JP2004186661A - フレキシブルプリント基板の製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銅の接着力を強くすることができ、作業性がよく、連続生産がし易く、コストを低減することができるフレキシブルプリント基板の製法を提供する。
【解決手段】ポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルを無電解めっきし、そのニッケルめっき層の表面に銅を電気めっきすることにより、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法であって、上記無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する。
【選択図】なし
【解決手段】ポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルを無電解めっきし、そのニッケルめっき層の表面に銅を電気めっきすることにより、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法であって、上記無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント基板の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、フレキシブルプリント基板は、ポリイミド樹脂フィルムの表面に接着剤を介して銅箔を積層した3層基材のものであった。しかしながら、近年、電子工業の進歩に伴い、高温に耐えるものに対する需要が高まってきているのに対し、上記3層基材のものは、接着剤の耐熱性が低い。そこで、ポリイミド樹脂フィルムの表面に直接、銅箔を積層した2層基材のものが提案された。
【0003】
上記2層基材のフレキシブルプリント基板の製法としては、下記の▲1▼〜▲3▼が上げられる。
▲1▼銅箔の表面にポリイミドワニスを塗工した後、焼成する方法。
▲2▼まず、真空槽中でポリイミド樹脂フィルムの表面をプラズマ処理した後、ニッケルやクロム等をスパッタリングして下地を形成し、その後、さらに銅をスパッタリングする。ついで、真空槽から上記ポリイミド樹脂フィルムを取り出した後、銅を電気めっきする方法。
▲3▼まず、ポリイミド樹脂フィルムの表面をヒドラジンとアルカリ金属水酸化物の混合水溶液を用いてエッチングした後、ニッケルやコバルト等を無電解めっきする。ついで、400℃程度の高温で熱処理した後、銅を電気めっきする方法(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−114779号公報(第3〜6頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法では、作業性の点から銅箔の厚みを12μm以下にすることができない。また、上記▲2▼の方法のように、ポリイミド樹脂フィルムの表面改質がプラズマ処理のみでは、ポリイミド樹脂フィルム表面の形状変化は少なく、物理的なアンカー効果は殆ど期待できないため、銅の接着力が弱い。しかも、真空槽を用いるため、設備が高価であるとともに、連続生産が困難であり、コストが高くなっている。また、上記▲3▼の方法では、毒性の高いヒドラジンを用いるため、作業性が悪い。しかも、強度のエッチングにより生成した過剰の変質ポリイミドを再イミド化するために、無電解めっき工程と電気めっき工程との間に高温の熱処理工程を要するため、連続生産が困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、銅の接着力を強くすることができ、作業性がよく、連続生産がし易く、コストを低減することができるフレキシブルプリント基板の製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のフレキシブルプリント基板の製法は、ポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルまたはニッケル合金を無電解めっきし、その無電解めっき層の表面に銅を電気めっきすることにより、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法であって、上記無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する工程を備えているという構成をとる。
【0008】
本発明者らは、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅からなるめっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法において、銅の接着力を強くすることができ、作業性がよく、連続生産がし易く、コストを低減することができるようにすべく、鋭意研究を重ねた。その結果、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化すれば、短波長紫外線処理によるポリイミド樹脂フィルム最表面部の親水化の後にアルカリ金属水酸化物により活性化するため、活性化が効率的かつ均一に行われ、軽度の活性化処理(低いアルカリ濃度,低い処理温度,短い処理時間)により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されることを見出した。