JP2018168430A - アルミニウム多孔質体およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム多孔質体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】、熱媒体との接触面積の大きい三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔質体において、沸騰冷却の効率が高いアルミニウム多孔質体を提供すること。【解決手段】アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成されたアルミニウム多孔質体であって、前記骨格の内部に空隙部を有するとともに、前記骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を有するアルミニウム多孔質体とする。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連通する連通孔が形成される三次元網目状構造を有する多孔質体に関し、特に、沸騰冷却装置の沸騰伝熱面に好適なアルミニウム多孔質体に関する。
沸騰冷却装置とは、発熱体から生じる熱により液体を沸騰させ、その時生じる潜熱により発熱体を冷却する装置である。このような沸騰冷却装置は、主に絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電子機器の冷却器として用いられているが、近年、発熱体となる素子の高密度化高集積化に伴い、より高効率な冷却装置が要望されている。
このような沸騰冷却装置において、沸騰伝熱面に、三次元網目状構造を有する金属多孔質体を適用することが検討されている。三次元網目状構造を有する金属多孔質体は、図5に示すように、三次元状に連結する金属製の骨格を有し、この骨格により三次元状に連通する気孔が形成された構造となっており、骨格の比表面積が大きいことから、熱媒体との接触面積が大きく、かつ骨格が金属製であるため、発熱体からの熱が効率よく熱媒体へ伝達して、熱媒体の沸騰を促進することが期待されている。
しかしながら、沸騰冷却の効率を向上させるためには、液体を沸騰させる沸騰伝熱面への熱伝達を向上させ、発泡を促進させることが重要である。そのためには伝熱面の表面に気泡が存在しやすい構造を有することが好適であり、入口が内部よりも小さい形の窪み(キャビティ)が有効であると考えられてきた。
また、沸騰冷却の場合、伝熱面の比表面積が高いほど伝熱効率が向上するため、表面粗さが粗いほど比表面積が向上することで伝熱面積が向上すると考えられてきた。これらの様な金属表面に機能性構造を付与したり、比表面積が向上する方法より作製される金属多孔質体を沸騰伝熱面として用いることが検討されてきており、以下の技術が開示されている。
金属表面についての従来の高比表面積化処理方法は、メッキ、蒸着、溶射、ブラスト等の物理的な方法、エッチング等の化学的な方法があった。物理的方法では、特許文献1には、放熱体の放熱面に微小量の塗料を塗布後にメッキを行ない、ついで塗料を除去することによって放熱面に微細孔を形成する技術が開示されている。特許文献2は、伝熱面に金属粒子を積み上げた後に金属被膜を形成して多孔質層を形成する技術が開示されている。特許文献3には、基板上に微細なアルミニウム粒子とアルミニウム系ろう材粒子の混合物の層を形成し、ろう材を溶融させてアルミニウム粉末同士をアルミニウム合金で接合し、多孔質層を形成する技術が開示されている。特特許文献4には、金属材料の表面に基板より十分な硬さを有する平均粒径が15〜100μmの微粒子(アルミニウム酸化物(アランダム)、シリコンカーバイド(カーボランダム)、スチールグリッド等)を100m/秒以上の速度で噴射して吹き付けする方法が開示されている。さらに、同じ手法で平均粒径が0.1〜15μmの微粒子(アルミニウム酸化物、その他の酸化物、炭化物、窒化物、Cu−Zr、Cu−Cr、Cu−Ti等)を前記の噴射法で粗くした表面に衝突させて分散させることにより、更に微細粗面化する方法が記載されている。化学的方法では、特許文献5には遷移金属と亜鉛を有する酸性エッチング溶液と接触させることによりアルミニウム又はアルミニウム合金に粗化表面を形成する方法が開示されている。特許文献6には銅管の内表面および外表面のいずれか一方に、長さ0.05〜2.0μmの酸化銅の針状体を多数形成する技術が開示されている。
特開2011−225950号公報 特開昭56−16693号公報 特開2012−41579号公報 特開2011−195949号公報 米国特許第5895563号公報 特開昭55−63397号公報 国際公開WO2015/046623号公報
前述の特許文献1に開示された粗化方法には、メッキ法は電気化学的に被覆できる金属元素が限られており、異種金属とアルミニウム酸化層との接合性および熱伝導率の比較的高い純アルミニウムでの作製が困難等の問題がある。蒸着法は真空システムを必要とするため、設備費用が高くなる。溶射法、ブラスト法等は一般的に平面を一方向から処理するため、ここで述べている三次元網目状構造を均一に粗化することが困難である。エッチング等の化学的な方法は特殊な処理剤を必要とするため設備、廃液処理および高コスト等の課題がある。特許文献3〜5では亜鉛イオン等の遷移金属イオンまたはフッ化物イオンとチオ化合物を含むエッチング溶液を用いるため、生体毒性または環境に対する廃水処理の問題点が残っている。これらに対し特許文献7のアルミニウム多孔質体は純アルミニウムでアルミニウム多孔質体を構成したもので熱伝導率の高いアルミニウム多孔質体を記載するが、沸騰冷却装置の沸騰伝熱面としての使用においてさらなる改良の余地がある。
