JP2018171914A - 遮熱断熱フィルム - Google Patents

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大貴 加藤
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【課題】耐クラック性および密着性に優れた遮熱断熱フィルムを提供する。【解決手段】本発明の遮熱断熱フィルムは、基材層と赤外線反射層を含む遮熱断熱フィルムであって、該基材層と該赤外線反射層の間に反射防止層を備え、該反射防止層が、テルル化鉛(PbTe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、一窒化珪素(SiN)、白金(Pt)、一硫化亜鉛(ZnS)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、一炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、鉄(Fe)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種を含む。【選択図】図1

Description

本発明は遮熱断熱フィルムに関する。
遮熱断熱フィルムは、遮熱機能と断熱機能を兼ね備えたフィルムである。このような遮熱断熱フィルムは、例えば、窓ガラスに貼着された場合、赤外線反射機能によって、室外から室内への日射熱(近赤外線)の流入、および、室内から室外への暖房熱(遠赤外線)の流出を抑制することができ、年間を通じての室内の快適性の向上と省エネルギー効果の向上を実現することができる。
このような遮熱断熱フィルムとして、近年、基材層と赤外線反射層を含む遮熱断熱フィルムが提案されている(特許文献1、2)。赤外線反射層は、例えば、金属層の両側に金属酸化物層を備える構成を有し、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる。
遮熱断熱フィルムには、赤外線反射機能に加えて、取り扱い時や保管時などに屈曲状態になった場合にクラックが生じない高い耐クラック性や、各層間で剥離が生じない高い密着性が求められる。
特開2016−93892号公報 特開2016−94012号公報
本発明の課題は、耐クラック性および密着性に優れた遮熱断熱フィルムを提供することにある。
本発明の遮熱断熱フィルムは、
基材層と赤外線反射層を含む遮熱断熱フィルムであって、
該基材層と該赤外線反射層の間に反射防止層を備え、
該反射防止層が、テルル化鉛(PbTe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、一窒化珪素(SiN)、白金(Pt)、一硫化亜鉛(ZnS)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、一炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、鉄(Fe)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種を含む。
一つの実施形態においては、上記赤外線反射層と上記反射防止層が直接に積層されてなる。
一つの実施形態においては、上記反射防止層層の厚みが30nm以下である。
本発明によれば、耐クラック性および密着性に優れた遮熱断熱フィルムを提供することができる。
本発明の遮熱断熱フィルムの一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の遮熱断熱フィルムの一つの実施形態を示す概略断面図である。 本発明の遮熱断熱フィルムの使用形態の一例を模式的に表す断面図である。
≪遮熱断熱フィルムの概要≫
本発明の遮熱断熱フィルムは、基材層と赤外線反射層を含み、該基材層と該赤外線反射層の間に反射防止層を備える。
図1は、本発明の遮熱断熱フィルムの一つの実施形態を示す概略断面図である。図1において、遮熱断熱フィルム100は、基材層10と反射防止層50と赤外線反射層20とを備える。
本発明の遮熱断熱フィルムは、基材層の赤外線反射層と反対の側、基材層と反射防止層との間、反射防止層と赤外線反射層との間、赤外線反射層の反射防止層と反対の側、のそれぞれに、必要に応じて、任意の適切な他の層を備えていてもよい。このような他の層は1層でもよいし、2層以上でもよい。また、このような他の層は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
図2は、本発明の遮熱断熱フィルムの一つの実施形態を示す概略断面図である。図2において、遮熱断熱フィルム100は、基材層10とアンダーコート層60と反射防止層50と赤外線反射層20と保護トップコート層40と保護フィルム70とを備える。図2において、赤外線反射層20は、第一金属酸化物層22a、金属層21、第二金属酸化物層22bの3層からなる。
本発明の遮熱断熱フィルムは、基材層の赤外線反射層と反対の側に、粘着剤層を備えていてもよい。さらに、セパレータフィルムが、このような粘着剤層の表面に備えられていてもよい。
本発明の遮熱断熱フィルムは、好ましくは透明フィルムである。本発明の遮熱断熱フィルムの可視光線透過率は、好ましくは30%〜85%であり、より好ましくは45%〜80%であり、さらに好ましくは55%〜80%であり、特に好ましくは55%〜75%である。なお、可視光線透過率は、JIS−A5759−2008(建築窓ガラス用フィルム)に準じて測定される。
≪基材層≫
基材層は、好ましくは透明フィルムであり、より好ましくは可撓性の透明フィルムである。基材層の可視光線透過率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは88%以上であり、特に好ましくは90%以上である。なお、可視光線透過率は、JIS−A5759−2008(建築窓ガラス用フィルム)に準じて測定される。
基材層の厚みは、好ましくは5μm〜500μmであり、より好ましくは10μm〜300μmであり、さらに好ましくは20μm〜200μmであり、特に好ましくは30μm〜100μmである。
基材層を構成する材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、耐熱性に優れる等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
