JP2018070959A - アルミニウム多孔質体とその製造方法 - Google Patents

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雄大 下山
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圭太 曽根
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博之 越田
奈穂 和田
Naho Wada
奈穂 和田
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知美 内山
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Abstract

【課題】従来のアルミニウム多孔質体に比べて通風抵抗が低く、機械的強度にも優れたアルミニウム多孔質体とその製造方法を提供する。【解決手段】連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られたアルミニウム多孔質体及びその製造方法。また、連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られたアルミニウム多孔質体及びその製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元状に連通する連通孔が形成される三次元網目状構造を有するアルミニウム多孔質体の中でも特に熱交換器として好適なアルミニウム多孔質体とその製造方法に関する。
三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連通孔が形成される三次元網目構造を有する金属多孔質体は、連通孔を有する発泡樹脂骨格表面を導電化処理して電気メッキした後、加熱して樹脂を分解除去する方法(特許文献1、2)、連通孔を有する発泡樹脂に有機高分子結合剤と金属微小体との混練物を浸漬、スプレー等して塗着した後、加熱して樹脂を分解除去するとともに金属微小体を焼結する方法(特許文献3〜5)、連通孔を有する発泡樹脂の骨格表面に粘着性を付与して粉体を付着させた後、加熱して樹脂を分解除去するとともに粉体を焼結する方法(特許文献6)により製造される。
このような三次元網目状構造を有する金属多孔質体は、流体との接触面積が大きいことから、熱交換器の熱交換部品への適用が検討されている(特許文献7)。熱交換器は、温度の高い物体から低い物体へ効率的に熱を移動させて加熱及び冷却の用途に用いられる機器であり、一般に、熱交換の媒体として液体又は気体等の流体を用いて流体に熱を与える(加熱)若しくは流体から熱を奪う(冷却)ことで加熱又は冷却を行う。このような熱交換器においては、熱伝導率の高い金属材料で構成されたフィン等を設けるなどして流体との接触面積を増加させて、熱交換の効率を高めているが、フィン等に替えて熱伝導率の高い金属材料で構成された三次元網目状構造を有する多孔質体を用い、その連通する連通孔に流体を通過させれば、熱伝導率の高い金属材料と流体との接触面積をさらに大きくできるため、熱交換の効率がさらに大きくなるものと考えられる。
特開昭57−174484号公報 特開2015−001011号公報 特開平08−020831号公報 国際公開第2015/046623号 特開平06−235033号公報 特公平06−089376号公報
本発明が解決しようとする課題は、従来のアルミニウム多孔質体に比べて通風抵抗が低く、機械的強度にも優れたアルミニウム多孔質体とその製造方法を提供することである。
発明者らは、三次元状に連通する連通孔が形成された樹脂製の三次元網目状構造体である発泡樹脂を樹脂基体とし、前記発泡樹脂の骨格表面に付着させたアルミニウム粉末を焼結させることで製造するアルミニウム多孔質体において、アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、かつ焼結時(焼結のための加熱工程及びその後の冷却工程を含む焼結プロセス全体が終了した時をいう。以下、同様。)の熱収縮を利用することで、焼結前(焼結のための加熱工程の前をいう。以下、同様。)の発泡樹脂の気孔率よりも、焼結時のアルミニウム多孔質体の気孔率を2%以上低くするように形成したアルミニウム多孔質体は、従来の方法で製造したアルミニウム多孔質体に比べて局所的な目詰まりが少ないため通風抵抗が小さい。また、均一なフォーム構造(三次元状に連通する連通孔が形成された三次元網目状構造)のアルミニウム多孔質体が得られることで機械的強度にも優れることを見出した。
本発明は以下に関する。
[1] 連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られたアルミニウム多孔質体。
[2] 連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られた、[1]に記載のアルミニウム多孔質体。