これにより、後に形成されるニッケル等の無電解めっき層の接着力、延いてはその無電解めっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、物理的にも(粗化によるアンカー効果)化学的にも(官能基への結合)高めることができることがわかった。さらに、上記のようにアルカリ金属水酸化物による活性化処理を軽度にすることができるため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができることがわかった。そして、このようなフレキシブルプリント基板の製法では、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよく、さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなり、その結果、コストを低減することができることがわかった。このようにして、本発明者らは、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0010】
本発明のフレキシブルプリント基板の製法の一実施の形態は、まず、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面に金属触媒を付与した後、還元剤を用いて還元処理する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルを無電解めっきする。そして、必要に応じて乾燥した後、そのニッケルめっき層の表面に銅を電気めっきする。このようにして、図1に示すように、ポリイミド樹脂フィルム1の表面にニッケルめっき層2が形成され、そのニッケルめっき層2の表面に銅めっき層3が形成されたフレキシブルプリント基板を製造する。
【0011】
より詳しく説明すると、上記短波長紫外線は、低圧水銀ランプやキセノンエキシマランプにより発生するものである。低圧水銀ランプより発生する短波長紫外線は、波長が184.9nmおよび253.7nmである光を含んでおり、キセノンエキシマランプより発生する短波長紫外線は、波長が172.0nmである光を含んでいる。このような波長の光を含んでいる短波長紫外線は、高圧水銀ランプによる通常の紫外線(波長が365nm)よりも、エネルギーが高くなっている。すなわち、通常の紫外線(波長が365nm)のエネルギーが327.7kJ/モルであるのに対し、例えば、波長が184.9nmである短波長紫外線のエネルギーは、647kJ/モルであり、波長が253.7nmである短波長紫外線のエネルギーは、471.5kJ/モルである。このため、上記低圧水銀ランプからの短波長紫外線の照射により、酸素が分解され、オゾンの生成を経て、活性酸素が生成される。そして、その活性酸素がポリイミド樹脂フィルムの表面に作用して、そのポリイミド樹脂フィルムの最表面に水酸基,カルボキシル基,カルボニル基等の親水性を示す官能基が生成される。このようなポリイミド樹脂フィルムに対する作用・効果は、キセノンエキシマランプからの短波長紫外線の照射によっても同様に奏する。
【0012】
上記活性化に用いるアルカリ金属水酸化物としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等があげられる。そして、活性化するポリイミド樹脂フィルムの表面は、上記短波長紫外線処理により、既に親水化されているため、この活性化は軽度でよい。すなわち、アルカリ金属水酸化物の濃度は、0.5〜2モル/リットルの範囲の低い濃度でよく、処理温度は、25℃程度の低い温度でよく、処理時間は、0.5〜2分の範囲の短い時間でよい。
【0013】
また、上記のように、短波長紫外線処理により親水化されたポリイミド樹脂フィルム表面をアルカリ金属水酸化物により軽度に活性化することにより、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、図2に示すように、イミド環が開環して官能基4が生成される。なお、図2では、一般的なポリイミド樹脂に対して、アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウムを用いた場合を図示している。さらに、上記粗化は、微細かつ均一になる。そして、図3(b)に示すように、活性化された活性処理層5の厚みは、活性化が適度にポリイミド樹脂フィルム1の内部まで行われている30〜150nmの範囲であることが好ましい。活性処理層5の厚みが30nmを下回る場合は、図3(a)に示すように、活性化の度合いが低くなる傾向にあり、活性処理層5の厚みが150nmを上回る場合は、図3(c)に示すように、活性化が過剰にポリイミド樹脂フィルム1の内部まで行われてポリイミド樹脂フィルム1の表面の物性が劣化する傾向にあり、上記範囲を外れるいずれの場合も、後に形成される銅めっき層に熱負荷を与えた際に、その銅めっき層の接着力が充分なものよりも少し劣る傾向にあるからである。
【0014】
上記金属触媒としては、特に限定されるものではなく、通常用いられるパラジウム,白金があげられる。また、上記還元剤としては、特に限定されるものではなく、次亜リン酸ナトリウム,水素化ホウ酸ナトリウム,ジメチルアルミボラン等があげられる。そして、上記活性化につづいて、上記金属触媒をポリイミド樹脂フィルムの表面に付与した後、上記還元剤を用いて還元処理すると、金属触媒の金属イオンが、上記イミド環が開環して生成された官能基4(図2参照)に結合して金属となる。