≪アンダーコート層≫
基材層の赤外線反射層の側の表面上には、アンダーコート層が備えられていてもよい。基材層の表面上にアンダーコート層が備えられていることにより、本発明の遮熱断熱フィルムの機械的強度が高められ得るとともに、本発明の遮熱断熱フィルムの耐擦傷性が高められ得る。
アンダーコート層の厚みは、好ましくは0.01μm〜5μmであり、より好ましくは0.2μm〜5μmであり、さらに好ましくは0.2μm〜3μmであり、特に好ましくは0.5μm〜3μmであり、最も好ましくは1μm〜2μmである。アンダーコート層の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の遮熱断熱フィルムの機械的強度が高められ得るとともに、本発明の遮熱断熱フィルムの耐擦傷性がより高められ得る。
アンダーコート層は、好ましくは硬化型樹脂の硬化被膜であり、例えば、任意の適切な紫外線硬化型樹脂の硬化被膜を基材層上に付設する方式により形成できる。このような硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系紫外線硬化型樹脂、シリコーン系紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。
アンダーコート層の表面(基材層と反対の側)には、密着性向上等の目的で、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理などの表面改質処理が行われてもよい。
≪反射防止層≫
本発明の遮熱断熱フィルムは、基材層と赤外線反射層の間に特定の反射防止層を備える。このような特定の反射防止層が備えられていることにより、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性および密着性に優れる。
反射防止層は、好ましくは、赤外線反射層と直接に積層されてなる。反射防止層が赤外線反射層と直接に積層されてなることにより、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性および密着性により優れる。
反射防止層は、好ましくは、基材層または基材層上に設けられたアンダーコート層と直接に積層されてなる。反射防止層が基材層または基材層上に設けられたアンダーコート層と直接に積層されてなることにより、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性および密着性により優れる。特に、反射防止層が基材層上に設けられたアンダーコート層と直接に積層されてなることにより、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性により優れるとともに、アンダーコート層との密着性により優れる。
反射防止層の厚みは、好ましくは30nm以下であり、より好ましくは1nm〜25nmであり、さらに好ましくは1nm〜20nmであり、さらに好ましくは1nm〜15nmであり、特に好ましくは1nm〜10nmであり、最も好ましくは1nm〜8nmである。反射防止層の厚みがこの範囲内にあれば、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性および密着性により優れる。
反射防止層は、テルル化鉛(PbTe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、一窒化珪素(SiN)、白金(Pt)、一硫化亜鉛(ZnS)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、一炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、鉄(Fe)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種を含む。反射防止層がこのような特定の無機物を含むことにより、本発明の遮熱断熱フィルムは、耐クラック性および密着性に優れる。
反射防止層中の、テルル化鉛(PbTe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、一窒化珪素(SiN)、白金(Pt)、一硫化亜鉛(ZnS)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、一炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、鉄(Fe)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%〜100重量%であり、より好ましくは70重量%〜100重量%であり、さらに好ましくは90重量%〜100重量%であり、特に好ましくは95重量%〜100重量%であり、最も好ましくは実質的に100重量%である。
反射防止層は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、一硫化亜鉛(ZnS)、一炭化珪素(SiC)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種である。
反射防止層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。反射防止層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、反射防止層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱フィルムの生産性が大幅に向上し得る。
≪赤外線反射層≫
赤外線反射層は、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる層であれば、任意の適切な層を採用し得る。
