JP2014211517A - ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜、半導体装置、および表示体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ところが、従来のポジ型感光性樹脂組成物では、i線に高感度かつ高解像度で、さらに強アルカリ水溶液耐性に優れる性能を同時に満たすことは困難であった。特にアルミパッド周辺部を硬化膜で覆う構造の場合、アルミパッドと硬化膜の間で剥離が発生し、信頼性が低下するという問題が生じる。
[1]
ヒドロキシスチレン樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と下記一般式(2)で表される芳香族アルデヒド化合物を酸触媒下で反応させて得られるフェノール樹脂(B)と、光酸発生剤(C)と、溶剤(D)と、を含むポジ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記フェノール樹脂(B)が、芳香族アルデヒド化合物として、下記式(3)で表される芳香族アルデヒドの中から選ばれる1つ以上を含む[1]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
前記フェノール樹脂(B)が、フェノール化合物として、下記式(4)で表されるフェノールの中から選ばれる1つ以上を含む[1]または[2]に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)は、ヒドロキシスチレン及び/又はヒドロキシスチレンの誘導体を含む共重合体である[1]〜[3]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)は、スチレン及び/又はスチレンの誘導体を含む共重合体である[1]〜[4]のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)が、ヒドロキシスチレン及びその誘導体を含む共重合体であって、前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)における前記ヒドロキシスチレン及びその誘導体の構成比率が、50%以上、90%以下である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[7]
さらにポリベンゾオキサゾール構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド構造、ポリイミド前駆体構造及びポリアミド構造の群から少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ溶解性樹脂(E)を含む[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
[8]
更にシランカップリング剤(F)を含有する請求項[1]〜[7]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[9]
更に熱架橋剤(G)を含有する[1]〜[8]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物の硬化物で構成されている硬化膜。
[11]
[10]に記載の硬化膜で構成されている保護膜。
[12]
[10]に記載の硬化膜で構成されている絶縁膜。
[13]
[10]に記載の硬化膜を有している半導体装置。
[14]
[10]に記載の硬化膜を有している表示体装置。
本発明において、ヒドロキシスチレン樹脂(A)は、ヒドロキシスチレン及び/又はその誘導体を含む重合体であり、特に限定されないが、ヒドロキシスチレン及び/又はその誘導体と、これら以外のモノマーを含む共重合体でもよい。ここで用いるモノマーとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロペン、スチレン及びその誘導体等が挙げられる。中でも、アルカリ溶液への溶解性を容易に調整できる観点から、ヒドロキシスチレン及び/又はその誘導体と、スチレン及び/又はその誘導体から構成されている共重合体が好ましい。上記の誘導体とは、ヒドロキシスチレンおよびスチレンの芳香環のオルソ、メタ、パラ位にアルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基などが置換されたものである。ヒドロキシスチレン樹脂(A)のヒドロキシスチレンは、オルソヒドロキシスチレン、メタヒドロキスチレン、パラヒドロキシスチレンいずれでも構わない。また、上記ヒドロキシスチレンが複数混在していても構わない。
前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上が好ましく、さらに好ましくは2,000以上、特に好ましくは、2,500以上であり、10,000以下が好ましく、さらに好ましくは8,000以下であり、特に好ましくは、7,000以下である。上記範囲とすることにより、高感度化とワニスの常温保存性の両立に優れる効果を有する。
本発明におけるフェノール樹脂(B)には、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と下記一般式(2)で表される芳香族アルデヒド化合物を酸触媒の下で反応させ合成したフェノール樹脂を用いることができる。
上記フェノール化合物において、特に置換基が2以上のフェノール化合物を用いることで、分子内回転を抑制し、感光性樹脂組成物に必要な十分な耐熱性を持ったフェノール樹脂を得ることができる。
分画方法、モノマー揮発方法ともに、モノマーの残存量に応じて、作業を繰り返すことで、モノマーの除去効率を上げることができる。
本発明に用いる光酸発生剤(C)としては、光により酸を発生する化合物であり、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、光酸発生剤(C)を含み、光照射されることにより該光酸発生剤(C)が酸を発生させ、酸がアルカリ水溶液に溶解することにより、ポジ型のパターニングが可能となる。さらに光酸発生剤は、ポジ型のパターニングが可能となる感光剤を含み、このような感光剤を用いることで、光照射されることにより、該感光剤と前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)や前記フェノール樹脂(B)、さらに前記アルカリ溶解性樹脂(E)との間で作用していたアルカリ水溶液への溶解抑制機能が消滅し、これらのアルカリ水溶液への溶解性が発現することで、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の感度をより向上させることができる。このような光酸発生剤(C)は、200〜500nmの波長、特に好ましくは350〜450nmの波長を持つ化学線の照射により酸を発生する化合物が好ましい。
