JP2019177915A - 青果物を収納した包装体、及び青果物の鮮度保持方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、包装容器内の酸素濃度を低く保ったとしても、レタス等の変色の抑制には限界があり、より高いレベルで変色を抑制できる技術が望まれていた。
また、酸素濃度を低く保つと、レタス等の嫌気呼吸によって、アルコールやアルデヒド等が生じ、その結果異臭が発生するという問題があり、低酸素濃度に過度に依存しない、変色防止技術が強く求められていた。
[1]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にレタスを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後72時間経過後の該レタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加している、上記包装体、である。
[2]
前記包装容器内の酸素濃度が、1.5体積%以下である、[1]に記載の包装体。
[3]
前記包装体の封止後、10℃未満の温度で72時間以上保持された、[1]又は[2]のいずれか一項に記載の包装体。
[4]
前記レタスの褐変を、包装体の封止後72時間以上抑制する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の包装体。
[5]
前記包装容器内に窒素が封入されている、[1]から[4]のいずれか一項に記載の包装体。
[6]
前記包装体の封止後72時間経過後の前記レタスのビタミンC含有量が、該包装体封止直後の該レタスのビタミンC含有量の30%以上である、[1]から[5]のいずれか一項に記載の包装体。
[7]
高分子フィルムを含んでなる包装容器内にレタスを含む青果物を収納して包装体を形成して封止する工程、及び該包装体を保持する工程、を含む青果物の鮮度保持方法であって、
該包装体の封止後72時間経過後の該レタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加している、上記青果物の鮮度保持方法。
[8]
該包装容器内に窒素を封入する工程を更に有する、[7]に記載の、青果物の鮮度保持方法。
なお、クロロフィルがビタミンCを分解する作用があることから、クロロフィルを増加させることで、栄養的に好ましい成分であるビタミンCが過度に減少することが懸念されたが、驚くべきことに本発明の条件を満たし、クロロフィルが増加する条件では、ビタミンCの経時的減少はむしろ抑制されており、本発明がこの点からもレタスを含む青果物の鮮度保持に好適であることがわかった。
本発明は、高分子フィルムを含んでなる包装容器内にレタスを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後72時間経過後の該レタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加している、上記包装体である。
すなわち、本発明の包装体は、少なくとも、包装容器と、そこに収納された青果物と、を有するものである。
本発明の包装体を構成する包装容器は、高分子フィルムを含んでなるものである。ここで「高分子フィルムを含んでなる」とは、包装容器の全部が高分子フィルムで構成されている場合、及び蓋材等包装容器の一部が高分子フィルムで構成されている場合、の双方を含む趣旨である。
従って、上記包装容器は、全部又は主要部が可撓性の高分子フィルムで構成された可撓性の包装容器、いわゆる包装袋であってもよく、可撓性の高分子フィルムとコーティング紙等のそれ以外の可撓性の部材を組み合わせた可撓性の包装容器であってもよく、あるいは可撓性の高分子フィルムと剛直な部材とを組み合わせた包装容器、例えば、蓋材としての高分子フィルムと、トレー、カップ等の剛直な部材とを組み合わせた形態のものであってもよい。
なお、このような包装袋は、その平面視での形状は円形、三角形、四角形、四角形以上の多角形でもよいが、加工性や取扱いの容易さの観点から長方形をなすことが好ましい。
本発明の包装体は、上記包装容器内にレタスを含む青果物を収納してなる。ここで、当該青果物がレタスを「含む」とは、当該青果物の全部がレタスで構成されている場合、及び当該青果物の一部がレタスで構成されている場合、の双方を包含する趣旨である。従って、包装容器内に収納される青果物は、レタス以外の野菜、果物等を含んでいてもよく、含んでいなくともよい。更には、レタスを含んでいる限りにおいては、青果物以外の成分、例えば青果物以外の食品、調味料、食品添加物等を含んでいてもよい。
すなわち、ここでいう「レタス」は、サンチュなどに代表される、掻きチシャまたはカッティングレタスと呼ばれるもので茎から葉を掻き採るタイプ;ロメインレタスなどに代表される、葉がほとんど巻かず立っている立ちチシャと呼ばれるタイプ;サニーレタスやグリーンリーフなどに代表される、非結球のリーフレタス(葉チシャ);及び一般的にレタスと呼ばれるものに代表される、結球する玉レタス(玉チシャ);の全てを包含する概念である。
