JP2018177993A - 硬化性有機ケイ素樹脂組成物 - Google Patents

硬化性有機ケイ素樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性、耐熱性、耐光性、及び透明性に優れた硬化性有機ケイ素樹脂組成物を提供することを目的とする。また該組成物で半導体素子を封止した半導体装置を提供することを目的とする。【解決手段】(A)R1SiO3/2単位を全シロキサン単位の合計モル数に対して30モル%以上で有し、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を0.001〜2mol/100gの範囲となる量で有し、且つ、ケイ素原子に結合した水酸基を1.0mol/100g以下となる量で有し、及び任意で−O1/2Si(R1)2−R3−Si(R1)2O1/2−単位を有するオルガノポリシロキサン、(上記式中、R1は互いに独立に、水素原子、水酸基、または炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、R3はケイ素原子を有してよい炭素数1〜12の2価炭化水素基である)(B)有機ホウ素化合物、及び(C)縮合触媒を含み、前記(B)成分の含有量が、ホウ素元素の量として該組成物全体の質量に対して0.001ppm〜50,000ppmとなる量である、硬化性有機ケイ素樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は硬化性有機ケイ素樹脂組成物、より詳細には有機ホウ素化合物を含有する縮合硬化型有機ケイ素樹脂組成物、及び該組成物の硬化物で封止された半導体装置に関する。
今日までに、縮合硬化性ポリオルガノシロキサンは接着剤、防水防湿コーティング材、電気絶縁膜、建築用シーリング材などの用途に広く利用されている。また、近年では、その高い耐熱性と耐光性、透明性などの観点から、光ダイオード(LED)の封止材としての利用が注目されている。しかしながら、縮合硬化性オルガノポリシロキサンは、付加硬化性ポリオルガノシロキサンに比べて反応性が低く、生産性に乏しい。また、反応性を向上させるために多量の縮合触媒を用いると、シリコーン樹脂の劣化も加速してしまうため、シリコーン樹脂本来の高い耐熱性や耐光性を発揮できないという問題がある。また、縮合触媒自体が色を帯びていたり、劣化により色を呈するようになったりするため、硬化物の透明性が重要な分野には不適な縮合触媒も多い。
縮合硬化性ポリオルガノシロキサンの改良、実用化についてはこれまでに様々な試みが行われている。例えば、特許文献1では1分子内にシラノール基を2個以上有するポリオルガノシロキサンと1分子内に2個以上のケイ素原子結合アルコキシ基を有するポリオルガノシロキサンにアルミニウムや亜鉛の金属触媒に加え、リン酸エステルやホウ素化合物の縮合触媒を加えることによって硬化速度の向上を図りながら、樹脂の劣化を最小限にしようとしている。また、特許文献2のように、テトラアルコキシシランまたはトリアルコキシシランの部分加水分解物と両末端シラノール基含有直鎖状ポリオルガノシロキサンに揮発性のアミン触媒を加えて硬化させることで、硬化物中に残存する触媒を低減させる試みも行われている。さらには、特許文献3のように、あらかじめ縮合性ポリオルガノシロキサンを高分子量化しておくことで、少ない反応回数でゲル化を達成させる試みもなされている。
特開2011−219729号公報 特開2016−8246号公報 特開2007−119569号公報
しかし、上記特許文献に記載の縮合硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、硬化物に高い耐熱性及び耐光性を要求される分野での適用には未だ満足できるものではなかった。例えば、特許文献1に記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、硬化物中に触媒が多量に存在するため耐熱性及び耐光性が劣り、また、組成物中に過剰なアルコキシ基が含有されていることから硬化時に反応副生成物によるガスが発生し、ボイドの原因となる。特許文献2の樹脂組成物は、アミン触媒が低温下においても縮合作用を示すため粘度変化が大きく、保存安定性及びハンドリング性に問題がある。また、厚い硬化物とする場合にはアミン触媒が十分に揮発せず、残存したアミン触媒が熱により劣化し、硬化物が茶色に変色するという問題がある。特許文献3に記載の組成物では、縮合性ポリオルガノシロキサンを高分子量化させているため、組成物の粘度が高くなるため、凹部に流し込んだ後に硬化させる用途においては不適である。
本発明は、上記事情に鑑み、硬化性、耐熱性、耐光性、及び透明性に優れた硬化性有機ケイ素樹脂組成物を提供することを目的とする。また該組成物で半導体素子を封止した半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討し、RSiO3/2単位を特定量含み、且つケイ素原子に結合した水酸基及びアルコキシ基を各々特定量で有する縮合硬化性オルガノポリシロキサンと、特定量の有機ホウ素化合物とを含む硬化性有機ケイ素樹脂組成物が、優れた硬化性を有し、且つ、高い耐熱性及び耐光性、並びに透明性を有する硬化物を与えることができることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、
(A)RSiO3/2単位を全シロキサン単位の合計モル数に対して30モル%以上で有し、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を0.001〜2mol/100gの範囲となる量で有し、且つ、ケイ素原子に結合した水酸基を1.0mol/100g以下となる量で有し、及び任意で−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−単位を有するオルガノポリシロキサン、
(上記式中、Rは互いに独立に、水素原子、水酸基、または炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、Rはケイ素原子を有してよい炭素数1〜12の2価炭化水素基である)
(B)有機ホウ素化合物、及び
(C)縮合触媒
を含み、前記(B)成分の含有量が、ホウ素元素の量として該組成物全体の質量に対して0.001ppm〜50,000ppmとなる量である、硬化性有機ケイ素樹脂組成物を提供する。
