JP2013252689A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細凹凸構造を表面に有する表層と中間層との界面および中間層と基材との界面における密着性に優れる積層体を提供する。
【解決手段】表層4と接触する側の中間層5の表面をESCAで分析した際の炭素に対する窒素の元素比をA1とし、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比をA2としたとき、A1/A2が0.06〜0.15であり、かつ表層4と接触する側の中間層5の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が0.12〜0.5であることを特徴とする積層体1。
【選択図】図1
【解決手段】表層4と接触する側の中間層5の表面をESCAで分析した際の炭素に対する窒素の元素比をA1とし、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比をA2としたとき、A1/A2が0.06〜0.15であり、かつ表層4と接触する側の中間層5の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が0.12〜0.5であることを特徴とする積層体1。
【選択図】図1
Description
本発明は、微細凹凸構造を表面に有する積層体に関する。
微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体は、連続的な屈折率の変化によって反射防止性能を発現することが知られている。また、微細凹凸構造体は、ロータス効果によって超撥水性能を発現することも可能である。
このような微細凹凸構造体としては、例えば、微細凹凸構造を表面に有する表層を基材の表面に有する積層体が知られている。この積層体の製造方法としては、例えば、下記の工程(i)〜(iii)を有する、いわゆるナノインプリント法が知られている。
(i)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性組成物を挟む工程。
(ii)活性エネルギー線硬化性組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と表層とからなる積層体を得る工程。
(iii)積層体とモールドとを分離する工程。
(i)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性組成物を挟む工程。
(ii)活性エネルギー線硬化性組成物に紫外線等の活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と表層とからなる積層体を得る工程。
(iii)積層体とモールドとを分離する工程。
微細凹凸構造が良好な反射防止性能を発現するためには、隣り合う凸部または凹部の間隔が可視光線の波長以下である必要がある。このような微細凹凸構造を表面に有する表層は、同じ活性エネルギー線硬化性組成を硬化させてなる、表面が平滑なハードコート層等に比べ、粘着剤との密着性が高いため、粘着テープを用いて基材と表層との剥離試験を行った場合、表層が基材から剥離しやすいという問題を有する。
なお、積層体の機械特性を向上させるために、基材と表層との間に中間層を設けた積層体が開示されている(特許文献1)。
しかし、この積層体では、基材と中間層との界面および中間層と表層との界面における密着性が十分ではない。特に、基材の表面に設けられた中間層の表面に、連続的に表層を形成する場合、表層のセット時間が短くなるため、中間層と表層との密着性を確保するのが困難となる。
しかし、この積層体では、基材と中間層との界面および中間層と表層との界面における密着性が十分ではない。特に、基材の表面に設けられた中間層の表面に、連続的に表層を形成する場合、表層のセット時間が短くなるため、中間層と表層との密着性を確保するのが困難となる。
本発明は、微細凹凸構造を表面に有する表層と中間層との界面および中間層と基材との界面における密着性に優れる積層体を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、中間層の表面における特定の極性部位(窒素元素を含む極性部位(アミド基、ウレタン結合等)および水酸基)の存在量を制御することによって、表層と中間層との界面における良好な密着性が得られることを見出した。また、密着性に優れる中間層を形成できる中間層形成用組成物を見出した。
すなわち、本発明の積層体は、基材と、微細凹凸構造を表面に有する表層と、前記基材と前記表層との間に設けられた中間層とを有し、
前記中間層が、重合反応性化合物を含む中間層形成用組成物を硬化させてなる層であり、
前記表層と接触する側の前記中間層の表面を、X線光電子分光法(ESCA)で分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、前記中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2が、0.06〜0.15であり、かつ
前記表層と接触する側の前記中間層の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が、0.12〜0.5であることを特徴とする。
前記中間層が、重合反応性化合物を含む中間層形成用組成物を硬化させてなる層であり、
前記表層と接触する側の前記中間層の表面を、X線光電子分光法(ESCA)で分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、前記中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2が、0.06〜0.15であり、かつ
前記表層と接触する側の前記中間層の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が、0.12〜0.5であることを特徴とする。
前記重合反応性化合物は、下記式(1)で表される(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)と、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)とを含み、前記(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が、前記重合反応性化合物100質量%のうち、40〜95質量%であり、前記N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が、前記重合反応性化合物100質量%のうち、5〜60質量%であることが好ましい。
CH2=CR1−C(O)O−(AO)m−R2 ・・・(1)。
ただし、mの平均値は1以上であり、Aはアルキレン基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、(AO)mで表される構造中に(C3H6O)を少なくとも1つ有する。
CH2=CR1−C(O)O−(AO)m−R2 ・・・(1)。
ただし、mの平均値は1以上であり、Aはアルキレン基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、(AO)mで表される構造中に(C3H6O)を少なくとも1つ有する。
本発明の積層体は、微細凹凸構造を表面に有する表層と中間層との界面、および中間層と基材との界面における密着性に優れる。
本明細書における「(ポリ)アルキレングリコール」は、アルキレングリコールまたはポリアルキレングリコールを意味する。
本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびまたはメタクリレートを意味する。
本明細書における「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよびまたはメタクリルアミドを意味する。
本明細書における「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。
本明細書における「透明」は、光を透過することを意味する。
本明細書における「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
本明細書における「可視光線」とは、波長が380〜780nmの光を意味する。
本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびまたはメタクリレートを意味する。
本明細書における「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよびまたはメタクリルアミドを意味する。
本明細書における「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。
本明細書における「透明」は、光を透過することを意味する。
本明細書における「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
本明細書における「可視光線」とは、波長が380〜780nmの光を意味する。
積層体の各層の厚さを算出する方法としては、例えば、SAICASによる方法が挙げられる。具体的には、装置としてダイプラ・ウィンテス社製のSAICAS NN04を用い、積層体の表面から積層体を斜めに切削する方法がある。これは、各層の物性が異なるために、界面において生じる斜め切削の角度や垂直抗力の急な変化を観測するものであり、これら変化の生じる深さから各層の厚さを算出できる。
また、表層および中間層の厚さは、基材の厚さT1、中間層を形成した後の基材と中間層の合計の厚さT2および表層を形成した後の基材と中間層と表層の合計の厚さT3を測定することによっても算出される。つまり、表層の厚さは、中間層を形成した後の厚さT2と表層を形成した後の厚さT3との差となり、中間層の厚さは、基材の厚さT1と中間層を形成した後の厚さT2との差となる。
また、表層および中間層の厚さは、基材の厚さT1、中間層を形成した後の基材と中間層の合計の厚さT2および表層を形成した後の基材と中間層と表層の合計の厚さT3を測定することによっても算出される。つまり、表層の厚さは、中間層を形成した後の厚さT2と表層を形成した後の厚さT3との差となり、中間層の厚さは、基材の厚さT1と中間層を形成した後の厚さT2との差となる。
