JP2009265596A - 湿式現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な耐熱保管性を確保しながら、定着性を向上させることの可能な湿式現像剤を提供すること。
【解決手段】着色剤とバインダー樹脂とからなるトナー粒子を分散剤を用いて不揮発性のキャリア液に分散してなる湿式現像剤である。バインダー樹脂に、ポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂のアルコール成分がビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物を含み、その比率が1:19〜10:10(重量比)であるものを用いる。
【選択図】図1

Description

複写機、プリンタ、デジタル印刷機等の湿式電子写真方式を用いた画像形成装置に用いる湿式現像剤に関する。
電子写真方式の画像形成においては、一般的には、感光体等の静電潜像担持体に原稿画像や画像データに応じた画像露光をする等して静電潜像を形成し、この静電潜像を現像して可視トナー像とし、そのトナー像を記録材に転写定着させて目的とする画像を得ている。
現像方式は乾式現像法と湿式現像法に分けることができる。乾式現像法は、現像剤としてトナー又はトナーに磁性等を有するキャリアを加えたものを用いる。乾式トナーには、通常、顔料とバインダー樹脂を主要成分とし、必要に応じて荷電制御剤、導電制御剤、可塑剤、離型剤等が内添又は外添されたものが用いられている。一方、湿式現像法では、電気絶縁性の分散媒(キャリア液)中に、顔料とバインダー樹脂を主要成分とするトナー粒子及び荷電制御剤、分散安定剤等を分散させた湿式現像剤が用いられている。湿式現像剤に用いるトナー粒子は、大気中に逃散する恐れがないため、微細にすることができ、平均粒径がサブミクロンのものも実用可能である。そのため、高解像度を有する画像が得られる、トナー像の定着が容易である等の利点を有している。例えば、特許文献1には、バインダー樹脂としてポリエステル樹脂を含み、体積平均粒径が1.5〜5.0μmである着色微粒子と、その着色微粒子が分散された電気的に絶縁性の媒体液を含む湿式現像剤が記載されている。
また、湿式現像剤は、現像剤容器に保管され、現像ローラ等の現像剤担持体に塗布され、静電潜像担持体上の静電潜像を現像し、必要により中間転写体を介して記録材に転写される。湿式現像剤には、転写性とハンドリング性とを両立させることが必要とされている。これに対し、例えば特許文献2には、チキソトロピックな性質を有する湿式現像剤を用いる方法が記載されている。
特開平10−282733号公報 特開2001−100533号公報
湿式現像剤に用いるキャリア液には、高絶縁性の溶媒が用いられており、特に環境上の安全性を確保するために不揮発性の溶媒が用いられている。しかし、不揮発性の溶媒を用いた場合、定着時にも溶媒が残存しているため、定着性を阻害するという問題があった。一方、定着性を向上させるためには、残存する溶媒の量を減らす必要があり、そのためにはトナー粒子に用いている分散剤の量を減らすことが有効である。しかし、分散剤の量を減らすと、現像剤の耐熱保管性が低下するという問題があった。そのため、従来の現像剤では、十分な耐熱保管性を確保しながら、定着性を向上させることが困難であった。
そこで、本発明は、上記課題を解決し、十分な耐熱保管性を確保しながら、定着性を向上させることの可能な湿式現像剤を提供することである。
上記の問題点を解決するため、本発明の湿式現像剤は、少なくとも着色剤とバインダー樹脂とからなるトナー粒子を分散剤を用いて不揮発性のキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂のアルコール成分がビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物を含み、その比率が1:19〜10:10(重量比)であることを特徴とする。
また、定常ずり速度が1sec−1における湿式現像剤の粘度ηと1000sec−1における湿式現像剤の粘度η1000との粘度比(η/η1000)が,10〜10,000であることが好ましい。
また、分散剤は塩基性基を含む高分子分散剤が好ましい。高分子分散剤としては、アミド基、メチロール基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール基、イミン基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性基を有する高分子分散剤を用いることができる。
また、上記ポリエステル樹脂のガラス転移点が60℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、トナー粒子のバインダー樹脂として、アルコール成分がビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物であるポリエステル樹脂を用いることにより、十分な耐熱保管性を確保しながら、定着性を向上させることができる。すなわち、アルコール成分として上記混合物を用いることにより、骨格がより密になり、より硬い構造となる。そのため、バインダー樹脂の耐熱性が向上して樹脂が融着しにくくなるため、現像剤の耐熱保管性が向上すると考えられる。また、骨格がより密になるため、キャリア液がトナー粒子の内部に浸透しにくくなり、残存キャリア液が減少するため、定着性を向上させることが可能となると考えられる。
湿式現像剤は、保管時に沈降すると、粘着質の沈殿が生成し、きわめて再分散しにくくなることがある。この粘着質の沈殿は少量では強い攪拌で再分散性が可能で問題はないが、多量の現像剤を保管する際に生成した粘着質沈殿は量が多く、極めて硬く、硬質ゴムのような状態になるため極めて再分散しにくくなり、取り扱いが難しいという問題がある。
