JP2018180339A - 撮像レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型、低背、低Fナンバーであり、望遠比が小さく、高い解像性能を備える撮像レンズを提供する。【解決手段】物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、正の屈折力を有する第5レンズL5と、第6レンズL6とから構成されており、光学全長をTTLとし、撮像レンズ全系の焦点距離をfとし、第6レンズL6の物体側の面の曲率半径をr11としたとき、次の条件式を満足する。0.6<TTL/f<1.0、0.7<|r11|/f<2.0【選択図】図1

Description

本発明は、撮像装置に使用されるCCDセンサやC-MOSセンサの固体撮像素子上に被写体の像を結像させる撮像レンズに関するものである。
近年、家電製品や情報端末機器、自動車や公共交通機関にカメラ機能が搭載されることが一般的となった。そして、今後もカメラ機能を融合させた商品の需要はますます高まる状況にあり、様々な商品開発が進んでいる。
このような機器に搭載される撮像レンズは、小型化、低背化、高画素化に対応し、明るいレンズ系であり、解像性能が高いことが求められている。例えば、以下の特許文献1、特許文献2には6枚で構成された撮像レンズが開示されている。
特許文献1には、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力の第1レンズと、屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力の第3レンズと、屈折力を有する第4レンズと、両面が非球面で像側の面が凹形状の屈折力を有する第5レンズと、両面が非球面で像側の面の近軸領域が凹形状で軸外領域が凸形状の第6レンズとからなり、小型で明るく、高性能化を目指した撮像レンズが開示されている。
特許文献2には、物体側より順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力の第1レンズと、負の屈折力の第2レンズと、物体側面と像側面が非球面で屈折力を有する第3レンズと、負の屈折力を有する第4レンズと、物体側面と像側面が非球面で屈折力を有する第5レンズと、物体側面が凹面で像側面が凸面で両面が非球面の第6レンズとからなり、小型化、高性能化を目指した撮像レンズが開示されている。
米国特許第9507126号明細書 中国特許公開第106324799号公報
上記特許文献1に記載の撮像レンズは、明るいレンズ系の実現を目標としているものの、望遠比(光学全長と焦点距離の比率)が大きすぎるという問題が残っている。
上記特許文献2に記載の撮像レンズは、Fナンバーが2.6〜3.0で高画素化が進む撮像素子に十分対応できる明るさを確保しているとは言えず、これも課題が残るものである。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、小型、低背、低Fナンバーの要求を満足するとともに、望遠比が小さく、諸収差が良好に補正された高い解像性能を備える撮像レンズを提供することを目的とする。
なお、本発明において使用する用語に関し、レンズの面の凸面、凹面、平面とは光軸近傍(近軸)における形状を指し、屈折力とは、光軸近傍(近軸)における屈折力を指し、極点とは、接平面が光軸と垂直に交わる光軸上以外における非球面上の点を指す。さらに、光学全長とは、最も物体側に位置する光学素子の物体側の面から撮像面までの光軸上の距離として定義し、撮像レンズと撮像面との間に配置されるIRカットフィルタやカバーガラス等の厚みは、空気換算するものとする。
本発明による撮像レンズは、正の屈折力を有する第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズと、第6レンズとから構成され、光学全長をTTL、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(1)を満足するよう構成される。
(1)0.6<TTL/f<1.0
上記構成の撮像レンズは、第1レンズの正の屈折力を強めることで低背化を図り、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズで低背化を維持しながら、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲等の諸収差をバランスよく補正する。また、正の屈折力を有する第5レンズで、さらなる低背化を図り、第6レンズでバックフォーカスを適切に確保しながら歪曲収差を補正する。
条件式(1)は、望遠比を規定するものである。条件式(1)の上限値を下回ることで、光学全長を短くでき、小型化を実現することが容易になる。一方、条件式(1)の下限値を上回ることで、像面湾曲や軸上色収差の補正が容易になり、良好な光学性能を維持することができる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズは、光軸近傍で物体側に凹面を向けた形状であることが望ましい。
第4レンズの物体側の面を光軸近傍で凹形状とすることで、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲の補正をより良好なものとする。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第5レンズは、物体側の面および像側の面が光軸近傍でともに凸形状であることが望ましい。
