JP2018170189A - 全固体型二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】全固体型二次電池の放電レートを向上する。【解決手段】本発明の全固体型二次電池は、正極集電体層と、正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層と、負極集電体層と、を備え、正極集電体層と、正極活物質層と、負極活物質層と、負極集電体層とにおいて、少なくとも1層以上に、炭素材料とガラスが含まれることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体型二次電池に関するものである。
近年、エレクトロニクス技術の発達はめざましく、携帯電子機器の小型軽量化、薄型化、多機能化が図られている。それに伴い、電子機器の電源となる電池に対し、小型軽量化、薄型化、信頼性の向上が強く望まれており、電解質が固体電解質から成る全固体型二次電池が注目されている。
特許文献1において、空気中で安定な酸化物系固体電解質を用い、各部材をシート化し、積層した後、同時に焼成するという、工業的に採用し得る量産可能な製造方法により作製される全固体型二次電池が提唱されている。しかしながら、実用化に向けて、より高い充放電レートを有する全固体型二次電池が求められていた。
例えば、特許文献2には、不燃性の固体電解質を用いてすべての構成要素を固体で構成した全固体型二次電池が提唱されている。この全固体型二次電池の実施例として、電極層(正極層、負極層)と固体電解質層とが焼成によって接合された全固体型二次電池が記載されている。電極活物質としてのLi(POに、導電助剤としてのアセチレンブラックを25wt%となるように混合して電極ペーストをスクリーン印刷した後、700℃の温度で焼付けた全固体型二次電池を作製し、この全固体型二次電池を湿潤雰囲気に放置、または、純水を添加したのち集電体を形成、組立てて全固体型二次電池を作製している。しかしながら、この製造方法では集電体と電極活物質の接触抵抗が高くなり、放電レート特性が低い問題があった。
特許文献3では電極活物質に含まれる導電助剤の量を1wt%以上25wt%未満とすることで焼成した積層体の強度低下問題を解決している。しかしながら、この全固体型二次電池の電極構成が電極活物質と導電助剤のみの構成であるため、電極抵抗が大きく、放電レート特性が低い問題があった。
国際公開第07/135790号 特開2007−258148号公報 国際公開第2012/060402号
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、全固体型二次電池の放電レート特性を向上することである。
上記課題を解決するため、本発明にかかる全固体型二次電池は、正極集電体層と、正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層と、負極集電体層と、を備え、正極集電体層と、正極活物質層と、負極活物質層と、負極集電体層の少なくとも1層以上に、炭素材料とガラスが含まれることを特徴とする。
かかる構成によれば、焼結が難しい炭素材料と固体電解質、正極活物質、もしくは、負極活物質との接合をガラスの焼結が補助することによって擬似的に焼結できるようになる。このようにして、固体電解質、正極活物質、もしくは、負極活物質と、炭素材料との接合を強くすることによって、導電助剤としての炭素材料との界面抵抗を低くすることができ、全固体型二次電池の放電レート特性を向上することができる。
尚、正極集電体層、及び、負極集電体層は、炭素材料を少なくとも1種類以上とガラス、もしくは、固体電解質とガラス、を含む層を指す。炭素材料は導電性が良好なものが好ましい。
本発明にかかる全固体型二次電池のガラスの含有量は、前記炭素材料の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることを特徴とする。
かかる構成によれば、炭素材料と固体電解質、正極活物質、もしくは、負極活物質との接合をより強くすることが出来る。これにより、導電助剤としての炭素材料との界面抵抗をより低くすることができ、全固体型二次電池の放電レート特性を更に向上することができる。
ガラスの含有量が0.5vol%より少ない場合は、焼結補助の効果が得られにくく、また、10vol%より多い場合は、界面が増えてしまうため、界面抵抗が高くなり、放電レート特性が低下する。
本発明にかかる全固体型二次電池は、前記正極活物質層、または、前記負極活物質層に含まれる前記炭素材料の含有量は一層あたり0.1vol%〜50vol%であることを特徴とする。
かかる構成によれば、正極活物質層または負極活物質層の抵抗を下げつつ、正極活物質層または負極活物質層に含まれる活物質の利用率を向上させることが出来る。これによって、効率的に正極活物質層または負極活物質層の抵抗を低減することができるため、放電容量を向上させつつ、全固体型二次電池の放電レート特性を更に向上させることが出来る。
炭素材料の割合が0.1vol%未満である場合は、正極活物質層または負極活物質層の抵抗を低減しにくくなり、50vol%より多い場合は、正極活物質層または負極活物質層に含まれる活物質の量が少なくなり放電容量を向上することが出来なくなる。
本発明にかかる全固体型二次電池は、前記炭素材料は、グラファイト、アセチレンブラック、グラッシーカーボンのいずれか1種以上であることを特徴とする。
かかる構成によれば、より強く炭素材料と固体電解質、正極活物質、もしくは、負極活物質との接合をとることができ、全固体型二次電池の放電レート特性を向上することができる。
これは、炭素材料を構成する炭素六員環の終端部分であるエッジ部分の割合の多さが関係しているのではないかと考えている。
本発明によれば、放電レート特性が向上した全固体型二次電池を提供することが出来る。
本実施形態の全固体型二次電池素子の概念的構造を示す断面図である。 本実施形態の全固体型二次電池素子の炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層および負極集電体層の概念的構造を示す断面図である。 本実施形態の全固体型二次電池素子の炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層及び負極活物質層の概念的構造を示す断面図である。 本実施形態の全固体型二次電池素子のガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極集電体層及び負極集電体層の概念的構造を示す断面図である。 本実施形態の全固体型二次電池素子のガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層及び負極活物質層の概念的構造を示す断面図である。 本実施形態の全固体型二次電池の概念的構造を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