これに対し、本発明では、さらに、定常ずり速度が1sec−1における湿式現像剤の粘度ηと1000sec−1における湿式現像剤の粘度η1000との粘度比(η/η1000)が,10〜10,000とすることにより、耐沈降性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の湿式現像剤は、少なくとも着色剤とバインダー樹脂とからなるトナー粒子を不揮発性のキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂のアルコール成分がビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物を含み、その比率が1:19〜10:10(重量比)であることを特徴とするものである。
本発明に係る湿式現像剤は、少なくともキャリア液、トナー粒子、分散剤を含むものである。
(キャリア液)
キャリア液は、不揮発性で、誘電率が3以下の電気的絶縁性が高い溶媒を用いることができる。例えば、臭気、無公害性、コストの点から、流動パラフィン、シリコンオイル、動植物油、鉱物油等を用いることができるが、流動パラフィンが好ましい。流動パラフィンとしては、松村石油製のモレスコホワイトP−40、P−70、出光興産製のIP2028、IP1620、エクソン社製のアイソパーH、L、M等を挙げることができる。
なお、本発明において不揮発性の溶媒とは、特に断らない限り、引火点70℃以上の溶媒である。
(トナー粒子)
本発明に用いるトナー粒子は少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含むものである。
バインダー樹脂には熱可塑性のポリエステル樹脂を用いる。ポリエステル樹脂はシャープメルト性を有しており、保管安定性と定着性の両立を図ることが可能である。
具体的に、ポリエステル樹脂とは多塩基酸と多価アルコールの重縮合によって得られるものをいう。多塩基酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、及びその酸無水物、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸、そしてトリメリット酸である。
多価アルコールとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物を用いる。その混合比は、重量比で1:19〜10:10である。その混合比率が下限値以下であると耐熱保管安定性が悪化し、さらにキャリア液がトナー粒子の内部に浸透し易くなり、すなわち耐キャリア液性が低下し、トナー粒子がキャリア液を含み易くなって定着性が悪化する。また、その混合比率が上限値を超えるとバインダー樹脂が融着しにくくなり、定着を阻害する。
以上の多塩基酸と多価アルコールを重縮合することにより所望のポリエステル樹脂を得ることができる。重縮合の方法としては、従来公知の重縮合の方法を用いることができる。原料モノマーの種類によっても異なるが、一般的には150℃〜300℃程度の温度下で行う。
また、雰囲気ガスとして不活性ガスを用いたり、各種の溶媒を使用したり、反応容器内圧力を常圧又は減圧にする等、任意の条件で行うことができる。反応促進のためにエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、テトラブチルジルコネート、ジルコニウムナフテネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、3/1しゅう酸第1スズ/酢酸ナトリウムのような金属有機化合物等を使用できるが、生成物であるエステルを着色しないものが好ましい。また、アルキルホスフェイト、アリルホスフェイト等を触媒又は色相調整剤として使用してもよい。
生成物であるポリエステル樹脂の分子量を制御するためには、重合温度、反応系圧力、反応時間等を調整すればよい。また、反応させるカルボン酸とアルコールとのモル比、重合体の分子量等により酸価を制御することができる。分子量は重量平均分子量(Mw)が6000以上が好ましく、より好ましくは10000以上である。分子量が大きいほど耐キャリア液性が向上し、定着性と耐熱保管安定性を向上させることができる。
本発明の現像剤に用いる着色剤には公知の顔料や染料を用いることができる。
具体的には、ファーネストブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、C.I.ピグメントブラック、オルトアニリンブラック、トルイジンオレンジ、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、C.I.ピグメントブルー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントイエロー、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、アルカリブルーRトナー、ファーストイエロー10G、オルトニトロアニリンオレンジ、トルイジンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、アンソシン3Bレーキ、ローダミン6Bレーキ、メチルバイオレットレーキ、ベーシックブルー6Bレーキ、ファーストスカイブルー、レフレックスブルーG、ブリリアントグリーンレーキ、フタロシアニングリーンG、紺青、群青、酸化鉄粉、亜鉛華、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等を挙げることができる。
また、着色剤の分散性を向上させるため、表面処理や表面修飾等により表面に、カルボキシル基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、アミド基等の官能基を付与した着色剤を用いることもできる。
着色剤の配合量は、バインダー樹脂100重量部に対して3〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。3重量部より少ないと所望の濃度が得られず、50重量部より多いとバインダー樹脂への分散性や定着性を損なう恐れがあるからである。
