JP2018167893A - 青果物の鮮度保持に適した包装体、及び青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば特許文献1には、青果物を密封した高分子フィルムよりなる青果物入り包装体において、前記包装体が(A)有孔高分子フィルムと(B)無孔高分子フィルムにより構成されており、前記(A)、(B)の少なくとも一方のフィルム特性が25℃、相対湿度75%の条件下で測定した水蒸気透過率が前記包装体の有効表面積を基準にして50〜800gm-2d-1であり、前記(A)の開孔面積比率は前記包装体の有効表面積に対し3×10-6〜7×10-4%であることを特徴とする青果物入り包装体が記載されており、より具体的には、(A)有孔高分子フィルムとして、厚さ35μmの延伸ポリプロピレンからなり、平均孔径30μmの孔を95個あけたもの、平均孔径が60μmの孔を9個開けたもの等が使用されている。
しかしながら、カットキャベツをはじめとするキャベツ類の品質に対する需要者、消費者の要求水準は年々向上しており、特に臭いの抑制、更には臭いの抑制と変色の抑制との両立に関する要求水準は、上記従来技術を以ってしても解決が困難なレベルに達している。
この様な背景から、臭いの発生を極めて効果的に抑制し、同時に褐変を長期間にわたって抑制できる等、従来技術の水準を超えてキャベツを含む青果物の鮮度保持が可能な技術が強く求められていた。
本発明者は、鋭意検討の結果、包装後所定時間経過後の包装体の内部酸素濃度を所定範囲に制御することが、キャベツを含む青果物の臭いの抑制等の鮮度保持に特に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にキャベツを含む青果物を収納してなり、包装体の封止後72時間における内部酸素濃度が1.2体積%以上18.0体積%以下である、上記包装体。
[2]
前記キャベツの褐変、及び臭いの発生を、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間以上抑制する、[1]に記載の包装体。
[3]
包装体の封止直後の前記包装容器内の酸素濃度が、0体積%以上25.0体積%以下である、[1]又は[2]に記載の包装体。
[4]
前記高分子フィルムの酸素透過度が、20℃、90%RHにおいて、3000cc/m2/atm/day/atm以上、50000cc/m2/atm/day以下である、[1]から[3]のいずれか一項に記載の包装体。
[5]
前記高分子フィルムの厚みが、15から45μmである、[1]から[4]のいずれか一項に記載の包装体。
[6]
前記高分子フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、又は延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の包装体。
[7]
前記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有し、又は少なくとも1種の抗菌剤が塗布されている、[1]から[6]のいずれか一項に記載の包装体。
[8]
前記キャベツがカットキャベツである、[1]から[7]のいずれか一項に記載の包装体。
[9]
更に吸湿剤、及び/又は抗菌剤を収納してなる、[1]から[8]のいずれか一項に記載の包装体。
[10]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にキャベツを含む青果物を収納する工程、及び該包装容器内の包装体の封止後2℃〜15℃の条件の下で72時間保持した後における酸素濃度を、1.2体積%以上18.0体積%以下とする工程、を有する、青果物の鮮度保持方法。
本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内にキャベツを含む青果物を収納してなり、包装体の封止後72時間における内部酸素濃度が1.2体積%以上18.0体積%以下である、包装体である。すなわち、本発明の包装体は、少なくとも、包装容器と、そこに収納された青果物と、を有するものである。
本発明の包装体を構成する包装容器は、高分子フィルムを含んでなるものである。ここで「高分子フィルムを含んでなる」とは、包装容器の全部が高分子フィルムで構成されている場合、及び蓋材等包装容器の一部が高分子フィルムで構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
従って、上記包装容器は、全部又は主要部が可撓性の高分子フィルムで構成された可撓性の包装容器、いわゆる包装袋であってもよく、可撓性の高分子フィルムとコーティング紙等のそれ以外の可撓性の部材を組み合わせた可撓性の包装容器であってもよく、あるいは可撓性の高分子フィルムと剛直な部材とを組み合わせた包装容器、例えば、蓋材としての高分子フィルムと、トレー、カップ等の剛直な部材とを組み合わせた形態のものであってもよい。
なお、このような包装袋は、その平面視での形状は円形、三角形、四角形、四角形以上の多角形でもよいが、加工性や取扱いの容易さの観点から長方形をなすことが好ましい。
本発明の包装体は、上記包装容器内にキャベツを含む青果物を収納してなる。ここで、青果物がキャベツを「含む」とは、当該青果物の全部がキャベツで構成されている場合、及び当該青果物の一部がキャベツ構成されている場合、の双方を包含する趣旨である。従って、包装容器内に収納される青果物は、キャベツ以外の野菜、果物等を含んでいてもよく、含んでいなくともよい。更には、キャベツを含んでいる限りにおいては、青果物以外の成分、例えば青果物以外の食品、調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。
すなわち、ここでいう「キャベツ」は、その好ましい例として、寒玉(冬)キャベツ、春キャベツ、高原キャベツ、レッドキャベツ、グリーンボール(丸玉)、サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)、芽キャベツ、プチヴェール、みさき甘藍/とんがりきゃべつ等の全てを包含する概念であるが、これらには限定されない。
