に生じる引張応力を充分に低減することが難しくなるという問題点があった。
【解決手段】密閉された成形空間Cを形成する上型2及び下型3を備え、上型2が、製品Fの上面を成形する内側分割型4と、製品Fの外周面を成形する外側分割型5とを備え、成形空間Cが、内側分割型4及び外側分割型5の型内面同士で形成した角部と製品Fとの間に隙間Sを形成する容積であり、内側分割型4及び外側分割型5が、いずれか一方の型内面を延長した分割面Bで分割してある鍛造金型1とし、成形空間Cの外周端部が比較的狭い場合、つまり、フェースギアのように外周端部に凹凸を有する製品Fを製造する場合でも、型内面に生じる引張応力を充分に抑制する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鍛造に用いる鍛造金型に関し、とくに、上下の型で密閉された成形空間を形成する鍛造金型の改良に関するものである。
一般に、鍛造金型では、鍛造時の負荷により生じる金型の割れを防止するための対策が知られており、その一例として、非特許文献1に記載された金型圧入方式の鍛造金型がある。この鍛造金型は、成形空間を有する主型とダイホルダとの間に、適数のシュリンクリングを同心状に配置した構造である。そして、鍛造金型は、鍛造前に、主型とダイホルダとの間にシュリンクリングを圧入することで、主型の型内面に負の応力を負荷する。これにより、鍛造金型は、成形空間に製品素材を加圧充填した際、製品素材の押圧力で型内面に生じる引張応力を低減し、金型の割れを防止するものである。
「わかりやすい鍛造加工」日刊工業新聞社.2005年4月.p84−87.
しかしながら、上記したような従来の鍛造金型では、密閉された成形空間の外周端部が比較的狭い場合、その外周端部まで製品素材を充填するには、より大きい鍛造圧力が必要になるので、製品形状によっては型内面に生じる引張応力を充分に低減することが難しくなるという問題点があり、このような問題点を解決することが課題であった。
本発明は、上記従来の課題に着目して成されたもので、密閉された成形空間の外周端部が比較的狭い場合、つまり、外周端部に凹凸を有するような製品を製造する場合でも、型内面に生じる引張応力を充分に抑制することができる鍛造金型を提供することを目的としている。
本発明に係わる鍛造金型は、円盤状を成す製品を成形する鍛造金型であって、密閉された成形空間を形成する上型及び下型を備えると共に、上型が、製品の上面を成形する内側分割型と、製品の外周面を成形する外側分割型とを備えている。そして、鍛造金型は、成形空間が、内側分割型及び外側分割型の型内面同士で形成した角部と製品との間に隙間を形成する容積であると共に、内側分割型及び外側分割型が、いずれか一方の型内面を延長した分割面で分割してあることを特徴としている。
本発明に係わる鍛造金型は、内側分割型及び外側分割型の型内面同士で形成した角部、すなわち最終的に製品素材が充填される角部に、隙間を設けると共に、内側分割型と外側分割型との分割面を設けているので、隙間に分割面の末端が存在しており、その角部に製品素材の押圧力が作用しても、角部に引張応力が生じることがない。
これにより、鍛造金型は、密閉された成形空間の外周端部が比較的狭い場合、つまり、外周端部に凹凸を有するような製品を製造する場合でも、また、大きい鍛造圧力を付与する場合でも、製品素材の押圧力により型内面に生じる引張応力を充分に抑制することができる。
本発明に係わる鍛造金型の第1実施形態を説明する断面図である。 製品の一例であるフェースギアを説明する斜視図である。 フェースギアに対する分割型及び分割面の配置を説明する要部の斜視図である。 本発明に係わる鍛造金型の第2実施形態を説明する断面図である。
〈第1実施形態〉
図1に示す鍛造金型1は、円盤状を成す製品Fを成形するものであって、密閉された成形空間Cを形成する上型2及び下型3を備えている。図示例の場合、上型2がラム側、下型3がボルスタ側であって、固定した下型3に対して上型2が昇降する。
上型2は、製品Fの上面を成形する内側分割型4と、製品Fの外周面を成形する外側分割型5とを備えており、内側分割型4の中心に、ノックアウトピン6が上下動可能に設けてある。上型2は、図中に仮想線で一部を示す型ホルダ7に保持されている。
