JP2018173165A - 遮熱断熱基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性に優れた遮熱断熱基板を提供する。
【解決手段】本発明の遮熱断熱基板は、透明基板層と赤外線反射層を含む遮熱断熱基板であって、該透明基板層と該赤外線反射層との間にアンダーコート層を備え、該赤外線反射層の該透明基板層と反対の側に保護トップコート層を備え、該アンダーコート層の厚みが0.01μm〜5μmであり、該保護トップコート層の厚みが5nm〜500nmであり、該アンダーコート層の硬度が0.50GPa以上であり、該保護トップコート層の硬度が0.50GPa以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は遮熱断熱基板に関する。
遮熱断熱基板は、遮熱機能と断熱機能を兼ね備えた基板である。このような遮熱断熱基板は、例えば、窓ガラスに貼着された場合、赤外線反射機能によって、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入、および、室内から室外への暖房熱(遠赤外線)の流出を抑制することができ、年間を通じての室内の快適性の向上と省エネルギー効果の向上を実現することができる。
このような遮熱断熱基板として、近年、透明基板層と赤外線反射層を含む遮熱断熱基板が提案されている(特許文献1、2)。赤外線反射層は、例えば、金属層の両側に金属酸化物層を備える構成を有し、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる。
遮熱断熱基板には、赤外線反射機能に加えて、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じない高い耐クラック性、清掃時の拭き作業などにおける弱い力での繰り返しの擦りによる傷つきを抑制する高い耐擦傷性が求められる。
特開2016−93892号公報 特開2016−94012号公報
本発明の課題は、耐擦傷性に優れた遮熱断熱基板を提供することにある。さらに基板がフィルム形状の場合には、耐擦傷性とともに耐クラック性にも優れた遮熱断熱基板を提供することである。
本発明の遮熱断熱基板は、
透明基板層と赤外線反射層を含む遮熱断熱基板であって、
該透明基板層と該赤外線反射層との間にアンダーコート層を備え、
該赤外線反射層の該透明基板層と反対の側に保護トップコート層を備え、
該アンダーコート層の厚みが0.01μm〜5μmであり、
該保護トップコート層の厚みが5nm〜500nmであり、
該アンダーコート層の硬度が0.50GPa以上であり、
該保護トップコート層の硬度が0.50GPa以上である。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層の接触角が90度以上である。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層が配位結合型材料を含む。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層が、30℃〜75℃の範囲内に軟化温度を有さない。
一つの実施形態においては、上記透明基板層の可視光線透過率が10%以上である。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層と上記赤外線反射層との間にトップコート層が配置されている。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層が、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層である。
一つの実施形態においては、上記有機樹脂がアクリル系樹脂である。
一つの実施形態においては、上記アンダーコート層が、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層である。
一つの実施形態においては、上記有機樹脂がアクリル系樹脂である。
一つの実施形態においては、上記アンダーコート層の弾性率が8.25GPa以下である。
一つの実施形態においては、上記保護トップコート層の弾性率が10.0GPa以下である。
本発明によれば、耐擦傷性に優れた遮熱断熱基板を提供することができる。さらに基板がフィルム形状の場合には、耐擦傷性とともに耐クラック性にも優れた遮熱断熱基板を提供することができる。
本発明の遮熱断熱基板の一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の遮熱断熱基板の一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の遮熱断熱基板の使用形態の一例を模式的に表す断面図である。 実施例1において得られた保護トップコート層の軟化温度の測定結果を示す図である。
≪1.遮熱断熱基板の概要≫
本発明の遮熱断熱基板は、透明基板層と赤外線反射層を含み、該透明基板層と該赤外線反射層との間にアンダーコート層を備え、該赤外線反射層の該透明基板層と反対の側に保護トップコート層を備える。
図1は、本発明の遮熱断熱基板の一つの実施形態を示す概略断面図である。図1において、遮熱断熱基板100は、透明基板層10とアンダーコート層60と赤外線反射層20と保護トップコート層40とを備える。
本発明の遮熱断熱基板は、透明基板層のアンダーコート層と反対の側、透明基板層とアンダーコート層との間、アンダーコート層と赤外線反射層との間、赤外線反射層と保護トップコート層との間、保護トップコート層の赤外線反射層と反対の側、のそれぞれに、必要に応じて、任意の適切な他の層を備えていてもよい。このような他の層は1層でもよいし、2層以上でもよい。また、このような他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
図2は、本発明の遮熱断熱基板の一つの実施形態を示す概略断面図である。図2において、遮熱断熱基板100は、透明基板層10とアンダーコート層60と赤外線反射層20と保護トップコート層40と保護フィルム70とを備える。図2において、赤外線反射層20は、第一金属酸化物層22a、金属層21、第二金属酸化物層22bの3層からなる。
本発明の遮熱断熱基板においては、トップコート層を含んでも良い。トップコート層はドライプロセスによって形成された層であり、保護トップコート層は塗布によって形成された層である。
トップコート層と保護トップコート層の配置としては、トップコート層が赤外線反射層と保護トップコート層の間に配置されていてもよいし、保護トップコート層が赤外線反射層とトップコート層の間に配置されていてもよい。
本発明の遮熱断熱基板は、透明基板層の赤外線反射層と反対の側に、粘着剤層を備えていてもよい。さらに、セパレータフィルムが、このような粘着剤層の表面に備えられていてもよい。
本発明の遮熱断熱基板の可視光線透過率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは30%〜85%であり、さらに好ましくは45%〜80%であり、特に好ましくは55%〜80%であり、最も好ましくは55%〜75%である。なお、可視光線透過率は、JIS−A5759−2008(建築窓ガラス用フィルム)に準じて測定される。
本発明の遮熱断熱基板は、好ましくは、アンダーコート層の硬度が0.50GPa以上であり、保護トップコート層の硬度が0.50GPa以上である。本発明の遮熱断熱基板は、このような特性を満たすことにより、耐擦傷性に優れ得る。逆に、このような特性の中の1つでも満たさないと、耐擦傷性に優れた遮熱断熱基板を提供することができないおそれがある。
本発明の遮熱断熱基板は、アンダーコート層の硬度が、好ましくは0.50GPa以上であり、より好ましくは0.50GPa〜1.00GPaであり、さらに好ましくは0.50GPa〜0.90GPaであり、特に好ましくは0.50GPa〜0.80GPaであり、最も好ましくは0.50GPa〜0.70GPaである。アンダーコート層の硬度が0.50GPaより低いと、本発明の遮熱断熱基板は、清掃時の拭き作業などにおける弱い力での繰り返しの擦りによって傷つきが生じるおそれがある。
本発明の遮熱断熱基板は、アンダーコート層の弾性率が、好ましくは8.25GPa以下であり、より好ましくは4.00GPa〜8.25GPaであり、さらに好ましくは5.00GPa〜8.25GPaであり、特に好ましくは5.50GPa〜8.25GPaであり、最も好ましくは6.00GPa〜8.25GPaである。アンダーコート層の弾性率が8.25GPaを超えると、本発明の遮熱断熱基板は、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じるおそれがある。
本発明の遮熱断熱フィルムは、保護トップコート層の硬度が、好ましくは0.50GPa以上であり、より好ましくは0.50GPa〜1.40GPaであり、さらに好ましくは0.50GPa〜1.30GPaであり、特に好ましくは0.50GPa〜1.20GPaであり、最も好ましくは0.50GPa〜1.00GPaである。保護トップコート層の硬度が0.50GPaより低いと、本発明の遮熱断熱基板は、清掃時の拭き作業などにおける弱い力での繰り返しの擦りによって傷つきが生じるおそれがある。
本発明の遮熱断熱基板は、保護トップコート層の弾性率が、好ましくは10.0GPa以下であり、より好ましくは4.00GPa〜10.0GPaであり、さらに好ましくは5.00GPa〜10.0GPaであり、特に好ましくは5.50GPa〜10.0GPaであり、最も好ましくは6.00GPa〜10.0GPaである。保護トップコート層の弾性率が10.0GPaを超えると、本発明の遮熱断熱基板は、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じるおそれがある。
≪2.透明基板層≫
透明基板層は、好ましくは、透明板状部材、透明フィルム、または、これらの複合体である。透明板状部材としては、例えば、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート板などが挙げられる。透明フィルムは、好ましくは可撓性の透明フィルムである。透明基板層の可視光線透過率は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上であり、特に好ましくは88%以上であり、最も好ましくは90%以上である。なお、可視光線透過率は、JIS−A5759−2008(建築窓ガラス用フィルム)に準じて測定される。
透明基板層の厚みは、透明基板層が透明板状部材の場合、好ましくは0.2mm〜40mmであり、より好ましくは0.5mm〜30mmであり、さらに好ましくは1mm〜24mmであり、特に好ましくは1.5mm〜18mmであり、最も好ましくは2mm〜12mmである。
