JP2018174051A - 導電基板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明基板上の導電層による透明基板側への光の正反射を抑制することができる導電基板およびその製造方法を提供する。【解決手段】第1表面21と、第1表面21の反対側の第2表面22とを有する透明基板2と、第1表面21上および第2表面22上の少なくとも一方に少なくとも部分的に位置する第1有機層32と、第1有機層32上に位置し、金属を含有する導電層51と、第1有機層32に含有された光反射抑制部材、及び、第1有機層32と導電層51との間に位置する光反射抑制層111のうちの少なくとも一方と、を備える導電基板1。【選択図】図1
Description
本開示は、導電基板およびその製造方法に関する。
従来は、配線基板に用いる基板として、有機基板およびセラミック基板が多用されていた。近年では、透光性を有するガラス基板を用いた配線基板の開発が進められている。例えば、特許文献1には、ガラス基板を備えたインターポーザが開示されている。ガラス基板を用いた配線基板においては、ガラス基板越しに光信号を受信したり、ガラス基板越しに配線の裏面を撮像した画像に基づいて配線検査を行ったりすることができる。
しかしながら、ガラス基板を用いた配線基板においては、配線が金属光沢を有するため、ガラス基板越しに配線に進入した光信号が配線で反射し、ノイズとして検出されてしまう虞がある。また、ガラス基板越しに画像に基づいて配線検査を行う場合においても、配線による反射光によって精緻な検査が困難となる虞がある。
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、透明基板上の導電層による透明基板側への光の正反射を抑制することができる導電基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本開示の一態様では、
第1表面と、第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板と、
第1表面上および第2表面上の少なくとも一方に少なくとも部分的に位置する第1有機層と、
第1有機層上に位置し、金属を含有する導電層と、
第1有機層に含有された光反射抑制部材、及び、第1有機層と導電層との間に位置する光反射抑制層のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板が提供される。
第1表面と、第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板と、
第1表面上および第2表面上の少なくとも一方に少なくとも部分的に位置する第1有機層と、
第1有機層上に位置し、金属を含有する導電層と、
第1有機層に含有された光反射抑制部材、及び、第1有機層と導電層との間に位置する光反射抑制層のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板が提供される。
前記光反射抑制層は、暗色層であってもよい。
前記暗色層は、金属化合物を含有してもよい。
前記導電層に含有された金属は、銅であり、
前記金属化合物は、酸化銅であってもよい。
前記金属化合物は、酸化銅であってもよい。
前記光反射抑制部材は、暗色顔料および暗色染料の少なくとも一方であってもよい。
前記光反射抑制部材は、光拡散性を有するフィラーであってもよい。
前記第1有機層を介した前記透明基板と前記導電層との密着性は、前記透明基板と前記導電層との直接的な密着性より高くてもよい。
前記第1有機層は、15nm以上200nm以下の厚みを有してもよい。
前記第1有機層と前記導電層との間に触媒が存在してもよい。
前記導電層は、前記第1有機層上に位置する第1導電層と、前記第1導電層上に位置する第2導電層と、を有してもよい。
前記透明基板に、前記第1表面から前記第2表面まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の側壁上に位置する第2有機層と、
前記第2有機層上に位置する貫通電極と、を更に備えてもよい。
前記貫通孔の側壁上に位置する第2有機層と、
前記第2有機層上に位置する貫通電極と、を更に備えてもよい。
前記貫通孔は、前記第1表面に沿った面方向の寸法に対する前記第1表面に交差する厚み方向の寸法の比であるアスペクト比が、3以上33以下であってもよい。
前記透明基板は、ガラスを含有してもよい。
本開示の他の一態様では、
第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板を準備する工程と、
前記第1表面上および前記第2表面上の少なくとも一方に、第1有機層を少なくとも部分的に形成する工程と、
前記第1有機層上に金属を含有する導電層を形成する工程と、
前記第1有機層を少なくとも部分的に形成する前に、前記第1有機層に光反射抑制部材を含有させる工程、及び、前記導電層を形成するときに、前記第1有機層と前記導電層との間に光反射抑制層を形成する工程のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板の製造方法が提供される。
第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板を準備する工程と、
前記第1表面上および前記第2表面上の少なくとも一方に、第1有機層を少なくとも部分的に形成する工程と、
前記第1有機層上に金属を含有する導電層を形成する工程と、
前記第1有機層を少なくとも部分的に形成する前に、前記第1有機層に光反射抑制部材を含有させる工程、及び、前記導電層を形成するときに、前記第1有機層と前記導電層との間に光反射抑制層を形成する工程のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板の製造方法が提供される。
前記導電層を形成する工程は、前記第1有機層上に触媒を付着させる工程と、前記触媒が付着された前記第1有機層上に無電解めっきを行う工程と、を有してもよい。
前記第1有機層に前記光反射抑制部材を含有させる工程および前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程のうち、少なくとも前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程を備え、
前記導電層を形成する前に、前記第1有機層を活性化させる工程を更に備え、
前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程は、前記活性化された前記第1有機層上に前記触媒を付着させる工程と、前記触媒が付着された前記活性化された前記第1有機層上に無電解銅めっきを行うことで、酸化銅を含有する前記光反射抑制層を形成する工程と、を有してもよい。
前記導電層を形成する前に、前記第1有機層を活性化させる工程を更に備え、
前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程は、前記活性化された前記第1有機層上に前記触媒を付着させる工程と、前記触媒が付着された前記活性化された前記第1有機層上に無電解銅めっきを行うことで、酸化銅を含有する前記光反射抑制層を形成する工程と、を有してもよい。
本開示によれば、透明基板上の導電層による透明基板側への光の正反射を抑制することができる。
以下、本開示の実施形態に係る導電基板の構成ついて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「基板」、「基材」、「シート」や「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「基板」や「基材」は、シートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
先ず、図1を参照しながら、本開示の導電基板の一例について説明する。図1は、本実施形態による導電基板1を示す断面図である。導電基板1は、例えば、光学用途のインターポーザ基板に用いることができる。
図1に示すように、本実施形態の導電基板1は、透明基板2と、第1有機層の一例である第1面密着層32と、光反射抑制層の一例であり、暗色層の一例でもある第1面黒色層111と、導電層の一例である第1面導電層51と、を備える。
(透明基板2)
透明基板2は、可視光に対する透過性を有する基板であり、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材が挙げられる。この種の透明基板2は、透明性が要求される導電基板1に好適に用いることができる。特に無アルカリガラスは信頼性とコストの点で好ましい。
透明基板2は、可視光に対する透過性を有する基板であり、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材が挙げられる。この種の透明基板2は、透明性が要求される導電基板1に好適に用いることができる。特に無アルカリガラスは信頼性とコストの点で好ましい。
透明基板2は、第1表面21と、第1表面21の反対側の第2表面22とを有する。図1の例において、第1表面21と第2表面22とは互いに平行である。
(第1面密着層32)
第1面密着層32は、第1表面21上に少なくとも部分的に位置し、有機物を含有し、透明基板2および第1面導電層51の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
