JP2018174731A - 畜肉加工品用品質改良剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】畜肉加工品における加熱後の歩留まりを向上させ、かつ食感および風味に優れた品質改良剤を提供すること。【解決手段】本発明は、エンドウタンパクのゲル化能向上方法を提供し、この方法は、エンドウタンパクのゲル化能向上方法であって、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む。さらに、このような改質エンドウタンパク、および当該改質エンドウタンパクを用いた練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良も提供される。【選択図】なし
Description
本発明は、畜肉加工品用品質改良剤に関する。
ハンバーグ、肉団子等の練り込みタイプの畜肉加工品用の品質改良剤として、大豆たん白や卵白粉末、小麦タンパクなどの植物性タンパク質が多く用いられている。これらは、加熱後の歩留まりを向上させる効果、原料肉の一部を置き換えることにより製造コストを低減する効果、および保型性を向上するなどの物性面での改良効果をもたらし得る。
しかしながら、そのような植物性タンパク質を含む畜肉加工品では、比較的硬めの食感となり、味覚面にてこれらたん白素材自体の風味が発現してしまうことがある。
他方、植物性タンパク質素材として、エンドウタンパクが知られる。エンドウタンパクは、食品表示基準におけるアレルギー特定原材料、またはそれに準ずる原材料に含まれていないため、アレルゲンフリーの素材としても着目されている。
畜肉類、魚貝類の品質改良剤としてのエンドウタンパクの使用が検討されている。例えば、特許文献1には、エンドウタンパク質と、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ剤と、有機酸および/または有機酸塩とを含有する品質改良液を、畜肉類または魚貝類の組織内に浸透させて歩留まりを向上させることが記載されている。特許文献1には、冷凍耐性の向上、保水力の改善などの目的で配合され得るリン酸塩を配合せずに、リン酸塩を配合した従来の品質向上剤と同等以上の効果を有する品質改良剤の提供を目的とすることが記載されている。
畜肉加工品(特に、練り込みタイプの畜肉加工品)に関して、よりソフトな食感に仕上げることができ、なおかつ風味に対する影響が弱い品質改良剤の開発が、いまなお望まれている。
本発明は、畜肉加工品における加熱後の歩留まりを向上させ、かつ食感および風味に優れた品質改良剤を提供することを目的とする。
本発明は、エンドウタンパクのゲル化能向上方法であって、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む、方法を提供する。
1つの実施形態では、上記エンドウタンパク100重量部に対し、上記炭酸塩溶液は0.3重量部から3重量部の炭酸塩を含有する。
1つの実施形態では、上記浸漬温度が20℃から50℃の範囲である。
1つの実施形態では、上記浸漬時間が1時間から4時間の範囲である。
1つの実施形態では、上記方法において、上記pH6.3以上の浸漬液はpH調整によって得られる。
本発明は、改質エンドウタンパクを製造する方法であって、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む、製造方法を提供する。
1つの実施形態では、上記エンドウタンパク100重量部に対し、上記炭酸塩溶液は0.3重量部から3重量部の炭酸塩を含有する。
1つの実施形態では、上記浸漬温度が20℃から50℃の範囲である。
1つの実施形態では、上記浸漬時間が1時間から4時間の範囲である。
1つの実施形態では、上記方法において、上記pH6.3以上の浸漬液はpH調整によって得られる。
本発明は、改質エンドウタンパクであって、該タンパクの20%(w/w)水分散液を85℃に加熱して得られたゲルが、直径15mmかつ高さ20mmの円柱型治具が60mm/分の速度で押し込まれた際、2N以上のゲル破断応力を有する、改質エンドウタンパクを提供する。
1つの実施形態では、上記改質エンドウタンパクは、さらにゲル破断凹みが5.3mm以上である。
本発明はまた、上記製造方法により製造された改質エンドウタンパクを提供する。
本発明はさらに、上記改質エンドウタンパクを含む、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品用の品質改良剤を提供する。
本発明はなおさらに、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良方法であって、畜肉・魚肉加工品の原料肉に上記改質エンドウタンパクまたは品質改良剤を添加する工程を含む、方法を提供する。
本発明はまた、原料肉と、上記改質エンドウタンパクまたは品質改良剤とを含む、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品を提供する。
本発明によれば、練り込みタイプの加工品の加熱後の歩留まりを向上させ、なおかつ優れた食感および風味を与えることができる。
(エンドウタンパクのゲル化能向上および改質エンドウタンパクの製造)
