JP2018185480A - 感光性樹脂組成物および樹脂膜 - Google Patents

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【課題】耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れており、かつプレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を備えた電子装置を作製するために有用な感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】アルカリ可溶性樹脂と、光酸発生剤と、熱酸発生剤と、熱架橋剤と、を含む感光性樹脂組成物であって、前記熱酸発生剤が芳香族スルホニウム塩であり、以下の条件で測定されるpHが1.3以上3.5以下である。(条件:当該感光性樹脂組成物を230℃、30分の条件で硬化させた硬化物を乳鉢で粉砕し粉砕物を得る。次いで、前記粉砕物を、前記粉砕物の5倍量の超純水中に入れた後、前記超純水を125℃で20時間熱することにより得られた熱水抽出液のpHを測定する。)【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物および樹脂膜に関する。
熱酸発生剤は、感光性樹脂の酸触媒を発生させるために有用であることが知られている。そのため、上記熱酸発生剤を含む感光性樹脂材料については、これまでに種々の報告がなされている(たとえば、特許文献1)。
特許文献1には、250℃以下の低温焼成時においても銅、金、チタン系金属といった金属材料との接着性に優れた硬化膜を得るために有用な材料として、アルカリ可溶性ポリイミド、特定のS−S結合含有化合物、キノンジアジド化合物、熱架橋剤および熱酸発生剤を含むポジ型感光性樹脂組成物が記載されている。
特開2013−72935号公報
特許文献1等に記載されている熱酸発生剤を含む従来の感光性樹脂組成物は、たとえば電子装置を構成する永久膜を形成するために用いられる場合がある。
本発明者は、このような感光性樹脂組成物により形成された樹脂膜を有する電子装置について検討したところ、プレッシャークッカー試験(PCT)を実施した際に、外観不良が生じる場合があることを見出した。また、本発明者の検討により、従来の感光性樹脂組成物により形成された樹脂膜を備える電子装置については、アルミ配線が腐食すること、および、腐食により接続信頼性が低下するという不都合が生じる可能性があることも明らかになった。
そこで、本発明は、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れており、かつプレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を備えた電子装置を作製するために有用な感光性樹脂組成物を提供する。
本発明によれば、アルカリ可溶性樹脂と、
光酸発生剤と、
熱酸発生剤と、
熱架橋剤と、
を含む感光性樹脂組成物であって、
前記熱酸発生剤が芳香族スルホニウム塩であり、
以下の条件で測定されるpHが1.3以上3.5以下である、感光性樹脂組成物が提供される。
(条件:当該感光性樹脂組成物を230℃、30分の条件で硬化させた硬化物を乳鉢で粉砕し粉砕物を得る。次いで、前記粉砕物を、前記粉砕物の5倍量の超純水中に入れた後、前記超純水を125℃で20時間熱することにより得られた熱水抽出液のpHを測定する。)
また、本発明によれば、前記本発明における感光性樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂膜が提供される。
本発明によれば、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れており、かつプレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を備えた電子装置を作製するために有用な感光性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、「〜」は断りがなければ「以上」から「以下」を表す。
本実施形態において、感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光酸発生剤、熱酸発生剤、熱架橋剤を含む。
そして、熱酸発生剤が芳香族スルホニウム塩であり、以下の条件で測定されるpHが1.3以上3.5以下である。
(条件:当該感光性樹脂組成物を230℃、30分の条件で硬化させた硬化物を乳鉢で粉砕し粉砕物を得る。次いで、前記粉砕物を、前記粉砕物の5倍量の超純水中に入れた後、前記超純水を125℃で20時間熱することにより得られた熱水抽出液のpHを測定する。)
感光性樹脂組成物を用いて得られる樹脂膜については、前述のとおり、電子装置を作製するために有用な樹脂膜とする上で、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れていることが求められるとともに、プレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜であることが求められる。そこで、本発明者が検討した結果、感光性樹脂組成物が上記成分を含む構成とするとともに、上記pHを制御して特定の範囲にある構成とすることにより、上記課題が解決されることを見出した。
以下、各成分についてさらに具体的に説明する。
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態において、アルカリ可溶性樹脂としては、主鎖または側鎖にフェノール性水酸基等の水酸基および/またはカルボキシル基を有するものを用いることができ、たとえばフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、メタクリル酸樹脂、メタクリル酸エステル樹脂等のアクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体、ならびに当該前駆体を脱水閉環して得られる樹脂が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や膜靭性、機械的強度、熱安定性、他の部材への密着性のバランスを向上させる観点からはフェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、またはアミド結合を有する前駆体を含むことが好ましく、熱安定性や、他の部材への密着性を効果的に向上させる観点からはアミド結合を有する前駆体を含むことがさらに好ましい。アルカリ可溶性樹脂は、これらのうちの1種または2種以上を含むことができる。
アルカリ可溶性樹脂におけるアミド結合を有する前駆体としては、耐熱性を向上させる観点から、たとえば下記一般式(1)により示される繰り返し単位を有するものを用いることができる。
Figure 2018185480
(上記一般式(1)中、XおよびYは、有機基である。R1は、水酸基、−O−R3、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なってもよい。R2は、水酸基、カルボキシル基、−O−R3、または−COO−R3であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なってもよい。R1およびR2におけるR3は、炭素数1〜15の有機基である。R1として水酸基がない場合、R2の少なくとも1つはカルボキシル基である。R2としてカルボキシル基がない場合は、R1の少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である。)
