JPWO2010004849A1 - ポジ型感光性樹脂組成物、硬化膜、保護膜、絶縁膜およびそれらを用いた半導体装置、表示体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで感光性樹脂組成物の感度を向上させようとして、感光剤である感光性ジアゾキノン化合物の添加量を多くしたり、感光剤中の感光基であるナフトキノンジアジドスルホニル基の置換率を上げて、感光性樹脂組成物中の感光基濃度を上げていくと、露光部の溶解速度は速くなる、即ち感度は向上するが、露光部の現像後のパターン底部には、化学線による化学変化が不充分なためアルカリ可溶性化合物にならなかった感光剤等に起因する感光性樹脂組成物の溶け残り(以下「スカム」という)が発生するという問題が生じる。
また他の感度向上方法として、露光部のアルカリ水溶液への溶解量を増やす為に現像時間を延ばす一方で、未露光部のアルカリ水溶液への耐性を上げる為、上述のように感光性樹脂組成物中の感光基濃度を上げたり、樹脂の分子量を高くして溶解速度を低くしたり、感光剤を保持または支持する成分であるフェノール化合物の分子量を上げる方法があるが、逆にスループットが低下するのみならず、スカムも増える。
同様に露光部のアルカリ水溶液への溶解量を増やす為に、例えば樹脂の分子量を低くして溶解速度を高めたりすると、未露光部も溶けやすくなるためレリーフパターンの形成が困難になり、それが崩れることで例えばスカムが発生したり解像度が低下する問題が生じる。更には、未露光部においてある一定以上の膜厚を確保する必要があるため、現像時間が極端に短くなり、生産の管理が難しくなるだけでなく、逆に感度も低下する。
また近年の半導体素子の高集積化に伴いレリーフパターンも微細化の一途を辿っており高解像度化も重要である。解像度と感度は一般にトレードオフの関係にあると言われていることからも、スカムを発生させることなく、高感度かつ高解像度で、レリーフパターン作成時の生産性が高い感光性樹脂組成物の開発が強く望まれている。
しかし、特許文献2のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂としてアクリル系共重合体を用いており、ポリイミド樹脂やポリベンゾオキサゾール樹脂は用いていない。
[1] 一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリマーを含むポリアミド系樹脂(A)と、
一般式(2)で示されるフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸のエステルの少なくとも一方とで構成される感光剤(B)と、を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
[6] 前記[5]に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
[7] 前記[5]に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
[8] 前記[5]に記載の硬化膜を有することを特徴とする半導体装置。
[9] 前記[5]に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示体装置。
まず、ポジ型感光性樹脂組成物について説明する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアミド系樹脂(A)と、一般式(2)で示されるフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸の少なくとも一方とのエステルからなる感光剤(B)と、を含むことを特徴とするものである。
ポリアミド系樹脂(A)としては、例えば、ポリベンゾオキサゾール前駆体構造を有するポリマー、ポリイミド前駆体構造を有するポリマー、ポリアミド酸エステル構造(ポリアミド酸の酸部分がエステル化した構造)を有するポリマーが挙げられるほか、それら3つの前駆体構造から選ばれた少なくとも1つを含む共重合物、ポリベンゾオキサゾール前駆体ポリマーとそこから誘導されるポリベンゾオキサゾールの混合物、ポリイミド前駆体ポリマーとそこから誘導されるポリイミドの混合物、ポリベンゾオキサゾール前駆体ポリマーの分子中に存在する繰返し単位の一部がベンゾオキサゾール環に変化した部分環化物、ポリベンゾオキサゾール前駆体ポリマーとその部分環化物の混合物、ポリイミド前駆体ポリマーの分子中に存在する繰返し単位の一部がイミド環に変化した部分環化物、ポリイミド前駆体ポリマーとその部分環化物の混合物等が挙げられる。
なお、本発明において「有機基」とは、炭素原子以外の異種原子を含んでいても良い炭化水素構造を意味する。
なお、ジカルボン酸の場合には反応収率等を高めるため、1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール等を予め反応させた活性エステル型のジカルボン酸誘導体を用いてもよい。
下記式(9)中のテトラカルボン酸二無水物由来の構造については、C=O基に結合する位置が両方メタ位であるもの、両方パラ位であるものを挙げているが、メタ位とパラ位をそれぞれ含む構造でもよい。
一般式(1)で示されるポリアミド系樹脂のYが下記式(11)である場合、耐熱性、機械特性が特に優れる。
その理由は、次のように推測される。
一般式(2)で示されるフェノール化合物の全ての水酸基が、感光基として1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸のエステルで置換された感光剤を考えると、本発明の感光剤(B)は、4つある芳香環のうちの一つである芳香環a上に存在する感光基aと、芳香環aが結合するシクロヘキシル構造上の同じ位置に置換されたもう片方の芳香環b上に存在する感光基bとの距離(すなわち感光基aと感光基bとの距離)は短いという特徴を持ちながら、かつ、当該感光基aから見て有機基Zを挟んだ対角線上に存在する感光基c、又は感光基dとの距離(すなわち感光基aと感光基c、又は感光基aと感光基dとの距離)が非常に長い為、結果として一般式(2)で示されるフェノール化合物は分子量が大きく、感光基の位置も特殊である構造を有していることが分かる。
この感光剤(B)中の、有機基Zを挟んだ対角線上の感光基間の距離が、従来の感光剤より離れているため、広範囲のポリアミド系樹脂と効率良く相互作用を起こすことができる。そのため、アルカリ水溶液に対する未露光部の耐性が強まることから解像度が向上する。
これに対して露光部では、感光剤(B)がシクロヘキシル構造を有することから感光剤自身による化学線の吸収が少なくなり、塗布膜の底にまで多くの光が届くことで基板に近い感光基もより化学変化を起こし、カルボン酸を生成し易くなる。更に、感光剤(B)はシクロヘキシル構造の同一置換位置を介した感光基間の距離が短い構造を含むことでその部分のカルボン酸濃度が高くなり、そのカルボン酸濃度が高い構造が両端に配置されていることにより、分子量が大きい構造でも現像液に対する溶解性が促進される。そして塗布膜中の感光剤が溶解除去され、空いた部分には現像液が入り込むと考えられるが、感光剤(B)の分子量が大きいことにより、より多くの現像液が入り込むことで樹脂が崩れ易くなり、露光部の樹脂が除去し易くなることで、同じような分子量を有する感光剤と比較して、高感度でありながら現像時間を短くすることができ、露光工程のみならず現像工程においてもスループットの短縮化が可能となる。更に上記理由によりスカムも抑制される。
加熱処理温度は、180℃〜380℃が好ましく、より好ましくは200℃〜350℃である。ここで行う加熱処理が前述した熱処理工程のことである。
次に、本発明によるポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜について説明する。ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物である硬化膜は、半導体素子等の半導体装置用途のみならず、TFT型液晶や有機EL等の表示体装置用途、多層回路の層間絶縁膜やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜としても有用である。
<実施例1>
[ポリアミド系樹脂(A−1)の合成]