本発明は、エンドウタンパクのゲル化能向上方法を提供し、この方法は、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む。本発明はまた、改質エンドウタンパクを製造する方法を提供し、この方法は、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む。
本発明は、エンドウタンパクのゲル化能向上方法を提供し、この方法は、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む。本発明はまた、改質エンドウタンパクを製造する方法を提供し、この方法は、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および該浸漬液から固形分を得る工程を含む。
本発明のエンドウタンパクのゲル化能向上方法および改質エンドウタンパクの製造方法においては、まず、エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬する。
エンドウタンパクは、エンドウ(Pisum sativum L.,)の種子中に含まれるタンパク質である。エンドウ(Pisum sativum L.,)は、マメ科の1〜2年草で食用に供される植物であり、その種類は問わないが、黄色エンドウ(yellow pea)由来のものが工業的に入手しやすいため好ましい。例えば、黄色エンドウ由来のタンパク質を分離精製して濃縮乾燥したものが、工業的に生産され、食品の素材として入手可能である。
エンドウタンパクは、エンドウを原料として当業者が通常用いる方法により製造され得る。エンドウタンパクは、例えば、完熟したエンドウ子実を洗浄して乾燥し、外殻を取り除き、次いで主として水でタンパク質成分を抽出して得られ得る。本発明においては、エンドウタンパクは、好ましくは、抽出物をさらに精製または濃縮し、その後乾燥して粉末状にされたものであり得る。
炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの、アルカリ金属の炭酸塩およびアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。炭酸塩は、溶液の調製のために、1種のみまたは2種以上が用いられ得る。食品に対する添加剤として汎用性が高い点から、炭酸ナトリウムが好ましい。
浸漬用の炭酸塩溶液は、例えば、炭酸塩を水(例えば、水道水、蒸留水およびイオン交換水)などの溶媒に溶解することによって調製され得る。品質改良剤が食品に添加されるものである観点からは、溶媒に水を用い、水溶性の炭酸塩を用いることが好ましい。
炭酸塩溶液における炭酸塩の含有量は、浸漬されるエンドウタンパクの重量に基づいて決定され得る。炭酸塩溶液における炭酸塩の含有量は、例えば、エンドウタンパク100重量部に対し、例えば、0.3重量部〜3重量部、好ましくは、1重量部〜3重量部、より好ましくは、2重量部〜2.5重量部の範囲である。炭酸塩の含有量が0.3重量部未満であれば、エンドウタンパクのゲル化能が十分に改変されないおそれがあり、3重量部を越えれば、効果がそれ以上向上せず、むしろコストがかかるおそれがある。
炭酸塩溶液の全体量もまた、浸漬されるエンドウタンパクの重量に基づいて決定され得る。炭酸塩溶液の全体量は、例えば、エンドウタンパク100重量部に対し、700重量部〜2000重量部、好ましくは800重量部〜1000重量部の範囲である。炭酸塩溶液を調製するために、エンドウタンパクの重量に基づいて炭酸塩の重量部および溶液の重量部を決定し、決定した重量部の炭酸塩に対し、決定した重量部の溶液となるように溶媒(例えば、水)を補充し得る。炭酸塩溶液が700重量部未満であると、エンドウタンパクと炭酸塩とが十分に作用しないおそれがあり、そして2000重量部を越えると、効果がそれ以上向上せず、むしろコストがかかるおそれがある。
浸漬は、例えば、粉末状のエンドウタンパクを炭酸塩溶液中に一定時間、分散または均一化させることによってなされ得る。浸漬時間の間、粉末状のエンドウタンパクが炭酸塩溶液中に均一に分散することが好ましい。浸漬は、好ましくは、粉末状のエンドウタンパクを炭酸塩溶液中で混ぜ合わせながら行う。1つの実施形態では、浸漬は撹拌下で行う。このような撹拌は、当業者が通常用いる手段によってなされ得る。
浸漬の温度は特に限定されない。浸漬温度は、浸漬に供される炭酸塩溶液の温度であり、1つの実施形態では、20℃〜50℃の範囲であり、好ましくは40℃〜50℃の範囲である。20℃〜50℃の範囲内で、エンドウタンパクのゲル化能が充分に改変され得るが、浸漬温度はこの範囲に限定されない。50℃より高いと、タンパク質の変性により求める性能が得られないおそれがある。
浸漬の時間は特に限定されない。1つの実施形態では、例えば、乾燥したエンドウタンパクを用いる場合、浸漬時間は、1時間〜4時間の範囲であり、好ましくは1時間〜2時間の範囲である。1時間より短いと、エンドウタンパク改質のゲル化能が十分に改変されないおそれがあり、そして4時間より長くとも、効果がそれ以上向上せず、作業が長期化するにすぎないおそれがある。