[3] 前面風速1.0m/sにおける通風抵抗が1.0kPa/m以下である[1]又は[2]に記載のアルミニウム多孔質体。
[4] 圧縮応力が150MPa以上である、[1]から[3]の何れか一項に記載のアルミニウム多孔質体。
[5]連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られるアルミニウム多孔質体の製造方法。
[6] 連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られる[5]に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
[7] アルミニウム粉末とHPO基を持つ有機化合物とを含むアルミニウム粉末の水分散液を調整し、連通孔を有する発泡樹脂を前記アルミニウム粉末の水分散液に浸漬して前記連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で前記連通孔を有する発泡樹脂を分解し消失させるとともに前記アルミニウム粉末を焼結し、前記焼結時に得られるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における連通孔を有する発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られる[5]又は[6]に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
本発明によれば、従来のアルミニウム多孔質体に比べて通風抵抗が低く、機械的強度にも優れたアルミニウム多孔質体とその製造方法を提供することができる。
各実施例及び各比較例の前面風速と通風抵抗(圧力損失)の測定結果を示したグラフ。
以下、本発明のアルミニウム多孔質体とその製造方法の一実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
(アルミニウム多孔質体)
本実施の形態のアルミニウム多孔質体は、連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られたアルミニウム多孔質体である。
本実施の形態において、アルミニウム多孔質体とは、アルミニウム粉末を焼結して得られる多孔質焼結体のことをいい、三次元状に連結する骨格と三次元状に連結する気孔(連通孔)とにより形成される三次元網目状構造を有している。
なお、本実施の形態のアルミニウム多孔質体における、「連通孔を有する発泡樹脂表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られた」との特徴は、いわゆるプロダクト・バイ・プロセスの表現に該当するが、アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、形成されるアルミニウム多孔質体の構造又は特性を直接特定することは不可能又は非実際的事情を有する。
従来のアルミニウム多孔質体と本実施の形態のアルミニウム多孔質体との違いは、アルミニウム多孔質体の気孔の三次元網目状構造や孔径、密度等の違いに起因するものと考えられるが、これらの形状のベースとなる発泡樹脂の連通穴の三次元網目状構造等自体が不均一であり、さらに焼結時に形成されるアルミニウム多孔質体の気孔の形状等が熱膨張や熱収縮等により変化することを考慮すると、従来技術との違いに係る構造又は特性を文言により特定することは不可能である。また、断面観察等により気孔の形状等を測定する方法が考えられるが、気孔の形状等は不均一であるため、断面観察によって得られた測定データを統計的に処理したうえで、従来技術と区別するための有意な指標を見出さねばならず、多大な時間と手間を要することから実際的ではない。
(連通孔を有する発泡樹脂)
本実施形態において、連通孔を有する発泡樹脂(以下、単に「発泡樹脂」ということがある。)としては、三次元状に連結する骨格を有し、その骨格により三次元状に連結する気孔(連通孔)が形成される三次元網目状構造体を用いる。この連通孔を有する発泡樹脂は、その骨格の表面にアルミニウム粉末を付着させて多孔質焼結体としてのアルミニウム多孔質体の形状のベースとなる樹脂基体である。連通孔を有する発泡樹脂は、焼結後には微量の炭素、珪素成分が残るのみで、ほとんどの成分は、熱分解・消失する。連通孔を有する発泡樹脂の具体例としては、ポリウレタン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂のフォーム(以下、「樹脂フォーム」ということがある。)等を用いることができる。なお、三次元網目状構造体に含まれる連通孔の密度を示すセル数は、8〜20ppi(por per inch:ケ/インチ)であることが望ましい。
(アルミニウム粉末)