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.900モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.800モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)443.21g(0.900モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.26g(1.000モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3200gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて、75℃にて12時間反応させた。
次に、N−メチル−2−ピロリドン100gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物34.43g(0.200モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入し、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が11500である目的のポリアミド系樹脂(A−1)を得た。
式(B−1)のフェノール18.78g(0.025モル)と、トリエチルアミン8.40g(0.083モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン145gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド22.30g(0.083モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−1)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
合成したポリアミド系樹脂(A−1)100g、式(Q−1)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物15g、下記式(C−1)の構造を有するケイ素化合物18gを、γ―ブチロラクトン150gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
上記ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約8.0μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製・マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製・4425i)を用いて、100mJ/cm2から780mJ/cm2まで10mJ/cm2刻みで露光量を変化させて照射した。
次に、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになるように現像時間を調節してパドル現像を行った。その後、純水で10秒間リンスした。その結果、露光量250mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた(感度は250mJ/cm2)。この時の解像度は、5μmと高い値を示した。
[感光剤の合成]
式(B−2)のフェノール11.41g(0.050モル)と、トリエチルアミン8.40g(0.083モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、アセトン100gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド22.30g(0.083モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し、水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−2)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製および感光特性評価]
次に、実施例1における前記式(Q−1)の感光性ジアゾキノン化合物を、式(Q−2)のものに替えた他は、実施例1と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。
その結果、感度は480mJ/cm2であり、この時の解像度は、9μmと低い値を示した。
[ポリアミド系樹脂(A−2)の合成]
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.830モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.660モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)408.74g(0.830モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.26g(1.000モル)とを、温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3100gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン280gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物69.77g(0.425モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が8700である目的のポリアミド系樹脂(A−2)を得た。
式(B−1)のフェノール18.78g(0.025モル)と、トリエチルアミン7.59g(0.075モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン140gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド20.15g(0.075モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−3)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
合成したポリアミド系樹脂(A−2)100g、式(Q−3)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物20g、(C−1)の構造を有するケイ素化合物8gを、γ―ブチロラクトン150gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過し、ポジ型感光性樹脂組成物を得た。
上記ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウエハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分プリベークし、膜厚約8.0μmの塗膜を得た。この塗膜に凸版印刷(株)製マスク(テストチャートNo.1:幅0.88〜50μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線ステッパー((株)ニコン製4425i)を用いて、100mJ/cm2から780mJ/cm2まで10mJ/cm2刻みで露光量を変化させて照射した。
次に、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、プリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになるように現像時間を調節して2回パドル現像を行った。その後、純水で10秒間リンスした。その結果、現像時間が45秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、露光量210mJ/cm2で照射した部分よりパターンが形成されていることが確認できた(感度は210mJ/cm2)。開口した部分にスカムは見られなかった。この時の解像度は4μmと高い値を示した。
式(B−3)のフェノール15.82g(0.025モル)と、トリエチルアミン7.59g(0.075モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン120gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド20.15g(0.075モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−5)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