上記浸漬により、エンドウタンパク含有浸漬液が得られる。「エンドウタンパク含有浸漬液」とは、溶媒としての炭酸塩溶液中に、浸漬しているエンドウタンパクが含まれている形態をいう。本発明では、エンドウタンパク含有浸漬液は、6.3以上のpHを有する。このようなpHを達成するために、エンドウタンパク含有浸漬液は必要に応じてpH調整され得、このpH調整は、好ましくは、一定時間の浸漬を経た後に行われ得る。さらに本発明では、エンドウタンパク含有浸漬液を6.3以上へのpHに調整後すぐに後続の工程(固形分を得る工程)を行い得るが、調整後pH下で所定の時間放置してもよい。一定時間の浸漬後のエンドウタンパク含有浸漬液のpHが6.3以上である場合、当該浸漬液を、pH調整をすることなく引き続きそのまま用いてもよい。エンドウタンパク含有浸漬液のpH値は、好ましくは6.3〜6.8、より好ましくは6.3〜6.6である。エンドウタンパク含有浸漬液のpH値が6.3未満であると、エンドウタンパク改質のゲル化能が十分に改変されないおそれがある。
このpH調整は、酸の添加によって行われ得る。pH調整のために用いられる酸としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸など)、有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、DL−リンゴ酸、フマル酸、フィチン酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、コハク酸、DL−酒石酸、L−酒石酸など)が挙げられる。酸は、1種のみまたは2種以上を用いてもよい。塩酸が好ましい。
次いで、上記のpH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液から固形分を得る。固形分を得るためには、エンドウタンパク含有浸漬液の液体を除去可能な任意の方法を用いることができる。例えば、乾燥により浸漬液の液体を蒸発させて除去し、固形分が得られ得る。乾燥法としては、公知の任意の方法が用いられ得るが、例えば、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法などが挙げられる。この固形分は、必要に応じて、粉砕などの粉末化処理がさらになされてもよい。
以上のようにして得られた固形分(例えば粉末)は、例えば、若干黄褐色を呈することがあり、未処理(浸漬前)のエンドウタンパク粉末と比較して向上したゲル化能を有する。ゲル化能は、粉末固形物の場合、適量の水と混合して加熱して得られるゲルについて、その硬さおよびしなやかさによって評価され得る。より詳細には、ゲル化能の評価のために、例えば、ゲルの硬さの指標として「ゲル破断応力」、およびゲルのしなやかの指標として「ゲル破断凹み」が測定され得る。
したがって、エンドウタンパクが上記の各工程を経たことにより、その性質が改変され得、特にゲル化能が向上し得る。言い換えれば、改質されたエンドウタンパクが製造され得る。
本発明の改質エンドウタンパクは、未処理エンドウタンパクと比較して向上したゲル化能を有する。本明細書においては、「ゲル破断応力」および「ゲル破断凹み」は、例えば、下記のようにして求められる。タンパクを水中に20%(w/w)にて分散させて混練してペーストを調製し、直径32mmのケーシングチューブに充填し、85℃にて1時間蒸煮加熱を行なってゲルを得る。この得られたゲルを冷却し、直径32mm、厚さ20mmの円柱状ゲル片を形成した後、当該ゲル片に直径15mmかつ高さ20mmの円柱型治具を厚さ方向に上から下に向けて60mm/分の速度で、ゲルが破断するまで押し込む。ゲルが破断した時にゲルにかけられていた荷重(N)およびゲル片に治具が押し込まれた距離(mm)を測定する。この加圧面積(治具底面積)当たりの荷重を「ゲル破断応力」の値とし、この治具が押し込まれた距離を「ゲル破断凹み」の値とする。
本発明の改質エンドウタンパクは、ゲル破断応力が、例えば、2N以上、好ましくは、2.3N以上であり、さらにゲル破断凹みが、例えば、6.5mm以上、好ましくは、6.55mm以上である。
(品質改良剤および畜肉・魚肉加工品)
本発明によれば、改質エンドウタンパクを含む品質改良剤が提供される。本発明の品質改良剤は、畜肉加工品および魚肉加工品(まとめて、「畜肉・魚肉加工品」または単に「加工品」ともいう)、好ましくは、練り込みタイプの加工品に用いられ得る。練り込みタイプの畜肉・魚肉加工品に用いられる品質改良剤を、本明細書においては、「練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品用の品質改良剤」ともいう。
本発明によれば、改質エンドウタンパクを含む品質改良剤が提供される。本発明の品質改良剤は、畜肉加工品および魚肉加工品(まとめて、「畜肉・魚肉加工品」または単に「加工品」ともいう)、好ましくは、練り込みタイプの加工品に用いられ得る。練り込みタイプの畜肉・魚肉加工品に用いられる品質改良剤を、本明細書においては、「練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品用の品質改良剤」ともいう。
