JP2018185432A - 液体現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速印刷時においてもローラー上のトナーの成膜性が良好で画像欠損を抑制することができ、かつ高抵抗で低温定着性に優れる液体現像剤及びその製造方法に関すること。【解決手段】ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、(i)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度が100mPa・s以下であること、(ii)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率が1.0×10-10S/m以下であること、及び(iii)前記トナー粒子の体積中位粒径が1μm以上3μm以下であることを満足する、液体現像剤、並びにその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤及びその製造方法に関する。
電子写真用現像剤としては、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー成分を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー成分が絶縁性液体中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているので、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるので、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっていることから、液体現像剤の低粘度化が求められている。
液体現像システムは、貯蔵タンク内に貯めた液体現像剤中のトナー粒子を、現像ローラーを介して感光体上に描かれた潜像上に現像した後、紙へと転写し、最後に熱や圧力によって定着する工程からなる。しかし、液体現像剤は貯蔵タンク内、すなわち通常の保管状態で低粘度であっても、各種のローラーを介する上で固形分濃度が徐々に上昇し、粘度が高まる傾向がある。特に、高速化時には高固形分濃度の現像剤が求められるため、その傾向が顕著である。その結果、ローラー上の成膜が妨げられ、画像欠損を生じるという課題がある。また、増粘を抑制するために分散剤を過剰に添加した場合、現像剤の抵抗が低下するため現像性が悪化してしまう。
特許文献1には、溶融工程を乱さすことなく、有意のケーキングを生じさせることのない安定な液体トナー分散体を提供することを目的として、安定化基がグラフトされたアミン官能化ポリマーを含む固定基を備えたグラフトコポリマーを含む超分散剤とを含み、固定基は、マーキング粒子の表面に固定され、第1の安定化基及び第2の安定化基は、固定基にグラフトされ、第1の安定化基は脂肪酸化合物であり、第2の安定化基はポリオレフィンであることを特徴とする液体トナー分散体が開示されている。
特許文献2には、色再現性に優れ、印刷枚数や印刷面積が増加しても液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性、帯電性、分散状態が安定であり、画像濃度が安定し、白地部のカブリの発生が生じることがなく、液体現像剤中の分散剤成分の偏析が起こらず、長期に渡って現像剤組成の変化のない液体現像剤を提供することを目的として、分散剤が、コハク酸イミド化合物と、フッ素含有シラン化合物とを含むことを特徴とする液体現像剤が開示されている。
特許文献3には、トナー粒子の分散安定性と定着性に優れた液体現像剤の製造方法を提供することを目的として、工程1:樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、工程2:工程1で得られたトナー粒子を塩基性分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程を含み、前記塩基性分散剤が、ポリエチレンイミンと、12-ヒドロキシステアリン酸の自己縮合により得られるポリエステル(D)との反応により得られるアミド化合物であることを特徴とする液体現像剤の製造方法が開示されている。
特開2015−135475号公報 特開2011−27845号公報 特開2014−142624号公報
本発明は、高速印刷時においてもローラー上のトナーの成膜性が良好で画像欠損を抑制することができ、かつ高抵抗で低温定着性に優れる液体現像剤及びその製造方法に関する。
前記のようなローラー上での成膜不良を抑制し、印刷時の画像欠損を改善するためには、高固形分濃度においても低粘度で分散する必要がある。一方で、良好な現像性を得るためには高抵抗な現像剤が求められる。さらに、良好な低温定着性を得るためには、定着時の熱によってトナー粒子が速やかに凝集する必要がある。
本発明は、
〔1〕 ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、
(i)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度が100mPa・s以下であること、
(ii)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率が1.0×10-10S/m以下であること、及び
(iii)前記トナー粒子の体積中位粒径が1μm以上3μm以下であること
を満足する、液体現像剤、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子と分散剤を混合し、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む、液体現像剤の製造方法
に関する。
本発明の液体現像剤は、高速印刷時においてもローラー上のトナーの成膜性が良好で画像欠損を抑制することができ、かつ高抵抗で低温定着性に優れるという効果を奏する。
本発明の液体現像剤は、固形分濃度45質量%における25℃での粘度と導電率、及び液体現像剤中のトナー粒子の粒径が所定の要件を満足するものであり、高速印刷時においてもローラー上のトナーの成膜性が良好で画像欠損を抑制することができ、かつ高抵抗で低温定着性に優れるものである。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
液体現像システムでは、貯蔵タンク内に貯めた液体現像剤中のトナー粒子は、アニロックスローラーを介し現像ローラー上で成膜される。このとき液体現像剤は高固形分化するため、増粘を起こし均一な成膜が困難となる場合がある。また高固形分化により絶縁性液体の含有量が減少するため、導電率が上昇する傾向にあり、トナー粒子の正確な電気泳動が阻害される場合がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討を行った結果、下記(i)〜(iii)の要件を満足する場合に、現像ローラー上での成膜性が良好かつ現像性が良好となることを見出した。45質量%という高い固形分濃度は現像ローラー上で高固形分化した状態に近く、この濃度における物性を制御することが重要である。
さらに、前記の粘度の液体現像剤や粒径のトナーは紙状に転写された際にもトナー粒子が適度な粒子間距離で均一な膜を形成するため、加熱時に速やかに凝集し低温定着性に優れると考えられる。
(i)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度が100mPa・s以下であること