【0015】
上記ニッケルの無電解めっきは、例えばアルカリニッケル浴を用いて行われる。そして、このニッケルの無電解めっきにより、上記官能基4(図2参照)に結合した金属触媒上にニッケルが析出する。この無電解めっきにより形成されるニッケルめっき層の厚みは、通常0.05〜0.3μm程度の範囲になるように形成される。ニッケルめっき層の厚みが0.05μmより薄いと熱負荷後の接着力低下が大きくなり、0.3μmより厚いと微細回路形成に支障をきたす。その厚みにするために、無電解めっきは、例えば40℃で1〜5分の範囲で行われる。
【0016】
上記銅の電気めっきは、例えば硫酸銅めっきが用いられる。そして、この銅の電気めっきにより、上記ニッケルめっき層の表面に銅めっき層が形成される。このような銅めっき層の厚みは、特に限定されるものではなく、通常5〜20μm程度の範囲になるように形成される。
【0017】
このようなフレキシブルプリント基板の製法によれば、銅を電気めっきにより形成しているため、銅めっき層の厚みを制御することができる。また、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよい。さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなっている。その結果、コストを低減することができる。
【0018】
さらに、短波長紫外線処理は、プラズマ処理やコロナ処理等と比較して、設備が安価であり、処理速度が速く均一であるため、連続生産性に優れ、コストを低減することができる。
【0019】
また、アルカリ金属水酸化物による活性処理は、軽度にすることができるため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができる。
【0020】
さらに、上記軽度な活性化により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されるため、後に形成されるニッケルめっき層の接着力、延いてはそのめっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、上記粗化によるアンカー効果により物理的に高めることができるとともに、上記官能基への結合により化学的にも高めることができる。
【0021】
そして、上記活性化がポリイミド樹脂フィルム表面を短波長紫外線処理した後に行われるため、ポリイミド樹脂フィルム表面の粗化が微細かつ均一になり、ニッケルめっき層の接着力、延いては銅めっき層の接着力のばらつきを少なくすることができる。その結果、回路を形成する際には、その回路を微細に形成することができる。
【0022】
また、銅めっき層の形成に先立ってニッケルめっき層を形成しているため、銅めっき層の接着力を、熱負荷を与える前でも後でも、高めることができる。このように熱負荷を与えた後でも上記接着力が高まる理由は、熱負荷時に銅が拡散して、ポリイミド樹脂フィルムの界面において、酸化銅からなる脆弱層が形成されるのを抑制するからである。
【0023】
なお、上記実施の形態では、無電解めっきは、ニッケルを用いて行ったが、ニッケルに代えて、ニッケル合金を用いて行ってもよい。
【0024】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0025】
【実施例1】
下記に示すようにして、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成することにより、フレキシブルプリント基板を製造することができる。
〔短波長紫外線処理〕
まず、20cm×20cmのポリイミド樹脂フィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100EN)を、紫外線表面改質装置(センエンジニアリング社製)にセットし、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した。このとき、短波長紫外線照度を15mW/cm2 、出力を200W、処理時間を30秒間とした。
〔活性化〕
つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面を50g/リットル(1.25モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて25℃で2分間活性化し、活性処理層5の厚みを60nmとした〔図3(b)参照〕。
〔触媒付与および還元処理〕
つづいて、触媒(奥野製薬工業社製、OPC−50インデューサー)を40℃で5分間付与した後、還元剤(奥野製薬工業社製、OPC−150クリスター)を用いて25℃で5分間還元処理した。
〔無電解めっきおよび電気めっき〕
つづいて、アルカリニッケル浴(奥野製薬工業社製、TMP−化学ニッケル)を用いて40℃で5分間無電解めっきを行い、厚み0.2μmのニッケルめっき層を形成した。つづいて、乾燥オーブンを用いて80℃で10分間乾燥させた。そして、硫酸銅めっきを用いて電流密度2A/dm2 で50分間電気めっきを行い、20μmの銅めっき層を形成した。上記硫酸銅めっきには、硫酸銅70g/リットル,硫酸200g/リットル,塩素イオン50mg/リットル,光沢剤(奥野製薬工業社製、トップルチナSF)5g/リットルを用いた。
【0026】
【比較例1】