(全固体型二次電池素子の構造)
図1は、本実施形態の全固体型二次電池素子1の概念的構造を示す断面図である。全固体型二次電池素子1は、正極集電体層2、正極活物質層3、固体電解質層4、負極活物質層5、負極集電体層6から構成され、それぞれが積層された構造を有している。
正極集電体層2、及び、負極集電体層6の厚さは、0um〜5umが好ましい。厚さの目安としては、正極集電体層2と正極活物質層3、及び、負極集電体層6と負極活物質層5の抵抗が、固体電解質層4の抵抗の1/10以下になるようにする。正極活物質層3、及び、負極活物質層5のみで、固体電解質層4の抵抗の1/10以下になる場合は0um、つまり、省くことが出来る。
本発明では、正極集電体層2、正極活物質層3、負極活物質層5、及び、負極集電体層6のいずれか一層以上に炭素材料とガラスが含まれている。
まず、正極集電体層2、及び、負極集電体層6に炭素材料とガラスが含まれている場合について説明する。
図2は、本実施形態の全固体型二次電池素子1の炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層10の概念的構造を示す断面図である。炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び負極集電体層10は、固体電解質11、炭素材料12、ガラス13から構成され、それぞれが混ざった構造を有している。
炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層10における炭素材料12の含有量は、炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層10に対して一層あたり30vol%〜80vol%であることが好ましい。30vol%未満であると、炭素材料12の導電助剤としての作用が小さくなり、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。80vol%より大きいと、焼成によって焼き固めることが困難になるため、素地の強度の低下や、接着作用の低下により、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。
炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層10におけるガラス13の含有量は、炭素材料12の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることが好ましい。0.5vol%未満であると焼結補助の効果が弱くなり、炭素材料12と固体電解質11との界面抵抗が大きくなるため、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。10vol%より大きいと炭素材料12と固体電解質11との間や集電体層内に導電性が低いガラスの構成比が増え抵抗になるため、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく放電レートの向上効果が低下する。
続いて、正極活物質層3、及び、負極活物質層5に炭素材料とガラスが含まれている場合について説明する。
図3は、本実施形態の全固体型二次電池素子1の炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20の概念的構造を示す断面図である。炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20は、活物質21、炭素材料22、ガラス23から構成され、それぞれが混ざった構造を有している。
炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20における、炭素材料22の含有量は、炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20に対して一層あたり0.1vol%〜50vol%であることが好ましい。0.1vol%未満であると、炭素材料22の導電助剤としての作用が小さくなり、正極活物質層、及び、負極活物質層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。50vol%より大きいと、活物質21の構成比が減少するため電池の容量が低下してしまう。
炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20におけるガラス23の含有量は、炭素材料22の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることが好ましい。0.5vol%未満であると焼結補助の効果が弱くなり、活物質21と炭素材料22との界面抵抗が大きくなるため、正極活物質層、及び、負極活物質層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。10vol%より大きいと活物質21と炭素材料22との間や集電体層内に導電性が低いガラスの構成比が増え抵抗になるため、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく放電レートの向上効果が低下する。
また、炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層10、及び、炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層20は、より好ましくは、炭素材料がガラス膜で覆われた構造を持つことが好ましい。
図4は、本実施形態の全固体型二次電池素子1の、ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層30、の概念的構造を示す断面図である。ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層30は、固体電解質31、炭素材料32、炭素材料32の表面を覆うガラス膜33から構成され、各材料が混ざった構造を有している。