第5レンズの物体側の面と像側の面を、光軸近傍でともに凸形状とすることで、正の屈折力を強め、撮像レンズの低背化を容易にする。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズの物体側の面の曲率半径をr11、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2)0.7<|r11|/f<2.0
条件式(2)は、第6レンズの物体側の面の光軸近傍における形状を規定するものである。条件式(2)の範囲を満足することで、撮像レンズの低背化を維持しながら適切なバックフォーカスを確保できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離をt3、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)10<(t3/f)×100<20
条件式(3)は、第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離を適切な範囲に規定するものである。条件式(3)の範囲を満足することで、光学全長を短く抑制しながら、第4レンズへの光線入射角を適切にし、球面収差、コマ収差、歪曲収差の過剰な発生を抑える。また、第4レンズにおいて諸収差の補正を容易にする。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズは、像側の面を光軸近傍で凸形状とすることが望ましい。さらに、第4レンズの物体側の面の曲率半径をr7、像側の面の曲率半径をr8としたときに、以下の条件式(4)を満足することがより望ましい。
(4)0<r7/r8<0.4
条件式(4)は、第4レンズの光軸近傍における形状を規定するものであり、像側の面の曲率半径を物体側の面の曲率半径よりも十分大きく設定することを意味している。第4レンズの像側の面を光軸近傍で凸形状とした場合は、物体側の面は光軸近傍で凹面のメニスカス形状になる。その際、条件式(4)の範囲を満足することで、第4レンズの物体側の面で発生した球面収差を像側の面で補正することができる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズの物体側の面の曲率半径をr3、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5)1.5<|r3|/f<32.0
条件式(5)は、第2レンズの物体側の面の光軸近傍における形状を規定するものである。条件式(5)の範囲を満足することで、コマ収差と非点収差を良好に補正できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズは負の屈折力を有していることが望ましい。さらに、第6レンズの焦点距離をf6、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(6)を満足することがより望ましい。
(6)−2.0<f6/f<−1.0
条件式(6)は、第6レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(6)の範囲を満足することで、歪曲収差を良好に補正しながら、適切なバックフォーカスを確保できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離をt3、第4レンズの像側の面から第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離をt4としたときに、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
(7)1.0<t3/t4<3.2
条件式(7)は、第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離と第4レンズの像側の面から第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離との比を適切な範囲に規定するものである。条件式(7)の範囲を満足することで、第4レンズが適切な位置に配置され、当該レンズにおける諸収差の補正を容易なものとする。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズのd線に対するアッベ数をνd1、第2レンズのd線に対するアッベ数をνd2としたときに、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
(8)20<νd1−νd2<50
条件式(8)は、第1レンズおよび第2レンズのd線に対するアッベ数の関係を規定するものである。条件式(8)の範囲を満足する材料を採用することで、色収差を良好に補正できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、入射瞳半径をEPsd、光学全長をTTL、最大像高をih、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
(9)0.45<(EPsd×TTL)/(ih×f)<0.75
条件式(9)は、撮像レンズの望遠比と明るさの関係を規定するものである。条件式(9)を満足することで、画面中心から周辺まで十分に明るい画像が得られる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第5レンズの物体側の面の曲率半径をr9、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
(10)2.0<|r9|/f<7.0
