JP2018171031A - 魚釣用スピニングリール - Google Patents
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Abstract
Description
このような構造において、前ボディの前開口部から海水、砂、異物等が浸入すると、駆動軸を支持するボールベアリング等に付着し、駆動軸の回転性能が低下する。このため、従来の魚釣用スピニングリールでは、リール本体の前開口部にシール部材が設けられている。
なお、説明の都合上、一対の継鉄板のうち後側(逆転防止装置寄り)に配置される継鉄板を第1継鉄板と称し、一対の継鉄板のうち前側に配置される継鉄板を第2継鉄板と称する。
また、下記特許文献2の磁性流体シール機構では、磁性流体シール機構の磁性部と逆転防止装置の内輪とを別体により形成し、逆転防止装置の内輪に漏洩する磁束を低減させている。
下記特許文献3の磁性流体シール機構では、第1継鉄板の外周縁と第2継鉄板の外周縁における軸方向の隙間を小さくし、永久磁石の外周側に発生する磁束が逆転防止装置側に漏洩し難くしている。
よって、逆転防止装置側に磁束が漏洩し、逆転防止装置のローラが磁化するおそれがあった。この結果、ローラが内輪に引き寄せられ、駆動軸回転時のトルク損失が発生したり、異音(ローラが内輪に接触する音)が発生したりするおそれがあった。
図1に示すように、魚釣用スピニングリール100は、リール本体1と、そのリール本体1から前方へ突出するように組み付けられた駆動軸筒(駆動軸)6及びスプール軸7と、駆動軸筒6の前部に取り付けられ軸線O回りに回転するロータ101と、スプール軸7の前部7aに取り付けられて軸線Oに沿って往復動するスプール(不図示)と、を備えている。
リール本体1は、ハンドル5が取り付けられたボディ2と、ボディ2の上部から上方に延び、釣竿(不図示)に装着される竿取付部3aを先端に有する脚部3と、ボディ2の前側に位置し駆動軸筒6及びスプール軸7が貫通する筒状のボディ前部4とを備えている。
特に図示しないが、ハンドル5の巻き取り操作によって駆動軸筒6とスプール軸7を駆動させるための構成として、ボディ2内には、ハンドル5と連結するハンドル軸と、ハンドル軸と連結するドライブギヤ及び歯車と、歯車に噛合する公知のスプール往復動装置と、が格納されている。
ドライブギヤには、駆動軸筒6のピニオン8(図3参照)が噛合しており、ハンドル5の巻き取り操作により駆動軸筒6が軸線O周りに回転する。
一方で、スプール往復動装置には、スプール軸7の後端部が取り付けられており、ハンドル5の巻き取り操作によりスプール軸7が軸線Oに沿って往復動する。
そのほか、ボディ2内には、駆動軸筒6の後端部を回転自在に支持するための後部軸受2aが設けられている(図3参照)。
図2に示すように、ボディ前部4は、軸線Oを中心として略円筒状を呈している。よって、ボディ前部4には、前方に向って開口する前開口部4aが形成されている。
この前開口部4aは、後述する逆転防止装置20と略同じ大きさに形成され、前開口部4aを介してボディ前部4内に逆転防止装置20を組み付けることができるようになっている。
ボディ前部4(大径部10,小径部11)には、逆転防止装置20、操作カバー30、ベール反転機構の復帰衝接部40、回動位置保持具50、磁性流体シール機構60、前シール70、後シール71が組み付けられている。
以下、ボディ前部4(大径部10,小径部11)と各部品との詳細について説明する。
図3に示すように、大径部10の外周面には、後シール71をボディ前部4に組み付けるため、周方向に亘って窪む周溝12が形成されている。
一方で、大径部10の内周面には、駆動軸筒6の前後方向中央部を支持するための中間軸受13が嵌め込まれている。
この中間軸受13の外輪には、リング部材14が当接し、中間軸受13が大径部10から脱落しないようになっている。
なお、図2に示すように、リング部材14のフランジ部14aが図示しないボルトにより締め付けられ、リング部材14が固定されている。
小径部11は、逆転防止装置20を格納するための部位である(図3参照)。
図2に示すように、小径部11には、前端から後方に向って切り欠かれ、小径部11の内周側と外周側とを連通させる3つの切り欠き(第1切り欠き15a〜第3切り欠き15b)が形成されている。
逆転防止装置20は、駆動軸筒6の一方向への回転を許容しつつ他方への回転(以下「逆転」という)を防止する公知の装置である。
図3に示すように、逆転防止装置20は、駆動軸筒6の外周側に嵌合されて回り止め固定された内輪21と、小径部11内に挿入されて回り止め固定された外輪22と、内輪21と外輪22との間に配置された複数のローラ23と、リティナ(切換制御部材)24と、を備えている。