本実施形態において、連通孔を有する発泡樹脂に付着させるアルミニウム粉末は、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末の他、アルミニウムの機械的強度を強化する成分を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いてもよい。
例えば、純アルミニウム粉末を用いた場合は、純度の低いアルミニウム粉末に比べて融点以上とした時の熱膨張率が高いため、純アルミニウム粉末の融点以上の温度条件で焼結を行なうことにより、焼結時の加熱工程では、より多く溶融アルミニウムが生成し、冷却工程ではより大きく収縮する。なお、融点とは、純アルミニウムの場合、660.4℃である。これによって、機械的強度の高いアルミニウム多孔質体を得ることができる。このため、多孔質焼結体であるアルミニウム多孔質体を形成するために用いるアルミニウム粉末は、純アルミニウム粉末であることが好ましい。
また、アルミニウムに銅、マンガン、マグネシウム、シリコン等の合金化元素を予め合金化したアルミニウム粉末を用いた場合は、焼結によって得られるアルミニウム多孔質体の骨格がアルミニウム合金で形成され、アルミニウム多孔質体の強度を向上させることができる。
アルミニウム粉末は、一般的なもの、すなわち表面に1〜10nm程度の酸化被膜を有するものを用いることができる。また、アルミニウム粉末は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
アルミニウム粉末の平均粒径は、0.1〜20μmであるのが好ましく、約6μmであるのがより好ましい。平均粒径は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計等を用いて測定される粒度分布のメジアン径(d50)として求めることができる。
(アルミニウム粉末の発泡樹脂の表面への付着)
本実施の形態では、連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着させる。これは、詳細は後述するが、アルミニウム粉末を分散用水溶液に分散した、アルミニウム粉末の水分散液(スラリー)を調整し、この中に連通孔を有する発泡樹脂を浸漬することで可能になる。
(アルミニウム粉末の焼結)
本実施の形態では、アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結する。詳細は後述するが、焼結のプロセスは、アルミニウム粉末の融点以上の温度に加熱する加熱工程と、融点よりも低い温度まで冷却する冷却工程とを有している。加熱工程で加熱する温度は、純度が99.5質量%以上の純アルミニウムの粉末を用いる場合、融点である660.4℃以上である。冷却工程では、この融点よりも低い温度(一般的には室温:1〜30℃)まで冷却する。このように、アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結することにより、アルミニウム粉末が融点以上で大きく焼結しつつ熱膨張し、その後、融点より低い温度で熱収縮する。このため、発泡樹脂の三次元状に連通する気孔を有する三次元網目状構造を維持したままで、目詰まりを抑制しつつ、得られる多孔質焼結体としてのアルミニウム多孔質体の収縮率をより高くすることができる。
(アルミニウム多孔質体及び連通孔を有する発泡樹脂の気孔率)
本実施の形態において、アルミニウム多孔質体の気孔率とは、アルミニウム多孔質体の単位体積に占める気孔(空隙)の体積の割合のことをいい、アルミニウム多孔質体の体積と質量測定から得られたアルミニウム多孔質体の密度と、アルミニウムの密度(2.7g/cm)とから、計算によって求めることができる。
また、連通孔を有する発泡樹脂(以下、単に「発泡樹脂」ということがある。)の気孔率とは、発泡樹脂の単位体積に占める気孔の体積の割合のことをいい、発泡樹脂の体積と質量測定から得られた発泡樹脂の密度と、発泡する前の樹脂の密度とから、計算によって求めることができる。
本実施の形態では、アルミニウム粉末の焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が、焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するように、アルミニウム多孔質体を形成する。このように、アルミニウム粉末の焼結時における気孔率の低下が大きいことにより、発泡樹脂の三次元状に連通する気孔を有する三次元網目状構造を維持したままで、目詰まりを抑制しつつ、得られる多孔質焼結体としてのアルミニウム多孔質体の収縮率をより高くすることができ、従来技術では、到達できない気孔率、収縮率、機械的強度のアルミニウム多孔質体を製造することができる。したがって、従来のアルミニウム多孔質体に比べて通風抵抗が低く、機械的強度にも優れたアルミニウム多孔質体を提供することができる。