条件式(10)は、第5レンズの物体側の面の光軸近傍における形状を規定するものである。条件式(10)の範囲を満足することで、非点収差を良好に補正できる。また、バックフォーカスを確保しながら撮像レンズの低背化が維持できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズの焦点距離をf1、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
(11)0.2<f1/f<0.8
条件式(11)は、第1レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(11)の範囲を満足することで、撮像レンズの低背化が容易となる。また、第1レンズの正の屈折力が過剰に強くなることを防止し、第1レンズで発生する高次の球面収差やコマ収差を抑制する。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第2レンズは、光軸近傍で像側の面が凹形状で負の屈折力を有することが望ましい。さらに、第2レンズの焦点距離をf2、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(12)を満足することがより望ましい。
(12)−1.5<f2/f<−0.4
条件式(12)は、第2レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。第2レンズの像側の面を、光軸近傍で凹形状とし、条件式(12)の範囲を満足することで、第1レンズで発生する球面収差、および色収差を良好に補正できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第1レンズの光軸上の厚みをd1、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(13)を満足することが望ましい。
(13)0.15<d1/f<0.25
条件式(13)は、第1レンズの光軸上の厚みを適切な範囲に規定するものである。条件式(13)の範囲を満足することで、屈折力が適切に設定され、撮像レンズの低背化が容易となる。また、第1レンズの成型性が良好に保たれる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズは負の屈折力を有していることが望ましい。さらに、第4レンズの焦点距離をf4、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたときに、以下の条件式(14)を満足することがより望ましい。
(14)−1.7<f4/f<−0.6
条件式(14)は、第4レンズの屈折力を適切な範囲に規定するものである。条件式(14)の範囲を満足することで、像面湾曲の補正が容易となる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第6レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離(バックフォーカス)をbf、光学全長をTTLとしたときに、以下の条件式(15)を満足することが望ましい。
(15)0.15<bf/TTL<0.25
条件式(15)は、光学全長に対するバックフォーカスの量を適切な範囲に規定するものである。条件式(15)の範囲を満足することで、十分に低背化しながら、適切なバックフォーカスを確保できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズのd線に対するアッベ数をνd4、第5レンズのd線に対するアッベ数をνd5としたときに、以下の条件式(16)を満足することが望ましい。
(16)20<νd4−νd5<50
条件式(16)は、第4レンズおよび第5レンズのd線に対するアッベ数の関係を規定するものである。条件式(16)の範囲を満足する材料を採用することで、色収差を良好に補正できる。
また、上記構成の撮像レンズにおいては、第4レンズ、および第6レンズはそれぞれ、負の屈折力を有することが望ましい。さらに、第4レンズの焦点距離をf4、第6レンズの焦点距離をf2としたときに、以下の条件式(17)を満足することがより望ましい。
(17)0.6<f4/f6<1.2
条件式(17)は、第4レンズと第6レンズの屈折力の比を適切な範囲に規定するものである。条件式(17)の範囲を満足することで、第4レンズと第6レンズそれぞれの負の屈折力が適切に分配されることになる。従って、諸収差の良好な補正、低背化の維持、バックフォーカスの確保が容易になる。
本発明により、低背、低Fナンバーであり、望遠比が小さく、高い解像性能を備えた小型の撮像レンズを得ることができる。
本発明の実施例1の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例1の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例2の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例2の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例3の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例3の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例4の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例4の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例5の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例5の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例6の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例6の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例7の撮像レンズの概略構成を示す図である。 