次に、実施例2における前記式(Q−3)の感光性ジアゾキノン化合物を式(Q−5)のものに替えた他は、実施例2と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例2と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が60秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、感度は260mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は25μmと低い値を示した。
[感光剤の合成]
式(B−4)のフェノール19.77g(0.030モル)と、トリエチルアミン6.83g(0.068モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン200gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド18.14g(0.068モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−7)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
次に、実施例2における前記式(Q−3)の感光性ジアゾキノン化合物を式(Q−7)のものに替えた他は、実施例2と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例2と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が64秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、感度は300mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は20μmと低い値を示した。
[ポリアミド系樹脂(A−3)の合成]
イソフタル酸0.320モルとジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.480モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.600モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)364.39g(0.800モル)と、4,4’−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)186.14g(0.650モル)、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン80.59g(0.350モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン2520gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン340gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物86.07g(0.500モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が7500である目的のポリアミド系樹脂(A−3)を得た。
式(B−1)のフェノール18.78g(0.025モル)と、トリエチルアミン10.12g(0.100モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン160gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド26.87g(0.100モル)をテトラヒドロフラン120gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−4)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
合成したポリアミド系樹脂(A−3)100g、式(Q−4)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物18g、(C−1)の構造を有するケイ素化合物8gを、γ―ブチロラクトン200gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
プリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が2μmになるように現像時間を調節した他は実施例2と同様の評価を行った。その結果、現像時間が26秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が2μmになり、感度は200mJ/cm2であった。開口した部分にスカムは無く、この時の解像度は3μmと高い値を示した。
[感光剤の合成]
式(B−3)のフェノール15.82g(0.025モル)と、トリエチルアミン10.12g(0.100モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン160gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド26.87g(0.100モル)をテトラヒドロフラン100gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−6)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
次に、実施例3における前記式(Q−4)の感光性ジアゾキノン化合物を式(Q−6)のものに替えた他は、実施例3と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例3と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が36秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が2μmになり、感度は240mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は20μmと低い値を示した。
[感光剤の合成]
式(B−4)のフェノール19.77g(0.030モル)と、トリエチルアミン9.11g(0.090モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン230gを加えて溶解させた。この反応溶液を10℃以下に冷却した後に、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホニルクロライド24.18g(0.090モル)をテトラヒドロフラン120gと共に10℃以上にならないように徐々に滴下した。その後10℃以下で5分攪拌した後、室温で5時間攪拌して反応を終了させた。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1(体積比)の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、式(Q−8)の構造で示される感光性ジアゾキノン化合物を得た。
次に、実施例3における前記式(Q−4)の感光性ジアゾキノン化合物を式(Q−8)のものに替えた他は、実施例3と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例3と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が38秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が2μmになり、感度は270mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は25μmと低い値を示した。
[ポリアミド系樹脂(A−4)の合成]