この結果、ローラ23が内輪21と外輪22との間で楔作用を発揮して内輪21(駆動軸筒6)の逆転が防止されたり、又はローラ23が内輪21と外輪22との間で楔作用を発揮せずに内輪21(駆動軸筒6)の逆転が許可されたりする。
また、突出部27の先端部には、前後方向に貫通する長円形状の円孔28が形成されている(図2参照)。
図3に示すように、操作カバー30は、ボディ前部4(大径部10,小径部11)の外周側を囲む円筒状部材である。このため、ボディ前部4が操作カバー30に覆われ、小径部11内の逆転防止装置20に海水等が付着し難くなっている。
なお、操作カバー30の外周側には、ロータ101のスカート部104が配置されている。また、操作カバー30の前端部には、径方向内側に突出する環状の突出部30aが形成されている。
この凹部31には、円柱状を呈し突出部27の円孔28に挿入され、操作カバー30と突出部27とを周方向に係合する係合部32が形成されている。
このため、操作カバー30が回動するとリティナ24も同方向に回動する。つまり、本実施形態によれば、釣り人は、操作カバー30を回動操作すると、逆転防止装置20の逆転防止状態と逆転許可状態との切り替えを行うことができる。
図3に示すように、ベール反転機構の復帰衝接部40は、操作カバー30の後端部の下側に設けられている。
ベール反転機構の復帰衝接部40は、ベール102(図1参照)が釣糸放出位置にある状態でロータ101が巻き取り方向に回転した場合、アーム103(図1参照)の内周側に設けられた復帰用当接部材(不図示)に接触し、ベール102を反転(釣糸巻取位置に復帰)させるための部材である。なお、図1に図示されるベール102は、釣糸巻取位置の状態である。
また、第1脚部用貫通孔34と切り欠き35とのそれぞれは、周方向に幅広に形成され、操作カバー30の回動の際、第1脚部42、第2脚部43が干渉しないようになっている。
また、図3に示すように、復帰衝接部40の第1脚部42が第1脚部用貫通孔34を貫通しているため、操作カバー30が第1脚部42に対して前後方向に係合し、操作カバー30がボディ前部4から脱落しない。
ここで、抜け止め部材45は、上部貫通孔36の内面に当接(摺動)している。このため、操作カバー30が前後方向にがたつき難くなっている。
図2に示すように、回動位置保持具50は、操作カバー30の周方向の位置を逆転防止状態又は逆転許可状態に保持するためのものである。
回動位置保持具50は、小径部11の外周側に形成された壁部51と、壁部51の前面に形成された孔(不図示)に入り込み前後方向に移動自在なピン52と、ピン52を前方に向って付勢する圧縮コイルばね(不図示)と、を備えている。
また、ピン52の前端は、操作カバー30の突出部30aの後面に形成された凹部(不図示)に入り込んでいる。
この突出部30aの後面の凹部は周方向に2つ並んで形成されている。
そして、操作カバー30が逆転防止状態の場合、ピン52が一方の凹部に入り込み、操作カバー30が逆転許可状態の場合、ピン52が他方の凹部に入り込むようになっている。これにより、操作カバー30が逆転防止状態又は逆転許可状態に保持される。
図6に示すように、磁性流体シール機構60は、リング状の永久磁石61と、互いにリング状を呈し、前後両側に配置された一対の継鉄板62,63と、逆転防止装置20の内輪21と一体に形成された磁性部21aと、磁性部21aと一対の継鉄板62,63との間に保持される磁性流体64と、を備えている。
永久磁石61と一対の継鉄板62,63とは接着剤により一体に形成されている。
なお、一対の継鉄板62,63のうち、永久磁石61よりも後側(逆転防止装置20側)に配置された継鉄板を第1継鉄板62と称し、永久磁石61よりも前側に配置された継鉄板を第2継鉄板63と称する。
また、第1継鉄板62の内径と第2継鉄板63の内径は、ともに永久磁石61の内径と同一になっている。よって、第1継鉄板62と磁性部21aとの間には、狭小の隙間S2が形成されている。また、第2継鉄板63と磁性部21aとの間にも、狭小の隙間S3が形成されている。
そして、隙間S2,S3には、磁性流体64が充填されている。
磁性流体64は、例えば、Fe3O4のような磁性微粒子を、ベースオイルに分散させて構成されたものである。
よって、隙間S2,S3には、大きな磁力が作用しており、その隙間S2,S3に充填された磁性流体は、流出することなく長期間保持される。この結果、磁性流体シール機構60と駆動軸筒6との間のシール性が極めて高くなっている。
