JP2018183110A - 餅およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】餅の食味を変化させることなく、簡便な方法で、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法の提供。
【解決手段】保存料を含まず、混捏から3日後の硬度が3N以下である餅であって、蒸かしたもち米、もち米の粉末または上新粉に微細気泡含有のウルトラファインバブル水を加えて混捏する餅の製造方法。なお、微細気泡が窒素ガス気泡であり、その平均径が25nm〜0.5μmの範囲である餅の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法に関するものである。
もち米やもち米の粉末、上新粉を蒸かした後、混捏することで得られる餅は、我が国の伝統的な食品の一つである。現代でも、餅は、正月に食卓に供されるように、特別な祝事の日、すなわちハレの日に食べる食材として扱われたり、あるいは、厳冬期に寒風にさらすことで作られる凍み餅(しみもち)や、近代的な食品工場において生産された個包装のパック入り切餅のように、長期間保存可能な保存食として扱われることもある。また、日本国内においても、東日本では外観略直方体状の角餅や切り餅が主流である一方、西日本では外観略円形の丸餅が主に生産、消費されており、地域ごとに特色ある餅食文化が存在している。
例えば、本発明者らが暮らす岩手県一関地方では、東日本においては珍しい丸餅の餅食文化である「もち文化」が定着している。この「もち文化」の特筆すべき点としては、搗きたての柔らかい丸餅を椀に盛り、多種多様な味付けのタレや薬味を添えて御膳に所狭しと並べられた料理である、「もち本膳」あるいは「もち御膳」が知られている。
このような「もち文化」を継承していることから、一関市および隣接する平泉町は、国の「食と農の景勝地」に選ばれており、多くの観光客が「もち御膳」を食べるべく当地に足を運んでいる。
一方で、搗きたての餅が、餅特有の柔らかさと美味しさを保つことができるのは、通常、餅搗きから最長でも1日程度であり、これを過ぎると、もち米中のデンプンの老化が進行して食感が固くなり、食味も一気に低下してしまう。そのため、搗きたての柔らかく、美味しい餅を食べたいという需要があっても、作り置きができないことから、生産量を増やすことも難しく、より多くの需要者に柔らかく、美味しい餅を提供することは難しいという課題があった。
一方、従来より、餅の柔らかさを維持するための方法として、砂糖等の糖類、デンプンを分解するマルターゼ等の酵素や乳化剤等を餅に添加する方法が知られている。しかしながら、上記の添加剤を餅に添加すると、餅本来の食味が損なわれ、食味が変化するため、これらの方法を適用することができるのは、餅菓子や甘い味付けの餅料理に限られてしまうという問題があった。
そこで、これまでに餅の食味を変化させることなく、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法が様々に検討されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された餅の製造方法では、ゲル化剤の一種である脱アシル化ジェランガムと水を加えたもち米、もち米の粉末もしくは上新粉を蒸気によって加熱しながら混捏することにより餅状体を形成し、この餅状体の温度がデンプン分解酵素の失活温度以下になった時点で上記のデンプン分解酵素を添加し、餅成分の結合を剪断するように攪拌することを特徴としている。この方法によれば、餅搗きから1ヶ月以上放置しても搗きたての柔らかさを維持することができ、焼いたり、蒸したりする手間をかけずにいつでも、作り立ての餅を食することができるとされている。
特開2016−093177号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、脱アシル化ジェランガムやデンプン分解酵素等の添加物を必ず添加する必要があり、雑味が生じるおそれがあった。例えば、デンプン分解酵素がデンプンを分解すると、甘みを呈するマルトースが生成されることから、これらの添加物による食味の変化が懸念されるが、特許文献1では食味の変化についての検討が必ずしも十分ではないという問題があった。また、上記の添加物により、餅の製造コストが増大するという問題があった。さらにまた、1ヶ月以上放置しても食べることができるのは、レトルトパウチに餅を封入し、レトルト釜で加熱殺菌した場合に限られ、単に、食品用シール袋に脱酸素剤やアルコール式の防腐剤とともに餅を密封しただけでは、従来同様日持ちしないという問題があった。