このように、炭素材料32の表面をガラス膜33で覆うことによって、炭素材料32と固体電解質31の接合を効率よく行うことが出来、正極集電体層、及び、負極集電体層を擬似的に焼結することが出来る。そして、焼結することで導電助剤としての炭素材料32と固体電解質31との界面抵抗を低くすることができ、放電レート特性が向上する。
ガラス膜33で覆われた炭素材料32が含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層30における含有量は、ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層30に対して一層あたり30vol%〜80vol%であることが好ましい。30vol%未満であると、炭素材料32の導電助剤としての作用が小さくなり、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。80vol%より大きいと、焼成によって焼き固めることが困難になるため、素地の強度が低下したり、接着作用が低下し、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下したりする。
炭素材料のガラス膜で覆われる割合である被覆率は、特に制限はないが、100%、且つ、ガラス膜が厚いと正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が低下する。そのため、ガラス膜で覆われた炭素材料を作製する際、ガラスの含有量は炭素材料の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることが好ましい。
0.5vol%未満であると焼結補助の効果が弱くなり、炭素材料32と固体電解質31との界面抵抗が大きくなるため、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。10vol%より大きいと炭素材料32と固体電解質31との間や正極集電体層内、及び、負極集電体層内に導電性が低いガラスの構成比が増え抵抗になるため、正極集電体層、及び、負極集電体層の導電性が向上しにくく放電レートの向上効果が低下する。
図5は、本実施形態の全固体型二次電池素子1のガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層40の概念的構造を示す断面図である。ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層40は、活物質41、炭素材料42、炭素材料42の表面を覆うガラス膜43から構成され、各材料が混ざった構造を有している。
ガラス膜43で覆われた炭素材料42に含まれるガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層40における炭素材料42の含有量は、ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層40に対して一層あたり0.1vol%〜50vol%であることが好ましい。0.1vol%未満であると、炭素材料42の導電助剤としての作用が小さくなり、正極活物質層、及び、負極活物質層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。50vol%より大きいと、活物質41の構成比が減少するため電池の容量が低下する。
炭素材料42のガラス膜43で覆われる割合である被覆率は、特に制限はないが、100%、且つ、ガラス膜43が厚いと活物質層の導電性が低下する。そのため、ガラス膜43で覆われた炭素材料42を作製する際、ガラスの含有量は炭素材料42の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることが好ましい。
0.5vol%未満であると焼結補助の効果が弱くなり、活物質41と炭素材料42との界面抵抗が大きくなるため、正極活物質層、及び、負極活物質層の導電性が向上しにくく、放電レートの向上効果が低下する。10vol%より大きいと炭素材料42と活物質41との間や正極活物質層内、及び、負極活物質層内に導電性が低いガラスの構成比が増え抵抗になるため、正極活物質層、及び、負極活物質層の導電性が向上しにくく放電レートの向上効果が低下する。
(全固体型二次電池の構造)
図6は本実施形態の一例にかかる全固体型二次電池100の概念的構造を示す断面図である。本実施形態の全固体型二次電池100は、正極集電体層101、正極活物質層102、固体電解質層103、負極活物質層104、負極集電体層105から構成され、それぞれが積層された構造である。正極集電体層101、正極活物質層102、固体電解質層103、負極活物質層104、負極集電体層105の順に積層された部分が、図1の全固体型二次電池素子1にあたる。図6では、全固体型二次電池素子1が、正極集電体層101、正極活物質層102、固体電解質層103、負極活物質層104、負極集電体層105の順と、負極集電体層105、負極活物質層104、固体電解質層103、正極活物質層102、正極集電体層101の順で積層された構造を有している。そして、全固体型二次電池100は、左右の端部に全固体型二次電池素子の正極集電体層101、及び、正極活物質102と、負極活物質104、及び、負極集電体105とが左右それぞれの端部に露出する構造を有している。そして、全固体型二次電池100の上下には最外装固体電解質層106を備える。
そして、全固体型二次電池100の左右それぞれの端部より表面に露出する正極集電体層101または負極集電体層105と接し電気的導通を取るための端子電極107を備える。
(構成する部材の説明)
以下に、全固体型二次電池を構成する部材について説明する。
(固体電解質)
本実施形態の全固体型二次電池の固体電解質層を構成する固体電解質としては、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料を用いるのが好ましい。例えば、La0.5Li0.5TiOなどのペロブスカイト型化合物や、Li14Zn(GeOなどのリシコン型化合物、LiLaZr12などのガーネット型化合物、Li1.3Al0.3Ti1.7(POやLi1.5Al0.5Ge1.5(POなどのナシコン型化合物、Li3.25Ge0.250.75やLiPSなどのチオリシコン型化合物、LiS−PやLiO−V−SiOなどのガラス化合物、LiPOやLi3.5Si0.50.5やLi2.9PO3.30.46などのリン酸化合物、よりなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本実施形態の全固体型二次電池の固体電解質層を構成する固体電解質の粒径は、0.1μm以上4.0μm以下であることが望ましい。0.1μm以上4.0μm以下であれば、固体電解質層に巨大な空隙が残存し難く、薄くかつ緻密に形成することができる。