<積層体>
本発明の積層体は、基材と、微細凹凸構造を表面に有する表層と、基材と表層との間に設けられた中間層とを有するものである。
本発明の積層体は、基材と、微細凹凸構造を表面に有する表層と、基材と表層との間に設けられた中間層とを有するものである。
図1は、本発明の積層体の一例を示す断面図である。積層体1は、基材2と、複数の凸部3からなる微細凹凸構造を表面に有する表層4と、基材2および表層4に接するように、基材2と表層4との間に設けられた中間層5とを有する。
(基材)
基材2としては、積層体1を反射防止物品に適用する場合は、光を透過する透明基材が好ましい。
基材2の材料としては、例えば、合成高分子((メタ)アクリレート系(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等)、半合成高分子(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、これらの複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸との複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルとの複合物等)、ガラス等が挙げられる。
基材2としては、積層体1を反射防止物品に適用する場合は、光を透過する透明基材が好ましい。
基材2の材料としては、例えば、合成高分子((メタ)アクリレート系(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等)、半合成高分子(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、これらの複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸との複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルとの複合物等)、ガラス等が挙げられる。
基材2の製造方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、カレンダー成形法、セルキャスト成形法、溶液流延法、熱硬化法、乾燥硬化法、紫外線硬化法等が挙げられる。
基材2の形状としては、シート状、フィルム状等が挙げられる。
基材2の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティング処理やコロナ処理が施されていてもよい。
基材2の厚さは、特に限定されないが、中間層5や表層4を設ける工程の生産性の観点から、曲げることが可能な厚さが好ましく、500μm以下がより好ましい。
基材2の形状としては、シート状、フィルム状等が挙げられる。
基材2の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティング処理やコロナ処理が施されていてもよい。
基材2の厚さは、特に限定されないが、中間層5や表層4を設ける工程の生産性の観点から、曲げることが可能な厚さが好ましく、500μm以下がより好ましい。
(表層)
表層4は、後述する表層形成用組成物を硬化して形成された硬化樹脂膜であり、反射防止性能、撥水性能等の機能を発現する微細凹凸構造を表面に有する。
微細凹凸構造は、等間隔で形成された複数の凸部3と、凸部3間の凹部6とからなる。
表層4は、後述する表層形成用組成物を硬化して形成された硬化樹脂膜であり、反射防止性能、撥水性能等の機能を発現する微細凹凸構造を表面に有する。
微細凹凸構造は、等間隔で形成された複数の凸部3と、凸部3間の凹部6とからなる。
凸部3の形状は、円錐状または角錐状である。なお、凸部3の形状は、図2に示すような、凸部3の頂部が曲面である釣鐘状であってもよい。凸部3の形状は、図示例の形状に限定されず、高さ方向の断面積における幅が頂部から底部に向かうにしたがって次第に広くなるような形状であればよい。また、複数の微細な突起が合一して凸部3を形成していてもよい。すなわち、空気から表層4の材料へと屈折率が連続的に増大し、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を示すような形状であればよい。
凸部3の間隔i、すなわち凸部3の頂点7とこれに隣接する凸部3の頂点7との距離は、可視光線の波長以下である必要がある。凸部3の間隔iが380nm以下であれば、可視光線の散乱を抑制でき、積層体1を反射防止物品等の光学用途に好適に用いることができる。
凸部3の高さh、すなわち凹部6の底点8と凸部3の頂点7との垂直距離は、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制する観点から、60nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましい。
表層4の厚さは、6〜29μmが好ましく、8〜21μmがより好ましい。表層4の厚さが29μm以下であれば、通常の紫外線照射で表層形成用組成物の硬化が十分に進行する。表層4の厚さが6μm以上であれば、表層4が容易に破断することを回避できる。
表層4を構成する硬化樹脂膜は、表層4に微細凹凸構造を良好に形成する観点から、架橋密度が高く、高弾性であることが好ましい。高架橋密度の硬化樹脂膜では、引張伸度を出すことは難しく、引張破断伸びは通常5%以下とすることが好ましい。そのため、表層4が薄すぎると、積層体1に加重を加えた際に表層4が引張破断してしまい、亀裂が目視で確認できる傷となって残ってしまう。一方、表層4が厚すぎると、積層体1に掛かる応力が基材2によってうまく分散されず、表層4の硬化樹脂膜が傷付いてしまう。
表層4と中間層5との間は、明確な界面が存在しない混合状態であってもよい。表層4を構成する表層形成用組成物を中間層5へ浸透させることによって、明確な界面を存在させず、良好な密着性を発現できる。また、表層4を形成する際に熱をかけることによって、中間層5との密着性を改善することもできる。
(表層形成用組成物)
表層形成用組成物は、重合反応性化合物を含むものであり、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、必要に応じてその他の成分とを含む。
表層形成用組成物は、重合反応性化合物を含むものであり、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、必要に応じてその他の成分とを含む。
微細凹凸構造を形成するのに適した重合反応性化合物や活性エネルギー線重合開始剤としては、公知の化合物を採用できる。例えば、重合反応性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合およびまたはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。ラジカル重合性結合を有する単官能または多官能モノマーとしては、各種の(メタ)アクリレートおよびその誘導体が挙げられる。カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられる。微細凹凸構造を形成するのに適した重合反応性化合物や活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、特開2009−031764号公報の段落[0018]以降に記載の各種の化合物を採用できる。
表層形成用組成物は、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の添加剤を含んでいてもよい。
表層形成用組成物の25℃における粘度は、表層形成用組成物をモールドへ流し込んで硬化させて微細凹凸構造を形成する際の作業性の観点から、10000mPa・s以下が好ましく、5000mPa・s以下がより好ましく、2000mPa・s以下が特に好ましい。ただし、表層形成用組成物の粘度が10000mPa・sを超えても、モールドへ流し込む際にあらかじめ表層形成用組成物を加温して粘度を下げることが可能ならば、作業性を損なうことなく用いることができる。表層形成用組成物の70℃における粘度は、5000mPa・s以下が好ましく、2000mPa・s以下がより好ましい。
表層形成用組成物の25℃における粘度は、ベルト状やロール状のモールドを用いて微細凹凸構造を連続して形成する際の作業性の観点から、100mPa・s以上が好ましく、150mPa・s以上がより好ましく、200mPa・s以上が特に好ましい。これら範囲は、モールドを表層形成用組成物に押し当てる際に表層形成用組成物がモールドの幅を超えて脇へ漏れ難くしたり、表層形成用組成物を硬化してなる硬化樹脂膜の厚さを任意に調整し易くしたりできる。
表層形成用組成物の粘度は、モノマーの種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合等の分子間相互作用を有する官能基や化学構造を有するモノマーを多量に用いると、表層形成用組成物の粘度は高くなる。一方、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いると、表層形成用組成物の粘度は低くなる。
表層形成用組成物の粘度は、所定の温度において回転式B型粘度計を用いて測定される。
表層形成用組成物の粘度は、所定の温度において回転式B型粘度計を用いて測定される。
表層形成用組成物を硬化してなる硬化樹脂膜が柔らかいと、微細凹凸構造を形成するためのモールドから剥離する際または剥離した後に、ナノサイズの凸部3同士が寄り添ってしまう場合がある。ナノの領域では、マクロの領域では問題にならないような表面張力であっても顕著に働く。すなわち、表面自由エネルギーを下げようと、ナノサイズの凸部3同士で寄り添い、表面積を小さくしようとする力が働く。この力が硬化樹脂膜の硬さを上回ると、凸部3同士が寄り添いくっついてしまう。そのような微細凹凸構造では、所望の反射防止性能、撥水性能等の機能を発現できない場合がある。
以上の点から、硬化樹脂膜の引張弾性率は、1GPa以上が好ましい。硬化後の引張弾性率が1GPa以上となるような表層形成用組成物を用いることによって、凸部3同士が寄り添うことを回避し易くなる。
以上の点から、硬化樹脂膜の引張弾性率は、1GPa以上が好ましい。硬化後の引張弾性率が1GPa以上となるような表層形成用組成物を用いることによって、凸部3同士が寄り添うことを回避し易くなる。
(中間層)