品質改良剤は、改質エンドウタンパクを、その改質効果を損なわない限りで、食品添加剤の調製に当業者が通常用い得る種々の成分とともに含んでもよい。このような成分としては、例えば、賦形剤、希釈剤、充填剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、保存剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤、緩衝剤、溶解補助剤、食品添加物、栄養補助剤、調味料などが挙げられる。これらの成分の添加量は、当業者により適宜選択され得る。
「畜肉加工品」の原料肉は、食用に適した畜肉(食肉)であり、例えば、牛肉、豚肉、家禽肉(鶏肉、鴨肉など)、羊肉、馬肉、および家兎肉が挙げられる。「魚肉加工品」の原料肉は、魚介類の肉であり、例えば、白身魚、赤身魚、イカ、タコ、およびエビなどが挙げられる。
練り込みタイプの加工品とは、原料肉を挽肉またはすり身にしたものを練り加工した食品をいい、練製品と呼ばれるものを包含する。練り込みタイプの畜肉加工品としては、例えば、肉団子(例えば、鶏団子、ミートボール、つくね)、ハンバーグ、スコッチエッグ、ロールキャベツ、肉ギョーザ、肉シューマイなどの食肉を一部または全てに使用した惣菜類が挙げられる。なお、主原料の畜肉としては肉の赤身部分の他、脂肪部分、内臓部分も使用することができる。練り込みタイプの魚肉加工品としては、例えば、つみれ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げ、すまき、すじ、魚肉ソーセージなどの魚肉を一部または全てに使用した惣菜類が挙げられる。
本発明の改質エンドウタンパクまたは品質改良剤は、畜肉・魚肉加工品の原料肉に添加され得る。好ましくは、練り込みタイプの畜肉・魚肉加工品の製造において用いられ得る。練り込みタイプの畜肉・魚肉加工品が改質エンドウタンパクまたは品質改良剤を含む場合、歩留まり向上効果および食感改良効果(例えば、ソフトでジューシーな食感の形成)が奏され得る。本発明の改質エンドウタンパクまたは品質改良剤によれば、畜肉・魚肉加工品の原料肉に添加される際、タンパクに由来する風味影響(穀物特異風味等の付加)を低減できる。
本発明はさらに、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良方法を提供し、この方法は、当該畜肉・魚肉加工品の原料肉に改質エンドウタンパクまたは品質改良剤を添加する工程を含む。
本発明はまた、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品を提供し、これは、当該畜肉・魚肉加工品の原料肉と、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤とを含む。
本発明において、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤の含有量(または添加量)は、必ずしも限定されないが、例えば、原料肉(例えば、挽肉またはすり身形態の肉)を含む原料全体の重量を100重量部とした場合、改質エンドウタンパク基準にて、好ましくは0.5重量部〜4重量部である。0.5重量部を下回ると、得られる加工品に対して改質エンドウタンパクによる歩留まり向上効果または食感改良効果を充分に提供することができない場合がある。4重量部を上回ると、畜肉・魚肉加工品に練り込まれた際にエンドウタンパク特有の風味が目立ってくる場合がある。
本発明の練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品はまた、改質エンドウタンパクの効果(例えば、歩留まり向上効果および食感改良効果)を損なわない範囲において、食品加工または製造分野において一般的に使用され得る、他の食品構成成分を含有していてもよい。当該他の食品構成成分の例としては、特に限定されないが、調味料、香料、香味料、着色用、保存料、安定化剤、酸化防止剤、およびpH調整剤、ならびにそれらの組合せが挙げられる。他の食品構成成分の含有量は、当業者によって任意の量が適切に選択され得る。
本発明の品質改良方法および畜肉・魚肉加工品の製造にあたり、原料肉に、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤が添加される。原料肉に対し、一度に添加されてもよく、あるいは複数に分けて添加されてもよい。上記他の食品構成成分もまた必要に応じて添加され得る。好ましくは、挽肉またはすり身状態の原料肉に、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤が粉末状で添加され、混練される。得られた混合物または混練物は、必要に応じて成型や切断、および/または別の食品素材とのさらなる混合や積層等が行われてもよい。
次いで、混合物または混練物は加熱され得る。この加熱には、加工品の製造または調理に行われる際の熱が用いられ得る。例えば、焼成、揚げ、茹で、蒸し、電子レンジによる加熱などが挙げられる。これらの加熱は必要に応じて複数種類が組合わされてもよい。この加熱に要する時間、温度は製造する加工品の種類や量に応じて変動するため特に限定されず、当業者によって任意の時間および温度が選択され得る。
