JP2018165414A - 合成繊維用処理剤 - Google Patents

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正剛 関藤
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Abstract

【課題】発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく発生したタールを除去しやすく、長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が少ない合成繊維用処理剤及び合成繊維の製造方法を提供すること目的とする。【解決手段】3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤。【選択図】なし

Description

本発明は、合成繊維用処理剤及び合成繊維の製造方法に関する。
従来、有機重合体を溶融紡糸して合成繊維を製造するにあたって、紡糸操作や、それに続く延伸、巻取り、編織等の種々の処理工程を円滑に行うために、繊維にいわゆる油剤と称される処理剤を施すことが広く行われている。

従来、合成繊維の紡糸、延伸工程に、種々の処理剤が目的に応じて使用されてきた。しかし今日、生産性の向上、品質の向上のために、紡糸、延伸速度が速くなり、高温で処理されることに伴い、合成繊維用処理剤の平滑性、耐熱性の性能向上が強く望まれている。
従来、合成繊維用処理剤の潤滑成分としては鉱物油などのパラフィン系炭化水素、オレイルオレート、ジオレイルアジペート、ジオレイルチオジプロピオネートなどの高級脂肪酸エステルなどが一般的に用いられている。
従来からも合成繊維用処理剤の潤滑成分として分解、発煙、タ−ル化の少ないものとしてビスフェノールAなどのアルキレンオキサイド付加物の高級脂肪酸エステルが提案されている。(特許文献1、2)
特公昭47−29474号公報 特開平7−238468号公報
しかしながら、近年、生産性及び品質向上のため、ますます紡糸及び延伸速度の高速化が進んでおり、さらに、延伸ローラー等の加熱体の高温化が進んでいる。このような過酷な条件下においては発煙、断糸及び毛羽等の発生を充分に低減させることができない問題がある。
本発明は、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく、断糸及び毛羽が少ない合成繊維用処理剤とそれが付着した合成繊維を提供すること目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、
3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤;この合成繊維用処理剤を合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%付着させてなる合成繊維である。
本発明の合成繊維処理剤を用いれば、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく、断糸及び毛羽が少ない。また、本発明の合成繊維の製造方法は、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく、断糸及び毛羽が少ない。
本発明の合成繊維用処理剤は、3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を必須成分として含有する合成繊維用処理剤であって、その酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤である。
エステル化合物(A)を構成する多価アルコール(a)において、価数が3〜6の多価アルコールのうち、3価の多価アルコールとして、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、ペンタメチルグリセリン、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン等が挙げられる。
4価の多価アルコールとして、1,2,3,4−ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、リボース、アラビノース、キシロース及びリキソース等が挙げられる。
5価の多価アルコールとして、トリグリセリン、アラビトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アロース、グロース、イドース、タロース及びクエルシトール等が挙げられる。
6価の多価アルコールとして、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ガラクチトール、マンニトール、アリトール、イジトール、タリトール及びイノシトール等が挙げられる。
価数が3〜6の多価アルコールとしては、糖類であってもよい。糖類としては、単糖類等が挙げられる。
これらの多価アルコールの中では、耐熱性向上の観点から、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン及びソルビトールが好ましく、トリメチロールプロパン及びソルビタンがさらに好ましい。
エステル化合物(A)を構成する炭素数4〜32の脂肪酸(b)としては、ブタン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸などが挙げられる。
エステル化合物(A)を構成する炭素数4〜32の脂肪酸(b)の炭素数は、平滑性向上の観点から、炭素数は6〜24が好ましく、さらに好ましくは8〜18である。
本発明の合成繊維用処理剤は、酸価が0.2〜10であり、油膜強度、発煙低減並びに断糸及び毛羽を防止する観点から、0.2〜8が好ましく、さらに好ましくは0.2〜5であり、最も好ましくは1.0〜3.0である。
酸価が0.2未満であると、処理剤の油膜強度が低下し、延伸ローラー上での断糸及び毛羽が多くなる。酸価が10を超えると、紡糸工程での発煙量が多くなる。
酸価は、化合物(A)及び乳化剤成分(B)製造時の反応時間、仕込み比及び温度等を調整することで好ましい範囲に調整が可能である。
例えば、化合物(A)を製造(エステル化反応)する際のカルボン酸化合物に対するアルコール化合物の比率を大きくすれば、カルボン酸化合物中のカルボン酸がエステル化される割合が高くなり、酸価は小さくなる。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定される。
本発明の合成繊維用処理剤は、灰分が0.01〜0.5重量%であり、タールの硬さ並びに長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽を防止する観点から、0.01〜0.4重量%が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.3重量%である。
灰分が0.01重量%未満であると、延伸ローラー上で発生するタールが固くなり断糸及び毛羽が増加する。また、灰分が0.5重量%を超えると、延伸ローラー上に堆積するスカムが多くなり、張力変動が大きくなるため長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が増加する。
なお、本発明における灰分は、JIS K 0067「化学製品の減量及び残分を試験する一般的な方法」に準じて測定される。
合成繊維用処理剤中の無機物の含有量を増加することで、灰分を大きくすることができる。