透明基板層の厚みは、透明基板層がフィルムの場合は、好ましくは5μm〜500μmであり、より好ましくは10μm〜300μmであり、さらに好ましくは20μm〜200μmであり、特に好ましくは30μm〜100μmである。
透明基板層がフィルムの場合、透明基板層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、耐熱性に優れる等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
≪3.アンダーコート層≫
透明基板層と赤外線反射層との間にはアンダーコート層が備えられている。好ましくは、アンダーコート層が透明基板層と直接に積層されてなる。透明基板層の表面上にアンダーコート層が備えられていることにより、本発明の遮熱断熱基板の機械的強度が高められ得るとともに、本発明の遮熱断熱基板の耐擦傷性が高められ得る。
アンダーコート層の硬度は、前述したように、好ましくは0.50GPa以上であり、より好ましくは0.50GPa〜1.00GPaであり、さらに好ましくは0.50GPa〜0.90GPaであり、特に好ましくは0.50GPa〜0.80GPaであり、最も好ましくは0.50GPa〜0.70GPaである。アンダーコート層の硬度が0.50GPaより低いと、本発明の遮熱断熱基板は、清掃時の拭き作業などにおける弱い力での繰り返しの擦りによって傷つきが生じるおそれがある。
アンダーコート層の弾性率は、前述したように、好ましくは8.25GPa以下であり、より好ましくは4.00GPa〜8.25GPaであり、さらに好ましくは5.00GPa〜8.25GPaであり、特に好ましくは5.50GPa〜8.25GPaであり、最も好ましくは6.00GPa〜8.25GPaである。アンダーコート層の弾性率が8.25GPaを超えると、本発明の遮熱断熱基板は、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じるおそれがある。
アンダーコート層の厚みは、好ましくは0.01μm〜5μmであり、より好ましくは0.2μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.2μm〜3μmであり、特に好ましくは0.5μm〜3μmであり、最も好ましくは1μm〜2μmである。アンダーコート層の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の遮熱断熱基板の機械的強度が高められ得るとともに、本発明の遮熱断熱基板の耐擦傷性がより高められ得る。
アンダーコート層は、好ましくは硬化型樹脂の硬化被膜であり、例えば、任意の適切な紫外線硬化型樹脂の硬化被膜を透明基板層上に付設する方式により形成できる。
アンダーコート層の表面(透明基板層と反対の側)には、密着性向上等の目的で、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理などの表面改質処理が行われてもよい。
アンダーコート層の材料としては、好ましくは、アンダーコート層の硬度が0.50GPa以上となり、より好ましくは、さらに、アンダーコート層の弾性率が8.25GPa以下となるような材料であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、例えば、下記のようなものが挙げられる。
アンダーコート層としては、任意の適切な構成が採用され得る。アンダーコート層は、好ましくは、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層であり、有機樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂が挙げられる。有機樹脂としての紫外線硬化樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂などが挙げられる。アンダーコート層の形成にこのような紫外線硬化樹脂を含む樹脂組成物を用いれば、優れた耐擦傷性を有効に発現できるアンダーコート層を得ることができる。耐擦傷性や取扱性等の点から、有機樹脂としての紫外線硬化樹脂としては、特に好ましくは、アクリル系樹脂である。
上記アクリル系樹脂としては、単官能又は多官能の各種(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有する樹脂であれば、任意の適切なアクリル系樹脂が採用され得る。上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ヘキシルジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシエチルセロソルブアクリレートなどが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;オリゴウレタン(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートオリゴマー;などが挙げられる。これらの単官能又は多官能の各種(メタ)アクリレートは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
アンダーコート層は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤の代表例としては、光重合開始剤、シランカップリング剤、離型剤、硬化剤、硬化促進剤、希釈剤、老化防止剤、変成剤、界面活性剤、染料、顔料、無機粒子、変色防止剤、紫外線吸収剤、柔軟剤、安定剤、可塑剤、消泡剤などが挙げられる。樹脂組成物に含有される添加剤の種類、数および量は、目的に応じて適切に設定され得る。
≪4.反射防止層≫
アンダーコート層と赤外線反射層との間には、反射防止層が備えられていてもよい。反射防止層が備えられていることにより、本発明の遮熱断熱基板の透明性が向上し得る。
反射防止層の厚みは、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは1nm〜30nmであり、さらに好ましくは1nm〜20nmであり、特に好ましくは1nm〜15nmである。
反射防止層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。反射防止層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、反射防止層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱基板の生産性が大幅に向上し得る。
≪5.赤外線反射層≫
赤外線反射層は、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる層であれば、任意の適切な層を採用し得る。
赤外線反射層の一つの実施形態は、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に備え、第一金属酸化物層および第二金属酸化物層は金属層に直接積層されてなる。この実施形態においては、赤外線反射層は、好ましくは、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層の3層からなり、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に備える。このような赤外線反射層の一つの実施形態は、例えば、特開2016−93892号公報、特開2016−94012号公報などに記載の実施形態を援用し得る。
金属層は、赤外線反射の中心的な役割を有する。積層数を増加させることなく可視光線透過率と近赤外線反射率を高める観点から、金属層は、好ましくは、銀を主成分とする銀合金層または金を主成分とする金合金層である。例えば、銀は高い自由電子密度を有するため、近赤外線・遠赤外線の高い反射率を実現することができる。したがって、赤外線反射層を構成する層の積層数が少ない場合でも、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる。
金属層が銀を主成分とする銀合金層である場合、金属層中の銀の含有割合は、好ましくは85重量%〜99.9重量%であり、より好ましくは90重量%〜99.8重量%であり、さらに好ましくは95重量%〜99.7重量%であり、特に好ましくは97重量%〜99.6重量%である。金属層中の銀の含有割合が高いほど、透過率および反射率の波長選択性を高め、可視光線透過率を高めることができる。一方、銀は、水分、酸素、塩素等が存在する環境下に暴露された場合や、紫外光や可視光が照射された場合に、酸化や腐食等の劣化を生じる場合がある。このため、金属層は、耐久性を高める目的で、銀以外の金属を含有する銀合金層であることが好ましく、具体的には、上記のように、金属層中の銀の含有割合が99.9重量%以下であることが好ましい。
金属層が銀を主成分とする銀合金層である場合、金属層は、上記のように、耐久性を高める目的から、銀以外の金属を含有することが好ましい。金属層中の銀以外の金属の含有割合は、好ましくは0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは0.2重量%〜10重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%〜5重量%であり、特に好ましくは0.4重量%〜3重量%である。銀以外の金属としては、例えば、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)などが挙げられ、高い耐久性を付与できる観点から、パラジウム(Pd)が好ましい。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、金属層との界面における可視光線の反射量を制御して、高い可視光線透過率と高い赤外線反射率とを両立させる等の目的で設けられる。金属酸化物層は、金属層の劣化を防止するための保護層としても機能し得る。赤外線反射層における反射および透過の波長選択性を高める観点から、金属酸化物層の可視光に対する屈折率は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.6以上であり、さらに好ましくは1.7以上である。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、好ましくは、Ti、Zr、Hf、Nb、Zn、Al、Ga、In、Tl、Sn等の金属の酸化物、あるいはこれらの金属の複合酸化物を含む。金属酸化物層は、より好ましくは、酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物を含む。金属酸化物層は、好ましくは非晶質である。金属酸化物層が酸化亜鉛を含有する非晶質層である場合、金属酸化物層自体の耐久性が高められるとともに、金属層に対する保護層としての作用が増大するため、金属層の劣化が抑制され得る。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、特に好ましくは、酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物である。この場合、金属酸化物層中(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれ中)の酸化亜鉛の含有割合は、金属酸化物の合計100重量部に対して、好ましくは3重量部以上であり、より好ましくは5重量部以上であり、さらに好ましくは7重量部以上である。酸化亜鉛の含有割合が上記範囲内にあれば、金属酸化物層が非晶質層となりやすく、耐久性が高められる傾向がある。一方、酸化亜鉛の含有割合が過度に大きいと、耐久性が低下したり、可視光線透過率が低下したりするおそれがある。そのため、金属酸化物層中の酸化亜鉛の含有割合は、金属酸化物の合計100重量部に対して、好ましくは60重量部以下でありより好ましくは50重量部以下であり、さらに好ましくは40重量部以下である。
酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物としては、可視光線透過率、屈折率、耐久性の全てを満足し得る観点から、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)、亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)、インジウム−錫−亜鉛複合酸化物(ITZO)が好ましい。これらの複合酸化物は、さらに、AlやGa等の金属や、これらの金属の酸化物を含有していてもよい。
金属層および金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)の厚みは、赤外線反射層が、可視光線を透過し近赤外線を選択的に反射するように、材料の屈折率等を勘案して適宜に設定され得る。金属層の厚みは、好ましくは5nm〜50nmであり、より好ましくは5nm〜25nmであり、さらに好ましくは10nm〜18nmである。金属酸化物層の厚み(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれの厚み)は、好ましくは1nm〜80nmであり、より好ましくは1nm〜50nmであり、さらに好ましくは1nm〜30nmであり、特に好ましくは2nm〜10nmである。本発明の遮熱断熱基板は、好ましくは機械的強度が高められ得るので、金属酸化物層の厚み(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれの厚み)を従来品レベルよりも薄くすることが可能となる。
金属層および金属酸化物層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。金属層および金属酸化物層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、赤外線反射層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱基板の生産性が大幅に向上し得る。また、直流スパッタするターゲットは、導電性を付与するために導電性の不純物を添加されていてもよく、一部を還元性としてもよい。そのため、製膜される反射防止層にも該不純物が混入したり、層の組成が化学量論組成と異なったりする場合があるが、本発明の効果を奏する限りは問題とならない。
赤外線反射層の別の一つの実施形態としては、例えば、特開2014−30910号公報に記載の基材層の実施形態を援用し得る。
≪6.保護トップコート層≫
赤外線反射層の透明基板層と反対の側には保護トップコート層が備えられている。好ましくは、保護トップコート層は後述するトップコート層と直接に積層されてなる。
保護トップコート層の硬度は、前述したように、好ましくは0.50GPa以上であり、より好ましくは0.50GPa〜1.40GPaであり、さらに好ましくは0.50GPa〜1.30GPaであり、特に好ましくは0.50GPa〜1.20GPaであり、最も好ましくは0.50GPa〜1.00GPaである。保護トップコート層の硬度が0.50GPaより低いと、本発明の遮熱断熱基板は、清掃時の拭き作業などにおける弱い力での繰り返しの擦りによって傷つきが生じるおそれがある。
保護トップコート層の弾性率は、前述したように、好ましくは10.0GPa以下であり、より好ましくは4.00GPa〜10.0GPaであり、さらに好ましくは5.00GPa〜10.0GPaであり、特に好ましくは5.50GPa〜10.0GPaであり、最も好ましくは6.00GPa〜10.0GPaである。保護トップコート層の弾性率が10.0GPaを超えると、本発明の遮熱断熱基板は、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じるおそれがある。
保護トップコート層の接触角は、好ましくは90度以上であり、より好ましくは90度〜160度であり、さらに好ましくは90度〜140度であり、特に好ましくは90度〜120度であり、最も好ましくは100度〜120度である。保護トップコート層の接触角が上記範囲内にあれば、防汚性および耐擦傷性のいずれにもより優れた遮熱断熱基板を提供し得る。
保護トップコート層は、好ましくは、塗布によって形成された層である。塗布による保護トップコート層の形成は、例えば、後述するような材料を溶剤に溶解させて溶液を調整し、この溶液を赤外線反射層上に塗布し、溶媒を乾燥させた後、紫外線や電子線等の照射や熱エネルギーの付与によって、硬化させることによる形成が挙げられる。本発明の遮熱断熱基板が、このような保護トップコート層を備えることにより、例えば、後述するトップコート層と保護トップコート層の密着性が高められ、本発明の遮熱断熱基板の耐擦傷性が向上し、赤外線反射層の耐久性を高めることができる。
保護トップコート層は、高い可視光線の透過率を有することが好ましい。
保護トップコート層は、遠赤外線の吸収が小さいことが好ましい。保護トップコート層において遠赤外線の吸収が小さいと、室内の遠赤外線が赤外線反射層によって室内に反射されるため、断熱効果が高められ得る。保護トップコート層による遠赤外線吸収量を小さくする方法としては、保護トップコート層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いる方法、保護トップコート層の厚みを小さくする方法などが挙げられる。一方、保護トップコート層において遠赤外線の吸収が大きいと、室内の遠赤外線が保護トップコート層で吸収され、赤外線反射層によって反射されることなく、熱伝導により外部に放熱されるため、断熱性が低下するおそれがある。
保護トップコート層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いれば、保護トップコート層の厚みが大きい場合でも、遠赤外線吸収量を小さく保つことができ、赤外線反射層に対する保護効果を高めることができる。遠赤外線の吸収が小さい保護トップコート層の材料としては、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環などの含有量が小さい化合物が好適に用いられる。このような化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、シクロオレフィン系ポリマー等の脂環式ポリマー、ゴム系ポリマーなどが挙げられる。
保護トップコート層は、遠赤外線吸収量を小さくする観点から、その厚みは、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下であり、特に好ましくは120nm以下であり、最も好ましくは100nm以下である。保護トップコート層の光学膜厚(屈折率と物理的な膜厚の積)が可視光の波長範囲と重複すると、界面での多重反射干渉によって、本発明の遮熱断熱基板の表面が虹模様に見える「虹彩現象」を生じる場合がある。一般的な樹脂の屈折率は1.5程度であるため、虹彩現象を抑制する観点からも保護トップコート層の厚みは200nm以下であることがさらに好ましい。
保護トップコート層は、それに機械的強度および化学的強度を付与するとともに、本発明の遮熱断熱基板の耐久性を高める観点から、その厚みは、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは15nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。
保護トップコート層の厚みが上記範囲内にあれば、保護トップコート層の表面側での反射光と赤外線反射層側界面での反射光との多重反射干渉により、可視光線の反射率を低下させることができる。そのため、赤外線反射層の光吸収による反射率低下効果に加えて、保護トップコート層による反射防止効果が得られ、本発明の遮熱断熱基板の視認性がさらに高められ得る。
保護トップコート層の材料としては、好ましくは、多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物である。多官能(メタ)アクリル系モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。保護トップコート層は、例えば、多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物を硬化させて形成される。硬化の方法としては、例えば、光硬化、熱硬化などが挙げられ、好ましくは光硬化である。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物中の多官能(メタ)アクリル系モノマーの含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、溶剤等を除いた固形分1を100重量%としたときに、好ましくは10重量%〜70重量%であり、より好ましくは20重量%〜60重量%重量%であり、さらに好ましくは25重量%〜55重量%であり、特に好ましくは30重量%〜50重量%である。
