JP6451091B2 - タコ代替素材の製造法 - Google Patents
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Description
タコは、日本をはじめアジア諸国、及びヨーロッパの一部でも食される海産物である。日本へは、アフリカをはじめ、世界各地から輸入されている。
タコは、その独特の食感から、代替物に関する報告は少ない。特許文献1は、疑似シーフード組成物に関する出願である。
トランスグルタミナーゼを使用した蛋白ゲルの調製法としては、特許文献2、特許文献3がある。
特許文献2には、蛋白質及びグルコサミン等のアミノ酸を含むペーストにトランスグルタミナーゼを作用させる旨記載されているが、得られた蛋白ゲルが、タコのような食感を示すものであるかは開示されていない。また、グルコサミンは独特の味があるため、食品に汎用的に使用することが難しい場合がある。
特許文献3に記載される、魚肉すり身にトランスグルタミナーゼ及び蛋白部分加水分解物を添加し、反応させる、水産練り製品の製造法についても、タコのような食感についての開示はない。また、蛋白部分加水分解物を用いていることから、そのゲル強度は比較的低いと思われた。
(1)以下の工程を経る、タコ代替素材の製造法、
1.ゲル化能を有する蛋白質素材、水、液状油、硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、澱粉を混合し、食塩を添加又は無添加により、食塩濃度が0.5重量%以下の生地を調製する、
2.生地を4〜24時間放置し、トランスグルタミナーゼ反応を進行させる、
3.着味材を添加しタコ様風味に着味する、
(2)ゲル化能を有する蛋白質素材が分離大豆蛋白質である、(1)記載の製造法、
(3)生地を放置する際の温度が3〜15℃である、(1)又は(2)記載の製造法、
(4)ゲル化能有する蛋白質素材が、タコ代替素材の10〜30重量%である、(1)〜(3)いずれか1つに記載の製造法、
(5)タコを原料の一つとする食品において、タコの20〜100重量%を(1)〜(4)いずれか1つに記載の方法で製造したタコ代替素材で置換した食品、
に関するものである。
本発明でいうタコ代替素材とは、タコを原料の一つとして使用する食品において、タコの全部ないし一部を代替することのできる素材である。ここでいう、タコを原料の一つとして使用する食品とは、熱変性されたタコを含む食品であって、たとえば、タコ焼きやタコを入れたつみれ、水産練り製品、等を挙げることができる。すなわち、未加熱のタコの刺身は除かれる。寿司ネタに使うタコは蒸しダコであり、本発明の範囲に含まれる。
液状油のタコ代替素材における配合量は、1〜6重量%が望ましく、より望ましくは2〜5重量%であり、さらに望ましくは3〜4重量%である。この量が多すぎても少なすぎても、食感に影響が出る場合がある。
トランスグルタミナーゼの使用量は、製材に含まれるトランスグルタミナーゼ活性に依存するが、上記のアクティバTGKを使用する場合は、タコ代替素材における配合量として、0.02〜0.20重量%が望ましく、より望ましくは0.03〜0.18重量%であり、さらに望ましくは0.04〜0.16重量%である。トランスグルタミナーゼの量は多すぎても少なすぎても、タコのような食感を得られない場合がある。
原材料としては、上記のほか、本発明の課題解決に影響を与えない範囲で、適宜選択することができる。すなわち、水の代わりにタコの煮汁を使用したり、干しダコを粉末化したものを添加することで、よりタコに近い風味を発現することができる。これらについてはまとめて「タコ由来素材」と称する場合がある。なお、上記原材料を混合した段階を「生地」と称する。
本発明においては、3〜10℃の低温で反応を進める方が、作業の効率の点で、より好ましい。
また、生地を放置する時間は、より望ましくは7〜24時間であり、さらに望ましくは12〜19時間である。放置する時間が長すぎても短すぎても、目的とする食感とならない場合がある。
生地における食塩の濃度は、より望ましくは0.1重量%以下であり、最も望ましくは0重量%である。このため、生地の段階で使用することのできるタコ由来素材が制限される場合もある。しかし、一旦ゲルを形成した後は、着味のため塩味等の味付けも自由に行うことができる。ここでは、タコ様風味を得るための着味材としてタコエキスやイカエキスなどの海鮮エキス類、タコ粉末やイカ粉末などの海鮮粉末類を用いることもできる。
以下に実施例を記載する
実施例1〜3、比較例1〜2
表1の配合により、以下に記載する「タコ代替素材の調製法」に従い、タコ代替素材の調製を行った。
得られたサンプルは、「タコ代替素材の予備評価法」に従い評価し、結果を表2に記載した。