本実施の形態において、アルミニウム粉末の焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率は、焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2.0%以上低下するが、2.4%以上低下することがより望ましく、2.8%以上低下することがさらに好ましく、3.1%以上低下することが特に好ましい。
本実施の形態において、連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られたアルミニウム多孔質体であるのが好ましい。純アルミニウムは純度の低いアルミニウムに比べて融点以上とした時の熱膨張率が高いため、純アルミニウムのアルミニウム粉末を用いた場合は、アルミニウム粉末の融点以上の温度条件で焼結を行なうことにより、焼結時の加熱工程では、より多く溶融アルミニウムが生成し、冷却工程ではより大きく収縮する。これにより、発泡樹脂の三次元状に連通する気孔を有する三次元網目状構造を維持したままで、目詰まりを抑制しつつ、得られる多孔質焼結体としてのアルミニウム多孔質体の収縮率をより高くすることができ、従来技術では、到達できない気孔率、収縮率、機械的強度のアルミニウム多孔質体を製造することができる。
(通風抵抗)
前面風速1.0m/sにおける通風抵抗が1.0kPa/m以下であるのが望ましい。これにより、三次元網目状構造によって、気体等の流体との接触面積を大きく維持しながら、流体がアルミニム多孔質体を通過する際の抵抗を小さくすることができるので、熱交換器に適したアルミニウム多孔質体を提供できる。
本実施の形態において、通風抵抗とは、流体である空気が、アルミニウム多孔質体を通過する際の抵抗のことをいい、アルミニウム多孔質体の一方の面から所定の風速で空気をアルミニウム多孔質体を通過させた際の他方の面側の静圧と、大気圧との差圧から圧力損失dPを測定して求めることができる。
(アルミニウム多孔質体の気孔率)
圧縮応力が150MPa以上であるのが望ましい。これにより、熱交換器として用いるときのアルミニウム多孔質体の機械的強度を満足することができる。
<第2の実施形態>
(アルミニウム多孔質体の製造方法)
本実施の形態のアルミニウム多孔質体の製造方法は、連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られるアルミニウム多孔質体の製造方法である。
このように、アルミニウム粉末の焼結時における気孔率の低下が大きいことにより、発泡樹脂の三次元状に連通する気孔を有する三次元網目状構造を維持したままで、目詰まりを抑制しつつ、得られる多孔質焼結体としてのアルミニウム多孔質体の収縮率をより高くすることができ、従来技術では、到達できない気孔率、収縮率、機械的強度のアルミニウム多孔質体を製造することができる。したがって、従来のアルミニウム多孔質体に比べて通風抵抗が低く、機械的強度にも優れたアルミニウム多孔質体の製造方法を提供することができる。
本実施の形態のアルミニウム多孔質体の製造方法において、連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結するのが望ましい。
このように、純アルミニウム粉末を用いることにより、焼結時の加熱工程では、より多く溶融アルミニウムが生成し、冷却工程ではより大きく収縮する。このため、より大きな収縮率を得ることができる。
以下、本実施の形態のアルミニウム多孔質体の製造方法をより具体的に説明する。本実施の形態のアルミニウム多孔質体の製造方法は、アルミニウム粉末とHPO基を持つ有機化合物とを含むアルミニウム粉末の水分散液を調整し、連通孔を有する発泡樹脂(三次元状に連結する骨格を有するとともに前記骨格により三次元状に連結する気孔が形成された三次元網目状樹脂構造体)を前記アルミニウム粉末の水分散液に浸漬してアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で前記連通孔を有する発泡樹脂(三次元網目状樹脂構造体)を分解し消失させるとともに前記アルミニウム粉末を焼結し、前記焼結時に得られるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前の連通孔を有する発泡樹脂(三次元網目状樹脂構造体)の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られる。
本実施の形態のアルミニウム多孔質体の製造方法は、少なくとも(1)スラリーの調整、(2)含浸(発泡樹脂(樹脂フォーム)のスラリーへの含浸)、(3)過剰スラリーの除去、(4)乾燥、(5)加熱(脱脂、焼結)という工程を経て製造される。また得られたアルミニウム多孔質体は、切断加工することで任意の形状に加工することができる。
(アルミニウム粉末の水分散液(スラリー))