多官能(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、分子中に複数の(メタ)アクリル基を有するモノマーであって光硬化または熱硬化が可能なモノマーが挙げられる。このようなモノマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、好ましくは、多官能(メタ)アクリレートである。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(繰り返し単位数(以下「n」と記載する)=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(n=2〜15)ジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジアクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロキシエチル)−ヒドロキシエチル−イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型ジエポキシと(メタ)アクリル酸とを反応させたエポキシジ(メタ)アクリレート等のエポキシポリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを反応させたウレタントリ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート、ジシクロメタンジイソシアネートとポリ(n=6−15)テトラメチレングリコールとのウレタン化反応物に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させたウレタンジ(メタ)アクリレート等のウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルエタンとコハク酸及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルプロパンとコハク酸、エチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸とを反応させたポリエステル(メタ)アクリレート等のポリエステルポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、1分子内に少なくとも5個の(メタ)アクリル基等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、1分子内に少なくとも5個の(メタ)アクリル基等のラジカル重合性不飽和二重結合を有するポリエステルポリ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくは、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物は、無機粒子や有機基で修飾された無機粒子(有機無機ハイブリッド粒子)を含んでいてもよい。このような有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルコキシシランの加水分解物/縮合物、コロイダルシリカと(メタ)アクリロイルオキシアルコキシシランとを加水分解縮合して得られる有機無機ハイブリッド(メタ)アクリレートなどが挙げられる。有機無機ハイブリッド粒子としては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリエトキシシランなどの単独シランまたは他のシランとの混合シランを、場合によってコロイダルシリカ存在下で、(共)加水分解縮合することによって得られる有機無機ハイブリッドビニル化合物や有機無機ハイブリッド(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物中の、無機粒子あるいは有機無機ハイブリッド粒子の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、溶剤等を除いた固形分1を100重量%としたときに、好ましくは5量%〜150重量%であり、より好ましくは10重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは15重量%〜60重量%であり、特に好ましくは20重量%〜50重量%である。有機無機ハイブリッド粒子は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物は、好ましくは、重合開始剤を含む。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤が挙げられ、好ましくは、光重合開始剤である。重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物中の、重合開始剤の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、溶剤等を除いた固形分1を100重量%としたときに、好ましくは1重量%〜35重量%であり、より好ましくは2重量%〜30重量%であり、さらに好ましくは3重量%〜25重量%であり、特に好ましくは4重量%〜25重量%である。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物は、粘度調整等を目的として、溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、水性溶剤、有機溶剤、これらの混合溶剤などが挙げられる。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の脂肪族エステル類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の脂肪族ケトン類;イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類:などが挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
多官能(メタ)アクリル系モノマーを含む硬化型組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切なその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、防汚剤、撥水剤、レベリング剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、接着促進剤、赤外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、金属酸化物微粒子などが挙げられる。その他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
保護トップコート層の材料として、例えば、有機樹脂、無機材料、有機成分と無機成分が化学結合した有機無機ハイブリッド材料などを用いてもよい。有機樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。無機材料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。有機無機ハイブリッド材料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
有機樹脂としては、例えば、活性光線硬化型あるいは熱硬化型の有機樹脂が挙げられ、具体的には、例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、有機樹脂としては、好ましくは、アクリル系樹脂である。
無機材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、サイアロン(SiAlON)などが挙げられる。
保護トップコート層としては、好ましくは、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層、有機無機ハイブリッド材料を含む組成物から形成される樹脂層が挙げられ、より好ましくは、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層が挙げられる。
保護トップコート層は、好ましくは、配位結合型材料を含む。配位結合型材料としては、他の化合物と配位結合を形成し得る材料であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な配位結合型材料を採用し得る。配位結合型材料は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。保護トップコート層が配位結合型材料を含むことにより、例えば、赤外線反射層が該保護トップコート層と直接に積層されている場合に、これらの2層の間に配位結合性の結合力が発現して密着性が向上し得る。特に、赤外線反射層が金属酸化物を含有する場合、保護トップコート層中の酸性基が赤外線反射層中の金属酸化物と配位結合性の高い親和力を発現し得る。また、赤外線反射層と保護トップコート層との密着性が向上することにより、表面保護層の強度が向上し得るため、赤外線反射層の耐久性を高め得る。
配位結合型材料としては、好ましくは、孤立電子対を持つ基を有する化合物であり、該孤立電子対を持つ基としては、例えば、リン原子、硫黄原子、酸素原子、窒素原子などの配位原子を有する基が挙げられ、具体的には、例えば、リン酸基、硫酸基、チオール基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
配位結合型材料は、好ましくは、金属イオンとの作用によって密着力を高め得る。配位結合型材料は、他の樹脂材料等との密着力を高めるために、反応性基を有していてもよい。
配位結合型材料としては、好ましくは、酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物が挙げられる。
酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物としては、リン酸、硫酸、シュウ酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸等の多価の酸と、エチレン性不飽和基、シラノール基、エポキシ基等の重合性官能基と水酸基とを分子中に有する化合物とのエステルが挙げられる。なお、このようなエステル化合物は、ジエステルやトリエステル等の多価エステルでもよいが、多価の酸の少なくとも1つの酸性基がエステル化されていないことが好ましい。
保護トップコート層の機械的強度および化学的強度を高める観点から、酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物は、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を含有することが好ましい。酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物は、分子中に複数の重合性官能基を有していてもよい。酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物としては、好ましくは、一般式(A)で表される、リン酸モノエステル化合物またはリン酸ジエステル化合物が挙げられる。なお、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとを併用することもできる。酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物として、一般式(A)で表される、リン酸モノエステル化合物またはリン酸ジエステル化合物を採用すると、リン酸ヒドロキシ基は金属酸化物との親和性に優れるため、トップコート層が保護トップコート層と直接に積層されている場合であって該トップコート層が金属酸化物を含有する場合、これらの2層の間の密着性がより向上し得る。