(分散剤)
トナー粒子をキャリア液に分散させるために、分散剤を用いることができる。分散剤は特に限定されず、金属石鹸、塩基性基を有する高分子分散剤等を用いることができるが、塩基性基を有する高分子分散剤が好ましい。耐熱保管性をさらに向上させることができるからである。塩基性基としては、芳香族アミノ基、脂肪族アミノ基、ヘテロ環窒素含有基、ヘテロ環酸素含有基、そしてヘテロ環硫黄含有基が含まれる。具体的には、アミド基、メチロール基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール基、イミン基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性基を有する高分子分散剤を用いることができる。例えば、ポリアルキレンポリアミン、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、変性ポリウレタン、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。好ましくは、ポリエステルポリアミン、ポリエステルポリイミン、ポリビニルピロリドンである。
具体例としては、BYK Chemie社製のAnti−Terra−U(ポリアミノアマイドと酸ポリマーの塩)、Anti−Terra−204(ポリアミノアマイドとポリカルボン酸の塩)、Disperbyk−101(ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩)、Disperbyk−130(不飽和ポリカルボン酸ポリアミノアマイド)、Disperbyk−109(アルキロールアミノアマイド)、ルーブリゾール社製のソルスパース19000(ポリエステルポリアミン)、ソルスパース13940(ポリエステルポリイミン)、ソルスパース11200(ポリエステルポリイミン)、ISP社製のV−216、V−220(ポリビニルピロリドン)等を挙げることができる。
上記の分散剤をトナー粒子100重量部に対して1〜100重量部添加することが好ましい。1重量部より少ないと分散性が低下し、100重量部より多いと現像剤の導電性が高くなり、帯電性に問題が生じる。
(現像剤の製造)
上記のバインダー樹脂と上記の着色剤等からなる着色混練物をカッターミル、ジェットミル等を用いて粗粉砕し、着色剤がその二次粒径が50nm〜1μm、好ましくは50nm〜300nmに分散された粗粉砕トナーを得る。この粗粉砕トナーに対し、さらに分散剤を含むキャリア液中で湿式粉砕を施し、トナー粒子の体積平均粒径が0.1〜10μm程度、好ましくは0.5〜5μm程度になるまで微粉砕して濃厚湿式現像剤を得る。このようにして得られた濃厚湿式現像剤を、必要に応じて、荷電制御剤等の添加剤等を含むキャリア液で適当な濃度になるまで希釈・分散処理をして湿式現像剤を得る。
(チキソ性)
本発明の湿式現像剤はチキソ性を有し、定常ずり速度が1sec−1における湿式現像剤の粘度ηと1000sec−1における湿式現像剤の粘度η1000との粘度比(η/η1000)が,10〜10,000である。粘度比が10より小さいと沈降が生じやすくなり、粘度比が10,000より大きいと現像剤の送液が困難であるからである。さらに好ましくは粘度比は、20〜1000である。
ここで、チキソ性とはチキソトロピー性の略であり、非ニュートン性の物質で、時間に依存した流動特性を有し、一定のずり速度で見掛け粘度が時間とともに減少し、ずり変形の力を除くと徐々に復元する性質である。本発明で用いる粘度とは見掛け粘度のことであり、円錐円板粘度計や回転円錐式粘度計等の回転粘度計を用いて測定することができる。
本発明に用いる湿式現像剤の粘度は特に限定されないが、転写性とハンドリング性をさらに向上させるためには、定常ずり速度が1sec−1における粘度が10〜100,000mPa・s、定常ずり速度1000sec−1における粘度が1〜1,000mPa・sであることが好ましい。
なお、本発明では、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合比が、重量比で1:19〜10:10であるアルコール成分を有するポリエステル樹脂をバインダー樹脂として用いるが、このバインダー樹脂は、耐熱保管性を向上させるのみならず、沈降した沈殿物を再分散し易くする性質も有する。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは特に断らない限り「重量部」を表し、「Mw」とあるのは「重量平均分子量」を表し、「Mn」とあるのは「数平均分子量」を表し、「Tg」とあるのは「ガラス転移温度」を表す。
以下の実施例において、Mw及びMnは、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーの結果から算出した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフポンプ TRI ROTAR−V型(日本分光社製)、紫外分光検出器 UVIDEC−100−V型(日本分光社製)、50cm長さのカラム Shodex GPC A−803(昭和電工社製)を用いて行い、そのクロマトグラフィーの結果から、被検試料の分子量をポリスチレン換算Mw及びMnとして求めた。なお、被検試料はバインダー樹脂0.05gを20mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させたものを用いた。
Tgは、示差走査熱量計 DSC−20(セイコー電子工業(株)製)を用い、試料量35mg、昇温速度10℃/minの条件で測定した。酸価は、JIS K5400法に基づいて測定した。
(ポリエステル樹脂の製造)
製造例1
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1520部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物80部とテレフタル酸を850部入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Aを得た。