本発明の実施例7の撮像レンズの球面収差、非点収差、歪曲収差を示す図である。 本発明の実施例に係る撮像レンズについて、第6レンズの像側の面に形成した極点の光軸から垂直な高さph、および第5レンズの非球面の形状を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、図3、図5、図7、図9、図11および図13はそれぞれ、本発明の実施形態の実施例1から7に係る撮像レンズの概略構成図を示している。いずれも基本的なレンズ構成は同様であるため、ここでは主に実施例1の概略構成図を参照しながら、本実施形態の撮像レンズ構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、正の屈折力を有する第5レンズL5と、第6レンズL6とで構成される。
また、第6レンズL6と撮像面IMGとの間には、赤外線カットフィルタやカバーガラス等のフィルタIRが配置されている。なお、このフィルタIRは省略することが可能である。
本実施形態の撮像レンズは、第1レンズL1、第2レンズL2、第3レンズL3で構成される正の合成屈折力を有する前群と、第4レンズL4、第5レンズL5、第6レンズL6で構成される負の合成屈折力を有する後群からなり、撮像レンズの低背化に有利なレンズ構成になっている。また、すべてのレンズ面には非球面が形成されており、諸収差の良好な補正が行われている。
第1レンズL1は、光軸Xの近傍で物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズであり、両面に形成した非球面で諸収差の発生を抑えながら、撮像レンズの低背化を図っている。第1レンズL1は、光軸Xの近傍で物体側、および像側に凸面を向けた両凸形状に形成されている。
第2レンズL2は、光軸Xの近傍で像側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズである。両面に形成した非球面で、球面収差、コマ収差、非点収差および色収差を良好に補正している。なお、第2レンズL2の屈折力は、負にすることで色収差の補正効果が得られるため、本実施形態では負に設定した実施例のみを記載したが、より低背化を望む場合は、正の屈折力を選択することも可能である。また、第2レンズL2の形状は、光軸Xの近傍で像側に凹面を向けたメニスカス形状、または、光軸Xの近傍で物体側、および像側に凹面を向けた両凹形状でもよい。実施例1から実施例4および実施例7は、第2レンズL2をメニスカス形状とした例であり、実施例5および実施例6は両凹形状とした例である。
第3レンズL3は、光軸近傍で物体側および像側ともに平面の、近軸では実質的に屈折力を有しないレンズであり、両面に形成した非球面が周辺部の収差を補正する役割を担っている。なお、実施例7も同様の例である。
実施例2から実施例6は、第3レンズL3に屈折力を持たせた例だが、第3レンズL3は、撮像レンズの中で最も弱い正、または負の屈折力に設定している。第3レンズL3に正の屈折力を持たせた例は、実施例2、および実施例3であり、負の屈折力を持たせた例は、実施例4、実施例5、および実施例6である。なお、第3レンズL3の焦点距離をf3、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたとき、すべての実施例は、条件式(a)を満足する関係になっており、第3レンズL3の屈折力が適切な範囲に抑制されている。
(a) −0.5<f/f3<0.05
なお、近軸で実質的にパワーを有しない第3レンズL3の焦点距離は無限遠となるため、条件式(a)の範囲を満たすものである。
また、第3レンズL3の光軸近傍における形状は、様々な選択が可能である。実施例2、実施例3、および実施例4は、光軸Xの近傍で物体側に凸面を向けたメニスカス形状の例であり、実施例5は、光軸Xの近傍で物体側に凹面を向けたメニスカス形状の例であり、実施例6は、光軸Xの近傍で物体側および像側に凹面を向けた両凹形状の例である。
第4レンズL4は、光軸Xの近傍で物体側に凹面を向けたメニスカス形状で、負の屈折力を有するレンズである。物体側の面に形成した非球面は、球面収差、コマ収差、非点収差を補正し、像側の面に形成した非球面は、物体側の面で発生する球面収差を補正している。また、メニスカス形状にすることで、像面湾曲の補正効果も得られている。なお、第4レンズL4の屈折力は、負にすることで色収差の補正効果も得られるため、本実施形態では、負に設定した実施例のみを記載したが、より低背化を望む場合は、正の屈折力を選択することも可能である。
第5レンズL5は、光軸Xの近傍で物体側、および像側に凸面を向けた両凸形状で、正の屈折力を有するレンズである。近軸における正の屈折力で、撮像レンズの低背化を図りつつ、バックフォーカスの量を調整している。また、両面に形成した非球面は、物体側、および像側ともに、レンズの周辺部で物体側に向かうよう変化する形状に形成されている。具体的には、図15に示すように、物体側の面において、最大画角から入射した光線が通過する位置の非球面サグ量の値はマイナスの値(光軸Xとレンズ面の交点位置よりも物体側の位置)になる様形成している。また、像側の面は、光軸Xの近傍から周辺部に至るまで凸面に形成している。このような非球面形状にすることで、第4レンズL4から出射した光線を小さな入射角で入射させるとともに、小さな出射角で第6レンズL6へ出射させることで、像面湾曲と歪曲収差の補正を容易にしている。