改質エンドウタンパクまたは品質改良剤による練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良効果(例えば、歩留まり向上効果および食感改良効果)は、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤を含む混合物または混練物を加熱後の加工品において見られ得る。しかし、品質改良方法は、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤を加工品に含ませること、すなわち、原料肉に添加する工程に基づく。したがって、本発明は、改質エンドウタンパクまたは品質改良剤と原料肉とを含む限り、加熱前の加工品であっても包含され得る。また、加熱後の加工品は、冷凍されてもよい。加熱後の加工品は、必要に応じて、例えば、所定の大きさへの切断や包装容器への収納が行われてもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
エンドウタンパク粉末100重量部に、0.3重量部の炭酸ナトリウムと699.7重量部の水とを含有する処理液700重量部を混合し、当該タンパク粉末を攪拌羽根でかき混ぜながら該処理液中に50℃にて4時間浸漬した。処理後の浸漬液を、1mol/l塩酸水溶液でpH6.4に調整した後、スプレードライを行ない、粉末を得た。
エンドウタンパク粉末100重量部に、0.3重量部の炭酸ナトリウムと699.7重量部の水とを含有する処理液700重量部を混合し、当該タンパク粉末を攪拌羽根でかき混ぜながら該処理液中に50℃にて4時間浸漬した。処理後の浸漬液を、1mol/l塩酸水溶液でpH6.4に調整した後、スプレードライを行ない、粉末を得た。
(実施例2)
0.7重量部の炭酸ナトリウムと699.3重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
0.7重量部の炭酸ナトリウムと699.3重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例3)
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例4)
3.0重量部の炭酸ナトリウムと697.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
3.0重量部の炭酸ナトリウムと697.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例5)
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬温度が20℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬温度が20℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例6)
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬温度が40℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬温度が40℃であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例7)
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬時間30分であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬時間30分であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(実施例8)
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬時間1時間であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
2.0重量部の炭酸ナトリウムと698.0重量部の水とを含有する処理液700重量部を用い、かつ浸漬時間1時間であったこと以外は、実施例1と同様にして、粉末を得た。
(比較例1)
処理液未処理のエンドウタンパク(エンドウタンパク原料)を用いた。
処理液未処理のエンドウタンパク(エンドウタンパク原料)を用いた。
(比較例2)
エンドウタンパク粉末100重量部に、2.10重量部の塩化ナトリウムを混合するように処理液700重量部を調製した以外は、実施例1と同様にして粉末を得た。なお、塩化ナトリウムの量については、実施例8における炭酸ナトリウム溶液処理後の塩酸水溶液を用いたpH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったこと、および、炭酸ナトリウムと塩酸の反応式より、塩酸と同モル等量の塩化ナトリウムが生成することから推定して、0.036mol×(塩化ナトリウムの分子量)58.44=2.10gと求めた。