一方、本発明者らは、搗きたての餅を提供する場合、最低でも2〜3日間程度柔らかい餅を提供できる期間を延ばすことができれば、多くの需要者に柔らかい餅を提供することができると考え、簡便な方法で、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法を実現することができる技術の開発を試みた。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、餅の食味を変化させることなく、簡便な方法で、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題に対応するための検討を鋭意進めたところ、蒸したもち米等を混捏する際に、微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を加えることによって、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅が得られることを見出した。しかも、本発明者らは、このようにして得られた餅では、一般的な菓子の包装等に用いられている食品用シール袋に、脱酸素剤やアルコール式の防腐剤とともに餅を密封し、常温の室内に放置しておくと、従来の製造方法により得られた餅と比較してカビが発生しにくいことも見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成されている。
本発明の餅は、保存料を含まず、混捏から3日後の硬度が3N以下であることを特徴とする。
本発明の餅の製造方法は、蒸かしたもち米、もち米の粉末または上新粉に、微細気泡含有のウルトラファインバブル水を加えて混捏することを特徴とする。
また、本発明の餅の製造方法では、前記ウルトラファインバブル水に含まれる前記微細気泡が窒素ガス気泡であることが好ましく考慮される。
さらに、本発明の餅の製造方法では、前記ウルトラファインバブル水に含まれる前記微細気泡の平均径が25nm以上0.5μm以下の範囲であることが好ましく考慮される。
また、本発明の餅の製造方法では、前記混捏工程は、杵搗きまたは回転式餅搗きによる混捏であることが好ましく考慮される。
本発明によれば、餅の食味を変化させることなく、簡便な方法で、餅搗き後に長時間放置しても固くなりにくい餅およびその製造方法を提供することができる。
ウルトラファインバブル水中における微細気泡の平均径と気泡径の分布の測定結果を示したグラフである。 本発明の餅の製造方法において、ウルトラファインバブル水に含有される微細気泡のガス種の違いによる餅の柔らかさの変化を示したグラフである。 本発明の餅の製造方法において、窒素ガス気泡の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を蒸かしたもち米に添加し、搗き方の違いによる餅の柔らかさの変化を示したグラフである。 (A)は、窒素ガス気泡の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を加えて、回転式餅搗きによる混捏を行い製造した餅の、倍率50倍の光学顕微鏡で観察、撮影した画像を示している。(B)は、(A)と同様にして製造した餅のX線CTスキャン像である。 (A)(B)(C)(D)は、それぞれ実施例および比較例の餅を液体窒素にて凍結し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察、撮影した画像を示している。 (A)は、市販の食品用シール袋に、脱酸素剤やアルコール式の防腐剤とともに実施例および比較例の餅を密封して常温の室内に放置した餅搗きから4日後の餅を示した写真である。(B)は、餅搗きからの経過日数とカビの発生割合の関係を示したグラフである。
以下に本発明の餅およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の餅は、保存料を含まず、混捏から3日後の硬度が3N以下であることを特徴としている。
本明細書中において、「餅」とは、蒸かしたもち米を混捏して製造される搗き餅、もち米の粉末または上新粉に水を加えて混捏したのち、蒸かして製造される練り餅の両方を包含する食品を意味している。もち米については、その生産年度や品種などが異なるものであっても、適宜使用することが可能である。一般に、生産年度の新しいもち米を用いた方が、得られる餅が柔らかくなる。
搗きたての柔らかい餅における水分率としては、例えば、48〜51%の範囲が例示される。水分率が51%超の場合、自由水の多さから、細菌類が発生しやすくなり、しかも餅が水っぽくなるため食味も低下する。また、水分率が48%未満の場合、餅が硬くなりやすく、食味が低下する。
餅の形状については特に限定されることはなく、例えば、丸餅、角餅、伸し餅等が例示される。