なお、一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体において、X、Y、R1〜R3、mおよびnは、それぞれ繰り返し単位毎に同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体において、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応を生じさせることにより、ポリイミド樹脂もしくはポリベンゾオキサゾール樹脂、またはイミド結合とオキサゾール環を含む共重合体が生成される。アルカリ可溶性樹脂としてアミド結合を有する前駆体を用いる場合、アルカリ可溶性樹脂は、ポリイミド樹脂およびポリベンゾオキサゾール樹脂のうちの一方または双方をさらに含んでいてもよい。
一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリベンゾオキサゾール前駆体である場合、R1の少なくとも一つは水酸基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、R1とアミド構造との間において脱水閉環が起こり、オキサゾール環を有するポリベンゾオキサゾール樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂には、ポリベンゾオキサゾール前駆体またはポリベンゾオキサゾール樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
また、一般式(1)により示されるアミド結合を有する前駆体がポリイミド前駆体である場合、R2の少なくとも一つはカルボキシル基である。この場合、加熱脱水または触媒を用いた脱水反応により、R2とアミド構造との間において脱水閉環(イミド化)が起こり、ポリイミド樹脂が生成される。このとき、アルカリ可溶性樹脂には、ポリイミド前駆体またはポリイミド樹脂の少なくとも一方が含まれることとなる。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体において、R1およびR2としては、アミド結合を有する前駆体のアルカリ水溶液に対する溶解性を調節する上で、水酸基またはカルボキシル基が保護基R3で保護された基を含むことができる。このようなR1としては−O−R3を、R3としては−O−R3または−COO−R3を、それぞれ用いることができる。R3としての炭素数1〜15の有機基としては、たとえばホルミル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ターシャリーブトキシカルボニル基、フェニル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、およびテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体のXとしての有機基は、限定されるものではないが、耐熱性を向上させる観点から、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基が挙げられる。より具体的には、以下の各一般式に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2018185480
(上記一般式中、*は、一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−C64−O−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−または単結合である。R4は、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同一であっても異なっていてもよい。R5は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。sは0〜4の整数である。R6〜R9はそれぞれ有機基である。ここでは、一般式(1)に示すXの置換基R1は省略している。)
これらの中でもさらに好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)
に示すR1が示されているものを含む。)が挙げられる。
Figure 2018185480
(ここで、*は一般式(1)におけるNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−CH3−、−C(CH3)H−、−C(CH32−、−C(CF32−、または単結合である。R10は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基およびシクロアルキル基からなる群から選ばれた1つであり、R10が複数ある場合、各R10はそれぞれ同じでも異なってもよい。cは0以上3以下の整数である。)
上記Aとしてのアルキレン基、置換アルキレン基の具体的な例としては、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32−、−CH(CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH3)−、−C(CH2CH3)(CH2CH3)−、−CH(CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH3)−、−CH(CH(CH32)−、−C(CH3)(CH(CH32)−、−CH(CH2CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH2CH3)−、−CH(CH2CH(CH32)−、−C(CH3)(CH2CH(CH32)−、−CH(CH2CH2CH2CH2CH3)−、−C(CH3)(CH2CH2CH2CH2CH3)−、−CH(CH2CH2CH2CH2CH2CH3)−、および−C(CH3)(CH2CH2CH2CH2CH2CH3)−が挙げられる。これらの中でも、−CH2−、−CH(CH3)−、および−C(CH32−が、アルカリ水溶液だけでなく、溶剤に対しても十分な溶解性を持ち、よりバランスに優れるアミド結合を有する前駆体を得ることができることから好ましい。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体におけるYは有機基であり、このような有機基としてはXと同様のものが挙げられる。一般式(1)におけるYとしては、たとえばベンゼン環、ナフタレン環またはビスフェノール構造等の構造からなる芳香族基、ピロール環、ピリジン環またはフラン環等の構造からなる複素環式有機基、およびシロキサン基等が挙げられる。より具体的には以下に示されるものが好ましい。これらは、1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2018185480
(ここで、*は、一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。Jは、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF32−または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示し、繰り返し単位毎に同じでも異なってもよい。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを示す。tは0以上2以下の整数である。R15〜R18は、有機基である。ここでは、一般式(1)に示すYの置換基R2は省略している。)