一般式(A)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、(Y)は−OCO(CH−基を表す。nは0または1であり、pは1または2である。
保護トップコート層中の配位結合型材料の含有割合は、好ましくは1重量%〜20重量%であり、より好ましくは1.5重量%〜17.5重量%であり、さらに好ましくは2重量%〜15重量%であり、特に好ましくは2.5重量%〜12.5重量%である。保護トップコート層中の配位結合型材料の含有割合が過度に小さいと、強度や密着性の向上効果が十分に得られないおそれがある。保護トップコート層中の配位結合型材料の含有割合が過度に大きいと、保護トップコート層形成時の硬化速度が小さくなって硬度が低下したりするおそれや、保護トップコート層表面の滑り性が低下して耐擦傷性が低下したりするおそれがある。
保護トップコート層は、好ましくは、30℃〜75℃の範囲内に軟化温度を有さない。保護トップコート層は、より好ましくは、25℃〜75℃の範囲内に軟化温度を有さず、さらに好ましくは、20℃〜80℃の範囲内に軟化温度を有さず、特に好ましくは、15℃〜85℃の範囲内に軟化温度を有さず、最も好ましくは、10℃〜90℃の範囲内に軟化温度を有さない。保護トップコート層が上記の温度範囲内に軟化温度を有さないと、実使用環境中において保護トップコート層の物性が変化し難く、安定した耐擦傷性および耐凹み性を得ることができるという効果を発現し得る。なお、軟化温度の測定方法については、後述する。
保護トップコート層の材料として有機樹脂あるいは有機・無機ハイブリッド材料が用いられる場合、架橋構造が導入されることが好ましい。架橋構造が形成されることによって、保護トップコート層の機械的強度および化学的強度が高められ、赤外線反射層に対する保護機能が増大する。このような架橋構造の中でも、酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物に由来する架橋構造が導入されることが好ましい。
保護トップコート層の材料には、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、着色防止剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有量を採用し得る。
≪7.トップコート層≫
本発明の遮熱断熱基板においては、赤外線反射層の透明基板層と反対の側には、トップコート層が備えられていてもよい。
トップコート層は、好ましくは、周期表第13族または第14族の1種以上が主成分となる酸化物または窒化物、酸化窒化物、非酸化窒化物であり、周期表第3族または第4族の1種以上の成分を含む。トップコート層は、より好ましくは、第14族の1種以上が主成分となる酸化物または窒化物、酸化窒化物、非窒化物または非酸化物であり、周期表第3族または第4族の1種以上の成分を含む。トップコート層は、さらに好ましくは、SiとZrを含む酸化物または酸化窒化物、SiとYを含む酸化物または酸化窒化物、SiとTiを含む酸化物または酸化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。トップコート層は、特に好ましくは、SiとZrを含む酸化物、SiとYを含む酸化物、SiとTiを含む酸化物から選ばれる少なくとも1種を含む。
第14族の元素は最外殻電子が4つのためイオンになりにくい。第13族の元素は最外殻電子が3つのため陰イオンになりにくい。そのため、窒化物、酸化窒化物、非窒化物または非酸化物の硬度が高くなると考察される。
周期表第3族または第4族の元素の添加は、主成分元素の結晶緻密化、分子構造の最密化などによって、強度の増加や耐腐食性、耐熱性を向上させる。
周期表第3族または第4族の元素の添加量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.01atm%〜49.9atm%であり、より好ましくは0.05atm%〜40.0atm%であり、さらに好ましくは0.1atm%〜40.0atm%であり、特に好ましくは0.5atm%〜35.0atm%である。周期表第3族または第4族の元素の添加量が少ない場合は、マトリックス全体に均一に元素が挿入されないために、本発明の効果が発現できないおそれがある。一方、周期表第3族または第4族の元素の添加量が多すぎる場合は、主成分との相溶性が悪くなり、本発明の効果が発現できないおそれがある。相溶性は相図によって確認することができる。
トップコート層の厚みは、好ましくは0.5nm〜30nmであり、より好ましくは1nm〜25nmであり、さらに好ましくは2nm〜20nmであり、特に好ましくは3nm〜15nmである。トップコート層の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の遮熱断熱基板は、より優れた耐擦傷性を発現できる。
トップコート層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。トップコート層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、トップコート層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱基板の生産性が大幅に向上し得る。
≪8.保護フィルム≫
保護トップコート層の赤外線反射層と反対の側には、保護フィルムが備えられていてもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは10μm〜150μmであり、より好ましくは25μm〜100μmであり、さらに好ましくは30μm〜75μmであり、特に好ましくは35μm〜65μmであり、最も好ましくは35μm〜50μmである。
≪9.その他の構成部材≫
透明基板層の赤外線反射層と反対の側には、接着剤層が備えられていてもよい。接着剤層は、例えば、窓ガラス等との貼り合せに用いられ得る。
接着剤層としては、可視光線透過率が高く、透明基板層との屈折率差が小さいものが好ましい。接着剤層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、例えば、アクリル系粘着剤(アクリル系感圧接着剤)が挙げられる。アクリル系粘着剤(アクリル系感圧接着剤)は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性を示し、耐候性や耐熱性等に優れることから、接着剤層の材料として好適である。
接着剤層としては、可視光線の透過率が高く、かつ、紫外線透過率が小さいものが好ましい。接着剤層の紫外線透過率を小さくすることにより、太陽光等の紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制し得る。接着剤層の紫外線透過率を小さくする観点から、接着剤層は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。なお、紫外線吸収剤を含有する透明基板層等を用いることによっても、屋外からの紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制し得る。
接着剤層の露出面は、本発明の遮熱断熱基板が実用に供されるまでの間、露出面の汚染防止等を目的として、セパレータが仮着されてカバーされていることが好ましい。このようなセパレータにより、通例の取扱状態で、接着剤層の露出面の外部との接触による汚染を防止し得る。
≪10.遮熱断熱基板の用途≫
本発明の遮熱断熱基板は、建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に用いることができ、冷暖房効果の向上や急激な温度変化を防ぐ作用を有し得る。
図3は、本発明の遮熱断熱基板の使用形態の一例を模式的に表す断面図である。この使用形態において、本発明の遮熱断熱基板100は、透明基板層10側が、任意の適切な接着剤層80を介して、建物や自動車の窓1000の室内側に貼り合せて配置される。図3に模式的に示すように、本発明の遮熱断熱基板100は、屋外からの可視光(VIS)を透過して室内に導入するとともに、屋外からの近赤外線(NIR)を赤外線反射層20で反射する。近赤外線反射により、太陽光等に起因する室外からの熱の室内への流入が抑制される(遮熱効果が発揮される)ため、例えば、夏場の冷房効率を高めることができる。さらに、赤外線反射層20は、暖房器具90から放射される室内の遠赤外線(FIR)を反射するため、断熱効果が発揮され、冬場の暖房効率を高めることができる。また、本発明の遮熱断熱基板100は、赤外線反射層20を備えることにより可視光の反射率が低減されるため、ショーケースやショーウィンドウ等に用いた場合に、商品等の視認性を低下させることなく、遮熱性と断熱性を付与することができる。
本発明の遮熱断熱基板は、例えば、特開2013−61370号公報に開示されているように、枠体等に嵌め込んで用いることもできる。このような形態では、接着剤層を設ける必要がないため、接着剤層による遠赤外線の吸収が生じない。このため、透明基板層として、例えば、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等の官能基の含有量が少ない材料(例えば、環状ポリオレフィン)を用いることにより、透明基板層側からの遠赤外線を赤外線反射層で反射させることができ、本発明の遮熱断熱基板の両面側に断熱性を付与できる。このような構成は、例えば、冷蔵ショーケースや冷凍ショーケース等で特に有用である。
本発明の遮熱断熱基板は、透明基板層が、例えば、透明板状部材(例えば、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート板など)や、該透明板状部材と透明フィルムの複合体である場合には、例えば、そのまま、建物や自動車の窓などに適用できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
<各層の膜厚>
金属酸化物層、金属層の膜厚は、集束イオンビーム加工観察装置(日立製作所製、製品名「FB−2100」)を用いて、集束イオンビーム(FIB)法により試料を加工し、その断面を、電界放出形透過電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「HF−2000」)により観察して求めた。