中間層5は、後述する中間層形成用組成物を硬化して形成された硬化樹脂膜である。中間層5は1層であってもよく、2層以上であってもよいが、生産性とコストの観点から、1層が好ましい。
中間層5は、後述する中間層形成用組成物を硬化して形成された硬化樹脂膜である。中間層5は1層であってもよく、2層以上であってもよいが、生産性とコストの観点から、1層が好ましい。
中間層5の厚さは、1〜40μmが好ましく、8〜20μmがより好ましい。中間層5の厚さが1μm以上であれば、表層4の剥離時の中間層5の凝集破壊を防ぐことができる。中間層5の厚さが40μm以下であれば、中間層5を塗工によって連続的に形成する際に、厚さを精度よく塗工できる。中間層5の厚さが8μm以上であれば、積層体1への押し込み応力、積層体1の表面の摩擦等のエネルギーを分散させて、積層体1の表層4の傷付きを低減できる。中間層5の厚さが20μm以下であれば、押し込み時の圧縮変形量を抑えて、表層4がその変形量に追従できずに割れてしまうということを防止できる。中間層5の厚さ斑は、±2μm以内が好ましく、±1μm以内がより好ましい。
(中間層の表面における特定の極性部位の存在量)
本発明者らは、中間層5の表面における特定の極性部位の存在量、具体的には、窒素元素を含む極性部位(アミド基、ウレタン結合等)および水酸基の存在量を制御することによって、表層4と中間層5との界面における良好な密着性が得られることを見出した。
すなわち、中間層形成組成物に含まれる極性部位は、表層形成用組成物との間に水素結合を形成することで密着性に寄与する。本発明者らは鋭意検討した結果、中間層5の表面におけるこれら極性部位の存在量が、表層4との密着性に影響する因子であることを明らかにした。
本発明者らは、中間層5の表面における特定の極性部位の存在量、具体的には、窒素元素を含む極性部位(アミド基、ウレタン結合等)および水酸基の存在量を制御することによって、表層4と中間層5との界面における良好な密着性が得られることを見出した。
すなわち、中間層形成組成物に含まれる極性部位は、表層形成用組成物との間に水素結合を形成することで密着性に寄与する。本発明者らは鋭意検討した結果、中間層5の表面におけるこれら極性部位の存在量が、表層4との密着性に影響する因子であることを明らかにした。
(1)中間層5の表面における窒素元素を含む極性部位の存在量:
中間層5の表面における極性部位のうち、窒素元素を含む極性部位(アミド基、ウレタン結合等)の存在量は、X線光電子分光法(ESCA)による表面元素分析から見積もることができる。
中間層5の表面における極性部位のうち、窒素元素を含む極性部位(アミド基、ウレタン結合等)の存在量は、X線光電子分光法(ESCA)による表面元素分析から見積もることができる。
ESCAは、真空中で試料表面にX線を照射し、放出される光電子を測定する方法であり、光電子エネルギーは元素に固有であることから、試料表面の元素分析等に用いられている。また、表面から深い領域で発生した光電子は、表面に出てくるまでに吸収されるため、ESCAにより分析できる深さは表面から約5nmとなる。
表層4と接触する側の中間層5の表面をESCAで分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、後述する中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2は、中間層形成用組成物に含まれる、窒素元素を含む全ての極性部位のうち、表層4と接触する側の中間層5の表面に偏析した窒素元素を含む極性部位の存在量を定量的に反映した値となる。
ESCAによる表面元素分析は、表層4を形成する前の中間層5の表面に対して実施することができる。また、表層4を形成した後に、表層4と中間層5との界面を表出させて、中間層5側の表面に対して実施することもできる。
表層4を形成した後に、中間層5の表面を表出させる方法としては、例えば、SAICASによる方法が挙げられる。具体的には、装置としてダイプラ・ウィンテス社製のSAICAS NN04を用い、積層体1の表面から積層体1を斜めに切削し、表層4と中間層5との界面に達した後、切刃を水平方向に切り進むことで中間層5の表面が表出する。表層4と中間層5との界面は、表層4と中間層5の物性が異なるため、斜め切削の角度や垂直抗力が界面で変化することから容易に区別することができる。また、表層形成用組成物が中間層5へ浸透することにより、表層4と中間層5との界面が不明瞭になっている場合は、深さ方向について表層4の厚さだけ切り込んだ後に、切刃を水平方向に切り進むことで、中間層5の表面を表出させることができる。
中間層形成用組成物の炭素原子数および窒素原子数は、積層体1から中間層5のみを取り出して元素分析する方法で算出することができる。例えば、SAICASを用いる方法として、上記方法によって表出させた中間層5の表面に対して、再度SAICASで斜めに切削し、中間層5と基材2との界面で切刃を水平方向に切り進むことで基材2の表面が表出するが、このとき生じる切削片は中間層5成分であり、これを元素分析することで算出することができる。また、該中間層形成用組成物を構成する各成分(モノマー)の分子式、分子量およびモル%に換算した組成比から計算することもできる。
A1/A2は、0.06〜0.15であり、0.11〜0.14が好ましい。A1/A2が0.06以上であれば、中間層5の表面に水素結合を形成できる窒素元素を含む極性部位が多く、表層4と中間層5との界面における密着性が向上する。A1/A2が0.15以下であれば、窒素元素を含む極性部位が中間層5の表面に過剰に偏析して凝集力が高いことによって生じる、表層4と中間層5との界面における密着性の低下を防ぐことができる。
(2)中間層5の表面における極性部位の存在量:
試料表面の極性部位の存在量を評価する方法としては、赤外分光法が知られている。
試料表面の極性部位の存在量を評価する方法としては、赤外分光法が知られている。
赤外分光法は、試料に赤外線を照射し、分子振動に相当するエネルギー吸収を測定する方法であり、その中でもATR法(全反射法)は、高屈折率媒質(プリズム)に試料を密着させ、プリズムと試料との界面で起こる赤外線の全反射を利用して測定するものである。これはプリズムと試料との界面において、赤外線が全反射する際に試料側へ浸透することで生じるエバネッセント波を測定するものであり、試料表面の構造解析に用いられる。ATR法により分析できる深さは、使用する媒質の種類によって異なるが、例えばダイヤモンド製プリズムの場合、約1μmとなる。
赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピークは、アミド基のC=O伸縮振動に由来するものである。
赤外吸収スペクトルにおいて、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピークは、極性部位の水素結合の形成状態を反映している。
赤外吸収スペクトルにおいて、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピークは、(メタ)アクリロイル基やウレタン結合のC=O伸縮振動に由来するものである。
赤外吸収スペクトルにおいて、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピークは、極性部位の水素結合の形成状態を反映している。
赤外吸収スペクトルにおいて、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピークは、(メタ)アクリロイル基やウレタン結合のC=O伸縮振動に由来するものである。
図3〜5に示すように、赤外吸収スペクトルにおいて、アミド基のC=O伸縮振動に由来するピーク面積をS1、極性部位の水素結合に由来するピーク面積をS2、(メタ)アクリロイル基やウレタン結合のC=O伸縮振動に由来するピーク面積をS3としたとき、面積比S1/S3は試料の水素結合形成能を、面積比S2/S3は試料のアミド基の存在量を、それぞれ定量的に反映した値となる。それ故、本発明においてATR法によって測定される(S1+S2)/S3は、中間層5の表面における、表層4との密着性に寄与する極性部位の存在量を反映した値となる。
各ピーク面積を求める際のベースラインは、図3〜5に示すように、それぞれのピークが存在する吸収曲線の両側の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とする。
各ピーク面積を求める際のベースラインは、図3〜5に示すように、それぞれのピークが存在する吸収曲線の両側の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とする。
(S1+S2)/S3は、0.12〜0.5であり、0.15〜0.4が好ましい。(S1+S2)/S3が0.12以上であれば、中間層5の表面に、表層形成用組成物と水素結合を形成できる極性部位が多く、表層4と中間層5との界面における密着性が向上する。(S1+S2)/S3が0.5以下であれば、中間層5の内部において、極性部位が表層4との界面付近に偏ることによって生じる、基材2との密着性の低下を防ぐことができる。
(3)A1/A2および(S1+S2)/S3の調整:
A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする手段としては、例えば、中間層形成用組成物を基材の表面に塗布した後の塗膜の乾燥時間や温度、塗膜を硬化させる際の活性エネルギー線の照射量等を適宜調整する、中間層形成用組成物に含まれる重合反応性化合物の種類や組成を適宜選択する、等が挙げられる。
A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする手段としては、例えば、中間層形成用組成物を基材の表面に塗布した後の塗膜の乾燥時間や温度、塗膜を硬化させる際の活性エネルギー線の照射量等を適宜調整する、中間層形成用組成物に含まれる重合反応性化合物の種類や組成を適宜選択する、等が挙げられる。
(中間層形成用組成物)
中間層形成用組成物は、重合反応性化合物を含むものであり、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、必要に応じてその他の成分とを含む。
中間層形成用組成物は、重合反応性化合物を含むものであり、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤と、必要に応じてその他の成分とを含む。