赤外線反射層の一つの実施形態は、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に備え、第一金属酸化物層および第二金属酸化物層は金属層に直接積層されてなる。この実施形態においては、赤外線反射層は、好ましくは、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層の3層からなり、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に備える。このような赤外線反射層の一つの実施形態は、例えば、特開2016−93892号公報、特開2016−94012号公報などに記載の実施形態を援用し得る。
金属層は、赤外線反射の中心的な役割を有する。積層数を増加させることなく可視光線透過率と近赤外線反射率を高める観点から、金属層は、好ましくは、銀を主成分とする銀合金層または金を主成分とする金合金層である。銀は高い自由電子密度を有するため、近赤外線・遠赤外線の高い反射率を実現することができる。したがって、赤外線反射層を構成する層の積層数が少ない場合でも、近赤外線の反射による遮熱性向上と遠赤外線の反射による断熱性向上を両立させることができる。
金属層が銀を主成分とする銀合金層である場合、金属層中の銀の含有割合は、好ましくは85重量%〜99.9重量%であり、より好ましくは90重量%〜99.8重量%であり、さらに好ましくは95重量%〜99.7重量%であり、特に好ましくは97重量%〜99.6重量%である。金属層中の銀の含有割合が高いほど、透過率および反射率の波長選択性を高め、可視光線透過率を高めることができる。一方、銀は、水分、酸素、塩素等が存在する環境下に暴露された場合や、紫外光や可視光が照射された場合に、酸化や腐食等の劣化を生じる場合がある。このため、金属層は、耐久性を高める目的で、銀以外の金属を含有する銀合金層であることが好ましく、具体的には、上記のように、金属層中の銀の含有割合が99.9重量%以下であることが好ましい。
金属層が銀を主成分とする銀合金層である場合、金属層は、上記のように、耐久性を高める目的から、銀以外の金属を含有することが好ましい。金属層中の銀以外の金属の含有割合は、好ましくは0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは0.2重量%〜10重量%であり、さらに好ましくは0.3重量%〜5重量%であり、特に好ましくは0.4重量%〜3重量%である。銀以外の金属としては、例えば、パラジウム(Pd)、金(Au)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)などが挙げられ、高い耐久性を付与できる観点から、パラジウム(Pd)が好ましい。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、金属層との界面における可視光線の反射量を制御して、高い可視光線透過率と高い赤外線反射率とを両立させる等の目的で設けられる。金属酸化物層は、金属層の劣化を防止するための保護層としても機能し得る。赤外線反射層における反射および透過の波長選択性を高める観点から、金属酸化物層の可視光に対する屈折率は、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.6以上であり、さらに好ましくは1.7以上である。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、好ましくは、Ti、Zr、Hf、Nb、Zn、Al、Ga、In、Tl、Sn等の金属の酸化物、あるいはこれらの金属の複合酸化物を含む。金属酸化物層は、より好ましくは、酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物を含む。金属酸化物層は、好ましくは非晶質である。金属酸化物層が酸化亜鉛を含有する非晶質層である場合、金属酸化物層自体の耐久性が高められるとともに、金属層に対する保護層としての作用が増大するため、金属層の劣化が抑制され得る。
金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)は、特に好ましくは、酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物である。この場合、金属酸化物層中(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれ中)の酸化亜鉛の含有割合は、金属酸化物の合計100重量部に対して、好ましくは3重量部以上であり、より好ましくは5重量部以上であり、さらに好ましくは7重量部以上である。酸化亜鉛の含有割合が上記範囲内にあれば、金属酸化物層が非晶質層となりやすく、耐久性が高められる傾向がある。一方、酸化亜鉛の含有割合が過度に大きいと、耐久性が低下したり、可視光線透過率が低下したりするおそれがある。そのため、金属酸化物層中の酸化亜鉛の含有割合は、金属酸化物の合計100重量部に対して、好ましくは60重量部以下でありより好ましくは50重量部以下であり、さらに好ましくは40重量部以下である。
酸化亜鉛を含有する複合金属酸化物としては、可視光線透過率、屈折率、耐久性の全てを満足し得る観点から、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)、亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)、インジウム−錫−亜鉛複合酸化物(ITZO)が好ましい。これらの複合酸化物は、さらに、AlやGa等の金属や、これらの金属の酸化物を含有していてもよい。
金属層および金属酸化物層(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層)の厚みは、赤外線反射層が、可視光線を透過し近赤外線を選択的に反射するように、材料の屈折率等を勘案して適宜に設定され得る。金属層の厚みは、好ましくは5nm〜50nmであり、より好ましくは5nm〜25nmであり、さらに好ましくは10nm〜18nmである。金属酸化物層の厚み(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれの厚み)は、好ましくは1nm〜80nmであり、より好ましくは1nm〜50nmであり、さらに好ましくは1nm〜30nmであり、特に好ましくは2nm〜10nmである。本発明の遮熱断熱フィルムは、好ましくは機械的強度が高められ得るので、金属酸化物層の厚み(第一金属酸化物層および第二金属酸化物層のそれぞれの厚み)を従来品レベルよりも薄くすることが可能となる。