更に本発明は、該硬化性有機ケイ素樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置を提供する。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、優れた硬化性を有し、且つ、透明性、及び優れた耐熱性及び耐光性を有する硬化物を与えることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)縮合反応硬化型オルガノポリシロキサン]
本発明は、縮合反応硬化型オルガノポリシロキサンが、RSiO3/2単位を全シロキサン単位の合計モル数に対して30モル%以上で含み、ケイ素原子に結合した水酸基を1.0mol/100g以下となる量で有し、及び、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を0.001〜2mol/100gの範囲内となる量で含むことを特徴とする。該オルガノポリシロキサンは、−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−で表される構造を有していてもよい。また該オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子結合アリール基を少なくとも1つ有するのが好ましい。本発明においてケイ素原子に結合した水酸基量及びアルコキシ基量は、H−NMR及び29Si−NMRによって測定される値である。
ケイ素原子に結合した水酸基の量は、好ましくは0.8mol/100g以下である。水酸基の下限値は特に制限されず0mol/100gであってもよいが、好ましくは0.0001mol/100g以上であるのがよい。ケイ素原子に結合した水酸基の量が上記上限値超では硬化時にボイドが発生する恐れがある。
ケイ素原子に結合したアルコキシ基の量は、好ましくは0.02〜1.5mol/100gである。ケイ素原子に結合したアルコキシ基の量が上記上限値超では硬化時にボイドが発生する恐れがある。また、上記下限値未満では基材と硬化物との接着性が低下する恐れがある。
該オルガノポリシロキサンは25℃で固体、半固体、又は液体のいずれであってもよい。また、該オルガノポリシロキサンは、重量平均分子量(Mw)2,000〜100,000を有することが好ましく、より好ましくは3,000〜50,000である。分子量が下限値未満では、得られる組成物が硬化しない恐れがある。また分子量が上記上限値超では組成物のポットライフが悪化する恐れがある。
なお、本発明において重量平均分子量(Mw)は、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量である。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
(A)成分は、上記の通り、RSiO3/2単位(T単位)を全シロキサン単位の合計モル数に対して30mol%以上で含み、−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−で表される単位を有していてもよい、オルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの構造は特に制限されるものでないが、好ましくはラダー構造またはレジン構造を有する。T単位の量は30mol%以上100mol%以下であってよいが、好ましくは30〜80mol%である。前記式中、Rは水素原子、水酸基、または炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、Rはケイ素原子を有していてもよい炭素数1〜12の2価炭化水素基である。−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−で示される単位の含有割合は全シロキサン単位の合計モル数に対して0〜70mol%であるのがよい。尚、本発明における全シロキサン単位には、RSiO3/2単位、SiO4/2単位、R(RSiO2/2単位、及び(RSiO1/2単位に加えて、−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−単位が包含される。
は、互いに独立に、水素原子、水酸基、または炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の置換又は非置換の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基;及びこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子やシアノ基等で置換した基、例えばクロロメチル基、シアノエチル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等が挙げられる。上記の中でも、メチル基、及びフェニル基が好ましい。また、Rの少なくとも1つはアリール基、特にはフェニル基であるのがよい。
は、ケイ素原子を有していてもよい、炭素数1〜12の2価炭化水素基である。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基、及びビフェニレン基等のアリーレン基、アルキルアリーレン基、ジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基が挙げられる。これらは2種以上の組み合わせであってよく、下記のような基であってもよい。
Figure 2018177993
−O1/2Si(R−R−Si(R)O1/2−として、好ましくは、下記式で表される構造が挙げられる。このようなシルアルキレンシロキサン単位の含有割合は全シロキサン単位の合計モル数に対して0〜70mol%であり、好ましくは0又は20〜70mol%、好ましくは15〜50mol%、より好ましくは30〜50mol%であるのがよい。
Figure 2018177993
Figure 2018177993
Figure 2018177993
(Rは上述の通り)
本発明のオルガノポリシロキサンは、上記した構造の他に、SiO4/2単位、R(RSiO2/2単位、及び(RSiO1/2単位を有することができる(Rは上述の通りである)。該単位の含有割合は、RSiO3/2単位(T単位)の量が全シロキサン単位の合計モルに対して30mol%以上、好ましくは30〜80mol%となる範囲であればよい。好ましくは、SiO4/2単位が0〜20mol%であり、(RSiO2/2単位が0〜70mol%であり、(RSiO1/2単位が0〜20mol%であるのがよい。−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−を有する場合には、該単位を0〜70mol%で有するのがよい。
