JP2018171622A - 溶接軽量h形鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)スリット加工した鋼帯を素材とするウェブ材とフランジ材を断面H形に組み合わせ、それぞれの当接部を連続的に溶接接合してH形鋼とする溶接軽量H形鋼の製造において、前記ウェブ材と前記フランジ材との溶接部に形成された4つの溶接ビードを整形後、該溶接ビードに隣接するウェブの表面、前記溶接ビードの表面、および前記溶接ビードに隣接するフランジの表面からなる4箇所の輪郭形状を連続的に測定し、該輪郭形状から前記ウェブの表面、前記溶接ビードの表面、および前記フランジの表面で形成される断面プロフィールを求め、該断面プロフィールから前記4つの溶接ビードそれぞれの断面積、および/または、ビード厚さと、フランジ側のビード幅およびウェブ側のビード幅、および/または、前記溶接ビードの表面と前記ウェブの表面とのなす角および前記溶接ビードの表面と前記フランジの表面とのなす角とを算出し、これらの算出結果に基づいて前記溶接部の接合合否を判定することを特徴とする溶接軽量H形鋼の製造方法。
本発明では、図12に示すように、スリット加工した鋼帯を素材とするウェブ材32とフランジ材31を断面H形に組み合わせ、それぞれの当接部を連続的に溶接接合してH形鋼とする溶接軽量H形鋼の製造において、図1に示すように、前記ウェブ材32と前記フランジ材31との溶接部に形成された4つの溶接ビード13を整形後、該溶接ビード13に隣接するウェブ12の表面、前記溶接ビード13の表面、および前記溶接ビード13に隣接するフランジ11の表面からなる4箇所の輪郭形状を連続的に測定する。例えば、4台の2次元レーザ距離計2を図1に示すように配置し、前記4箇所の輪郭形状を測定する。この際、測定断面において各2次元レーザ距離計の光軸と測定対象であるフランジ面とのなす角が35〜45°となるように配置することが望ましく、さらに各2次元レーザ距離計の取り付け位置が測定対象である溶接軽量H形鋼のウェブ高さに追従する機構を有することが望ましい。
<1>溶接ビードの断面積の算出
それぞれの断面プロフィールにおいて、図4に示すように、フランジ表面、ウェブ表面、および溶接ビード表面それぞれの測定高さのデータをそれぞれ1次近似することで近似直線A、近似直線B、および近似直線Cを求め、近似直線Aと近似直線Bとの交点a、近似直線Aと近似直線Cとの交点b、および近似直線Bと近似直線Cとの交点cを頂点とする3角形の面積Sを溶接ビードの断面積として算出する。
それぞれの断面プロフィールにおいて、図5に示すように、近似直線Aと近似直線Bとの交点aから近似直線Cに下した垂線Hの足dを求め、交点bと足dとの距離をフランジ側のビード幅、交点cと足dとの距離をウェブ側のビード幅として算出する。
溶接部の引張強度は、溶け込み深さδおよび接合幅Wに依存するが、図9および図10に示したとおり、溶け込み深さδおよび接合幅Wは、溶接ビードの断面積との相関が強く、溶接ビードの断面積によって評価できる。これは、溶接部の引張強度は、溶接ビードの断面積によって評価できるということである。そして、溶接ビードの断面積が小さすぎると溶接部の引張強度が低下することとなる。一方、溶接部の断面積が大きすぎるということは、図13(b)に示すような外観不良が生じることである。
したがって、溶接軽量H形鋼の寸法や材質等に応じて、溶接ビードの断面積に目標範囲を設けておき、上記<1>において算出された断面積Sが目標範囲を満足するときに、断面積については合格とする。具体的には、溶接ビードの断面積について、引張強度判定の観点から下限値SLを設定するとともに、外観不良判定の観点から上限値SUを設定しておく。そして、上記<1>で算出された断面積Sと、予め設定した溶接ビードの断面積の下限値SLと比較し、S≧SLまたはS>SLを満足し、かつ、SU≧SまたはSU>Sを満足する場合に断面積Sに関して合格とし、これ以外は不合格とする。
さらに、溶接部の外観不良の判定を、<2>で算出されたフランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅に基づいて行う。図13(c)に示したような溶接ビードのウェブ側あるいはフランジ側への片寄りが大きくなる程、図5で示したフランジ側のビード幅、ウェブ側のビード幅が、図6に示すようになり、フランジ側のビード幅WFとウェブ側のビード幅WWの差が大きくなる。そこで、上記<2>において算出されたフランジ側のビード幅WFとウェブ側のビード幅WWからこれらの差ΔW=|WF−WW|を算出し、このΔWの値が予め設定しておいた上限値ΔWU以上であるかΔWUより大きいときに外観の観点から不良と判断する。なお、上限値ΔWUは、求められる製品の外観形状に応じて予め設定しておく。
以上のようにして、上記<1>にて算出された断面積Sと、上記<2>にて算出されたフランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅とに基づき、溶接部の接合合否の判定を行うことで、溶接部の引張強度の不良および外観不良の両方について不良の判定を行うことができる。
また、溶接ビードの断面積やフランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅を算出するための、溶接ビードの表面、溶接ビードに隣接するウェブの表面および溶接ビードに隣接するフランジの表面の輪郭形状の測定は、2次元レーザ距離計を用いて行うので、2次元レーザ距離計2と溶接軽量H形鋼とを、溶接軽量H形鋼の長手方向に相対移動させながら、上記の輪郭形状の測定を行えば、溶接軽量H形鋼の全長にわたる多数点で溶接部の接合合否の判定を行うことができ、実質的には全長にわたり途切れなく溶接部の接合合否の判定が行える。