上記実施例1において、短波長紫外線処理を行わなかった。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0027】
【比較例2】
上記実施例1において、短波長紫外線処理を行わず、活性化処理を40℃で10分間行った。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0028】
このようにして得られた実施例1および比較例1,2のフレキシブルプリント基板について、銅めっき層の接着力を測定した。この測定は、熱負荷を与える前(初期接着力)と150℃×3日の熱負荷を与えた後とで、引張試験機(オリエンテック社製)を用いて行った。また、この測定は、各フレキシブルプリント基板から1cm幅の帯状に切り取ったものを用いて、180°ピール強度測定により行った。また、各フレキシブルプリント基板を用いて微細回路を形成した。そして、微細回路の形成性に優れているものを○、劣っているものを×として評価した。これらの結果を下記の表1に表記した。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1の結果より、実施例1のフレキシブルプリント基板では、比較例1,2のフレキシブルプリント基板と比較して、熱負荷を与える前でも後でも、銅めっき層の接着力が大きいことがわかる。また、微細回路の形成性に優れていることもわかる。
【0031】
また、活性処理層5の厚みを変えて、銅めっき層の接着力を測定するために、活性処理層5の厚みが上記実施例1よりも小さいもの(下記実施例2)と大きいもの(下記実施例3)とを作製した。
【0032】
【実施例2】
上記実施例1において、活性化を0.3分間行い、活性処理層5の厚みを15nmとした〔図3(a)参照〕。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0033】
【実施例3】
上記実施例1において、活性化を3分間行い、活性処理層5の厚みを165nmとした〔図3(c)参照〕。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0034】
このようにして得られた実施例1〜3のフレキシブルプリント基板について、銅めっき層の接着力を測定した。この測定は、熱負荷を与える前(初期接着力)と150℃×3日の熱負荷を与えた後とで、引張試験機(オリエンテック社製)を用いて測定した。また、この測定は、各フレキシブルプリント基板から1cm幅の帯状に切り取ったものを用いて、180°ピール強度測定により行った。その結果を下記の表2に表記した。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2の結果より、実施例1(60nm)のフレキシブルプリント基板では、熱負荷を与える前でも後でも、銅めっき層の接着力が充分であるが、実施例2(15nm)のフレキシブルプリント基板では、いずれの場合も接着力が実施例1のものよりも劣り、実施例3(165nm)のフレキシブルプリント基板では、熱負荷を与えた後の接着力が実施例1のものよりも劣っていた。この結果より、活性処理層5の厚みは、30〜150nmの範囲を外れない方が好ましいことがわかる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフレキシブルプリント基板の製法によれば、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化するため、短波長紫外線処理による親水化の後に活性化することになり、活性化処理を軽度のものにすることができる。このため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができる。さらに、上記軽度な活性化により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されるため、後に形成されるニッケル等の無電解めっき層の接着力、延いてはそのめっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、上記粗化によるアンカー効果により物理的に高めることができるとともに、上記官能基への結合により化学的にも高めることができる。そして、上記短波長紫外線処理後に活性化することにより、ポリイミド樹脂フィルム表面の粗化が微細かつ均一になり、ニッケルめっき層の接着力、延いては銅めっき層の接着力のばらつきを少なくすることができる。その結果、回路を形成する際には、その回路を微細に形成することができる。また、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよい。さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなっている。その結果、コストを低減することができる。
【0038】
特に、本発明のフレキシブルプリント基板の製法において、活性化が、0.5〜2モル/リットルのアルカリ金属水酸化物を用いて、25℃で0.5〜2分の範囲で行われる場合には、銅めっき層の接着力を、熱負荷を与えた後の状態でも、充分に大きいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルプリント基板の製法の一実施の形態により作製されるフレキシブルプリント基板を模式的に示す側面図である。