得られたポリエステル樹脂Aは、Mw=9000、Mn=2100、Tg=68℃、酸価=12.0mgKOH/gであった。
製造例2
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を800部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物800部とテレフタル酸を450部、トリメット酸200部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Bを得た。
得られたポリエステル樹脂Bは、Mw=19000、Mn=3300、Tg=76℃、酸価=42.0mgKOH/gであった。
製造例3
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1200部、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物400部、テレフタル酸を600部、トリメリット酸50部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Cを得た。
得られたポリエステル樹脂Cは、Mw=14000、Mn=3700、Tg=78℃、酸価=27.0mgKOH/gであった。
製造例4
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1380部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物320部とテレフタル酸を890部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Dを得た。
得られたポリエステル樹脂Dは、Mw=12000、Mn=3200、Tg=78.3℃、酸価=7.0mgKOH/gであった。
製造例5
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を940部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物400部とテレフタル酸を800部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Eを得た。
得られたポリエステル樹脂Eは、Mw=11000、Mn=3100、Tg=68℃、酸価=22mgKOH/gであった。
製造例6
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を900部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物600部とテレフタル酸を950部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Fを得た。
得られたポリエステル樹脂Fは、Mw=12000、Mn=3000、Tg=79℃、酸価=38mgKOH/gであった。
製造例7
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1280部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物320部とテレフタル酸を890部を入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Gを得た。
得られたポリエステル樹脂Gは、Mw=7000、Mn=2200、Tg=68.3℃、酸価=7.0mgKOH/gであった。
製造例8
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1600部とテレフタル酸を850部入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Hを得た。
得られたポリエステル樹脂Hは、Mw=9000、Mn=3200、Tg=55℃、酸価=8.0mgKOH/gであった。
製造例9
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を700部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物900部とテレフタル酸を850部入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Iを得た。
得られたポリエステル樹脂Iは、Mw=14000、Mn=3200、Tg=81℃、酸価=8.0mgKOH/gであった。
製造例10
還流冷却器、水・アルコール分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えた丸底フラスコに、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を1570部とビスフェノールAエチレンオキサイド付加物30部とテレフタル酸を1000部入れ、攪拌しながら窒素ガスを導入し、200〜240℃の温度で脱水重縮合又は脱アルコール重縮合を行った。生成したポリエステル樹脂の酸価又は反応溶液の粘度が所定の値になったところで反応系の温度を100℃以下に下げ、重縮合を停止させた。このようにして熱可塑性ポリエステル樹脂Jを得た。
得られたポリエステル樹脂Jは、Mw=8000、Mn=3200、Tg=81℃、酸価=28.0mgKOH/gであった。
表1に、製造例1から10で得たポリエステル樹脂AからJの物性値を示す。ここで、アルコール成分中のプロピレンオキサイド比率(PO比)は、仕込み時の重量%で表している。
Figure 2009265596
(現像剤の製造)
実施例1