イソフタル酸0.240モルとジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.560モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.600モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)371.79g(0.800モル)と、4,4’−メチレンビス(2−アミノ−3,6−ジメチルフェノール)128.87g(0.450モル)と、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン201.50g(0.550モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン2800gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて16時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン330gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物82.08g(0.500モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が9000である目的のポリアミド系樹脂(A−4)を得た
合成したポリアミド系樹脂(A−4)100g、式(Q−4)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物19g、(C−1)の構造を有するケイ素化合物8gを、γ―ブチロラクトン200gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
プリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が0.5μmになるように現像時間を調節した他は実施例2と同様の評価を行った。その結果、現像時間が95秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が0.5μmになり、感度は210mJ/cm2であった。開口した部分にスカムは無く、この時の解像度は3μmと高い値を示した。
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製および感光特性評価]
実施例4における前記(Q−4)を(Q−6)に替えた他は、実施例4と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例4と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が140秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が0.5μmになり、感度は250mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は18μmと低い値を示した。
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製および感光特性評価]
実施例4における前記(Q−4)を(Q−8)に替えた他は、実施例4と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例4と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が148秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が0.5μmになり、感度は270mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は15μmと低い値を示した。
[ポリアミド系樹脂(A−5)の合成]
3,3’−ジアミノジフェニルスルホン24.83g(0.100モル)とN−メチル−2−ピロリドン2000gを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れて溶解させた。その後、フラスコを水冷しながら4,4’−オキシジフタル酸無水物26.06g(0.084モル)を徐々に添加した。室温で2時間反応させた後、ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン219.82g(0.600モル)と、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン69.08g(0.300モル)をN−メチル−2−ピロリドン500gと共に添加し、更に室温で1時間反応させた。その後、イソフタル酸0.084モルとジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸0.672モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール1.512モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体(活性エステル)364.53g(0.756モル)をN−メチル−2−ピロリドン320gと共に添加し、更にオイルバスを用いて60℃で14時間反応させた。次にN−メチル−2−ピロリドン270gに溶解させた4−エチニルフタル酸無水物68.86g(0.400モル)を加え、更に3時間攪拌して反応を終了した。反応混合物を濾過した後、反応混合物を水/イソプロパノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、数平均分子量が7800である目的のポリアミド系樹脂(A−5)を得た。
合成したポリアミド系樹脂(A−5)100g、式(Q−3)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物8g、式(Q−4)の構造を有する感光性ジアゾキノン化合物10g、(C−1)の構造を有するケイ素化合物8gを、γ―ブチロラクトン180gに溶解した後、孔径0.2μmのテフロン(登録商標)製フィルターで濾過しポジ型感光性樹脂組成物を得た。
実施例2と同様の評価を行った。その結果、現像時間が36秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、感度は330mJ/cm2であった。開口した部分にスカムは無く、この時の解像度は5μmと高い値を示した。
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製および感光特性評価]
実施例5における前記(Q−3)を(Q−5)に、(Q−4)を(Q−6)に替えた他は実施例5と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例2と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が48秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、感度は380mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は30μmと低い値を示した。
[ポジ型感光性樹脂組成物の作製および感光特性評価]
実施例5における前記(Q−3)を(Q−7)に、(Q−4)を(Q−8)に替えた他は実施例5と同様にしてポジ型感光性樹脂組成物を得て、実施例2と同様の評価を行った。
その結果、現像時間が53秒×2回でプリベーク後と現像後の未露光部の膜厚差が1μmになり、感度は430mJ/cm2であった。開口した部分の周囲にはスカムが認められ、この時の解像度は25μmと低い値を示した。
Claims (9)
- 一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアミド系樹脂(A)と、
一般式(2)で示されるフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸および1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸の少なくとも一方とのエステルからなる感光剤(B)と、を含むことを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記ポリアミド系樹脂(A)は、前記一般式(1)中のXが、下記式(3−1)〜(3−6)からなる群より選ばれる構造を有する繰返し単位を含むものである請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物の硬化物で構成されていることを特徴とする硬化膜。
- 請求項5に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする保護膜。
- 請求項5に記載の硬化膜で構成されていることを特徴とする絶縁膜。
- 請求項5に記載の硬化膜を有することを特徴とする半導体装置。
- 請求項5に記載の硬化膜を有することを特徴とする表示体装置。
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