JP2016036929A - 赤外線反射基板 - Google Patents

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陽介 中西
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Abstract

【課題】放射率が小さく断熱性に優れ、かつ高い耐久性を有する赤外線反射基板を提供する。【解決手段】本発明の赤外線反射基板は、透明基材(10)上に、銀を主成分とする赤外線反射層(23)、金属保護層(25)、および透明樹脂保護層(30)をこの順に備える。透明樹脂保護層(30)は、金属保護層(25)に直接接している。透明樹脂保護層(30)は、厚みが40nm〜200nmであり、酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物に由来する架橋構造を含有する有機物層である。透明樹脂保護層(30)中の酸性官能基の含有量は、10〜40mmol/gである。【選択図】図1

Description

本発明は、透明フィルム基材上に赤外線反射層等の薄膜および透明樹脂保護層を備える赤外線反射基板に関する。
従来より、ガラスやフィルム等の基材上に赤外線反射層を備える赤外線反射基板が知られている。赤外線反射層としては、赤外線の反射率を高める観点から、銀等の金属材料が用いられる。また、可視光の透過率を高め、赤外線を選択的に反射させるために、銀等の金属からなる赤外線反射層と酸化インジウム錫(ITO)等の金属酸化物層とを積層した構成も広く採用されている。
銀を主成分とする金属層(赤外線反射層)は、耐擦傷性等の物理的強度が十分ではなく、さらには、熱、紫外線、酸素、水分、塩素(塩化物イオン)等の外部環境要因による化学的な劣化を生じ易い。そのため、赤外線反射層を保護する目的で、赤外線反射層上に、ITO等からなる金属酸化物保護層や、Ni−Cr合金等からなる金属保護層を設ける構成が広く採用されている。
赤外線反射層上に金属保護層や金属酸化物保護層が設けられることにより、赤外線反射層の化学的耐久性を向上することができる。しかし、金属保護層や金属酸化物保護層は、摩擦等の外力に対する物理的耐久性が十分ではない。そのため、赤外線反射層に対する物理的耐久性を向上させる目的で、金属保護層や金属酸化物保護層上に、さらに透明樹脂保護層が設けられる。
近年、赤外線反射基板の放射率を低減させて、断熱性を持たせる試みがなされている。赤外線反射基板の放射率の低減には、室内の遠赤外線を赤外線反射層により反射させることが重要となる。しかしながら、透明樹脂保護層として用いられるフィルムや硬化性樹脂層(ハードコート層)は、一般にC=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等を含む化合物を多く含有しており、波長5μm〜25μmの遠赤外線領域の赤外振動吸吸が大きい。透明樹脂保護層で吸収された遠赤外線は、赤外線反射層で反射されることなく、熱伝導により室外へ熱として拡散される。そのため、赤外線反射基板による断熱性を向上させるためには、透明樹脂保護層での遠赤外線の吸収量を小さくして、赤外線反射層で遠赤外線を室内側へ反射させる必要がある。
特許文献1では、透明樹脂保護層の厚みを500nm以下とすることにより、樹脂保護層での遠赤外線の吸収量を低減させ、赤外線反射基板の放射率を小さくする方法が提案されている。より具体的には、特許文献1の赤外線反射基板では、銀等の金属を主成分とする赤外線反射層上に、Ni−Cr合金等からなる金属保護層を設け、さらにその上に金属酸化物や窒化ケイ素等からなるセラミック層を介して、ポリシラザン、フルオロアルキルシラン、フルオロシラン等のSi系材料からなる樹脂保護層が設けられている。
また、特許文献2および特許文献3では、透明樹脂保護層の材料として、オレフィン系材料や環状オレフィン系材料を用いることが提案されている。オレフィン系材料は、極性官能基の含有量が少ないため、透明樹脂保護層の厚みが大きい場合でも、透明樹脂保護層による遠赤外線の吸収量が小さく、赤外線反射基板を低放射率として断熱性を高めることができる。
WO2011/109306号国際公開パンフレット 特開2011−104887号公報 特開2013−145357号公報
特許文献2および特許文献3に開示されているように、透明樹脂保護層の材料としてオレフィン系材料を用いる場合、その膜厚を大きくしても赤外線反射基板の低放射率を維持できる。そのため、透明保護層の膜厚を大きくすることにより、透明樹脂保護層自体に十分な物理的強度を持たせることができる。しかしながら、オレフィン系材料は、金属層や金属酸化物層等との密着性が低いため、摩擦等の外力により、透明樹脂保護層の剥がれを生じ易く、耐久性の低下を生じる場合があった。
一方、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等を多く含む有機材料が用いられる場合、赤外線反射基板を低放射率とするためには、透明樹脂保護層の膜厚を小さくする必要があり、小さな膜厚でも高い物理的強度を有する材料が求められる。また、透明樹脂保護層の膜厚が小さいと、金属層や金属酸化物層等との密着性が低下する傾向がある。特に、Ni−Cr等の金属層上に膜厚の小さい樹脂保護層が直接形成される場合は、透明保護層の密着性が低いことに起因して、摩擦等の外力による剥離が生じやすく、赤外線反射層に対する保護機能が不十分となる場合がある。
上記特許文献1のように、Ni−Cr合金等からなる金属保護層上に、セラミック層を介して樹脂保護層が設けられる場合は、金属保護層上に直接樹脂保護層が設けられる場合に比して樹脂保護層の密着性が高められる傾向がある。しかし、金属保護層上にセラミック層を設ける構成では、積層構成数が増大するため、赤外線反射基板の生産性の低下やコストの増大が問題となる。
このように、従来技術では、高い耐久性を有し、かつ低放射率で断熱効果に優れる赤外線反射基板を、高生産性かつ低コストで提供することは困難であった。かかる現状に鑑み、本発明は、金属保護層上に、物理的強度に優れ、かつ金属保護層との密着性に優れる樹脂保護層を直接形成することにより、低放射率で高い断熱効果を有し、かつ耐久性に優れる赤外線反射基板の提供することを目的とする。
本発明者らが検討の結果、透明樹脂保護層の材料として、所定の化合物に由来する架橋構造を有する材料を用いることにより、高い物理的強度と金属層に対する高い密着性とを両立可能であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、透明基材上に、銀を主成分とする赤外線反射層、金属保護層、および透明樹脂層、をこの順に備える赤外線反射基板に関する。透明基材としては、ガラスや可撓性の透明フィルム等が用いられる。赤外線反射基板の生産性を高める観点から、透明基材として可撓性の透明フィルムが好ましく用いられる。
本発明の赤外線反射基板において、透明樹脂保護層は、金属保護層に直接接している。透明樹脂保護層の厚みは、40nm〜200nmである。透明樹脂保護層は、酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物に由来する架橋構造を含有する有機物層である。透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量は、10〜40mmol/gであることが好ましい。