金属層および金属酸化物層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。金属層および金属酸化物層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、赤外線反射層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱フィルムの生産性が大幅に向上し得る。また、直流スパッタするターゲットは、導電性を付与するために導電性の不純物を添加されていてもよく、一部を還元性としてもよい。そのため、製膜される反射防止層にも該不純物が混入したり、層の組成が化学量論組成と異なったりする場合があるが、本発明の効果を奏する限りは問題とならない。
赤外線反射層の別の一つの実施形態としては、例えば、特開2014−30910号公報に記載の基材層の実施形態を援用し得る。
≪トップコート層≫
本発明の遮熱断熱フィルムは、赤外線反射層の反射防止層と反対の側の表面上には、トップコート層が備えられていてもよい。赤外線反射層の反射防止層と反対の側の表面上にトップコート層を有することにより、優れた耐擦傷性を発現し得る。特に、スチールウール耐擦傷性が高くなり得る。
本発明の遮熱断熱フィルムは、トップコート層を有することにより、好ましくは、透明性が高い。本発明の遮熱断熱フィルムは、トップコート層を有することにより、好ましくは、コットン耐擦傷性が高い。
トップコート層は、周期表第13族または第14族の1種以上が主成分となる酸化物または窒化物、酸化窒化物、非酸化窒化物であり、周期表第3族または第4族の1種以上の成分を含む。トップコート層は、好ましくは、第14族の1種以上が主成分となる酸化物または窒化物、酸化窒化物、非窒化物または非酸化物であり、周期表第3族または第4族の1種以上の成分を含む。トップコート層は、より好ましくは、SiとZrを含む酸化物または酸化窒化物、SiとYを含む酸化物または酸化窒化物、SiとTiを含む酸化物または酸化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。トップコート層は、さらに好ましくは、SiとZrを含む酸化物、SiとYを含む酸化物、SiとTiを含む酸化物から選ばれる少なくとも1種を含む。
第14族の元素は最外殻電子が4つのためイオンになりにくい。第13族の元素は最外殻電子が3つのため陰イオンになりにくい。そのため、窒化物、酸化窒化物、非窒化物または非酸化物の硬度が高くなると考察される。
周期表第3族または第4族の元素の添加は、主成分元素の結晶緻密化、分子構造の最密化などによって、強度の増加や耐腐食性、耐熱性を向上させる。
周期表第3族または第4族の元素の添加量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.01atm%〜49.9atm%であり、より好ましくは0.05atm%〜40.0atm%であり、さらに好ましくは0.1atm%〜40.0atm%であり、特に好ましくは0.5atm%〜35.0atm%である。周期表第3族または第4族の元素の添加量が少ない場合は、マトリックス全体に均一に元素が挿入されないために、本発明の効果が発現できないおそれがある。一方、周期表第3族または第4族の元素の添加量が多すぎる場合は、主成分との相溶性が悪くなり、本発明の効果が発現できないおそれがある。相溶性は相図によって確認することができる。
トップコート層の厚みは、好ましくは0.5nm〜30nmであり、より好ましくは1nm〜25nmであり、さらに好ましくは2nm〜20nmであり、特に好ましくは3nm〜15nmである。トップコート層の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の遮熱断熱フィルムは、より優れた耐擦傷性を発現できる。
トップコート層の製膜方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。このような製膜方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜方法が挙げられる。トップコート層の製膜方法としては、好ましくは、直流スパッタ法による製膜方法である。直流スパッタ法による製膜方法を採用する場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これら複数層を1パスで形成することが可能となる。このため、トップコート層の生産性が大幅に向上し得るだけでなく、ひいては、本発明の遮熱断熱フィルムの生産性が大幅に向上し得る。
≪保護トップコート層≫
赤外線反射層の反射防止層と反対の側には、保護トップコート層が備えられていてもよい。保護トップコート層は、本発明の遮熱断熱フィルムに、より優れた耐擦傷性を発現させ得る。
保護トップコート層は、高い可視光線の透過率を有することが好ましい。
保護トップコート層は、遠赤外線の吸収が小さいことが好ましい。保護トップコート層において遠赤外線の吸収が小さいと、室内の遠赤外線が赤外線反射層によって室内に反射されるため、断熱効果が高められ得る。保護トップコート層による遠赤外線吸収量を小さくする方法としては、保護トップコート層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いる方法、保護トップコート層の厚みを小さくする方法などが挙げられる。一方、保護トップコート層において遠赤外線の吸収が大きいと、室内の遠赤外線が保護トップコート層で吸収され、赤外線反射層によって反射されることなく、熱伝導により外部に放熱されるため、断熱性が低下するおそれがある。
保護トップコート層の材料として遠赤外線の吸収率が小さいものを用いれば、保護トップコート層の厚みが大きい場合でも、遠赤外線吸収量を小さく保つことができ、赤外線反射層に対する保護効果を高めることができる。遠赤外線の吸収が小さい保護トップコート層の材料としては、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環などの含有量が小さい化合物が好適に用いられる。このような化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンや、シクロオレフィン系ポリマー等の脂環式ポリマー、ゴム系ポリマーなどが挙げられる。