(正極活物質、及び、負極活物質)
本実施形態の全固体型二次電池の正極活物質層、及び、負極活物質層を構成する正極活物質、及び、負極活物質としては、リチウムイオンを効率よく挿入、脱離できる材料を用いるのが好ましい。
例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物を用いるのが好ましい。具体的には、リチウムマンガン複合酸化物LiMnx3Ma1−x3(0.8≦x3≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNix4Coy4Mnz4(x4+y4+z4=1、0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMbPO(ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素)、リン酸バナジウムリチウム(Li(POまたはLiVOPO)、Li過剰系固溶体正極LiMnO−LiMcO(Mc=Mn、Co、Ni)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNix5Coy5Alz5(0.9<a<1.3、0.9<x5+y5+z5<1.1)で表される複合金属酸化物のいずれかであることが好ましい。
特に、固体電解質層にLi1+x2Alx2Ti2−x2(PO(0≦x2≦0.6)、正極活物質層、及び、負極活物質層の一方、または、両方にLiVOPO及びLi(POの一方または両方を用いると、正極活物質及び負極活物質の一方、または、両方と固体電解質の界面における接合が強固なものになると同時に、接触面積を広くできるため望ましい。
また、正極活物質層、または、負極活物質層を構成する活物質には明確な区別がなく、2種類の化合物の電位を比較して、より貴な電位を示す化合物を正極活物質として用い、より卑な電位を示す化合物を負極活物質として用いることができる。また、リチウムイオン放出能とリチウムイオン吸蔵能を同時に併せ持つ化合物であれば、正極活物質層、及び、負極活物質層に同一の化合物を用いてもよい。
本実施形態の全固体型二次電池の正極活物質層、及び、負極活物質層を構成する正極活物質、及び、負極活物質の粒径は、0.1μm以上4.0μm以下であることが望ましい。0.1μm以上4.0μm以下であれば、正極活物質層、及び、負極活物質層に巨大な空隙が残存し難く、薄くかつ緻密に形成することができる。
(集電体)
本実施形態の全固体型二次電池の正極集電体層、及び、負極集電体層を構成する材料としては、電子伝導率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、炭素材料、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、及び、ニッケルのいずれかの金属、または、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルのいずれかを含む合金、あるいはそれらの金属や合金から選ばれる2種以上の混合物を用いるのが好ましい。特に、炭素材料や銅は固体電解質層のLi1+x2Alx2Ti2−x2(PO(0≦x2≦0.6)と反応し難く、さらに全固体型二次電池素子の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。
また、全固体型二次電池の正極集電体層、及び、負極集電体層は、それぞれが接する正極活物質層、または、負極活物質層の構成材料である正極活物質、または、負極活物質が添加されていてもよい。
(炭素材料)
本実施形態の全固体型二次電池の正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、及び、負極集電体層を構成する炭素材料としては、電子伝導率が大きい材料を用いるのが好ましく、sp2結合の比率が多い炭素材料が好ましい。例えば、グラファイト、アセチレンブラック、グラッシーカーボン、カーボンナノチューブ、炭素繊維、グラフェン、天然黒鉛などが挙げられる。特に、グラファイト、アセチレンブラック、グラッシーカーボンはガラスとの接着性が良く、放電レートの向上効果が大きいので好ましい。
正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、及び、負極集電体層を構成する炭素材料の形状としては、粒子状、鎖状、針状、板状など形状は自由に選ぶことが出来る。大きさは、短径0.01μm以上4.0μm以下、長径0.03μm以上10μm以下であることが望ましい。
(ガラス)
本実施形態の全固体型二次電池の正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、及び、負極集電体層を構成するガラスとしては、固体電解質や活物質に対して安定であり、固体電解質や活物質の焼成温度よりガラス軟化点が低いガラスを用いること、全固体型二次電池の焼成温度周辺で発泡しないガラスであることが好ましい。例えば、LiO、LiPO、NaO、KO、MgO、CaO、BaO、SrO、SiO、B、ZrO、ZnOのいずれかを含むガラスであることが好ましい。ガラスは全固体型二次電池を構成する部材によって、LiO、LiPO、NaO、KO、MgO、CaO、BaO、SrO、SiO、B、ZrO、ZnOのいずれかを主成分とするガラス、あるいはそれらのガラスを2種類以上含む複合ガラスを用いることが出来る。このようにして、全固体型二次電池の焼成温度に最適なガラスを選択する。
正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、及び、負極集電体層を構成するガラスの粒径としては、0.05μm以上2.0μm以下であることが望ましい。0.05μm以上2.0μm以下であれば、正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、及び、負極集電体層に巨大な空隙が残存し難く、薄くかつ緻密に形成することができる。
(焼結助剤)
本実施形態の全固体型二次電池の固体電解質層と正極活物質層、及び、負極活物質層の構成される材料の粒径を制御するために、固体電質層、または、正極活物質層、または、負極活物質層は焼結助剤を含んでいてもよい。焼結助剤の種類は特に限定されず、リチウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化ビスマス、酸化リンよりなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