【図2】上記フレキシブルプリント基板の製法における活性化を構造式で示す説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、上記活性化を模式的に示す側面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブルプリント基板の製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来は、フレキシブルプリント基板は、ポリイミド樹脂フィルムの表面に接着剤を介して銅箔を積層した3層基材のものであった。しかしながら、近年、電子工業の進歩に伴い、高温に耐えるものに対する需要が高まってきているのに対し、上記3層基材のものは、接着剤の耐熱性が低い。そこで、ポリイミド樹脂フィルムの表面に直接、銅箔を積層した2層基材のものが提案された。
【0003】
上記2層基材のフレキシブルプリント基板の製法としては、下記の▲1▼〜▲3▼が上げられる。
▲1▼銅箔の表面にポリイミドワニスを塗工した後、焼成する方法。
▲2▼まず、真空槽中でポリイミド樹脂フィルムの表面をプラズマ処理した後、ニッケルやクロム等をスパッタリングして下地を形成し、その後、さらに銅をスパッタリングする。ついで、真空槽から上記ポリイミド樹脂フィルムを取り出した後、銅を電気めっきする方法。
▲3▼まず、ポリイミド樹脂フィルムの表面をヒドラジンとアルカリ金属水酸化物の混合水溶液を用いてエッチングした後、ニッケルやコバルト等を無電解めっきする。ついで、400℃程度の高温で熱処理した後、銅を電気めっきする方法(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−114779号公報(第3〜6頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法では、作業性の点から銅箔の厚みを12μm以下にすることができない。また、上記▲2▼の方法のように、ポリイミド樹脂フィルムの表面改質がプラズマ処理のみでは、ポリイミド樹脂フィルム表面の形状変化は少なく、物理的なアンカー効果は殆ど期待できないため、銅の接着力が弱い。しかも、真空槽を用いるため、設備が高価であるとともに、連続生産が困難であり、コストが高くなっている。また、上記▲3▼の方法では、毒性の高いヒドラジンを用いるため、作業性が悪い。しかも、強度のエッチングにより生成した過剰の変質ポリイミドを再イミド化するために、無電解めっき工程と電気めっき工程との間に高温の熱処理工程を要するため、連続生産が困難である。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、銅の接着力を強くすることができ、作業性がよく、連続生産がし易く、コストを低減することができるフレキシブルプリント基板の製法の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のフレキシブルプリント基板の製法は、ポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルまたはニッケル合金を無電解めっきし、その無電解めっき層の表面に銅を電気めっきすることにより、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法であって、上記無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する工程を備えているという構成をとる。
【0008】
本発明者らは、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅からなるめっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法において、銅の接着力を強くすることができ、作業性がよく、連続生産がし易く、コストを低減することができるようにすべく、鋭意研究を重ねた。その結果、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化すれば、短波長紫外線処理によるポリイミド樹脂フィルム最表面部の親水化の後にアルカリ金属水酸化物により活性化するため、活性化が効率的かつ均一に行われ、軽度の活性化処理(低いアルカリ濃度,低い処理温度,短い処理時間)により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されることを見出した。これにより、後に形成されるニッケル等の無電解めっき層の接着力、延いてはその無電解めっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、物理的にも(粗化によるアンカー効果)化学的にも(官能基への結合)高めることができることがわかった。さらに、上記のようにアルカリ金属水酸化物による活性化処理を軽度にすることができるため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができることがわかった。そして、このようなフレキシブルプリント基板の製法では、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよく、さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなり、その結果、コストを低減することができることがわかった。このようにして、本発明者らは、本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0010】