保護トップコート層は、遠赤外線吸収量を小さくする観点から、その厚みは、好ましくは500nm以下であり、より好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、さらに好ましくは150nm以下であり、特に好ましくは120nm以下であり、最も好ましくは100nm以下である。保護トップコート層の光学膜厚(屈折率と物理的な膜厚の積)が可視光の波長範囲と重複すると、界面での多重反射干渉によって、本発明の遮熱断熱フィルムの表面が虹模様に見える「虹彩現象」を生じる場合がある。一般的な樹脂の屈折率は1.5程度であるため、虹彩現象を抑制する観点からも保護トップコート層の厚みは200nm以下であることがさらに好ましい。
保護トップコート層は、それに機械的強度および化学的強度を付与するとともに、本発明の遮熱断熱フィルムの耐久性を高める観点から、その厚みは、好ましくは5nm以上であり、より好ましくは15nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上であり、特に好ましくは50nm以上である。
保護トップコート層の厚みが上記範囲内にあれば、保護トップコート層の表面側での反射光と赤外線反射層側界面での反射光との多重反射干渉により、可視光線の反射率を低下させることができる。そのため、赤外線反射層の光吸収による反射率低下効果に加えて、保護トップコート層による反射防止効果が得られ、本発明の遮熱断熱フィルムの視認性がさらに高められ得る。
保護トップコート層の材料としては、可視光線透過率が高く、機械的強度および化学的強度に優れるものが好ましい。例えば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等の活性光線硬化型あるいは熱硬化型の有機樹脂や、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、サイアロン(SiAlON)等の無機材料、あるいは有機成分と無機成分が化学結合した有機・無機ハイブリッド材料が好ましく用いられる。
保護トップコート層の材料として有機材料あるいは有機・無機ハイブリッド材料が用いられる場合、架橋構造が導入されることが好ましい。架橋構造が形成されることによって、保護トップコート層の機械的強度および化学的強度が高められ、赤外線反射層に対する保護機能が増大する。このような架橋構造の中でも、酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物に由来する架橋構造が導入されることが好ましい。
酸性基と重合性官能基とを同一分子中に有するエステル化合物としては、リン酸、硫酸、シュウ酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸等の多価の酸と;エチレン性不飽和基、シラノール基、エポキシ基等の重合性官能基と水酸基とを分子中に有する化合物とのエステルが挙げられる。なお、上記エステル化合物は、ジエステルやトリエステル等の多価エステルでもよいが、多価の酸の少なくとも1つの酸性基がエステル化されていないことが好ましい。
保護トップコート層が、上記エステル化合物に由来する架橋構造を有する場合、保護トップコート層の機械的強度および化学的強度が高められるとともに、保護トップコート層と赤外線反射層との密着性が高められ、赤外線反射層の耐久性を高めることができる。上記エステル化合物の中でも、リン酸と重合性官能基を有する有機酸とのエステル化合物(リン酸エステル化合物)が、赤外線反射層との密着性に優れるため、特に好ましい。
保護トップコート層の機械的強度および化学的強度を高める観点から、上記エステル化合物は、重合性官能基として(メタ)アクリロイル基を含有することが好ましい。また、架橋構造の導入を容易とする観点から、上記エステル化合物は、分子中に複数の重合性官能基を有していてもよい。上記エステル化合物としては、例えば、一般式(1)で表される、リン酸モノエステル化合物またはリン酸ジエステル化合物が好ましい。なお、リン酸モノエステルとリン酸ジエステルとを併用することもできる。
Figure 2018171914
一般式(1)中、Xは水素原子またはメチル基を表し、(Y)は−OCO(CH−基を表す。nは0または1であり、pは1または2である。
保護トップコート層中の上記エステル化合物に由来する構造の含有割合は、好ましくは1重量%〜20重量%であり、より好ましくは1.5重量%〜17.5重量%であり、さらに好ましくは2重量%〜15重量%であり、特に好ましくは2.5重量%〜12.5重量%である。保護トップコート層中の上記エステル化合物に由来する構造の含有割合が過度に小さいと、強度や密着性の向上効果が十分に得られないおそれがある。保護トップコート層中の上記エステル化合物に由来する構造の含有割合が過度に大きいと、保護トップコート層形成時の硬化速度が小さくなって硬度が低下したりするおそれや、保護トップコート層表面の滑り性が低下して耐擦傷性が低下したりするおそれがある。保護トップコート層中の上記エステル化合物に由来する構造の含有割合は、保護トップコート層形成時に上記エステル化合物の含有割合を調整することによって、所望の範囲とすることができる。
保護トップコート層が、上記エステル化合物に由来する構造を含有する場合、トップコート層と保護トップコート層との密着性がさらに高められ得る。トップコート層と保護トップコート層との密着性の向上は、上記エステル化合物中の酸性基がトップコート層中の金属酸化物と高い親和性を示すことに由来すると考えられ、特に、リン酸エステル化合物中のリン酸ヒドロキシ基が金属酸化物との親和性に優れるため、より密着性が向上すると考えられる。
保護トップコート層の形成方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な形成方法を採用し得る。このような形成方法としては、例えば、有機樹脂あるいは有機樹脂の硬化性モノマーやオリゴマーと上記エステル化合物を溶剤に溶解させて溶液を調整し、この溶液を赤外線反射層上に塗布し、溶媒を乾燥させた後、紫外線や電子線等の照射や熱エネルギーの付与によって、硬化させる方法が挙げられる。