なお、第5レンズL5の屈折力に関して、第5レンズL5の焦点距離をf5、撮像レンズ全系の焦点距離をfとしたとき、すべての実施例は、条件式(b)を満足する関係になっており、第5レンズL5の屈折力が適切に設定されている。
(b) 1.3<f5/f<2.5
第6レンズL6は、光軸Xの近傍で物体側、および像側ともに凹面を向けた両凹形状で負の屈折力を有するレンズであり、撮像レンズの低背化を維持しながらバックフォーカスを確保し、さらに歪曲収差を補正している。両面に形成した非球面で諸収差の補正が行われている。なお、第6レンズL6の像側の面は、極点を有する非球面であり、光軸Xから離れた位置で凸面に変化したのち、有効径端まで凸面を維持する形状になっている。このような非球面形状にすることで、像面湾曲の補正と撮像面IMGへ入射する主光線の角度の制御が容易になっている。なお、第6レンズL6は、光軸Xの近傍で像側の面を凹面にすることでバックフォーカスを確保しており、さらにレンズとしての屈折力を近軸で負にすることで、さらに十分なバックフォーカスを確保している。本実施形態では、第6レンズL6を負に設定した実施例のみを記載したが、より低背化を望む場合は、第6レンズL6に正の屈折力を選択し、かつ光軸近傍で像側の面を凹面にした構成にしてもよい。
なお、第6レンズL6の像側の面に形成された極点の位置に関して、光軸Xから垂直な高さをph、最大像高をihとしたとき、本実施形態の撮像レンズは以下の条件式(c)を満足するようになっており、望ましい非球面の効果が得られている。
(c) 0.12<ph/ih<0.28
開口絞りSTは、第1レンズL1から第4レンズL4までの間に配置することで、撮像レンズの小型化と諸収差の補正、特にコマ収差の良好な補正を行っている。なお、実施例1、および実施例7は、第3レンズL3の物体側の面に、実施例2は、第2レンズL2の像側の面に、実施例3から実施例6は、第2レンズL2の物体側の面に、開口絞りSTを設定した例である。
本実施の形態に係る撮像レンズは、すべてのレンズを単レンズで構成している。従って、レンズ面を接合した接合レンズに比較して、非球面数を増やすことが容易で、より良好な収差補正が行えるようになっている。
なお、レンズ面を球面にするか非球面するかについては、要求される性能や製造容易性などを考慮して選択すればよい。
また、使用するレンズの材料に関し、実施例1から実施例6は、すべてのレンズにプラスチック材料を採用した例であり、実施例7は、第1レンズL1にガラス材料を、第2レンズL2から第6レンズL6にプラスチック材料を採用した例である。プラスチック材料を採用した場合、製造が容易になり、低コストでの大量生産が可能となる。なお、本発明においては、第1レンズL1に強い正の屈折力を与えることで低背化を容易にしているため、使用環境によっては、温度変化に応じて変化する第1レンズL1の屈折率の影響、すなわち結像位置が移動する現象に考慮が必要な場合がある。高温、または低温環境下で使用する場合、第1レンズL1の材料に屈折率の温度依存性の少ないガラス材料を採用することで、この問題を解決することができる。実施例7は、第1レンズL1にガラス材料を採用した例である。
また、本実施形態の撮像レンズは、以下の条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満足する。
(1)0.6<TTL/f<1.0
(2)0.7<|r11|/f<2.0
(3)10<(t3/f)×100<20
(4)0<r7/r8<0.4
(5)1.5<|r3|/f<32.0
(6)−2.0<f6/f<−1.0
(7)1.0<t3/t4<3.2
(8)20<νd1−νd2<50
(9)0.45<(EPsd×TTL)/(ih×f)<0.75
(10)2.0<|r9|/f<7.0
(11)0.2<f1/f<0.8
(12)−1.5<f2/f<−0.4
(13)0.15<d1/f<0.25
(14)−1.7<f4/f<−0.6
(15)0.15<bf/TTL<0.25
(16)20<νd4−νd5<50
(17)0.6<f4/f6<1.2
(a) −0.5<f/f3<0.05
(b) 1.3<f5/f<2.5
(c) 0.12<ph/ih<0.28
ただし、
TTL:光学全長
f:撮像レンズ全系の焦点距離
f1:第1レンズL1の焦点距離
f2:第2レンズL2の焦点距離
f3:第3レンズL3の焦点距離
f4:第4レンズL4の焦点距離
f5:第5レンズL5の焦点距離
f6:第6レンズL6の焦点距離
r3:第2レンズL2の物体側の面の曲率半径
r7:第4レンズL4の物体側の面の曲率半径
r8:第4レンズL4の像側の面の曲率半径
r9:第5レンズL5の物体側の面の曲率半径
r11:第6レンズL6の物体側の面の曲率半径
νd1:第1レンズL1のd線に対するアッベ数
νd2:第2レンズL2のd線に対するアッベ数
νd4:第4レンズL4のd線に対するアッベ数
νd5:第5レンズL5のd線に対するアッベ数
Fno:Fナンバー
d1:第1レンズL1の光軸X上の厚み
t3:第3レンズL3の像側の面から第4レンズL4の物体側の面までの光軸X上の距離
t4:第4レンズL4の像側の面から第5レンズL5の物体側の面までの光軸X上の距離
bf:第6レンズL6の像側の面から撮像面IMGまでの光軸X上の距離
EPsd:入射瞳半径
ih:最大像高
ph:第6レンズL6の像側の面に形成された極点の光軸Xから垂直な高さ
また、本実施形態の撮像レンズにおいて、すべての条件式を満足することが望ましいが、条件式を単独に満足することにより、条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
なお、本実施形態における撮像レンズは、以下の条件式(1a)から(16a)を満足することにより、より好ましい効果を奏するものである。