本発明のフレキシブルプリント基板の製法の一実施の形態は、まず、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面に金属触媒を付与した後、還元剤を用いて還元処理する。つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルを無電解めっきする。そして、必要に応じて乾燥した後、そのニッケルめっき層の表面に銅を電気めっきする。このようにして、図1に示すように、ポリイミド樹脂フィルム1の表面にニッケルめっき層2が形成され、そのニッケルめっき層2の表面に銅めっき層3が形成されたフレキシブルプリント基板を製造する。
【0011】
より詳しく説明すると、上記短波長紫外線は、低圧水銀ランプやキセノンエキシマランプにより発生するものである。低圧水銀ランプより発生する短波長紫外線は、波長が184.9nmおよび253.7nmである光を含んでおり、キセノンエキシマランプより発生する短波長紫外線は、波長が172.0nmである光を含んでいる。このような波長の光を含んでいる短波長紫外線は、高圧水銀ランプによる通常の紫外線(波長が365nm)よりも、エネルギーが高くなっている。すなわち、通常の紫外線(波長が365nm)のエネルギーが327.7kJ/モルであるのに対し、例えば、波長が184.9nmである短波長紫外線のエネルギーは、647kJ/モルであり、波長が253.7nmである短波長紫外線のエネルギーは、471.5kJ/モルである。このため、上記低圧水銀ランプからの短波長紫外線の照射により、酸素が分解され、オゾンの生成を経て、活性酸素が生成される。そして、その活性酸素がポリイミド樹脂フィルムの表面に作用して、そのポリイミド樹脂フィルムの最表面に水酸基,カルボキシル基,カルボニル基等の親水性を示す官能基が生成される。このようなポリイミド樹脂フィルムに対する作用・効果は、キセノンエキシマランプからの短波長紫外線の照射によっても同様に奏する。
【0012】
上記活性化に用いるアルカリ金属水酸化物としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等があげられる。そして、活性化するポリイミド樹脂フィルムの表面は、上記短波長紫外線処理により、既に親水化されているため、この活性化は軽度でよい。すなわち、アルカリ金属水酸化物の濃度は、0.5〜2モル/リットルの範囲の低い濃度でよく、処理温度は、25℃程度の低い温度でよく、処理時間は、0.5〜2分の範囲の短い時間でよい。
【0013】
また、上記のように、短波長紫外線処理により親水化されたポリイミド樹脂フィルム表面をアルカリ金属水酸化物により軽度に活性化することにより、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、図2に示すように、イミド環が開環して官能基4が生成される。なお、図2では、一般的なポリイミド樹脂に対して、アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウムを用いた場合を図示している。さらに、上記粗化は、微細かつ均一になる。そして、図3(b)に示すように、活性化された活性処理層5の厚みは、活性化が適度にポリイミド樹脂フィルム1の内部まで行われている30〜150nmの範囲であることが好ましい。活性処理層5の厚みが30nmを下回る場合は、図3(a)に示すように、活性化の度合いが低くなる傾向にあり、活性処理層5の厚みが150nmを上回る場合は、図3(c)に示すように、活性化が過剰にポリイミド樹脂フィルム1の内部まで行われてポリイミド樹脂フィルム1の表面の物性が劣化する傾向にあり、上記範囲を外れるいずれの場合も、後に形成される銅めっき層に熱負荷を与えた際に、その銅めっき層の接着力が充分なものよりも少し劣る傾向にあるからである。
【0014】
上記金属触媒としては、特に限定されるものではなく、通常用いられるパラジウム,白金があげられる。また、上記還元剤としては、特に限定されるものではなく、次亜リン酸ナトリウム,水素化ホウ酸ナトリウム,ジメチルアルミボラン等があげられる。そして、上記活性化につづいて、上記金属触媒をポリイミド樹脂フィルムの表面に付与した後、上記還元剤を用いて還元処理すると、金属触媒の金属イオンが、上記イミド環が開環して生成された官能基4(図2参照)に結合して金属となる。
【0015】
上記ニッケルの無電解めっきは、例えばアルカリニッケル浴を用いて行われる。そして、このニッケルの無電解めっきにより、上記官能基4(図2参照)に結合した金属触媒上にニッケルが析出する。この無電解めっきにより形成されるニッケルめっき層の厚みは、通常0.05〜0.3μm程度の範囲になるように形成される。ニッケルめっき層の厚みが0.05μmより薄いと熱負荷後の接着力低下が大きくなり、0.3μmより厚いと微細回路形成に支障をきたす。その厚みにするために、無電解めっきは、例えば40℃で1〜5分の範囲で行われる。
【0016】
上記銅の電気めっきは、例えば硫酸銅めっきが用いられる。そして、この銅の電気めっきにより、上記ニッケルめっき層の表面に銅めっき層が形成される。このような銅めっき層の厚みは、特に限定されるものではなく、通常5〜20μm程度の範囲になるように形成される。
【0017】