好ましい態様は、全シロキサン単位の合計モル数に対して、RSiO3/2単位30〜70mol%、(RSiO2/2単位15〜50mol%、及びO1/2Si(R−R−(RSiO1/2単位15〜50mol%からなるオルガノポリシロキサンである。このような構造を有するオルガノポリシロキサンは、特にはレジン構造(三次元架橋構造)を有する。
別の好ましい態様は、RSiO3/2単位30〜80mol%、及びO1/2Si(R−R−(RSiO1/2単位20〜70mol%からなるオルガノポリシロキサンである。このような構造を有するオルガノポリシロキサンは、特にはラダー構造(平面架橋構造)を有する。
本発明のオルガノポリシロキサンは、上記した各シロキサン単位源となる有機ケイ素化合物を脱水素反応、縮合反応、平衡化反応等することにより製造することができる。反応は従来公知の製造方法に従えばよい。
SiO3/2単位(T単位)を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表されるオルガノトリクロロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物、又はこれらの縮合反応物、またはホウ素触媒により脱水素反応可能なHSiO2/2単位を含有する有機ケイ素化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018177993
SiO2/2単位(D単位)を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表されるジオルガノジクロロシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018177993
Figure 2018177993
(上記式中、nは0〜100の整数、mは0〜100の整数である。)
Figure 2018177993
SiO1/2単位(M単位)を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表されるトリオルガノクロロシラン、トリオルガノアルコキシシラン、ヘキサオルガノジシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018177993
SiO4/2単位を得るための材料としては、例えば、ケイ酸ソーダ、テトラアルコキシシラン、またはその縮合反応物が例示できるが、これらに限定されるものではない。
−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−で示される単位を得るための材料としては、例えば、下記構造式で表される1,4−ビス(ジメチルシリル)ベンゼン等の有機ケイ素化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018177993
[(B)有機ホウ素化合物]
(B)成分は有機ホウ素化合物である。本発明の組成物は該有機ホウ素化合物を特定量で含有することを特徴とする。本発明において、有機ホウ素化合物とは、ホウ素原子と有機基を有する狭義の有機ホウ素化合物の他に、ホウ酸及びホウ酸の誘導体を包含する意味である。また、本発明において有機基とは、炭素及び水素を含み、また窒素、酸素、硫黄、ケイ素、フッ素等を含んでもよい基である。有機ホウ素化合物は触媒として上記した縮合反応を進行させるために機能する。該有機ホウ素化合物を後述する特定量で含有することにより、組成物は速やかに硬化して硬化物を与え、且つ、高い耐熱性及び接着性を有することができる。
例えば下記式で表されるような有機ホウ素化合物が挙げられる。
B(OH)(OR’’)(3−n−m)
式中、nは0〜3の整数であり、mは0〜2の整数である。R’’は炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、2個のR’’が結合して環状有機基を形成してもよく、R’はフッ素原子又はケイ素原子を有してよい炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、2個のRが結合して環状有機基を形成してもよい。上記式で表される化合物の2以上がエーテル結合等で結合している化合物でもよい。環状有機基を有する有機ホウ素化合物とは、例えば以下のものを挙げることができる。Rは後述する通りである。
Figure 2018177993
好ましくは下記式(1)で示される有機ホウ素化合物である。
BR (1)
上記式中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のフッ素原子含有1価炭化水素基、及び炭素数1〜10の1価炭化水素基を有するトリオルガノシリル基又はトリオルガノシロキシ基から選ばれる基である。
炭素数1〜10の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の飽和脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の飽和環式炭化水素基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。フッ素原子含有1価炭化水素基としては、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基、及びペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、及びジフェニルメチルシリル基が挙げられる。炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、及びプロペノキシ基などが挙げられる。アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基などが挙げられる。また、トリオルガノシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、トリメチルシロキシ基が好ましい。
より詳細には、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルボラン、トリス(トリフルオロメチル)ボラン、トリメチルボレート、及びトリス(トリメチルシリル)ボレートなどが挙げられる。特に好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