これらの中でも好ましいものとしては、たとえば以下に示すもの(一般式(1)に示すR2が示されているものを含む。)が挙げられる。
なお、以下に示すもののうちテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、一般(1)におけるC=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
Figure 2018185480
Figure 2018185480
Figure 2018185480
(ここで、*は、一般式(1)におけるC=O基に結合することを示す。R19は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基およびハロゲン原子からなる群から選ばれた1つを表し、繰り返し単位毎に同じでも異なっていてもよい。R20は、水素原子または炭素数1以上15以下の有機基から選ばれた1つを示し、一部が置換されていてもよい。uは0以上2以下の整数である。)
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、硬化物の機械物性や耐熱性に影響を及ぼさない程度に、当該前駆体の末端のアミノ基を、アルケニル基、アルキニル基、および水酸基の内から選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
アルケニル基、アルキニル基、および水酸基の内から選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物またはモノカルボン酸としては、たとえばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘット酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、4−エチニルフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、4―ヒドロキシフタル酸無水物、4―ヒドロキシ安息香酸、および3−ヒドロキシ安息香酸を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよく、末端封止したアミド部分の一部が脱水閉環していてもよい。
また、一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、当該前駆体の末端のカルボン酸残基を、アルケニル基、アルキニル基、および水酸基のうちから選ばれた有機基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含むアミン誘導体を用いて、アミドとして末端封止することもできる。
一般式(1)で表されるアミド結合を有する前駆体の場合、硬化物の機械物性、耐熱性に影響を及ぼさない程度に、末端の少なくとも一方に、窒素含有環状化合物により末端封止した基を有してもよい。これにより、金属配線(たとえば銅配線)等との密着性を向上することができる。窒素含有環状化合物としては、たとえば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、および3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基が挙げられる。
一般式(1)で表される構造を有するアミド結合を有する前駆体は、たとえば一般式(1)におけるXを含むジアミン、ビス(アミノフェノール)または2,4−ジアミノフェノール等から選ばれる化合物と、Yを含むテトラカルボン酸二無水物、トリメリット酸無水物、ジカルボン酸、ジカルボン酸ジクロライドまたはジカルボン酸誘導体等から選ばれる化合物と、を反応させて合成することができる。ジカルボン酸を用いる場合には、アミド結合を有する前駆体の反応収率等を高めるため、ジカルボン酸に1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
一般式(1)で表される繰り返し単位を有するアミド結合を有する前駆体は、低温硬化性を向上させる観点から、好ましくは下記式で示される4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)または4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)の少なくとも一方を含む1種または2種以上の単量体を重合してなり、より好ましくは4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)および4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)を含む2種または3種以上の単量体を重合してなる。
同様の観点から、アルカリ可溶性樹脂は、好ましくはポリアミド樹脂を含み、より好ましくは下記式で示される4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)または4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)の少なくとも一方を含む1種または2種以上の単量体の重合体を含み、さらに好ましくは、4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)および4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)を含む2種または3種以上の単量体の重合体を含む。
Figure 2018185480
アルカリ可溶性樹脂におけるフェノール樹脂としては、たとえばノボラック型フェノール樹脂に代表されるフェノール化合物とアルデヒド化合物との反応物、またはフェノールアラルキル樹脂に代表されるフェノール化合物とジメタノール化合物類との反応物を用いることができる。これらの中でも、フェノール化合物とアルデヒド化合物を反応させて得られるフェノール樹脂を用いることが、現像工程における膜減りを抑える観点、熱安定性を向上させる観点、また製造コストの観点からさらに好ましい。
フェノール化合物としては、限定されないが、たとえばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾールもしくはp−クレゾール等のクレゾール類、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノールもしくは3,5−キシレノール等のキシレノール類、o−エチルフェノール、m−エチルフェノールもしくはp−エチルフェノール等のエチルフェノール類、イソプロピルフェノール、ブチルフェノールもしくはp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類、またはレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ピロガロールもしくはフロログルシン等の多価フェノール類を用いることができる。これらのフェノール化合物は、単独でまたは2種以上組合せて用いることができる。