(端子電極)
全固体型二次電池100の端子電極107の材料の具体例としては、金(Au)、白金(Pt)、白金(Pt)−パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銀(Ag)−パラジウム(Pd)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、インジウム、インジウム−鈴酸化膜(ITO)、などの、電気的導通がとれ、抵抗の小さいものを用いることが出来る。
端子電極107の形成方法は限定されないが、積層セラミックコンデンサや積層セラミック電池部品などに用いられている技術を用いることができる。
(全固体型二次電池の製造方法)
本実施形態の全固体型二次電池は、全固体型二次電池を構成する正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層の材料をペースト化し、塗布乾燥してグリーンシートを作製し、係るグリーンシートを積層し、作製した積層体を同時に焼成することにより製造する。
ペースト化の方法は、特に限定されないが、例えば、ビヒクルに上記各材料の粉末を混合してペーストを得ることができる。ここで、ビヒクルとは、液相における媒質の総称である。ビヒクルには、溶媒、バインダーが含まれる。係る方法により、正極集電体層用のペースト、正極活物質層用のペースト、固体電解質層用のペースト、負極活物質層用のペースト、負極集電体層用のペースト、誘電体層または固体電解質層用のペースト、及び、集電体層用のペーストを作製する。
作製したペーストをPETなどの基材上に所望の順序で塗布し、必要に応じ乾燥させた後、基材を剥離し、グリーンシートを作製する。ペーストの塗布方法は、特に限定されず、スクリーン印刷、塗布、転写、ドクターブレード等の公知の方法を採用することができる。
作製したグリーンシートやペーストが塗布されたグリーンシートを所望の順序、積層数で積み重ね、必要に応じアライメント、切断等を行い、積層体を作製する。並列型または直並列型の電池を作製する場合は、正極集電体層の端面と負極集電体層の端面が一致しないようにアライメントを行い積み重ねるのが好ましい。
また、図6の全固体型二次電池に示す最外装固体電解質層を設けるために、積層体を作製する最初と最後に固体電解質のグリーンシートを積み重ねてもよい。
作製した積層体を一括して圧着する。圧着は加熱しながら行うが、加熱温度は、例えば、40〜90℃とする。
圧着した積層体を、例えば、窒素雰囲気下で加熱し焼成を行う。本実施形態の全固体型二次電池10の製造では、焼成温度は、720〜1000℃の範囲とするのが好ましい。720℃未満ではチタン及びアルミニウムの拡散や焼結が十分進まず、1000℃を超えるとリン酸バナジウムリチウムが融解するなどの問題が発生するためである。さらに750〜900℃の範囲とするのがより好ましい。750〜900℃の範囲とする方が、チタン及びアルミニウムの拡散や焼結の促進、製造コストの低減により好適である。焼成時間は、例えば、0.1〜3時間とする。
(端子電極の形成)
続いて、得られた素子の両端面に、端子電極107を形成するために、端子電極用ペーストをディップにより形成する。端子電極用ペーストはCu電極ペースト、AgZn電極ペーストやAl電極ペーストなどを用いればよい。
続いて、端子電極用ペーストが形成された素子を、400〜700℃で焼付けた後、はんだめっきを行い、図6に示すような全固体型二次電池を作製することが出来る。
なお、端子電極107は、スパッタリングなどの成膜法により形成しても良い。
(ガラス膜で覆われた炭素材料の作製方法)
図4と図5に用いられるような、ガラス膜に覆われた炭素材料の作製方法を説明する。炭素材料をガラスで覆う処理はディップ法やドリアコート法が挙げられる。
ディップ法は、ガラスが分散されたガラススラリーに炭素材料を加え、撹拌し、乾燥することでガラス膜に覆われた炭素材料の前駆体を作製する。この前駆体を還元雰囲気で450℃〜800℃で熱処理することによってガラス膜で覆われた炭素材料を作製する。
上記、ガラススラリーにはガラス、バインダー、溶媒、分散剤が含まれている。バインダーはPVA、アクリル樹脂、PVBなどを使用する。溶媒はエタノール、n−プロパノールなどのアルコール類や水を使用する。分散剤は使用するガラスや溶媒により最適なものを選ぶ。
ドリアコート法は、ディップ法と同様にガラスが分散されたガラススラリーを用意し、ドリアコーターを用いて炭素材料にガラススラリーを噴霧、コーティング、乾燥を行いガラス膜に覆われた炭素材料の前駆体を作製する。この前駆体を還元雰囲気で450℃〜800℃で熱処理することによってガラス膜で覆われた炭素材料を作製する。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で変形可能である。
(実施例1)
以下に、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(正極活物質及び負極活物質の作製)
正極活物質及び負極活物質として、以下の方法で作製したLi(POを用いた。LiCOとVとNHPOとを出発材料とし、これらをモル比3:2:6となるように秤量し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥した。得られた粉体を850℃で2時間、窒素水素混合ガス中で仮焼した。仮焼品を粗粉砕し、水を溶媒としてボールミルで24時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して正極活物質粉末及び負極活物質粉末を得た。この粉体の平均粒径は0.2μmであった。作製した粉体の組成がLi(POであることは、X線回折装置を使用して確認した。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末であるLi(POとKS−6(TIMICAL Graphite & Carbon社製:平均粒径3.4μm)とSiO2系ガラス(奥野製薬ガラス社製:平均粒径0.5μm)を体積比がLi(PO:KS−6:SiO2系ガラス=99.897:0.1:0.003となるように混合した。次いで、Li(POとKS−6とSiO2系ガラスの混合粉の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール65とを加えて、三本ロールで混練・分散して正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製した。