(B)成分の配合量は、ホウ素元素の量として前記硬化性有機ケイ素樹脂組成物全体の質量に対して0.001ppm〜50,000ppmとなる量であり、好ましくは0.01〜10,000ppmの範囲となる量である。ホウ素化合物の量が上記下限値未満であると得られる組成物は成形性が不十分であり、また耐熱性の向上した硬化物が得られない。ホウ素化合物の量が上限値超であると硬化物の耐熱性が劣るため、高温条件下に置くと樹脂の重量減少が大きくなる。有機ホウ素化合物は2種以上を混合して用いてもよい。その場合は合計のホウ素元素量が上記範囲を満たす量とすればよい。
[(C)縮合触媒]
(C)成分は縮合触媒であり、オルガノシロキサンのケイ素原子に結合した水酸基における縮合反応を促進するために機能する。縮合触媒は、シロキサンの縮合反応に用いられる従来公知の触媒であればよい。
縮合触媒は特に限定されるものではないが、例えば、アミン化合物やケイ酸塩、ジルコニウム、チタン、錫、リチウム、バリウム、亜鉛及び鉄等の金属化合物が挙げられる。アミン化合物の例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、ネオペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロプロピルアミン、及びシクロヘキシルアミン等の1級アルキルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、メチルイソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、及びメチルペンチルアミン等の2級アルキルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N−エチルジプロピルアミン、トリブチルアミン、及びトリヘキシルアミン等の3級アルキルアミン、シラザン、ポリシラザン等が挙げられ、金属化合物の例としては鉛、錫、亜鉛、鉄、ジルコニウム、チタン、セリウム、カルシウム及びバリウムのアルコキシド又はカルボン酸錯体、ケイ酸リチウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩等のアルカリ金属のケイ酸塩等が挙げられる。中でも、ジ−n−ブチルアミン、N−エチルジプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、シラザン、ポリシラザン等のアミン化合物や、錫、亜鉛、ジルコニウム、カルシウムのアルコキシド又はカルボン酸錯体、ケイ酸リチウム塩、ケイ酸ナトリウム塩、ケイ酸カリウム塩等のアルカリ金属のケイ酸塩等の金属化合物が好ましい。
縮合触媒の量は反応を進行させるための触媒量であればよい。例えば硬化性有機ケイ素樹脂組成物全体の0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。触媒の量が多すぎると得られる硬化物は耐熱性や耐光性に劣る恐れがある。
[(D)シラノール基含有直鎖状オルガノポリシロキサン]
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、さらに(D)成分として、シラノール基含有直鎖状オルガノポリシロキサンを含有してもよい。(D)成分の量は硬化性有機ケイ素樹脂組成物全体の質量に対して60質量%以下であるのがよく、より好ましくは10〜50質量%である。
(D)成分は、好ましくは両末端にシラノール基を有するジオルガノポリシロキサンであるのがよい。該直鎖状のオルガノポリシロキサンは、好ましくは下記式(3)で表される。
Figure 2018177993
(式中kは1〜10,000の整数であり、Rは、互いに独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基である。)
上記式中、Rは、互いに独立に炭素原子数1〜10の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、及びペンチル基等の飽和脂肪族炭化水素基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等の飽和環式炭化水素基、ビニル基、アリル基、5−ヘキセニル基、及び9−デセニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基等の芳香族炭化水素基、これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えば、トリフルオロプロピル基、クロロプロピル基等のハロゲン化1価炭化水素基等の1価炭化水素基等が挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、及びプロピル基等の炭素原子数1〜5の飽和炭化水素基、及びフェニル基が好ましい。
(D)成分としては、例えば下記式で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
Figure 2018177993
(式中、s、t、uは0〜10,000の整数であり、ただしs+t+uは1〜10,000である)
[(E)環状オルガノポリシロキサン]
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物には、さらに(E)環状オルガノポリシロキサンを含有しても良い。該オルガノポリシロキサンとして特に好ましくは、下記式(4)で示される有機ケイ素化合物である。
Figure 2018177993
(ここで、Rは炭素数1〜10の1価脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜10の1価芳香族炭化水素基であり、p、q、及びrは、互いに独立に0〜4の整数であり、p+q+r=3又は4である)
好ましくは下記式(4’)で表される環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2018177993
(ここでp、q、rは上記の通りである)
上記環状オルガノポリシロキサンは常温で液体もしくは固体であるが、化合物が固体の場合であっても上記縮合触媒に記載したアミン化合物やジルコニウム、チタン、錫、亜鉛及び鉄等の金属化合物と反応させることで容易に開環し、液状の開環重合体を得ることができる。また、式(4)で示される環状オルガノポリシロキサンは、(A)成分と混合した後、50℃〜200℃の温度で加熱・混合することによって液状化する。従って、このような環状オルガノポリシロキサンを含有することによって、粘度の低い組成物を容易に得ることができる。