金属保護層の材料としては、Ni,Cr,Al,Ti,Mg,Mn,Zn、Cu、またはこれらの金属の合金等が用いられる。中でも、金属保護層は、Ni、Cr、またはNi−Cr合金からなる金属層であることが好ましい。
酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される多官能(メタ)アクリル化合物と、多塩基酸とのエステル化合物が挙げられる。
本発明の赤外線反射基板は、透明樹脂保護層が所定の化合物に由来する架橋構造を有するため、膜厚が小さい場合でも、透明樹脂保護層自体が高い物理的強度を有するとともに、透明樹脂保護層と金属保護層との密着性に優れる。そのため、本発明の赤外線反射基板は、低放射率で高い断熱効果を発揮すると共に、赤外線反射層の劣化が抑制され、高い耐久性を有する。
一実施形態の赤外線反射基板の積層構成を模式的に示す断面図である。 一実施形態の赤外線反射基板の積層構成を模式的に示す断面図である。 赤外線反射基板の使用例を模式的に示す断面図である。
図1および図2は、赤外線反射基板の構成例を模式的に示す断面図である。赤外線反射基板は、透明基材10の一主面上に、赤外線反射層23を備える。透明基材10と赤外線反射層23との間には、金属酸化物層21等が存在してもよい。また、透明基材10と赤外線反射層23とは、直接接していてもよい。
赤外線反射層23上には、金属保護層25が形成されている。図1の赤外線反射基板100では、赤外線反射層23上に金属保護層25が直接形成されている。図2の赤外線反射基板101のように、赤外線反射層23上に、透明無機層22等を介して金属保護層25が形成されていてもよい。金属保護層25上には、金属保護層25と直接接するように、透明樹脂保護層30が設けられている。
図3は、赤外線反射基板の使用形態の一例を模式的に表す断面図である。当該使用形態において、赤外線反射基板100は、透明基材10側が、適宜の接着剤層60等を介して、窓50に貼り合せられ、建物や自動車の窓50の室内側に配置して用いられる。図3に模式的に示すように、赤外線反射基板100は、屋外からの可視光(VIS)を透過して室内に導入すると共に、屋外からの近赤外線(NIR)を赤外線反射層23で反射する。近赤外線反射により、太陽光等に起因する室外からの熱の室内への流入が抑制される(遮熱効果が発揮される)ため、夏場の冷房効率を高めることができる。さらに、赤外線反射層は、暖房器具80等から放射される室内の遠赤外線(FIR)を反射するため、断熱効果が発揮され、冬場の暖房効率を高めることができる。当該使用形態において、赤外線反射基板100は、室内側の最表面に透明樹脂保護層30を備えるため、赤外線反射層23や金属保護層25に対する保護機能を有し、赤外線反射基板の耐久性が高められる。
以下、各層の構成や材料等の好ましい実施形態について、順に説明する。
[透明基材]
透明基材10としては、可視光線透過率が80%以上のものが好適に用いられる。なお、本明細書において、可視光線透過率は、JIS A5759−2008(建築窓ガラスフィルム)に準じて測定される。
透明基材10の厚みは、特に限定されずないが、例えば10μm〜10mm程度である。透明基材としては、ガラス板や可撓性の透明樹脂フィルム等が用いられる。特に、赤外線反射基板の生産性を高め、かつ窓ガラス等へ赤外線反射基板を貼り合わせる際の施工を容易とする観点からは、可撓性の透明樹脂フィルムが好適に用いられる。透明基材として透明樹脂フィルムが用いられる場合、その厚みは10μm〜300μm程度の範囲が好適である。また、透明基材10上に、金属層や金属酸化物層等が形成される際に、高温での加工が行われる場合があるため、透明樹脂フィルム基材を構成する樹脂材料は、耐熱性に優れるものが好ましい。透明樹脂フィルム基材を構成する樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。
透明基材10が透明樹脂フィルム基材である場合、赤外線反射基板の機械的強度を高める等の目的で、透明フィルム11の表面に硬化樹脂層12を備えるものが好適に用いられる。また、透明フィルム11の赤外線反射層23形成面側に硬化樹脂層12を備えることで、赤外線反射層23や、その上に形成される金属保護層25の耐擦傷性が高められる傾向がある。硬化樹脂層12は、例えばアクリル系、シリコーン系等の適宜な紫外線硬化型樹脂の硬化被膜を、透明フィルム11上に付設する方式等により形成できる。硬化樹脂層12としては、硬度の高いものが好適に用いられる。
透明基材10の赤外線反射層23形成面側には、密着性向上等の目的で、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が行われてもよい。
[赤外線反射層]
透明基材10上には、赤外線反射層23が形成される。赤外線反射層23は、近赤外線を反射することによる遮熱性付与、および遠赤外線を反射することによる断熱性付与の作用を有する。赤外線反射層23は、透明基材10上に直接形成されてもよい。赤外線反射基板の可視光線透過率を高める観点からは、図1および図2に示すように、透明基材10上に金属酸化物層21等が形成され、その上に赤外線反射層23が形成されることが好ましい。
赤外線反射層23としては、銀を主成分とする金属層が用いられる。銀は高い自由電子密度を有するため、近赤外線および遠赤外線の両方に対して高い反射率を実現することができ、遮熱効果および断熱効果に優れる赤外線反射基板が得られる。
赤外線反射層23中の銀の含有量は、90重量%以上が好ましく、93重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。金属層中の銀の含有量を高めることで、透過率および反射率の波長選択性を高め、赤外線反射基板の可視光線透過率を高めることができる。
赤外線反射層23は、銀以外の金属を含有する銀合金層であってもよい。例えば、赤外線反射層の耐久性を高めるために、銀合金が用いられる場合がある。耐久性を高める目的で添加される金属としては、パラジウム(Pd),金(Au),銅(Cu),ビスマス(Bi),ゲルマニウム(Ge),ガリウム(Ga)等が好ましい。中でも、銀に高い耐久性を付与する観点から、Pdが最も好適に用いられる。Pd等の添加量を増加させると、金属層の耐久性が向上する傾向がある。赤外線反射層23が、Pd等の銀以外の金属を含有する場合、その含有量は、0.1重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上がさらに好ましく、2重量%以上が特に好ましい。一方で、Pd等の添加量が増加し、銀の含有量が低下すると、赤外線反射基板の可視光線透過率が低下する傾向がある。そのため、赤外線反射層23中の銀以外の金属の含有量は、10重量%以下が好ましく、7重量%以下がより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
赤外線反射基板に十分な遮熱性および断熱性を持たせる観点から、赤外線反射層23の膜厚は、3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。赤外線反射層23の膜厚の上限は特に限定されないが、可視光線透過率および生産性を考慮すると、30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。