保護トップコート層の材料としては、上記の有機材料や無機材料、エステル化合物以外に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、可塑剤、着色防止剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な含有量を採用し得る。
≪保護フィルム≫
保護トップコート層の赤外線反射層と反対の側には、保護フィルムが備えられていてもよい。
保護フィルムの厚みは、好ましくは25μm〜100μmであり、より好ましくは30μm〜75μmであり、さらに好ましくは35μm〜65μmであり、特に好ましくは35μm〜50μmである。
≪その他の構成部材≫
基材層の赤外線反射層と反対の側には、接着剤層が備えられていてもよい。接着剤層は、例えば、窓ガラス等との貼り合せに用いられ得る。
接着剤層としては、可視光線透過率が高く、基材層との屈折率差が小さいものが好ましい。接着剤層の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、例えば、アクリル系粘着剤(アクリル系感圧接着剤)が挙げられる。アクリル系粘着剤(アクリル系感圧接着剤)は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性を示し、耐候性や耐熱性等に優れることから、接着剤層の材料として好適である。
接着剤層としては、可視光線の透過率が高く、かつ、紫外線透過率が小さいものが好ましい。接着剤層の紫外線透過率を小さくすることにより、太陽光等の紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制し得る。接着剤層の紫外線透過率を小さくする観点から、接着剤層は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。なお、紫外線吸収剤を含有する基材層等を用いることによっても、屋外からの紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制し得る。
接着剤層の露出面は、本発明の遮熱断熱フィルムが実用に供されるまでの間、露出面の汚染防止等を目的として、セパレータが仮着されてカバーされていることが好ましい。このようなセパレータにより、通例の取扱状態で、接着剤層の露出面の外部との接触による汚染を防止し得る。
≪遮熱断熱フィルムの用途≫
本発明の遮熱断熱フィルムは、建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に用いることができ、冷暖房効果の向上や急激な温度変化を防ぐ作用を有し得る。
図3は、本発明の遮熱断熱フィルムの使用形態の一例を模式的に表す断面図である。この使用形態において、本発明の遮熱断熱フィルム100は、基材層10側が、任意の適切な接着剤層80を介して、建物や自動車の窓1000の室内側に貼り合せて配置される。図3に模式的に示すように、本発明の遮熱断熱フィルム100は、屋外からの可視光(VIS)を透過して室内に導入するとともに、屋外からの近赤外線(NIR)を赤外線反射層20で反射する。近赤外線反射により、太陽光等に起因する室外からの熱の室内への流入が抑制される(遮熱効果が発揮される)ため、例えば、夏場の冷房効率を高めることができる。さらに、赤外線反射層20は、暖房器具90から放射される室内の遠赤外線(FIR)を反射するため、断熱効果が発揮され、冬場の暖房効率を高めることができる。また、本発明の遮熱断熱フィルム100は、赤外線反射層20を備えることにより可視光の反射率が低減されるため、ショーケースやショーウィンドウ等に用いた場合に、商品等の視認性を低下させることなく、遮熱性と断熱性を付与することができる。
本発明の遮熱断熱フィルムは、例えば、特開2013−61370号公報に開示されているように、枠体等に嵌め込んで用いることもできる。このような形態では、接着剤層を設ける必要がないため、接着剤層による遠赤外線の吸収が生じない。このため、基材層として、例えば、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等の官能基の含有量が少ない材料(例えば、環状ポリオレフィン)を用いることにより、基材層側からの遠赤外線を赤外線反射層で反射させることができ、本発明の遮熱断熱フィルムの両面側に断熱性を付与できる。このような構成は、例えば、冷蔵ショーケースや冷凍ショーケース等で特に有用である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
<各層の膜厚>
金属酸化物層、金属層、反射防止層の膜厚は、集束イオンビーム加工観察装置(日立製作所製、製品名「FB−2100」)を用いて、集束イオンビーム(FIB)法により試料を加工し、その断面を、電界放出形透過電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「HF−2000」)により観察して求めた。
保護トップコート層、アンダーコート層の膜厚は、瞬間マルチ測光システム(大塚電子製、製品名「MCPD3000」)を用い、測定対象側から光を入射させた際の可視光の反射率の干渉パターンから、計算により求めた。
<基材層側反射率>
可視光線透過率および反射率は、遮熱断熱フィルムの基材層側の面を、厚み25μmの粘着剤を介して厚み3mmのガラス板に貼り合わせたものを試料として用い、分光光度計(日立ハイテク製 製品名「U−4100」)を用いて測定した。反射率は、JIS A5759−2008(建築窓ガラスフィルム)の透過率計算方法に準じて、基材層側から入射角5°で光を入射し、波長380nm〜780nmの範囲の5°絶対反射率を測定した。
○:基材層側反射率が20%未満。
×:基材層側反射率が20%以上。
<マンドレル試験(2mmφ、3mmφ)>
遮熱断熱フィルムに対しマンドレルを用いて遮熱断熱フィルムの保護トップコート層側を外側にして、屈曲性試験を(JIS K 5600−5−1)を行った。直径2mmあるいは3mmで割れが発生しなかった場合を○、割れが発生した場合を×とした。
<碁盤目剥離試験>