重合反応性化合物としては、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、アミド基を有するモノマーを含むものが好ましく、アミド基を有する重合反応性化合物および水酸基を有する重合反応性化合物を含むものがより好ましい。
アミド基を有する重合反応性化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ブチル(メタ)アクリルアミド、tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、ペンチル(メタ)アクリルアミド、ヘキシル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
水酸基を有する重合反応性化合物としては、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ラクトン変性(メタ)アクリレート(ダイセル化学社製の「プラクセル(登録商標)」シリーズ等)等が挙げられる。
重合反応性化合物としては、下記式(1)で表される(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)と、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)とを含むものがより好ましい。
CH2=CR1−C(O)O−(AO)m−R2 ・・・(1)。
CH2=CR1−C(O)O−(AO)m−R2 ・・・(1)。
mの平均値は1以上であり、表層4と中間層5との界面の密着性および中間層5の透明性の点から、3〜10が好ましい。
Aはアルキレン基であり、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。
R1は水素原子またはメチル基である。
R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、水素原子が好ましい。
(AO)mで表される構造中には、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、(C3H6O)を少なくとも1つ有する。
(AO)mで表される構造中に(C3H6O)を少なくとも1つ含むことにより、(AO)mの運動性が抑えられるため、表層4と接触する側の中間層5の表面に(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)が偏析しにくくなり、相対的にN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)のアミド基の偏析しやすくなるため、十分な密着性が得ることができる。
Aはアルキレン基であり、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。
R1は水素原子またはメチル基である。
R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、水素原子が好ましい。
(AO)mで表される構造中には、表層4と中間層5との界面の密着性の点から、(C3H6O)を少なくとも1つ有する。
(AO)mで表される構造中に(C3H6O)を少なくとも1つ含むことにより、(AO)mの運動性が抑えられるため、表層4と接触する側の中間層5の表面に(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)が偏析しにくくなり、相対的にN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)のアミド基の偏析しやすくなるため、十分な密着性が得ることができる。
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、プロピレンオキシドを付加重合した重合体の一方の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入し、必要に応じて他方の末端にアルキル基またはアリール基を導入したもの;ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;プロピレンオキシドと、エチレンオキシドおよびまたはブチレンオキシドとの共重合体の一方の末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を導入し、必要に応じて他方の末端にアルキル基またはアリール基を導入したもの;等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の市販品としては、ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−150(m≒3)、AP−400(m≒6)、AP−550(m≒9)、AP−800(m≒13);ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)ANP−300(m≒5)等が挙げられる。
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の数平均分子量は、1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、450〜700が特に好ましい。数平均分子量が1000以下であれば、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートの反応性が十分に高く、分子量が十分に高い硬化樹脂膜が形成されるため、表層4との密着性を確保できる。数平均分子量が750以下であれば、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)とN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)との相溶性が高いため、透明性の高い硬化樹脂膜が形成される。数平均分子量が450〜700であれば、前記効果を発現し、かつ(ポリ)アルキレングリコール鎖の分子量が十分に大きいため、表層4の硬化樹脂膜との相溶性が高く、中間層5と表層4との密着性が良好となる。
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合は、重合反応性化合物100質量%のうち、40〜95質量%が好ましく、50〜85質量%がより好ましい。(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が40質量%以上であれば、硬化樹脂膜の柔軟性を確保でき、表層4との十分な密着性が得られる。(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が95質量%以下であれば、中間層形成用組成物の反応性を確保できる。(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が50〜85質量%であれば、硬化樹脂膜の柔軟性と凝集力のバランスが良好となるため、表層4との密着性がさらに向上する。
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合は、重合反応性化合物100質量%のうち、5〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が5質量%以上であれば、アミド基による硬化樹脂膜の密着性が確保される。N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が60質量%以下であれば、硬化樹脂膜の柔軟性を確保でき、表層4との密着性が確保される。N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が15〜50質量%であれば、硬化樹脂膜の柔軟性と凝集力のバランスが良好となるため、表層4との密着性がさらに向上する。
中間層形成用組成物は、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)以外の他の重合反応性化合物を含んでいてもよい。他の重合反応性化合物の割合は、重合反応性化合物100質量%のうち、0〜45質量%が好ましい。他の重合反応性化合物は、硬化反応によって硬化樹脂膜からなる中間層5を形成できるものであればよく、特に限定されない。他の重合反応性化合物としては、基材2や表層4との密着性に寄与する成分が好ましい。
中間層形成用組成物は、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)以外に、基材2や表層4との密着性に寄与する成分として、水素結合を形成できる極性部位を有するモノマーを含んでいてもよい。この極性部位としては、例えば、ウレタン結合、カルボキシル基、水酸基、アミド基などが挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、コハク酸が挙げられる。水酸基を有するモノマーの具体例としては、上述した水酸基を有する重合反応性化合物が挙げられる。アミド基を有するモノマーの具体例としては、上述したアミド基を有する重合反応性化合物が挙げられる。
他の重合反応性化合物として、多官能モノマーを用いてもよい。多官能モノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の複数の重合性二重結合と水酸基を有するモノマーが挙げられる。ウレタン結合を有する多官能モノマーの具体例としては、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能モノマーの市販品としては、例えば、ダイセル・サイテック社の「Ebecryl(登録商標)」シリーズ、東亞合成社製の「アロニックス(登録商標)」シリーズ、日本化薬社製の「KAYARAD(登録商標)」シリーズ等が挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することで開裂して、重合反応性化合物の重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。活性エネルギー線としては、装置コストや生産性の観点から、紫外線が好ましい。