環状オルガノポリシロキサンの量は、硬化性有機ケイ素樹脂組成物全体の質量に対して0.1〜30質量%であることが好ましく、0.2〜20質量%であることがより好ましい。
[(F)蛍光体]
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、更に(F)蛍光体を含有してもよい。本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は耐熱耐光性に優れるため、蛍光体を含有する場合であっても、従来のように蛍光特性が著しく低下する恐れがない。
蛍光体は、特に制限されるものでなく、従来公知の蛍光体を使用すればよい。例えば、半導体素子、特に窒化物系半導体を発光層とする半導体発光ダイオードからの光を吸収し、異なる波長の光に波長変換するものであることが好ましい。このような蛍光体としては、例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に賦活されるアルカリ土類金属ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類金属ケイ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属硫化物蛍光体、アルカリ土類金属チオガレート蛍光体、アルカリ土類金属窒化ケイ素蛍光体、ゲルマン酸塩蛍光体、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体、希土類ケイ酸塩蛍光体又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体蛍光体、Ca−Al−Si−O−N系オキシ窒化物ガラス蛍光体等から選ばれる1種以上であることが好ましい。
蛍光体は、平均粒径10nm以上を有することが好ましく、より好ましくは10nm〜10μm、更に好ましくは10nm〜1μmを有するのがよい。上記平均粒径は、シーラスレーザー測定装置などのレーザー光回折法による粒度分布測定で測定される。蛍光体の配合量は、蛍光体以外の成分、例えば(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部に対して、0.1〜2,000質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜100質量部である。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物には、上記の(A)〜(F)成分以外に、必要に応じて、接着付与剤やその他の添加剤を配合することができる。
接着付与剤は公知のものであればよいが、例えば、フェニルトリメトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン等や、及びそれらのオリゴマー等が挙げられる。なお、これらの接着付与剤は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。接着付与剤の量は、上記の(A)、(B)、及び(C)成分の合計質量に対し、0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%となる量であるのが好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、シリカ、グラスファイバー、ヒュームドシリカ等の補強性無機充填材、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、酸化亜鉛等の非補強性無機充填材、二酸化ケイ素(シリカ:SiO)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(FeO)、四酸化三鉄(Fe)、酸化鉛(PbO)、酸化すず(SnO)、酸化セリウム(Ce3、CeO)、酸化カルシウム(CaO)、四酸化三マンガン(Mn)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)などのナノフィラーが挙げられる。添加剤の量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜調整されればよい。例えば、上記の(A)、(B)、及び(C)成分の合計100質量部当たり600質量部以下、好ましくは1〜600質量部、より好ましくは10〜400質量部の量であることができる。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は常温(25℃)で液状または固体である。特には液状である組成物は流動性を有するため作業性に優れる点で好ましい。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、常温(25℃)でも十分に硬化するが、必要に応じて加熱して硬化してもよい。加熱する場合の温度は、例えば、60〜200℃とすることができる。用途に応じて、所定の基材に塗布した後、硬化させることができる。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、機械特性、透明性、耐クラック性、及び耐熱性に優れた硬化物を与える。好ましくは本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物を硬化して、厚さ1mmの硬化物としたときに、波長400〜800nm、特には波長450nmにおける直達光透過率70%以上を有するのがよく、より好ましくは80%以上を有するのがよい。なお、直達光透過率の測定には、例えば日立製分光光度計U−4100を用いることができる。
また、本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は屈折率1.40〜1.70、好ましくは1.45〜1.56の硬化物を与えることができる。本発明における屈折率とは、JIS K 7142:2008に準拠して測定される25℃における屈折率であり、アッベ型屈折率計により測定することができる。
上記のような直達光透過率又は屈折率を有する硬化物は、透明性に優れるため、LEDの封止材などの光学用途に特に好適に用いることができる。
<半導体装置>
また、本発明は、上記硬化性有機ケイ素樹脂組成物の硬化物で半導体素子が封止された半導体装置を提供する。