(固体電解質シートの作製)
固体電解質として、以下の方法で作製したLi1.3Al0.3Ti1.7(POを用いた。LiCOとAlとTiOとNHPOを出発材料として、これらをモル比0.65:0.15:1.7:3となるように秤量し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥した。得られた粉体を800℃で2時間、空気中で仮焼した。仮焼品を粗粉砕し、水を溶媒としてボールミルで18時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して固体電解質の粉末を得た。この粉体の平均粒径は0.6μmであった。作製した粉体の組成がLi1.3Al0.3Ti1.7(POであることは、X線回折装置を使用して確認した。
次いで、この粉末を重量比100に対して、溶媒としてエタノール100、トルエン200をボールミルで加えて湿式混合した。その後ポリビニールブチラール系バインダー16とフタル酸ベンジルブチル4.8をさらに投入し、混合して固体電解質ペーストを調製した。この固体電解質ペーストをドクターブレード法でPETフィルムを基材としてシート成形し、厚さ15μmの固体電解質シートを得た。
(集電体ペーストの作製)
集電体として用いるCu粉末の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース10と、溶媒としてジヒドロターピネオール50を加えて三本ロールで混練・分散して集電体ペーストを作製した。Cuの平均粒径は0.6μmであった。
(端子電極ペーストの作製)
銀粉末とエポキシ樹脂、溶剤とを三本ロールで混錬・分散し、熱硬化型の端子電極ペーストを作製した。
これらのペーストを用いて、以下のようにして、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、負極集電体層が積層され、正極集電体層と正極活物質層を含む正極と、負極活物質層と負極集電体層を含む負極とが、それぞれ対面に位置する端子側に露出するように積層され、外装と端子電極を備えた全固体型二次電池を作製した。尚、炭素材料とガラスを含む層は正極活物質層と負極活物質層である。
(集電体及び活物質ユニットの作製)
上記の固体電解質シート上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを印刷した。次に、印刷した正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを80℃で10分間乾燥し、更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで集電体ペーストを再度印刷した。次に、印刷した集電体ペーストを80℃で10分間乾燥し、更にその上に、スクリーン印刷により厚さ5μmで正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを再度印刷した。印刷した正極活物質ペーストを80℃で10分間乾燥し、次いでPETフィルムを剥離した。このようにして、固体電解質シート上に、正極活物質ペースト及び負極活物質ペースト、集電体ペースト、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストがこの順に印刷・乾燥された集電体及び活物質ユニットのシートを得た。
(積層体の作製)
固体電解質シートを10枚積み重ね、集電体及び活物質ユニット26枚を、ペースト印刷面を下にして積み重ねた。このとき、奇数枚目の集電体ユニットの集電体ペースト層が一の端面にのみ延出し、偶数枚目の集電体ユニットの集電体ペースト層が他の面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねた。そして、固体電解質シートを10枚積み重ねた。その後、これを温度80℃で圧力1000kgf/cm(98MPa)で成形し、次いで切断して積層ブロックを作製した。その後、積層ブロックを同時焼成して積層体を得た。同時焼成は、窒素中で昇温速度200℃/時間で焼成温度840℃まで昇温して、その温度に2時間保持し、焼成後は自然冷却した。同時焼成後の電池外観サイズは、3.2mm×2.5mm×1.0mmであった。
(端子電極形成工程)
積層体の端面に端子電極ペーストを塗布し、150℃、30分の熱硬化を行い、一対の端子電極を形成して全固体型二次電池を得た。
(実施例2〜6)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例1と同様に行い、積層体を作製した。具体的には、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの、Li(POとKS−6とSiO系ガラスの体積比がLi(PO:KS−6:SiO系ガラス=98.97:1:0.03(実施例2)、94.85:5:0.15(実施例3)、89.7:10:0.3(実施例4)、69.1:30:0.9(実施例5)、48.5:50:1.5(実施例6)となるようにそれぞれ正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製し、全固体型二次電池を作製した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(実施例7)
以下に説明する炭素材料へのガラス膜形成と、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例1と同様に行い、積層体を作製した。正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストについては、炭素材料とガラスの基材を変更した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(炭素材料へのガラス膜の形成)