ここでいう「レタス」の好ましい具体例としては、レタス(玉レタス)、グリーンリーフ、ロメインレタス(コスレタス)、サニーレタス、シルクレタス、ピンクロウスター、サラダ菜、ブーケレタス、グリーンオークリーフ(サラノバレタス)、フリルレタス、(チマ)サンチュ、茎レタス(ステムレタス)等を挙げることができるが、これらには限定されない。
なお、収納され鮮度保持されるレタスがカットされたレタスの場合には、カット、洗浄、脱水および/または乾燥処理を行い、適正な水分量に調整されていることが好ましい。および/具体的にはおよび/カットされたレタスを「大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき80〜120ppm、10〜20分の次亜塩素酸洗浄後に「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量が20〜30%の範囲にすることが、臭気発生の防止および褐変等外観の劣化の防止のバランスの観点から特に好ましい。
なお、これらカット、洗浄、脱水および/または乾燥処理のプロセスにおいても、レタスのビタミンC含有量及びクロロフィル含有量は変動しうるので、これらのプロセスの条件を適切に設定することも、上記レタスのクロロフィル含有量を適切に制御するための一つの方法である。
包装体の封止後72時間経過後のレタス中のクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加していると、従来技術の限界を超えた高いレベルで、長期間かつ安定的にレタスの褐変を防止することができる。例えば、包装体の封止後72時間にわたって、レタスの褐変を防止することができる。また、その際に、包装体内の酸素濃度を過度に低くすることを要さない。
包装体の封止後72時間経過後の包装体中のレタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加していることで、レタスの褐変が抑制されるメカニズムは必ずしも明らかではないが、レタスの褐変が酸化と関連のある現象であるところ、抗酸化活性を有するクロロフィルが増加するような条件において、クロロフィルの抗酸化作用が特に有効に作用しうることなんらかの関係があることが推定される。
包装体の封止後72時間におけるレタスのクロロフィル含有量は、好ましくは、該包装体封止直後のクロロフィル含有量の1.0倍以上であり、より好ましくは1.2倍以上である。
本発明によれば、包装体の封止後72時間経過後の包装体内のレタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加する条件で青果物を保管することで、レタス中のビタミンC含有量の減少を抑制することができる。
本発明の包装体の封止後72時間経過後の、包装体内のレタスのビタミンC含有量は、該包装体封止直後の該レタスのビタミンC含有量の30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、50%以上であることが特に好ましい。
例えば、クロロフィルは包装体の内部酸素濃度が低く、内部二酸化炭素濃度が高いと、経時的に増加し易い傾向があるので、この傾向を考慮して、包装体の内部酸素濃度、内部二酸化炭素濃度等を設定することができる。
また、クロロフィルは保管温度が高いほど経時的に減少し易い傾向があるので、この傾向を考慮して、保管温度を設定することができる。
本発明の包装体の内部酸素濃度には特に制限は無いが、包装体内のレタスのクロロフィル含有量を増加させる等の観点からは、例えば1.5体積%以下であることが好ましく、1.0体積%以下であることがより好ましく0.7体積%特に好ましい。
内部酸素濃度は封止後の時間経過により変動しうるので、封止後の経過時間を特定するならば、例えば包装体の封止後10℃未満で72時間保持した後における内部酸素濃度が1.5体積%以下であることが好ましく、1.0体積%以下であることが特に好ましい。
包装体の内部酸素濃度が上記範囲内であると、包装容器内に収容された青果物中のレタスのクロロフィル含有量を制御することが一層容易となり、レタスの褐変を一層有効に抑制できる。この好ましい実施形態においては、青果物中のレタスの褐変、及び好ましくは更に臭いの発生を、包装体の封止後長期間、好ましくは72時間以上、より好ましくは120時間以上、特に好ましくは168時間以上にわたって抑制することができる。
ここで、「包装体の封止後」とは、包装容器内にレタスを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してから所定温度で保持したときの経過時間をいい、「包装体の封止後10℃で72時間保持した後」とは、包装容器内にレタスを含む青果物を収納した後、包装容器を封止してから10℃で72時間保持した直後の状態をいう。