アルデヒド化合物としては、アルデヒド基を有する有機基であれば限定されないが、たとえばホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、またはサリチルアルデヒドを用いることができる。ベンズアルデヒドとしては、アルキル基、アルコキシ基もしくはヒドロキシ基のうちの少なくとも1種により置換されたもの、または無置換のものを使用することができる。これらのアルデヒド化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
本実施形態においては、たとえば上記フェノール化合物と上記アルデヒド化合物を酸触媒の下で反応させ合成することにより、アルカリ可溶性樹脂であるフェノール樹脂が得られる。酸触媒としては、限定されないが、たとえばシュウ酸、硝酸、硫酸、硫酸ジエチル、酢酸、p−トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、またはベンゼンスルホン酸を用いることができる。
ジメタノール化合物としては、限定されないが、たとえば1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、4,4'−ビフェニルジメタノール、3,4'−ビフェニルジメタノール、3,3'−ビフェニルジメタノールもしくは2,6−ナフタレンジメタノール等のジメタノール化合物、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(メトキシメチル)ビフェニルもしくは2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル等のビス(アルコキシメチル)化合物、または1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,3−ビス(クロロメチル)ベンゼン,1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、1,3−ビス(ブロモメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(クロロメチル)ビフェニル、4,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(ブロモメチル)ビフェニルもしくは3,3'−ビス(ブロモメチル)ビフェニル等のビス(ハルゲノアルキル)化合物を用いることができる。これらのジメタノール化合物は、単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
アルカリ可溶性樹脂におけるヒドロキシスチレン樹脂としては、ヒドロキシスチレンやスチレンまたはこれらの誘導体を、ラジカル重合、カチオン重合やアニオン重合させることにより得られた重合反応物または共重合反応物を用いることができる。
本実施形態において、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、たとえば50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、感光性樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。これにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の耐熱性や機械的強度、耐久性を向上させることができる。一方で、アルカリ可溶性樹脂の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量を上記上限値以下とすることにより、リソグラフィにおける解像性の向上を図ることができる。
なお、感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(質量%)は、たとえば次のように測定することができる。まず、質量(w0)を測定したアルミカップ中に、試料として感光性樹脂材料を1.0g量り取る。このとき、試料とアルミカップの全質量をw1とする。次いで、アルミカップを、210℃に調整した熱風乾燥機中で常圧下、1時間保持した後、熱風乾燥機から取り出して室温まで冷却する。次いで、冷却した試料とアルミカップの全質量(w2)を測定する。そして、以下の式から感光性樹脂組成物中における不揮発成分の割合(質量%)を算出する。
不揮発成分(質量%)=(w2−w0)/(w1−w0)×100
(光酸発生剤)
本実施形態において、光酸発生剤として、光により酸を発生する化合物を用いることができ、たとえば感光性ジアゾキノン化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、またはジヒドロピリジン化合物を用いることができる。この中でも、感度や溶剤溶解性に優れる観点から、感光性ジアゾキノン化合物を用いることがさらに好ましい。感光性ジアゾキノン化合物としては、たとえば以下に示すものを使用することができる。
Figure 2018185480
Figure 2018185480
Figure 2018185480
Figure 2018185480
Figure 2018185480
Figure 2018185480
(ここで、n2は、1以上、5以下の整数である。)
以上の各化合物において、Qは、下記(a)〜(c)に示す構造のいずれか、または水素原子である。ただし、各化合物のQのうち、少なくとも1つは下記(a)〜(c)に示す構造のいずれかである。
Figure 2018185480
本実施形態においては、感光性ジアゾキノン化合物として、たとえばフェノール化合物と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸または1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸と、のエステルを用いることがより好ましい。感光性樹脂材料がポジ型である場合、未露光部のレリーフパターン中に残存する光酸発生剤は、硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても光酸発生剤は重要な役割を果たす。このような役割を有する感光性ジアゾキノン化合物としては、より熱で分解し易い1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸のエステルを用いることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、光酸発生剤は、好ましくは1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、およびトリスフェノールとナフトキノンジアジドのスルホン酸エステルからなる群より選択される1種または2種以上を含み、より好ましくは1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステルを含む。
本実施形態において、光酸発生剤の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましい。また、光酸発生剤の含有量は、たとえば感光性樹脂組成物の不揮発成分全体に対して30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。このような数値範囲に設定することにより、良好なパターニング性能を有する感光性樹脂組成物を実現することが可能となる。
(熱酸発生剤)
熱酸発生剤は、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れる観点、ならびに、プレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を得る観点から、好ましくは芳香族スルホニウム塩である。