具体的には、感光性ジアゾキノン化合物や、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、スルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物や、ジヒドロピリジン化合物などを用いることができる。この中でも、感度や溶解抑制機能に優れる感光性ジアゾキノン化合物が好ましい。
ポジ型の場合、未露光部のレリーフパターン中に残存する感光剤は、硬化時における熱で分解し酸を発生させると考えられ、反応促進剤としても光酸発生剤(C)、および光酸発生剤として用いられ得る感光剤は重要な役割を果たしている。しかし、例えば、半導体ウエハーのアルミパッド部に接触して用いる場合、硬化時に発生した酸が、アルミパッド部と、本発明のポジ型感光性樹脂組成物で構成されている硬化膜との相互作用を阻害するため、このような感光性ジアゾキノン化合物の場合、より熱で分解しにくい、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸のエステルが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上記の成分を溶剤(D)に溶解し、ワニス状にして使用することができる。このような溶剤(D)としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びメチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。
前記アルカリ可溶性樹脂(E)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂として一般に用いられる樹脂を指し、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド構造、ポリイミド前駆体構造及びポリアミド構造を含むものが好ましい。これらを含むことにより、硬化膜としての耐熱性が向上する効果が得られる。また、ヒドロキシスチレン樹脂(A)及び前記フェノール樹脂(B)と組み合わせることで、高感度かつ高解像度であり、硬化膜として、十分な強アルカリ水溶液耐性、耐熱性、機械特性を有するという効果が得られる。また、前記アルカリ可溶性樹脂(E)は、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド前駆体構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造の一部が閉環反応することにより生じるポリベンゾオキサゾール構造、ポリイミド前駆体構造の一部が閉環反応することにより生じるポリイミド構造を有していてもよく、また、アミド酸エステル構造を有していてもよい。
(式(11)中、*は、一般式(11)におけるNH基に結合することを示す。Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−C6H4−O−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−または単結合である。R5は、アルキル基、アルキルエステル基及びハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同一であっても異なっていても良い。R6は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基及びハロゲン原子から選ばれた1つを示す。sは0〜4の整数である。R7〜R10はそれぞれ有機基である。
なお、上記式(11)において、上記一般式(10)におけるXの置換基R2は省略している。)
(式(12)中、*は一般式(10)におけるNH基に結合することを示す。式中Aは、アルキレン基、置換アルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−CH3−、−C(CH3)H−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、又は単結合である。R11は、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基及びシクロアルキル基から選ばれた1つであり、R11が複数ある場合、それぞれ同じでも異なっても良い。cは0以上3以下の整数である。)
(式(14)中、*は、一般式(10)におけるC=O基に結合することを示す。Jは、−CH2−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−C(=O)−、−NHC(=O)−、−C(CF3)2−または単結合である。R13は、アルキル基、アルキルエステル基、アルキルエーテル基、ベンジルエーテル基及びハロゲン原子から選ばれた1つを示し、それぞれ同じでも異なっても良い。R14は、水素原子、アルキル基、アルキルエステル基及びハロゲン原子から選ばれた1つを示す。tは0以上2以下の整数である。R15〜R18は、有機基である。
なお、上記式(14)において、上記一般式(10)におけるYの置換基R3は省略している。)
下記式(15)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、一般式(10)におけるC=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
前記アルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有する脂肪族基または環式化合物基を含む酸無水物又はモノカルボン酸としては、例えばマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、exo−3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、イタコン酸無水物、ヘット酸無水物、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、4−エチニルフタル酸無水物及び4−フェニルエチニルフタル酸無水物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いても良く、末端封止したアミド部分の一部が脱水閉環していても良い。