(1a)0.75<TTL/f<1.0
(2a)0.9<|r11|/f<1.8
(3a)11<(t3/f)×100<18
(4a)0<r7/r8<0.27
(5a)2.3<|r3|/f<29.0
(6a)−1.7<f6/f<−1.0
(7a)1.3<t3/t4<3.0
(8a)30<νd1−νd2<45
(9a)0.55<(EPsd×TTL)/(ih×f)<0.70
(10a)2.2<|r9|/f<6.0
(11a)0.4<f1/f<0.8
(12a)−1.5<f2/f<−0.65
(13a)0.15<d1/f<0.23
(14a)−1.5<f4/f<−0.8
(15a)0.15<bf/TTL<0.23
(16a)30<νd4−νd5<45
ただし、各条件式の符号は前々段落での説明と同様である。
本実施形態において、レンズ面の非球面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸に直交する方向の高さをH、円錐係数をk、非球面係数をA4、A6、A8、A10、A12、A14、A16としたとき数式1により表わされる。
Figure 2018180339
次に、本実施形態に係る撮像レンズの実施例を示す。各実施例において、fは撮像レンズ全系の焦点距離を、FnoはFナンバーを、ωは半画角を、ihは最大像高を、TTLは光学全長を、bfはバックフォーカス(フィルタ類は空気換算長)を、phは第6レンズL6の像側に形成された極点の光軸Xから垂直な高さを、EPsdは入射瞳半径をそれぞれ示す。また、iは物体側から数えた面番号、rは曲率半径、dは光軸上のレンズ面間の距離(面間隔)、Ndはd線(基準波長)の屈折率、νdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示す。なお、非球面に関しては、面番号iの後に*(アスタリスク)の符号を付加して示す。
(実施例1)
基本的なレンズデータを以下の表1に示す。
Figure 2018180339
実施例1の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図2は実施例1の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。球面収差図は、F線(486nm)、d線(588nm)、C線(656nm)の各波長に対する収差量を示している。また、非点収差図にはサジタル像面S(実線)、タンジェンシャル像面T(破線)におけるd線の収差量をそれぞれ示している(図4、図6、図8、図10、図12および図14においても同じ)。図2に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例2)
基本的なレンズデータを以下の表2に示す。
Figure 2018180339
実施例2の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図4は実施例2の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図4に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例3)
基本的なレンズデータを以下の表3に示す。
Figure 2018180339
実施例3の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図6は実施例3の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図6に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例4)
基本的なレンズデータを以下の表4に示す。
Figure 2018180339
実施例4の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図8は実施例4の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図8に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例5)
基本的なレンズデータを以下の表5に示す。
Figure 2018180339
実施例5の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図10は実施例5の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図10に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例6)
基本的なレンズデータを以下の表6に示す。
Figure 2018180339
実施例6の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図12は実施例6の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図12に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
(実施例7)
基本的なレンズデータを以下の表7に示す。
Figure 2018180339
実施例7の撮像レンズは、表8に示すように条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)を満たしている。
図14は実施例7の撮像レンズについて、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)を示したものである。図14に示すように、各収差は良好に補正されていることが分かる。