赤外線反射層23の製膜方法は特に限定されないが、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましい。中でも、赤外線反射層23は、スパッタ法により製膜されることが好ましい。
[金属保護層]
赤外線反射層23上には、金属保護層25が形成される。金属保護層25は、赤外線反射層23の保護層として作用するとともに、近赤外線の吸収率を増大させ、赤外線反射基板の遮熱性を高める作用を有する。また、赤外線反射層上に金属保護層が設けられることにより、可視光の反射率が低減するため、赤外線反射基板が付設された窓ガラス等の外観(視認性)が高められる傾向がある。
金属保護層25の材料としては、Ni,Cr,Al,Ti,Mg,Mn,ZnおよびCu等の金属、あるいはこれらの合金が好ましく用いられる。金属保護層は、上記金属の含有量の合計が50重量%以上であることが好ましく、60重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。これらの金属あるいは合金は、赤外線反射層に対する保護機能を有し、赤外線反射基板の耐久性向上に寄与する。また、これらの金属あるいは合金は、遠赤外線の吸収率が小さいため、赤外線反射基板の放射率を低く保ち、断熱性を高める作用も有する。
上記の金属の中でも金属保護層25は、Niおよび/またはCrを含有することが好ましい。具体的には、金属保護層は、NiとCrの含有量の合計が50重量%以上であることが好ましく、60重量%であることがより好ましく、70重量%以上であることがさらに好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。金属保護層25は、NiとCrの含有量が上記範囲のNi−Cr合金であることが特に好ましい。Ni−Cr合金は、NiおよびCr以外に、Ta,Ti,Fe,Mo,Co,Cu,W等の金属を含有するものでもよい。
金属保護層25の膜厚は15nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、8nm以下がさらに好ましく、6nm以下が特に好ましい。金属保護層25の膜厚が上記範囲であれば、金属保護層による可視光の吸収が過度に増大することがなく、赤外線反射基板の透明性が保たれる。また、金属保護層の膜厚が15nmを超えると、可視光の吸収が増加するにも関わらず、多重干渉による可視光の反射率が増大する。すなわち、金属保護層の膜厚が過度に大きいと、可視光の吸収および反射が増大し、これに伴って可視光の透過率が大幅に低下し、視認性が低下する傾向がある。かかる観点からも、金属保護層の膜厚は、15nm以下であることが好ましい。
金属保護層25の膜厚は、2nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましい。金属保護層25の膜厚が2nm以上であれば、赤外線反射層23に対する保護性が高められ、赤外線反射層23の劣化が抑制されるとともに、可視光の反射率低減により赤外線反射基板の視認性が向上する。
金属保護層25の製膜方法は特に限定されないが、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましい。中でも、金属保護層25は、赤外線反射層23と同様に、スパッタ法によって製膜されることが好ましい。
[透明樹脂保護層]
金属保護層25上には、赤外線反射層23や金属保護層25の耐擦傷性等の物理的な耐久性を向上させる目的で、透明樹脂保護層30が設けられる。本発明の赤外線反射基板において、透明樹脂保護層30は、金属保護層25と直接接するように設けられる。
透明樹脂保護層30の材料としては、可視光線透過率が高く、機械的強度および化学的強度に優れるものが好ましい。本発明においては、透明樹脂保護層30の材料として有機物の硬化樹脂が用いられる。有機物としては、フッ素系、アクリル系、ウレタン系、エステル系、エポキシ系等の活性光線硬化性あるいは熱硬化性の材料や、有機成分と無機成分とが化学結合した有機・無機ハイブリッド材料が好ましく用いられる透明保護層を構成する有機物層は、有機物の含有量が40重量%以上であり、好ましくは50重量%以上である。有機・無機ハイブリッド材料の無機成分としては、シリカ粒子等の無機微粒子が好ましく用いられる。有機・無機ハイブリッド材料における無機微粒子の含有量は、30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。
透明樹脂保護層30は、上記有機物に加えて、酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する化合物に由来する架橋構造を有する。酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物(以下、当該化合物を「特定架橋性化合物」と称する)における酸性官能基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。中でも、金属保護層との密着性向上の観点から、特定架橋性化合物の酸性官能基としてはカルボキシ基が好ましい。なお、特定架橋性化合物は、一分子中に2以上の酸性官能基を有していてもよい。
特定架橋性化合物は、一分子中に3個以上の重合性官能基を有する。一分子中の重合性官能基の数は、3〜10個が好ましく、4〜8個がより好ましく、5〜7個が特に好ましい。一分子中の重合性官能基の数が多いほど、透明樹脂保護層の物理的強度が向上する傾向がある。一方、一分子中の重合性官能基の数が過度に多いと、金属保護層との密着性が低下し、対擦傷性が低下する場合がある。
特定架橋性化合物の重合性官能基としては、エチレン性不飽和基、シラノール基、エポキシ基等の光重合性官能基が好ましく、中でも、エチレン性不飽和基が好まし。エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。特定架橋性化合物は、一分子中に種類の異なる複数の重合性官能基を有していてもよい。本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルまたはメタクリロイルを意味する。同様に、「(メタ)アクリル」とはアクリルまたはメタクリルを意味する。
透明樹脂保護層の物理的強度向上および金属保護層との密着性向上の観点から、特定架橋性化合物としては、下記一般式(I)で表されるペンタエリスリトール誘導体、および下記一般式(II)で表されるジペンタエリスリトール誘導体が好ましく用いられる。中でも、一分子中の重合性官能基数を多くして、透明樹脂保護層の硬度を高める観点から、特定架橋性化合物は、下記一般式(II)で表されるジペンタエリスリトール誘導体が好ましい。
Figure 2016036929
Figure 2016036929
上記式(I)および(II)において、Aは下記式で表される基である。下記式において、Rは任意の二価の有機基であり、炭素数1〜10の鎖状もしくは環状のアルキレン、炭素数1〜10の鎖状もしくは環状のアルキレニル、または炭素数6〜10のアリーレンであることが好ましい。
Figure 2016036929
上記式(I)および(II)において、Yは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキレン、炭素数1〜4のアルキレニル、または炭素数1〜4のオキシアルキレンであり、nはそれぞれ独立に0〜14である。なお、Yがオキシアルキレンである場合には、オキシアルキレンの炭素原子側の末端がA、XおよびZに結合する。