前記窒素含有環状化合物としては、例えば1−(5−1H−トリアゾイル)メチルアミノ基、3−(1H−ピラゾイル)アミノ基、4−(1H−ピラゾイル)アミノ基、5−(1H−ピラゾイル)アミノ基、1−(3−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(4−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、1−(5−1H−ピラゾイル)メチルアミノ基、(1H−テトラゾル−5−イル)アミノ基、1−(1H−テトラゾル−5−イル)メチル−アミノ基、3−(1H−テトラゾル−5−イル)ベンズ−アミノ基等が挙げられる。
なお、ジカルボン酸を用いる場合には、ポリアミド樹脂の反応収率等を高めるため、ジカルボン酸に、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物には、密着性を向上させる上で、シランカップリグ剤(F)を用いることができる。このようなシランカップリング剤(F)としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、及びアミノ基を有するケイ素化合物と酸二無水物または酸無水物とを反応することにより得られるケイ素化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらシランカップリング剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記酸二無水物または酸無水物としては、特に制限されるわけではないが、例えば、無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、シアノ無水マレイン酸、シトコン酸、無水フタル酸、ピロメリット酸無水物、4,4’−ビフタル酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−カルボニルジフタル酸無水物等などが挙げられる。また、使用にあたっては単独、または2種類以上を併用して使用することができる。
シランカップリング剤の添加量は、特に限定されるものではないが、樹脂の総重量100質量部に対して、0.05重量部以上50質量部以下であるのが好ましく、0.1重量部以上20質量部以下であるのがより好ましい。添加量が上記範囲内であることで、基板との密着性と感光性樹脂組成物の保存性とを好適に両立することができる。
本発明の感光性樹脂組成物には、さらに熱架橋剤(G)を用いることができるが、このような熱架橋剤としては、前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)及び/又はフェノール樹脂(B)と熱により反応可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されず、さらに、前記アルカリ可溶性樹脂(E)とも熱により反応可能な官能基を有する化合物が好ましい。たとえば、1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3,5−ベンゼントリメタノール、4,4−ビフェニルジメタノール、2,6−ピリジンジメタノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール、4,4‘−メチレンビス(2,6−ジアルコキシメチルフェノール)等から代表されるメチロール基を有する化合物;1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、4,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,4’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、3,3’−ビス(メトキシメチル)ビフェニル、2,6−ナフタレンジカルボン酸メチル、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメトキシメチルフェノール)等から代表されるアルコキシメチル基を有する化合物;ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブタノールメラミン等から代表されるメチロールメラミン化合物、ヘキサメトキシメラミン等から代表されるアルコキシメラミン化合物、テトラメトキシメチルグリコールウリル等から代表されるアルコキシメチルグリコールウリル化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、ジメチロールエチレンウレア等から代表されるメチロールウレア化合物;ジシアノアニリン、ジシアノフェノール、シアノフェニルスルホン酸等から代表されるシアノ化合物;1,4−フェニレンジイソシアナート、3,3‘−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート等から代表されるイソシアナート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、イソシアヌル酸トリグリシジル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック樹脂型エポキシ樹脂等から代表されるエポキシ基含有化合物;N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−メチレンジマレイミド等から代表されるマレイミド化合物等が挙げられるがこれらに限定されない。これら熱架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物中には、溶解促進剤が含まれていてもよい。
溶解促進剤は、感光性樹脂組成物を用いて形成された塗膜の露光部の現像液に対する溶解性を向上させ、パターニング時のスカムを改善することが可能な成分である。