上述のように本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物から得られる硬化物は、透明性、及び耐熱性に優れる。そのため、発光半導体装置のレンズ用素材、保護コート剤、モールド剤等に好適であり、特に青色LED、白色LED、紫外LED等のLED素子封止用として有用なものである。また、本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は耐熱性に優れるため、シリケート系蛍光体や量子ドット蛍光体を添加して波長変換フィルム用素材として使用する際にも、高湿下での長期信頼性が確保でき、耐湿性、長期演色性が良好な発光半導体装置を提供することができる。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物でLED等の発光半導体素子を封止する場合は、例えば熱可塑性樹脂からなるプレモールドパッケージに搭載されたLED素子上に本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物を塗布し、LED素子上で組成物を硬化させることにより、LED素子を硬化性有機ケイ素樹脂組成物の硬化物で封止することができる。また、組成物をトルエンやキシレン等の有機溶媒に溶解させて調製したワニスの状態で、LED素子上に塗布することができる。有機溶媒の量は従来公知の製造方法に従い適宜調整されればよい。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は、その優れた耐熱性、耐紫外線性、透明性、耐クラック性、長期信頼性等の特性から、ディスプレイ材料、光記録媒体材料、光学機器材料、光部品材料、光ファイバー材料、光・電子機能有機材料、半導体集積回路周辺材料等の光学用途に最適な素材である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。尚、部は質量部を示し、粘度は25℃における値である。下記においてMeはメチル基、Phはフェニル基を示し、Mwは重量平均分子量を示す。
[実施例1]
(A)成分として、MeSiO3/2単位50mol%、及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位50mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(但し、該ポリシロキサンの全置換基の一部は水酸基又はアルコキシ基である。以下同様。)(Mw=95,000、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g、メトキシ基量0.6mol/100g)を100部、(B)成分として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランをホウ素元素量として組成物全体の質量に対して0.001ppmとなる量、及び(C)成分としてケイ酸リチウムを組成物全体の質量部に対して1質量%となる量を混合することによって、硬化性有機ケイ素樹脂組成物1を得た。
[実施例2]
実施例1における(A)成分を、MeSiO3/2単位40mol%、PhSiO3/2単位10mol%、PhSiO2/2単位20mol%、及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位30mol%からなるレジン構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=15,000、ケイ素原子に結合した水酸基量0.02mol/100g、メトキシ基量0.3mol/100g、イソプロポキシ基量0.01mol/100g)に替えた他は、実施例1を繰り返して硬化性有機ケイ素樹脂組成物2を得た。
[実施例3]
実施例1における(A)成分を、MeSiO3/2単位50mol%、PhSiO3/2単位20mol%、PhSiO2/2単位30mol%からなるレジン構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=6,000、ケイ素原子に結合した水酸基量0.9mol/100g、メトキシ基量0.003mol/100g)に替えた他は、実施例1を繰り返して硬化性有機ケイ素樹脂組成物3を得た。
[実施例4]
実施例1の組成にさらに(D)成分として、下記式(3’)
Figure 2018177993
で示される直鎖状オルガノポリシロキサンを組成物全体の質量に対して50質量%となる量を添加した他は、実施例1を繰り返して硬化性有機ケイ素樹脂組成物4を得た。
[実施例5]
実施例1の組成にさらに(E)成分として、下記式(4’’)
Figure 2018177993
で示される有機ケイ素化合物を組成物全体の質量に対して20質量%となる量を添加した他は、実施例1を繰り返して硬化性有機ケイ素樹脂組成物5を得た。
[実施例6]
(A)成分として、MeSiO3/2単位50mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位50mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=8,000、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g、エトキシ量1.8mol/100g)を100部、(B)成分として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して48,000ppmとなる量、及び(C)成分としてケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して、硬化性有機ケイ素樹脂組成物6を得た。
[比較例1]
MeSiO3/2単位50mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位50mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=2,800、ケイ素原子に結合した水酸基量0.1mol/100g、メトキシ基量1.6mol/100g)を100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して0.0003ppmになる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して、硬化性有機ケイ素樹脂組成物7を得た。
[比較例2]