よって、本発明は、熱媒体との接触面積の大きい三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔質体において、沸騰冷却の効率が高いアルミニウム多孔質体を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属の中でも軽量かつ熱伝導率の高いアルミニウムからなるアルミニウム多孔質体に沸騰基点を設ける検討に着手し、アルミニウム多孔質体の骨格の内部を中空にして空隙部を設け、アルミニウム多孔質体の骨格表面から骨格内部の空隙部に連通孔を形成することで、この連通孔が沸騰基点として作用することを見出した。また、このような連通孔を有するアルミニウム多孔質体を製造するにあたり、エッチング等の特殊な方法を用いることなく、製造できることを見出した。本発明のアルミニウム多孔質体およびアルミニウム多孔質体の製造方法は、これらの知見によるものである。
本発明のアルミニウム多孔質体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成されたアルミニウム多孔質体であって、前記骨格の内部に空隙部を有するとともに、前記骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を有するものとする。本発明のアルミニウム多孔質体においては、前記連通孔の大きさが1〜100μmであることが好ましく、前記骨格の表面から内部の空隙までの厚さが5〜50μmの範囲であることが好ましい。
本発明のアルミニウム多孔質体の第1の製造方法は、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の金属粉末と、前記金属粉末と化学結合する界面活性剤を含有するとともに気泡が分散する高分子水溶液からなるアルミニウムスラリーを調整し、三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連結する気孔が形成された樹脂構造体を前記アルミニウムスラリーに浸漬して付着させた後、得られたアルミニウムスラリー付着体を加熱して樹脂構造体を分解、消失させ、さらにアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点−20℃以上、かつアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点未満の温度に加熱するものである。
また、本発明のアルミニウム多孔質体の第2の製造方法は、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の金属粉末と、前記金属粉末と化学結合する界面活性剤を含有するとともに気泡が分散する高分子水溶液からなるアルミニウムスラリーを調整し、三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連結する気孔が形成された樹脂構造体を前記アルミニウムスラリーに浸漬して付着させた後、得られたアルミニウムスラリー付着体を加熱して樹脂構造体を分解、消失させ、さらにアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点以上、かつアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点+100℃の温度に加熱するものである。
本発明の第1および第2のアルミニウム多孔質体の製造方法においては、気泡発生手段により前記アルミニウムスラリーに前記気泡を発生させることが好ましく、前記気泡発生手段が超音波照射であることが好ましい。
本発明のアルミニウム多孔質体は、骨格の内部に空隙部を有するとともに、前記骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を有することから比表面積が大きく、高い熱交換率が得られる。また、骨格がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなることから軽量かつ高い熱伝導率が得られる。さらに、本発明のアルミニウム多孔質体を沸騰冷却装置の沸騰伝熱面として用いた場合、骨格表面から内部の空隙部に繋がる連通孔が沸騰起点となり、沸騰を促進させて冷却効率を高めることができる。
また、本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法は、樹脂製の三次元網目状構造体をアルミニウムスラリーに浸漬して、三次元網目状構造体の骨格表面にアルミニウムスラリーを付着させ、得られたアルミニウムスラリー付着体を加熱して樹脂構造体を分解、消失させた後、金属粉末を焼結または溶融するアルミニウム多孔質体の製造法において、アルミニウムスラリーに微細な気泡を形成することで、上記の骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を形成するものであり、エッチング等の特殊な処理を追加することなく、上記のアルミニウム多孔質体を製造することができるものである。
本発明のアルミニウム多孔質体の模式図である。 本発明のアルミニウム多孔質体の骨格断面の模式図である。 実施例における本発明のアルミニウム多孔質体の外観を示すSEM像である。 本発明のアルミニウム多孔質体の応力−ひずみ線図である。 従来のアルミニウム多孔質体の模式図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
[アルミニウム多孔質体]