溶解促進剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物が特に好ましい。
前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)と、フェノール樹脂(B)と、光酸発生剤(C)と、溶剤(D)とを容器内で混合し、均一に溶解させ、濾過することでワニス状のポジ型感光性樹脂組成物を得る。なお、その他に使用できる化合物として、アルカリ可溶性樹脂(E)と、シランカップリング剤(F)と、熱架橋剤(G)を挙げることができる。また、必要に応じて溶解促進剤と、酸化防止剤と、フィラーと、界面活性剤と、末端封止等を添加することができる。また、ヒドロキシスチレン樹脂(A)や、フェノール樹脂(B)、アルカリ可溶性樹脂(E)等を予め溶剤に溶解させたワニス状態で用意した上で、その他の成分を追加して製造することもできる。このような製造方法は、特にヒドロキシスチレン樹脂(A)や、フェノール樹脂(B)、アルカリ可溶性樹脂(E)等を溶液内で重合することにより製造した場合に好ましく用いることができる。また、必要に応じて、濾過、脱泡処理を含んでもよい。濾過、脱泡処理を含むことで、ポジ型感光性樹脂組成物の塗布時における外観向上効果を得られる。ここで、得られたポジ型感光性樹脂組成物の粘度は、後述する塗布方法にも拠り、特に限定されないが、1mPa・s以上であるのが好ましく、2mPa・s以上であるのがより好ましく、10,000mPa・s以下が好ましく、8,000mPa・s以下であるのがより好ましい。ポジ型感光性樹脂組成物の粘度が上記範囲内であることで、硬化後の最終膜厚の制御が容易になり、絶縁性及び耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。
前記ポジ型感光性樹脂組成物は、その硬化物のガラス転移温度(Tg)が200℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましい。前記下限値以上であることにより、十分な耐熱性を示すことができる。このようなTgの測定方法は、特に限定されないが、前記ポジ型感光性樹脂組成物を塗布した後、ホットプレート等で溶剤を揮発させることで塗膜を形成し、さらに塗膜を加熱硬化して得られた硬化物をTMA等の熱分析装置を用いることで測定することができる。
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体素子上に塗布する場合、一般的に硬化後の最終膜厚が0.1〜30μmになるよう塗布する。このような数値範囲とすることにより、半導体素子の保護膜、絶縁膜としての機能を十分に発揮され、微細なレリーフパターンを得ることができる。
塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット塗布等がある。
次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、レリーフパターンを形成する場合、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。
加熱処理は支持体の物性や、半導体装置や表示装置の設計により、高温での加熱処理が可能である場合と、高温での加熱処理が不適切な場合があるが、本発明のポジ型樹脂組成物は、高温による加熱処理でも低温による加熱処理でも可能であり、高温での加熱処理が可能な場合、加熱温度は、280℃以上、380℃以下が好ましく、より好ましくは290℃以上、360℃以下である。低温での加熱処理が必要な場合、加熱温度は150℃以上、280℃以下が好ましく、より好ましくは180℃以上、260℃以下である。加熱処理にはオーブン、ホットプレート、電気炉(ファーネス)、赤外線、マイクロ波などが使われる。
その使用方法は、半導体装置用途に準じ、表示体素子やカラーフィルターを形成した基板上にパターン化された感光性樹脂組成物層を、上記の方法で形成することによるものである。表示体装置用途、特に絶縁膜や平坦化膜用途では、高い透明性が要求されるが、本発明の感光性樹脂組成物の塗膜の硬化前に、後露光工程を導入することにより、透明性に優れた樹脂層が得られることもでき、実用上さらに好ましい。
表示体装置としては、TFT型液晶、有機EL、カラーフィルターなどが挙げられる。
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口丸底フラスコに、乾燥窒素気流下、2、3−キシレノール122.2g(1.00モル)、サリチルアルデヒド116.0g(0.95モル)、及びパラトルエンスルホン酸3.4g(0.02モル)を仕込んだ後、油浴中に浸し、反応液を還流させながら100℃で4時間重縮合反応を行った。その後、フラスコを冷却しながらアセトン100gとトリエチルアミン2.0g(0.02モル)を加え30分撹拌した後、更に純水300gを加え30分撹拌した。室温まで冷却したら、撹拌を停止し、分離した水層を取り除いた後、γ−ブチロラクトンを20g加え、油浴の温度を200℃まで3時間かけて昇温し、その後に、フラスコ内の圧力を50mmHg以下まで減圧し、揮発分を除去した後、樹脂を室温まで冷却してフェノール樹脂(B−1)を得た。
温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口丸底フラスコに、乾燥窒素気流下、2、3−キシレノール61.11g(0.50モル)、3、5−キシレノール61.11g(0.50モル)、サリチルアルデヒド61.1g(0.5モル)、ベンズアルデヒド47.8g(0.45モル)及びパラトルエンスルホン酸3.4g(0.02モル)を仕込んだ後、油浴中に浸し、反応液を還流させながら100℃で4時間重縮合反応を行った。その後、フラスコを冷却しながらアセトン100gとトリエチルアミン2.0g(0.02モル)を加え30分撹拌した後、更に純水300gを加え30分撹拌した。室温まで冷却したら、撹拌を停止し、分離した水層を取り除いた後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを20g加え、油浴の温度を200℃まで3時間かけて昇温し、その後に、フラスコ内の圧力を50mmHg以下まで減圧し、揮発分を除去した後、樹脂を室温まで冷却してフェノール樹脂(B−2)を得た。