液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、100mPa・s以下であり、好ましくは90mPa・s以下、より好ましくは80mPa・s以下、さらに好ましくは70mPa・s以下であり、そして、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは40mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上、さらに好ましくは60mPa・s以上である。
(ii)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率が1.0×10-10S/m以下であること
液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率は、現像性及び画質の観点から、1.0×10-10S/m以下であり、好ましくは9.5×10-11S/m以下、より好ましくは8.0×10-11S/m以下である。
(iii)前記トナー粒子の体積中位粒径が1μm以上3μm以下であること
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、1μm以上であり、好ましくは1.3μm以上、より好ましくは1.6μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点、トナー粒子の現像性及び低温定着性の観点から、3μm以下であり、好ましくは2.7μm以下、より好ましくは2.4μm以下である。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子、分散剤及び絶縁性液体を含有する。
トナー粒子は、ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂と着色剤を含有する。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂等の他の樹脂とを含有する複合樹脂等が挙げられる。
本発明において、ポリエステル樹脂は、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
2価のアルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数2以上15以下の脂肪族ジオールや、式(I):
Figure 2018185432
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。炭素数2以上20以下の脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコール成分としては、トナーの粉砕性を向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、1,2-プロパンジオール又は式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、低粘度化の観点から、1,2-プロパンジオールがより好ましい。また、低温定着性及び導電率低下の観点からは、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。1,2-プロパンジオール又は式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。1,2-プロパンジオール及び式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が併用されている場合は、両者の総含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数3以上10以下の3価以上のアルコール等が挙げられる。具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
2価のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数3以上30以下、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、それらの無水物、又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
2価のカルボン酸系化合物としては、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、テレフタル酸又はフマル酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
2価のカルボン酸系化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、トナーの粉砕性を向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは50モル以上、より好ましくは60モル以上、さらに好ましくは70モル以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは100モル以下、より好ましくは90モル以下、さらに好ましくは85モル以下である。
カルボン酸成分は、3価以上のカルボン酸系化合物を含むことが好ましい。3価以上のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数4以上20以下、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数7以上15以下、さらに好ましくは炭素数8以上12以下、さらに好ましくは炭素数9以上10以下の3価以上のカルボン酸、それらの無水物、又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、保存安定性の観点から、好ましくは5モル以上、より好ましくは10モル以上であり、そして、トナーの帯電性を向上させる観点から、好ましくは40モル以下、より好ましくは40モル未満、さらに好ましくは35モル以下、さらに好ましくは30モル以下、さらに好ましくは20モル以下である。
即ち、本発明においてポリエステル樹脂は、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物であって、3価以上のカルボン酸系化合物の含有量が、アルコール成分100モルに対して、好ましくは5モル以上、より好ましくは10モル以上であり、そして、好ましくは40モル以下、より好ましくは40モル未満、さらに好ましくは35モル以下、さらに好ましくは30モル以下、さらに好ましくは20モル以下である重縮合物が好ましい。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、130℃以上250℃以下、好ましくは170℃以上240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂の軟化点は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下である。
ポリエステル系樹脂の酸価は、液体現像剤を高抵抗化する観点から、好ましくは15mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させる観点、及びローラー上での成膜性を向上させる観点から、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは45mgKOH/g以下である。ポリエステル系樹脂の酸価は、カルボン酸成分とアルコール成分の当量比を変化させる、樹脂製造時の反応時間を変化させる、又は3価以上のカルボン酸系化合物の含有量を変化させる等の方法で調整することができる。