従って、キャベツを含む青果物は、収穫されたままのものであってもよく、外葉等を除去したいわゆる前処理済みのものであってもよく、カット済みのいわゆるカット野菜(カットキャベツ)であってもよい。また、青果物は、洗浄、冷却、脱水等の処理のいずれか又は全てを行ったものであってもよく、またこれらの処理のいずれも行わないものであってもよい。 なお、収納され鮮度保持されるキャベツがカットされたキャベツの場合には、カット、洗浄、脱水および/または乾燥処理を行い、適正な水分量に調整されていることが好ましい。より具体的には、例えばカットされたキャベツを「大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき80〜120ppm、10〜20分の次亜塩素酸洗浄後に「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量が10〜20%の範囲にすることが、臭気発生の防止および褐変等外観の劣化の防止のバランスの観点から特に好ましい。
本発明の包装体の、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度は、1.2体積%以上18.0体積%以下である。
包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度が1.2体積%以上であることによって、包装容器内に収容された青果物中のキャベツの臭いの発生を極めて有効に抑制することができる。包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度が18.0体積%以下であることによって、包装容器内に収容された青果物中のキャベツの褐変を有効に抑制することができる。本発明の包装体の好ましい実施形態においては、青果物中のキャベツの褐変、及び臭いの発生を、包装体の封止後長期間、好ましくは10℃の条件の下で72時間以上にわたって抑制することができる。
本発明の包装体の、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度は2.0体積%以上であることがより好ましく、2.5体積%以上であることがより好ましく、3.0体積%以上であることが特に好ましい。
本発明の包装体の、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度は、17.5体積%以下であることがより好ましく、17.0体積%以下が特に好ましい。
ここで、「包装体の封止後」とは、包装容器内にキャベツを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してからの経過時間をいい、「包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後」とは、包装容器内にキャベツを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してから10℃の条件の下で72時間保持した直後の状態をいう。
酸素濃度の履歴については、包装体の封止直後の、すなわち包装容器内にキャベツを含む青果物を収納した後包装容器を封止した直後の、包装容器内の酸素濃度が、0〜25.0体積%であることが好ましい。例えば、所定量以上の酸素を含んだ気体をキャベツを含む青果物とともに包装容器に収納して包装容器を封止することで、キャベツ等からの臭いの発生を特に効果的に抑制することができる。
なお、効果的にキャベツ等からの臭いの発生を抑制する観点から、包装直後の包装容器内の酸素濃度が10%以下の場合には、包装容器の酸素透過度が3000cc/m2/atm/day以上であることが好ましく、4500cc/m2/atm/day以上であることがより好ましい。
包装直後の包装容器内の酸素濃度は、5〜22.0体積%であることがより好ましく、10〜22.0体積%であることがより好ましく、15〜22.0体積%であることがより好ましく、18〜22.0体積%であることが特に好ましい。
また、上述した所望の内部酸素濃度を実現するためには、酸素透過度が所定値以下である高分子フィルムを用いて、包装容器を構成することが望ましい。
すなわち、本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、キャベツの褐変やカビの発生等を防止する観点から、20℃、90%RHにおいて、50000cc/m2/atm/day以下であることが好ましい。20℃、90%RHにおける酸素透過度が上記値以下であることによって、外気からの酸素の侵入を防ぎ、包装体の封止後10℃の条件下で、72時間保持した後においても、18.0体積%以下という適度の内部酸素濃度を維持することができ、青果物の褐変を有効に抑制することができる。本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、45000cc/m2/atm/day以下であることがより好ましく、35000cc/m2/atm/day以下であることがより好ましく、32000cc/m2/atm/day以下であることが特に好ましい。
高分子フィルムの酸素透過度には特に下限は存在しないが、ガスバリアコーティング等を行っていない、通常の高分子フィルムを使う限りにおいて、20℃、90%RHにおいて、800cc/m2/atm/day以上となることが一般的である。
また、収納された青果物からの臭いの発生を防ぐ観点からは、高分子フィルムは、青果物の呼吸が可能な程度の酸素透過率を有することが好ましい。この観点からは、高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、1000cc/m2/atm/day以上であることが好ましく、3000cc/m2/atm/day以上であることが好ましく、4500cc/m2/atm/day以上であることが特に好ましい。
まず、次の方法で内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になれば袋内のガスを連通部からほぼすべて排出する。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールする。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置する。