第1面密着層32は、第1表面21上に少なくとも部分的に位置し、有機物を含有し、透明基板2および第1面導電層51の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
第1面密着層32を介した透明基板2と第1面導電層51との密着性は、第1面密着層32が無い場合の透明基板2と第1面導電層51との直接的な密着性より高い。このような密着性の大小関係は、第1面密着層32を介して第1表面21上に形成した第1面導電層51を剥離することを模擬した剥離試験と、第1表面21上に直接形成した第1面導電層51を剥離することを模擬した剥離試験とを実施し、双方の剥離試験における第1面導電層51の剥離力を比較することで確認することができる。剥離試験としては、JIS H 8504に規定されているめっきの密着性試験方法のうち、テープ試験を用いることができる。テープ試験は、めっき皮膜に粘着力のあるテープを貼り付けて急速に引き剥がす試験である。テープを引き剥がすとき、めっき皮膜の密着性が悪いほど、テープ粘着面に付着するめっき皮膜の量、すなわちめっき皮膜の剥離量が多くなる。めっき皮膜の剥離量が多いほど、めっき皮膜の剥離に要する剥離力は小さい。テープ試験によれば、透明基板上に密着層を介して形成されためっき皮膜にテープを貼り付けて引き剥がした場合のめっき皮膜の剥離量と、透明基板上に直接形成されためっき皮膜にテープを貼り付けて引き剥がした場合のめっき皮膜の剥離量とを比較することで、密着層の有無に応じた剥離力を比較することができる。
なお、密着層の大小関係は、後述の第3の変形例の試験例において説明する「JIS K5600 塗料一般試験方法」に規定されているクロスカット試験法によって確認することもできる。
第1面密着層32は、有機物を含有することで、透明基板2および第1面導電層51との間で高い密着性を発揮することができる。第1面密着層32に含有される有機物は、第1面密着層32上に無電解めっき法で第1面導電層51のシード層を形成する場合の金属析出性と薬液耐性との双方を有することが望ましい。このような有機物としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂などの高分子樹脂を好適に用いることができる。なお、高分子樹脂は、無機酸化膜や有機単分子膜に比べて第1表面21上に均一に第1面密着層32が形成されているか否かを判断し易いので、生産性の向上に寄与することもできる。
第1面密着層32は、第1表面21に直交すなわち交差する厚み方向D1の寸法である厚みが、15nm以上200nm以下であることが望ましい。第1面密着層32の厚みを15nm以上とすることで、無電解めっき法で第1面導電層51のシード層を形成する際に、第1面密着層32に十分な量の触媒を吸着させることができるので、第1面導電層51のシード層の析出性を向上させることができる。第1面密着層32の厚みを200nm以下とすることで、無電解めっきの後工程として実施される各種の加熱工程において第1面密着層32から発生するガスの総量を抑制することができるので、ガスの圧力による第1面導電層51の膨張およびこれにともなう電気的特性の悪化を抑制することができる。
図1の例において、第1面密着層32は、後述する第1面導電層51の複数の第1面配線部511に対応するように、面方向D2に間隔を空けて部分的に第1表面21上に位置している。したがって、複数の第1面配線部511間には、第1面密着層32が存在しない。このような構成によれば、後述する複数の第1面配線部511間におけるマイグレーションを抑制することができる。
なお、第1面密着層32は、第1表面21上に全面的に位置していてもよい。この場合には、第1面密着層32を加工する工程を省略することができるので、製造コストを削減することができる。
第1面密着層32は、例えば、ディップコート、スプレーコート、およびスピンコートなどのウェットプロセスによって形成してもよい。
(第1面黒色層111)
第1面黒色層111は、第1面密着層32上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有し、暗色の一例である黒色を有する層である。図1の例において、第1面黒色層111は、金属化合物を含有することで黒色を有する。黒色とは、光が人間の可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと、またはそれに近い状態であり、光の反射率が30%以下の状態をいう。黒色であることは、例えば顕微分光装置によって測定および評価することができる。
第1面黒色層111は、第1面密着層32上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有し、暗色の一例である黒色を有する層である。図1の例において、第1面黒色層111は、金属化合物を含有することで黒色を有する。黒色とは、光が人間の可視領域における全帯域にわたりむらなく感得されないこと、またはそれに近い状態であり、光の反射率が30%以下の状態をいう。黒色であることは、例えば顕微分光装置によって測定および評価することができる。
金属化合物は、例えば、酸化銅である。
第1面黒色層111は、例えば、紫外線照射などによって第1面密着層32の表面を活性化すなわち改質させた後に、無電解めっき法で第1面密着層32上に第1面導電層51のシード層を形成することで、第1面密着層32とシード層との間に形成することができる。このようにシード層の形成工程で形成された第1面黒色層111は、第1面導電層51のシード層に含有された金属と同じ金属を含有する。
第1面黒色層111によれば、透明基板2の内部から第1面導電層51に入射しようとする光、または第1面導電層51で第1面黒色層111側に正反射された光を吸収することができるので、第1面導電層51の裏面を粗化することなく、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射すなわち鏡面反射を抑制することができる。
なお、第1面黒色層111を設けるかわりに、黒色以外の暗色を有する暗色層を設けてもよい。この場合、暗色層を構成する金属化合物としては、酸化銀・酸化ニッケル等を用いることができる。この場合、暗色層は、黒色以外の暗色の一例として、それぞれ褐色・灰色を呈する。このような暗色層も、透明基板2の内部から第1面導電層51に入射しようとする光、または第1面導電層51で暗色層側に正反射された光を吸収できるので、第1面導電層51の裏面を粗化することなく、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。
(第1面導電層51)
第1面導電層51は、第1面黒色層111上すなわち第1面密着層32上に位置し、且つ導電性を有する層である。第1面導電層51は、複数の第1面配線部511を有する。
第1面導電層51は、第1面黒色層111上すなわち第1面密着層32上に位置し、且つ導電性を有する層である。第1面導電層51は、複数の第1面配線部511を有する。
複数の第1面配線部511は、面方向D2に間隔を空けて第1面黒色層111上に位置する。各第1面配線部511は、第1導電層の一例として、第1面黒色層111上すなわち第1面密着層32上に位置するシード層7と、第2導電層の一例として、シード層7上に位置するめっき層8とを有する。
シード層7は、電解めっき処理によってめっき層8を形成する電解めっき工程の際に、めっき液中の金属イオンを析出させてめっき層8を成長させるための土台となる、導電性を有する層である。
シード層7の材料としては、銅などの導電性を有する材料を用いることができる。シード層7の材料は、めっき層8の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、シード層7は、チタンと銅を順に積層した積層膜や、クロムなどであってもよい。シード層7は、無電解めっき法で形成することができる。
めっき層8は、めっき処理によって形成される、導電性を有する層である。めっき層8は、銅を含有する。めっき層8は、銅と、銅以外の金属、例えば、金、銀、白金、ロジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロムとの合金を含有していてもよく、または、銅と銅以外の金属とを積層したものであってもよい。
また、シード層7およびめっき層8は、タングステン、チタン、タンタルその他の高融点化合物を主成分として含有していてもよい。
なお、各第1面配線部511に覆われた第1面密着層32は、各第1面配線部511のそれぞれに対応するように面方向D2に間隔を空けて第1表面21上に位置する。図1の例において、隣り合う第1面配線部511同士の間には第1面密着層32が存在しない。これにより、隣り合う第1面配線部511同士の間で、第1面密着層32の表面を伝った金属の移動によるマイグレーションが生じることを抑制することができる。
(貫通電極基板1の製造方法)
以下、貫通電極基板1の製造方法の一例について、図1乃至図8を参照して説明する。
以下、貫通電極基板1の製造方法の一例について、図1乃至図8を参照して説明する。
(密着層形成工程)