式(C−1)で示されるフェノール11.22g(0.026モル)と1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライド18.78g(0.070モル)とアセトン170gとを、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて撹拌、溶解させた。次に、反応溶液の温度が35℃以上にならないようにウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま、室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、更に30分間反応させた。反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−1)の構造で示される感光剤を得た。
温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに、式(C−1)で表されるフェノール11.22g(0.026モル)と、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.78g(0.070モル)とアセトン170gとを入れて撹拌、溶解させた。次に、反応溶液の温度が35℃以上にならないように、ウォーターバスでフラスコを冷やしながら、トリエチルアミン7.78g(0.077モル)とアセトン5.5gの混合溶液を、ゆっくり滴下した。そのまま室温で3時間反応させた後、酢酸1.05g(0.017モル)を添加し、さらに30分間反応させた。次いで、反応混合物をろ過した後、ろ液を水/酢酸(990ml/10ml)の混合溶液に投入し、その後、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥することで、式(Q−2)の構造で表される感光剤を得た。
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸21.43g(0.083モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール22.43g(0.166モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.87g(0.083モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン36.62g(0.100モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン296.96gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン34.88gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.98g(0.0425モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(E−1)を得た。重量平均分子量は、13,040であった。
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸21.43g(0.083モル)と1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール22.43g(0.166モル)とを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の混合物40.87g(0.083モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン21.98g(0.060モル)と4,4’−メチレンビス(2−アミノフェノール)9.21g(0.040モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン296.96gを加えて溶解させた。その後、オイルバスを用いて75℃にて15時間反応させた。次に、N−メチル−2−ピロリドン34.88gに溶解させた3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物6.98g(0.0425モル)を加え、さらに3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(容積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のアルカリ可溶性樹脂(E−2)を得た。重量平均分子量は、21,170であった。
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン30.0g(0.082モル)を温度計、攪拌機、原料投入口および乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、アセトン400mlを加えて溶解させた。次に、アセトン100mLに溶解したパラ−ニトロベンゾイルクロリド12.4g(0.18モル)を、温度が20℃未満になるよう冷却しながら30分かけて滴下し、混合物を得た。滴下後、混合物の温度を40℃に加熱し、2時間撹拌し、次に、炭酸カリウム30.0g(0.218モル)を徐々に添加して、更に2時間撹拌した。加熱をやめて、混合物を、更に室温にて18時間撹拌した。その後、混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加し、添加後55℃に加温して、更に30分間撹拌した。撹拌終了後、室温まで冷却し、37重量%の塩酸水溶液と水500mlを加え、溶液のpHが6.0〜7.0の範囲になるよう調整した。得られた析出物を、ろ別し、ろ過液を水で洗浄後、60〜70℃にて乾燥を行い、ビス−N,N’−(パラ−ニトロベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの固体を得た。得られた固体51.0gに、アセトン316gとメタノール158gを加え、50℃に加熱し完全に溶解させた。そこに、300mLの50℃の純水を30分かけて加え、65℃まで加熱した。その後室温まで、ゆっくり冷却して析出した結晶を濾過し、結晶を70℃にて乾燥を行うことで精製し、ビス−N,N’−(パラ−ニトロベンゾイル)ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを得た。