また、レタス等の呼吸を抑え休眠状態に保つ観点、及び褐変の一因となるレタス断面の酸化を抑える観点から、包装体の保持温度は2〜15℃が好ましく、3〜10℃が特に好ましい。
酸素濃度の履歴については、包装体の封止直後の、すなわち包装容器内にレタス、好ましくはカット、洗浄、脱水および/または乾燥処理を行い、適正な水分量に調整されたレタス、を含む青果物を収納した後包装容器を封止した直後の、包装容器内の酸素濃度が、0.0〜12.0体積%であることが好ましい。0.0〜6.0体積%であることがより好ましく、0.0〜0.5体積%であることが特に好ましい。
内部二酸化炭素濃度は封止後の時間経過により変動しうるので、封止後の経過時間を特定するならば、例えば包装体の封止後10℃で72時間保持した後における内部二酸化炭素濃度が0.0〜10.0体積%であることが好ましく、4.0〜9.0体積%であることが特に好ましい。包装体の内部二酸化炭素濃度が上記範囲内であると、包装容器内に収容された青果物中のレタスのクロロフィル含有量を制御することが一層容易となり、レタスの褐変を一層有効に抑制できる。
包装体の内部二酸化炭素濃度は、包装直後の二酸化炭素濃度を調整することで、所望の範囲に調整することが可能である。より具体的には、包装体を作製する際に、包装容器内に充填するガス中の二酸化炭素濃度を調整することで、適宜調整することが可能である。 また、包装体の内部二酸化炭素濃度は、包装体外に流出する二酸化炭素量、及び/又は包装体内のレタスを含む青果物の呼吸により発生する二酸化炭素量を調整することでも、所定の濃度に調整することが可能である。より具体的には、包装容器のガス透過度を調整することで、包装体外に流出する二酸化炭素量を調整することが可能であり、包装容器に収納する青果物の量及び/または包装容器内に充填する酸素の量を調整することで、青果物の呼吸により発生する二酸化炭素量を調整することが可能である。
包装容器内の酸素濃度および二酸化炭素濃度は、例えば、Dansensor製食品包装用O2/CO2分析計Check Mate 3により測定することができる。
また、上述した好ましい内部酸素濃度を実現するためには、酸素透過度が所定値以下である高分子フィルムを用いて、包装容器を構成することが望ましい。
すなわち、本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、10000cc/m2/atm/day以下であることが好ましい。20℃、90%RHにおける酸素透過度が上記値以下であることによって、外気からの酸素の侵入を防ぎ、包装体の低い内部酸素濃度を維持するのに好適である。本発明において用いる高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、5000cc/m2/atm/day以下であることがより好ましく、3000cc/m2/atm/day以下であることが更に好ましく、1500cc/m2/atm/day以下であることが特に好ましい。
高分子フィルムの酸素透過度には特に下限は存在しないが、ガスバリアコーティング等を行っていない、通常の高分子フィルムを使う限りにおいて、20℃、90%RHにおいて、500cc/m2/atm/day以上となることが一般的である。
また、収納された青果物からの臭いの発生を防ぐ観点からは、高分子フィルムは、青果物の呼吸が可能な程度の酸素透過率を有することが好ましい。この観点からは、高分子フィルムの酸素透過度は、20℃、90%RHにおいて、500cc/m2/atm/day以上であることが好ましく、900cc/m2/atm/day以上であることがより好ましく、1000cc/m2/atm/day以上であることが特に好ましい。
まず、次の方法で内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸a(cm)×b(cm)の袋を形成する。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になれば袋内のガスを連通部からほぼすべて排出する。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールする。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置する。
次にサンプリング針チューブで約20ccサンプリングして食品包装用ジルコニア酸素濃度計(東レエンジニアリング社製、型番LC−750F)にて袋中の酸素濃度を測定する。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出する。
(式) 酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(a×b×2cm2)/0.21(酸素の分圧)
高分子フィルムに開口部を設ける必要が無いため、製造プロセスがより簡便、低コストなものとなり、また開口部の大きさ、形状等を精密に制御することも不要となる。