ポリエステル系樹脂の含有量は、結着樹脂中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%、即ち、ポリエステル系樹脂のみを用いることがさらに好ましい。ただし、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、トナーの粉砕性を向上させて小粒径化する観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系結着樹脂分散液と水系着色剤分散液を混合し結着樹脂粒子と着色剤粒子を合一させる方法、又は水系結着樹脂分散液と着色剤を高速攪拌する方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、結着樹脂、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤の分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
オープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。
トナー原料の混合性を向上させる観点から、ロールの設定温度は、樹脂の軟化点より10℃高い温度以下であることが好ましい。
また、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側のロールの設定温度は下流側のものよりも高いことが好ましい。
ロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましい。前記の2本のロールを備えたオープンロール型混練機においては、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、温度の高い加熱ロールが高回転側ロールであり、温度の低い冷却ロールが低回転側ロールであることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは5m/min以上であり、そして、好ましくは100m/min以下、より好ましくは75m/min以下である。低回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは4m/min以上であり、そして、好ましくは100m/min以下、より好ましくは60m/min以下、さらに好ましくは50m/min以下である。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、好ましくは1/10以上、より好ましくは3/10以上であり、そして、好ましくは9/10以下、より好ましくは8/10以下である。
また、各ロールの構造、大きさ、材料等について特に限定はない。ロール表面は、混練に用いられる溝を有しており、この形状は直線状、螺旋状、波型、凸凹型等が挙げられる。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1〜5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。なお、トナー粒子は、分散剤及び絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
トナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、さらに好ましくは85質量部以下である。
本発明における分散剤は、分子量250以下のポリアルキレンイミンと、ハロゲン化された炭素数16以上、好ましくは炭素数16以上24以下の炭化水素及び数平均分子量500以上の反応性の官能基を有するポリオレフィンから選ばれる1種以上の炭化水素基含有化合物との反応物Xを含有することが好ましい。かかる反応物Xは、トナー粒子の分散性に優れ、少量で高分散が可能なため、成膜不良を抑制しつつ高抵抗化が可能となる。また、加熱時には分散剤がトナーから脱離しトナー粒子の凝集が促進されるため、低温定着性に優れる。
ポリアルキレンイミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリエチレンイミン、テトラプロピレンペンタミン等のポリプロピレンイミン等が挙げられ、これらの中では、ポリエチレンイミンが好ましい。
ポリエチレンイミンにおけるエチレンの平均付加モル数は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは5以下であり、そして、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは2以上である。
ポリアルキレンイミンは、トナーの低温定着性の観点から、直鎖構造であることが好ましい。
ポリアルキレンイミンの分子量は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは250以下、より好ましくは230以下、さらに好ましくは200以下であり、そして、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは100以上、より好ましくは130以上、さらに好ましくは170以上である。ここで、ポリアルキレンイミンの分子量は数平均分子量であってもよい。
反応性の官能基としては、カルボキシ基、エポキシ基、ホルミル基、イソシアネート基等が挙げられ、これらの中では、安全性及び反応性の観点から、カルボキシ基又はエポキシ基が好ましい。従って、反応性の官能基を有するポリオレフィンは、カルボン酸系化合物が好ましい。カルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、それらの無水物又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。炭化水素基含有化合物の具体例としては、クロロオクタデカン等のハロゲン化アルカン、ポリオレフィン無水コハク酸、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
反応性の官能基を有するポリオレフィンの数平均分子量は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは500以上、より好ましくは800以上であり、そして、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは8,500以下、より好ましくは3,000以下、さらに好ましくは2,000以下である。
炭化水素基含有化合物は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、ポリオレフィン骨格を有することが好ましく、ポリイソブテン骨格及び/又はポリプロピレン骨格を有することがより好ましく、湿式粉砕性を向上させる観点から、ポリイソブテン骨格を有することがさらに好ましい。
ポリオレフィン骨格の炭素数は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは35以上、より好ましくは50以上であり、そして、高温時のトナー粒子の加熱凝集性の観点から、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下である。ポリオレフィン骨格の炭素数は、炭化水素基含有化合物の数平均分子量から算出できる。