図2は、本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。まず、透明基板2を準備する。透明基板2を準備した後、図2に示すように、第1表面21上への第1面密着層32の形成を行う。図2の例では、第1面密着層32の形成と同時に、第2表面22上にも、第1面密着層32と同じ成分を含有する第2面密着層33を形成する。密着層32、33は、例えば、15nm〜200nmの厚みに形成する。密着層32、33の形成は、例えば、ディップコート、スプレーコートまたはスピンコートなどのウェットプロセスで行うことができる。
図2は、本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。まず、透明基板2を準備する。透明基板2を準備した後、図2に示すように、第1表面21上への第1面密着層32の形成を行う。図2の例では、第1面密着層32の形成と同時に、第2表面22上にも、第1面密着層32と同じ成分を含有する第2面密着層33を形成する。密着層32、33は、例えば、15nm〜200nmの厚みに形成する。密着層32、33の形成は、例えば、ディップコート、スプレーコートまたはスピンコートなどのウェットプロセスで行うことができる。
(密着層表面活性化工程)
図3は、図2に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。密着層32、33を形成した後、図3において破線枠で模式的に示すように、密着層32、33の表面を活性化すなわち改質させる。密着層32、33の表面の活性化は、例えば、密着層32、33の表面に紫外線を照射することで行うことができる。密着層32、33の表面を活性化することで、密着層32、33の表面上に黒色層111、112となる金属化合物を析出させ易くすることができる。具体的には、紫外線を照射することによって、密着層32、33の表面において、密着層32、33の材料の結合が切れ、ラジカルや官能基が生成される。ラジカルや官能基は、不安定すなわち反応性が高いため、無電解めっきの水溶液に含まれる銅などの金属を結合させ易い。金属を結合させ易いことで、密着層32、33の表面上に金属化合物を析出させ易くなる。
図3は、図2に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。密着層32、33を形成した後、図3において破線枠で模式的に示すように、密着層32、33の表面を活性化すなわち改質させる。密着層32、33の表面の活性化は、例えば、密着層32、33の表面に紫外線を照射することで行うことができる。密着層32、33の表面を活性化することで、密着層32、33の表面上に黒色層111、112となる金属化合物を析出させ易くすることができる。具体的には、紫外線を照射することによって、密着層32、33の表面において、密着層32、33の材料の結合が切れ、ラジカルや官能基が生成される。ラジカルや官能基は、不安定すなわち反応性が高いため、無電解めっきの水溶液に含まれる銅などの金属を結合させ易い。金属を結合させ易いことで、密着層32、33の表面上に金属化合物を析出させ易くなる。
(シード層、黒色層形成工程)
図4は、図3に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。密着層32、33の表面を活性化させた後、図4に示すように、密着層32、33上にシード層7を形成する。シード層7は、例えば200〜500nmの厚みに形成する。また、シード層7を形成するのと同時に、第1面密着層32とシード層7との間に第1面黒色層111を形成し、第2面密着層33とシード層7との間に第2面黒色層112を形成する。第2面黒色層112は、第1面黒色層111と同一の成分を含有する。以下、密着層32、33が形成された透明基板2のことを、単に透明基板2とも呼ぶ。
図4は、図3に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。密着層32、33の表面を活性化させた後、図4に示すように、密着層32、33上にシード層7を形成する。シード層7は、例えば200〜500nmの厚みに形成する。また、シード層7を形成するのと同時に、第1面密着層32とシード層7との間に第1面黒色層111を形成し、第2面密着層33とシード層7との間に第2面黒色層112を形成する。第2面黒色層112は、第1面黒色層111と同一の成分を含有する。以下、密着層32、33が形成された透明基板2のことを、単に透明基板2とも呼ぶ。
シード層7の形成においては、先ず、透明基板2を洗浄と、透明基板2の濡れ性を上げるための表面改質とを行う。洗浄および表面改質は、例えば、PH2以下の酸性水溶液またはPH11以上のアルカリ性水溶液を40〜50℃に保持し、当該酸性水浴液またはアルカリ性水溶液中に透明基板2を5〜15分間浸漬することで行うことができる。
洗浄および表面改質を行った後、透明基板2を触媒化する。具体的には、無電解銅めっきの触媒となるPdイオンまたはSn/Pdコロイドを密着層32、33に吸着させる。触媒化は、例えば、Pdイオンを含有するPH9〜11のアルカリ性水溶液またはSn/Pdコロイドを含有するPH2以下の酸性水溶液を40〜50℃に保持し、当該酸性水浴液またはアルカリ性水溶液中に透明基板2を5〜15分間浸漬することで行うことができる。
触媒化を行った後、密着層32、33に吸着させたPdイオンのPdへの還元または密着層32、33に吸着させたSn/PdコロイドにおけるPdの活性化を行う。Pdの還元は、例えば、適当な還元剤を含むPH5〜8の水溶液を50℃に保持し、この水溶液中に透明基板2を1〜5分間浸漬することで行うことができる。Pdの活性化は、例えば、PH2以下の酸性水溶液またはPH11以上のアルカリ性水溶液を50℃に保持し、この水溶液中に透明基板2を1〜5分間浸漬することで行うことができる。
Pdイオンの還元またはPdの活性化を行った後、無電解銅めっきを行う。具体的には、密着層32、33に吸着されたPdを触媒とし、密着層32、33上に銅の被膜を形成する。無電解銅めっきは、例えば、銅イオン、水酸化ナトリウムおよびホルマリンを含有するアルカリ性水溶液を30〜40℃に保持し、このアルカリ性水溶液中に透明基板2を5〜30分間浸漬することで行うことができる。
無電解銅めっきを行うことで、密着層32、33上にシード層7を形成することができる。同時に、図4に示すように、第1面密着層32とシード層7との間に酸化銅を含有する第1面黒色層111を形成し、また、第2面密着層33とシード層7との間に酸化銅を含有する第2面黒色層112を形成することができる。
(レジスト層形成工程)
図5は、図4に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。シード層7および黒色層111、112を形成した後、図5に示すように、第1面導電層51の形成領域を除いてシード層7上に部分的にレジスト層9を形成する。レジスト層9の形成は、例えば、シード層7上にドライフィルムレジストをラミネートし、ラミネートされたドライフィルムレジストを露光および現像することで行うことができる。
図5は、図4に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。シード層7および黒色層111、112を形成した後、図5に示すように、第1面導電層51の形成領域を除いてシード層7上に部分的にレジスト層9を形成する。レジスト層9の形成は、例えば、シード層7上にドライフィルムレジストをラミネートし、ラミネートされたドライフィルムレジストを露光および現像することで行うことができる。
(めっき層形成工程)
図6は、図5に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。レジスト層9を形成した後、図6に示すように、レジスト層9をマスクとした電解めっきにより、レジスト層9によって覆われていないシード層7上にめっき層8を形成する。めっき層8は、例えば2〜12μmの厚みに形成する。
図6は、図5に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。レジスト層9を形成した後、図6に示すように、レジスト層9をマスクとした電解めっきにより、レジスト層9によって覆われていないシード層7上にめっき層8を形成する。めっき層8は、例えば2〜12μmの厚みに形成する。
(レジスト層除去工程)
図7は、図6に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。めっき層8を形成した後、図7に示すように、透明基板2からレジスト層9を剥離すなわち除去する。レジスト層9は、例えば、アルカリ溶液への浸漬で除去することができる。
図7は、図6に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。めっき層8を形成した後、図7に示すように、透明基板2からレジスト層9を剥離すなわち除去する。レジスト層9は、例えば、アルカリ溶液への浸漬で除去することができる。
(シード層除去工程)
図8は、図7に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。レジスト層9を除去した後、図8に示すように、シード層7のうちレジスト層9が形成されていた部分を除去する。シード層7は、例えば、ウェットエッチングで除去することができる。シード層7を除去することで、第1面導電層51が形成される。
図8は、図7に続く本実施形態による導電基板1の製造方法を示す断面図である。レジスト層9を除去した後、図8に示すように、シード層7のうちレジスト層9が形成されていた部分を除去する。シード層7は、例えば、ウェットエッチングで除去することができる。シード層7を除去することで、第1面導電層51が形成される。