同様の観点から、芳香族スルホニウム塩の具体例として、ベンゼン環に直接結合する硫黄原子を有する芳香族化合物のホウ素化合物塩またはリン化合物塩が挙げられ、好ましくはベンゼンスルホンボレート塩である。また、同様の観点から、熱酸発生剤は、好ましくは下記一般式(2)に表される化合物である。
Figure 2018185480
(上記一般式(2)中、R11は、水素またはアセチル基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、炭素数1以上11以下の炭化水素基である。X-は、PF6 -またはB(C654である。)
一般式(2)において、R11は、水素およびアセチル基から選択される1種である。
一般式(2)において、R12およびR13は、それぞれ独立して、炭素数1以上11以下の炭化水素基である。R12およびR13は、好ましくはそれぞれ独立して、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基で置換されてもよいベンジル基およびα−ナフチルメチル基からなる群から選択される1種であり、より好ましくはそれぞれ独立して、メチル基、ベンジル基、メチルベンジル基およびα−ナフチルメチル基からなる群から選択される1種であり、さらに好ましくはそれぞれ独立して、メチル基およびメチルベンジル基から選択される1種であり、よりいっそう好ましくはメチル基である。
また、一般式(2)において、X-は、PF6 -またはB(C654から選択される1種である。
熱酸発生剤は、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れる観点、ならびに、プレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を得る観点から、好ましくは下記式(a)および(b)に示す化合物からなる群から選択される1種または2種を含み、より好ましくは下記式(a)または下記式(b)で表される化合物を含む。
Figure 2018185480
Figure 2018185480
また、熱酸発生剤としては、SAN−AID SI−B2A、AN−AID SI−B3A、AN−AID SI−B3、AN−AID SI−B5、AN−AID SI−B4、AN−AID SI−300、AN−AID SI−360、AN−AID SI−110(以上、三新化学工業社製)等の芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
本実施形態において、熱酸発生剤の含有量は、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の耐薬品性を向上させる観点から、アルカリ可溶性樹脂の総重量100質量部に対してたとえば0.1質量%以上であり、好ましくは0.5質量%以上である。また、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜のパターニング特性を向上させる観点から、熱酸発生剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂の総重量100質量部に対してたとえば15質量%以下であり、好ましくは10質量%以下である。
また、100重量部の前記アルカリ可溶性樹脂に対する前記光酸発生剤の含有量をAとし、100重量部の前記アルカリ可溶性樹脂に対する前記熱酸発生剤の含有量をBとしたとき、(B/C)は、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜のパターニング特性を向上させる観点から、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1以上である。また、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の耐薬品性を向上させる観点から、上記(B/C)は、好ましくは20以下であり、より好ましくは15以下である。
(熱架橋剤)
熱架橋剤としては、上記アルカリ可溶性樹脂と熱により反応可能な基を有する化合物であれば限定されず、たとえば、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール(パラキシリレングリコール)、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4−ビフェニルジメタノール、2,6−ピリジンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、4,4'−メチレンビス(2,6−ジアルコキシメチルフェノール)等から代表されるメチロール基を有する化合物;1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3'−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメトキシメチルフェノール)等から代表されるアルコキシメチル基を有する化合物;ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブタノールメラミン等から代表されるメチロールメラミン化合物;ヘキサメトキシメラミン等から代表されるアルコキシメラミン化合物;テトラメトキシメチルグリコールウリル等から代表されるアルコキシメチルグリコールウリル化合物;メチロールベンゾグアナミン化合物、ジメチロールエチレンウレア等から代表されるメチロールウレア化合物;ジシアノアニリン、ジシアノフェノール、シアノフェニルスルホン酸等から代表されるシアノ化合物;1,4−フェニレンジイソシアナート、3,3'−ジメチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアナート等から代表されるイソシアナート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂型エポキシ樹脂等から代表されるエポキシ基含有化合物;N,N'−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N'−メチレンジマレイミド等から代表されるマレイミド化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。これら熱架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
熱架橋剤は、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の耐薬品性を向上させる観点から、好ましくは、1,4−ベンゼンジメタノール(パラキシリレングリコール)である。
本実施形態の感光性樹脂組成物における熱架橋剤の含有量は、限定されるものではないが、アルカリ可溶性樹脂の総重量100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であるのが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であるのがより好ましい。添加量が上記範囲内であることで硬化時の残膜率、耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。
(感光性樹脂組成物の製造方法)
感光性樹脂組成物は、上述した各成分と、必要に応じてその他の成分と、を有機溶剤に混合して溶解することにより調製される。