このため、永久磁石61の外周側に発生する磁束は、図6の矢印C1,C2,C3に示すように、第1継鉄板62の前面62cと、第2継鉄板63の外周縁62bと、を結ぶ曲線上に集中して分布している。
つまり、第1継鉄板62の外周縁62bを回り込んで、第1継鉄板62の後面62dと第2継鉄板63の外周縁63bとを結ぶ曲線(二点鎖線で示す矢印C4を参照)上に分布する磁束(漏洩磁束)が低減している。このため、第1継鉄板62の後方に配置された逆転防止装置20のローラ23の磁化が抑制されている。
フランジ部65は、小径部11のボルト固定部16に螺合するボルト(不図示)に締め付けられており、磁性流体シール機構60が小径部11に固定されている。
そして、第1継鉄板62は、小径部11の前端面に当接した状態で配置され、ボディ前部4の前開口部4aを閉塞している。
よって、実施形態の磁性流体シール機構60によれば、ボディ前部4(大径部10,小径部11)の前開口部4aを閉塞する部材を不要とすることができ、部品点数の削減を図れる。
図4に示すように、前シール70及び後シール71は、環状を呈し、弾性材により形成された弾性シール部材である。前シール70及び後シール71のそれぞれには、径方向に突出するリップ部70a,71aが形成されている。
また、前シール70は、第1継鉄板62の外周部分と、第2継鉄板63の外周部分とにより前後方向から挟持されている。このため、永久磁石61から脱落することなく保持されている。
後シール71は、大径部10の周溝12に嵌め込まれている。後シール71のリップ部71aは、操作カバー30の内周面を径方向外側に押圧した状態で当接している。
この前シール70、後シール71により、操作カバー30と小径部11との間に海水等が浸入し難くなる。よって、第1切り欠き15a〜第3切り欠き15cを介して、小径部11内の逆転防止装置20に海水等が付着することが防止される。
または、図7に示すように、第1継鉄板160は、ボディ前部4に固定されて小径部11の端面に当接する環状の外周部161と、外周部161の内周縁から逆転防止装置20から離間する方向(前方)に傾斜する環状の中間部162と、中間部162の内周縁に連続して永久磁石61を保持する環状の内周部163と、を備えていてもよい。
これによれば、磁性流体シール機構60A(第1継鉄板160)と逆転防止装置20との間に隙間S4を形成することができ、逆転防止装置20から前方へ永久磁石61を離間して配置することができる。
この結果、逆転防止装置20側に磁束がより漏洩し難く、トルク損失及び異音の発生をより確実に回避できる。
次に、図8−図10を参照しながら、本発明の効果を確認した実施例1,2を比較例1と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
なお、図8−図10は、実施例1,2と比較例1の磁場解析の結果を示したデータを示している。図8−図10に示される点状のものが磁束を示している。また、図8−図10において、磁束の密度が高くなるにつれて濃度が高くなっている。
図8に示すように、実施例1の磁性流体シール機構は、永久磁石200と、永久磁石200の後方に配置される第1継鉄板201と、永久磁石200の前方に配置される第2継鉄板202と、逆転棒置装置の内輪と一体に形成された磁性部203と、を備えている。
なお、実施例1,2及び比較例1では、逆転防止装置の代わりに鉄片500を配置した。第1継鉄板201及び第2継鉄板202は、永久磁石200のよりも大径に形成されている。第1継鉄板201は、第2継鉄板202及び鉄片500よりも大径に形成されている。
図9に示すように、実施例2の磁性流体シール機構は、永久磁石300と、永久磁石300の後方に配置される第1継鉄板301と、永久磁石300の前方に配置される第2継鉄板302と、逆転棒置装置の内輪と一体に形成された磁性部303と、を備えている。
なお、実施例2は、実施例1の第1継鉄板201に代えて第1継鉄板301を用いている点が相違している。
第1継鉄板301は、第2継鉄板202及び鉄片500よりも大径に形成されている。
第1継鉄板301は、図示しないボディ前部に固定された外周部301aと、外周部301aの内周縁から鉄片から離間する方向(前方)に傾斜する環状の中間部301bと、中間部301bの内周縁に連続してする内周部301cと、を備えている。よって、実施例2の永久磁石300と鉄片500とは、実施例1よりも軸方向に離間した構成となっている。
図10に示すように、比較例の磁性流体シール機構は、永久磁石400と、永久磁石400の後方に配置される第1継鉄板401と、永久磁石400の前方に配置される第2継鉄板402と、逆転棒置装置の内輪と一体に形成された磁性部403と、を備えている。