本実施形態において、連通孔を有する発泡樹脂の表面に前記アルミニウム粉末を付着・形成させる際に、水、有機溶媒などの溶媒を用いてアルミニウム粉末の水分散液(以下、「スラリー」ということがある。)を調整して均一に塗布、コーティングすることが好ましい。連通孔を有する発泡樹脂をスラリー中に含浸することで均質な焼結前駆体を製造することができる。なお、スラリーは、溶媒に加えて、アルミニウム粉末の剥離・脱落を防ぐための結着剤、腐食抑制剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤(増粘剤)、分散剤(分散安定化剤)などを必要に応じて添加しても良い。
分散媒として水を用いる場合、酸又は塩基を添加し、pHを6〜8にすることが好ましい。これはアルミニウムの腐食を抑制するためである。アルミニウムは水に触れると、アルミニウムイオンとなって水中に溶解する。この溶解反応が腐食である。腐食速度は、酸性及び塩基性水溶液中では速いが、中性水溶液中では比較的遅い。粉末表面を被覆する陰イオンを提供することが好ましい。
(腐食抑制剤)
本実施の形態で用いるスラリーには、アルミニウム粉末の腐食抑制を目的にリン系の腐食抑制剤を使用することができる。腐食抑制剤としては、リンを含んでいればいかなる化合物も使用できる。選定基準の一つとして加熱分解した後の残渣量が少ないものが良い。残渣量をより少なくするという観点から有機物を使用するのがより好ましく、熱重量・示差熱測定をしたときの残渣量が5質量%以下になる物質が良い。添加量としては、アルミニウム粉の腐食が進行しない限り、少ない方がより好ましい。
具体的には、有機リン化合物としては、HPO基(HO−(−P=O)−OH)を持つ有機化合物であればいかなるものも使用できる。HPO基がアルミニウム粉末の表面に吸着して腐食を抑制し、余った有機基(COOH基など)で、アルミニウム粉末間の相互作用を作って粘度を保つ。
有機リン化合物の例として次の化合物が挙げられる。リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール酸、エポキシ化合物又はアクリル化合物とリン酸の反応によるリン酸エステル。また、特に好ましい化合物は炭素数10〜18の脂肪族リン酸モノエステルが例示できる。さらに有機リン化合物のうち、pHが3〜6の弱酸性〜中性域で安定な有機リン化合物を用いることでアルミニウム粉末表面の強固な酸化皮膜が脆くなり(エッチング効果)、アルミニウム粉末の焼結性を促進することができる。なお、腐食抑制剤は単一物であってもよく、複数の化合物を併用してもよい。
(アルミニウム粉末の付着量の調整)
アルミニウム粉末の付着量は、スラリーの粘度によって増減することができる。すなわち、スラリーの粘度が高ければ、樹脂フォームの骨格表面に付着するアルミニウム粉末の量が多くなり、逆に、スラリーの粘度が低ければ、付着するアルミニウム粉末の量が少なくなる。なお、連通孔を有する発泡樹脂の表面に付着したアルミニウム粉末を物理的に除去して付着量を再調整することもできる。これにより精度よく目的とするアルミニウム付着量に調整しても良い。アルミニウム付着量の調整方法は、その後の加熱工程(脱脂・焼結)などで悪影響を示さない限り、いかなる手法も適用することができ、具体的な手法としてはエアブローによるスラリーの除去やロール絞りでの過剰スラリーの除去等が例示できる。
(付着量)
樹脂基体となる発泡樹脂の見掛け体積1L(1000cm)に対するアルミニウム粉末の付着量は、20g/L以上、65g/L以下とすることが好ましい。付着量をこの範囲とすることで発泡樹脂の骨格間での目詰まりや後述する加熱工程後に形成される局所的なアルミニウムの溶融ダマの形成も緩和することができる。
例えば、発泡樹脂の体積は、発泡樹脂の形状が直方体の場合、直方体の幅、長さ、厚さを乗じた直方体の体積である。上記のアルミニウム粉末の付着量は、発泡樹脂の単位体積あたりの付着量であり、単位体積は、発泡樹脂の見掛けの体積1000cmである。
ここでアルミニウム粉末の付着量は以下のように算出することができる。スラリーを付着する前に、使用する発泡樹脂の質量を測り、体積を算出する。スラリー付着後に(発泡樹脂+スラリー)の質量を測る。この結果から、付着したスラリーの質量を求め、スラリーを調整するのに用いた分散媒(分散用水溶液)とアルミニウム粉末の質量比から、発泡樹脂に付着したアルミニウム粉末の質量を算出する。その結果から、発泡樹脂の体積1Lに付着したアルミニウム粉末の付着量を算出できる。
(乾燥工程)
スラリー(アルミニウム粉末の水分散液)を付着させた発泡樹脂は、焼結のための加熱工程(脱脂・焼結)に先立ち、予め加熱乾燥させてスラリー中の分散媒を除去することが好ましい。乾燥工程を経ずにそのまま次の加熱工程に供してもよいが、昇温過程で分散媒が揮発又は蒸発することとなり、アルミニウム粉の脱離や不均一さを生じる。また炉内環境を汚染したり、加熱時の雰囲気制御が困難になる。したがって、このようなスラリーを含む樹脂基体としての発泡樹脂をそのまま次の加熱工程に供する場合、揮発又は蒸発した分散媒が速やかに炉外に排出されるよう措置を講ずる必要がある。