MeSiO3/2単位60mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位40mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=9,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.6mol/100g、メトキシ基量0.01mol/100gを100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して70,000ppmとなる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して硬化性有機ケイ素樹脂組成物8を得た。
[比較例3]
MePhSiO2/2単位50mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位50mol%からなる直鎖状のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=2,800、ケイ素原子に結合した水酸基量0.01mol/100g、メトキシ基量0.2mol/100g)を100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して1.0ppmになる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して硬化性有機ケイ素樹脂組成物9を得た。
[比較例4]
MeSiO3/2単位20mol%、PhSiO3/2単位50mol%、及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位30mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=6,800、ケイ素原子に結合した水酸基量1.1mol/100g、メトキシ基0.5mol/100g)を100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して0.0003ppmとなる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量で混合して硬化性有機ケイ素樹脂組成物10を得た。
[比較例5]
MeSiO3/2単位40mol%、PhSiO3/2単位30mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位30mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=6,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.01mol/100g、メトキシ基量2.5mol/100g)を100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して10.0ppmとなる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して硬化性有機ケイ素樹脂組成物11を得た。
[比較例6]
MeSiO3/2単位40mol%、PhSiO3/2単位30mol%、
及び下記式(2’)
Figure 2018177993
で示されるシロキサン単位30mol%からなるラダー構造のフェニルメチルポリシロキサン(Mw=9,500、ケイ素原子に結合した水酸基量0.01mol/100g、メトキシ基量0.0005mol/100g)を100部、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを組成物全体の質量に対して30.0ppmになる量、及びケイ酸リチウムを組成物全体の質量に対して1質量%となる量を混合して硬化性有機ケイ素樹脂組成物12を得た。
上記実施例及び比較例で製造した硬化性有機ケイ素樹脂組成物1〜12及び各組成物から得られる硬化物について、下記の方法に従い物性を評価した。結果を表1及び2に示す。
(1)外観
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物(厚さ1mm)の色と透明性を目視にて確認した。
(2)性状
硬化前の各組成物の流動性を確認した。100mlのガラス瓶に50gの組成物を加え、ガラスビンを横に倒して25℃で10分間静置した。その間に組成物が流れ出せば液状であると判断した。
(3)屈折率
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の589nm、25℃における屈折率を、JIS K 7142:2008に準拠して、アッベ型屈折率計により測定した。
(4)硬さ(タイプA)
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の硬さを、JIS K 6249:2003に準拠して、デュロメータA硬度計を用いて測定した。
(5)切断時伸び及び引張強さ
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の切断時伸び及び引張強さを、JIS K 6249:2003に準拠して測定した。
(6)耐熱性(光透過率保持率)及び耐クラック性
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物(厚さ1mm)の波長450nmにおける光透過率を、日立製分光光度計U−4100を用いて23℃で測定した(初期透過率)。次いで、この硬化物を250℃で1,000時間熱処理した後、同様に光透過率を測定して、初期透過率(100%)に対する熱処理後の光透過率を求めた。また熱処理後の硬化物におけるクラックの有無を目視で確認した。さらに、熱処理後の硬化物の重量を測定し、熱処理前の重量(100%)に対する熱処理後の重量(%)を表1及び2に記載する。
(7)接着性
各組成物0.25gを、面積180mmの銀メッキ板に底面積が45mmとなるように成形し、150℃で4時間硬化させた後、ミクロスパチュラを用いて硬化物を破壊し、銀板から剥ぎ取る際に、凝集破壊した部分の割合と剥離した部分との割合とを求めた。接着性を以下の基準に基づき判定した。
(判定基準)
凝集破壊の割合が60%以上である:接着性が良好である(○)
凝集破壊の割合が60%未満である:接着性が不良である(×)
(8)表面タック性による埃の付着
各組成物を150℃で4時間硬化して得られた硬化物の表面における埃の付着の有無を目視にて確認した。
(9)硬化性
各組成物1.0gを、TOWA社製成形機Y−1Eを用いて、150℃5分の条件で成形し、上記成形条件においてガラスエポキシ基板上に樹脂の成形物が形成できるか確認した。下記基準に基づいて成形性を評価した。
(判定基準)
○:剥離や樹脂破れなく、正常に成形ができた
×:剥離や樹脂破れが発生
Figure 2018177993