高分子フィルム中に開口部が存在しないことは、例えば、包装容器を構成する高分子フィルムが、インク洩れチェッカーで確認できる貫通孔を有さないことにより、確認することができる。
微孔の方法としては、加熱針等の物理的手段および、レーザー等の光学的手段のいずれも用いることができる。100〜300μmの孔径であれば、物理的手段を用いても十分に開孔可能な範囲であり、コスト的にも有利である。もちろんレーザー等でも開孔可能であり、この場合には、更に、精密な孔径の制御が可能となる。本発明において、微孔開孔にレーザーを用いる場合には、対象フィルムが効率良くレーザー光を吸収することが好ましい。例えば、二酸化炭素レーザー、YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザー、エキシマレーザー、U V レーザー光発振機、半導体レーザー光発振機、を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、本発明の包装体の製造において好ましく用いられるレーザー孔加工はスリット加工と異なり、金属による物理的接触がないため、欠落した刃、針等の混入のおそれがなく、また開口面積はスリットに比べて一定の為品質管理(ガス透過度の管理)がしやすく、好ましい。
スリット加工としては、個々の開口部の大きさと、開口部の個数は、高分子フィルムの酸素透過度が適切な限りにおいて、適宜設定、変更可能であり、その際には、高分子フィルムの有効面積に占める開口部の数が指針となる。例えば2mmの長さのスリット状の開口部であって、閉じた状態では光学顕微鏡(オリンパス社製、型式SZH−131)にて倍率4倍による観察では貫通口としての幅は視認することができないものを設ける場合、200mm×200mmの包装容器に対して1つ存在するごとに約1000cc/m2/day/atmの酸素透過度を上げる効果があり、この様な知見に基づき必要とされる包装容器全体の酸素透過度からスリット開口部の数を決めることが好ましい。
レーザー加工としては、50〜200μmφの孔を1〜5程度を設けることが好ましく、開口孔については光学顕微鏡(オリンパス社製、型式SZH−131)にて倍率4倍による観察で視認することができる。
前記プロピレン系重合体としては、ポリプロピレンの名称で製造、販売されているプロピレン単独重合体(ホモPPとも呼ばれている)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体(ランダムPPとも呼ばれている)、プロピレン単独重合体と、低結晶性または非晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体との混合物(ブロックPPとも呼ばれている)などのプロピレンを主成分とする結晶性の重合体が挙げられる。また、プロピレン系重合体は、分子量が異なるプロピレン単独重合体の混合物であってもよく、プロピレン単独重合体と、プロピレンとエチレン又は炭素数4から10のα−オレフィンとのランダム共重合体との混合物であってもよい。
前記エチレン系重合体としては、エチレンの単独重合体、エチレンを主要モノマーとし、それと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、そのケン化物及びアイオノマーが挙げられる。具体的には、ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体などのエチレンを主要モノマーとし、これと炭素数3から8のα−オレフィンの少なくとも1種類以上との共重合体が挙げられる。これらの共重合体中のα−オレフィンの割合は、1〜15モル%であることが好ましい。
機械的強度等の観点からは、各種高分子の延伸フィルムを好適に用いることができる。
特に、プロピレン系重合体を用いた延伸フィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)は、機械的強度、透明性、耐熱性等に優れるため、本発明に用いる包装容器において、特に好ましく使用することができる。
また、エチレン系重合体を用いたフィルム(ポリエチレン系フィルム)も、無延伸フィルム、延伸フィルムのいずれであってもよいが、ヒートシール性等の観点から、無延伸のものを、特に好ましく使用することができる。
本発明において包装容器を構成する高分子フィルムとして特に好適なものの例として、延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン系フィルム、及び延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を挙げることができる。