本発明のアルミニウム多孔質体はアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。アルミニウム多孔質体は、図1に示すように、骨格が三次元状に連結した網目状の構造を有した三次元網目状構造体として形成される。三次元網目状構造体は、骨格の表面積を大きくすることができ、沸騰冷却器用の沸騰伝導面として用いた場合に、熱伝達を効率よく行うことができる。また、沸騰冷却器用の沸騰伝導面は、金属多孔質体の壁部から液体へ熱交換されることで液体を沸騰させ、その潜熱により壁部の冷却を行うが、沸騰時に発生した気泡がそのまま壁部に接触して留まると液体と壁部の間の熱交換ができなくなるため、発生した気泡は直ちに金属多孔質体外部に排出されることが好ましい。このような発生した気泡の泡抜け性(気泡の排出性)の点からも、三次元網目状構造体とすると、気孔率を高くすることができ、泡抜け性を良好なものとすることができる。
本発明のアルミニウム多孔質体は、上記の三次元網目状構造体の骨格の内部に空隙部を有しており、さらに骨格表面には骨格内部の空隙部と連通する連通孔が形成されている。図2は骨格の断面の模式図である。骨格の断面形状は略三角形であり、骨格の内部に略三角形の空隙部を有する。連通孔は、骨格表面から略鉛直方向に形成され骨格内部の空隙部に連通する。
本願発明のアルミニウム多孔質体においては、金属多孔質体の壁部から液体へ熱交換されることで液体を沸騰させ、その潜熱により壁部の冷却を行うが、この連通孔を基点として液体が沸騰することにより、液体が沸騰して気化することにより生じる気泡を微細なものとして、気泡の泡抜け性(気泡の排出性)をより良好なものとして、熱交換の効率を向上させることができる。
本発明のアルミニウム多孔質体において、骨格表面に形成される連通孔の大きさdは、微細であると液体の沸騰の基点となりにくく熱交換の効率が向上しない。この観点から骨格表面に形成される連通孔の大きさdは1μm以上であることが好ましい。その一方で骨格表面に形成される連通孔の大きさdが過大となると、液体が沸騰して気化することにより生じる気泡が大きくなり、熱交換の効率が向上しなくなるほか、三次元網目状構造体の骨格の強度低下が著しくなる。この観点から100μm以下とすることが好ましい。
また、本発明のアルミニウム多孔質体において、骨格の表面から内部の空隙までの厚さtは、過少であると三次元網目状構造体の骨格の強度低下が著しく、一方で過大となると連通孔で発生する気泡の泡抜け性が低下することとなる。この観点から骨格の表面から内部の空隙までの厚さtは5〜50μmであることが好ましい。
なお、本発明のアルミニウム多孔質体は、Al(アルミニウム)にCu(銅)、Mn(マンガン)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)等の合金化元素を合金化させたアルミニウム合金を用いることができるが、合金化することにより熱伝導率が低下するため、Al量が95質量%以上とすることが好ましく、Al量が98質量%以上とすることがより好ましく、Al量が99質量%以上とすることがさらに好ましい。
アルミニウム多孔質体のセル数としては、特に限定するものではないが、40ppi(平均セル中心径0.64mm)、20ppi(平均セル中心径1.27mm)、13ppi(平均セル中心径1.95mm)、8ppi(平均セル中心径3.18mm)等が好ましく、特に13ppi、8ppiが更に好ましい。セルが細かすぎると、この後で行う付着工程で目詰まりが生じやすく、最終形態の金属多孔質体の気体、液体の流れが悪くなる。一方、セルが粗すぎると金属多孔質体自体の比表面積が低下するとともに熱伝導率が低下する。
アルミニウム系多孔質体の気孔率も、特に限定するものではないが、気孔率は85〜98%のものとすることができ、気孔の大きさは30〜4000μmのものとすることができる。なお、気孔率は大きくなれば気泡の泡抜け性は良好となるが、一方で表面積が小さくなり、熱交換の効率が低下することとなるので、製品設計により適宜決定することができる。
なお、多孔質体の気孔率は次のようにして求めることができる。多孔質体の縦、横および高さを測定し、多孔質体の体積を求めるとともに、多孔質体の質量を測定し、多孔質体の密度(見掛け密度)を求め、得られた多孔質体の密度を多孔質体を構成する金属の密度(比重)で除すれば、多孔質体の密度比が求められる。多孔質体の密度比は、単位体積あたりの骨格の質量率であるから、気孔率(単位体積あたりの気孔の率)は、全体から単位体積あたりの骨格の質量率(多孔質体の密度比)を減ずることで求めることができる。すなわち、下記式により求めることができる
気孔率=1−多孔質体の密度比/多孔質体を構成する金属の密度
[アルミニウム多孔質体の製造方法]
上記の三次元網目状構造体の骨格の内部に空隙部を有するとともに、骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を有するアルミニウム多孔質体は、下記のようにして製造することができる。
[連通孔発泡樹脂フォーム]
本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法においては、アルミニウム粉末を付着させて担持する基体として、三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連結する気孔が形成された樹脂構造体、すなわち連通孔発泡樹脂フォームを用いる。この連通孔発泡樹脂フォームはアルミニウム粉末が三次元構造を形成するための鋳型材となり、後述する加熱工程において、加熱されて分解、消失してアルミニウム多孔質体の骨格内部の空隙部を形成する。この連通孔発泡樹脂フォームは、具体的には、ポリウレタンフォームが最も一般的に用いられるが、他にシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂のフォーム等を用いることができる。具体的なポリウレタンフォームとしては、例えば株式会社ブリヂストン製の商品名エバーライトSFを用いることができる。