保護トップコート層、アンダーコート層の膜厚は、瞬間マルチ測光システム(大塚電子製、製品名「MCPD3000」)を用い、測定対象側から光を入射させた際の可視光の反射率の干渉パターンから、計算により求めた。
<放射率>
測定用の遮熱断熱基板を室温に24時間放置し、その遮熱断熱基板の透明基板層側の面を、厚み25μmの粘着剤層(日東電工社製、製品名「HJ−9150W」)を介して厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製)に貼り合せたものを試料として用い、放射率計(Devices and Services社製、Model AE1)を用いて赤外線反射層の透明基板層と反対の側を測定した。なお、実際の試験の際の温度、湿度の実測値は、温度23℃、湿度50%RHであった。
〇:放射率が0.20以下。
△:放射率が0.20以上0.40未満。
×:放射率が0.40以上。
<コットン耐擦傷性試験>
測定用の遮熱断熱基板を室温に24時間放置し、その遮熱断熱基板の透明基板層側の面を、厚み25μmの粘着剤層(日東電工社製、製品名「HJ−9150W」)を介してアルミ板に貼り合せたものを試料として用いた。学振摩耗試験機を用いて、試験用綿布(金巾3号)で500gの荷重を加えながら、アルミ板上の遮熱断熱基板の、赤外線反射層の透明基板層と反対の側の最表面を、1000往復擦った。試験後の試料への傷、剥離の有無を目視で評価し、以下の評価基準に従い、評価した。なお、実際の試験の際の温度、湿度の実測値は、温度23℃、湿度50%RHであった。
◎:2000往復擦った後、表面に傷が認められないもの。
○:1000往復擦った後、表面に傷が認められないもの。
△:1000往復擦った後、表面に若干の傷が認められるもの。
×:1000往復擦った後、表面に多数の傷が認められるもの。
<マンドレル試験(2mmφ、3mmφ)>
透明基板層がフィルムの場合、測定用の遮熱断熱基板を室温に24時間放置し、その遮熱断熱基板に対しマンドレルを用いて遮熱断熱基板の保護トップコート層を外側にして、屈曲性試験を(JIS K 5600−5−1)を行った。直径2mm以上で割れが発生しなかった場合を○、直径3mm以上で割れが発生しなかった場合を△、直径4mm以上で割れが発生しなかった場合を×とした。なお、実際の試験の際の温度、湿度の実測値は、温度23℃、湿度50%RHであった。
○:直径2mm以上で割れが発生しなかった場合
△:直径3mm以上で割れが発生しなかった場合
×:直径4mm以上で割れが発生しなかった場合
<保護トップコート層の接触角の測定>
接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名「CA−X型」)を用いて、23℃/50%RH環境下、蒸留水を保護トップコート層の表面に2μL滴下し、滴下して10秒後に液滴の接触角を測定した。3回測定して得られた測定値の平均を採用した。
<アンダーコート層の硬度・弾性率の測定>
遮熱断熱基板の構成部材の硬度・弾性率は下記のようにして測定できる。ここでいう硬度・弾性率は、ナノインデンターHYSITRON社製「Triboindenter」を用いたナノインデンテーション試験によって得られる。ナノインデンテーション試験は、バーコビッチ圧子(三角錐のダイヤモンド製圧子)を徐々に荷重Pをかけて所定の最大荷重Pmaxとなるまで被検材に押し込む過程、最大荷重Pmaxで一定時間保持する過程、保持後、徐々に除荷して荷重Pが0になるまで引き抜く過程において得られる、圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係から、被検材の性質を測定する試験である。押し込み深さhは、圧子の先端と初期状態の被検材表面(圧子を押し込む前の被検材表面)との距離を意味し、圧子が被検材の表面に初めて接触した位置を基準とした圧子の変位量に相当する。アンダーコート層の硬度・弾性率は、上記のナノインデンテーション試験によって得られる圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係に基づき、下記の式(1)(2)によって算出した。具体的には、アンダーコート層を樹脂包埋後、ミクロトームを用いて作製した断面から押し込み深さ100nmで測定した。ここで、下記の式(1)(2)において、Hは硬度を、Erは弾性率を、βは圧子形状により決定される定数であり、バーコビッチ型圧子の場合β=1.034を用いる。Sは接触剛性率を、πは円周率を、Aは圧子と被検材表面との接触射影面積を示す。
H=P/A・・・ (1)
Er=1/β・S/2・(π/A)1/2 ・・・ (2)
<保護トップコート層の硬度・弾性率の測定>
遮熱断熱基板の構成部材の硬度・弾性率は下記のようにして測定できる。ここでいう硬度・弾性率とは、ナノインデンターHYSITRON社製「Triboindenter」を用いたナノインデンテーション試験によって得られる。ナノインデンテーション試験は、バーコビッチ圧子(三角錐のダイヤモンド製圧子)を徐々に荷重Pをかけて所定の最大荷重Pmaxとなるまで被検材に押し込む過程、最大荷重Pmaxで一定時間保持する過程、保持後、徐々に除荷して荷重Pが0になるまで引き抜く過程において得られる、圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係から、被検材の性質を測定する試験である。押し込み深さhは、圧子の先端と初期状態の被検材表面(圧子を押し込む前の被検材表面)との距離を意味し、圧子が被検材の表面に初めて接触した位置を基準とした圧子の変位量に相当する。保護トップコート層の硬度・弾性率は、上記のナノインデンテーション試験によって得られる圧子の荷重Pと押し込み深さhとの関係に基づき、下記の式(1)(2)によって算出した。具体的には、保護トップコート層側の表面から押し込み深さ20nmで測定した。ここで、下記の式(1)(2)において、Hは硬度を、Erは弾性率を、βは圧子形状により決定される定数であり、バーコビッチ型圧子の場合β=1.034を用いる。Sは接触剛性率を、πは円周率を、Aは圧子と被検材表面との接触射影面積を示す。
H=P/A・・・ (1)
Er=1/β・S/2・(π/A)1/2 ・・・ (2)
<軟化温度の測定>
軟化温度は、日立ハイテクサイエンス製のAFM5300E/NanoNavi2/Nano−TA2を用いて、コンタクトモードでカンチレバーの温度を10℃〜300℃に変化させながら10μmスキャンすることで測定した。軟化温度は、この測定で得られた曲線の変曲点であり、変曲点は変曲点前後の曲線の接線の交点として求めた。
〔実施例1〕
(透明基板層上へのアンダーコート層の形成)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)の一方の面に、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7543)を2μmの厚みで形成した。詳しくは、グラビアコーターにより、上記ハードコート層の溶液を塗布し、80℃で乾燥後、超高圧水銀ランプにより積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行い、透明基板層上へアンダーコート層を形成した。
(第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層の形成)
巻取式スパッタ装置を用いて、上記透明基板層上に形成されたアンダーコート層上に、直流マグネトロンスパッタ法により、膜厚10nmの亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)層、膜厚16nmのAg−Pd合金層、膜厚10nmの亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)層を順次形成し、上記アンダーコート層上に、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に形成した。
ZTO層の形成には、酸化亜鉛と酸化錫と金属亜鉛粉末とを、8.5:83:8.5の重量比で焼結させたターゲットを用い、電力密度:2.67W/cm、プロセス圧力:0.4Paの条件でスパッタを行った。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量を、Ar:Oが98:2(体積比)となるように調整した。
Ag−Pd合金層の形成には、銀:パラジウムを96.4:3.6の重量比で含有する金属ターゲットを用いた。
(保護トップコート層の形成)
上記第二金属酸化物層上に、配位結合型材料を有するアクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる保護トップコート層を60nmの膜厚で形成した。詳しくは、アクリル系ハードコート樹脂溶液(アイカ工業製、商品名「Z773」)の固形分100重量部に対して、シリカ粒子(日産化学製、商品名「PGM−AC−2140Y」)を150重量部、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)を5重量部添加し、フッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)を10重量部添加した溶液を、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った。硬化後の保護トップコート層の屈折率は1.5であった。なお、上記リン酸エステル化合物は、分子中に1個のアクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(上記の一般式(1)において、Xがメチル基、n=0、p=1である化合物)と分子中に2個のアクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=2である化合物)との混合物である。
得られた保護トップコート層の軟化温度の測定結果を図4に示した。軟化温度は95℃であった。
(遮熱断熱基板)
以上のようにして、透明基板層(厚み3mm)/アンダーコート層(厚み2μm)/第一金属酸化物層(厚み10nm)/金属層(厚み16nm)/第二金属酸化物層(厚み10/保護トップコート層(厚み60nm)の構成を有する遮熱断熱基板(1)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
保護トップコート層の形成に用いるシリカ粒子(A)の量を50部に変えた以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(2)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