遮熱断熱フィルムにおける密着性については、JIS K5600−5−6:1999に準じて、碁盤目剥離試験によって評価した。より具体的には、遮熱断熱フィルムの保護トップコート層表面に1mm間隔で縦横10本ずつの切込みを入れて100個の碁盤目を作成し、この上にセロハン粘着テープを完全に付着させ、テープの一端を瞬間的に引き離し、碁盤目内の塗膜が剥がれた碁盤目の個数により、以下の分類0〜5に従って評価した。すなわち、分類0〜1に含まれる遮熱断熱フィルムを良好と評価し(○と表示)、分類2〜5に含まれる遮熱断熱フィルムを不良と評価した(「×」と表示)。
分類0:切込みの縁が完全に滑らかで、どの碁盤目内の塗膜にも剥がれがない。
分類1:切込みの交差点における塗膜の小さな剥がれがある。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜が切れ込みの縁に沿って、及び/又は交差点において剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが、15%を上回ることはない。
分類3:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は碁盤目の色々な部分が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが、35%を上回ることはない。
分類4:塗膜が切れ込みの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥がれを生じており、及び/又は数箇所の碁盤目が、部分的又は全面的に剥がれている。切れ込み部分で影響を受けるのは、明確に35%を上回ることはない。
分類5:剥がれの程度が分類4を超える場合である。
〔実施例1〕
(基材層上へのアンダーコート層の形成)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム基材(東レ製、商品名「ルミラーU48」、可視光透過率93%)の一方の面に、アクリル系紫外線硬化型ハードコート層(JSR製、Z7540)を2μmの厚みで形成した。詳しくは、グラビアコーターにより、上記ハードコート層の溶液を塗布し、80℃で乾燥後、超高圧水銀ランプにより積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行い、基材層上へアンダーコート層を形成した。
(反射防止層、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層の形成)
巻取式スパッタ装置を用いて、上記基材層上に形成されたアンダーコート層上に、直流マグネトロンスパッタ法により、膜厚6nmのSiC層、膜厚10nmの亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)層、膜厚15nmのAg−Pd合金層、および、膜厚10nmの亜鉛−錫複合酸化物(ZTO)層を順次形成し、上記アンダーコート層上に、反射防止層、第一金属酸化物層、金属層、第二金属酸化物層をこの順に形成した。
SiC層の形成には、炭化ケイ素ターゲット(三菱マテリアル製)を用い、電力密度:2.67W/cm、プロセス圧力:0.4Paでスパッタを行った。
ZTO層の形成には、酸化亜鉛と酸化錫と金属亜鉛粉末とを、8.5:83:8.5の重量比で焼結させたターゲットを用い、電力密度:2.67W/cm、プロセス圧力:0.4Paの条件でスパッタを行った。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量を、Ar:Oが98:2(体積比)となるように調整した。
Ag−Pd合金層の形成には、銀:パラジウムを96.4:3.6の重量比で含有する金属ターゲットを用い、電力密度:1.33W/cm、プロセス圧力:0.4Paの条件でスパッタを行った。
(保護トップコート層の形成)
上記第二金属酸化物層上に、リン酸エステル化合物に由来する架橋構造を有するフッ素系の紫外線硬化型樹脂からなる透明保護層を60nmの膜厚で形成した。詳しくは、フッ素系ハードコート樹脂溶液(JSR製、商品名「JUA204」)の固形分100重量部に対して、リン酸エステル化合物(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)を5重量部添加した溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、60℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線を照射し、硬化を行った。なお、上記リン酸エステル化合物は、分子中に1個のアクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(上記の一般式(1)において、Xがメチル基、n=0、p=1である化合物)と分子中に2個のアクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(上記の一般式(1)において、Xがメチル基、n=0、p=2である化合物)との混合物である。
(遮熱断熱フィルム)
以上のようにして、基材層(厚み50μm)/アンダーコート層(厚み2μm)/反射防止層(厚み6nm)/第一金属酸化物層(厚み10nm)/金属層(厚み15nm)/第二金属酸化物層(厚み10nm)/保護トップコート層(厚み60nm)の構成を有する遮熱断熱フィルム(1)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例2〕
SiC層の膜厚を10nmに変更した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(2)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例3〕
SiC層の膜厚を20nmに変更した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(3)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例4〕
SiC層に代えてSi層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(4)を得た。なお、Si層は、ケイ素ターゲットを用い、電力密度:0.50kW/cm、プロセス圧力0.4Paでスパッタを行った。厚みは6nmとした。
結果を表1に示した。
〔実施例5〕