従って、前記炭化水素基含有化合物のなかでは、反応性の官能基を有するポリオレフィンが好ましく、反応性の官能基を有するポリイソブテンがより好ましい。炭化水素基含有化合物における反応性の官能基を有するポリオレフィンの含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
ポリアルキレンイミンと炭化水素基含有化合物との反応は、例えば、有機溶剤中に溶解させたポリアルキレンイミンに炭化水素基含有化合物を滴下し、150〜160℃で反応させた後、有機溶剤を減圧留去する方法等が挙げられる。反応の終点は、例えばIR分析による酸無水物由来のピークの消失によって確認することができる。
分散剤中の反応物Xの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
反応物X以外の分散剤としては、アルキルメタクリレート/アミノ基含有メタクリレートの共重合体、α-オレフィン/ビニルピロリドンの共重合体等が挙げられる。
分散剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上であり、そして、トナー粒子の現像性及び低温定着性の観点から、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3.5質量部以下である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
絶縁性液体としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系絶縁性液体、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。本発明において、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、絶縁性液体は、炭化水素系絶縁性液体を含有することが好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒を含有することがより好ましく、分散安定性及び帯電性の観点から、ポリイソブテンを含有することがさらに好ましい。
本発明においてポリイソブテンとは、イソブテンを公知の方法、例えば触媒を用いたカチオン重合法によって重合した後、末端の二重結合に水素添加を行って得られるものである。
カチオン重合法に使用される触媒としては、例えば、塩化アルミニウム、酸性イオン交換樹脂、硫酸、フッ化ホウ素及びその錯体等が挙げられる。また、前記触媒に塩基を加えることで重合反応を制御することもできる。
ポリイソブテンの重合度は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、チャージャー汚染を抑制する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
重合反応の際に生じるイソブテンの未反応成分や重合度の高い高沸点成分は、蒸留により除去されることが好ましい。蒸留の方法としては、例えば、単蒸留法、連続蒸留法、水蒸気蒸留法等が挙げられ、これらの方法を単独でまたは組み合わせることができる。蒸留に使用する装置としては、材質、形状、型式等は特に限定されず、例えば、ラシヒリング等の充填物を充填した蒸留塔や皿状の棚を有する棚段蒸留塔等が挙げられる。また蒸留塔の分離能を示す理論段数は10段以上が好ましい。その他、蒸留塔へのフィード量、還流比、取出し量等の条件については、蒸留装置により適宣選択することが可能である。
重合反応で得られた生成物は重合末端に二重結合を有しているため、水素化反応により水素添加物を得る。水素化反応は、例えば、180〜230℃の温度でニッケルやパラジウム等を水素化触媒として用い、水素を2〜10MPaの圧力で接触させて行うことができる。
ポリイソブテンを含有する絶縁性液体の市販品としては、「NAS-3」、「NAS-4」、「NAS-5H」(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせることができる。
炭化水素系絶縁性液体の含有量は、絶縁性液体中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
絶縁性液体、好ましくは炭化水素系絶縁性液体の沸点は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナーの粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。
液体現像剤は、結着樹脂、着色剤、分散剤、及び絶縁性液体に加えて、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
液体現像剤は、トナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて得られる。トナー粒子の粒径を小さくする観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、さらに、湿式粉砕により粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
トナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは53質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは48質量%以下である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
以上のように、本発明の液体現像剤は、
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子と分散剤を混合し、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む方法により製造することが好ましい。
液体現像剤の固形分濃度は、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは45質量%以下、より好ましくは42質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは32mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下、さらに好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の液体現像剤を開示する。
<1> ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、
(i)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度が100mPa・s以下であること、
(ii)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率が1.0×10-10S/m以下であること、及び
(iii)前記トナー粒子の体積中位粒径が1μm以上3μm以下であること
を満足する、液体現像剤。
<2> 分散剤が、分子量250以下のポリアルキレンイミンと、ハロゲン化された炭素数16以上の炭化水素及び数平均分子量500以上の反応性の官能基を有するポリオレフィンから選ばれる1種以上の炭化水素基含有化合物との反応物を含有する、前記<1>記載の液体現像剤。