ポリエステル樹脂A 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Aを得た。現像剤A中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例2
ポリエステル樹脂C 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Bを得た。現像剤B中のトナー粒子の平均粒径は2.9μmであった。
実施例3
ポリエステル樹脂F 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてソルスパースS11200を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Cを得た。現像剤C中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例4
ポリエステル樹脂G 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Dを得た。現像剤D中のトナー粒子の平均粒径は2.5μmであった。
実施例5
ポリエステル樹脂B 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Eを得た。現像剤E中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例6
ポリエステル樹脂E 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてDisperbyk−109(ビックケミー社製)を0.5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Fを得た。現像剤F中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
実施例7
ポリエステル樹脂G 100重量部とカーボンブラック(MA−100、三菱化成社製)10重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Gを得た。現像剤G中のトナー粒子の平均粒径は2.6μmであった。
実施例8
ポリエステル樹脂A 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.75重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Hを得た。現像剤H中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
実施例9
ポリエステル樹脂F 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてソルスパースS13940を0.75重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製)、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Iを得た。現像剤I中のトナー粒子の平均粒径は2.6μmであった。
実施例10
ポリエステル樹脂G 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を1.5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Jを得た。現像剤J中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例11
ポリエステル樹脂B 100重量部と塩基性処理した銅フタロシアニンブルー17重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を1.5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点170℃ モレスコホワイトP−60(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Kを得た。現像剤K中のトナー粒子の平均粒径は2.4μmであった。
実施例12
ポリエステル樹脂G 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてソルスパースS13940を2重量部、流動パラフィン100重量部(引火点200℃ モレスコホワイトP−120(松村石油製)、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Lを得た。現像剤L中のトナー粒子の平均粒径は2.6μmであった。
実施例13
ポリエステル樹脂D 100重量部とカーボンブラック(MA−100、三菱化成社製)10重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてソルスパースS11200を2重量部、流動パラフィン100重量部(引火点200℃ モレスコホワイトP−120(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Mを得た。現像剤M中のトナー粒子の平均粒径は2.9μmであった。
実施例14
ポリエステル樹脂C 100重量部とキナクリドン20重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてDisperbyk−109(ビックケミー社製)を2重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Nを得た。現像剤N中のトナー粒子の平均粒径は3.1μmであった。
実施例15
ポリエステル樹脂Gに代えてポリエステル樹脂Aを用いた以外は、実施例12と同様にして行い、現像剤Oを得た。現像剤O中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例16