アルミニウム多孔質体の三次元網目状構造は、鋳型材となる連通孔発泡樹脂フォームの構造により形成されるので、所望のアルミニウム多孔質体の三次元網目状構造に応じて各種構造の連通孔発泡樹脂フォームを選択すればよい。例えば、アルミニウム多孔質体の空孔の径であるセル数は、特に限定するものではないが、連通孔発泡樹脂フォームとして所望のセル数のものを使用することにより、アルミニウム多孔質体の空孔の径であるセル数を制御することができる。
[アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末]
本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法において、連通孔発泡樹脂フォームに付着させる粉末は、熱伝導率が高いアルミニウム粉末を用いることが好ましいが、アルミニウム粉末に替えて、アルミニウムを強化する成分を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いてもよい。たとえば、Al(アルミニウム)にCu(銅)、Mn(マンガン)、Mg(マグネシウム)、Si(ケイ素)等の合金化元素を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いた場合は、骨格がアルミニウム合金で形成され、多孔質体の強度を向上させることができる。なお、AlにCu、Mn、Mg、Si等の合金化元素を添加することにより、熱伝導率はAl単体の場合よりも低下するが、ベース金属がAlであるため、充分に高い熱伝導率を維持することができる。
なお、以下の説明においてはアルミニウム粉末として説明するが、アルミニウム粉末に替えてアルミニウム合金粉末を用いてもよく、アルミニウム粉末とアルミニウム合金粉末の混合物を用いてもよい。
本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法において、連通孔発泡樹脂フォーム骨格に付着させるアルミニウム粉末は、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に密に付着できることから微細なものが好ましい。粉末が大きくなると連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に密に付着させることが難しくなるとともに、粉末の質量が増加することにより、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に付着し難くなったり、脱落し易くなったりする。この観点からアルミニウム粉末は、平均粒径が50μm以下のものを用いることが好ましい。さらに、粒径が100μmを超える粉末を含まないものであることが好ましい。ただし、アルミニウムは活性な金属であるため、あまりに微細な粉末は取扱いが難しくなる。この観点からアルミニウム粉末は、平均粒径が1μm以上のものを用いることが好ましい。これらアルミニウム粉末の具体例としては、ミナルコ株式会社製の、噴霧アルミニウム粉#300A、#500A、#600F、#700F、エカグラニュラー株式会社製の商品名35C、25E等がある。
[付着工程]
本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法において、連通孔発泡樹脂フォーム骨格へのアルミニウム粉末の付着は、アルミニウム粉末を分散媒中に分散させたアルミニウムスラリー(アルミニウム粉末分散液)を用い、このアルミニウムスラリー中に連通孔発泡樹脂フォームを浸漬し、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面にアルミニウム粉末を含むアルミニウムスラリーを付着させた後、連通孔発泡樹脂フォームを乾燥させて連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に付着したアルミニウムスラリーより分散媒を除去することで行う。
アルミニウムスラリー(アルミニウム粉末分散液)の分散媒としては、水、アルコール等の揮発性を有する液体が使用できる。しかしながら、分散媒としてアルコール等の揮発性を有する液体を用いる場合、揮発した液体が環境中に放出されると好ましくない。このため、揮発した液体が環境中に流出しないよう防止するとともにこれを回収するための設備が必要となり、装置が大型化するとともに、これをメンテナンスするための労力が必要となる。このため、分散媒として水を使用することが好ましい。
乾燥後に付着させた金属粉末が衝撃または振動で容易に脱落しないようにするために、分散媒に結着剤を溶解した液を用いることが好ましい。この場合の結着材としては、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、水溶性セルロース等を使用することができ、水を分散媒とする場合、これらの成分が溶解した高分子水溶液として用いることができる。例えば、結着材としてポリビニルアルコール樹脂を用いる場合、ポリビニルアルコール樹脂の濃度が数%程度となるようポリビニルアルコール樹脂を溶解した水溶液を用い、この高分子水溶液にアルミニウム粉末を添加して分散させることでアルミニウムスラリーとすることができる。アルミニウムスラリーの結着材の量は、分散液が付着工程で作業しやすい粘度となる量であればよい。さらに、アルミニウムスラリーのアルミニウム粉末が沈降しにくいように、分散媒に界面活性剤、増粘剤等を添加してもよい。