本発明において好ましく用いられる延伸ポリプロピレンフィルムは少なくとも一方向に延伸されたフィルムから構成されていてもよいし、延伸ポリプロピレンフィルム自体が少なくとも一方向に延伸されていてもよい。また、延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、例えば逐次、あるいは同時二軸延伸することにより容易に製造することも可能である。延伸ポリプロピレンフィルムとして二軸延伸フィルムを得る場合には、通常、縦方向に5〜8倍延伸し、続いて横方向にテンター機構を用いて8〜10倍延伸し、フィルムの厚さを最終的に20〜40μmとする方法、あるいは、縦方向及び横方向に夫々5〜10倍(面倍率で25〜100倍)延伸することにより製造することができる。
<ポリエチレン系フィルム>
本発明において好ましく用いられるポリエチレン系フィルムは、前記エチレン系重合体を含むフィルムである。ポリエチレン系フィルムは種々の公知の成型方法を用いることができるが、エクストルーダーによる押出によるキャスト成型が、生産効率の観点から好ましい。
ナイロン6、ナイロン66等からなるポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルからなるフィルム、ポリカーボネートフィルム、エチレン・ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びポリL乳酸、ポリD乳酸、またはポリL乳酸とポリD乳酸を精密に配位したステレオコンプレックス晶ポリ乳酸からなる一軸あるいは二軸延伸フィルムである。
本発明において好ましく用いられる延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体は上記ポリエチレン系フィルムの層と延伸フィルムの層を積層して得られる。ポリエチレン系フィルムは一方向または二方向に延伸されていてもよいが、包装袋の機械的強度の安定性の観点から、無延伸フィルムであることが好ましい。
予め作製された延伸フィルムとポリエチレン系フィルムとを接着剤により貼着させるドライラミネーションを行うが、ここで接着剤を塗布する延伸フィルム表面にはコロナ処理をしておくことが接着安定性の観点から好ましい。具体的には、コロナ処理後のフィルム表面の表面張力が接着安定性の観点から、35mN/m以上が好ましく、40mN/m以上がより好ましい。
青果物等の内容物の鮮度保持の観点からは、上記高分子フィルムが、少なくとも1種の抗菌剤を含有することが好ましい。
また、上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、抗菌機能を有していてもよい。例えば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびジグリセリンモノラウレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物が、上記高分子フィルムの少なくとも一方の表面に存在することが好ましく、当該少なくとも1種の化合物が0.002〜0.5g/m2存在することが特に好ましい。あるいは、上記高分子フィルムが、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタノールアミン、グリセリンモノラウレートおよびグリセリンモノカプレートからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を含有していることが好ましく、0.001〜3質量部含有していることが特に好ましい。
上記高分子フィルムの表面に特定の界面活性剤が特定量存在し、又は上記高分子フィルムが特定の界面活性剤を特定量含むことで、該高分子フィルムの表面での結露が抑制され、雑菌の繁殖が抑制されることにより、結露(ドリップ)中での雑菌の増殖が抑制され、抗菌機能が発揮される。
この場合、延伸プロピレンフィルム単体で用いる場合は、その厚さが10〜100μmであることが好ましく、延伸ポリプロピレンフィルムとポリエチレン系フィルムとの積層体を用いる場合には、前者の厚さが10〜50μm、後者の厚さが10〜120μmであることが好ましい。
レタスを含む青果物を包装容器に収納し、当該レタスのクロロフィル含有量を制御することで、本発明の包装体を製造することができ、また本発明の一実施形態である青果物の鮮度保持方法を実施することができる。
以下、本発明の包装体の製造方法を、カット、洗浄、脱水、および/または乾燥処理を行い、適正な水分量に調整されたカットレタスの鮮度保持用の包装体を例に説明する。
また、カット幅が狭いほど、切断面積が増加し、鮮度保持がより困難になるため、鮮度保持の観点からは、需要の形態に適合する限りにおいてカット幅が広い方が好ましい。
更に、カットレタスに当初から雑菌が多く付着していると、鮮度保持がより困難になるため、カットレタスをよく洗浄するなどして、雑菌の付着をできるだけ低減することが好ましい。洗浄は、雑菌の付着を低減するばかりか、活性の高い酵素等を含み変色等の原因となりうる細胞液等を除去する効果もあるため、鮮度保持のために特に有効である。