他方、下型3は、製品Fの下面を形成すると共に、その中心に、ノックアウトピン8が上下動可能に設けてある。したがって、鍛造金型1は、ノックアウトピン6,8を含む上下の型2,3により密閉された成形空間Cを形成している。
また、鍛造金型1は、成形空間Cが、内側分割型4及び外側分割型5の型内面同士で形成した角部と製品との間に隙間Sを形成する容積である。内側分割型4及び外側分割型5は、いずれか一方の型内面を延長した分割面Bで分割してある。この実施形態では、外側分割型4の垂直な型内面を上方に延長して分割面Bを形成している。さらに、分割面Bの一部には、両分割型4,5の周方向の位相のずれを防止するために、回転防止ピン9が介装してある。
ここで、この実施形態の製品Fは、図2に示すフェースギアFGである。この場合、フェースギアFGは、複数の鍛造工程を経て製品素材から最終形状に成形され、とくに、図1に示す鍛造金型1で最終形状に成形される。このとき、最終の鍛造工程よりも前の鍛造工程では、製品素材の形状が次第に製品形状に近づくように成形していくので、細部の無い比較的大まかな形状に成形する。
これに対して、最終の鍛造工程では、フェースギアFGの歯面精度を確保するために、製品素材を歯先まで充分に充填する必要がある。このため、鍛造金型1は、最終的に製品素材が充填される成形空間Cの外周端部、つまり、フェースギアFGの歯先の外周端部に相当する部分が比較的狭い構造になっている。
そこで、鍛造金型1は、図3にドットパターンで示す内側分割型4が、各歯Tの歯列を含む上面を形成すると共に、図3に斜線パターンで示す外側分割型5が、歯Tの外周端面T1を含む外周面T2を形成するものとしている。そして、鍛造金型1は、歯先の外周端部T3の位置に隙間Sが設けてあると共に、図中に点線で示すように、歯列の凹凸に沿って両分割型4,5の分割面Bが設けてある。
さらに、この実施形態の鍛造金型1は、隙間Sが、製品Fの欠肉部Faにより形成されるものとしている。つまり、成形空間Cの容積に比べて、製品素材の体積を若干小さくしている。また、この実施形態では、製品FがフェースギアFGであるから、図2に示すように、欠肉部Faが、歯先の外周端部T3の位置であって、歯面における歯当たり領域Taの外側に設けてあるから、歯車機能への影響は全くない。
上記構成を備えた鍛造金型1は、上型2を上昇させた状態にして、製品素材を下型3にセットする。この際、製品素材は、前工程で所定形状に成形してあり、所定の加熱が施してある。その後、鍛造金型1は、上型2を下降させて、製品素材を成形空間Cに充填するように成形する。
この際、鍛造金型1は、内側分割型4及び外側分割型5の型内面同士で形成した角部、すなわち最終的に製品素材が充填される角部に、隙間Sを設けると共に、隙間Sの部分に内側分割型4と外側分割型5との分割面Bの末端が存在する。このため、鍛造金型1は、その角部に製品素材の押圧力が作用しても、角部に引張応力が生じることがなく、引張応力により型に割れが生じることもない。その後、鍛造金型1は、上型2を上昇させると共に、製品Fが残った型のノックアウトピン6,8により製品Fを離型させる。
このように、鍛造金型1は、密閉された成形空間Cの外周端部が比較的狭い場合、つまり、外周端部に凹凸を有するような製品を製造する場合でも、また、大きい鍛造圧力を付与する場合でも、製品素材の押圧力によって型内面に生じる引張応力を充分に抑制することができる。
また、鍛造金型1は、製品Fの欠肉部Faにより隙間Sを形成することから、製品素材の体積を調整するだけで、隙間S及び分割面Bによる引張応力の抑制効果を得ることができる。
さらに、鍛造金型1は、製品FがフェースギアFGであって、隙間Sが、歯先の外周端部T3の位置に設けてあると共に、分割面Bが、歯列の凹凸に沿って設けてある。このため、鍛造金型1は、密閉された成形空間Cの外周端部が、フェースギアFの歯先の外周端部T3に相当するので、比較的狭い空間になっているが、隙間S及び分割面Bにより、型内面に生じる引張応力を抑制する。
したがって、鍛造金型1は、製品素材が歯先の外周端部T3まで充分に充填されるように高い鍛造圧力を付与しても、型内面に生じる引張応力を抑制し得るので、型の割れを発生させることなく、歯面精度の高いフェースギアFGを製造することができる。