(加熱工程)
アルミニウム多孔質体を製造する中で、焼結のための加熱工程は、脱脂工程と焼結工程の2つに大別される。
アルミニウム粉末又はアルミニウム合金粉末を付着させた連通孔を有する発泡樹脂(樹脂基体)は、非酸化性雰囲気中で、アルミニウム粉末又はアルミニウム合金粉末の融点以上に加熱される。この融点までの昇温過程で結着剤成分及び発泡樹脂は分解し除去されて消失し(脱脂)、その後、焼結により粉末間に金属結合が形成される。
加熱温度がアルミニウム(純アルミニウムの場合、融点は660.4℃)融点を超えると、アルミニウム粉末が内部で溶融する。すなわち、アルミニウム粉末の表面は酸化被膜(アルミナ:Al)で覆われており、アルミナの融点は2072℃と高いためアルミニウム粉末の表面の酸化被膜が溶融せず、これらの粉末の内部が溶融する。このようにして内部で溶融したアルミニウムは、粉末の表面の酸化被膜を破って粉末表面に濡れて覆うとともに、溶融アルミニウムは混ざり合う。粉末表面に形成されていた酸化被膜は、各粉末から発生した溶融アルミニウムに分散する。この酸化被膜が代用骨格となり、骨格の形状を維持するとともに、互いに結合した溶融アルミニウムの表面張力により骨格表面は比較的滑らかとなりネック部が消失して連続する金属表面となる。この結果、三次元網目状構造体の骨格内部の密度比は90%以上となり、骨格の強度が高く、かつ熱伝導率も高いものとなる。
加熱工程における雰囲気が大気等の酸化性の雰囲気であると、粉末表面の酸化被膜を破って露出した溶融アルミニウムが直ちに酸化され、粉末表面に濡れて覆ったり各粉末から発生した溶融アルミニウムが混ざり合うことが阻止され、粉末どうしの結合が阻害される。このため、加熱工程における雰囲気は窒素ガス、不活性ガス等の非酸化性の雰囲気とすることが望ましい。なお、上記の加熱工程は、アルミニウム粉末の表面の酸化被膜を除去することは目的ではないため、水素ガス若しくは水素混合ガス等の還元性の雰囲気である必要はないが、還元性の雰囲気は非酸化性の雰囲気であるため、還元性の雰囲気としてもよい。また、圧力が10−3Pa以下の減圧雰囲気(真空雰囲気)としてもよい。
なお、加熱温度は連通孔を有する発泡樹脂に付着させたアルミニウム粉末の融点を超える温度であれば粉末を溶融できるが、融点を大きく超える温度で加熱するとその分余分なエネルギーが必要となるとともに、溶融したアルミニウムの粘度が低下して型崩れが生じ易くなる。また、溶融アルミニウムが凝集し、金属塊が生じ易くなる。よって、加熱温度は融点+100℃までとすることが好ましい。
(冷却工程)
冷却工程とは、アルミニウム粉末の融点以上の温度に加熱する加熱工程の後に、融点よりも低い温度まで冷却する工程である。加熱工程で加熱する温度は、純度が99.5質量%以上の純アルミニウムの粉末を用いる場合、融点である660.4℃以上であるため、冷却工程では、この融点よりも低い温度(一般的には室温:1〜30℃)まで冷却する。このように、アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結することにより、アルミニウム粉末が融点以上で大きく焼結しつつ熱膨張し、その後、融点より低い温度で熱収縮する。冷却工程は、室温中に放置することで行なうことができる。
[アルミニウム多孔質体の評価方法]
(通風抵抗(圧力損失))
アルミニウム多孔質体の通風抵抗の評価には、空洞内部のノズルの前後の差圧から正確な風量を測定できるダブルチャンバー式風洞と圧力計を用いて測定した。ブロアにより、風洞に流入した空気はダクトを通り、前面からアルミニウム多孔質体を通過して大気へと放出される。ダクトは長さ500mmで、アルミニウム多孔質体が入り口に取り付けられている。入り口に取り付けられたアルミニウム多孔質体からほぼ等間隔で5点の圧力計を設置し、アルミニウム多孔質体の前面に流入する空気の風速(前面風速)を変えながら、入口から距離Lの5点の静圧Psと大気圧Patmとの差圧結果から圧力損失dPを測定した。測定するアルミニウム多孔質体の幅W、高さH、及び奥行きDとすると、アルミニウム多孔質体の圧力損失dPを奥行きDで割り,単位奥行き当りの圧力損失を通風抵抗とした。
(圧縮応力)
アルミニウム多孔質体の強度は、インストロン(INSTRON)社製マイクロテスター5948を用いて測定した。本測定は、JIS H 7902ポーラス金属の圧縮試験方法に準拠したものであり、アルミニウム多孔質体を縦、横、高さそれぞれ2.0cm程度に切断し、切断したサンプル片を上から底面方向に向けて圧縮速度(試験片高さ×0.1)/minで圧縮して圧縮応力―圧縮ひずみ曲線を作成する。この圧縮応力―圧縮ひずみ曲線の圧縮ひずみ20〜30%における平均値を「圧縮応力」として強度の指標に用いた。
(寸法、気孔率の測定)