加えて、洗浄後にカットレタス表面に付着した水分を十分に除去することが、鮮度保持のために重要である。洗浄後静置して水切りを行っても、カットレタス表面にはなお多くの水が付着している場合が多いので、遠心脱水機等を用いて水分を除去することが有効である。
これは水分を適正にすることで余分に付着した微小水滴中での雑菌の増殖が抑制できるからである。より具体的には、例えば「大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき80〜120ppm、10〜20分の次亜塩素酸洗浄後に「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量を20〜30%の範囲とすることが好ましい。
また、流通の過程での効率向上やスペース節約、特定の気体の排除等の観点からも、包装容器の封止後に脱気を行ってもよい。
例えば、青果物に加えて、吸湿剤、及び/又は抗菌剤が包装容器中に収納されていてもよい。
吸湿剤には特に限定は無く、吸湿効果または調湿効果を有する公知又は市販の材料を使用することができる。吸湿剤として好適に用いられるものとしては、例えば、活性炭、シリカゲル、アルミナゲル、シリカアルミナゲル、無水硫酸マグネシウム、ゼオライト、合成ゼオライト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、及び、焼ミョウバン、又はこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの中でも、青果物への影響や食品である青果物等の近くで使用することに関する懸念の比較的少ない活性炭を用いることが特に好ましい。活性炭は粉末状、粒状どちらでも何ら差し支えなく、原料はヤシ殻、おがくず、木炭、竹炭、褐炭、泥炭、ほね、石油ピッチなどどんなものでも差し支えない。また活性炭は不織布、セロファン、紙などなどで使用単位毎に包装してあることが望ましいが、活性炭自体が繊維状になったものでも差し支えない。活性炭の包材としては、合成樹脂からなる不織布のように、ヒートシール性を有するものが好ましいが、水蒸気透過性を有しかつ活性炭がこぼれないもので有れば、紙、天然繊維などでも何ら問題ない。
(開口部の有無)
赤色浸透液(三菱ガス化学株式会社製、商品名:エージレスシールチェックスプレー)を包装容器内に注入後、インパルスシーラーで加熱条件の目盛を3に設定し、約5mm幅でヒートシールして、紙(コクヨ PPC用紙 共用紙 A4)を押しあて、紙へのインクの転写の有無により、開口部の有無を確認した。
(酸素透過度)
まず、次の方法で内寸220mm×240mmの袋を形成した。
1枚のフィルムをほぼ均等に2つ折りにし約5mm幅で、インパルスシーラー(富士インパルス社製、品番Fi−200−10WK)で加熱条件の目盛を3に設定してヒートシールを行い、当該ヒートシール辺がほぼ中央にくるようにヒートシール辺とほぼ垂直をなす辺の一方の全体を、他方の辺の一方の連通部となる端部約2cmを除く全体をヒートシールして、内寸220mm×240mmの袋を得た。
次に前記連通部から窒素ガスを注入し、袋内が飽和状態になってから袋内のガスを連通部からほぼすべて排出した。この操作を5回繰り返した後、窒素ガスを注入して袋内を窒素ガスで飽和させて連通部を前記インパルスシーラーで同様の条件でヒートシールした。窒素ガスを飽和させた袋を22℃、相対湿度40%の空気中(1気圧、酸素濃度:21%、窒素濃度:79%)の室内に6時間放置した。
次にサンプリング針チューブで袋内のガスを約20ccサンプリングして食品包装用ジルコニア酸素濃度計(東レエンジニアリング社製、型番LC−750F)にて袋中の酸素濃度を測定した。さらに、袋中の気体の体積を測定し、下記の式から酸素透過度を算出した。
(式)酸素透過度=内部酸素濃度変化(%)/100×体積(cm3)×24×60/時間(360分)×10000cm2/面積(1056cm2)/0.21(酸素の分圧)
(酸素濃度・二酸化炭素濃度)
Dansensor製食品包装用O2/CO2分析計Check Mate 3を用いて測定した。
(外観)
包装体の封を開けて、取り出した青果物を並べ、レタス断面を中心に全体的な褐変部分の面積を目視にてn=3で評価した。
評価基準は以下のとおり。
A:褐変が全くなく問題ない
B:褐変はあるが断面全体の10%以下であり、問題無いレベル
C:褐変はあるが断面全体の30%以下であり、かなり目立つ
D:褐変はあるが断面全体の50%以下であり、著しく目立ち消費者により販売不可能な状態
(臭い)
包装体の封を開けた時に顔を近づけて内部のにおいを嗅いでn=3で官能評価した。
評価基準は以下のとおり。
A:新鮮な状態で全く問題ないか、又はやや臭いがあるが新鮮と言える状態
B:臭いが強いが市販と同じ状態であり、販売可能な状態
C:更に臭いが強く消費者が気にする状態
D:更に臭いが強く販売不可能な状態
(クロロフィル含有量:Cch)