ところで、アルミニウムは水に触れると、アルミニウムイオンとなって水中に溶解し腐食が進行するので、水を分散媒とする場合、アルミニウムスラリーにおいて、アルミニウム粉末の腐食を防止する必要がある。このため本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法においては、アルミニウムスラリーの分散媒にはアルミニウムと化学結合する界面活性剤を添加する。一般的に、アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末は、表面に数nm程度の酸化皮膜(アルミニウム酸化物)を有しているが、アルミニウムと化学結合する界面活性剤は、アルミニウム粉末表面に形成されるアルミニウム酸化皮膜のさらに表面に吸着層を形成し、アルミニウム酸化皮膜の化学安定性を高め、アルミニウムの腐食防止効果を高めるとともに、アルミニウムスラリー中でのアルミニウム粉末の分散性および分散媒の粘度の安定性を高める降下を有する。アルミニウム粉末と化学結合する界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤を使用することができ、より詳しくは、シラン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、カルボン酸エステル系界面活性剤、カテコール系界面活性剤、アミン系界面活性剤、チオール系界面活性剤、アルキン系界面活性剤、アルケン系界面活性剤等を使用することができる。
これらの界面活性剤のうち、特に、有機リン化合物を用いることが好ましい。有機リン化合物の例として下記の化合物が挙げられる。リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール酸、エポキシ化合物またはアクリル化合物とリン酸の反応によるリン酸エステル。また、特に好ましい化合物は炭素数10〜18の脂肪族リン酸モノエステルで、下記のような構造を有するものの混合物である。
脂肪族リン酸モノエステル:R−O−PO(OH)
脂肪族リン酸モノエステルとしては、具体的には下記のような化合物が挙げられる。イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、ヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ノニルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ドデシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、テトラデシルアシッドホスフェート、ヘキサデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、プロピルフェニルアシッドホスフェート、ブチルフェニルアシッドホスフェートおよびブトキシエトキシエチルアシッドホスフェート等のリン酸モノエステル化合物。また、有機リン化合物としては重合体も含まれる。
上記の界面活性剤の好ましい添加量は、過少であるとアルミニウムの腐食防止の効果が乏しく、過大であってもそれ以上の効果がないため、分散媒すなわち高分子水溶液100質量部に対し、0.1〜10.0質量部とすることが好ましく、0.5〜5.0質量部とすることがより好ましい。
本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法においては、上記のアルミニウムスラリーに連通孔発泡樹脂フォームを浸漬して連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面にアルミニウムスラリーを付着させ、その後乾燥することで骨格表面にアルミニウム粉末が付着した連通孔発泡樹脂フォームを作製するが、このとき、アルミニウムスラリー中に気泡が分散したものを用いて、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に気泡を付着させることで、アルミニウム多孔質体の連通孔を形成する。すなわち、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面で気泡が付着した箇所はアルミニウムスラリーが付着しないので、後述の加熱工程により得られるアルミニウム多孔質体は、連通孔発泡樹脂フォームが消失することによりアルミニウム多孔質体の空隙部が形成されるとともに、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面のアルミニウム粉末が付着していない部分すなわち気泡が付着した部分がアルミニウム多孔質体の空隙部に連通するアルミニウム多孔質体の連通孔として形成される。
このように本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法においては、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面に付着した気泡が、そのままアルミニウム多孔質体の連通孔として形成されるものであり、上記のアルミニウムスラリーは、気泡が分散したものを用いる。
上記のアルミニウムスラリー中に気泡を分散させるにあたり、気泡発生手段を用いてアルミニウムスラリー中に気泡を分散させるとアルミニウムスラリー中の気泡の大きさを制御して、所望の大きさの連通孔を形成することができる。具体的には、超音波照射法、ガス吹き込み法、ガス加圧溶解(ガス加圧−減圧)法、気液せん断法等の方法によりアルミニウムスラリーにキャビテーションを発生させ、アルミニウムスラリー中に溶存する気体を気泡として発生させるとともに気泡の大きさを制御することができる。これらの方法のうち、より均一な微小気泡を生成できる超音波照射法を用いることが好ましい。また、超音波照射法を行う場合、他の気泡発生法と組み合わせてもよい。