次にサンプリング針チューブで約20ccサンプリングして食品包装用ジルコニア酸素濃度計(東レエンジニアリング社製、型番LC−750F)にて袋中の酸素濃度を測定する。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出する。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(a×b×2cm2)/0.21(酸素の分圧)
高分子フィルムに開口部を設ける必要が無いため、製造プロセスがより簡便、低コストなものとなり、また開口部の大きさ、形状等を精密に制御することも不要となる。
高分子フィルム中に開口部が存在しないことは、例えば、包装容器を構成する高分子フィルムが、インク洩れチェッカーで確認できる貫通孔を有さないことにより、確認することができる。
個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、高分子フィルムの酸素透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能であり、その際には、高分子フィルムの有効面積に占める開口部の数が指針となる。例えば2mmの長さのスリット状の開口部であって、閉じた状態では光学顕微鏡(オリンパス社製、型式SZH−131)にて倍率4倍による観察では貫通口としての幅は視認することができないものを設ける場合、200mm×200mmの包装容器に対して1つ存在するごとに約1000cc/m2/day/atmの酸素透過度を上げる効果があり、この様な知見に基づき必要とされる包装容器全体の酸素透過度からスリット開口部の数を決めることが好ましい。
前記プロピレン系重合体としては、ポリプロピレンの名称で製造、販売されているプロピレン単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と、低結晶性または非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体との混合物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体が挙げられる。また、プロピレン系重合体は、分子量が異なるプロピレン単独重合体の混合物であってもよく、プロピレン単独重合体と、プロピレンとエチレン又は炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との混合物であってもよい。
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
機械的強度等の観点からは、各種高分子の延伸フィルムを好適に用いることができる。
特に、プロピレン系重合体を用いた延伸フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)は、機械的強度、透明性、耐熱性等に優れるため、本発明に用いる包装容器において、特に好ましく使用することができる。
また、エチレン系重合体を用いたフィルム(ポリエチレン系フィルム)も、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよいが、ヒートシール性等の観点から、無延伸のものを、特に好ましく使用することができる。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムとして特に好適なものの例として、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、及び延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を挙げることができる。
本発明において好ましく用いられる延伸ポリプロピレンフィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、延伸ポリプロピレンフィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、例えば逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向に夫々5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸することにより製造することができる。
<ポリエチレン系フィルム>
本発明において好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、前記エチレン系重合体を含むフィルムである。ポリエチレン系フィルムは種々の公知の成型方法を用いることができるが、エクストルーダーによる押出によるキャスト成型が、生産効率の観点から好ましい。
ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなる一軸あるいは二軸延伸フィルムである。
本発明において好ましく用いられる延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体は上記ポリエチレン系フィルムの層と延伸フィルムの層を積層して得られる。ポリエチレン系フィルムは一方向または二方向に延伸されていてもよいが、包装袋の機械的強度の安定性の観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
予め作製された延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤により貼着させるドライラミネーションを行うが、ここで接着剤を塗布する延伸フィルム表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
青果物等の内容物の鮮度保持の観点からは、上記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有することが好ましい。