活性エネルギー線重合開始剤の種類や使用量は、例えば、活性エネルギー線を照射する環境(酸素存在下、窒素雰囲気下等)等に応じて適宜決定すればよいが、活性エネルギー線重合開始剤の使用量は、重合反応性化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
活性エネルギー線重合開始剤の種類や使用量は、例えば、活性エネルギー線を照射する環境(酸素存在下、窒素雰囲気下等)等に応じて適宜決定すればよいが、活性エネルギー線重合開始剤の使用量は、重合反応性化合物100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましい。
活性エネルギー線重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メチルフェニルグリオキシレート、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−フェニル−1,2−プロパン−ジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、ベンゾイルジメトキシフォスフィンオキシド等が挙げられる。活性エネルギー線重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層形成用組成物は、必要に応じて溶剤で希釈されていてもよい。特に、高粘度で均一塗布が難しい場合は、コーティング方法に適した粘度となるよう適宜調整することが好ましい。また、溶剤で基材2の表面を一部溶解することで、基材2と中間層5との密着性を改善することもできる。
溶剤としては、乾燥方法等に応じて適当な沸点を有するものを選択すればよい。溶剤の具体例としては、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アルコール類(イソプロピルアルコール等)が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤としては、乾燥方法等に応じて適当な沸点を有するものを選択すればよい。溶剤の具体例としては、トルエン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アルコール類(イソプロピルアルコール等)が挙げられる。溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層形成用組成物は、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤、近赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。
中間層形成用組成物が帯電防止剤を含む場合、埃等の付着をしにくい積層体1を得ることができる。帯電防止剤としては、例えば、導電性高分子(ポリチオール系、ポリチオフェン系、ポリアニリン系等)、無機物微粒子(カーボンナノチューブ、カーボンブラック等)、特開2007−070449号公報に記載されたリチウム塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。帯電防止剤としては、積層体1の透明性を損なわず、比較的安価で、安定した性能を発揮するペルフルオロアルキル酸リチウム塩が好ましい。
帯電防止剤の添加量は、重合反応性化合物の100質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。帯電防止剤の添加量が0.5質量部以上であれば、積層体1の表面抵抗値を下げ、埃付着防止性能を発揮する。また、コスト面から20質量部以下が好ましい。
また、良好な帯電防止性能を発揮させるためには、中間層5の上に積層する表層4の厚さを100μm以下にすることが好ましく、50μm以下にすることが特に好ましい。
また、良好な帯電防止性能を発揮させるためには、中間層5の上に積層する表層4の厚さを100μm以下にすることが好ましく、50μm以下にすることが特に好ましい。
中間層形成用組成物が近赤外線吸収剤を含む場合、積層体1に断熱効果を付与したり、プラズマディスプレイ等に用いた場合、各種家電の赤外線リモコンの誤作動を防止したりすることができる。近赤外線吸収剤としては、例えば、有機系近赤外線吸収剤(ジイモニウム系色素、フタロシアニン系色素、ジチオール系金属錯体系色素、置換ベンゼンジチオール金属錯体系色素、シアニン系色素、スクアリウム系色素等)、無機系近赤外線吸収剤(導電性アンチモン含有錫酸化物微粒子、導電性錫含有インジウム酸化物微粒子、タングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子等)が挙げられる。近赤外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
各種添加剤は、積層体1の表層4に添加してもよいが、経時的なブリードアウトによって、性能の低下が懸念される。中間層5に添加することによって、ブリードアウトを抑制、防止することが可能となる。
中間層形成用組成物の粘度は、コーティング方法に合わせて最適な値に調整すればよい。また、中間層形成用組成物の粘度に応じて、適切なコーティング方法を選択すればよい。例えば、粘度が50mPa・s以下の場合は、グラビアコーティングで基材2の表面に均一塗布できる。
(用途)
本発明の積層体は、微細凹凸構造を表面に有する機能性物品として最適である。機能性物品としては、例えば、本発明の積層体を備えた反射防止物品、撥水性物品等が挙げられる。特に、本発明の積層体を備えたディスプレイや自動車用部材が、機能性物品として好適である。
本発明の積層体は、微細凹凸構造を表面に有する機能性物品として最適である。機能性物品としては、例えば、本発明の積層体を備えた反射防止物品、撥水性物品等が挙げられる。特に、本発明の積層体を備えたディスプレイや自動車用部材が、機能性物品として好適である。
本発明の積層体を備えた反射防止物品は、高い耐擦傷性と良好な反射防止性能を発現する。反射防止物品としては、例えば、画像表示装置等の各種表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、本発明の積層体を貼り付けたもの等が挙げられる。
本発明の積層体を備えた撥水性物品は、高い耐擦傷性と良好な撥水性能を発現するとともに、優れた反射防止性能を発現する。撥水性物品としては、例えば、窓材、屋根瓦、屋外照明、カーブミラー、車両用窓、車両用ミラー等の対象物の表面に、本発明の積層体を貼り付けたもの等が挙げられる。
各対象物における積層体を貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめその形状に応じた形状の基材を用意し、その基材の上に中間層および表層を形成して積層体を得た後、この積層体を対象物の所定部分に貼り付ければよい。
また、対象物が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して本発明の積層体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の積層体から構成することもできる。
また、本発明の積層体は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。
また、対象物が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して本発明の積層体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の積層体から構成することもできる。
また、本発明の積層体は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体は、例えば、下記の工程(I)〜(II)を有する方法によって製造できる。
(I)基材の表面に中間層形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線の照射によって中間層形成用組成物を完全に硬化させて中間層を形成する工程。
(II)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に表層形成用組成物を配し、表層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、表層形成用組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と中間層と表層とからなる積層体を得る工程。
本発明の積層体は、例えば、下記の工程(I)〜(II)を有する方法によって製造できる。
(I)基材の表面に中間層形成用組成物を塗布し、活性エネルギー線の照射によって中間層形成用組成物を完全に硬化させて中間層を形成する工程。
(II)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に表層形成用組成物を配し、表層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、表層形成用組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と中間層と表層とからなる積層体を得る工程。
工程(I):
工程(I)は、さらに下記の工程(I−1)〜(I−3)に分けられる。
(I−1)基材の表面に中間層形成用組成物を塗布する工程。
(I−2)中間層形成用組成物が溶剤を含む場合には、溶剤を揮発させる工程。
(I−3)中間層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、中間層形成用組成物を硬化させて中間層を形成する工程。
工程(I)は、さらに下記の工程(I−1)〜(I−3)に分けられる。
(I−1)基材の表面に中間層形成用組成物を塗布する工程。
(I−2)中間層形成用組成物が溶剤を含む場合には、溶剤を揮発させる工程。
(I−3)中間層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、中間層形成用組成物を硬化させて中間層を形成する工程。
工程(I−1):
まず、基材の表面に中間層形成用組成物を塗布して、中間層形成用組成物からなる塗膜を形成する。
塗布方法は、基材の柔軟性や中間層形成用組成物の粘度を勘案して、公知のコーティング方法から最適な方法を選択すればよい。具体的には、中間層形成用組成物の塗布の際にエアナイフによって塗膜の厚さを制御する方法、重合成組成物の塗布をグラビアコーティングによって行う方法等が挙げられる。公知のコーティング方法は、例えば、特開平01−216837号公報等に詳しく記載されている。