また、従来、餅の製造に使用される保存料としては、例えば、砂糖等の糖類、デンプン分解酵素等の酵素、増粘多糖類等が例示されるが、本発明の餅は、これらの保存料を一切含んでいない。
餅の硬度は、例えば、垂直方向に一定の速さで一定の距離、押圧プローブ等を押し込んだときのピーク荷重を指標にして評価することが例示される。具体的には、公知のテクスチャーアナライザー等の硬度測定装置を用い、速度120mm/minで直径8mmの円柱形(長さ20mm)の押圧プローブ(先端治具)を測定試料である餅に押圧し、餅の変形量がその厚みに対して50%に達した時点における荷重Nを測定する方法が例示される。
本実施形態においては、混捏して製造した餅を容器に載置し、容器ごとガスバリア性を備えた食品用シール袋に入れて密封し、これを室温で放置し、混捏、すなわち、餅搗きから1日後から6日後まで、上記のとおりの方法に基づく餅の硬度の測定を毎日行い、餅の硬度が3N以下である場合に、搗きたての柔らかさを維持していると判定する。
食品用シール袋としては、例えば、水蒸気透過性の少ないものや酸素バリア性を備えたもの等を適宜使用することができる。また、食品用シール袋には、市販の脱酸素剤やアルコール式の防腐剤などを封入したり、窒素ガスのような不活性ガスを充填することも考慮される。なかでも、食品用シール袋に窒素ガスを充填することは、丸餅の形状維持の観点から好ましい。さらにまた、食品用シール袋を密閉する際には、袋の端部を熱融着させるラミネート包装等の方法を適宜適用することが可能である。
このような餅の製造方法は、蒸かしたもち米、もち米の粉末または上新粉(以下、蒸かしたもち米等と表記する)に、微細気泡含有のウルトラファインバブル水を加えて混捏することを特徴としている。
一般に、もち米、もち米の粉末または上新粉に含まれるデンプンの一種であるアミロペクチンは、加水と加熱により膨潤し、粘性が増大、糊化(アルファー化)する。この状態で、蒸かしたもち米、もち米の粉末または上新粉を混捏して、剪断応力をかけることにより、粘りのある柔らかい餅が得られる。
一方、得られた餅を放置しておくと、膨潤、アルファー化したアミロペクチンが凝集し、次第に結晶化して加熱調理前の状態に戻って硬くなる。これを「アルファー化」に対して「ベータ化」あるいは「老化」と呼称する。そのため、餅中のアミロペクチンの結晶化を制御することができれば、餅の硬化を抑制することができると考えられる。
本発明者らは、アミロペクチンがアルファー化しているもち米に、混捏により剪断応力をかける際に、微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を加えて混捏することで、餅の硬化が抑制され、室温保存で3日後であっても餅の硬度が3N以下であることを見出した。
ファインバブル水は、微細気泡を含有する水の総称であり、微細気泡の平均径によって、例えば、マイクロバブル水、ナノバブル水などと呼称されている。通常、水中における気泡の平均径は50μm以上であり、このような平均径の比較的大きな気泡は、発生直後は水中にとどまるものの、比較的短時間のうちに水面に上昇し、やがて液外へと放出される。また、マイクロバブルと呼ばれる、平均径が0.5μm超50μm未満の微細気泡の場合、上記の平均径の大きな気泡と比較すると、微細気泡として水中に存在する時間は長いが、やがて水中にて圧壊し、消滅する。一方、平均径が0.5μm以下の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水においては、微細気泡が溶液中に溶け込むことなく自由に浮遊し、熱運動をする水分子とのランダムな衝突により、ブラウン運動をする。また、微細気泡は、容易には消滅せず長時間にわたって水中にとどまり続ける。さらにまた、微細気泡においては、表面電荷がマイナスに荷電しており、圧壊する際には、スーパーオキサイドアニオンラジカルやヒドロキシラジカル等の活性酸素種を生じると考えられている。これら酸化力、殺菌力の強いラジカルを副産物として生成することにより、ウルトラファインバブル水には洗浄力や殺菌力が備わっていると考えられる。
このように、平均径が0.5μm以下の微細気泡を含有することにより、原料液である水に多様な機能性が付与されることから、ウルトラファインバブル水は、例えば、精密電子部品や自動車部品の脱脂、水洗、薄く熱に弱いガラスやフィルムの洗浄、魚介類の養殖や農作物の水耕栽培、医療・福祉分野における除菌・殺菌・消臭、食品の殺菌・改質など様々な分野に適用可能である。
ウルトラファインバブル水には、例えば、1mLあたり2.0×10個〜5.0×10個の微細気泡が含有されていることが例示される。また、前記微細気泡の気泡径としては、例えば、25nm以上0.5μm以下の範囲が例示される。