エンドウタンパク粉末100重量部に、2.10重量部の塩化ナトリウムを混合するように処理液700重量部を調製した以外は、実施例1と同様にして粉末を得た。なお、塩化ナトリウムの量については、実施例8における炭酸ナトリウム溶液処理後の塩酸水溶液を用いたpH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったこと、および、炭酸ナトリウムと塩酸の反応式より、塩酸と同モル等量の塩化ナトリウムが生成することから推定して、0.036mol×(塩化ナトリウムの分子量)58.44=2.10gと求めた。
(比較例3)
エンドウタンパク粉末100重量部に、0.15重量部の炭酸水素ナトリウムを混合するように処理液700重量部を調製した以外は、実施例1と同様にして粉末を得た。なお、炭酸水素ナトリウムの量については、実施例8における炭酸ナトリウム溶液処理後の塩酸水溶液を用いたpH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったこと、および、炭酸ナトリウムと塩酸の反応式より、生成する炭酸水素ナトリウムの完全消失には、炭酸ナトリウムと2倍モル等量(0.0378モル)塩酸が必要であるが、先述の通り、pH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったので、0.0378−0.036=0.0018モルの炭酸水素ナトリウムが残存すると考えられることから推定して、0.0018×(炭酸水素ナトリウムの分子量)83.98=0.15gと求めた。
エンドウタンパク粉末100重量部に、0.15重量部の炭酸水素ナトリウムを混合するように処理液700重量部を調製した以外は、実施例1と同様にして粉末を得た。なお、炭酸水素ナトリウムの量については、実施例8における炭酸ナトリウム溶液処理後の塩酸水溶液を用いたpH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったこと、および、炭酸ナトリウムと塩酸の反応式より、生成する炭酸水素ナトリウムの完全消失には、炭酸ナトリウムと2倍モル等量(0.0378モル)塩酸が必要であるが、先述の通り、pH調整工程で使用した1N塩酸使用量が36mlであったので、0.0378−0.036=0.0018モルの炭酸水素ナトリウムが残存すると考えられることから推定して、0.0018×(炭酸水素ナトリウムの分子量)83.98=0.15gと求めた。
(比較例4)
粉末大豆タンパクを用いた(畜肉加工品品質改良効果評価のみ)。
粉末大豆タンパクを用いた(畜肉加工品品質改良効果評価のみ)。
(比較例5)
タンパク素材を無添加とした(畜肉加工品品質改良効果評価のみ)。
タンパク素材を無添加とした(畜肉加工品品質改良効果評価のみ)。
(検討例1:タンパク粉末加熱ゲル化能評価)
本検討例では、実施例1〜8および比較例1〜3の各種タンパク粉末について、加熱によるゲル化能を評価した。ゲル化能は、以下に説明するようにゲルの物性を測定することにより評価した。
本検討例では、実施例1〜8および比較例1〜3の各種タンパク粉末について、加熱によるゲル化能を評価した。ゲル化能は、以下に説明するようにゲルの物性を測定することにより評価した。
タンパク素材を水中に20%(w/w)にて分散させて混練してペーストを調製し、このペーストを直径32mmのケーシングチューブに充填して、85℃にて1時間蒸煮加熱を行ない、ゲルを得た。得られたゲルを冷却後、厚さ20mmの円柱状にカットし、得られたゲル片に対し下記条件で物性測定を行なった:
使用機器:株式会社島津製作所製EZ−Test測定器
測定条件:当該ゲル片に、直径15mmかつ高さ20mmの円柱型治具を、厚さ方向で上から下に向けて60mm/分の速度で、ゲルが破断するまで押し込んだ。ゲルが破断した時にゲルにかけられていた荷重(N)およびゲル片に治具が押し込まれた距離(mm)を測定し、それぞれゲル破断応力(N:加圧面積(治具底面積)当たり)およびゲル破断凹み(mm)とした。
使用機器:株式会社島津製作所製EZ−Test測定器
測定条件:当該ゲル片に、直径15mmかつ高さ20mmの円柱型治具を、厚さ方向で上から下に向けて60mm/分の速度で、ゲルが破断するまで押し込んだ。ゲルが破断した時にゲルにかけられていた荷重(N)およびゲル片に治具が押し込まれた距離(mm)を測定し、それぞれゲル破断応力(N:加圧面積(治具底面積)当たり)およびゲル破断凹み(mm)とした。
表1は、実施例1〜8および比較例1〜3の加熱により得られたゲルのゲル破断応力(N)およびゲル破断凹み(mm)の結果を示す。
表1に見られるように、実施例1〜8の粉末は、比較例1の未処理のエンドウタンパク(エンドウタンパク原料)および比較例2および3のそれぞれのエンドウタンパク原料混合物に比べて、ゲル破断応力が高く、そしてゲル破断凹みは同等以上の大きさであるため、より強固であり、よりしなやかなゲルを形成することが分かった。このように、実施例1〜8の粉末は、比較例1の未処理のエンドウタンパク(エンドウタンパク原料)および比較例2および3のそれぞれのエンドウタンパク原料混合物に比べて、高い加熱ゲル化能を示した。
このように、エンドウタンパク100重量部に対し、0.3重量部〜3重量部の炭酸ナトリウムと残余の水とを含む処理液700重量部を混合し、20℃〜50℃の範囲で1時間〜4時間浸漬を行ない、塩酸を用いてpH6.4に調整後、乾燥および粉末化することで、エンドウタンパク自体の持つゲル化能を向上させることが可能である。比較例2および比較例3の結果から、炭酸ナトリウム処理後のpH調整工程で生成すると考えられる塩化ナトリウムまたは重曹の存在下では、エンドウタンパクの顕著なゲル化能向上作用がみられなかった。