また、上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、抗菌機能を有していてもよい。例えば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、上記高分子フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが好ましく、当該少なくとも1種の化合物が0.002〜0.5g/m2存在することが特に好ましい。あるいは、上記高分子フィルムが、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有していることが好ましく、0.001〜3質量部含有していることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、該高分子フィルムの表面での結露が抑制され、雑菌の繁殖が抑制されることにより、結露(ドリップ)中での雑菌の増殖が抑制され、抗菌機能が発揮される。
この場合、延伸プロピレンフィルム単体で用いる場合は、その厚さが10〜100μmであることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を用いる場合には、前者の厚さが10〜50μm、後者の厚さが10〜120μmであることが好ましい。
キャベツを含む青果物を本発明の包装容器に収納し、その内部酸素濃度を適宜調整することで、本発明の包装体を製造することができ、また本発明の一実施形態である青果物の鮮度保持方法を実施することができる。
以下、本発明の包装体の製造方法を、カットキャベツの鮮度保持用の包装体を例に説明する。
また、カット幅が狭いほど、切断面積が増加し、鮮度保持がより困難になるため、鮮度保持の観点からは、需要の形態に適合する限りにおいてカット幅が広い方が好ましい。
更に、カットキャベツに当初から雑菌が多く付着していると、鮮度保持がより困難になるため、カットキャベツをよく洗浄するなどして、雑菌の付着をできるだけ低減することが好ましい。洗浄は、雑菌の付着を低減するばかりか、活性の高い酵素等を含み変色等の原因となりうる細胞液等を除去する効果もあるため、鮮度保持のために特に有効である。
加えて、洗浄後にカットキャベツ表面に付着した水分を十分に除去することが、鮮度保持のために重要である。洗浄後静置して水切りを行っても、カットキャベツ表面にはなお多くの水が付着している場合が多いので、遠心脱水機等を用いて水分を除去することが有効である。
これは水分を適正にすることで余分に付着した微小水滴中での雑菌の増殖が抑制できるからである。より具体的には、例えば「大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき80〜120ppm、10〜20分の次亜塩素酸洗浄後に「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量を10〜20%の範囲とすることが臭気の抑制および褐変等の外観劣化防止の観点から特に好ましい。
また、流通の過程での効率向上やスペース節約、特定の気体の排除等の観点からも、包装容器の封止後に脱気を行ってもよい。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤、及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
(開口部)
赤色浸透液(三菱ガス化学株式会社製、商品名:エージレスシールチェックスプレー)を包装容器内に注入後、インパルスシーラーで加熱条件の目盛を3に設定し、約5mm幅でヒートシールして、紙(コクヨ PPC用紙 共用紙 A4)を押しあて、紙へのインクの転写の有無により、開口部の有無及び個数を確認した。開口部が見られたものについては、光学顕微鏡により、開口部の大きさ及び形状も観察した。
(酸素透過度)
まず、次の方法で内寸220mm×240mmの袋を形成した。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸220mm×240mmの袋を形成した。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になってから袋内のガスを連通部からほぼすべて排出した。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールした。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置した。
次にサンプリング針チューブで袋内のガスを約20ccサンプリングして食品包装用ジルコニア酸素濃度計(東レエンジニアリング社製、型番LC−750F)にて袋中の酸素濃度を測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出した。
(式)酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(1232cm2)/0.21(酸素の分圧)
(酸素濃度・二酸化炭素濃度)
Dansensor製食品包装用O2/CO2分析計Check Mate 3を用いて測定した。
(外観)
包装体の封を開けて、取り出した青果物を並べ、キャベツ断面を中心に全体的な褐変部分の面積を目視にてn=3で評価した。
評価基準は以下のとおり。
A:褐変が全くなく問題ない。
B:褐変はあるが断面全体の10%以下で少し目立つ状態
C:褐変はあるが断面全体の30%以下であり、かなり目立つが販売可能な状態
D:褐変はあるが断面全体の50%以下であり、著しく目立ち消費者により販売不可能な状態
E:褐変大きく、消費者には明らかに販売不可能な状態
(臭い)
包装体の封を開けた時に顔を近づけて内部のにおいを嗅いでn=3で官能評価した。
評価基準は以下のとおり。
A:新鮮な状態で全く問題ない
B:やや臭いがあるが新鮮と言える状態
C:臭いが強いが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
D:更に臭いが強く消費者が気にする状態
E:更に臭いが強く販売不可能な状態