(黒色層、密着層除去工程)
シード層7を除去した後、図1に示すように、黒色層111、112および密着層32、33のうち、第1面導電層51で覆われていない部分を除去する。黒色層111、112および密着層32、33は、例えば、プラズマアッシングやアルカリ浸漬などで除去することができる。
シード層7を除去した後、図1に示すように、黒色層111、112および密着層32、33のうち、第1面導電層51で覆われていない部分を除去する。黒色層111、112および密着層32、33は、例えば、プラズマアッシングやアルカリ浸漬などで除去することができる。
(試験例)
以下、本実施形態の試験例について説明する。
以下、本実施形態の試験例について説明する。
試験例では、図1の構成を有する試料No.1と、図1の構成から第1面黒色層111を省略した試料No.2との2つの試料を作製した。各試料の作製にあたっては、先ず、各試料に共通の透明基板2として、厚み450nmの無アルカリガラスを準備した。
透明基板2上への密着層32、33の形成においては、各試料とも、ポリイミドを主成分とする有機樹脂を、ディップコートで100nmの厚みに形成した。
密着層32、33の表面の活性化においては、試料No.1の密着層32、33の表面に、UVランプを用いて紫外線を30分間照射した。一方、試料No.2の密着層32、33の表面には、活性化を行わなかった。
シード層7の形成においては、各試料とも、無電解めっき法によって500nmの厚みを有するようにシード層7を形成した。このとき、試料No.1の密着層32、33とシード層7との間には、黒色層111、112が形成された。一方、試料No.2の密着層32、33とシード層7との間には、黒色層111、112が形成されなかった。
シード層7上へのレジスト層9の形成においては、各試料とも、日立化成社製のRY5319をラミネートした後、膜表面から100μm離れた位置にフォトマスクを配置して、プロキシミティアライナにより、超高圧水銀ランプでパターン露光した。パターン露光後、液温30℃、濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液中に透明基板2を1分間浸漬して現像を行うことで、レジスト層9の未硬化部分を除去した。
シード層7上へのめっき層8の形成においては、各試料とも、電解銅めっき法によって、レジスト層9で覆われていないシード層7上に5μmの厚みを有するように、めっき層8を形成した。
めっき層8の形成後のレジスト層9の除去においては、各試料とも、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて3分間のスプレー剥離を行うことで、透明基板2からレジスト層9を剥離した。
レジスト層9の除去後のシード層7の除去においては、各試料とも、銅除去剤であるメック社製SF−5420に透明基板2を1分間浸漬するウェットエッチングを行うことで、シード層7を除去した。これにより、L/Sすなわちライン/スペースが20/20μm幅のくし歯パターンの配線511を形成した。
シード層7の除去後の密着層32、33の除去においては、試料No.1については、プラズマ照射の時間を変更することで、配線511で覆われていない密着層32、33を除去し、同時に配線511で覆われていない黒色層111、112も除去した。一方、試料No.2については、黒色層111、112が形成されていないので、プラズマ照射によって配線511で覆われていない密着層32、33のみを除去した。
試料No.1の密着層32、33および黒色層111、112の除去後、または、試料No.2の密着層32、33の除去後は、各試料とも、窒素雰囲気下において200℃で30分間のアニール処理を行った。
以上のようにして作製された各試料に対して、光学顕微鏡を用いて透明基板2越しに配線部511すなわち銅配線を観察した。配線511の観察においては、配線511の裏面の光学画像に基づいて配線511の裏面による可視光の反射率を可視光域である380〜780nmに属する波長毎に測定した。
観察結果を以下の表1に示す。
表1に示すように、図1の構成に対応する試料No.1においては、配線511の裏面による可視光の反射率が30%未満に抑制された。このような試料No.1の試験結果は、試料No.1の配線511の裏面に黒色層111が形成されているため、黒色層111が可視光の反射を有効に抑制していることによるものと推測される。一方、表1に示すように、試料No.2においては、配線511の裏面による可視光の反射率が40%〜90%になった。なお、表1における反射率のばらつきは、380〜780nmにわたる可視光の波長の違いによるものである。このような試料No.2の試験結果は、試料No.2の配線511の裏面に黒色層111が形成されていないため、配線511による可視光の反射が抑制されていないことによるものと推測される。
以上の試験例によれば、配線511の裏面に黒色層111を形成することで、透明基板2上の導電層511による透明基板2側への光の正反射を抑制できることが確認された。
以下、本実施形態によってもたらされる作用について説明する。
図1に示したように、本実施形態の導電基板1は、第1面密着層32と第1面導電層51との間に、光吸収性を有する第1面黒色層111を備える。第1面黒色層111を備えることで、透明基板2の内部から透明基板2上の第1面導電層51に入射しようとする光を、第1面黒色層111によって第1面導電層51の手前で吸収することができる。また、光の一部が第1面黒色層111を透過して第1面導電層51で第1面黒色層111側に正反射された場合であっても、正反射された光を第1面黒色層111で吸収することができる。これにより、透明基板2上の第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。光の正反射を抑制できることで、第1表面21上に位置する受光センサで第2表面22側から入射した光信号を透明基板2越しに受信する際に、光信号の一部が第1面導電層51の裏面で正反射されてノイズとして検出されることを抑制することができる。すなわち、透明基板2を通した光信号の受信精度を向上させることができる。また、光学顕微鏡などの検査装置によって第2表面22側から透明基板2越しに第1面導電層51を撮像し、撮像画像に基づいて第1面導電層51の形成状態を検査する場合に、第1面導電層51による正反射光を抑制することで、検査を精緻に行うことができる。
もし、光の正反射を抑制するために第1面導電層51の裏面を粗化した場合、第1面配線部511の電気抵抗率が上昇することで、第1面配線部511を通じた電気信号の伝送効率が悪化してしまう。
これに対して、本実施形態によれば、第1面黒色層111を備えることで、第1面導電層51の裏面を粗化することなく光の正反射を抑制することができる。これにより、電気信号の伝送効率の悪化を抑制しつつ、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。
また、図3および図4の例では、無電解めっきのプロセスを利用して第1面黒色層111を形成することができるので、製造工数およびコストを削減することができる。
また、第1面密着層32の厚みを15nm以上200nm以下とすれば、シード層7の析出性を向上させることができ、また、加熱処理によって第1面密着層32から発生したガスによる第1面導電層51の変形を抑制することができ、電気的特性の悪化を抑制することができる。
(第1の変形例)
次に、第1面密着層32が光吸収性を有する第1の変形例について説明する。図9は、本実施形態の第1の変形例による導電基板1を示す断面図である。図1の例では、第1面密着層32と別体の第1面黒色層111を備えることで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。これに対して、第1の変形例では、第1面密着層32が光吸収性を有することで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。
次に、第1面密着層32が光吸収性を有する第1の変形例について説明する。図9は、本実施形態の第1の変形例による導電基板1を示す断面図である。図1の例では、第1面密着層32と別体の第1面黒色層111を備えることで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。これに対して、第1の変形例では、第1面密着層32が光吸収性を有することで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。
具体的には、図9に示される第1の変形例の第1面密着層32は、光反射抑制部材の一例である黒色顔料を含有している。黒色顔料を含有することで、第1面密着層32は、密着性とともに光吸収性を有している。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックおよびチタンブラックの少なくとも1つを含有する黒色顔料を用いることができる。また、本開示における黒色顔料は、単体として黒色を呈する顔料に限定されず、複合体として黒色を呈する複数の非黒色顔料の組合せであってもよい。複数の非黒色顔料としては、例えば、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、橙色顔料および紫色顔料のうち少なくとも2つ以上の組合せを用いることができる。