ヒドロキシスチレン樹脂(A−1)(丸善石油化学(株)製マルカリンカーCST−60、ヒドロキシスチレン:スチレン=60:40、Mw=3,360)50g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)50g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例1の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−1)40g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)60g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例2の感光性樹脂組成物を得た。
ヒドロキシスチレン樹脂(A−2)(丸善石油化学(株)製マルカリンカーCST−70、ヒドロキシスチレン:スチレン=70:30、Mw=3,200)50g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)50g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例3の感光性樹脂組成物を得た。
ヒドロキシスチレン樹脂(A−2)50g、上記で合成したフェノール樹脂(B−2)50g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例4の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)50g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)50g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及びシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例5の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)30g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)40gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例6の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)15g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例7の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)15g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)55g及び熱架橋剤(G−1)として1,4−ベンゼンジメタノール8gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例8の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)30g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−2)40g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2g及び上記で記載した熱架橋剤(G−1)8gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例9の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)15g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−2)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2g及び熱架橋剤(G−1)8gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例10の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)30g、上記で合成したフェノール樹脂(B−1)15g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−3)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、実施例11の感光性樹脂組成物を得た。
上記で合成したフェノール樹脂(B−1)45g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例1の感光性樹脂組成物を得た。
上記で合成したフェノール樹脂(B−1)45g及び上記で合成した光酸発生剤(Q−2)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例2の感光性樹脂組成物を得た。
上記で記載したヒドロキシスチレン樹脂(A−2)45g、上記で合成した光酸発生剤(Q−1)18.5g及び上記で合成したアルカリ可溶性樹脂(E−1)55g及び上記で記載したシランカップリング剤(F−1)2gを、γ−ブチロラクトン160gに混合して溶解した後、孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過し、比較例3の感光性樹脂組成物を得た。
上記で得た感光性樹脂組成物を、それぞれ、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約10μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・NSR−4425i)を用いて、露光量を変化させて照射した。
次に、現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後の膜厚と現像後の膜厚の差が1.0μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行うことによって露光部を溶解除去した後、純水で10秒間リンスした。100μmの正方形のビアホールのパターンが形成される最低露光量の値を感度として評価した。また、未露光部でパターンが形成されている露光量で良好に開口したライン&スペースの最小パターン幅(解像度)を算出した。