アルミニウム多孔質体は、寸法測定(縦・横の長さと厚み)と重量測定を行った。得られたアルミニウム多孔質体の密度とアルミニウムの密度が2.7g/cmであることから、得られた多孔質体の気孔率(%)を算出した。なお、ウレタンフォームも同様に算出し、ウレタンの密度は1.3g/cmとして気孔率を算出し、焼結前のウレタンフォームの形状と焼結後のアルミニウム多孔質体の寸法(縦、横、厚み)を比較することで焼結時の寸法変化を比較した。
以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
三次元網目状構造を有する樹脂製の樹脂基体である発泡樹脂として、縦200mm、横200mm、厚さ25mmのポリウレタンフォームを用意した。このポリウレタンフォームの質量は、29.3g、体積が1000cmであることから気孔率(全体の体積に対する連通孔の体積の割合)は97.7%であった。なお、用いたウレタンフォームのセル数は、8ppi(por per inch:ケ/インチ)のものを使用した。
次いでアルミニウム粉末の水分散液(スラリー)を調整した。結着材としてポリビニルアルコール(PVA、和光純薬工業株式会社製)、腐食抑制剤として有機リン化合物(2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、2-phosphonobutane-1,2,4-tricarboxylic acid(PBTCA))と0.1質量%以下のリン酸(85.0質量%、和光純薬工業株式会社製)、ポリビニルアルコールの消泡剤として和光純薬工業株式会社製の消泡剤“消泡剤L(鉱物油、高級脂肪酸アミド、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤等の混合物)”を使用した。上記3材料を純水で希釈し、それぞれPVAが2.0質量%、PBTCA3.0質量%、消泡剤が0.25質量%となるように調整し、全質量が600gとなる水溶液(アルミニウム粉末を分散するための分散用水溶液。以下、単に「分散用水溶液」ということがある。)を作製した。続いて、平均粒径6μmのアルミニウム粉末1000gと、上記で調製した分散用水溶液を混合し、アルミニウム粉末の水分散液を配合した。なお、アルミニウム粉末として、純度が99.5%の純アルミニウム粉末を用いた。純アルミニウム粉末の融点は、660.4℃である。平均粒径は、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装株式会社製、商品名)を用いて測定した粒度分布からメジアン径(d50)として求めた。また、アルミニウム粉末:分散用水溶液の質量比は、5:3となるように混合し、ミックスロータを用いて回転数40回転/分(rpm)にて5時間ほど撹拌した。得られたアルミニウム粉末の水分散液の粘度を測定したところ、120mPa・s(25℃)であった。なお、粘度は、東機産業株式会社製TVB10型粘度計等を用いて、粘性トルクによる2枚のスリット円板のねじれ角を検出して粘度に換算することにより測定した。
作製したアルミニウム粉末の水分散液中に、用意した樹脂基体としての発泡樹脂(ポリウレタンフォーム)を浸漬し、一対の絞りロールを備えた装置を使用して発泡樹脂に付着した過剰なアルミニウム粉末の水分散液を除去した。この際、発泡樹脂の体積1Lに対するアルミニウム粉末の付着量を55.0〜60.0g/Lの範囲に調製した。
付着量は、それぞれ分散液を付着する前の発泡樹脂の質量を測定するとともに、ロールによる絞り工程後の質量を測定し、発泡樹脂に付着したアルミニウム粉末の水分散液の質量を求め、アルミニウム粉末と分散用水溶液の質量比(5:3)から、発泡樹脂に付着したアルミニウム粉末の質量を算出し、体積1Lに付着したアルミニウム粉末の付着量を算出して求めた。
絞りロール通過後の発泡樹脂を、焼結を行なう前に、80℃にて60分乾燥し(乾燥工程)、次いで、焼結を行なうために、圧力が10−3Paの減圧雰囲気(真空雰囲気)の下、用いたアルミニウム粉末の融点(660.4℃)以上である665℃にて210分間加熱し(加熱工程)、アルミニウム粉末の融点よりも低い温度まで放冷し(冷却工程)、アルミニウム多孔質体を作製した。
上記のようにして作製したアルミニウム多孔質体の通風抵抗(圧力損失)を測定した。通風抵抗は、上述した「[アルミニウム多孔質体の評価方法]」の「(通風抵抗)」の欄に記載の方法にて測定した。
また得られたアルミニウム多孔質体の圧縮応力は、上記の「[アルミニウム多孔質体の評価方法]」の「(圧縮応力)」の欄に記載の方法にて測定した。
(実施例2)
実施例1記載の方法からポリウレタンフォームのセル数のみ「8ppi」から「13ppi」のものに変更してアルミニウム多孔質体を製造した。
(実施例3)
実施例1記載の方法からポリウレタンフォームのセル数のみ「8ppi」から「20ppi」のものに変更してアルミニウム多孔質体を製造した。
(比較例1)