まず、基材の表面に中間層形成用組成物を塗布して、中間層形成用組成物からなる塗膜を形成する。
塗布方法は、基材の柔軟性や中間層形成用組成物の粘度を勘案して、公知のコーティング方法から最適な方法を選択すればよい。具体的には、中間層形成用組成物の塗布の際にエアナイフによって塗膜の厚さを制御する方法、重合成組成物の塗布をグラビアコーティングによって行う方法等が挙げられる。公知のコーティング方法は、例えば、特開平01−216837号公報等に詳しく記載されている。
工程(I−2):
中間層形成用組成物が溶剤を含む場合には、基材の表面に形成された塗膜を乾燥して溶剤を揮発、除去する必要がある。この際、加熱や減圧によって溶剤の揮発を促進してもよい。ただし、急速な乾燥では、塗膜の表面のみが乾燥し、塗膜の内部に溶剤が残る場合があるので注意を要する。具体的には、溶剤の種類や含有量によって適切な乾燥方法を選択すればよい。また、加熱することで基材に変形を生じる場合もあるので注意を要する。
中間層形成用組成物が溶剤を含む場合には、基材の表面に形成された塗膜を乾燥して溶剤を揮発、除去する必要がある。この際、加熱や減圧によって溶剤の揮発を促進してもよい。ただし、急速な乾燥では、塗膜の表面のみが乾燥し、塗膜の内部に溶剤が残る場合があるので注意を要する。具体的には、溶剤の種類や含有量によって適切な乾燥方法を選択すればよい。また、加熱することで基材に変形を生じる場合もあるので注意を要する。
塗膜の乾燥時間は、A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする点から、0.5〜5分が好ましい。
塗膜の乾燥温度は、A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする点から、50〜70℃が好ましい。
塗膜の乾燥温度は、A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする点から、50〜70℃が好ましい。
工程(I−3):
中間層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、中間層形成用組成物を硬化させて中間層を形成する。
活性エネルギー線としては、装置コストや生産性の観点から紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプが挙げられる。
中間層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、中間層形成用組成物を硬化させて中間層を形成する。
活性エネルギー線としては、装置コストや生産性の観点から紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプが挙げられる。
紫外線の照射量(積算光量)は、中間層形成用組成物が含む活性エネルギー線重合開始剤の吸収波長や量に合わせて適宜決定すればよい。紫外線の積算光量は、100〜10000mJ/cm2が好ましく、150〜6000mJ/cm2がより好ましい。積算光量が100mJ/cm2以上であれば、中間層形成用組成物を十分に硬化できる。積算光量が10000mJ/cm2以下であれば、中間層の着色や基材の劣化を防止できる。照射強度は、特に制限されないが、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
紫外線の積算光量は、A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする点からは、1000〜5000mJ/cm2がより好ましい。
紫外線の積算光量は、A1/A2および(S1+S2)/S3を上述した範囲内とする点からは、1000〜5000mJ/cm2がより好ましい。
紫外線を照射する際の雰囲気は、硬化を促進する点で、窒素雰囲気下が好ましい。また、紫外線を照射する際の雰囲気は、酸素濃度1%以下が好ましく、酸素濃度0.1%以下が特に好ましい。酸素濃度が1%以下であれば、中間層形成用組成物の硬化を促進し、完全に硬化した硬化樹脂膜を得ることができる。
工程(II):
工程(II)は、さらに下記の工程(II−1)〜(II−3)に分けられる。
(II−1)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に表層形成用組成物を挟む工程。
(II−2)表層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、表層形成用組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と中間層と表層とからなる積層体を得る工程。
(II−3)積層体とモールドとを分離する工程。
工程(II)は、さらに下記の工程(II−1)〜(II−3)に分けられる。
(II−1)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドと基材との間に表層形成用組成物を挟む工程。
(II−2)表層形成用組成物に活性エネルギー線を照射し、表層形成用組成物を硬化させて微細凹凸構造を表面に有する表層を形成し、基材と中間層と表層とからなる積層体を得る工程。
(II−3)積層体とモールドとを分離する工程。
工程(II)における表層の形成方法、工程(II)に用いるモールドの製造方法等としては、例えば、特開2009−031764号公報等に記載された公知方法を採用すればよい。
(作用効果)
以上説明した本発明の積層体にあっては、表層と接触する側の中間層の表面を、ESCAで分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2が、0.06〜0.15であり、かつ
表層と接触する側の中間層の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が、0.12〜0.5であるため、中間層の表面に表層を形成する際のセット時間が短い場合(連続的に表層を形成した場合)であっても、微細凹凸構造を表面に有する表層と中間層との界面および中間層と基材との界面における密着性に優れる。
以上説明した本発明の積層体にあっては、表層と接触する側の中間層の表面を、ESCAで分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2が、0.06〜0.15であり、かつ
表層と接触する側の中間層の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が、0.12〜0.5であるため、中間層の表面に表層を形成する際のセット時間が短い場合(連続的に表層を形成した場合)であっても、微細凹凸構造を表面に有する表層と中間層との界面および中間層と基材との界面における密着性に優れる。
特に、重合反応性化合物として(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)とN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)とを含み、(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が重合反応性化合物100質量%のうち40〜95質量%であり、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が重合反応性化合物100質量%のうち5〜60質量%である中間層形成用組成物を硬化させてなる中間層を有する場合、表層と中間層との界面および中間層と基材との界面における密着性に優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
また、各種測定および評価方法は以下のとおりである。
以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
また、各種測定および評価方法は以下のとおりである。
(1)モールドの細孔の測定:
モールドの表面の陽極酸化ポーラスアルミナの一部の縦断面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVで縦断面を観察し、隣り合う細孔の間隔および細孔の深さを測定した。具体的には、それぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
モールドの表面の陽極酸化ポーラスアルミナの一部の縦断面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVで縦断面を観察し、隣り合う細孔の間隔および細孔の深さを測定した。具体的には、それぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(2)微細凹凸構造の凹凸の測定:
積層体の表面の微細凹凸構造の縦断面に白金を10分間蒸着し、(1)と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、および凸部の高さを測定した。具体的には、それぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
積層体の表面の微細凹凸構造の縦断面に白金を10分間蒸着し、(1)と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、および凸部の高さを測定した。具体的には、それぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(3)表面元素分析によるA1/A2の算出:
表層と接触する側の中間層の表面の元素分析は、X線光電子分光法(ESCA)にて行った。測定装置としては、VG Scientific社製、ESCALAB 220iXLを用い、X線源はAlKα、出力は10kVに設定した。測定は、パスエネルギー100eV、分解能0.1eV、1エネルギーポイントあたりの測定時間100ms、積算回数100回以上にて行った。サンプルは予備排気室で十分に予備排気した後、測定室のチャンバー内に移送した。測定時の帯電に伴うピーク値の補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー±10eVの範囲内において、最も高エネルギー側に現れるC=O結合由来のピーク値を289.0eVに合わせた。C1sについては結合エネルギー280〜287eVの範囲、N1sについては結合エネルギー394〜400eVの範囲で、それぞれベースラインを引くことでピーク面積を求め、炭素に対する窒素の原子比(N/C)を計算し、A1とした。