また、本実施形態において、感光性樹脂組成物は、たとえば上述の成分および必要に応じその他の成分を有機溶剤に溶解し、ワニス状にして使用される。
有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、およびピルビン酸エチルおよびメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。これらは、一種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(pH)
本実施形態において得られる感光性樹脂組成物においては、以下の条件で測定されるpHが1.3以上3.5以下である。
(条件:当該感光性樹脂組成物を230℃、30分の条件で硬化させた硬化物を乳鉢で粉砕し粉砕物を得る。次いで、前記粉砕物を、前記粉砕物の5倍量の超純水中に入れた後、前記超純水を125℃で20時間熱することにより得られた熱水抽出液のpHを測定する。)
上記pHを制御して特定の範囲にある構成とすることにより、耐腐食性、パターニング性、保存性および耐薬品性のバランスに優れるとともに、プレッシャークッカー試験を実施した場合においても外観を維持できる樹脂膜を得ることができる。
ここで、本実施形態においては、たとえば光酸発生剤および熱酸発生剤の組み合わせを適切に選択することにより、感光性樹脂組成物の上記pHを所望の範囲内に制御することができる。
本実施形態において、上記pHは、感光性樹脂組成物の保存性を向上させる観点から、1.3以上であり、好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.5以上である。
また、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜の耐薬品性を向上させる観点から、上記pHは、3.5以下であり、好ましくは3.3以下、さらに好ましくは3.0以下である。
また、本実施形態において、pH測定に用いる超純水は、具体的には関東化学社製の超純水である。
また、本実施形態において、感光性樹脂組成物は、上記以外の成分を含んでもよい。上記以外の成分として、たとえば、酸化防止剤、フィラー、末端封止剤、増感剤、密着助剤、界面活性剤等の添加物を添加してもよい。
このうち、密着助剤としては、たとえばシランカップリグ剤を用いることができる。このようなシランカップリング剤としては、たとえば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、およびアミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応することにより得られるケイ素化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上述のアミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応することにより得られるケイ素化合物は、感光性樹脂組成物の保存性を向上させる観点から、後述する式(9)または(10)で表される化合物が好ましい。
上記アミノ基を有するケイ素化合物としては、制限されるわけではないが、たとえば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記酸二無水物または酸無水物としては、制限されるわけではないが、たとえば、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、シアノ無水マレイン酸、シトコン酸、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、4,4'−ビフタル酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、4,4'−カルボニルジフタル酸無水物等などが挙げられる。また、使用にあたっては単独、または2種類以上を併用して使用することができる。
シランカップリング剤の添加量は、限定されるものではないが、環状オレフィン系樹脂100質量部に対して、0.05〜50質量部であるのが好ましく、0.1〜20質量部であるのがより好ましい。添加量が上記範囲内であることで、基板との密着性と感光性樹脂組成物の保存性とを好適に両立することができる。
また、界面活性剤として、具体的には、フッ素基(たとえば、フッ素化アルキル基)もしくはシラノール基を含む化合物、またはシロキサン結合を主骨格とする化合物を含むものである。本実施形態においては、感光性樹脂組成物の下地への濡れ性を高める観点から、界面活性剤として、フッ素系界面活性剤またはシリコーン系界面活性剤を含むものを用いることがより好ましく、フッ素系界面活性剤を用いることがとくに好ましい。フッ素系界面活性剤としては、たとえば、DIC社製のメガファックF−171、F−173、F−444、F−470、F−471、F−475、F−482、F−477、F−554、F−556およびF−557、住友スリーエム社製のノベックFC4430およびFC4432等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態において、界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の下地への濡れ性を高める観点から、感光性樹脂組成物からなるワニス全量に対してたとえば10ppm以上であり、好ましくは50ppm以上である。また、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜のパターニング特性を向上させる観点から、界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物からなるワニス全量に対してたとえば5000ppm以下であり、好ましくは2000ppm以下である。
本実施形態における感光性樹脂組成物を硬化することにより樹脂膜が得られる。また、本実施形態における樹脂膜は、感光性樹脂組成物を硬化させてなる。
この樹脂膜は、たとえば電子装置の永久膜を構成する。本実施形態においては、たとえば感光性樹脂組成物により構成される塗膜を露光および現像により所望の形状にパターニングした後、当該塗膜を熱処理等によって硬化させることにより永久膜が形成される。
感光性樹脂組成物を用いて形成される永久膜としては、たとえば層間膜、表面保護膜、またはダム材が挙げられる。なお、感光性樹脂組成物の用途は、これに限定されない。
層間膜は、多層構造中に設けられる絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。層間膜としては、たとえば半導体素子の多層配線構造を構成する層間絶縁膜、配線基板を構成するビルドアップ層もしくはコア層等の半導体装置用途において用いられるものが挙げられる。また、層間膜としては、たとえば表示装置における薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))を覆う平坦化膜、液晶配向膜、MVA(Multi Domain Vertical Alignment)型液晶表示装置のカラーフィルタ基板上に設けられる突起、もしくは有機EL素子の陰極を形成するための隔壁等の表示装置用途において用いられるものも挙げられる。