本実施形態の餅の製造方法に用いるウルトラファインバブル水は、例えば、図1に示したように、平均径が154nm程度、最小で気泡径が25nm程度の微細気泡を含み、しかも水1mLあたり3.81×10個もの微細気泡を含有している。このようなウルトラファインバブル水は、従来公知のウルトラファインバブル水製造装置を用いて製造することが可能である。また、微細気泡の平均径については、例えば、ナノ粒子解析装置(NANOSIGHT、Malvern社製)等の測定機器を用いて測定することができる。
ウルトラファインバブル水には、種々の気体を混合あるいは溶解させて気泡を形成することで原料液である水に多様な機能性を付与することが可能である。微細気泡のガス種は、餅の食味に影響を及ぼさない限り特に限定されないが、例えば、水素ガス気泡、空気気泡、窒素ガス気泡等が例示される。中でも、扱いが容易な不活性ガスであることから、ウルトラファインバブル水に含まれる微細気泡が窒素ガス気泡であることが好ましく考慮される。窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いて、蒸かしたもち米等を混捏すると、餅中の空気が窒素ガスに置換されるため、餅中の酸素濃度が低下し、酸化が抑制されたり、好気性細菌の繁殖が抑制されると考えられる。
ウルトラファインバブル水の添加量としては、例えば、蒸かしたもち米等の重量100gに対し、10〜20mL程度であることが例示される。ウルトラファインバブル水では、微細気泡が圧壊する際に、質量比2〜3%の水を揮散するので、微細気泡を含有していない水を用いて混捏する場合と比較して、10〜50%程度添加量を増加させることが好ましく考慮される。また、ウルトラファインバブル水の添加量については、もち米等の生産年度や品種などに応じて適宜加減することが好ましく考慮される。
ウルトラファインバブル水を添加する際の、蒸かしたもち米等の温度については、例えば、80〜120℃の範囲であることが例示される。蒸かしたもち米等の温度が120℃超の場合、添加したウルトラファインバブル水中の微小気泡が揮散しやすくなり、餅の硬化の抑制効果が低下するおそれがある。また、蒸かしたもち米等の温度が80℃未満の場合、餅の混捏が不十分となり、餅中にもち米の粒が粗い状態で残るなどして食感が低下するおそれがある。
蒸かしたもち米等の混捏工程は、適度な柔らかさを備えた餅を搗くことができる限り特に限定されないが、例えば、杵搗きまたは回転式餅搗きによる混捏であることが好ましく考慮される。杵搗きによる混捏では、押しつぶし等により、ウルトラファインバブル水中の微細気泡が比較的圧壊しやすく、微細気泡量が減少しやすいと考えられる。一方、回転式餅搗きによる混捏では、餅を攪拌ジャーの内部で回転翼等を用いて高回転させることにより、杵搗きによる混捏よりもウルトラファインバブル水中の微細気泡の圧壊が押さえられ、しかも餅の内部にウルトラファインバブル水中の微細気泡が取り込まれ、アミロペクチンの側鎖を延伸切断していると考えられる。そのため、回転式餅搗きによる混捏は、杵搗きによる混捏よりも餅の硬化速度が遅いと考えられ、好ましい。なお、杵搗きについては人手で行ってもよいし、機械式で行ってもよい。
以下に本発明の餅の製造例を実施例として示すが、本発明の餅は実施例に限定されるものではない。すなわち、混捏した餅を、単に、丸餅、角餅、切餅、のし餅等に成形したものであってもよいし、成形した餅の表面に餡がかけられていたり、餅の内部に餡が包餡されているものであってもよい。
<1.微細気泡のガス種による餅の硬度変化>
(実施例1)
洗米したもち米1500gを水道水に24時間浸けた後、水気を切り、蒸し布で包み、せいろを用いて蒸かした。蒸かしたもち米に対し、平均径が154nmの窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水200mLを加え、杵搗き式の餅搗き機(ANT−L−09、株式会社品川工業所製)で混捏し、餅を得た。
(実施例2)
窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水の代わりに、平均径が約200nmの水素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いたこと以外は実施例1と同様にして餅を得た。
(実施例3)
窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水の代わりに、平均径が約100nmの空気の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いたこと以外は実施例1と同様にして餅を得た。
(実施例4)
窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水の代わりに、平均径が約150nmの炭酸ガス(二酸化炭素)の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いたこと以外は実施例1と同様にして餅を得た。
(比較例1)
窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水の代わりに、150ccの水道水を用いたこと以外は実施例1と同様にして餅を得た。
実施例1〜4および比較例1の餅を、ただちに直径36mmの容器に20gずつ充填し、脱酸素剤やアルコール式の防腐剤とともに市販の食品用シール袋に入れ、窒素ガスを充填して密閉した。これらの餅入りの密閉された食品用シール袋を、常温の室内に放置し、餅搗きから1日後〜6日後の餅の硬度を、テクスチャーアナライザーとして卓上型試験機(STA−1150、株式会社オリエンテック製)を用いて測定した。具体的には、速度120mm/minで直径8mm、長さ20mmの円柱形の押圧プローブ(先端治具)を、食品用シール袋越しに測定試料である餅に押圧し、餅の変形量がその厚みに対して50%に達した時点における荷重Nを測定した。餅の硬度が3N以下である場合に、搗きたての柔らかさを維持していると判定した。結果を図2に示す。
図2に示したように、様々なガス種の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いて混捏した実施例1〜4の餅については、いずれも硬化の抑制が確認された。ただ、水素の微細気泡を含有する実施例1と比較すると、空気の微細気泡を含有する実施例2と、窒素の微細気泡を含有する実施例3の方が、餅の硬化の抑制効果が若干高いことが確認された。また、実施例2と実施例3とでは、餅の酸化抑制の観点から、窒素ガスの微細気泡を含有する実施例3の方が望ましいと考えられる。また、炭酸ガスの微細気泡を含有する実施例4の餅では、餅の硬化の抑制効果が最も高かったが、食味の変化が生じ、酸味が増すことが確認された。これは、炭酸ガスが餅内に溶解したことにより、pHが酸性側に傾いたことによるものと考えられる。
一方、ウルトラファインバブル水を使用していない比較例1の餅では、混捏から2日後には餅の硬度が約8Nに達し、所期の効果が得られないことが確認された。
以上の結果を踏まえ、以降の試験では、窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いて混捏した餅を実施例とした。
<2.餅の搗き方による餅の硬度変化>
(実施例5)
餅搗き機として、杵搗き式の代わりに回転式の餅搗き機(MM−2−01、株式会社品川工業所製)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして餅を得た。
(比較例2)
ウルトラファインバブル水の代わりに、微細気泡を含有しない水道水を用い、杵搗き式の代わりに回転式の餅搗き機を用いたこと以外は、実施例3と同様にして餅を得た。
実施例3、5および比較例1、2の4種類の餅について、上記1.の試験と同様にして食品用シール袋に密閉し、テクスチャーアナライザーを用いて硬度の測定を行った。結果を図3に示す。
図3に示したように、窒素の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を加えて混捏した実施例3、5の餅は、ウルトラファインバブル水の代わりに、水道水を加えて混捏した比較例1、2の餅より硬化速度が遅くなることが確認された。
また、窒素の微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を加えて混捏した場合、回転式餅搗きで混捏した実施例5の餅が、杵搗きで混捏した実施例3の餅より硬化速度が遅くなり、実施例5の餅では、餅搗きから3日後における硬度が3N以下であることが確認された。
一方、ウルトラファインバブル水の代わりに、水道水を加えて混捏した場合、杵搗きで混捏した比較例1の餅が、回転式餅搗きで混捏した比較例2の餅より硬化速度が遅くなることが確認された。なお、比較例1、2ではいずれの場合も餅搗きから3日後における硬度が5N以上であることが確認された。
<3.餅の形状観察>
実施例5の製造方法で得られた餅について、上記1.の試験と同様にして、食品用シール袋に密閉し、混捏から1日後に袋から取り出し、手で左右に引き延ばし、倍率50倍の光学顕微鏡で観察、撮影した。光学顕微鏡像を図4(A)に示す。
図4(A)に示したように、アルファー化したデンプンが、張力により延伸され、この延伸された部分には、平均径がmmオーダーの白色の気泡が多数存在することが確認された。