このようなフレキシブルプリント基板の製法によれば、銅を電気めっきにより形成しているため、銅めっき層の厚みを制御することができる。また、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよい。さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなっている。その結果、コストを低減することができる。
【0018】
さらに、短波長紫外線処理は、プラズマ処理やコロナ処理等と比較して、設備が安価であり、処理速度が速く均一であるため、連続生産性に優れ、コストを低減することができる。
【0019】
また、アルカリ金属水酸化物による活性処理は、軽度にすることができるため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができる。
【0020】
さらに、上記軽度な活性化により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されるため、後に形成されるニッケルめっき層の接着力、延いてはそのめっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、上記粗化によるアンカー効果により物理的に高めることができるとともに、上記官能基への結合により化学的にも高めることができる。
【0021】
そして、上記活性化がポリイミド樹脂フィルム表面を短波長紫外線処理した後に行われるため、ポリイミド樹脂フィルム表面の粗化が微細かつ均一になり、ニッケルめっき層の接着力、延いては銅めっき層の接着力のばらつきを少なくすることができる。その結果、回路を形成する際には、その回路を微細に形成することができる。
【0022】
また、銅めっき層の形成に先立ってニッケルめっき層を形成しているため、銅めっき層の接着力を、熱負荷を与える前でも後でも、高めることができる。このように熱負荷を与えた後でも上記接着力が高まる理由は、熱負荷時に銅が拡散して、ポリイミド樹脂フィルムの界面において、酸化銅からなる脆弱層が形成されるのを抑制するからである。
【0023】
なお、上記実施の形態では、無電解めっきは、ニッケルを用いて行ったが、ニッケルに代えて、ニッケル合金を用いて行ってもよい。
【0024】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0025】
【実施例1】
下記に示すようにして、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成することにより、フレキシブルプリント基板を製造することができる。
〔短波長紫外線処理〕
まず、20cm×20cmのポリイミド樹脂フィルム(東レ・デュポン社製、カプトン100EN)を、紫外線表面改質装置(センエンジニアリング社製)にセットし、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した。このとき、短波長紫外線照度を15mW/cm2 、出力を200W、処理時間を30秒間とした。
〔活性化〕
つづいて、そのポリイミド樹脂フィルムの表面を50g/リットル(1.25モル/リットル)の水酸化ナトリウム水溶液を用いて25℃で2分間活性化し、活性処理層5の厚みを60nmとした〔図3(b)参照〕。
〔触媒付与および還元処理〕
つづいて、触媒(奥野製薬工業社製、OPC−50インデューサー)を40℃で5分間付与した後、還元剤(奥野製薬工業社製、OPC−150クリスター)を用いて25℃で5分間還元処理した。
〔無電解めっきおよび電気めっき〕
つづいて、アルカリニッケル浴(奥野製薬工業社製、TMP−化学ニッケル)を用いて40℃で5分間無電解めっきを行い、厚み0.2μmのニッケルめっき層を形成した。つづいて、乾燥オーブンを用いて80℃で10分間乾燥させた。そして、硫酸銅めっきを用いて電流密度2A/dm2 で50分間電気めっきを行い、20μmの銅めっき層を形成した。上記硫酸銅めっきには、硫酸銅70g/リットル,硫酸200g/リットル,塩素イオン50mg/リットル,光沢剤(奥野製薬工業社製、トップルチナSF)5g/リットルを用いた。
【0026】
【比較例1】
上記実施例1において、短波長紫外線処理を行わなかった。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0027】
【比較例2】
上記実施例1において、短波長紫外線処理を行わず、活性化処理を40℃で10分間行った。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0028】
このようにして得られた実施例1および比較例1,2のフレキシブルプリント基板について、銅めっき層の接着力を測定した。この測定は、熱負荷を与える前(初期接着力)と150℃×3日の熱負荷を与えた後とで、引張試験機(オリエンテック社製)を用いて行った。また、この測定は、各フレキシブルプリント基板から1cm幅の帯状に切り取ったものを用いて、180°ピール強度測定により行った。また、各フレキシブルプリント基板を用いて微細回路を形成した。そして、微細回路の形成性に優れているものを○、劣っているものを×として評価した。これらの結果を下記の表1に表記した。
【0029】
【表1】
【0030】
上記表1の結果より、実施例1のフレキシブルプリント基板では、比較例1,2のフレキシブルプリント基板と比較して、熱負荷を与える前でも後でも、銅めっき層の接着力が大きいことがわかる。また、微細回路の形成性に優れていることもわかる。