厚さ30μmのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム2枚を重ね合わせて、3辺をヒートシールで封止のうえ切断して、1辺が未封止の包装袋(220mm×240mm、内寸の面積:1232cm2)を作製した。
<カットキャベツ>
キャベツを汚れ、傷み部分を除いた後に概ね幅2mmに切り、「大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき100ppm、10分の次亜塩素酸洗浄を行った。その後、適正に脱水、乾燥処理をおこないカットキャベツを得た。
また、カットキャベツ水分量は「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量は17%であった。
包装容器に、上記の処理を行ったカットキャベツ150gを封入し、窒素充填後、ヒートシールして包装体を作製した。該包装体を10℃で保管し、0、24、48、72、96、120、及び144時間後に内部酸素濃度を測定し、カットキャベツの外観及び臭いを評価した。
フィルムの酸素透過率は、1000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムにレーザ加工により直径100μmの孔を1個設けたことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
フィルムの酸素透過率は、2000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムに代えて厚さ30μmのポリエチレンフィルムを使用したことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
フィルム中の開口部の有無を観察したところ、開口部が存在しないことが確認された。 フィルムの酸素透過率は、5000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムに直径200μmの針孔を1個設けたことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
フィルムの酸素透過率は、10000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムに直径200μmの孔を3個設けたことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
フィルムの酸素透過率は、15000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
OPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムに直径200μmの孔を10個設けたことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
フィルムの酸素透過率は、30000CC/m2/atm/dayであった。
結果を表1に示す。
窒素ガスに代えて酸素:5体積%/窒素:95体積%の混合ガスを充填したことを除くほか、比較例2と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
窒素ガスに代えて酸素:10体積%/窒素:90体積%の混合ガスを充填したことを除くほか、比較例2と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
窒素ガスに代えて酸素:15体積%/窒素:85体積%の混合ガスを充填したことを除くほか、比較例2と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
窒素ガスに代えて大気を充填したことを除くほか、比較例2と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
Claims (10)
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にキャベツを含む青果物を収納してなり、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間保持した後における内部酸素濃度が1.2体積%以上18.0体積%以下である、包装体。
- 前記キャベツの褐変、及び臭いの発生を、包装体の封止後10℃の条件の下で72時間以上抑制する、請求項1に記載の包装体。
- 包装体の封止直後の前記包装容器内の酸素濃度が、0体積%以上25.0体積%以下である、請求項1又は2に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムの酸素透過度が、20℃、90%RHにおいて、3000cc/m2/atm/day/atm以上、50000cc/m2/atm/day以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムの厚みが、15から45μmである、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、又は延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有し、又は少なくとも1種の抗菌剤が塗布されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記キャベツがカットキャベツである、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装体。
- 更に吸湿剤、及び/又は抗菌剤を収納してなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装体。
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にキャベツを含む青果物を収納する工程、及び該包装容器内の包装体の封止後2℃〜15℃の条件の下で72時間保持した後における酸素濃度を、1.2体積%以上18.0体積%以下とする工程、を有する、青果物の鮮度保持方法。
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