〈第2実施形態〉
図4は、本発明に係わる鍛造金型の第2実施形態を説明する図である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図示の鍛造金型1は、成形空間Cが、内側分割型4及び外側分割型5の型内面同士で形成した角部と製品Fとの間に隙間Sを形成する容積であると共に、外側分割型5の垂直な型内面を上方に延長した分割面Bで両分割型4,5を分割している。
そして、鍛造金型1は、隙間Sが、内側分割型4一部を除去した欠除部4aにより形成されている。欠除部4aは、内側分割型4の分割面B側の角に面取りを施す要領で形成してあり、これにより成形空間Cの一部を成す隙間Sを形成している。
上記の鍛造金型1は、先の実施形態と同様に、内側分割型4及び外側分割型5の型内面同士で形成した角部、すなわち最終的に製品素材が充填される角部に、隙間Sを設けると共に、内側分割型4と外側分割型5との分割面Bを設けている。これにより、鍛造金型1は、、角部において、隙間Sと分割面Bの末端が存在しているので、その角部に製品素材の押圧力が作用しても、角部に引張応力が生じることがない。
これにより、鍛造金型1は、密閉された成形空間Cの外周端部が比較的狭い場合、つまり、外周端部に凹凸を有するような製品を製造する場合でも、また、大きい鍛造圧力を付与する場合でも、製品素材の押圧力によって型内面に生じる引張応力を充分に抑制することができ、型の割れ等が発生することもない。
さらに、上記の鍛造金型1は、内側分割型4の一部を除去した欠除部4aにより隙間Sを形成しているので、内側分割型4の一部を加工するだけで、隙間S及び分割面Bによる引張応力の抑制効果を得ることができる。
本発明に係わる鍛造金型は、その構成が上記各実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、各実施形態では、外側分割型5の型内面を延長して分割面Bを形成するものとしたが、内側分割型4の水平な型内面を横方向に延長して分割面Bを形成することも可能であり、この場合、外側分割型5に、欠除部を設けて隙間を形成することができる。
また、各実施形態では、製品FとしてフェースギアFGを例示したが、それ以外のものでも当選適用可能であり、とくに、密閉された成形空間Cの外周端部が比較的狭い場合、つまり、外周端部に凹凸を有するような製品を製造する鍛造金型に有効である。
1 鍛造金型
2 上型
3 下型
4 内側分割型
4a 欠除部
5 外側分割型
B 分割面
C 成形空間
F 製品
Fa 欠肉部
FG フェースギア(製品)
S 隙間
T 歯
T1 歯の外周端面T1
T2 フェースギアの外周面
T3 歯先の外周端部

Claims (4)

  1. 円盤状を成す製品を成形する鍛造金型であって、
    密閉された成形空間を形成する上型及び下型を備えると共に、
    上型が、製品の上面を成形する内側分割型と、製品の外周面を成形する外側分割型とを備え、
    成形空間が、内側分割型及び外側分割型の型内面同士で形成した角部と製品との間に隙間を形成する容積であると共に、
    内側分割型及び外側分割型が、いずれか一方の型内面を延長した分割面で分割してあることを特徴とする鍛造金型。
  2. 前記隙間が、製品の欠肉部により形成されることを特徴とする請求項1に記載の鍛造金型。
  3. 前記隙間が、内側分割型及び外側分割型のいずれか一方の一部を除去した欠除部により形成されることを特徴とする請求項1に記載の鍛造金型。
  4. 前記製品が、フェースギアであって、
    前記内側分割型が、歯列を含む上面を形成すると共に、前記外側分割型が、歯の外周端面を含む外周面を形成し、
    前記隙間が、歯先の外周端部の位置に設けてあると共に、前記分割面が、歯列の凹凸に沿って設けてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鍛造金型。
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