【0031】
また、活性処理層5の厚みを変えて、銅めっき層の接着力を測定するために、活性処理層5の厚みが上記実施例1よりも小さいもの(下記実施例2)と大きいもの(下記実施例3)とを作製した。
【0032】
【実施例2】
上記実施例1において、活性化を0.3分間行い、活性処理層5の厚みを15nmとした〔図3(a)参照〕。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0033】
【実施例3】
上記実施例1において、活性化を3分間行い、活性処理層5の厚みを165nmとした〔図3(c)参照〕。それ以外は、上記実施例1と同様にした。
【0034】
このようにして得られた実施例1〜3のフレキシブルプリント基板について、銅めっき層の接着力を測定した。この測定は、熱負荷を与える前(初期接着力)と150℃×3日の熱負荷を与えた後とで、引張試験機(オリエンテック社製)を用いて測定した。また、この測定は、各フレキシブルプリント基板から1cm幅の帯状に切り取ったものを用いて、180°ピール強度測定により行った。その結果を下記の表2に表記した。
【0035】
【表2】
【0036】
上記表2の結果より、実施例1(60nm)のフレキシブルプリント基板では、熱負荷を与える前でも後でも、銅めっき層の接着力が充分であるが、実施例2(15nm)のフレキシブルプリント基板では、いずれの場合も接着力が実施例1のものよりも劣り、実施例3(165nm)のフレキシブルプリント基板では、熱負荷を与えた後の接着力が実施例1のものよりも劣っていた。この結果より、活性処理層5の厚みは、30〜150nmの範囲を外れない方が好ましいことがわかる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフレキシブルプリント基板の製法によれば、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化するため、短波長紫外線処理による親水化の後に活性化することになり、活性化処理を軽度のものにすることができる。このため、アルカリに弱いポリイミド樹脂フィルムに対する影響を少なくすることができる。さらに、上記軽度な活性化により、ポリイミド樹脂フィルムの最表面部のみが粗化されるとともに、イミド環が開環して官能基が生成されるため、後に形成されるニッケル等の無電解めっき層の接着力、延いてはそのめっき層の表面に形成される銅めっき層の接着力を、上記粗化によるアンカー効果により物理的に高めることができるとともに、上記官能基への結合により化学的にも高めることができる。そして、上記短波長紫外線処理後に活性化することにより、ポリイミド樹脂フィルム表面の粗化が微細かつ均一になり、ニッケルめっき層の接着力、延いては銅めっき層の接着力のばらつきを少なくすることができる。その結果、回路を形成する際には、その回路を微細に形成することができる。また、毒性の高い物質を用いないため、作業性がよい。さらに、各工程の間に高温での熱処理がないため、連続生産がし易くなっている。その結果、コストを低減することができる。
【0038】
特に、本発明のフレキシブルプリント基板の製法において、活性化が、0.5〜2モル/リットルのアルカリ金属水酸化物を用いて、25℃で0.5〜2分の範囲で行われる場合には、銅めっき層の接着力を、熱負荷を与えた後の状態でも、充分に大きいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフレキシブルプリント基板の製法の一実施の形態により作製されるフレキシブルプリント基板を模式的に示す側面図である。
【図2】上記フレキシブルプリント基板の製法における活性化を構造式で示す説明図である。
【図3】(a)〜(c)は、上記活性化を模式的に示す側面図である。
Claims (5)
- ポリイミド樹脂フィルムの表面にニッケルまたはニッケル合金を無電解めっきし、その無電解めっき層の表面に銅を電気めっきすることにより、ポリイミド樹脂フィルムの表面部に銅めっき層を形成するフレキシブルプリント基板の製法であって、上記無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面を短波長紫外線処理した後、その短波長紫外線処理表面をアルカリ金属水酸化物を用いて活性化する工程を備えていることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製法。
- 短波長紫外線処理が低圧水銀ランプまたはキセノンエキシマランプによる短波長紫外線処理である請求項1記載のフレキシブルプリント基板の製法。
- 活性化が、0.5〜2モル/リットルのアルカリ金属水酸化物を用いて、25℃で0.5〜2分の範囲で行われる請求項1または2記載のフレキシブルプリント基板の製法。
- 活性化された活性処理層の厚みを30〜150nmの範囲にする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板の製法。
- 活性化後、無電解めっきに先立って、ポリイミド樹脂フィルムの表面に金属触媒を付与する工程と、還元剤を用いて還元処理する工程とを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板の製法。
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