黒色顔料を含有する第1面密着層32は、例えば、黒色顔料を混合および撹拌した第1面密着層32の原料溶液を第1表面21上に塗布し、塗布された原料溶液を熱硬化することで形成することができる。
黒色顔料としてとしてカーボンブラックを用いる場合、カーボンブラックは、樹脂材料で被覆処理することが望ましい。カーボンブラックは導電性を有する。導電性を有するカーボンブラックを被覆処理することで、カーボンブラックの導電性が導電基板1の電気特性に悪影響を与えることを抑制することができる。例えば、第1面密着層32によって意図しない短絡が発生することを抑制することができる。
なお、第1面密着層32は、黒色顔料に加えて、または、黒色顔料に替えて、黒色染料を含有していてもよい。黒色染料は、単体として黒色を呈する染料に限定されず、複合体として黒色を呈する複数の非黒色染料の組合せであってもよい。黒色染料としては、例えば、トリアリルメタン系染料、アゾ染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、第1面密着層32は、黒色顔料または黒色染料を含有するかわりに、黒色以外の暗色を有する暗色顔料または暗色染料を含有してもよい。この場合、黒色顔料以外の暗色顔料としては、バーントアンバー等を用いることができる。この場合、暗色顔料は、黒色以外の暗色の一例として、赤褐色を呈する。また、黒色染料以外の暗色染料としては、インダスレン等を用いることができる。この場合、暗色染料は、黒色以外の暗色の一例として、暗青色を呈する。これらの暗色顔料および暗色染料も、第1面密着層32に光吸収性を付与することができる。
第1の変形例によれば、第1面密着層32が光吸収性を有することで、黒色層などの光反射抑制層の形成工程を省略することができる。
(第2の変形例)
次に、第1面密着層32が光拡散性を有する第2の変形例について説明する。図10は、本実施形態の第2の変形例による導電基板1を示す断面図である。図9では、第1面密着層32が光吸収性を有する例について説明した。これに対して、第2の変形例では、第1面密着層32が光拡散性を有することで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。すなわち、第1面密着層32の光拡散性によって光を拡散すなわち乱反射させることで、光の正反射を抑制している。
次に、第1面密着層32が光拡散性を有する第2の変形例について説明する。図10は、本実施形態の第2の変形例による導電基板1を示す断面図である。図9では、第1面密着層32が光吸収性を有する例について説明した。これに対して、第2の変形例では、第1面密着層32が光拡散性を有することで、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制している。すなわち、第1面密着層32の光拡散性によって光を拡散すなわち乱反射させることで、光の正反射を抑制している。
具体的には、図10に示される第2の変形例の第1面密着層32は、光反射抑制部材の一例である光拡散性のフィラー114を含有している。フィラー114を含有することで、第1面密着層32は、密着性とともに光拡散性を有している。フィラー114の材料としては、例えば、溶融シリカ、結晶質シリカ、水酸化アルミニウムおよびガラスなどを用いることができる。図10は、一例としてガラスビーズの態様のフィラー114を示しているが、これに限定されるものではない。
第2の変形例によれば、第1面密着層32がフィラー114を含有することで、透明基板2の内部から第1面導電層51に入射しようとする光、または第1面導電層51で第1面密着層32側に正反射された光を、フィラー114によって拡散させることができる。これにより、第1面密着層32の裏面を粗化することなく、第1面導電層51による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。また、第1面密着層32が光拡散性を有することで、黒色層などの光反射抑制層の形成工程を省略することができる。
(第3の変形例)
次に、貫通電極を備える第3の変形例について説明する。図11は、本実施形態の第3の変形例による導電基板1を示す断面図である。図11に示すように、第3の変形例の導電基板1は、貫通電極4を有する貫通電極基板の態様の導電基板である。
次に、貫通電極を備える第3の変形例について説明する。図11は、本実施形態の第3の変形例による導電基板1を示す断面図である。図11に示すように、第3の変形例の導電基板1は、貫通電極4を有する貫通電極基板の態様の導電基板である。
図11に示すように、第3の変形例の導電基板1において、透明基板2には、第1表面21から第2表面22まで貫通する貫通孔23が設けられている。また、第3の変形例の導電基板1は、図1の構成に加えて、更に、第2有機層の一例である側壁密着層31と、第1有機層の一例である第2面密着層33と、光反射抑制層の一例である側壁黒色層113および第2面黒色層112と、貫通電極4と、導電層の一例である第2面導電層52と、有機層6と、を備える。
(貫通孔23)
貫通孔23は、透明基板2の厚み方向D1に垂直な断面において円形状を有する。また、図示はしないが、貫通孔23は、面方向D2に間隔を空けて複数設けられている。
貫通孔23は、透明基板2の厚み方向D1に垂直な断面において円形状を有する。また、図示はしないが、貫通孔23は、面方向D2に間隔を空けて複数設けられている。
また、図1の例において、貫通孔23の内径は、第1表面21から第2表面22に至るまで殆ど同一である。すなわち、図1の貫通孔23は、円筒形状の側壁231を有している。後述の図12(a)〜図12(c)に示すように、貫通孔23の内径は、第1表面21および第2表面22の一方から他方に向かって変化してもよい。
貫通孔23は、面方向D1の寸法すなわち内径φに対する厚みTの比T/φであるアスペクト比が、3以上33以下であることが望ましい。一例として、貫通孔23の内径φは、15μm以上100μm以下であり、貫通孔23の厚みTは、300μm以上500μm以下である。貫通孔23のアスペクト比T/φを3以上とすることで、貫通孔23の内径φを抑制できるので、貫通電極4の配線密度を高めることができる。貫通孔23のアスペクト比T/φを33以下とすることで、貫通孔23の内部に貫通電極4を形成するために十分な内径φを確保することができる。
貫通孔23の形成方法としては、例えば、レーザ照射を用いることができる。レーザとしては、エキシマレーザ、Nd:YAGレーザ、フェムト秒レーザ等を用いることができる。Nd:YAGレーザを採用する場合、波長が1064nmの基本波、波長が532nmの第2高調波、波長が355nmの第3高調波等を用いることができる。
また、レーザ照射とウェットエッチングを適宜組み合わせることもできる。具体的には、まず、レーザ照射によって透明基板2のうち貫通孔23が形成されるべき領域に変質層を形成する。続いて、透明基板2をフッ化水素などに浸漬して、変質層をエッチングする。これによって、透明基板2に貫通孔23を形成することができる。
レーザ照射以外にも、透明基板2に研磨材を吹き付けるブラスト処理や、反応性イオンエッチング法、深掘り反応性イオンエッチング法などのドライエッチング法などによって透明基板2に貫通孔23を形成してもよい。
(側壁密着層31)
側壁密着層31は、貫通孔23の側壁231上に位置し、透明基板2および貫通電極4の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
側壁密着層31は、貫通孔23の側壁231上に位置し、透明基板2および貫通電極4の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
側壁密着層31を介した透明基板2と貫通電極4との密着性は、側壁密着層31が無い場合の透明基板2と貫通電極4との直接的な密着性より高い。このような密着性の大小関係は、側壁密着層31を介して側壁231上に形成した貫通電極4を剥離することを模擬した剥離試験と、側壁231上に直接形成した貫通電極4を剥離することを模擬した剥離試験とを実施し、双方の剥離試験における貫通電極4の剥離力を比較することで確認することができる。剥離試験としては、JIS H 8504に規定されているめっきの密着性試験方法のうち、テープ試験、または、「JIS K5600 塗料一般試験方法」に規定されているクロスカット試験法を用いることができる。
第1面密着層32と同様に、側壁密着層31は、有機物を含有する。有機物を含有することで、側壁密着層31は、透明基板2および貫通電極4との間で高い密着性を発揮することができる。
第1面密着層32と同様に、側壁密着層31に含有される有機物は、側壁密着層31上に無電解めっきで貫通電極4のシード層を形成する場合の金属析出性と薬液耐性との双方を有することが望ましい。このような有機物としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂などの高分子樹脂を好適に用いることができる。なお、高分子樹脂は、無機酸化膜や有機単分子膜に比べて側壁231上に均一に側壁密着層31が形成されているか否かを判断し易いので、生産性の向上に寄与することもできる。