他方、合成繊維用処理剤中の無機物の含有量を低減することで、灰分を小さくすることができる。
また、合成繊維用処理剤を構成する化合物(A)中、乳化剤成分(B)中等の触媒残渣を濾過処理及び水洗等で取り除くことで低減することができる。
本発明の合成繊維用処理剤には、乳化性向上の観点から、ポリオキシアルキレングリコールの脂肪酸エステル(B1)、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B2)、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)、1価アルコールアルキレンオキサイド付加物(B4)、水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤成分(B)を含有することが好ましい。
ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル(B1)としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(以下、Mwと略記する)が200〜1,000のポリアルキレングリコールと、炭素数8〜18の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)並びに動植物油脂肪酸(ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸等)等]とのエステル化物等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレングリコール(Mw:200)のヤシ油脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:400)のラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:600)のカプリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:1000)の2−エチルヘキサン酸エステル及びポリプロピレングリコール(Mw:400)のヤシ油脂肪酸エステル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル(B1)のMwは、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
<Mwの測定条件>
機種:HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
[いずれも東ソー(株)製]
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準:ポリオキシエチレングリコール
[東ソー(株)製;TSK STANDARDPOLYETHYLENE OXIDE]
データ処理装置:SC−8020[東ソー(株)製]
多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(以下において、アルキレンオキサイドをAOと略記することがある。)の脂肪酸エステル(B2)としては、炭素数3〜6の脂肪族多価(2〜6価)アルコール[脂肪族2価アルコール(1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコール等)、脂肪族3〜6価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン等)]の炭素数2〜12のアルキレンオキサイド付加物と、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、動植物油脂肪酸(ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸等)]とのエステル化物等が挙げられる。
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、1,4−ブタンジオールのエチレンオキサイド(以下において、エチレンオキサイドをEOと略記することがある。)20モル付加物のステアリン酸エステル、ネオペンチルグリコールEO25モル付加物の硬化牛脂脂肪酸エステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のラウリン酸エステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールEO20モル付加物のヤシ油脂肪酸エステル及びグリセリンEO20モル付加物のパーム油脂肪酸エステル等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルのAO付加物(B3)としては、炭素数3〜6の脂肪族多価(2〜6価)アルコール[脂肪族2価アルコール(1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコール等)、脂肪族3〜6価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びソルビタン等)]の炭素数2〜12のアルキレンオキサイド付加物と、炭素数8〜24の脂肪族カルボン酸[脂肪族飽和カルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、動植物油脂肪酸(ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸及び硬化牛脂脂肪酸等)]とのエステル化物等が挙げられる。
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、1,4−ブタンジオールモノステアリン酸エステルのEO20モル付加物、ネオペンチルグリコールモノ硬化牛脂脂肪酸エステルのEO25モル付加物、トリメチロールプロパンジラウリン酸エステルのEO25モル付加物、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールジヤシ油脂肪酸エステルのEO20モル付加物、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物及びグリセリンジパーム油脂肪酸エステルのEO20モル付加物等が挙げられる。
1価アルコールAO付加物(B4)としては、例えば、炭素数4〜26の直鎖又は分岐アルキルの1価アルコール(ブタノール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール、デカノール、イソデカノール、分岐デカノール、ウンデカノール、イソウンデカノール、分岐ウンデカノール、ドデカノール、イソドデカノール、分岐ドデカノール、トリデカノール、イソトリデカノール、分岐トリデカノール、テトラデカノール、分岐テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、イソオクタデカノール、分岐オクタデカノール、2−オクチルデカノール、2−デシルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、2−デシルペンタデカノール、2−ウンデシルテトラデカノール及び2−ウンデシルペンタデカノール等)の炭素数2〜12のAO付加物が挙げられる。