Si層の膜厚を10nmに変更した以外は、実施例4と同様に行い、遮熱断熱フィルム(5)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例6〕
Si層の膜厚を20nmに変更した以外は、実施例4と同様に行い、遮熱断熱フィルム(6)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例7〕
SiC層に代えてZnS層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(7)を得た。なお、ZnS層は、ZnSターゲットを用い、電力密度:2.67kW/cm、プロセス圧力0.4Paでスパッタを行った。厚みは6nmとした。
結果を表1に示した。
〔実施例8〕
ZnS層の膜厚を10nmに変更した以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱フィルム(8)を得た。
結果を表1に示した。
〔実施例9〕
ZnS層の膜厚を20nmに変更した以外は、実施例7と同様に行い、遮熱断熱フィルム(9)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例1〕
SiC層に代えてSiO層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C1)を得た。なお、SiO層は、ケイ素ターゲットを用い、電力密度:2.3kW/cm、プロセス圧力0.4Paでスパッタを行った。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量を、Ar:O=40:30(体積比)となるように調整した。厚みは6nmとした。
結果を表1に示した。
〔比較例2〕
SiO層の膜厚を10nmに変更した以外は、比較例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C2)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例3〕
SiO層の膜厚を20nmに変更した以外は、比較例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C3)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例4〕
SiC層に代えてNb層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C4)を得た。なお、Nb層は、Nbターゲットを用い、電力密度:2.3kW/cm、プロセス圧力0.4Paでスパッタを行った。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量を、Ar:O=40:30(体積比)となるように調整した。厚みは6nmとした。
結果を表1に示した。
〔比較例5〕
Nb層の膜厚を10nmに変更した以外は、比較例4と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C5)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例6〕
Nb層の膜厚を20nmに変更した以外は、比較例5と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C6)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例7〕
SiC層に代えてZTO層を形成した以外は、実施例1と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C7)を得た。
なお、ZTO層の形成には、酸化亜鉛と酸化錫と金属亜鉛粉末とを、8.5:83:8.5の重量比で焼結させたターゲットを用い、電力密度:2.67W/cm、プロセス圧力:0.4Pa、基板温度80℃の条件でスパッタを行った。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量を、Ar:Oが98:2(体積比)となるように調整した。
結果を表1に示した。
〔比較例8〕
ZTO層の膜厚を10nmに変更した以外は、比較例7と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C8)を得た。
結果を表1に示した。
〔比較例9〕
ZTO層の膜厚を20nmに変更した以外は、比較例7と同様に行い、遮熱断熱フィルム(C9)を得た。
結果を表1に示した。
Figure 2018171914
本発明の遮熱断熱フィルムは、例えば、建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に利用することができる。
10 基材層
20 赤外線反射層
21 金属層
22a 第一金属酸化物層
22b 第二金属酸化物層
40 保護トップコート層
50 反射防止層
60 アンダーコート層
70 保護フィルム
80 接着剤層
90 暖房器具
100 遮熱断熱フィルム
1000 窓


Claims (3)

  1. 基材層と赤外線反射層を含む遮熱断熱フィルムであって、
    該基材層と該赤外線反射層の間に反射防止層を備え、
    該反射防止層が、テルル化鉛(PbTe)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、一窒化珪素(SiN)、白金(Pt)、一硫化亜鉛(ZnS)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、一炭化珪素(SiC)、セレン化亜鉛(ZnSe)、鉄(Fe)、三硫化アンチモン(Sb2S3)、クロム(Cr)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ゲルマニウム(Ge)、珪素(Si)から選ばれる少なくとも1種を含む、
    遮熱断熱フィルム。
  2. 前記赤外線反射層と前記反射防止層が直接に積層されてなる、請求項1に記載の遮熱断熱フィルム。
  3. 前記反射防止層の厚みが30nm以下である、請求項1または2に記載の遮熱断熱フィルム。

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