第1面密着層32と同様に、側壁密着層31の厚みは、15nm以上200nm以下であることが望ましい。側壁密着層31の厚みを15nm以上とすることで、無電解めっき法で貫通電極4のシード層を形成する際に、側壁密着層31に十分な量の触媒を吸着させることができるので、貫通電極4のシード層の析出性を向上させることができる。側壁密着層31の厚みを200nm以下とすることで、無電解めっきの後工程の加熱処理において側壁密着層31から発生するガスの総量を抑制することができるので、ガスの圧力による貫通電極4の変形およびこれにともなう電気的特性の悪化を抑制することができる。
側壁密着層31は、例えば、ディップコート、スプレーコート、およびスピンコートなどのウェットプロセスによって第1面密着層32と同一材料で同時に形成してもよい。
(第2面密着層33)
第2面密着層33は、第2表面22上に位置し、透明基板2および第2面導電層52の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
第2面密着層33は、第2表面22上に位置し、透明基板2および第2面導電層52の双方への密着性および絶縁性を有する層である。
第2面密着層33を介した透明基板2と第2面導電層52との密着性は、第2面密着層33が無い場合の透明基板2と第2面導電層52との直接的な密着性より高い。このような密着性の大小関係は、第2面密着層33を介して第2表面22上に形成した第2面導電層52を剥離することを模擬した剥離試験と、第2表面22上に直接形成した第2面導電層52を剥離することを模擬した剥離試験とを実施し、双方の剥離試験における第2面導電層52の剥離力を比較することで確認することができる。剥離試験としては、JIS H 8504に規定されているめっきの密着性試験方法のうち、テープ試験、または、「JIS K5600 塗料一般試験方法」に規定されているクロスカット試験法を用いることができる。
第1面密着層32と同様に、第2面密着層33は、有機物を含有する。有機物を含有することで、第2面密着層33は、透明基板2および第2面導電層52との間で高い密着性を発揮することができる。
第1面密着層32と同様に、第2面密着層33に含有される有機物は、第2面密着層33上に無電解めっきで第2面導電層52のシード層を形成する場合の金属析出性と薬液耐性との双方を有することが望ましい。このような有機物としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂などの高分子樹脂を好適に用いることができる。なお、高分子樹脂は、無機酸化膜や有機単分子膜に比べて第2表面22上に均一に第2面密着層33が形成されているか否かを判断し易いので、生産性の向上に寄与することもできる。
第1面密着層32と同様に、第2面密着層33の厚みは、15nm以上200nm以下であることが望ましい。第2面密着層33の厚みを15nm以上とすることで、無電解めっきの際に、第2面密着層33に十分な量の触媒を吸着させることができるので、第2面導電層52のシード層の析出性を向上させることができる。第2面密着層33の厚みを200nm以下とすることで、無電解めっきの後工程の加熱処理において第2面密着層33から発生するガスの総量を抑制することができるので、ガスの圧力による第2面導電層52の膨張およびこれにともなう電気的特性の悪化を抑制することができる。
第2面密着層33は、後述する第2面導電層52の第2面配線部521および第2面パッド部522に対応するように、面方向D2に間隔を空けて部分的に第2表面22上に位置している。したがって、複数の第2面配線部521間には、第2面密着層33が存在しない。このような構成によれば、複数の第2面配線部521間におけるマイグレーションを抑制することができる。
第2面密着層33は、例えば、ディップコート、スプレーコート、およびスピンコートなどのウェットプロセスによって側壁密着層31および第1面密着層32と同一材料で同時に形成してもよい。
(側壁黒色層113)
側壁黒色層113は、貫通孔23の側壁231上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有する黒色の層である。図11の例において、側壁黒色層113は、第1面黒色層111と同様に、金属化合物を含有することで黒色を有する。金属化合物は、例えば、酸化銅である。
側壁黒色層113は、貫通孔23の側壁231上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有する黒色の層である。図11の例において、側壁黒色層113は、第1面黒色層111と同様に、金属化合物を含有することで黒色を有する。金属化合物は、例えば、酸化銅である。
第1面黒色層111と同様に、金属化合物を含有する側壁黒色層113は、例えば、紫外線照射などによって側壁密着層31の表面を活性化させた後に、無電解めっき法で側壁密着層31上に貫通電極4のシード層を形成することで、側壁密着層31とシード層との間に形成することができる。このようにシード層の形成工程で形成された側壁黒色層113は、貫通電極4のシード層に含有された金属と同じ金属を含有する。
側壁黒色層113によれば、透明基板2の内部から貫通電極4に入射しようとする光、または貫通電極4で側壁黒色層113側に正反射した光を、側壁黒色層113によって吸収することができる。これにより、貫通電極4の裏面を粗化することなく、貫通電極4による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。
(第2面黒色層112)
第2面黒色層112は、第2面密着層33上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有する黒色の層である。図1の例において、第2面黒色層112は、第1面黒色層111と同様に、金属化合物を含有することで黒色を有する。金属化合物は、例えば、酸化銅である。
第2面黒色層112は、第2面密着層33上に位置し、光反射抑制機能の一例である光吸収性を有する黒色の層である。図1の例において、第2面黒色層112は、第1面黒色層111と同様に、金属化合物を含有することで黒色を有する。金属化合物は、例えば、酸化銅である。
第2面黒色層112は、例えば、紫外線照射などによって第2面密着層33の表面を活性化させた後に、無電解めっき法で第2面密着層33上に第2面導電層52のシード層を形成することで、第2面密着層33とシード層との間に形成することができる。このようにシード層の形成工程で形成された第2面黒色層112は、第2面導電層52のシード層に含有された金属と同じ金属の酸化物を含有する。
第2面黒色層112によれば、透明基板2の内部から第2面導電層52に入射しようとする光、または第2面導電層52で第2面黒色層112側に正反射した光を、第2面黒色層112によって吸収することができる。これにより、第2面導電層52の裏面すなわち透明基板2側の面を粗化することなく、第2面導電層52による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。
(貫通電極4)
図11の例において、貫通電極4は、貫通孔23の内部において側壁黒色層113上すなわち側壁密着層31上に位置し、且つ導電性を有する部材である。図11の例において、貫通電極4の厚みは、貫通孔23の幅よりも小さく、このため、貫通孔23の内部には、貫通電極4が存在しない空間がある。すなわち、貫通電極4は、いわゆるコンフォーマルビアである。なお、図11の例において、貫通孔23の内部の空間は、貫通電極4の内側に位置する有機層6で埋められている。
図11の例において、貫通電極4は、貫通孔23の内部において側壁黒色層113上すなわち側壁密着層31上に位置し、且つ導電性を有する部材である。図11の例において、貫通電極4の厚みは、貫通孔23の幅よりも小さく、このため、貫通孔23の内部には、貫通電極4が存在しない空間がある。すなわち、貫通電極4は、いわゆるコンフォーマルビアである。なお、図11の例において、貫通孔23の内部の空間は、貫通電極4の内側に位置する有機層6で埋められている。
図11に示すように、貫通電極4は、側壁黒色層113上に位置するシード層7と、シード層7上に位置するめっき層8とを有する。貫通電極4のシード層7およびめっき層8は、第1面導電層51のシード層7およびめっき層8と共通、すなわち同一成分を含有する。
(第2面導電層52)
第2面導電層52は、第2面黒色層112上すなわち第2面密着層33上に位置し、且つ導電性を有する層である。第2面導電層52は、複数の第2面配線部521と、第2面パッド部522とを有する。
第2面導電層52は、第2面黒色層112上すなわち第2面密着層33上に位置し、且つ導電性を有する層である。第2面導電層52は、複数の第2面配線部521と、第2面パッド部522とを有する。
第2面パッド部522は、貫通電極4と電気的に接続されており、より具体的には、貫通孔23の第2表面22側の周縁部上において、貫通電極4の第2表面22側の端部に連続している。第2面パッド部522は、平面視した場合に貫通孔23と同心の円環形状を呈していてもよい。貫通電極4と同様に、第2面パッド部522は、第1導電層の一例として、第2面密着層33上に位置するシード層7と、第2導電層の一例として、シード層7上に位置するめっき層8とを有する。第2面パッド部522のシード層7およびめっき層8は、貫通電極4のシード層7およびめっき層8と共通、すなわち同一成分を含有する。なお、貫通電極4と第2面パッド部522との境界部において、第2面パッド部522に覆われた第2面密着層33は、側壁密着層31に連続している。第2面密着層33が側壁密着層31に連続していることで、透明基板2の中で比較的にめっき不良が起こり易い角部上に位置する第2面パッド部522についても、透明基板2への密着性を可及的に向上させることができる。