包装体から取り出したレタスに、80%アセトンを加え、約1分間ホモジナイズして抽出を行なった後、3000rpmで10分間遠心分離を行なった。分光光度計により、遠心分離の上澄み液の663.6nm及び646.6nmの吸光度を測定し、クロロフィルaの濃度を算出した。
(ビタミンC含有量:Cvc)
包装体から取り出したレタスに、メタリン酸を加え抽出を行なった後、高速液体クロマトグラフ法にて測定を行なった。レタス中のアスコルビン酸は還元型アスコルビン酸として、また酸化型であるデヒドロアスコルビン酸は還元し、これらを総アスコルビン酸として定量した。
厚さ40μmのOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルム2枚を重ね合わせて、3辺をヒートシールで封止のうえ切断して、1辺が未封止の包装袋(220mm×240mm、内寸の面積:1056cm2)を作製した。
フィルム中の開口部の有無を確認したところ、開口部が存在しないことが確認された。フィルムの酸素透過度は、1000cc/m2/atm/dayであった。
<カットレタス>
レタスを汚れ、傷み部分を除いた後に概ね4cm角に切り、大量調理施設衛生管理マニュアル」(厚生省)に基づき100ppm、10分の次亜塩素酸洗浄を行った。その後、水分管理を行い、適正に脱水、乾燥処理をおこなった。
また、「栄養表示基準における栄養表示等の分析方法」(消費者庁)に基づき70℃で5時間の減圧乾燥をおこなったときの重量減少を元に測定した水分量は24%であった。
包装容器に、上記カットレタス78gを封入し、窒素充填後、ヒートシールで封止して包装体を作製した。包装体の封止時にカットレタスを一部取り分け、そのクロロフィル含有量及びビタミンC含有量を測定した。該包装体を3℃で保管し、1日毎に内部酸素濃度及び二酸化炭素濃度を測定し、カットレタスの外観及び臭いを評価した。
封止から3日後(72時間後)に、カットレタスの一部を取り出し、そのクロロフィル含有量及びビタミンC含有量を測定した。
結果を表1に示す。
窒素ガスに代えて大気を充填したことを除くほか、実施例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
包装体の保管温度を10℃としたことを除くほか、比較例1と同様にして包装体を作製し、評価を行った。
結果を表1に示す。
一方、包装体の封止後72時間における、包装体中のレタスのクロロフィル含有量が、該包装体の封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも減少していた各比較例においては、既に封止から72時間経過時に褐変がかなり目立ち、商品としての価値が大きく損なわれた。
また、上記実施例の包装体は、72時間の保管によるレタス中のビタミンCの減少の度合いが、各比較例のものよりも小さく、栄養的に好ましい成分であるビタミンCを長期間維持する観点からも優れた包装体であった。
Claims (8)
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にレタスを含む青果物を収納してなる包装体であって、該包装体の封止後72時間経過後の該レタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加している、上記包装体。
- 前記包装容器内の酸素濃度が、1.5体積%以下である、請求項1に記載の包装体。
- 前記包装体の封止後、10℃未満の温度で72時間以上保持された、請求項1又は2のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記レタスの褐変を、包装体の封止後72時間以上抑制する、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記包装容器内に窒素が封入されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装体。
- 前記包装体の封止後72時間経過後の前記レタスのビタミンC含有量が、該包装体封止直後の該レタスのビタミンC含有量の30%以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装体。
- 高分子フィルムを含んでなる包装容器内にレタスを含む青果物を収納して包装体を形成して封止する工程、及び該包装体を保持する工程、を含む青果物の鮮度保持方法であって、
該包装体の封止後72時間経過後の該レタスのクロロフィル含有量が、該包装体封止直後の該レタスのクロロフィル含有量よりも増加している、上記青果物の鮮度保持方法。 - 該包装容器内に窒素を封入する工程を更に有する、請求項7に記載の、青果物の鮮度保持方法。
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2018
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