また、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の原子比(N/C)を、中間層形成用組成物を構成する各成分(モノマー)の分子式、分子量およびモル%に換算した組成比から計算し、A2とした。
表層と接触する側の中間層の表面の元素分析は、X線光電子分光法(ESCA)にて行った。測定装置としては、VG Scientific社製、ESCALAB 220iXLを用い、X線源はAlKα、出力は10kVに設定した。測定は、パスエネルギー100eV、分解能0.1eV、1エネルギーポイントあたりの測定時間100ms、積算回数100回以上にて行った。サンプルは予備排気室で十分に予備排気した後、測定室のチャンバー内に移送した。測定時の帯電に伴うピーク値の補正として、C1sの主ピークの結合エネルギー±10eVの範囲内において、最も高エネルギー側に現れるC=O結合由来のピーク値を289.0eVに合わせた。C1sについては結合エネルギー280〜287eVの範囲、N1sについては結合エネルギー394〜400eVの範囲で、それぞれベースラインを引くことでピーク面積を求め、炭素に対する窒素の原子比(N/C)を計算し、A1とした。
また、中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の原子比(N/C)を、中間層形成用組成物を構成する各成分(モノマー)の分子式、分子量およびモル%に換算した組成比から計算し、A2とした。
(4)赤外吸収スペクトルのピーク面積比の算出:
表層と接触する側の中間層の表面の赤外吸収スペクトルは、Nicolet社製、FT−IR Avater330を用い、ATR法にて波数範囲4000〜700cm−1、分解能4cm−1、積算回数64回の条件にて測定した。サンプルは、温度23℃、相対湿度50%に調整された部屋に一昼夜以上静置したものを用いた。得られた赤外吸収スペクトルから、OMNIC E.S.P.ソフトウェアパッケージのピーク面積ツールを用いて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有する、アミド基のC=O伸縮振動由来のピーク面積(S1)、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有する、極性部位の水素結合由来のピーク面積(S2)、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有する、(メタ)アクリロイル基やウレタン結合のC=O伸縮振動に由来するピーク面積(S3)をそれぞれ求め、面積比S1/S3およびS2/S3を算出した。ベースラインは、それぞれのピークが存在する吸収曲線の両端の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とした。
表層と接触する側の中間層の表面の赤外吸収スペクトルは、Nicolet社製、FT−IR Avater330を用い、ATR法にて波数範囲4000〜700cm−1、分解能4cm−1、積算回数64回の条件にて測定した。サンプルは、温度23℃、相対湿度50%に調整された部屋に一昼夜以上静置したものを用いた。得られた赤外吸収スペクトルから、OMNIC E.S.P.ソフトウェアパッケージのピーク面積ツールを用いて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有する、アミド基のC=O伸縮振動由来のピーク面積(S1)、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有する、極性部位の水素結合由来のピーク面積(S2)、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有する、(メタ)アクリロイル基やウレタン結合のC=O伸縮振動に由来するピーク面積(S3)をそれぞれ求め、面積比S1/S3およびS2/S3を算出した。ベースラインは、それぞれのピークが存在する吸収曲線の両端の裾または別の吸収曲線との間の谷を結ぶ線とした。
(5)密着性の評価:
JIS K 5400に準拠して、積層体の表層について碁盤目剥離試験を行い、密着性を評価した。基盤には厚さ2mmのアクリル板を用いた。碁盤目は10×10の100マスによって行い、100マス中で剥離が起こらなかった数を評価した。剥離されなかったマス目の数が100/100だったものを「◎」、50〜99/100だったものを「○」、1〜49だったものを「△」、0/100だったものを「×」とした。
JIS K 5400に準拠して、積層体の表層について碁盤目剥離試験を行い、密着性を評価した。基盤には厚さ2mmのアクリル板を用いた。碁盤目は10×10の100マスによって行い、100マス中で剥離が起こらなかった数を評価した。剥離されなかったマス目の数が100/100だったものを「◎」、50〜99/100だったものを「○」、1〜49だったものを「△」、0/100だったものを「×」とした。
(モールドの作製)
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨し、ついで過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し、鏡面化した。
工程(a):
鏡面化されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
酸化皮膜が除去されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨し、ついで過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し、鏡面化した。
工程(a):
鏡面化されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
酸化皮膜が除去されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。
工程(d):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
細孔径拡大処理されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、酸化皮膜をさらに形成した。
工程(f):
工程(d)および(e)工程を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行って、間隔100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを得た。
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
細孔径拡大処理されたアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、酸化皮膜をさらに形成した。
工程(f):
工程(d)および(e)工程を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行って、間隔100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを得た。
得られたモールドを脱イオン水で洗浄し、次いで表面の水分をエアーブローで除去し、フッ素系剥離材(ダイキン工業社製、オプツールDSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、HD−ZV)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾した。
(表層形成用組成物の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学製、A−DPH)25部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬製、PET−3)25部、
エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD(登録商標) DPEA−12)25部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学製、A−600)25部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)184)1部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)819)0.5部、
ポリオキシエチレンアルキル(12〜15)エーテルリン酸(日本ケミカルズ社製、NIKKOL(登録商標)TDP−2)0.1部
を混合して、25℃における粘度が410mPa・sの表層形成用組成物を得た。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学製、A−DPH)25部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬製、PET−3)25部、
エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、KAYARAD(登録商標) DPEA−12)25部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学製、A−600)25部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)184)1部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)819)0.5部、
ポリオキシエチレンアルキル(12〜15)エーテルリン酸(日本ケミカルズ社製、NIKKOL(登録商標)TDP−2)0.1部
を混合して、25℃における粘度が410mPa・sの表層形成用組成物を得た。
〔実施例1〕
(中間層形成用組成物の調製)
ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−400(m≒6)、数平均分子量400)60部、