・分離大豆蛋白質は不二製油株式会社製「フジプロFM」を使用した。
・トランスグルタミナーゼ製材は味の素株式会社製「アクティバTG-K」を使用した。
・海鮮エキスは仙味エキス株式会社製「イカエキスL」「たこエキス」を使用した。
1 分離大豆蛋白質、水、液状油をミキサーにて混合しペースト状とした。
2 硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、澱粉を混合し生地とした。
3 適当な大きさに分割し、3〜7℃の冷蔵状態で5時間保管した。
4 食塩、砂糖、海鮮エキスを添加し、サイレントカッターで混合した。
注)
・比較例1は、トランスグルタミナーゼ製材を使用しない以外は、実施例1と同様に調製を行った。
・比較例2は食塩1を1の段階で添加した。
・実施例2は、分離大豆蛋白質、水、液状油、硫酸カルシウム、トランスグルタミナーゼ、澱粉、食塩1を混合して生地とした後、3〜7℃の冷蔵状態で5時間保管した。
・実施例3は、3の5時間保管を40℃にて行った。
サンプルを、3〜5mm角に切断したものを用い、加熱したタコの食経験のあるパネラー5名により、以下の基準により評価を行った。
本物のタコは、市販の蒸しタコを上記と同じ大きさに切断したものをコントロールとした。
風味、食感について
5点 本物のタコと比べ、同等と判断できるもの。
4点 本物のタコと比べ、わずかながら劣るもの。
3点 本物のタコと比べて劣るが、許容範囲であるもの。
2点 本物のタコと比べ劣り、許容できないと判断されるもの。
1点 本物のタコと比べ大きく劣るもの。
3点以上を合格とした。
生地中の食塩濃度が低い場合に、タコのような食感がられることが明らかとなった。
また、生地調製後の放置温度は、低いほうがより好ましいタコのような食感が得られることが明らかとなった。
実施例4〜7、比較例3
タコを原料として使用する「つまみ揚げ(さつま揚げ)」において、タコを適宜タコ代替素材と置き換え、評価を行った。
つまみ揚げの配合は、表3に記載した。
つまみ揚げの調製は、以下に記載する「つまみ揚げの調製法」に従った。
つまみ揚げの評価は、以下に記載する「つまみ揚げの評価法」に従った。
結果を表4に記載した。
・サンラバー10は不二製油株式会社製の分離大豆蛋白質である。
・スーパー04は理研ビタミン株式会社製の調味料(アミノ酸等)である。
・ZAM-Xはグリコ栄養食品株式会社製の馬鈴薯澱粉である。
・RK-08はグリコ栄養食品株式会社製のタピオカ澱粉である。
1 すりみに食塩1を添加しサイレントカッターで撹拌した。
2 さらに木綿豆腐、サンラバー10、水を氷水として17.5重量%相当量加え、更に撹拌した。
3 だしの素、砂糖、スーパー04、グルコース、キシロースを添加し、更に撹拌した。
4 大豆油を添加し、更に撹拌した。
5 馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉および残りの水を加え、更に撹拌した。
6 食塩2を添加し、更に撹拌した。
7 タコ、タコ代替素材、紅ショウガ、青ネギを配合に従い添加し、軽く混合した。
各サンプルをパネラー5名により食し、タコ代替物を使用しないコントロールとの比較により、以下の基準で採点を行った。3点以上を合格とした。
なお、本評価基準において、タコの20重量%を置換しても、合格となるものを、タコ代替素材と判断した。
<風味、食感評価>
5点 コントロールと比べ、同等と判断できるもの。
4点 コントロールと比べ、わずかながら劣るもの。
3点 コントロールと比べて劣るが、許容範囲であるもの。
2点 コントロールと比べ劣り、許容できないと判断されるもの。
1点 コントロールに比べ大きく劣るもの。
本発明に従い調製されたタコ代替物は、タコを原材料の1つとして使用する食品において、タコと代替しても、風味、食感においてタコを代替することができるものであった。
Claims (3)
- 以下の工程を経る、タコ代替素材の製造法。
1.10〜30重量%の分離大豆蛋白質、水、1〜6重量%の液状油、硫酸カルシウム、0.02〜0.20重量%のトランスグルタミナーゼ、0.3〜2.0重量%の澱粉を混合し、食塩を添加又は無添加により、食塩濃度が0.5重量%以下の生地を調製する、
2.生地を4〜24時間放置し、トランスグルタミナーゼ反応を進行させる、
3.着味材を添加しタコ様風味に着味する。 - 生地を放置する際の温度が3〜15℃である、請求項1記載の製造法。
- タコを原料の一つとする食品において、タコの20〜100重量%を請求項1又は2記載の方法で製造したタコ代替素材で置換する食品の製造法。
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