特開2015−001011に記載の方法を参考にアルミニウム多孔質体を製造した。すわなち、連通気孔を備えた三次元網目構造を有する樹脂成形体を芯材(樹脂基体)として用い、当該樹脂成形体を導電化処理した後に、溶融塩中でアルミニウムの電解めっきを行う。その後、アルミニウム膜が形成された樹脂構造体を加熱処理して焼失させることにより、三次元網目状の骨格構造を有するアルミニウム多孔質体を製造した。なお、樹脂基体として気孔率95.5%のポリウレタンフォームを用いて追試したところ、得られたアルミニウム多孔質体の気孔率は94.8%であり、気孔率の低下は0.7%であった。
(比較例2)
実施例1の方法と同様だが、焼結時の加熱工程における温度を、純アルミニウム粉末の融点(660.4℃)よりも低い640℃とした。
(比較例3)
実施例1の方法と同様だが、アルミニウム粉末として、純度が低い約90質量%(融点:約580℃)を用い、焼結時の加熱工程における温度を、融点を超える585℃とした。
以下、実施例1〜3及び比較例1〜3の製造条件と寸法測定、圧縮応力の測定結果を表1に示した。また同様に実施例1〜3及び比較例1〜3の通風抵抗の評価結果を図1に示した。
Figure 2018070959
表1及び図1より、本発明の実施例1〜3で製造したアルミニウム多孔質体は、気孔率の低下率が2%以上であり、前面風速1.0m/sでの通風抵抗を1.0kpa/m以下に低く抑えることができ、かつ圧縮応力も比較例1〜3に比べて高い。
比較例1(特開2015−001011号公報記載のめっきによる方法にて作製したアルミニウム多孔質体)は、通風抵抗こそ低いものの、圧縮応力(アルミニウム多孔質体の強度)が低く、低圧損失(通風抵抗の低減)と高強度を両立することが困難である。
比較例2で得られたアルミニウム多孔質体は、焼結後の熱収縮率が少なく、気孔率の低下が小さかった。また、焼結が不十分なせいか端部を中心にアルミニウム粉の粉落ちが確認できた。これは、焼結温度が融点よりも低いため焼結が進行しないためと考えられる。通風抵抗は小さいものの、圧縮応力が低く、強度を確保できない。
比較例3で得られたアルミニウム多孔質体は、焼結しているものの、実施例1〜3に比べて、焼結後の熱収縮率が少なく、気孔率の低下が小さかった。これは、アルミニウムの純度が低くなると、融点を超えてからの熱膨張係数が、純アルミニウムに比べて小さいため、焼結時の熱収縮率が小さくなるためと考えられる。通風抵抗は低いものの、圧縮応力が低く、強度を確保できない。
本発明のアルミニウム多孔質体は、高強度でありながら、通風抵抗が低く抑えられているため、熱交換器に用いる多孔質金属体として好適である。

Claims (7)

  1. 連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られたアルミニウム多孔質体。
  2. 連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られた、請求項1に記載のアルミニウム多孔質体。
  3. 前面風速1.0m/sにおける通風抵抗が1.0kPa/m以下である請求項1又は2に記載のアルミニウム多孔質体。
  4. 圧縮応力が150MPa以上である、請求項1から3の何れか一項に記載のアルミニウム多孔質体。
  5. 連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結し、前記焼結時におけるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られるアルミニウム多孔質体の製造方法。
  6. 連通孔を有する発泡樹脂の表面に、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末を付着し、前記純アルミニウム粉末の融点以上の温度で焼結して得られる請求項5に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
  7. アルミニウム粉末とHPO基を持つ有機化合物とを含むアルミニウム粉末の水分散液を調整し、連通孔を有する発泡樹脂を前記アルミニウム粉末の水分散液に浸漬して前記連通孔を有する発泡樹脂の表面にアルミニウム粉末を付着し、前記アルミニウム粉末の融点以上の温度で前記連通孔を有する発泡樹脂を分解し消失させるとともに前記アルミニウム粉末を焼結し、前記焼結時に得られるアルミニウム多孔質体の気孔率が前記焼結前における連通孔を有する発泡樹脂の気孔率よりも2%以上低下するようにして得られる請求項5又は6に記載のアルミニウム多孔質体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111118451A (zh) * 2020-01-20 2020-05-08 昆山浦元真空技术工程有限公司 海绵铝生产工艺及其所用的海绵铝生产设备

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