上記式(I)において、Zは、それぞれ独立にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基である。上記一般式(I)で表される化合物の中でも、特定架橋性化合物としては、全てのnが0である化合物、すなわち、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと、多塩基酸とのエステルが好ましい。
上記式(II)において、Xは、それぞれ独立に、上記Aまたは上記Zである。式(II)における5個のXのうち、3個以上のXはZ((メタ)アクリロイルオキシ基)である。上記一般式(II)で表される化合物の中でも、特定架橋性化合物としては、全てのnが0であり、かつ4個または5個のXが(メタ)アクリロイルオキシ基である化合物、すなわち、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートと、多塩基酸とのエステルが好ましい。
これらを総合すると、本発明における特定架橋性化合物は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される多官能(メタ)アクリル化合物と、多塩基酸とのエステル化合物であることが好ましい。中でも、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートと多塩基酸とのエステル化合物が好ましい。
上記多塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサフルオログルタル酸、マリン酸、酒石酸、ジグリコール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、3,6−ジオキサオクタンジカルボン酸、メルカプトコハク酸、チオジグリコール酸、1,2−フェニレンジオキシジ酢酸、1,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジ酢酸、1,4−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシフェノキシ酢酸等のジカルボン酸;クエン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1−プロペン−1,2,3−トリカルボン酸等のトリカルボン酸;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、2,2',2'',2'''−[1,2−エタンジイリデンテトラキス(チオ)]テトラキス酢酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等のテトラカルボン酸;1,2,3,4,5,6−シクロヘキサンヘキサカルボン酸、メリチン酸等のヘキサカルボン酸等が挙げられる。
特定架橋性化合物は、例えば、多官能(メタ)アクリル化合物と多塩基酸無水物とを反応させることにより得られる。そのため、上記の多塩基酸は、コハク酸やフタル酸等の酸無水物を形成するジカルボン酸であることが好ましい。すなわち、上記一般式(I)または(II)で表される特定架橋性化合物は、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートと、コハク酸またはフタル酸とのエステルであることが好ましい。
酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する特定架橋性化合物に由来する架橋構造が導入されることにより、透明樹脂保護層の耐擦傷性等の物理的強度が高められる。さらに、透明樹脂保護層30と金属保護層25との密着性が高められ、赤外線反射基板の耐久性(赤外線反射層に対する保護性能)が向上する傾向がある。透明樹脂保護層と金属保護層との密着性の向上は、特定架橋性化合物中の酸性官能基が、金属と高い親和性を示すことに由来すると推定される。また、特定架橋性化合物は、一分子中に3つ以上の重合性官能基を有しているため、透明樹脂保護層材料中に高密度で架橋点が導入されることが、物理的強度の向上に寄与していると考えられる。さらには、特定架橋性化合物は、酸性官能基と重合性官能基とを同一分子中に有するため、透明樹脂保護層を構成する透明樹脂材料は、酸性官能基と架橋点とが近接した分子構造を有しており、これが、密着性向上と物理的強度向上の両立に寄与していると推定される。
透明樹脂保護層と金属保護層との密着性を高め、かつ耐擦傷性等の物理的強度を高める観点から、透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量は、10〜40mmol/gであることが好ましい。酸性官能基の含有量を10mmol/g以上とすることで、透明樹脂保護層と金属保護層との密着性が高められる傾向がある。一方、酸性官能基の含有量が過度に大きいと、透明樹脂保護層形成時の硬化速度が小さくなり、これに伴って、透明樹脂保護層の硬度が低下したり、透明樹脂保護層表面の滑り性が低下して耐擦傷性が低下する場合がある。透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量は、15〜35mmol/gが好ましく、20〜33mmol/gがより好ましい。透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量は、透明樹脂保護層形成時に、組成物中の特定架橋性化合物の含有量を調整することによって、所望の範囲とすることができる。
また、透明樹脂保護層の形成に用いられる組成物における、特定架橋性化合物由来の重合性官能基の含有量は、組成物の固形分1gあたり、30mmol以上が好ましく、50mmol以上がより好ましく、70mmol以上がより好ましい。
透明樹脂保護層30は、高い物理的強度および高い可視光線透過率を有することに加えて、遠赤外線の吸収が小さいことが好ましい。透明樹脂保護層で吸収された遠赤外線は、赤外線反射層によって反射されることなく、熱伝導により外部に放熱される。そのため、透明樹脂保護層30による遠赤外線の吸収量が大きい場合は、赤外線反射基板の断熱性が低下する傾向がある。
遠赤外線の吸収率を小さく保つためには、透明樹脂保護層の厚みは小さい方が好ましい。また、透明樹脂保護層の光学厚みが可視光の波長範囲と重複すると、界面での多重反射干渉による虹彩現象を生じ、赤外線反射基板の視認性が低下する傾向があることからも、透明樹脂保護層の厚みは小さい方が好ましい。一方、透明樹脂保護層の厚みが過度に小さいと、物理的強度の低下や、金属保護層との密着性の低下を生じる傾向がある。そのため、透明樹脂保護層30の厚みは、40nm〜200nmが好ましく、45nm〜150nmがより好ましく、50nm〜100nmがさらに好ましい。本発明においては、透明樹脂保護層30が特定架橋性化合物に由来する架橋構造を有し、かつ酸性官能基の含有量が上記範囲内であることにより、透明樹脂保護層の厚みが200nm以下の場合でも、透明樹脂保護層が高い物理的強度を有するとともに、Ni−Cr等の金属保護層との密着性に優れる。