Figure 2018177993
表2に示す通り、有機ホウ素化合物の含有量が0.001ppm未満である比較例1の組成物は、硬化性に劣り、熱処理にてクラックが発生した。有機ホウ素化合物の含有量が50,000ppmを超える比較例2の組成物では、硬化物の熱処理による重量減少が大きく、また接着性が不良であった。RSiO3/2単位を含まないオルガノポリシロキサンを(A)成分に替えて含有した比較例3の組成物は、樹脂が硬化しなかった。ケイ素原子に結合した水酸基量が1.0mol/100g超えであるオルガノポリシロキサンを(A)成分に替えて含有した比較例4の組成物は、硬化時にボイドが発生し、ボイドを起点としたクラックも生じた。ケイ素原子に結合したアルコキシ基量が2.0mol/100gを超えるオルガノポリシロキサンを含有する比較例5の組成物では、硬化時にボイドが発生し、ボイドを起点としたクラックが生じた。ケイ素原子に結合したアルコキシ基量が0.001mol/100g未満であるオルガノポリシロキサンを(A)成分に替えて含有した比較例6の組成物は、接着性が不良であった。
これに対し、表1に示す通り、本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物は無色透明であり、該組成物から得られる硬化物は、十分な硬さ、切断時伸び、引張強さと、良好な屈折率、耐熱性、耐クラック性、接着性を有し、且つ、表面タック性による埃の付着がない。
本発明の硬化性有機ケイ素樹脂組成物はは速やかに硬化して硬化物を与えることができ、得られる硬化物は、高い耐熱性、機械特性、耐クラック性、及び接着性を有することができる。また、本発明の組成物であれば表面タック性が抑制された硬化物を与えることができる。従って、半導体素子封止用組成物として好適に使用することができ、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。

Claims (9)

  1. (A)RSiO3/2単位を全シロキサン単位の合計モル数に対して30モル%以上で有し、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を0.001〜2mol/100gの範囲となる量で有し、且つ、ケイ素原子に結合した水酸基を1.0mol/100g以下となる量で有し、及び任意で−O1/2Si(R−R−Si(R1/2−単位を有するオルガノポリシロキサン、
    (上記式中、Rは互いに独立に、水素原子、水酸基、または炭素数1〜10の置換又は非置換の1価炭化水素基であり、Rはケイ素原子を有してよい炭素数1〜12の2価炭化水素基である)
    (B)有機ホウ素化合物、及び
    (C)縮合触媒
    を含み、前記(B)成分の含有量が、ホウ素元素の量として該組成物全体の質量に対して0.001ppm〜50,000ppmとなる量である、硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  2. (B)成分が下記式(1)で表される、請求項1記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物
    BR (1)
    (上記式中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はアルコキシアルキル基、炭素数1〜10のフッ素原子含有1価炭化水素基、及び炭素数1〜10の1価炭化水素基を有するトリオルガノシリル基又はトリオルガノシロキシ基から選ばれる基である)。
  3. (A)オルガノポリシロキサンがケイ素原子結合アリール基を少なくとも1つ有する、請求項1又は2記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  4. (A)オルガノポリシロキサンが、全シロキサン単位の合計モル数に対して、SiO4/2単位を0〜20mol%で有し、RSiO3/2単位を30〜80mol%で有し、(RSiO2/2単位を0〜70mol%で有し、(RSiO1/2単位を0〜20mol%で有し、及びO1/2Si(R−R−(RSiO1/2単位を0〜70mol%で有し(前記各式中、Rは上記の通りである)、及び、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量2,000〜100,000を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  5. (A)成分が、全シロキサン単位の合計モル数に対してRSiO3/2単位30〜70mol%、(RSiO2/2単位15〜50mol%、及びO1/2Si(R−R−(RSiO1/2単位15〜50mol%からなる、請求項4記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  6. (A)成分が、全シロキサン単位の合計モル数に対してRSiO3/2単位30〜80mol%、及びO1/2Si(R−R−(RSiO1/2単位20〜70mol%からなる、請求項4記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  7. さらに(D)成分として、下記式(3)
    Figure 2018177993
    (式中kは1〜10,000の整数であり、式中、Rは互いに独立に、炭素数1〜10の1価炭化水素基である)
    で表される有機ケイ素化合物を含有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物。
  8. さらに(E)成分として、下記式(4)で表される有機ケイ素化合物を含有する、請求項1〜7のいずれか1項記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物
    Figure 2018177993
    (ここで、Rは炭素数1〜10の1価脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数6〜10の1価芳香族炭化水素基であり、p、q、及びrは互いに独立に、0〜4の整数であり、但しp+q+r=3又は4である)。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項記載の硬化性有機ケイ素樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置。
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