したがって、実施例1〜8の粉末は、向上したゲル化能を示し、未処理のエンドウタンパクからその性質が改変されたものであるとわかる。
(検討例2:練り込みタイプ畜肉加工品における品質改良効果評価)
本検討例では、各種タンパク素材を用いて調製した鶏団子について、品質改良効果を評価した。この改良効果は、加熱後の歩留まり、官能評価(風味、食感)および物性評価(ゲル破断応力およびゲル破断凹み)に基づいた。本検討例では、タンパク素材として、実施例1〜8の粉末、比較例1のエンドウタンパク原料、比較例2および3のそれぞれのエンドウタンパク原料混合物、ならびに比較例4の粉末ダイズタンパクを用い、そして比較例5の無添加の試験区をさらに設けた。
本検討例では、各種タンパク素材を用いて調製した鶏団子について、品質改良効果を評価した。この改良効果は、加熱後の歩留まり、官能評価(風味、食感)および物性評価(ゲル破断応力およびゲル破断凹み)に基づいた。本検討例では、タンパク素材として、実施例1〜8の粉末、比較例1のエンドウタンパク原料、比較例2および3のそれぞれのエンドウタンパク原料混合物、ならびに比較例4の粉末ダイズタンパクを用い、そして比較例5の無添加の試験区をさらに設けた。
表2の配合で鶏団子生地を調製した。タンパク素材を原材料全量に対して2重量%にて添加した。練りあがり生地を約40gの団子に成型し、90℃にて8分間蒸し加熱した。冷却した後、加熱後の歩留まり、ならびに官能評価(風味、食感)を行なった。
加熱後の歩留まりは、加熱後の鶏団子の質量を測定し、これにより、加熱前の質量に対する加熱後の質量(g;測定値)の比を百分率([加熱後(g)/加熱前(g)]×100(%))で算出した。歩留まりが高いほど、加熱による重量損失が少ない(例えば、水分損失が少ない)ことがわかる。
官能評価は、タンパク風味、ソフト感およびジューシー感の3つの項目について、当該分野におけるエキスパート10名によりそれぞれ下記基準で評価し、各エキスパートより得られた点数の平均値を各項目の評価点とした。いずれの項目ともに、数値が高いほど優れた評価である。
(タンパク風味)
<点数> <評価>
5 タンパク風味なく、肉の風味
4 極僅かに感じる
3 やや感じる
2 感じる
1 強く感じる
(ソフト感)
<点数> <評価>
5 ソフト
4 ややソフト
3 中間的な硬さ
2 やや硬い
1 硬い
(ジューシー感)
<点数> <評価>
5 強い
4 感じる
3 やや感じる
2 弱い
1 非常に弱く、ぼそつく
(タンパク風味)
<点数> <評価>
5 タンパク風味なく、肉の風味
4 極僅かに感じる
3 やや感じる
2 感じる
1 強く感じる
(ソフト感)
<点数> <評価>
5 ソフト
4 ややソフト
3 中間的な硬さ
2 やや硬い
1 硬い
(ジューシー感)
<点数> <評価>
5 強い
4 感じる
3 やや感じる
2 弱い
1 非常に弱く、ぼそつく
また、別途調製した鶏団子生地を直径32mmのケーシングチューブに充填して、90℃にて20分間蒸煮加熱を行なった。冷却後、厚さ20mmの円柱状にカットし、下記条件で物性測定を行なった。
使用機器:株式会社島津製作所製EZ−Test測定器
測定条件:当該ゲル片に、直径10mmかつ厚さ1mmの円盤型治具を、厚さ方向で上から下に向けて60mm/分の速度で、生地が破断するまで押し込んだ。生地が破断した時に生地に負荷されていた荷重(N)、および生地に治具が押し込まれた距離(mm)を測定し、それぞれ鶏団子破断応力(N)および鶏団子破断凹み(mm)とした。
使用機器:株式会社島津製作所製EZ−Test測定器
測定条件:当該ゲル片に、直径10mmかつ厚さ1mmの円盤型治具を、厚さ方向で上から下に向けて60mm/分の速度で、生地が破断するまで押し込んだ。生地が破断した時に生地に負荷されていた荷重(N)、および生地に治具が押し込まれた距離(mm)を測定し、それぞれ鶏団子破断応力(N)および鶏団子破断凹み(mm)とした。
表3は、各試験区における加熱後の歩留まり、官能評価(風味、食感)および物性評価(鶏団子破断応力および鶏団子破断凹み)の結果を示す。
表3に見られるように、実施例1〜8の試験区は、比較例1の未処理のエンドウタンパク(エンドウタンパク原料)、比較例2および3のそれぞれのエンドウタンパク原料混合物、比較例5の無添加に比べて、より高い破断応力および凹み値を示し、より強固であり、よりしなやかな団子生地が形成されること;より高い歩留まり向上効果を発揮すること;ならびに比較例1〜3と比較してタンパク風味、ソフト感およびジューシー感のいずれも高い数値を示し、未処理または混合のエンドウタンパクより優れた食感向上効果を示し、かつ比較例5の無添加に比較してもソフト感およびジューシー感が向上しており、より柔らかでジューシーな食感の団子を形成し得ることが見出された。実施例1〜8の試験区は、比較例4の粉末ダイズタンパク試験区と比較しても、同等程度のゲル破断応力であるが高いゲル破断凹み値を示し、強固でありつつ、よりしなやかな団子生地が形成されること;同等程度の歩留まり向上効果を発揮すること;ならびによりソフトでジューシーな食感を形成することが見出された。また、比較例1〜4の試験区のいずれにおいてもタンパク由来の風味が残存したのに対し、実施例1〜8の試験区では、エンドウタンパク由来の風味影響を低減できることも確認された。