透明樹脂保護層30の形成方法は特に限定されない。透明樹脂保護層は、例えば、上記の有機材料、あるいは有機材料の硬化性モノマーやオリゴマーおよび上記の特定架橋性化合物と、必要に応じて重合開始剤等を溶剤に溶解させて溶液を調製し、この溶液を、金属保護層上に塗布し、溶媒を乾燥させた後、紫外線や電子線等の照射や熱エネルギ―の付与によって、硬化させる方法により形成されることが好ましい。
なお、透明樹脂保護層30の材料としては、上記の有機材料および特定架橋性化合物以外に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤滑剤、可塑剤、着色防止剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜に調整され得る。
以上説明したように、本願発明の赤外線反射基板は、赤外線反射層23上に金属保護層25を備えることにより、赤外線反射層に対する化学的な保護効果が高められ、金属保護層25上に透明樹脂保護層30が高密着力で形成されるために、物理的な保護効果が高められる。
[透明基材と赤外線反射層との間の層構成]
本発明の赤外線反射基板において、透明基材10と赤外線反射層23との間の層構成は特に限定されず、透明基材10上に、赤外線反射層23が直接形成されてもよく、透明基材10上に他の層を介して赤外線反射層23が形成されていてもよい。
<金属酸化物層>
透明基材10と赤外線反射層23との間には、基材と赤外線反射層の密着性向上や、光学調整等の目的で、金属層や金属酸化物層等が設けられていてもよい。特に、赤外線反射基板の可視光線透過率を高める観点からは、図1および図2に示すように、透明基材10と赤外線反射層23との間に金属酸化物層21が設けられることが好ましい。透明基材10と赤外線反射層23との間に、金属酸化物層が設けられることにより、界面の多重反射干渉を利用して、可視光線の反射率低減や、近赤外線の透過率低減を図ることができる。また、金属酸化物層21は、赤外線反射層23の劣化を防止するための保護層としても機能し得る。
赤外線反射基板における反射及び透過の波長選択性を高める観点から、金属酸化物層21の可視光に対する屈折率は、1.5以上が好ましく、1.6以上がより好ましく、1.7以上がさらに好ましい。金属酸化物層21を構成する金属酸化物としては、In,Zn,Sn,S,Al,Ga,Tl,Ti,Zr,Hf,Ce,Sb,V,Nb,Ta,Si,Ge等の金属の酸化物や、これらの複合酸化物(例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛錫(ZTO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO))等が挙げられる。
特に、本発明においては、透明基材10と赤外線反射層23との間に設けられる金属酸化物層21の材料として、酸化亜鉛と酸化錫とを含む複合金属酸化物が用いられることが好ましい。酸化亜鉛および酸化錫を含む金属酸化物は、化学的安定性(酸、アルカリ、塩化物イオン等に対する耐久性)に優れると共に、透明基材10を構成する有機材料や無機材料との密着性、および赤外線反射層23を構成する銀または銀合金との密着性にも優れる。そのため、金属酸化物層21として酸化亜鉛錫(ZTO)等が用いられることにより、基板と赤外線反射層との密着性が向上し、赤外線反射基板の耐久性がさらに向上する傾向がある。
金属酸化物層21中の亜鉛原子の含有量は、金属原子全量に対して、10原子%〜60原子%が好ましく、15原子%〜50原子%がより好ましく、20原子%〜40原子%がさらに好ましい。亜鉛原子(酸化亜鉛)の含有量が小さいと、金属酸化物層が結晶質となり、耐久性が低下する場合がある。また、亜鉛原子(酸化亜鉛)の含有量が小さいと、製膜に用いるスパッタターゲットの抵抗が高くなり、直流スパッタ法による製膜が困難となる傾向がある。一方、亜鉛原子の含有量が過度に大きいと、金属酸化物層21による保護性能の低下や、金属酸化物層21と赤外線反射層23との密着性の低下等を生じる場合がある。
金属酸化物層21中の錫原子の含有量は、金属原子全量に対して30原子%〜90原子%が好ましく、40原子%〜85原子%がより好ましく、50原子%〜80原子%がさらに好ましい。錫原子(酸化錫)の含有量が過度に小さいと、金属酸化物層の化学的耐久性が低下する傾向がある。一方、錫原子(酸化錫)の含有量が過度に大きいと、製膜に用いるスパッタターゲットの抵抗が高くなり、直流スパッタ法による製膜が困難となる傾向がある。
金属酸化物層21は、酸化亜鉛および酸化錫以外に、Ti,Zr,Hf,Nb,Al,Ga,In,Tl,Ga等の金属、あるいはこれらの金属酸化物を含有してもよい。これらの金属、あるいは金属酸化物は、スパッタ製膜時のターゲットの導電性を高めて製膜レートを大きくする目的や、金属酸化物層の透明性を高める等の目的で添加され得る。なお、金属酸化物層中の酸化原子と錫原子との含有量の合計は、金属原子全量に対して40原子%以上が好ましく、50原子%以上がより好ましく、60原子%以上がさらに好ましい。
金属酸化物層21の製膜方法は特に限定されないが、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましい。中でも、金属酸化物層21は、スパッタ法により製膜されることが好ましく、生産性の観点からは、直流スパッタ法が特に好ましい。透明基材10が可撓性のフィルムであり、赤外線反射層23および金属保護層25の全てが、直流スパッタにより製膜される場合、複数の製膜室を備える巻取り式スパッタ装置を用いれば、これらの各層を1パスで形成することも可能である。そのため、赤外線反射基板の生産性が大幅に向上し得る。
高い製膜レートを実現する観点から、金属酸化物層21は、金属と金属酸化物とを含有するターゲットを用いた直流スパッタ法により製膜されることが好ましい。ZTOは導電性小さいため、酸化亜鉛と酸化錫のみを含有する焼結ターゲットは抵抗率が高く、直流スパッタにより製膜することは困難である。そのため、特に、金属酸化物層21としてZTOからなる金属酸化物層が製膜される場合は、酸化亜鉛と酸化錫と金属とを焼結させたターゲットを用いた直流スパッタ法により製膜が行われることが好ましい。当該ターゲットは、例えば0.1重量%〜20重量%、より好ましくは0.2重量%〜15重量%の金属を、酸化亜鉛および/または酸化錫とともに焼結することによって形成され得る。
ターゲット形成時の金属含有量が過度に小さいと、ターゲットの導電性が不十分となるために直流スパッタによる製膜が困難となったり、透明基材10や赤外線反射層23との密着性が低下する場合がある。ターゲット形成時の金属含有量が過度に大きいと、製膜時に酸化されない残存金属や、酸素量が化学量論組成に満たない金属酸化物の量が多くなり、金属酸化物層の可視光線透過率が低下する傾向がある。ターゲットに含まれる金属としては、亜鉛および/または錫が好ましいが、それ以外の金属が含まれていてもよい。
金属酸化物と金属とを焼結させたターゲットを用いて、ZTO金属酸化物層の製膜が行われる場合、製膜室内を真空排気後に、スパッタ製膜室内に、Ar等の不活性ガスと酸素を導入しながら、製膜が行われる。スパッタ製膜時の酸素導入量は、全導入ガス流量に対して、1〜12体積%程度が好ましい。酸素導入量は、金属酸化物層の製膜に用いられるターゲットが配置された製膜室への全ガス導入量に対する酸素の量(体積%)である。遮蔽板により区切られた複数の製膜室を備えるスパッタ製膜装置が用いられる場合は、それぞれの区切られた製膜室へのガス導入量を基準に酸素導入量が算出される。