ポリエステル樹脂B 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を20重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を4重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Pを得た。現像剤P中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
実施例17
ポリエステル樹脂E 100重量部とカーボンブラック(MA−100、三菱化成社製)10重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子を25重量部、分散剤としてソルスパースS11200を5重量部、流動パラフィン100重量部(引火点84℃ IP2028(出光興産製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Qを得た。現像剤Q中のトナー粒子の平均粒径は2.6μmであった。
実施例18
ポリエステル樹脂F 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
現像剤中のトナー濃度が10重量%となるように、このトナー粒子を11重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Rを得た。現像剤R中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
実施例19
ポリエステル樹脂F 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
現像剤中のトナー濃度が25重量%となるように、このトナー粒子を34重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Sを得た。現像剤S中のトナー粒子の平均粒径は2.9μmであった。
実施例20
ポリエステル樹脂F 100重量部と銅フタロシアニン15重量部とを混合し、ヘンシェルミキサーにて十分混合し、二軸押出混練機で溶融混合後、冷却しその後粗粉砕した。そしてジェット粉砕機にて微粉砕して平均粒径6μmのトナー粒子を得た。
現像剤中のトナー濃度が50重量%となるように、このトナー粒子を100重量部、分散剤としてV−220(ISP社製)を0.25重量部、流動パラフィン100重量部(引火点140℃ モレスコホワイトP−40(松村石油製))、ジルコニアビーズ100重量部を混合し、サンドミルにて120時間攪拌し、現像剤Tを得た。現像剤T中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
比較例1
ポリエステル樹脂Gに代えてポリエステル樹脂Hを用いた以外は、実施例12と同様にして行い、現像剤Uを得た。現像剤U中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
比較例2
ポリエステル樹脂Dに代えてポリエステル樹脂Iを用いた以外は、実施例13と同様にして行い、現像剤Vを得た。現像剤V中のトナー粒子の平均粒径は2.7μmであった。
比較例3
ポリエステル樹脂Gに代えてポリエステル樹脂Jを用いた以外は、実施例12と同様にして行い、現像剤Wを得た。現像剤W中のトナー粒子の平均粒径は2.6μmであった。
比較例4
ポリエステル樹脂Bに代えてポリエステル樹脂Jを用い、流動パラフィンにIP2028を用いた以外は、実施例16と同様にして行い、現像剤Xを得た。現像剤X中のトナー粒子の平均粒径は2.8μmであった。
比較例5
ポリエステル樹脂Bに代えてポリエステル樹脂Jを用い、V220を5重量部を用いた以外は、実施例16と同様にして行い、現像剤Yを得た。現像剤Y中のトナー粒子の平均粒径は3.1μmであった。
以上の現像剤A〜Yについて、湿式画像形成装置の実験機を用いて実写試験を行うことにより、定着性と耐熱保管安定性の評価を行った。
図1は、湿式画像形成装置の実験機の構成の一例を示す模式図である。ドラム状の像担持体201の周囲には、矢印で示す回転方向に順に、帯電装置203、露光装置204、現像ローラ103、中間転写体301、像担持体クリーニングブレード204がそれぞれ配設され、中間転写体301の周囲には、1次転写ローラ302、ベルト搬送ローラ305、対向ローラ306、二次転写ローラ307、テンションローラ308が配設されている。
像担持体201の表面を帯電装置203により、所定の表面電位に一様に帯電させ、その後、露光装置204により画像情報の露光を行い、像担持体201の表面に静電潜像を形成する。次いで、像担持体201の静電潜像は、現像ローラ103によりトナー粒子及びキャリア液を含む現像液102が入った現像槽100中で現像され像担持体201の表面にトナー像が形成される。この時、トナー粒子だけでなくキャリア液も像担持体201の表面に付着する。なお、現像ローラ103表面の現像液塗布層は、規制ブレード101により一定厚さに保持される。
次に像担持体201上のトナー像は、302に所定の電圧を印加することによって、中間転写体301に転写される。302にはトナー粒子と逆極性の電圧が印加され、このとき像担持体との電位差は300V〜3kVである。
中間転写体301には、図1に示すベルトや図2に示すローラを用いることができる。
中間転写体がベルトの場合、ベルト材質は樹脂や弾性体であり、ラフ紙への転写性を考えると弾性体が好ましく、また耐熱性があるものが好ましい。厚さは50μm〜1mm、体積抵抗率は10〜1012Ωcm、表面抵抗率は10〜1012Ω/□が望ましい。樹脂としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素系樹脂、ポリフェニルサルフェート等、弾性体としては、シリコンゴム、フッ素ゴム、EPDM、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が開示できるが、これに限定されない。搬送の安定性を考えると、樹脂基体の上に弾性体がある複層タイプのベルトが望ましい。この場合、樹脂基体の厚さは50〜200μm、弾性体の厚さは200μm〜1mmが望ましい。また、最表層は、離型性が高いことが好ましく、そのため、表層はフッ素系、シリコン系等の低表面エネルギーの重合体を用いて、あるいはプラズマ処理等により厚さ1μm以下の硬い層を設けることが好ましい。