前記超音波照射法には、一般的な市販される超音波発生器を使用することができる。超音波洗浄機で代用してもよい。1〜100μmの微細な気泡を発生させるにあたり、超音波照射を行う際の発振周波数は24〜100kHzとすることが好ましく、30〜50kHzとすることがより好ましい。また超音波装置の最大出力は70〜110Wであることが好ましい。
上記のようにして、連通孔発泡樹脂フォームの骨格表面にアルミニウムスラリーを付着させた後、アルミニウムスラリー付着体をそのまま乾燥してもよいが、アルミニウムスラリー付着体に付着した余分なアルミニウムスラリーを絞り工程により排除してアルミニウムスラリー付着体に付着したアルミニウムスラリーの量を調整することが好ましい。
絞り工程を簡便に行うにあたり、次の方法を用いることができる。すなわち、一対の絞りロールを備えた装置を使用して、アルミニウム粉末がアルミニウムスラリーとともに付着した連通孔発泡樹脂フォームを、一対の絞りロールの間を通過させることによりアルミニウムスラリーとともにアルミニウム粉末を連通孔発泡樹脂フォームより除去することができる。この場合、一対のロールの間隔を変えることにより、アルミニウムスラリーとともに絞り出されるアルミニウム粉末の量を調整することができ、連通孔発泡樹脂フォームに付着するアルミニウム粉末の量を調整することができる。すなわち、ロールの間隔を広くすることにより絞り量を小さくして、連通孔発泡樹脂フォームの樹脂骨格の表面に付着するアルミニウム粉末の量を多くすることができ、逆に、ロールの間隔を狭くすることにより、絞り量を大きくして、連通孔発泡樹脂フォームの樹脂骨格の表面に付着するアルミニウム粉末の量を少なくすることができる。さらに、ロールを備えた装置を使用することにより、アルミニウム粉末を連通孔発泡樹脂フォームへ均一に塗布して付着させることが可能となる。
上記の付着工程により得られる基体、または付着工程の後絞り工程により得られる基体は、高分子水溶系の分散媒を含むものであり、加熱工程に先立ち、予め加熱乾燥させて高分子水溶液の分散媒を除去することが好ましい。この場合、加熱乾燥する際の加熱温度は連通孔発泡樹脂フォームが変形しない程度に設定することが好ましい。
乾燥工程を経ずに、高分子水溶液の分散媒を含む基体をそのまま次の加熱工程に供してもよいが、その場合、後の加熱工程における昇温過程で分散媒が揮発または蒸発することとなり、炉内の雰囲気を汚染する虞がある。したがって、このような高分子水溶液の分散媒を含む基体をそのまま次の加熱工程に供する場合、揮発または蒸発した高分子水溶液の分散媒が速やかに炉外に排出されるよう措置を講ずる必要がある。逆にいえば、このような措置が施された加熱装置を用いるなら、高分子水溶液の分散媒を含む基体をそのまま次の加熱工程に供してもかまわない。
[加熱工程]
上記付着工程により骨格表面にアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を付着させた連通孔発泡樹脂フォームを非酸化性雰囲気中で加熱する。この昇温過程において、連通孔発泡樹脂フォームは消失する。なお、加熱工程においては、この連通孔発泡樹脂フォームを完全に消失させるため、昇温過程の連通孔発泡樹脂フォームの分解温度で、加熱温度を一定にする保持段階を設けることが好ましい。この保持段階における加熱温度は、例示した連通孔発泡樹脂フォームであれば、500℃程度である。
第二段階として、非酸化性雰囲気中で、アルミニウム粉末を加熱し、アルミニウム粉末同士を拡散接着(焼結)または溶融接着させることによりアルミニウム多孔質体を製造する。以下に焼結法による場合および溶融法による場合についてそれぞれ説明する。
[焼結法]
アルミニウム粉末は、表面に強固な酸化被膜(アルミニウム酸化物:Al)を有しており、通常の焼結(融点の90%程度の温度での加熱)においては、アルミニウム粉末表面の酸化被膜がバリヤとなって焼結による粉末どうしの拡散接合を阻害するため、焼結が進行しない。
しかしながら、本発明のアルミニウム多孔質体の製造方法においては上記のようにアルミニウム粉末表面に形成されるアルミニウム酸化皮膜のさらに表面に化学結合する吸着層が形成されており、この界面活性剤の吸着層が加熱工程で消失する際にアルミニウム粉末表面の酸化被膜の一部を破壊することにより、アルミニウム粉末どうしの拡散接合が促進され、冶金的な結合を強めて機械的強さの高いアルミニウム多孔質体とすることができる。
焼結法による場合、加熱工程における加熱温度はより高い方が、粉末どうしの拡散接合が促進されて、冶金的な結合が強くなり、得られるアルミニウム多孔質体の機械的強さが向上するためアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の融点−20℃以上とする。その一方で、後述するようにアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末は溶融してもよいが、溶融すると焼結ではなくなることから、焼結法として行う場合、加熱温度上限としてはアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の融点未満とする。
焼結法による場合、加熱時の雰囲気が酸化性のものであると、界面活性剤の吸着層が消失する際に、アルミニウム酸化被膜からではなく雰囲気中の酸素と結合してアルミニウム粉末表面の酸化被膜の破壊が行われず、また、界面活性剤の吸着層の消失の際にアルミニウム粉末表面の酸化被膜が破壊されても直ちに雰囲気中の酸素により新たな酸化被膜が形成されることとなり、アルミニウム粉末どうしの焼結を阻害することとなる。このため、加熱工程における雰囲気は窒素ガス、不活性ガス等の非酸化性の雰囲気とすることが望ましい。なお、上記の加熱工程は、アルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の表面の酸化被膜を除去することは目的ではないため、水素ガスもしくは水素混合ガス等の還元性の雰囲気である必要はないが、還元性の雰囲気は非酸化性の雰囲気であるため、還元性の雰囲気としてもよい。また、圧力が10−3Pa以下の減圧雰囲気(真空雰囲気)とすることが好ましい。