金属酸化物層21の厚みは、赤外線反射基板が可視光線を透過し近赤外線を選択的に反射するように、材料の屈折率等を勘案して適宜に設定される。金属酸化物層21の厚みは、例えば、3nm〜80nmの範囲で調整され得る。
[赤外線反射層と金属保護層の間の層構成]
本発明の赤外線反射基板は、図1に示すように、赤外線反射層23上に、金属保護層25が直接形成されていることが好ましい。赤外線反射層23と金属保護層25とが接する構成では、積層構成数が少ないため、赤外線反射基板の生産性が高められる。また、本発明においては、金属保護層25上に、所定の透明樹脂保護層30が直接形成されているため、赤外線反射層23上の積層構成数が少ない場合でも、十分な耐久性が発揮される。
<透明無機層>
本発明の赤外線反射基板は、可視光線透過率の向上や、さらなる耐久性の向上等を目的として、図2に示すように、赤外線反射層23と金属保護層25との間に透明無機層22が形成されていてもよい。赤外線反射層と金属保護層との間に設けられる透明無機層22の材料としては、金属酸化物、金属窒化物および金属酸窒化物等を主成分とするセラミック材料が好ましく用いられる。透明無機層22を構成する金属酸化物としては、透明基材10と赤外線反射層23との間の金属酸化物層21の材料として上述した各種の材料が挙げられる。金属窒化物としては、例えば窒化シリコンが好ましく用いられる。酸窒化物としては、酸窒化シリコンやサイアロン(SiAlON)等の無機材料が好ましく用いられる。
透明無機層22の屈折率や膜厚を調整することにより、透過率および反射率の波長選択性を高めることができる。また、透明無機層22の材料を選択することにより、酸素や塩素等に対するバリア機能が高められるため、赤外線反射層23の劣化を抑制し、さらに耐久性を高めることができる。
透明無機層22の製膜方法は特に限定されないが、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法、電子線蒸着法等のドライプロセスによる製膜が好ましい。中でも、透明無機層22は、スパッタ法により製膜されることが好ましく、生産性の観点からは直流スパッタが特に好ましい。
赤外線反射層23と金属保護層25との間に透明無機層22が形成される場合、その膜厚は、2nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましい。膜厚が2nm以上であれば、赤外線反射層23に対する透明無機層22のカバレッジが良好となり、密着性が高められる傾向がある。一方、赤外線反射基板の生産性を高める観点からは、透明無機層22の膜厚は小さいことが好ましく、具体的には、50nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。
[赤外線反射基板の特性]
本発明の赤外線反射基板は、透明樹脂保護層30側から測定した垂直放射率が、0.20以下であることが好ましく、0.15以下であることがより好ましく、0.12以下であることがさらに好ましく、0.10以下であることが特に好ましい。赤外線反射基板の可視光線透過率は、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、25%以上がさらに好ましく、30%以上が特に好ましい。また、可視光の反射率は40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。
[用途]
上記のように、本発明の赤外線反射基板は、透明基材10の一主面上に、赤外線反射層23、金属保護層25および透明樹脂保護層30を備え、必要に応じて、透明基材と赤外線反射層23との間および/または赤外線反射層と金属保護層25との間に他の層を備える。本発明の赤外線反射基板は、建物や乗り物等の窓、植物等を入れる透明ケース、冷凍もしくは冷蔵のショーケース等に用いることができ、冷暖房効果の向上や急激な温度変化を防ぐ作用を有し得る。
図3を参照して先に説明したように、本発明の赤外線反射基板100は、屋外からの可視光(VIS)を透過して室内に導入すると共に、屋外からの近赤外線(NIR)を、赤外線反射層23により反射することで、遮熱効果と断熱効果を有する。また、本発明の赤外線反射基板は、金属保護層を備えることにより可視光の反射率を低減可能であり、ショーケースやショーウィンドウ等に用いた場合に、商品等の視認性を低下させることなく、遮熱性と断熱性を付与することができる。
透明基材10がガラス板等の剛性体である場合は、赤外線反射基板をそのまま枠体等に嵌め込んで、遮熱・断熱窓とすることができる。透明基材10が可撓性フィルムである場合は、赤外線反射基板を窓ガラス等の剛性基材と貼り合わせて用いることが好ましい。なお、透明基材が剛性体である場合も、赤外線反射基板を窓ガラス等の他の剛性体と貼り合わせて用いることもできる。
透明基材10の赤外線反射層23形成面と反対側の面には、赤外線反射基板と窓ガラス等との貼り合せに用いるための接着剤層60等が付設されていてもよい。接着剤層としては、可視光線透過率が高く、透明基材10との屈折率差が小さいものが好適に用いられる、例えば、アクリル系の粘着剤(感圧接着剤)は、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性を示し、耐候性や耐熱性等に優れることから、透明フィルム基材に付設される接着剤層の材料として好適である。
接着剤層は、可視光線の透過率が高く、かつ紫外線透過率が小さいものが好ましい。接着剤層の紫外線透過率を小さくすることにより、太陽光等の紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制できる。接着剤層の紫外線透過率を小さくする観点から、接着剤層は紫外線吸収剤を含有することが好ましい。なお、紫外線吸収剤を含有する透明フィルム基材等を用いることによっても、屋外からの紫外線に起因する赤外線反射層の劣化を抑制できる。接着剤層の露出面は、赤外線反射基板が実用に供されるまでの間、露出面の汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で、接着剤層の露出面の外部との接触による汚染を防止できる。
なお、透明基材10が可撓性フィルムである場合でも、例えば特開2013−61370号公報に開示されているように、赤外線反射基板を枠体等に嵌め込んで用いることもできる。当該形態では、透明基材10に接着剤層を付設する必要がないため、接着剤層による遠赤外線の吸収が生じない。そのため、透明基材10として、C=C結合、C=O結合、C−O結合、芳香族環等の官能基の含有量が少ない材料(例えば環状ポリオレフィン)を用いることにより、透明基材10側からの遠赤外線を赤外線反射層23で反射させることができ、赤外線反射基板の両面側に断熱性を付与できる。このような構成は、例えば冷蔵ショーケースや冷凍ショーケース等で特に有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例、比較例で用いた測定方法]
<各層の膜厚>