したがって、実施例1〜8の粉末は、鶏団子のような畜肉加工品の製造に際して添加することにより、得られた加工品の歩留まりの向上とともに、優れた食感および風味を与えることがわかる。
本発明によれば、畜肉・魚肉に関する食品加工分野および畜肉・魚肉加工品の製造分野において有用である。
Claims (15)
- エンドウタンパクのゲル化能向上方法であって、
エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および
該浸漬液から固形分を得る工程を含む、方法。 - 前記エンドウタンパク100重量部に対し、前記炭酸塩溶液が0.3重量部から3重量部の炭酸塩を含有する、請求項1に記載の方法。
- 前記浸漬温度が20℃から50℃の範囲である、請求項1または2に記載の方法。
- 上記浸漬時間が1時間から4時間の範囲である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
- 前記pH6.3以上の浸漬液がpH調整によって得られる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
- 改質エンドウタンパクを製造する方法であって、
エンドウタンパクを炭酸塩溶液中に浸漬して、pH6.3以上のエンドウタンパク含有浸漬液を得る工程、および
該浸漬液から固形分を得る工程を含む、製造方法。 - 前記エンドウタンパク100重量部に対し、前記炭酸塩溶液が0.3重量部から3重量部の炭酸塩を含有する、請求項6に記載の方法。
- 前記浸漬温度が20℃から50℃の範囲である、請求項6または7に記載の製造方法。
- 上記浸漬時間が1時間から4時間の範囲である、請求項6から8のいずれかに記載の製造方法。
- 前記pH6.3以上の浸漬液がpH調整によって得られる、請求項6から9のいずれかに記載の方法。
- 改質エンドウタンパクであって、該タンパクの20%(w/w)水分散液を85℃に加熱して得られたゲルが、直径15mmかつ高さ20mmの円柱型治具が60mm/分の速度で押し込まれた際、2N以上のゲル破断応力を有する、改質エンドウタンパク。
- さらにゲル破断凹みが6.5mm以上である、請求項11に記載の改質エンドウタンパク。
- 請求項11または12に記載の改質エンドウタンパクを含む、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良剤。
- 練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品の品質改良方法であって、該畜肉・魚肉加工品の原料肉に請求項11または12に記載の改質エンドウタンパクまたは請求項13に記載の品質改良剤を添加する工程を含む、方法。
- 原料肉と、請求項11または12に記載の改質エンドウタンパクまたは請求項13に記載の品質改良剤とを含む、練り込みタイプ畜肉・魚肉加工品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017074793A JP2018174731A (ja) | 2017-04-04 | 2017-04-04 | 畜肉加工品用品質改良剤 |
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WO2021058785A1 (en) | 2019-09-26 | 2021-04-01 | Purac Biochem B.V. | Composition for use in processed meat |
CN113712160A (zh) * | 2021-08-17 | 2021-11-30 | 上海交通大学 | 一种适于3d打印的人造海鲜鱼糜复配材料、其制备方法及应用 |
-
2017
- 2017-04-04 JP JP2017074793A patent/JP2018174731A/ja active Pending
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EP4233559A2 (en) | 2019-09-26 | 2023-08-30 | Purac Biochem B.V. | Composition for use in processed meat |
EP4033918B1 (en) * | 2019-09-26 | 2023-09-13 | Purac Biochem B.V. | Composition for use in processed meat |
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CN113712160B (zh) * | 2021-08-17 | 2023-12-26 | 上海交通大学 | 一种适于3d打印的人造海鲜鱼糜复配材料、其制备方法及应用 |
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