<3> ポリアルキレンイミンが、エチレンの平均付加モル数が2以上5以下であるポリエチレンイミンである、前記<2>記載の液体現像剤。
<4> 炭化水素基含有化合物が、炭素数が、好ましくは35以上、より好ましくは50以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは100以下であるポリオレフィン骨格を有する、前記<2>又は<3>記載の液体現像剤。
<5> ポリオレフィン骨格が、ポリイソブテン骨格及び/又はポリプロピレン骨格、好ましくはポリイソブテン骨格である、前記<4>記載の液体現像剤。
<6> ポリエステル系樹脂が、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂である、前記<1>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> ポリエステル樹脂が、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である、前記<6>記載の液体現像剤。
<8> ポリエステル系樹脂の酸価が、15mgKOH/g以上、好ましくは30mgKOH/g以上であり、60mgKOH/g以下、好ましくは45mgKOH/g以下である、前記<1>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> 絶縁性液体が、炭化水素系絶縁性液体、好ましくは脂肪族炭化水素系溶媒、より好ましくはポリイソブテンを含有する、前記<1>〜<8>いずれか記載の液体現像剤。
<10> 絶縁性液体の25℃における粘度が、1mPa・s以上、好ましくは1.5mPa・s以上であり、100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である、前記<1>〜<9>いずれか記載の液体現像剤。
<11> 液体現像剤の固形分濃度が、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、45質量%以下、好ましくは42質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である、前記<1>〜<10>いずれか記載の液体現像剤。
<12> 固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度が、3mPa・s以上、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上であり、50mPa・s以下、好ましくは40mPa・s以下、より好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは32mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下、さらに好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下である、前記<1>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> 前記<1>〜<12>いずれか記載の液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子と分散剤を混合し、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む、液体現像剤の製造方法。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔ポリアルキレンイミンの数平均分子量(Mn)〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(5.9×103)、P-50(4.73×104)、P-200(2.12×105)、P-800(7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
〔炭化水素基含有化合物の数平均分子量(Mn)〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
〔絶縁性液体及び液体現像剤の導電率〕
試料25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)を用いて、回転数25,000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
Figure 2018185432
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1〔樹脂A〕
表1に示す無水トリメリット酸以外の原料モノマー、エステル化触媒及び重合禁止剤を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、180℃から200℃まで1時間かけて昇温し、200℃にて反応させた後、無水トリメリット酸を添加し、200℃にて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A)を得た。
樹脂製造例2〔樹脂B〕
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、180℃に昇温した後、220℃まで10時間かけて昇温を行い、220℃にて反応させた。さらに8.3kPaにて、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂B)を得た。
Figure 2018185432
分散剤製造例1〔分散剤A〜D〕
表2に示すポリアルキレンイミンを冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、表2に示すポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)に溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、表2に示す物性を有する分散剤A〜Dを得た。
Figure 2018185432
実施例1〜4及び比較例1
表3に示す結着樹脂80質量部及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子44質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン(重合度 4)、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)54.68質量部、及び表3に示す分散剤1.32質量部(トナー粒子100質量部に対して3質量部)を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度45質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕し、ビーズをろ過により除去した。ろ液を半分に分け、一方を固形分濃度45質量%の液体現像剤として、もう一方をろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)80質量部を加えて希釈し、固形分濃度25質量%の液体現像剤として、それぞれ表3に示す物性を有する液体現像剤を得た。なお、本実施例において、固形分濃度が45質量%の液体現像剤は、液体現像剤が現像ローラー上で高固形分化した状態を想定したものである。