金属層、金属酸化物層および透明樹脂保護層の膜厚は、集束イオンビーム加工観察装置(日立製作所製、製品名「FB−2100」)を用いて、集束イオンビーム(FIB)法により試料を加工し、その断面を、電界放出形透過電子顕微鏡(日立製作所製、製品名「HF−2000」)により観察して求めた。基材上に形成されたハードコート層の膜厚は、瞬間マルチ測光システム(大塚電子製、製品名「MCPD3000」)を用い、測定対象側から光を入射させた際の可視光の反射光の干渉パターンから、計算により求めた。
<耐擦傷性試験>
12cm×3cmにカットした赤外線反射フィルムの透明フィルム基材側の面を、厚み25μmの粘着剤層を介してアルミ板に貼り合わせたものを試料として用いた。学振型染色物摩擦堅ろう度試験機(安田精機製作所製)を用いて、アルコールタイプのウェットティッシュ(コーナン商事製)で500gの荷重を加えながら、アルミ板上の赤外線反射フィルムの透明樹脂保護層側の面の10cmの長さの範囲を1000往復擦った。試験後の試料の保護層への傷、剥離の有無を目視で評価し、以下の評価基準に従い、評価した。
◎:表面に傷が認められないもの
〇:表面に細い傷が認められるが剥離は生じていないもの
×:表面に多数の傷や剥離が認められるもの
[実施例1]
(透明フィルム基材の準備)
厚み50μmのPETフィルムの一方の面に、アクリル系の紫外線硬化型ハードコート層(日本曹達製、NH2000G)が2μmの厚みで形成された。詳しくは、グラビアコーターにより、ハードコート溶液が塗布され、80℃で乾燥後、超高圧水銀ランプにより積算光量300mJ/cmの紫外線が照射され、硬化が行われた。
(金属酸化物層、赤外線反射層および金属保護層の形成)
上記の透明フィルム基材のハードコート層上に、巻取式スパッタ装置を用いて、DCマグネトロンスパッタ法により、膜厚4nmの亜鉛−錫複合酸化物層(金属酸化物層)、膜厚16nmのAg−Pd合金層(赤外線反射層)、膜厚5nmのNi−Cr合金層(金属保護層)が順次形成された。ZTO層の形成には、酸化亜鉛と酸化錫と金属亜鉛粉末とを、8.5:83:8.5の重量比で焼結させたターゲットが用いられ、電力密度:2.67W/cm、プロセス圧力:0.4Pa、基板温度80℃の条件でスパッタが行われた。この際、スパッタ製膜室へのガス導入量は、Ar:Oが98:2(体積比)となるように調整された。Ag−Pd層の形成には、銀:パラジウムを96.4:3.6の重量比で含有する金属ターゲットが用いられた。Ni−Cr層の形成には、ニッケル:クロムを80:20の重量比で含有する金属ターゲットが用いられた。
(透明樹脂保護層の形成)
Ni−Cr層上に、特定架橋性化合物に由来する架橋構造を有するフッ素系の紫外線硬化型樹脂からなる透明樹脂保護層が70nmの膜厚で形成された。詳しくは、フッ素系ハードコート樹脂溶液(JSR製、商品名「オプスター JUA204」、中空シリカ微粒子含有硬化性組成物)の固形分100重量部に対して、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸変性物溶液(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート DPE−6A−MS」を8重量部添加した溶液を、アプリケーターを用いて塗布し、60℃で1分間乾燥後、窒素雰囲気下で超高圧水銀ランプにより積算光量400mJ/cmの紫外線が照射され、硬化が行われた。なお、ジペンタエリスリトールジペンタアクリレートコハク酸は、下記式で表され、分子中に5個のアクリロイル基と1個のカルボキシ基を有する多官能アクリルモノマーである。
Figure 2016036929
[実施例2,3]
実施例2および実施例3では、透明樹脂保護層の形成において、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対する、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸の添加量が、それぞれ、25重量部および35重量部に変更された。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[実施例4〜6]
実施例4〜6では、透明樹脂保護層の形成において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸溶液に代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸溶液(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート DPE−3A−MS」)が用いられた。実施例4,実施例5および実施例6におけるペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸の添加量は、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対して、それぞれ、6重量部、10重量部、および15重量部であった。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
なお、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸は、下記式で表され、分子中に3個のアクリロイル基と1個のカルボキシ基を有する多官能アクリルモノマーである。
Figure 2016036929
[実施例7]
実施例7では、透明樹脂保護層の形成において、フッ素系ハードコート樹脂溶液に代えてアクリル系ハードコート樹脂溶液(JSR製、商品名「オプスターZ7535」、表面にアクリル基を有する中実アモルファスシリカ微粒子含有硬化性組成物)が用いられた。それ以外は、実施例2と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[実施例8,9]
実施例8および実施例9では、透明樹脂保護層の膜厚が、それぞれ、170nm、および50nmに変更された。それ以外は実施例2と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同様にして、金属酸化物層および金属層の形成までが行われたが、Ni−Cr層上への透明樹脂保護層の形成が行われなかった。
[比較例2]
比較例2では、透明樹脂保護層の形成において、フッ素系ハードコート樹脂溶液のみが用いられた。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[比較例3]
比較例3では、透明樹脂保護層の形成において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸溶液に代えて、2‐アクリロイロキシエチルコハク酸溶液(共栄社化学製、商品名「ライトアクリレート HOA−MS」)が、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対して、5重量部添加された。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
なお、2‐アクリロイロキシエチルコハク酸は、下記式で表され、分子中に1個のアクリロイル基と1個のカルボキシ基を有する一官能アクリルモノマーである。
Figure 2016036929
[比較例4]