[溶融法]
上記のようにアルミニウム粉末は、表面に強固な酸化被膜(アルミニウム酸化物:Al)を有しているが、アルミニウム粉末の融点以上に加熱すると、アルミニウム粉末は溶融することとなる。しかしながら、アルミニウム粉末の表面は酸化被膜(アルミニウム酸化物:Al)で覆われており、アルミナの融点は2072℃と高いため、アルミニウム粉末の融点以上に加熱してもアルミニウム粉末の表面の酸化被膜は溶融せず、アルミニウム粉末の内部のみが溶融することとなる。このとき溶融したアルミニウムの膨張により粉末の表面の酸化被膜を破って粉末表面に濡れて覆うとともに、各粉末から発生した溶融アルミニウムが混ざり合い結合する。このとき粉末表面に形成されていた酸化被膜が代用骨格となり、骨格の形状を維持するとともに、互いに結合したアルミニウムの表面張力により骨格表面は比較的滑らかとなりネック部が消失して連続する金属表面となる。
溶融法による場合、加熱温度は連通孔発泡樹脂フォームに付着させたアルミニウム粉末の融点以上とするが、融点を大きく超える温度で加熱するとその分余分なエネルギーが必要となるとともに、溶融したアルミニウムの粘度が低下して型崩れが生じ易くなるとともに溶融したアルミニウムの凝集体が生成しやすいことから、加熱温度は融点+100℃以下とする。
溶融法による場合、加熱工程における雰囲気が大気等の酸化性の雰囲気であると、粉末表面の酸化被膜を破って露出したアルミニウムまたはアルミニウム合金が直ちに酸化され、粉末表面に濡れて被覆すること、および各粉末から発生したアルミニウムまたはアルミニウム合金が混ざり合うことが阻止され、粉末同士の結合が阻害される。このため、加熱工程における雰囲気は窒素ガス、不活性ガス等の非酸化性の雰囲気とすることが望ましい。なお、上記の加熱工程は、アルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の表面の酸化被膜を除去することは目的ではないため、水素ガスもしくは水素混合ガス等の還元性の雰囲気である必要はないが、還元性の雰囲気は非酸化性の雰囲気であるため、還元性の雰囲気としてもよい。また、圧力が10−3Pa以下の減圧雰囲気(真空雰囲気)とすることが好ましい。
以上の製造方法で得られるアルミニウム多孔質体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成されるとともに、前記骨格の内部に空隙部を有するものとなる。この骨格は連通孔発泡樹脂フォームの骨格の形状と同様に三角柱構造となる。さらに骨格の表面には骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔が形成されたものとなる。このようなアルミニウム多孔質体を沸騰冷却装置の沸騰伝熱面として用いた場合、アルミニウム多孔質体の骨格表面に形成された連通孔を基点として液体が沸騰して気化することにより、生じる気泡を微細なものとして、気泡の泡抜け性(気泡の排出性)をより良好なものとして、熱交換の効率を向上させることができる。
連通孔発泡樹脂フォームとして、縦100mm、横100mm、厚み20mmのポリウレタンフォーム(株式会社ブリヂストン製 商品名エバーライトSF)を使用した。セル数は13ppiである。
平均粒径5μmの純アルミニウム粉末として、エカグラニュラー株式会社製の商品名 25Eを用いた。結着材としては、日本合成化学工業株式会社製のポリビニルアルコール(商品名:ゴーセノールGH−23)を用いた。分散媒は純水を用い、結着材を1質量%溶解した。純アルミニウム粉末と、この液は質量比で3:5で混合し、得られたアルミニウムスラリー(アルミニウム粉末分散液)に3.1質量%の分子量600以上のモノエチルアシッドホスフェート(脂肪族リン酸モノエステル)および0.1質量%以下のリン酸(85.0+%、和光純薬工業株式会社)を添加し、均一に混合してアルミニウムスラリー(アルミニウム粉末分散液)Aを作製した。
作製したアルミニウムスラリーAに対して、超音波発生装置(本多電子製W113 MKII、最大出力110W、周波数31kHz)を用いて30分または60分、25℃の水中で超音波を照射し気泡生成処理を行いアルミニウムスラリーA1(超音波照射30分)およびアルミニウムスラリーA2(超音波照射60分)を作製した。
また、作製したアルミニウムスラリーAに対して、ガス吹き込み法により圧縮空気を10分間に吹き込んで気泡生成処理を行いアルミニウムスラリーA3を作製した。
上記のようにして作製したアルミニウムスラリーA1、A2、A3に、連通孔発泡樹脂フォームを浸漬して、余分なスラリーを除去し、その後、80℃の恒温槽中で60分乾燥させて、アルミニウム粉末付着体を用意した。これを、気体雰囲気を制御可能な電気炉中に設置して、非酸化性雰囲気である窒素中で室温から昇温し500℃で1〜5時間保持して脱脂した。その後、圧力を10−3Paの減圧雰囲気(真空雰囲気)としてから昇温し、アルミニウムの融点以上である650〜665℃の任意の温度域で3.5時間加熱を行ってアルミニウム多孔質体A1、A2、A3を作製した。
アルミニウム多孔質体A1、A2、A3を走査型電子顕微鏡で観察したSEM(Scanning Electron Microscope)像を図3に示す。図3より、上記により作製されたアルミニウム多孔質体A1、A2、A3は、いずれも三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連通する気孔を有する三次元網目構造体となっており、また、骨格部表面には連通孔が形成されていることが確認された。