表面保護膜は、電子部品や電子装置の表面に形成され、当該表面を保護するための絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。このような表面保護膜としては、たとえば半導体素子上に設けられるパッシベーション膜もしくはバッファーコート層、またはフレキシブル基板上に設けられるカバーコートが挙げられる。また、ダム材は、たとえば基板上に光学素子等を配置するための中空部分を形成するために用いられるスペーサが挙げられる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、各実施例および各比較例で用いたアルカリ可溶性樹脂(A)、光酸発生剤(B)および密着助剤(D)を以下の方法で合成した。
<合成例1:アルカリ可溶性樹脂(A−1)>
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のガラス製セパラブルフラスコ内に、206.58g(0.800mol)のジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸と216.19g(1.600mol)の1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール・一水和物とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物170.20g(0.346mol)と、4.01g(0.047mol)の5−アミノテトラゾールと、45.22g(0.196mol)の4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)と、56.24g(0.196mol)の4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)と、を入れた。その後、上記セパラブルフラスコ内に578.3gのN−メチル−2−ピロリドンを加え、各原料成分を溶解させた。次に、オイルバスを用い、90℃で5時間反応させた。次いで、上記セパラブルフラスコ内に24.34g(0.141mol)の4−エチニルフタル酸無水物と、121.7gのN−メチル−2−ピロリドンとを加え、90℃で2時間攪拌しながら反応させた後、23℃まで冷却して反応を終了させた。
セパラブルフラスコ内にある反応混合物を濾過して得られた濾過物を、水/イソプロパノール=7/4(容積比)の溶液に投入した。その後、沈殿物を濾別し、水で充分洗浄した後、真空下で乾燥することにより目的のアルカリ可溶性樹脂(A−1)を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂(A−1)の重量平均分子量は、18,081であった。
<合成例2:光酸発生剤(B−1)>
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、下記式(P−1)で表されるフェノール11.04g(0.026mol)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド18.81g(0.070mol)と、アセトン170gとを入れて撹拌し、溶解させた。
次いで、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077mol)とアセトン5.5gの混合溶液をゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017mol)を添加し、さらに30分反応させた。次いで、反応混合物を濾過した後、濾液を水/酢酸(990mL/10mL)の混合溶液に投入した。次いで、沈殿物を濾集して水で充分洗浄した後、真空下で乾燥した。これにより、下記式(Q−1)の構造で表される光酸発生剤(B−1)を得た。
Figure 2018185480
<合成例3:密着助剤(D−1)>
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、シクロヘキセン−1,2−ジ
カルボン酸無水物(45.6g、300mmol)をN−メチル−2−ピロリドン(970g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(62g、280mmol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行い下記式(9)で表されるシランカップリング剤を密着助剤(D−1)として得た。
Figure 2018185480
<合成例4:密着助剤(D−2)>
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(32.2g、100mmol)をN−メチル−2−ピロリドン(669g)に溶解させ、恒温槽にて30℃に調整した。次いで、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(42.1g、190mmol)を滴下ロートに仕込み、60分かけて溶解液へ滴下した。滴下完了後、30℃、18時間の条件化で撹拌を行い下記式(10)で表されるシランカップリング剤を密着助剤(D−2)として得た。
Figure 2018185480
また、実施例または比較例で用いた他の成分を以下に示す。
<熱酸発生剤(C)>
・熱酸発生剤(C−1):サンエイド−SIB4(三新化学工業社製)、前述の式(a)に示した化合物
・熱酸発生剤(C−2):サンエイド−SIB5(三新化学工業社製)、前述の式(b)に示した化合物
<熱架橋剤(E)>
・(E−1)パラキシリレングリコール(イハラニッケイ化学工業社製)
<界面活性剤(F)>
・(F−1)フッ素系界面活性剤(住友3M社製、FC4430)
<酸(G)および(H)>
・(G−1):ベンゼンスルホン酸
・(H−1):シュウ酸
<溶剤>
・N−メチルピロリドン(NMP)/γ-ブチロラクトン(GBL)=6/4(質量比)
(実施例1〜4、比較例1および2)
表1に示した成分を配合し、調合することにより、各例の感光性樹脂組成物を得た。
表1中、成分(A)〜(E)の配合は質量部である。溶媒の配合は、樹脂100質量部に対して、NMPは102質量部、GBLは68質量部である。また、成分(F)の界面活性剤の配合量は、溶媒を含むワニス状の樹脂組成物全体に対する濃度(ppm)である。
各例で得られた感光性樹脂組成物について、以下の測定および評価をおこなった。ただし、比較例2については、調合時に樹脂100質量部に対してシュウ酸を5phr添加した段階(pH3.7)で析出が発生し、所望の性状の樹脂組成物が得られなかったため、以下の測定および評価をおこなわなかった。
・pH:まず、得られたワニス状の感光性樹脂組成物をホットプレート上に塗布し、230℃、30分の条件で硬化させ、該感光性樹脂組成物の硬化物を得た。次に、かかる硬化物を採取して乳鉢に移し、該硬化物を粉砕することにより粉砕物を得た。次いで、得られた粉砕物を、該粉砕物の5倍量の超純水(関東化学社製)中に入れてから、上記超純水を125℃で20時間熱することによりpH測定用の熱水抽出液を得た。このようにして得られた熱水抽出液のpHをpHメーターで測定した。
・パターニング性:得られた感光性樹脂組成物を、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分間プリベークすることにより、膜厚約6μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷社製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターンおよび抜きパターンが描かれている。)を通して、i線ステッパー(ニコン社製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。次に、23℃の温度条件下、現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.5μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。100μmの正方形のビアホールのパターンが形成される最低露光量の値をパターニング感度として求め、以下の基準で評価した。