中間転写体に転写された現像剤は、二次転写部(306、307)で印字媒体に転写される。307にトナーと逆極性の電圧が印加されている。309、310は熱ローラで、トナーが定着される。
(定着性評価)
評価する現像剤を現像槽102に入れ、メディア上のトナー量が3g/mになるようにソリッド画像を現像、転写条件を調整した。システム速度は180mm/sec、熱ローラの温度は180℃、NIP通過時間は40msecの条件にて画像サンプルをだした。
定着性の評価はテープ剥離試験にて行い(テープ;3Mメンディングテープ)、剥離したテープの濃度を測定し、定着性を判定した。テープ剥離前後の反射濃度をX−Rite社の濃度計を用いて測定し、前後の濃度比が95%以上のものを◎、90%以上95%未満のものは○、90%未満のものを×とした。
(耐熱保管安定性評価)
現像剤をガラス瓶に入れ、50℃で24時間保管し、保管前後の粒径を島津製作所製のSALD−2200を用いて測定した。粒径変化率(保管後の平均粒径/保管前の粒径)が1.2以下のものを○とし、1.2を超えるものを×とした。
(耐沈降性評価)
前記の実施例及び比較例で得られた湿式現像剤を、25〜30℃の環境下に1週間静置した。その後、湿式現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の沈降がまったく認められない(概ね上澄みが5%未満)。
○:トナー粒子の沈降がほとんど認められない(概ね上澄みが5〜10%)。
△:トナー粒子の沈降がわずかに認められる(概ね上澄みが10%超)。
×:トナー粒子の沈降がはっきりと認められる(概ね上澄みが40%超)。
(再分散性評価)
前記の実施例及び比較例で得られた湿式現像剤を、25〜30℃の環境下に1週間静置した。その後、湿式現像剤のトナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:傾けた程度で再分散する(そもそも沈降等発生しない)。
○:振り混ぜると再分散する。
△:スパチュラ等で強く攪拌すれば再分散する。
×:再分散しない(固化、粗粒の発生を含む)。
(粘度測定)
TAインスツルメンツ社製の回転型レオメータARES-RFSを用い、50mmコーンプレートで、定常ずり速度1sec-1及び1000sec-1で測定した。測定温度は25℃である。
(結果)
以上の結果を表2−1,表2−2,表3−1及び表3−2に示す。
Figure 2009265596
Figure 2009265596
Figure 2009265596
Figure 2009265596
アルコール成分中のPOの割合が50〜95%、粘度比が10〜10,000である実施例1〜15、18〜19は良好な定着性、耐熱保管性を有していた。また、実施例16,17のように粘度比が10より小さくなると、沈降し易くなる。ただ、アルコール成分中のPOの割合が50〜95%の範囲内であり、良好な再分散性が得られる結果、高い保管性を有していた。また、実施例2、5、11、14、16のように酸成分としてTMA量を含むと定着性がさらに向上した。
一方、アルコール成分中のPOの割合が95%を超える比較例1、3、4では、定着性も耐熱保管性も低下した。また、アルコール成分中のPOの割合が5%より少ない比較例2、5では、保管性は良好であったものの定着性が不良であった。しかし、比較例1〜3は粘度比を大きくチキソ性が高いため、耐沈降性が向上した。一方、比較例4〜5はチキソ性が低く沈降が発生した。特に、PO比が97.5%と95%を超える比較例5では、定着性、保管性、耐沈降性、再分散性のいずれも低下した。
表3−2は、トナー濃度の影響を示している。アルコール成分中のPOの割合が50〜95%、粘度比が10〜10,000であれば、トナー濃度を50重量%まで高くしても定着性、保管性、耐沈降性、再分散性のいずれも良好であった。
湿式画像形成装置の構成の一例を示す模式図である。 湿式画像形成装置の構成の別の例を示す模式図である。
符号の説明
100 現像槽
101 規制ブレード
102 現像液
103 現像ローラ
201 像担持体
202 クリーニングブレード
203 帯電装置
204 露光装置
301 中間転写体
302 1次転写ローラ
305 ベルト搬送ローラ
306 対向ローラ
307 二次転写ローラ
308 テンションローラ
309 熱ローラ
310 熱ローラ

Claims (5)

  1. 少なくとも着色剤とバインダー樹脂とからなるトナー粒子を分散剤を用いて不揮発性のキャリア液に分散してなる湿式現像剤であって、
    上記バインダー樹脂がポリエステル樹脂であり、該ポリエステル樹脂のアルコール成分がビスフェノールAエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物との混合物を含み、その比率が1:19〜10:10(重量比)である湿式現像剤。
  2. 定常ずり速度が1sec−1における湿式現像剤の粘度ηと1000sec−1における湿式現像剤の粘度η1000との粘度比(η/η1000)が,10〜10,000である請求項1記載の湿式現像剤。
  3. 上記分散剤が塩基性基を有する高分子分散剤である請求項1又は2に記載の湿式現像剤。
  4. 上記高分子分散剤がアミド基、メチロール基、ピリジン基、ピロリドン基、イミダゾール基、イミン基及びアミノ基からなる群から選択された少なくとも1種の塩基性基を有する請求項3記載の湿式現像剤。
  5. 上記ポリエステル樹脂のガラス転移点が60℃以上である請求項1から4のいずれか一つに記載の湿式現像剤。
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