アルミニウム多孔質体A3について、圧縮降伏試験を行って圧縮荷重を増加させたときのひずみ量と応力を測定した。この結果を図4に示す。図4より、ひずみ量が増加しても応力が増加しない領域、いわゆるプラトー領域が存在するとともに、プラトー領域の応力は約100〜250kPaであった。このことから、上記により作成された金属多孔質体は、骨格が緻密に形成されていることが確認されるとともに、沸騰冷却装置の沸騰伝熱面として充分な強度を有していることが確認された。
アルミニウム多孔質体A1を縦30mm、横30mm程度に切り出し、縦50mm、横50mm程度のアルミ板(JIS規格H4000に規定のA1050相当材)にろう付けし、沸騰伝熱面を作成した。次に作成した沸騰伝熱面の金属多孔質体をろう付けしていない側に、金属多孔質体と同程度の外形寸法のヒータである一定量の加熱を行った。金属多孔質体側は密閉容器で減圧処理した冷媒が封止されている。例えば冷媒はNovec7100(スリーエム社製)があげられる。ヒータの加熱により、金属多孔質体に接している冷媒が沸騰する。今回冷媒の蒸気温度と沸騰伝熱面の温度の差から得られる温度差ΔTと、金属多孔質体の外形寸法、ヒータの発熱量を用いて、沸騰熱伝達率を算出した。この結果を表1に示す。
比較例1としてアルミニウム平板(JIS規格H4000に規定のA1050相当材)を縦30mm、横30mm程度に切り出し、同様にしてろう付けし、沸騰熱伝達率を算出した。この結果を表1に併せて示す。
比較例2としてアルミニウムスラリーAを気泡生成処理を行わずそのまま用いて連通孔発泡樹脂フォームを浸漬して、上記と同様にして連通孔を有さないアルミニウム多孔質体を作製し、上記と同様にして切り出し、ろう付けを行い、沸騰熱伝達率を算出した。なお、本例は特許文献7のアルミニウム多孔質体に相当するものである。この結果を表1に併せて示す。
Figure 2018168430
表1より、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成されたアルミニウム多孔質体(比較例2)により沸騰伝熱面を構成したものの沸騰熱伝達率は、アルミニウム平板により沸騰伝熱面を構成したものの沸騰熱伝達率より高くなっているが、本発明の骨格表面から内部に繋がる連通孔を有するアルミニウム多孔質体により沸騰伝熱面を構成した場合は、沸騰熱伝達率がより高くなっており、特許文献7のアルミニウム多孔質体よりも、沸騰冷却器用の沸騰伝導面として好適であることが確認された。
本発明のアルミニウム多孔質体は熱伝導率の高いアルミニウムまたはアルミニウム合金で構成され、その表面に沸騰起点となる連通孔を有しいていることから、沸騰冷却器用の沸騰伝熱面として好適である。

Claims (7)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる三次元状に連結する骨格を有し、前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成されたアルミニウム多孔質体であって、
    前記骨格の内部に空隙部を有するとともに、
    前記骨格の表面から内部の空隙部に繋がる連通孔を有するアルミニウム多孔質体。
  2. 前記連通孔の大きさが1〜100μmである請求項1に記載のアルミニウム多孔質体。
  3. 前記骨格の表面から内部の空隙までの厚さが5〜50μmの範囲である請求項1または2に記載のアルミニウム多孔質体。
  4. アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の金属粉末と、前記金属粉末と化学結合する界面活性剤を含有する気泡が分散する高分子水溶液からなるアルミニウムスラリーを調整し、
    三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連結する気孔が形成された樹脂構造体を前記アルミニウムスラリーに浸漬して付着させた後、
    得られたアルミニウムスラリー付着体を加熱して樹脂構造体を分解、消失させ、さらにアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点−20℃以上、かつアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点未満の温度に加熱するアルミニウム多孔質体の製造方法。
  5. アルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末の金属粉末と、前記金属粉末と化学結合する界面活性剤を含有するとともに気泡が分散する高分子水溶液からなるアルミニウムスラリーを調整し、
    三次元状に連結する骨格を有するとともに骨格により三次元状に連結する気孔が形成された樹脂構造体を前記アルミニウムスラリーに浸漬して付着させた後、
    得られたアルミニウムスラリー付着体を加熱して樹脂構造体を分解、消失させ、さらにアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点以上、かつアルミニウム粉末もしくはアルミニウム合金粉末の融点+100℃の温度に加熱するアルミニウム多孔質体の製造方法。
  6. 気泡発生手段により前記アルミニウムスラリーに前記気泡を発生させる請求項4または5に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
  7. 前記気泡発生手段が超音波照射である請求項6に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
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