LiPO系ガラス(平均粒径:0.5μm、比重約2.5)1wt%のスラリーを調合し、このスラリー250mlに炭素材料であるHS−100(デンカ社製:平均粒径0.05μm、比重約2.0)40gを加え、撹拌したのち、一晩乾燥し、スラリーの溶媒を蒸発させ、ガラス膜に覆われた炭素材料の前駆体を作製した。次いで、箱型電気炉を用いて、窒素雰囲気にて600℃2時間の熱処理を行うことで、ガラス膜に覆われた炭素材料を作製した。炭素材料がガラス膜に覆われたこと、ガラス膜の被覆状態については、SEMで観察し確認した。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末であるLi2(POと上記で作製したガラス膜に覆われた炭素材料を体積比がLi(PO:ガラス膜に覆われた炭素材料=99.895:0.105となるように混合した。次いで、Li(POとガラス膜に覆われた炭素材料の混合粉の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール65とを加えて、三本ロールで混練・分散して正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製した。
(実施例8〜12)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例7と同様に行い、積層体を作製した。具体的には、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの、Li(POとガラス膜に覆われた炭素材料の体積比がLi(PO:ガラス膜に覆われた炭素材料=98.97:1.03(実施例8)、94.85:5.15(実施例9)、89.7:10.3(実施例10)、69.1:30.9(実施例11)、48.5:51.5(実施例12)となるようにそれぞれ正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製し、全固体型二次電池を作製した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(実施例13、14)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例1と同様に行い、積層体を作製した。具体的には、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの、Li(POとKS−6とSiO系ガラスの体積比がLi(PO:KS−6:SiO系ガラス=89.95:10:0.05(実施例3)、89:10:1(実施例14)となるようにして、炭素材料の含有量に対するガラスの含有量をそれぞれ変更して、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製し、全固体型二次電池を作製した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(実施例15)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例4と同様行い、積層体を作製した。正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストについては、炭素材料の基材を変更した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末であるLi(POとグラッシーカーボン粉末(東海カーボン社製:平均粒径2μm)とSiO系ガラス(奥野製薬ガラス社製)を体積比がLi(PO:グラッシーカーボン粉末:SiO系ガラス=89.7:10:0.3となるように混合した。次いで、Li(POとグラッシーカーボン粉末とSiO系ガラスの混合粉の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール65とを加えて、三本ロールで混練・分散して正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製した。
(実施例16)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例4と同様行い、積層体を作製した。正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストについては、炭素材料の基材を変更した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末であるLi(POとカーボンナノチューブ粉末(マイクロヒェーズ社製:平均直径0.05μm)とSiO系ガラス(奥野製薬ガラス社製)を体積比がLi(PO:カーボンナノチューブ粉末:SiO系ガラス=89.7:10:0.3となるように混合した。次いで、Li(POとカーボンナノチューブ粉末とSiO系ガラスの混合粉の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール65とを加えて、三本ロールで混練・分散して正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製した。
(実施例17)
集電体ペーストの作製以外は実施例3と同様にして全固体型二次電池を作製した。集電体ペーストについて、Cu粉末を炭素材料(KS−6)に変更した。以下に集電体ペーストの作製について説明する。
(集電体ペーストの作製)
集電体ペーストは、KS−6(平均粒径3.4μm)と固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(POとSiO系ガラスを体積比がKS−6:Li1.3Al0.3Ti1.7(PO:SiO系ガラス=70:26.5:3.5となるように混合した。次いで、KS−6とLi1.3Al0.3Ti1.7(POとSiO系ガラスの混合粉の重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール60を加えて三本ロールで混練・分散して集電体ペーストを作製した。
(実施例18)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例1と同様行い、積層体を作製した。具体的には、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの、Li(POとKS−6とSiO系ガラスの体積比がLi(PO:KS−6:SiO系ガラス=38.2:60:1.8となるようにして、炭素材料の含有量とガラスの含有量を変更して、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製し、全固体型二次電池を作製した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(比較例1)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例4と同様行い、積層体を作製した。正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストについて、炭素材料とガラスを含まない正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを用いた。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストは、この正極活物質粉末及び負極活物質粉末であるLi(POの重量比100に対して、バインダーとしてエチルセルロース15と、溶媒としてジヒドロターピネオール65とを加えて、三本ロールで混練・分散して正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製した。