続いて、実施例5の製造方法で得られた餅について、上記1.の試験と同様にして食品用シール袋に密閉し、混捏から1日後に袋から取り出し、乾燥防止のため食品用ラップで包み、X線CTスキャン(TOSCANER−31302UC、東芝ITコントロールシステム株式会社製)による撮像を行った。X線CTスキャン像を図4(B)に示す。
図4(B)に示したように、平均径がmmオーダーの白色の気泡が多数存在することが確認された。このような平均径の大きな気泡については、回転式による混捏により、蒸かしたもち米等が剪断され、空気が巻き込まれることによって生じていると考えられる。
また、混捏から1日後の実施例5および比較例2の餅を、液体窒素で凍結させた後、凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡(SU3500、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)による観察、撮像を行った。観察は、15kVの加速電圧、スポットサイズ50、30Paの低真空状態で行った。図5(A)(B)(C)(D)に、倍率200倍および倍率1000倍でのSEM像を示す。
図5(A)(B)に示したように、ウルトラファインバブル水を用いていない比較例2の餅では、気泡径が40μm〜400μmの比較的大きな気泡がわずかに存在することが確認された。一方、図5(C)(D)に示したように、窒素ガスの微細気泡を含有するウルトラファインバブル水を用いて混捏した実施例5の餅では、気泡径が40μm〜400μmの比較的大きな気泡に加えて、気泡径が数μm以下の微細気泡を確認することができた。
<4.ウルトラファインバブル水による餅へのカビ発生抑制試験>
実施例5の製造方法で得られた餅について、長さ21.5cm、幅12cm、高さ3.5cmの容器に20gの団子状に成形したものを、間隔を空けて合計8個配置し、上記1.の試験と同様にして、食品用シール袋に密閉したまま、混捏から1日後〜7日後まで餅の外観を観察し、カビの発生割合を計測した。なお、ここでいうカビの発生割合とは、8個の餅のうち何個の餅にカビが生じたかを観察、計測し、その割合を算出したものを意味している。また、対照区として、比較例2の餅を実施例5と同様に成形して、食品用シール袋に密閉したまま、餅搗きから1日後〜7日後まで餅の外観を観察し、カビの発生割合を算出した。結果を図6(A)(B)に示す。
図6(A)(B)に示したように、実施例5の餅では、餅搗きから4日後まで全くカビが生じなかった。その後、餅搗きから5日後にはじめてカビが生じたが、その発生割合は5%であった。また、実施例5の餅では、餅搗きから6日後、7日後になっても、カビの発生割合は約7.5%にとどまり、ウルトラファインバブル水を用いて混捏することにより、餅に顕著なカビ発生抑制効果が付与されていることが確認された。
一方、比較例2の餅では、餅搗きから3日後までは実施例2と同様カビが発生しなかったが、餅搗きから4日後にカビが生じ、その発生割合は10%であった。さらに、比較例2の餅では、餅搗きから5日後には、急激にカビが増殖し、発生割合が30%に達した。最終的に、餅搗きから7日後には、カビの発生割合が50%に達した。
<5.餅の硬さについての官能評価>
実施例3、5および比較例1、2の餅について、餅搗きから3日後の餅の硬さについて、モニターが官能評価した。
結果を表1に示す。
表1に示したように実施例3および実施例5の餅では、モニターは、餅搗きから3日後であっても、触れた際の感触が柔らかいと評価した。特に、回転式の餅搗き機で混捏した実施例5の餅では、モニターは、杵搗き式の餅搗き機で混捏した実施例3の餅よりさらに柔らかいと評価した。
しかしながら、比較例1、2の餅については、硬く、未調理の切り餅のようであるとモニターが評価した。

Claims (5)

  1. 保存料を含まず、混捏から3日後の硬度が3N以下であることを特徴とする餅。
  2. 蒸かしたもち米、もち米の粉末または上新粉に微細気泡含有のウルトラファインバブル水を加えて混捏することを特徴とする餅の製造方法。
  3. 前記ウルトラファインバブル水に含まれる前記微細気泡が窒素ガス気泡であることを特徴とする請求項2に記載の餅の製造方法。
  4. 前記ウルトラファインバブル水に含まれる前記微細気泡の平均径が25nm以上0.5μm以下の範囲であることを特徴とする請求項2または3に記載の餅の製造方法。
  5. 前記混捏工程は、杵搗きまたは回転式餅搗きによる混捏であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の餅の製造方法。
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