複数の第2面配線部521は、面方向D2に間隔を空けて第2面黒色層112上に位置する。各第2面配線部521は、第1導電層の一例として、第1面黒色層111上すなわち第1面密着層32上に位置するシード層7と、第2導電層の一例として、シード層7上に位置するめっき層8とを有する。第2面配線部521のシード層7およびめっき層8は、第1面導電層51のシード層7およびめっき層8と共通、すなわち同一成分を含有する。
なお、各第2面配線部521に覆われた第2面密着層33は、各第2面配線部521のそれぞれに対応するように面方向D2に間隔を空けて第2表面22上に位置する。図11の例において、隣り合う第2面配線部521同士の間には第2面密着層33が存在しない。これにより、隣り合う第2面配線部521同士の間で、第2面密着層33の表面を伝った金属の移動によるマイグレーションが生じることを抑制することができる。
なお、第2面導電層52と同様に、第1面導電層51は、複数の第1面配線部511に加えて、更に、第1面パッド部512を備える。第1面パッド部512は、貫通電極4と電気的に接続されており、より具体的には、貫通孔23の第1表面21側の周縁部上において、貫通電極4の第1表面21側の端部に連続している。第1面パッド部512は、平面視した場合に貫通孔23と同心の円環形状を呈していてもよい。貫通電極4と同様に、第1面パッド部512は、第1導電層の一例として、第1面密着層32上に位置するシード層7と、第2導電層の一例として、シード層7上に位置するめっき層8とを有する。第1面パッド部512のシード層7およびめっき層8は、貫通電極4のシード層7およびめっき層8と共通、すなわち同一成分を含有する。なお、貫通電極4と第1面パッド部512との境界部において、第1面パッド部512に覆われた第1面密着層32は、側壁密着層31に連続している。第1面密着層32が側壁密着層31に連続していることで、透明基板2の中で比較的にめっき不良が起こり易い角部上に位置する第1面パッド部512についても、透明基板2への密着性を可及的に向上させることができる。
また、第1表面21側の第1面配線部511と、第2表面22側の第2面配線部521とは、第1面パッド部512、貫通電極4および第2面パッド部522を介して電気的に接続されていてもよい。
(有機層6)
有機層6は、貫通孔23の内部に位置する、絶縁性を有する層である。有機層6の有機材料としては、ポリイミドやエポキシ樹脂などを用いることができる。
有機層6は、貫通孔23の内部に位置する、絶縁性を有する層である。有機層6の有機材料としては、ポリイミドやエポキシ樹脂などを用いることができる。
図11に示すように、第3の変形例の導電基板1は、第2面密着層33と第2面導電層52との間に、光吸収性を有する第2面黒色層112を備える。第2面黒色層112を備えることで、透明基板2の内部から第2面導電層52に入射しようとする光、または第2面導電層52で第2面黒色層112側に正反射された光を、第2面黒色層112によって吸収することができる。これにより、透明基板2上の第2面導電層52による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。光の正反射を抑制できることで、第2表面22上に位置する受光センサで第1表面21側から透明基板2越しに光信号を受信する際に、光信号が第2面導電層52で正反射されてノイズとして検出されることを抑制することができる。また、検査装置によって第1表面21側から透明基板2越しに第2面導電層52の画像を撮像し、撮像画像に基づいて第2面導電層52の形成状態を検査する場合に、第2面導電層52による正反射光を抑制することで、検査を精緻に行うことができる。
もし、光の正反射を抑制するために第2面導電層52の裏面を粗化した場合、第2面配線部521の電気抵抗率が上昇することで、第2面配線部521を通じた電気信号の伝送効率が悪化してしまう。
これに対して、本実施形態によれば、第2面黒色層112を備えることで、第2面導電層52の裏面を粗化することなく光の正反射を抑制することができる。これにより、第2面配線部521による信号の伝送効率の悪化を抑制しつつ、第2面配線部521による透明基板2側への光の正反射を抑制することができる。
また、図3および図4の例と同様に、無電解めっきのプロセスを利用して第2面黒色層112を形成すれば、製造工数およびコストを削減することができる。
また、第2面密着層33の厚みを15nm以上200nm以下とすれば、シード層7の析出性を向上させることができ、また、加熱処理によって第2面密着層33から発生したガスによる第2面導電層52の変形を抑制することができ、電気的特性の悪化を抑制することができる。
(試験例)
以下、第3の変形例の試験例として、貫通電極基板の態様の導電基板1の試料に対して実施した観察および電気検査の結果について説明する。試験例の目的は、密着層31〜33の厚みがシード層7の密着性および電気特性に与える影響を調べることである。
以下、第3の変形例の試験例として、貫通電極基板の態様の導電基板1の試料に対して実施した観察および電気検査の結果について説明する。試験例の目的は、密着層31〜33の厚みがシード層7の密着性および電気特性に与える影響を調べることである。
試験例では、密着層の厚みが互いに異なる試料No.1〜No.7の7つの試料を作製した。各試料の作製にあたっては、先ず、各試料に共通の透明基板2として、厚み450nmの無アルカリガラスに90μmφすなわちアスペクト比:5の貫通孔23を形成した透明基板2を準備した。
透明基板2上への密着層31〜33の形成においては、ポリイミドを主成分とする有機樹脂を、各試料毎にディップコートの有無または速度を変えて異なる厚みに形成した。具体的には、試料No.1については、ディップコートを行わず、密着層31〜33を形成しなかった。その他の試料の密着層31〜33の厚みは、試料No.2については15nm、試料No.3については22nm、試料No.4については98nm、試料No.5については185nm、試料No.6については203nm、試料No.7については210nmとした。
シード層7の形成においては、各試料とも、無電解めっき法によって500nmの厚みを有するようにシード層7を形成した。
シード層7上へのレジスト層9の形成においては、各試料とも、日立化成社製のRY5319をラミネートした後、膜表面から100μm離れた位置にフォトマスクを配置して、プロキシミティアライナにより、超高圧水銀ランプでパターン露光した。パターン露光後、液温30℃、濃度1%の炭酸ナトリウム水溶液中に透明基板2を1分間浸漬して現像を行うことで、レジスト層9の未硬化部分を除去した。
シード層7上へのめっき層8の形成においては、各試料とも、電解銅めっき法によって、レジスト層9で覆われていないシード層7上に5μmの厚みを有するように、めっき層8を形成した。
めっき層8の形成後のレジスト層9の除去においては、各試料とも、濃度3%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて3分間のスプレー剥離を行うことで、透明基板2からレジスト層9を剥離した。
レジスト層9の除去後のシード層7の除去においては、各試料とも、銅除去剤であるメック社製SF−5420に透明基板2を1分間浸漬するウェットエッチングを行うことで、シード層7を除去した。
シード層7の除去後の密着層32、33の除去においては、プラズマ照射により、めっき層8で覆われていない配線部間および配線部とパッド部との間の密着層32、33を除去した。
密着層32、33の除去後は、各試料とも、窒素雰囲気下において200℃で30分間のアニール処理を行った。
なお、試験例は、密着層31〜33の厚みがシード層7の密着性および電気特性に与える影響を調べることを目的としたため、試験例の各試料に黒色層111〜113は形成しなかった。
以上のようにして作製された試料No.1〜No.7に対して、シード層の析出状態の観察と、アニール処理後のシード層の膨張状態の観察と、「JIS K5600 塗料一般試験方法」に規定されているクロスカット試験法によるシード層の剥離状態の観察とを行った。観察には、電子顕微鏡を使用した。また、電気検査として、シード層による電気信号の導通検査を行った。なお、クロスカット試験法は、既述したテープ試験と類似している。クロスカット試験法では、シード層が形成された透明基板の試験面に、カッターで透明基板に達する碁盤目状の切り傷を形成する。そして、碁盤目部分にテープを強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目部分の状態を標準図と比較して評価する。
試験例の観察結果および電気検査結果を以下の表2および図12(a)〜図12(c)に示す。
試験例の観察結果および電気検査結果を以下の表2および図12(a)〜図12(c)に示す。
表1中の“○”は、結果が良好であることを示している。一方、表1中の“×”は、結果が悪いことを示している。また、図12(a)は、試料No.2〜試料No.6に示される本実施形態の第3の変形例による導電基板1において、透明基板2上へのシード層7の形成状態を模式的に示す平面図である。図12(b)は、試料No.1に示される第1の比較例による導電基板において、透明基板2上へのシード層7の形成状態を模式的に示す平面図である。図12(c)は、試料No.7に示される第2の比較例による導電基板において、透明基板2上へのシード層7の形成状態を模式的に示す平面図である。