なお、比較例1は、実施例1の第1継鉄板201に代えて第1継鉄板401を用いている点と、第2継鉄板202に代えて第2継鉄板402を用いている点が相違している。
第1継鉄板401及び第2継鉄板402は、永久磁石200のよりも大径に形成されている。第2継鉄板402は、第1継鉄板401及び鉄片500よりも大径に形成されている。
また、第1継鉄板201の後面側にも磁束が分布しているものの、第2継鉄板202の外周縁と第1継鉄板201の前面との間よりも磁束密度が小さい。また、第2継鉄板202の外周縁から第1継鉄板201の後面側に回り込む磁束が発生していないことがわかる。
また、第1継鉄板301の後面側にも磁束が分布しているものの、第2継鉄板302の外周縁から第1継鉄板301の後面側に回り込む磁束が発生していないことがわかる。
また、第1継鉄板401の外周縁の径方向外側を回り込むように、第2継鉄板402の前面と、第1継鉄板401の後面とを結ぶ曲線上に多くの磁束を分布していることがわかる。
よって、実施例1,2を魚釣用スピニングリールに適用すると、逆転防止装置においてローラが内輪に引き寄せられ難く、トルク損失の回避と異音発生の回避とをでき、好ましい構造であるといえる。
また、実施例1と実施例2とを比較すると、中間部301bを備える実施例2の方が実施例1よりも磁気吸引力が小さい。よって、実施例2は、魚釣用スピニングリールにおいてトルク損失の回避と異音発生の回避とをより確実に達成できるといえる。
2 ボディ
4 ボディ前部
4a 前開口部
6 駆動軸筒(駆動軸)
20 逆転防止装置(被シール部材)
21 内輪
21a 磁性部
30 操作カバー
40 復帰衝接部
50 回動位置保持具
60,60A 磁性流体シール機構
61 永久磁石
62 第1継鉄板
63 第2継鉄板
64 磁性流体
65 フランジ部
70 前シール
71 後シール
100 魚釣用スピニングリール
101 ロータ
160 第1継鉄板
161 外周部
162 中間部
163 内周部
Claims (6)
- 前開口部から突出する駆動軸を回転自在に支持するリール本体と、
前記リール本体と前記駆動軸との間に介設された強磁性材料からなる被シール部材と、
前記前開口部に組み付けられた磁性流体シール機構と、を備え、
前記磁性流体シール機構は、
前記駆動部に形成した磁性部と、
前記磁性部の外周側に配置されたリング状の永久磁石と、
互いにリング状を呈し、前記永久磁石の軸方向両側に配置された第1継鉄板及び第2継鉄板と、
前記磁性部と前記一対の継鉄板との隙間に配置され磁力により保持される磁性流体と、を備え、
前記第1継鉄板は、前記第2継鉄板よりも前記被シール部材寄りに設けられ、かつ、外径が第2継鉄板よりも大径に形成されていることを特徴とする魚釣用スピニングリール。 - 前記リール本体は、前記前開口部が形成されたボディ前部を備え、
前記被シール部材は、前記前開口部を介して前記ボディ前部内に設けられ、
前記第1継鉄板は、前記前開口部を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。 - 前記第1継鉄板は、
前記ボディ前部に固定される環状の外周部と、
前記外周部の内周縁から前記被シール部材から離間する方向に延びる環状の中間部と、
前記中間部の内周縁に連続して前記永久磁石を保持する環状の内周部と、
を備えていることを特徴とする請求項2に記載の魚釣用スピニングリール。 - 前記被シール部材は、逆転防止装置または軸受であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の魚釣用スピニングリール。
- 前記リール本体に回動自在に支持され、前記ボディ前部の外周側に配置された筒状の筒状部材を備え、
前記被シール部材は、逆転防止装置であり、
前記逆転防止装置の切換制御部材と前記筒状部材とが係合し、前記筒状部材の回動操作により前記駆動軸の逆転防止状態又は逆転許可状態に切り換わることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の魚釣用スピニングリール。 - 前記永久磁石の周方向外側に嵌め込まれ、前記磁性流体シール機構と前記カバー材の前開口部とを間をシールする弾性材の弾性シール部材を備え、
前記第2継鉄板は、前記永久磁石の外周面よりも径方向外側に突出し、
前記シール部材は、前記第1継鉄板と前記第2継鉄板とにより挟持されることを特徴とする請求項5に記載の魚釣用スピニングリール。
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