(比較例2、3)
正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの作製以外は実施例4と同様行い、積層体を作製した。具体的には、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストの、Li(POとKS−6とSiO系ガラスの体積比がLi(PO:KS−6:SiO系ガラス=89.97:10:0.03(比較例2)、88.8:10:1.2(比較例3)となるようにして、炭素材料の含有量に対するガラスの含有量をそれぞれ変更して、正極活物質ペースト及び負極活物質ペーストを作製し、全固体型二次電池を作製した。尚、作製した全固体型二次電池の体積は実施例1とほぼ同様であり、実施例1と同様の構造を持った25層の全固体型二次電池である。
(放電レート特性の評価)
それぞれの作製した全固体型二次電池の端子電極をバネ付けピンで固定するタイプの治具に取り付け、放電レート特性の評価を行った。
測定条件は、充電時の電流はいずれも10.0μAで行い、放電レートの評価には放電電流値が10.0μA、100μA、500μAの放電容量を測定した。充電時及び放電時の打ち切り電圧をそれぞれ1.8V及び0Vとした。表1に測定した放電容量を示した。
Figure 2018170189
表1より、実施例1〜18の炭素材料とガラスを含む正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、負極集電体層を持つ全固体型二次電池の方が、比較例1の正極集電体層、正極活物質層、負極活物質層、負極集電体層に炭素材料とガラスを含まない全固体型二次電池より、放電レート500μAでの放電容量が大きい。つまり、より早い放電を可能であり放電レート特性が優れていることが分かる。
また、ガラスの炭素に対する含有量について、実施例6、13、14と比較例2、3の全固体型二次電池を比較すると、実施例6、13、14の全固体型二次電池の方が、比較例2、3の全固体型二次電池よりも、放電レート500μAでの放電容量が大きい。比較例2は層間剥離が発生している。これは、炭素材料と活物質の接着が不十分であったと考えられる。比較例3は、ガラスの炭素に対する含有量を12vol%と多くしたことによって、炭素材料と活物質間のガラス膜が厚くなり、正極活物質層、及び、負極活物質層の抵抗が高くなったため、放電レートが低下したと考えられる。
また、炭素材料の1層当たりの割合について、実施例1〜6と比較例1、実施例18を比較すると、実施例1〜6の全固体型二次電池の方が、比較例1の全固体型二次電池よりも、放電レート500μAでの放電容量が大きい。実施例18の全固体型二次電池は、放電レート500μAでの放電容量は実施例1〜6の全固体型二次電池と同等であるが、放電レート10μAでの放電容量が小さい。これは、炭素材料の含有量を大きくすると、活物質の含有量が小さくなるため、同じ設計、体積の全固体型二次電池である場合、電池の容量そのものが小さくなるためである。
また、炭素材料の種類について、実施例4、10、15、16を比較すると、炭素材料として、KS−6のグラファイト、HS−100のアセチレンブラック、グラッシーカーボン粉末を用いた全固体型二次電池の方が、炭素材料として、カーボンナノチューブ粉末を用いた全固体型二次電池よりも放電レート500μAでの放電容量が大きい。これは、炭素材料を構成する炭素六員環の終端部分であるエッジ部分の割合の多さが関係しているのではないかと考えている。
より大きな電力を必要とする電子機器の電源として利用することが出来るようになり、全固体型二次電池の用途が拡大できる。
1 全固体型二次電池素子
2 正極集電体層
3 正極活物質層
4 固体電解質層
5 負極活物質層
6 負極集電体層
10 炭素材料とガラスが含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層
11 固体電解質
12 炭素材料
13 ガラス
20 炭素材料とガラスが含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層
21 活物質
22 炭素材料
23 ガラス
30 ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極集電体層、及び、負極集電体層
31 固体電解質
32 炭素材料
33 ガラス膜
40 ガラス膜を持つ炭素材料が含まれる正極活物質層、及び、負極活物質層
41 活物質
42 炭素材料
43 ガラス膜
100 全固体型二次電池
101 正極集電体層
102 正極活物質層
103 固体電解質層
104 負極活物質層
105 負極活物質層
106 最外装固体電解質層
107 端子電極

Claims (4)

  1. 正極集電体層と、正極活物質層と、固体電解質層と、負極活物質層と、負極集電体層と、を備え、
    正極集電体層と、正極活物質層と、負極活物質層と、負極集電体層の少なくとも1層以上に、炭素材料とガラスが含まれることを特徴とする全固体型二次電池。
  2. 前記ガラスの含有量は、前記炭素材料の含有量に対して0.5vol%〜10vol%であることを特徴とする請求項1に記載の全固体型二次電池。
  3. 前記正極活物質層、または、前記負極活物質層に含まれる前記炭素材料の含有量は一層あたり0.1vol%〜50vol%であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の全固体型二次電池。
  4. 前記炭素材料は、グラファイト、アセチレンブラック、グラッシーカーボンのいずれか1種以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれかに記載の全固体型二次電池。


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