表2および図12(a)に示すように、試料No.2〜No.6においては、透明基板2上にシード層7が万遍なく形成され、アニールにともなうシード層7の膨張も殆ど無いことが確認された。更に、試料No.2〜No.6においては、クロスカット試験によるシード層7の剥離が殆ど無く、また、導通状態が良好であることが確認された。このような試料No.2〜試料No.6の結果は、試料No.2〜試料No.6が適度な厚みの密着層31〜33を有することで、シード層7の密着性を確保しつつアニールの際に密着層31〜33から生じるガスの総量を抑制できることによるものと推測される。
一方、試料No.1においては、表2および図12(b)に示すように、シード層7が形成されずに透明基板2が露出した箇所が確認された。更に、試料No.1においては、クロスカット試験によるシード層7の剥離量が多く、また、導通不良が生じることが確認された。このような試料No.1の結果は、試料No.1が密着層31〜33を有しないことで、シード層7の密着性を確保できないことによるものと推測される。
また、試料No.7においては、表2および図12(c)に示すように、アニールにともなうシード層7の膨張部7aが多数生じることが確認された。更に、試料No.7においては、導通不良が生じることが確認された。このような試料No.7の結果は、試料No.7の密着層31〜33の厚みが過大であることで、アニールの際に密着層31〜33から生じるガスの総量が多いことによるものと推測される。
以上の試験例によれば、密着層31〜33の厚みを15nm以上200nm以下とすることで、シード層7の密着性および電気特性が良好になることが確認された。
(第4の変形例)
次に、第4の変形例として、貫通孔23の形状の変形例について説明する。図13(a)は、本実施形態の第4の変形例による導電基板1として、貫通孔23の一変形例を示す断面図である。図13(b)は、図13(a)と異なる貫通孔23の変形例を示す断面図である。図13(c)は、図13(a)および図13(b)と異なる貫通孔23の変形例を示す断面図である。
次に、第4の変形例として、貫通孔23の形状の変形例について説明する。図13(a)は、本実施形態の第4の変形例による導電基板1として、貫通孔23の一変形例を示す断面図である。図13(b)は、図13(a)と異なる貫通孔23の変形例を示す断面図である。図13(c)は、図13(a)および図13(b)と異なる貫通孔23の変形例を示す断面図である。
図11の例において、貫通孔23の側壁231は、厚み方向D1において内径が均一の円筒形状を有している。しかしながら、貫通孔23の形状が特に限られることはない。例えば、図13(a)に示すように、貫通孔23の側壁231は、第1表面21および第2表面22の一方から他方に向かうにしたがって内径が漸増するテーパ形状を有していてもよい。また、図13(b)に示すように、貫通孔23の側壁231は、第1表面21および第2表面22から透明基板2の厚み方向D1の中央部に向かうにしたがって内径が漸減する形状を有していてもよい。また、図13(c)に示すように、貫通孔23の側壁231は、第1表面21および第2表面22から透明基板2の厚み方向D1の中央部に向かうにしたがって内径が漸増する形状を有していてもよい。厚み方向D1の位置に応じて貫通孔23の内径が変化する場合、貫通孔23のアスペクト比T/φの分母は、貫通孔23の最小径であってもよい。また、貫通孔23の面方向D2の断面は、円形状に限らず、例えば、多角形状であってもよい。
第4の変形例においても、図1の例と同様に、第1面黒色層111を備えることで、第1面導電層51の裏面を粗化することなく光の正反射を抑制することができる。
第1〜第4の変形例は、これらを適宜組み合わせてもよい。
(製品への適用例)
図14は、上記各態様の貫通電極基板1を適用できる製品の例を示す図である。本開示の実施形態に係る貫通電極基板1は、光学用途の様々な製品に適用できる。例えば、貫通電極基板1は、携帯電話110のカメラ、スマートフォン120のカメラ、デジタルビデオカメラ130、デジタルカメラ140等に搭載できる。
図14は、上記各態様の貫通電極基板1を適用できる製品の例を示す図である。本開示の実施形態に係る貫通電極基板1は、光学用途の様々な製品に適用できる。例えば、貫通電極基板1は、携帯電話110のカメラ、スマートフォン120のカメラ、デジタルビデオカメラ130、デジタルカメラ140等に搭載できる。
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
1 導電基板
2 透明基板
21 第1表面
22 第2表面
32 第1面有機層
51 第1面導電層
111 第1面黒色層
2 透明基板
21 第1表面
22 第2表面
32 第1面有機層
51 第1面導電層
111 第1面黒色層
Claims (16)
- 第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板と、
前記第1表面上および前記第2表面上の少なくとも一方に少なくとも部分的に位置する第1有機層と、
前記第1有機層上に位置し、金属を含有する導電層と、
前記第1有機層に含有された光反射抑制部材、及び、前記第1有機層と前記導電層との間に位置する光反射抑制層のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板。 - 前記光反射抑制層は、暗色層である、請求項1に記載の導電基板。
- 前記暗色層は、金属化合物を含有する、請求項2に記載の導電基板。
- 前記導電層に含有された前記金属は、銅であり、
前記金属化合物は、酸化銅である、請求項3に記載の導電基板。 - 前記光反射抑制部材は、暗色顔料および暗色染料の少なくとも一方である、請求項2に記載の導電基板。
- 前記光反射抑制部材は、光拡散性を有するフィラーである、請求項2に記載の導電基板。
- 前記第1有機層を介した前記透明基板と前記導電層との密着性は、前記透明基板と前記導電層との直接的な密着性より高い、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導電基板。
- 前記第1有機層は、15nm以上200nm以下の厚みを有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導電基板。
- 前記第1有機層と前記導電層との間に触媒が存在する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の導電基板。
- 前記導電層は、前記第1有機層上に位置する第1導電層と、前記第1導電層上に位置する第2導電層と、を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の導電基板。
- 前記透明基板に、前記第1表面から前記第2表面まで貫通する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔の側壁上に位置する第2有機層と、
前記第2有機層上に位置する貫通電極と、を更に備える、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の導電基板。 - 前記貫通孔は、前記第1表面に沿った面方向の寸法に対する前記第1表面に交差する厚み方向の寸法の比であるアスペクト比が、3以上33以下である、請求項11に記載の導電基板。
- 前記透明基板は、ガラスを含有する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の導電基板。
- 第1表面と、前記第1表面の反対側の第2表面とを有する透明基板を準備する工程と、
前記第1表面上および前記第2表面上の少なくとも一方に、第1有機層を少なくとも部分的に形成する工程と、
前記第1有機層上に金属を含有する導電層を形成する工程と、
前記第1有機層を少なくとも部分的に形成する前に、前記第1有機層に光反射抑制部材を含有させる工程、及び、前記導電層を形成するときに、前記第1有機層と前記導電層との間に光反射抑制層を形成する工程のうちの少なくとも一方と、を備える、導電基板の製造方法。 - 前記導電層を形成する工程は、前記第1有機層上に触媒を付着させる工程と、前記触媒が付着された前記第1有機層上に無電解めっきを行う工程と、を有する、請求項14に記載の導電基板の製造方法。
- 前記第1有機層に前記光反射抑制部材を含有させる工程および前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程のうち、少なくとも前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程を備え、
前記導電層を形成する前に、前記第1有機層を活性化させる工程を更に備え、
前記導電層を形成するときに前記光反射抑制層を形成する工程は、前記活性化された前記第1有機層上に前記触媒を付着させる工程と、前記触媒が付着された前記活性化された前記第1有機層上に無電解銅めっきを行うことで、酸化銅を含有する前記光反射抑制層を形成する工程と、を有する、請求項15に記載の導電基板の製造方法。
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