◎:残渣が観察されない。
○:残渣が観察されたものの、実用上使用に耐え得る。
×:残渣が観察され、かつ実用上使用に耐えることが困難である。
・プレッシャークッカー処理後(PCT処理後)の硬化膜表面の外観:まず、6インチシリコンウエハ(Si基板)を準備して、得られたワニス状の感光性樹脂組成物を、スピンコーターを用いて塗布した後、120℃、4分の条件で加熱することにより脱溶媒処理を行った。これにより、感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜を得た。次に、得られた樹脂膜を窒素雰囲気下、230℃、60分の条件で加熱処理を施すことにより硬化させ、硬化膜を得た。その後、プレッシャークッカーテスター装置(PCT)にて125℃、相対湿度100%の条件で、24時間処理した。このようにして得られた硬化膜の表面を顕微鏡で観察し、その外観を以下の基準で評価した。
○:白濁あり
×:白濁なし
・保存性:得られた感光性樹脂組成物の初期粘度ηを、コーン型粘度計(東機産業社製、TVE−22H)を用いて測定した。次いで、感光性樹脂組成物を23℃にて7日間保管した後、かかる感光性樹脂組成物の粘度ηを、コーン型粘度計(東機産業社製、TVE−22H)を用いての測定を行った。回転数は20rpmで測定した。
そして、下記式(X)により算出される7日間保管後の粘度変化率の値を算出し、以下の基準で保存性を評価した。
式(X):7日間保管後の粘度変化率[%]=(η−η)/η×100
○:粘度変化5%未満
×:粘度変化5%以上
・耐腐食性:得られた感光性樹脂組成物を、アルミ回路を櫛型状に形成したシリコンウエハ(AS8R)上に塗布し、ホットプレートにて120℃で4分乾燥させることにより、樹脂膜を得た。次に、得られた樹脂膜を窒素雰囲気下、230℃、60分の条件で加熱処理を施すことにより硬化させ、硬化膜付きウエハを得た。得られたウエハを、プレッシャークッカーテスター装置(PCT)にて125℃、相対湿度100%の条件で24時間処理した。このようにして得られたウエハ中のアルミ回路を顕微鏡で観察し、以下の基準で耐腐食性を評価した。
◎:アルミ配線の腐食が無し
○:アルミ配線の腐食箇所が1箇所
×:アルミ配線の腐食箇所が2箇所以上
・耐薬品性(二層塗布):得られた感光性樹脂組成物を、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分間プリベークすることにより、膜厚約6μmの塗膜を得た。次いで、この塗膜に対して、230℃、60分の条件で熱硬化処理を施すことにより硬化膜(第1膜)を得た。次に、得られた感光性樹脂組成物を、第1膜の上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分間プリベークすることにより、膜厚約6μmの塗膜(第2膜)を得た。このようにして得られた第1膜および第2膜からなる硬化膜の表面を光学顕微鏡で観察した。評価は5つの硬化膜に対しておこない(N=5)、クラックが生じた硬化膜の個数に応じて以下の基準で耐薬品性を評価し、「△」以上を合格とした。
◎:0個
○:1個
△:2個
×:3個以上
Figure 2018185480

Claims (10)

  1. アルカリ可溶性樹脂と、
    光酸発生剤と、
    熱酸発生剤と、
    熱架橋剤と、
    を含む感光性樹脂組成物であって、
    前記熱酸発生剤が芳香族スルホニウム塩であり、
    以下の条件で測定されるpHが1.3以上3.5以下である、感光性樹脂組成物。
    (条件:当該感光性樹脂組成物を230℃、30分の条件で硬化させた硬化物を乳鉢で粉砕し粉砕物を得る。次いで、前記粉砕物を、前記粉砕物の5倍量の超純水中に入れた後、前記超純水を125℃で20時間熱することにより得られた熱水抽出液のpHを測定する。)
  2. 前記アルカリ可溶性樹脂の含有量が、当該感光性樹脂組成物の不揮発成分全量に対して、50質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 100重量部の前記アルカリ可溶性樹脂に対する前記光酸発生剤の含有量をBとし、100重量部の前記アルカリ可溶性樹脂に対する前記熱酸発生剤の含有量をCとしたとき、
    (B/C)が0.5以上20以下である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記熱酸発生剤が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2018185480
    (上記一般式(2)中、R11は、水素またはアセチル基であり、R12およびR13は、それぞれ独立して、炭素数1以上11以下の炭化水素基である。X-は、PF6 -またはB(C654である。)
  5. 前記熱酸発生剤が下記式(a)または下記式(b)で表される化合物を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2018185480
    Figure 2018185480
  6. 前記光酸発生剤が、1,2−ベンゾキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル、およびトリスフェノールとナフトキノンジアジドのスルホン酸エステルからなる群より選択される1種または2種以上を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記アルカリ可溶性樹脂が、下記一般式(1)により示される繰り返し単位を有する、アミド結合を有する前駆体を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2018185480
    (上記一般式(1)中、XおよびYは、有機基である。R1は、水酸基、−O−R3、アルキル基、アシルオキシ基、またはシクロアルキル基であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なってもよい。R2は、水酸基、カルボキシル基、−O−R3、または−COO−R3であり、複数有する場合にはそれぞれ同一であっても異なってもよい。R1およびR2におけるR3は、炭素数1〜15の有機基である。R1として水酸基がない場合、R2の少なくとも1つはカルボキシル基である。R2としてカルボキシル基がない場合は、R1の少なくとも1つは水酸基である。mは0〜8の整数であり、nは0〜8の整数である。)
  8. 前記アミド結合を有する前駆体が、下記式で示される4,4'−メチレンビス(2−アミノフェノール)または4,4'−メチレンビス(2−アミノ−3,6ジメチルフェノール)の少なくとも一方を含む1種または2種以上の単量体の重合体である、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 2018185480
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる、樹脂膜。
  10. 電子装置の永久膜を構成する、請求項9に記載の樹脂膜。
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