シリコンウエハー上に、Tiを500Åの厚みで、スパッタ膜を形成し、続いて、Alを3,000Åの厚さでスパッタ膜を形成した。各実施例および各比較例で得られたポジ型感光性樹脂組成物を、上記シリコンウエハー上に、スピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間乾燥し、膜厚約10μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(1mm□の残しパターン)を通して、SUSS社製マスクアライナーMA8を用いて、露光時間を40秒と固定として露光を行った。次に、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬することによって、露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。このとき、未露光部の膜減り量は約2μmであった。上記パターン加工したシリコンウエハーをクリーンオーブンにて、酸素濃度1,000ppm以下で、150℃/60分、350℃/70分で膜の硬化を行った。次に、このシリコンウエハーを、ジンケート処理液(メルテックス(株)製、メルプレートFZ−7350とメルプレートジンケートF−プラスと純水を20:1:79で混合した水溶液)に25℃/10分の条件で浸漬させた。次に、純水で5分洗浄した後、乾燥させて膜表面を金属顕微鏡で観察し、残しパターンへの染み込み幅を測定した。評価はn=10で行った。判定は◎(染み込み幅が1μm未満)、○(染み込み幅が1μm以上2μm未満)、△(染み込み幅が2μm以上5μm未満)、×(染み込み幅が5μm以上)とした。
上記で得た感光性樹脂組成物を、それぞれ、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で3分間プリベークし、膜厚約10μmの塗膜を得た。塗布膜を、酸素濃度を1000ppm以下に保ちながら、オーブンにて150℃で60分間、続いて350℃で70分間加熱し、室温に戻した後の膜厚を測定した。硬化後の膜厚と硬化前の膜厚の膜厚変化率を下記式より算出し、硬化残膜率として評価した。
硬化残膜率=硬化後の膜厚/硬化前の膜厚*100
なお、硬化残膜率は半導体素子を保護するための十分な膜厚を保持するために高い方がよい。
硬化残膜率評価にて得た硬化膜について、熱機械分析装置(TMASS6100型 セイコーインスツルメンツ製)にてガラス転移温度(Tg)及びTg−DTA装置(TG/DTA6200 セイコーインスツルメンツ製)にて5%熱重量減少温度(Td5)を測定した。
硬化残膜率評価にて得た硬化膜について、薄膜ストレス測定装置(FLX−2310−S型 東朋テクノロジー株式会社製)を用いることで硬化膜の内部応力を測定した。
表面にアルミ回路を備えた模擬素子ウエハを用いて、実施例1〜11の感光性樹脂組成物を、それぞれ、最終5μmとなるよう塗布した後、パターン加工を施して硬化した。その後、チップサイズ毎に分割して16Pin DIP(Dual Inline Package)用のリードフレームに導電性ペーストを用いてマウントした後、半導体封止用エポキシ樹脂(住友ベークライト(株)製、EME−6300H)で封止成形して、半導体装置を作製した。これらの半導体装置(半導体パッケージ)を85℃/85%湿度の条件で168時間処理した後、260℃半田浴槽に10秒間浸漬し、ついで高温、高湿のプレッシャークッカー処理(125℃、2.3atm、100%相対湿度)を施してアルミ回路のオープン不良をチェックしたところ、腐食などはみられず半導体装置として問題無く使用できるものと予想される。
Claims (14)
- ヒドロキシスチレン樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と下記一般式(2)で表される芳香族アルデヒド化合物を酸触媒下で反応させて得られるフェノール樹脂(B)と、光酸発生剤(C)と、溶剤(D)と、を含むポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂(B)が、芳香族アルデヒド化合物として、下記式(3)で表される芳香族アルデヒドの中から選ばれる1つ以上を含む請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記フェノール樹脂(B)が、フェノール化合物として、下記式(4)で表されるフェノールの中から選ばれる1つ以上を含む請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)は、ヒドロキシスチレン及び/又はヒドロキシスチレンの誘導体を含む共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)は、スチレン及び/又はスチレンの誘導体を含む共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)が、ヒドロキシスチレン及びその誘導体を含む共重合体であって、前記ヒドロキシスチレン樹脂(A)における前記ヒドロキシスチレン及びその誘導体の構成比率が、50%以上、90%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- さらにポリベンゾオキサゾール構造、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造、ポリイミド構造、ポリイミド前駆体構造及びポリアミド構造の群から少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ溶解性樹脂(E)を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 更にシランカップリング剤(F)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 更に熱架橋剤(G)を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されている硬化膜。
- 請求項10に記載の硬化膜で構成されている保護膜。
- 請求項10に記載の硬化膜で構成されている絶縁膜。
- 請求項10に記載の硬化膜を有している半導体装置。
- 請求項10に記載の硬化膜を有している表示体装置。
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