なお、上記の実施形態においては、溶接ビードの断面積と、フランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅とに基づいて、溶接部の接合合否の判定を行っているが、フランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅に基づく判定に替えて、断面プロフィールから算出された溶接ビード表面とウェブ表面とのなす角であるウェブ角(α)および溶接ビードの表面とフランジの表面とのなす角であるフランジ角(β)に基づく判定としてもよい。また、溶接ビード断面積に基づく判定に替えて、断面プロフィールから算出されたビード厚さに基づく判定としてもよい。
以下、ウェブ角(α)およびフランジ角(β)の算出方法、ビード厚さの算出方法、および、これらに基づく接合合否の判定について説明する。
それぞれの断面プロフィールにおいて、図7に示すように、近似直線Aと近似直線Cとの交差角βを溶接ビードの表面とフランジの表面とのなす角(フランジ角)、近似直線Bと近似直線Cとの交差角αを溶接ビードの表面とウェブの表面とのなす角(ウェブ角)として算出する。
それぞれの断面プロフィールにおいて、図8に示すように、近似直線Aと近似直線Bとの交点aから近似直線Cに下した垂線の長さhを当該溶接ビードのビード厚さとして算出する。
上述の<3>で説明した、フランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅に基づく判定に替えて、上述の<4>で算出された溶接ビード表面とウェブ表面とのなす角であるウェブ角(α)および溶接ビードの表面とフランジの表面とのなす角であるフランジ角(β)に基づく判定としてもよい。図6に示したように、溶接ビードのウェブ側あるいはフランジ側への片寄りが大きい場合には、ウェブ角(α)とフランジ角(β)の角度差が大きくなる。したがって、上記<4>において算出されたウェブ角(α)とフランジ角(β)からこれらの差|α−β|を算出し、算出された値が予め設定しておいた上限値以上であるか上限値より大きいときに外観の観点から不良と判断する。なお、ウェブ角(α)とフランジ角(β)との差の上限値は、求められる製品の外観形状に応じて予め設定しておく。なお、フランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅に基づく判定と、ウェブ角(α)およびフランジ角(β)に基づく判定との両方を行ってもよい。
上述の<3>で説明した、断面積Sに基づく判定に替えて、上述の<5>で説明した、ビード厚さhに基づく判定としてもよい。<3>で説明した、フランジ側ビード幅およびウェブ側ビード幅に基づく判定が合格の場合、フランジ側ビード幅とウェブ側ビード幅との差が小さいということであり、また、<6>で説明した、ウェブ角(α)とフランジ角(β)に基づく判定が合格の場合、ウェブ角(α)とフランジ角(β)との差が小さいということであるから、これらビード幅差に基づく判定あるいはウェブ角とフランジ角との角度差に基づく判定のいずれか一方、あるいは、両方が合格である場合には、上述の断面積Sは、ビード厚さhに相関する。したがって、断面積Sに基づく判定は、ビード厚さhに基づく判定に置き換えることができる。
この場合上記<5>において算出されたビード厚さhが目標範囲を満足するときに、断面積については合格とする。具体的には、ビード厚さhについて、引張強度判定の観点から下限値hLを設定するとともに、外観不良判定の観点から上限値hUを設定しておく。そして、上記<5>で算出されたビード厚さhと、予め設定したビード厚さの下限値hLと比較し、h≧hLまたはh>hLを満足し、かつ、hU≧hまたはhU>hを満足する場合にビード厚さhに関して合格とし、これ以外は不合格とする。なお、断面積Sに基づく判定と、ビード厚さhに基づく判定との両方を行ってもよい。
2 2次元レーザ距離計
3 溶接軽量H形鋼の製造工程
4 高周波加熱装置
5 圧接ロール
6 冷却装置
10 ゲージ
11 フランジ
12 ウェブ
13 溶接ビード
31 フランジ材
32 ウェブ材
Claims (1)
- スリット加工した鋼帯を素材とするウェブ材とフランジ材を断面H形に組み合わせ、それぞれの当接部を連続的に溶接接合してH形鋼とする溶接軽量H形鋼の製造において、前記ウェブ材と前記フランジ材との溶接部に形成された4つの溶接ビードを整形後、該溶接ビードに隣接するウェブの表面、前記溶接ビードの表面、および前記溶接ビードに隣接するフランジの表面からなる4箇所の輪郭形状を連続的に測定し、該輪郭形状から前記ウェブの表面、前記溶接ビードの表面、および前記フランジの表面で形成される断面プロフィールを求め、該断面プロフィールから前記4つの溶接ビードそれぞれの断面積、および/または、ビード厚さと、フランジ側のビード幅およびウェブ側のビード幅、および/または、前記溶接ビードの表面と前記ウェブの表面とのなす角および前記溶接ビードの表面と前記フランジの表面とのなす角とを算出し、これらの算出結果に基づいて前記溶接部の接合合否を判定することを特徴とする溶接軽量H形鋼の製造方法。
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