N,N−ジメチルアクリルアミド(興人社製、DMAA)25部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、HEA)15部、
メチルエチルケトン(和光純薬製、MEK)233部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)184)1.5部、
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(日本チバ・ガイギー社製、Darocure(登録商標)TPO)1.5部
を混合して、25℃における粘度が10mPa・sの中間層形成用組成物を得た。
(中間層形成用組成物の調製)
ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−400(m≒6)、数平均分子量400)60部、
N,N−ジメチルアクリルアミド(興人社製、DMAA)25部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、HEA)15部、
メチルエチルケトン(和光純薬製、MEK)233部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ガイギー社製、Irgacure(登録商標)184)1.5部、
2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキシド(日本チバ・ガイギー社製、Darocure(登録商標)TPO)1.5部
を混合して、25℃における粘度が10mPa・sの中間層形成用組成物を得た。
(中間層の形成)
基材として、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、FTT40UZ、厚さ40μm)を用意した。
基材の表面に、バーコータを用いて中間層形成用組成物を均一塗布し、70℃の乾燥機内に1分間静置した。ついで、中間層形成用組成物を塗布した側から酸素濃度0.1%以下の雰囲気下で、フュージョンランプを用いて積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射して塗膜を硬化し、中間層を形成した。中間層の厚さは10μmであった。
中間層の表面についてESCAによる元素分析および赤外吸収スペクトルの測定を行い、A1/A2および(S1+S2)/S3を求めた。結果を表1に示す。
基材として、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製、FTT40UZ、厚さ40μm)を用意した。
基材の表面に、バーコータを用いて中間層形成用組成物を均一塗布し、70℃の乾燥機内に1分間静置した。ついで、中間層形成用組成物を塗布した側から酸素濃度0.1%以下の雰囲気下で、フュージョンランプを用いて積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射して塗膜を硬化し、中間層を形成した。中間層の厚さは10μmであった。
中間層の表面についてESCAによる元素分析および赤外吸収スペクトルの測定を行い、A1/A2および(S1+S2)/S3を求めた。結果を表1に示す。
(表層の形成)
モールドの陽極酸化ポーラスアルミナ側の表面に、表層形成用組成物を流し込み、その上に、中間層が接するように15秒間かけて基材を押し広げながら被覆した。基材側からフュージョンランプを用いて積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、表層形成用組成物を硬化した。その後、モールドを剥離して、微細凹凸構造を表面に有する厚さ10μmの表層が基材の表面に形成された積層体を得た。
モールドの陽極酸化ポーラスアルミナ側の表面に、表層形成用組成物を流し込み、その上に、中間層が接するように15秒間かけて基材を押し広げながら被覆した。基材側からフュージョンランプを用いて積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、表層形成用組成物を硬化した。その後、モールドを剥離して、微細凹凸構造を表面に有する厚さ10μmの表層が基材の表面に形成された積層体を得た。
積層体の表面には、モールドの微細凹凸構造が転写されており、図1に示すような、隣り合う凸部3の間隔iが100nm、凸部3の高さhが180nmである略円錐形状の凸部3からなる微細凹凸構造が形成されていた。得られた積層体の表層の密着性を評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜8、比較例1〜7〕
中間層形成用組成物の重合性化合物の組成、70℃乾燥機内での静置時間、積算光量について、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
中間層形成用組成物の重合性化合物の組成、70℃乾燥機内での静置時間、積算光量について、表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。評価結果を表1に示す。
表中の略号は下記のとおりである。
AP−400:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−400(m≒6)、数平均分子量400)、
AP−550:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−550(m≒9)、数平均分子量550)、
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド(興人社製、DMAA)、
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、HEA)。
AP−400:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−400(m≒6)、数平均分子量400)、
AP−550:ポリプロピレングリコールモノアクリレート(日油社製、ブレンマー(登録商標)AP−550(m≒9)、数平均分子量550)、
DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド(興人社製、DMAA)、
HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製、HEA)。
表1から明らかなように、実施例1〜8の積層体は、碁盤目剥離試験の結果が良好であり、高い密着性を有していた。
比較例1の積層体は、中間層の表面に窒素元素を含む極性部位が過剰に偏析しているため、碁盤目剥離試験において中間層の凝集剥離を生じた。
比較例2、5の積層体は、中間層の表面における密着性に寄与する水素結合を形成できる極性部位が少ないため、表層形成用組成物との密着性が得られず、碁盤目剥離試験において表層が剥離した。
比較例3、4、6、7の積層体は、中間層の表面における窒素元素を含む極性部位が少ないため、表層形成用組成物との密着性が得られず、碁盤目剥離試験において表層が剥離した。
比較例1の積層体は、中間層の表面に窒素元素を含む極性部位が過剰に偏析しているため、碁盤目剥離試験において中間層の凝集剥離を生じた。
比較例2、5の積層体は、中間層の表面における密着性に寄与する水素結合を形成できる極性部位が少ないため、表層形成用組成物との密着性が得られず、碁盤目剥離試験において表層が剥離した。
比較例3、4、6、7の積層体は、中間層の表面における窒素元素を含む極性部位が少ないため、表層形成用組成物との密着性が得られず、碁盤目剥離試験において表層が剥離した。
本発明の積層体は、建材(壁,屋根等)、窓材(家屋、自動車、電車、船舶等)、鏡、人が手で触れ得るディスプレイ等に反射防止性能や撥水性能を付与する目的に利用可能であり、工業的に極めて有用である。
1 積層体
2 基材
3 凸部
4 表層
5 中間層
6 凹部
7 頂点
8 底点
i 間隔
h 高さ
2 基材
3 凸部
4 表層
5 中間層
6 凹部
7 頂点
8 底点
i 間隔
h 高さ
Claims (2)
- 基材と、
微細凹凸構造を表面に有する表層と、
前記基材と前記表層との間に設けられた中間層と
を有し、
前記中間層が、重合反応性化合物を含む中間層形成用組成物を硬化させてなる層であり、
前記表層と接触する側の前記中間層の表面を、X線光電子分光法(ESCA)で分析した際の炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA1とし、前記中間層形成用組成物における炭素に対する窒素の元素比(N/C)をA2としたとき、A1/A2が、0.06〜0.15であり、かつ
前記表層と接触する側の前記中間層の表面の赤外吸収スペクトルにおいて、1630cm−1±10cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS1とし、3100〜3700cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS2とし、1730cm−1±50cm−1の領域に吸収極大を有するピーク面積をS3としたとき、(S1+S2)/S3が、0.12〜0.5である、積層体。 - 前記重合反応性化合物が、下記式(1)で表される(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)と、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)とを含み、
前記(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(A)の割合が、前記重合反応性化合物100質量%のうち、40〜95質量%であり、
前記N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド(B)の割合が、前記重合反応性化合物100質量%のうち、5〜60質量%である、請求項1に記載の積層体。
CH2=CR1−C(O)O−(AO)m−R2 ・・・(1)。
ただし、mの平均値は1以上であり、Aはアルキレン基であり、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、(AO)mで表される構造中に(C3H6O)を少なくとも1つ有する。
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