保護トップコート層の形成に用いるシリカ粒子(A)の量を10部に変えた以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(3)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例4〕
保護トップコート層の形成にシリカ粒子(A)を用いなかった以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(4)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例5〕
保護トップコート層の形成に用いるシリカ粒子(A)150部をシリカ粒子(B)50部に変えた以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(5)を得た。
なお、シリカ粒子(B)は、日産化学製、商品名「PMA−ST」である。
結果を表1に示した。
〔実施例6〕
保護トップコート層を下記のようにして形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(6)を得た。
結果を表1に示した。
(保護トップコート層の形成)
第二金属酸化物層上に、配位結合型材料を有するアクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる保護トップコート層を60nmの膜厚で形成した。詳しくは、アクリル系ハードコート樹脂溶液(JSR製、商品名「Z7543」)の固形分100重量部に対して、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)を5重量部添加し、フッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)を10重量部添加した溶液を、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った。硬化後の保護トップコート層の屈折率は1.5であった。なお、上記リン酸エステル化合物は、分子中に1個のアクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=1である化合物)と分子中に2個のアクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=2である化合物)との混合物である。
〔実施例7〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7543)を、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))に変えた以外は、実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(7)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例8〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(50部)+V6841(50部))に変えた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(8)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例9〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(60部)+V6841(40部))に変えた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(9)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例10〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7537(90部)+DIC製、EPS1113(10部))に変えた以外は、実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(10)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例11〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7537(90部)+DIC製、EPS1113(10部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7537(80部)+DIC製、EPS1113(20部))に変えた以外は、実施例10と同様に行い、遮熱断熱基板(11)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例12〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7537(90部)+DIC製、EPS1113(10部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7537)に変えた以外は、実施例10と同様に行い、遮熱断熱基板(12)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例13〕
保護トップコート層を下記のようにして形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(13)を得た。
結果を表1に示した。
(保護トップコート層の形成)
第二金属酸化物層上に、配位結合型材料を有するアクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる保護トップコート層を60nmの膜厚で形成した。詳しくは、アクリル系ハードコート樹脂溶液(JSR製、商品名「Z7537」)の固形分100重量部に対して、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)を5重量部添加し、フッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)を10重量部添加した溶液を、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った。硬化後の保護トップコート層の屈折率は1.5であった。なお、上記リン酸エステル化合物は、分子中に1個のアクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=1である化合物)と分子中に2個のアクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=2である化合物)との混合物である。
〔実施例14〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7543)を、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))に変えた以外は、実施例13と同様に行い、遮熱断熱基板(14)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例15〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(50部)+V6841(50部))に変えた以外は、実施例14と同様に行い、遮熱断熱基板(15)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例16〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(60部)+V6841(40部))に変えた以外は、実施例14と同様に行い、遮熱断熱基板(16)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例17〕
保護トップコート層の形成に用いるシリカ粒子(B)の量を100部に変えた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(17)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例18〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(18)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例19〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例2と同様に行い、遮熱断熱基板(19)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例20〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例3と同様に行い、遮熱断熱基板(20)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例21〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例4と同様に行い、遮熱断熱基板(21)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例22〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(22)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例23〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例6と同様に行い、遮熱断熱基板(23)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例24〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(24)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例25〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例8と同様に行い、遮熱断熱基板(25)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例26〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、実施例9と同様に行い、遮熱断熱基板(26)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例27〕