比較例4では、透明樹脂保護層の形成において、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸溶液に代えて、アクリロイル基を有するリン酸エステル化合物溶液(日本化薬製、商品名「KAYAMER PM−21」)が用いられた。リン酸エステル化合物の添加量は、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対して、10重量部であった。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
なお、上記のリン酸エステル化合物は、分子中に1個のメタクリロイル基を有するリン酸モノエステル化合物(下記式において、p=1である化合物)と分子中に2個のメタクリロイル基を有するリン酸ジエステル化合物(下記式において、p=2である化合物)との混合物であり、一分子中に、平均1.5個のアクリロイル基を有するメタアクリレートモノマーである。
Figure 2016036929
[比較例5]
比較例5では、透明樹脂保護層の膜厚が2μmに変更されたこと以外は、比較例4と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[比較例6,7]
比較例6および比較例7では、透明樹脂保護層の形成において、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対する、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸の添加量が、それぞれ、5重量部および45重量部に変更された。それ以外は実施例1と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[比較例8]
比較例8では、透明樹脂保護層の膜厚が、30nmに変更された。それ以外は実施例2と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[比較例9]
比較例9では、透明樹脂保護層の形成において、フッ素系ハードコート樹脂溶液の固形分100重量部に対する、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸の添加量が、25重量部に変更された。それ以外は実施例4と同様にして、赤外線反射フィルムが作製された。
[評価]
上記各実施例および比較例の赤外線反射基板(赤外線反射フィルム)の透明樹脂保護層の組成および厚み、ならびに耐擦傷試験の評価結果を表1に示す。
Figure 2016036929
金属保護層上に透明樹脂層が形成されなかった比較例1、透明保護層中に架橋性化合物が添加されなかった比較例2、および架橋性化合物の重合性官能基の数が少ない比較例3,4では、耐擦傷性が不十分であった。比較例5では、透明樹脂保護層の厚みが大きいため、耐擦傷性は十分であった。しかしながら、透明樹脂保護層の厚みが2μmと大きく遠赤外線吸収が大きいため、断熱性が十分ではない。比較例8では、透明樹脂保護層の厚みが小さいために、耐擦傷性が不十分であった。
実施例1〜9の赤外線反射フィルムは、いずれも耐擦傷性に優れており、かつ透明保護層の厚みが小さいために遠赤外線の吸収が小さく、耐擦傷性と断熱性とを兼ね備えていた。実施例2と実施例6とを対比すると、両者の酸性官能基数はほぼ同等であるが、実施例2の方が耐擦傷性に優れていた。これは、実施例2の方が、架橋性化合物由来の重合性官能基の含有量、すなわち架橋点の数が多いことに関連していると推定される。硬化性材料としてアクリル系樹脂材料が用いられた実施例7も、フッ素系樹脂材料が用いられた他の実施例と同様に高い耐擦傷性を示した。この結果から、硬化性樹脂材料の種類に関わらず、特定架橋性化合物由来の架橋構造の導入により耐擦傷性が高められることが分かる。なお、実施例2が実施例7に比べて擦傷性が優れているのは、透明樹脂層の硬化性材料の滑り性等の相違に起因すると推定される。
実施例1,2,3と比較例6との対比から、透明樹脂保護層形成時の特定架橋性化合物の添加量を増大させ、酸性官能基の含有量を10mmol/g以上とすることで、高い耐擦傷性が実現されることが分かる。一方で、酸性官能基の含有量が40mmol/gを超える比較例7では、耐擦傷性が低下していることから、透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量を、10〜40mmol/gの範囲内とすることで、対擦傷性に優れる赤外線反射フィルムが得られることが分かる。一分子中に3個の重合性官能基を有する特定架橋性化合物が用いられた実施例4〜6と比較例9との対比においても、同様の傾向があることが分かる。
上記の実施例と比較例との対比から、特定架橋性化合物に由来する架橋構造を導入することにより、透明樹脂保護層中の膜厚が200nm以下と小さい場合でも、耐擦傷性に優れる赤外線反射フィルムが得られることが分かる。この赤外線反射フィルムは、透明樹脂保護層の膜厚が小さいため、遠赤外線の吸収量が小さく、断熱性に優れている。
100,101,: 赤外線反射基板
10: 透明基材
11: 透明フィルム
12: 硬化樹脂層
21: 金属酸化物層
22: 透明無機層(金属酸化物層)
23: 赤外線反射層
25: 金属保護層
30: 透明樹脂保護層
60: 接着剤層

Claims (7)

  1. 透明基材上に、銀を主成分とする赤外線反射層;金属保護層;および透明樹脂保護層、をこの順に備える赤外線反射基板であって、
    前記透明樹脂保護層は、前記金属保護層に直接接しており;厚みが40nm〜200nmであり;酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物に由来する架橋構造を含有する有機物層であり、
    前記透明樹脂保護層中の酸性官能基の含有量が、10〜40mmol/gである、赤外線反射基板。
  2. 前記金属保護層が、Ni,Cr,Al,Ti,Mg,Mn,Zn、Cu、またはこれらの金属から構成される合金からなる、請求項1に記載の赤外線反射基板。
  3. 前記金属保護層が、Ni、Cr、またはNi−Cr合金からなる金属層である、請求項2に記載の赤外線反射基板。
  4. 前記透明基材と前記赤外線反射層との間に金属酸化物層を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
  5. 前記赤外線反射層と前記金属保護層とが直接接している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
  6. 前記酸性官能基と3個以上の重合性官能基とを同一分子中に有する重合性化合物が、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群から選択される多官能(メタ)アクリル化合物と、多塩基酸とのエステル化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
  7. 前記透明基材が、可撓性の透明フィルムである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外線反射基板。
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WO2021095550A1 (ja) * 2019-11-15 2021-05-20 三菱マテリアル株式会社 積層構造体

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