実施例5
実施例1と同様にして原料の溶融混練及び粉砕分級を行い、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」63.95質量部、及び表3に示す分散剤1.05質量部(トナー粒子100質量部に対して3質量部)を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」44質量部を加えて希釈し、固形分濃度25質量%の液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の物性を表3に示す。
得られた液体現像剤から20gを30mL容のポリアミド製チューブに入れ、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)で回転数25,000r/minにて、1時間遠心分離を行った。遠心分離終了後、上澄み液をデカンテーションにて除去し、固形分濃度55質量%の分散液を得た。得られた分散液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」22質量部を加えて希釈し、超音波洗浄機「ASU-10D」(アズワン社製)で分散後、固形分濃度45質量%の液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の物性を表3に示す。
比較例2
分散剤を分散剤Eに変更し、分散剤の使用量を2.64質量部(トナー粒子100質量部に対して有効分換算で3質量部)に、絶縁性液体の使用量を53.36質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、固形分濃度が25質量%の液体現像剤と45質量%の液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の物性を表3に示す。
比較例3
分散剤を分散剤Eに変更し、トナー粒子の使用量を41質量部、分散剤の使用量を8.2質量部(トナー粒子100質量部に対して有効分換算で10質量部)に、絶縁性液体の使用量を50.8質量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、固形分濃度が25質量%の液体現像剤と45質量%の液体現像剤を得た。得られた液体現像剤の物性を表3に示す。
試験例1〔低温定着性(凝集開始温度)〕
固形分濃度45質量%の液体現像剤5gを10mL容のスクリュー管に入れ、60℃の恒温槽にて3分間保存し、保存後のトナー粒子の体積中位粒径(D50)を測定した。さらに恒温槽の温度を5℃ずつ昇温して同様に保存後のトナー粒子のD50を測定した。D50が10μmを超えた時点の温度を凝集開始温度とした。凝集開始温度が低いほど低温定着性に優れることを示す。結果を表3に示す。
試験例2〔成膜性〕
「フレキシプルーフ100UV」(RK Print Coat Instruments社製)を用いて、固形分濃度45質量%の液体現像剤1gをドクターブレードインキチャンバーに滴下し、印圧ローラーを2回転させて「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)上に印刷見本(23.5cm×3.5cm)を作製した。印刷速度は60m/minとし、アニロックスロールは160線/cmのハニカムパターン(スクリーン角度60°)を使用した。画像欠損の有無を観察し、以下の評価基準に従って、液体現像剤の成膜性を評価した。
〔評価基準〕
A:画像欠損が全く発生しない
B:画像欠損が発生し、欠損部の面積が全画像部の面積の15%未満
C:画像欠損が発生し、欠損部の面積が全画像部の面積の15%以上
Figure 2018185432
以上の結果より、実施例1〜5の液体現像剤は、高速印刷時においてもローラー上のトナーの成膜性が良好であり、かつ高抵抗で低温定着性に優れることが分かる。
これに対し、比較例1、2の液体現像剤は、固形分濃度45質量%における25℃での粘度が高すぎるため、成膜性に欠けている。また、比較例2の液体現像剤に対して、増粘を抑制するために分散剤を過剰に添加した比較例3の現像剤は、抵抗が低下しており、凝集温度も高くなり低温定着性に欠けている。
本発明の液体現像剤は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成
される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (10)

  1. ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、
    (i)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における25℃での粘度が100mPa・s以下であること、
    (ii)前記液体現像剤の固形分濃度45質量%における導電率が1.0×10-10S/m以下であること、及び
    (iii)前記トナー粒子の体積中位粒径が1μm以上3μm以下であること
    を満足する、液体現像剤。
  2. 分散剤が、分子量250以下のポリアルキレンイミンと、ハロゲン化された炭素数16以上の炭化水素及び数平均分子量500以上の反応性の官能基を有するポリオレフィンから選ばれる1種以上の炭化水素基含有化合物との反応物を含有する、請求項1記載の液体現像剤。
  3. ポリアルキレンイミンが、エチレンの平均付加モル数が2以上5以下であるポリエチレンイミンである、請求項2記載の液体現像剤。
  4. 炭化水素基含有化合物が、炭素数35以上200以下のポリオレフィン骨格を有する、請求項2又は3記載の液体現像剤。
  5. ポリオレフィン骨格が、ポリイソブテン骨格及び/又はポリプロピレン骨格である、請求項4記載の液体現像剤。
  6. ポリエステル系樹脂が、ポリエステル樹脂又はポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とを含有する複合樹脂である、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤。
  7. ポリエステル樹脂が、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物である、請求項1〜6いずれか記載の液体現像剤。
  8. ポリエステル系樹脂の酸価が15mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である、請求項1〜7いずれか記載の液体現像剤。
  9. 絶縁性液体が炭化水素系絶縁性液体を含有する、請求項1〜8いずれか記載の液体現像剤。
  10. 請求項1〜9いずれか記載の液体現像剤の製造方法であって、
    工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂及び着色剤を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
    工程2:工程1で得られたトナー粒子と分散剤を混合し、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
    工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
    を含む、液体現像剤の製造方法。
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