表8に実施例1から実施例7に係る条件式(1)から(17)、および条件式(a)から(c)の値を示す。
Figure 2018180339
本発明に係る撮像レンズを、カメラ機能を備える製品へ適用した場合、当該カメラの小型化、低背化および望遠化への寄与とともに、高性能化を図ることができる。
ST 開口絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
IMG 撮像面
IR フィルタ
ih 最大像高

Claims (14)

  1. 物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、光軸近傍で物体側に凹面を向けた第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズと、第6レンズとから構成され、以下の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    (1)0.6<TTL/f<1.0
    (2)0.7<|r11|/f<2.0
    ただし、
    TTL:光学全長
    f:撮像レンズ全系の焦点距離
    r11:第6レンズの物体側の面の曲率半径
  2. 物体側から像側に向かって順に、正の屈折力を有する第1レンズと、第2レンズと、第3レンズと、第4レンズと、物体側の面および像側の面がともに凸形状で正の屈折力を有する第5レンズと、第6レンズとから構成され、以下の条件式(1)および(3)を満足することを特徴とする撮像レンズ。
    (1)0.6<TTL/f<1.0
    (3)10<(t3/f)×100<20
    ただし、
    TTL:光学全長
    f:撮像レンズ全系の焦点距離
    t3:第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離
  3. 前記第4レンズは像側の面が光軸近傍で凸形状であり、以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (4)0<r7/r8<0.4
    ただし、
    r7:第4レンズの物体側の面の曲率半径
    r8:第4レンズの像側の面の曲率半径
  4. 以下の条件式(5)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (5)1.5<|r3|/f<32.0
    ただし、
    r3:第2レンズの物体側の面の曲率半径
  5. 以下の条件式(6)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (6)−2.0<f6/f<−1.0
    ただし、
    f6:第6レンズの焦点距離
  6. 以下の条件式(7)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (7)1.0<t3/t4<3.2
    ただし、
    t3:第3レンズの像側の面から第4レンズの物体側の面までの光軸上の距離
    t4:第4レンズの像側の面から第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離
  7. 以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (8)20<νd1−νd2<50
    ただし、
    νd1:第1レンズのd線に対するアッベ数
    νd2:第2レンズのd線に対するアッベ数
  8. 以下の条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮像レンズ。
    (9)0.45<(EPsd×TTL)/(ih×f)<0.75
    ただし、
    EPsd:入射瞳半径
    ih:最大像高
  9. 以下の条件式(10)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (10)2.0<|r9|/f<7.0
    ただし、
    r9:第5レンズの物体側の面の曲率半径
  10. 以下の条件式(11)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (11)0.2<f1/f<0.8
    ただし、
    f1:第1レンズの焦点距離
  11. 前記第2レンズは像側の面が光軸近傍で凹形状であり、以下の条件式(12)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (12)−1.5<f2/f<−0.4
    ただし、
    f2:第2レンズの焦点距離
  12. 以下の条件式(13)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (13)0.15<d1/f<0.25
    ただし、
    d1:第1レンズの光軸上の厚み
  13. 以下の条件式(14)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (14)−1.7<f4/f<−0.6
    ただし、
    f4:第4レンズの焦点距離
  14. 以下の条件式(15)を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
    (15)0.15<bf/TTL<0.25
    ただし、
    bf:第6レンズの像側の面から撮像面までの光軸上の距離

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