保護トップコート層の形成においてフッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)の添加量を2重量部に変更した以外は実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(27)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例28〕
保護トップコート層に含まれる配位結合型材料として、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)に代えて、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート−コハク酸変性物(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート DPE−6A−MS」)を用いた以外は、実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(28)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例29〕
超高圧水銀ランプにより積算光量100mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った以外は、実施例5と同様に行い、遮熱断熱基板(29)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(40部)+V6841(60部))に変えた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(C1)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例2〕
アンダーコート層の形成において、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、ERS219(70部)+V6841(30部))をアクリル系紫外線硬化型ハードコート層(DIC製、V6850(50部)+V6841(50部))に変えた以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱基板(C2)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例3〕
保護トップコート層を下記のようにして形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱基板(C3)を得た。
結果を表2に示した。
(保護トップコート層の形成)
第二金属酸化物層上に、配位結合型材料を有するアクリル系の紫外線硬化型樹脂からなる保護トップコート層を60nmの膜厚で形成した。詳しくは、アクリル系ハードコート樹脂溶液(DIC製、商品名「V6850」)の固形分100重量部に対して、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)を5重量部添加し、フッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)を10重量部添加した溶液を、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った。硬化後の保護トップコート層の屈折率は1.5であった。なお、上記リン酸エステル化合物は、分子中に1個のアクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=1である化合物)と分子中に2個のアクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(上記の一般式(A)において、Xがメチル基、n=0、p=2である化合物)との混合物である。
〔比較例4〕
フッ素系添加剤(ダイキン工業製、商品名「オプツールDAC−HP」)の添加量を2重量部に変更した以外は比較例3と同様に行い、遮熱断熱基板(C4)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例5〕
保護トップコート層の形成において配位結合型材料を用いないで行った以外は、比較例3と同様に行い、遮熱断熱基板(C5)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例6〕
超高圧水銀ランプにより積算光量100mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った以外は、比較例3と同様に行い、遮熱断熱基板(C6)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例7〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例1と同様に行い、遮熱断熱基板(C7)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例8〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例2と同様に行い、遮熱断熱基板(C8)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例9〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例3と同様に行い、遮熱断熱基板(C9)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例10〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例4と同様に行い、遮熱断熱基板(C10)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例11〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例5と同様に行い、遮熱断熱基板(C11)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例12〕
透明基板層として、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)に代えて、厚み3mmのフロート板ガラス(松浪硝子製、可視光透過率91%)を用いた以外は、比較例6と同様に行い、遮熱断熱基板(C12)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例13〕
保護トップコート層の厚みを800nmに変更した以外は、比較例1と同様に行い、透明基板層(厚み50μm)/アンダーコート層(厚み2μm)/第一金属酸化物層(厚み10nm)/金属層(厚み16nm)/第二金属酸化物層(厚み10nm)/保護トップコート層(厚み800nm)の構成を有する遮熱断熱基板(C13)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例14〕
保護トップコート層を設けなかった以外は、比較例1と同様に行い、透明基板層(厚み50μm)/アンダーコート層(厚み2μm)/第一金属酸化物層(厚み10nm)/金属層(厚み16nm)/第二金属酸化物層(厚み10nm)の構成を有する遮熱断熱基板(C14)を得た。
結果を表2に示した。
〔比較例15〕
アンダーコート層の厚みを6μmに変更した以外は、比較例1と同様に行い、透明基板層(厚み50μm)/アンダーコート層(厚み6μm)/第一金属酸化物層(厚み10nm)/金属層(厚み16nm)/第二金属酸化物層(厚み10nm)/保護トップコート層(厚み60nm)の構成を有する遮熱断熱基板(C15)を得た。
結果を表2に示した。
本発明の遮熱断熱基板は、例えば、建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に利用することができる。
10 透明基板層
20 赤外線反射層
21 金属層
22a 第一金属酸化物層
22b 第二金属酸化物層
40 保護トップコート層
60 アンダーコート層
70 保護フィルム
80 接着剤層
90 暖房器具
100 遮熱断熱基板
1000 窓

Claims (12)

  1. 透明基板層と赤外線反射層を含む遮熱断熱基板であって、
    該透明基板層と該赤外線反射層との間にアンダーコート層を備え、
    該赤外線反射層の該透明基板層と反対の側に保護トップコート層を備え、
    該アンダーコート層の厚みが0.01μm〜5μmであり、
    該保護トップコート層の厚みが5nm〜500nmであり、
    該アンダーコート層の硬度が0.50GPa以上であり、
    該保護トップコート層の硬度が0.50GPa以上である、
    遮熱断熱基板。
  2. 前記保護トップコート層の接触角が90度以上である、請求項1に記載の遮熱断熱基板。
  3. 前記保護トップコート層が配位結合型材料を含む、請求項1または2に記載の遮熱断熱基板。
  4. 前記保護トップコート層が、30℃〜75℃の範囲内に軟化温度を有さない、請求項1から3までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  5. 前記透明基板層の可視光線透過率が10%以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  6. 前記保護トップコート層と前記赤外線反射層との間にトップコート層が配置されている、請求項1から5までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  7. 前記保護トップコート層が、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層である、請求項1から6までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  8. 前記有機樹脂がアクリル系樹脂である、請求項7に記載の遮熱断熱基板。
  9. 前記アンダーコート層が、有機樹脂を含む樹脂組成物から形成される樹脂層である、請求項1から8までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  10. 前記有機樹脂がアクリル系樹脂である、請求項9に記載の遮熱断熱基板。
  11. 前記アンダーコート層の弾性率が8.25GPa以下である、請求項1から10までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
  12. 前記保護トップコート層の弾性率が10.0GPa以下である、請求項1から11までのいずれかに記載の遮熱断熱基板。
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