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、n−ブタノールのEO11モル付加物、n−ヘキサノールのEO9モル付加物、n−オクタノールのEO11モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル付加物、イソデシルアルコールのEO8モル付加物、n−ブタノールのEO42モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル付加物、イソデシルアルコールのEO38モル付加物、ドデカノールのEO12モル付加物、分岐ドデカノールのEO5モル付加物、トリデカノールのEO13モル付加物、分岐トリデカノールのEO5モル付加物、テトラデカノールのEO12モル付加物、分岐テトラデカノールのEO5モル付加物、オクタデカノールのEO13モル付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル付加物、n−ブタノールのEO11モル・プロピレンオキサイド(以下において、プロピレンオキサイドをPOと略記することがある。)8モルランダム付加物、n−ヘキサノールのEO9モル・PO7モルランダム付加物、n−オクタノールのEO11モル・PO9モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル・BO9モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO8モル・THF6モルランダム付加物、n−ブタノールのEO42モル・PO32モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル・PO30モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO38モル・PO28モルランダム付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルランダム付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルランダム付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルランダム付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルランダム付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルランダム付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、n−ブタノールのPO17モル・EO15モルブロック付加物、n−ヘキサノールのPO16モル・EO14モルブロック付加物、n−オクタノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO20モル・EO9モルブロック付加物、デシルアルコールのPO15モル・EO12モルブロック付加物、イソデシルアルコールのPO18モル・EO7モルブロック付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルブロック付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルブロック付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルブロック付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルブロック付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルブロック付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物及び2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物等が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する動植物油のAO付加物(B5)としては、水酸基を有する動植物油(硬化ヒマシ油など)の炭素数2〜50のAO付加物などが挙げられる。
具体的には、ヒマシ油のEO40モル付加物及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物などが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する動植物油のAO付加物の脂肪酸エステル(B6)としては、水酸基を有する動植物油(硬化ヒマシ油など)の炭素数2〜50のAO付加物などが挙げられる。
具体的には、ヒマシ油のEO40モル付加物及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物などが挙げられる。
乳化剤成分(B)としては、1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳化剤成分(B)のうち、乳化性の観点から、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)、水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B6)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくはMwが1000〜3000の水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)である。
エステル化合物(A)と乳化剤成分(B)の重量比は、乳化性を向上させる観点から、重量比(A)/(B)が30/70〜80/20が好ましく、さらに好ましくは40/60〜70/30である。
本発明の合成繊維用処理剤には、耐熱性および発煙抑制の観点から、さらに酸化防止剤(C)を含有することが好ましい。
酸化防止剤(C)としては、フェノール系、チオ系、ホスファイト系等の公知のものが挙げられる。酸化防止剤は1種または2種以上を併用してもよい。酸化防止剤を含有する場合の処理剤の不揮発分に占める酸化防止剤の重量割合は、特に限定はないが、0.1〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%が好ましい。
酸化防止剤(C)の具体例としては、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリス(4−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ハイドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]等のフェノール系酸化防止剤、2)オクチルジフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、テトラトリデシル−4,4’−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤、3)4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート等のチオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の合成繊維用処理剤には、その性能を損なわない範囲でその他の添加剤を含有することができる。
添加剤としては、表面調整剤(ジメチルポリシロキサン及びアルキル変性シリコーン等)、pH調整剤(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の金属アルカリ、アルキルアミン及びアルキルアミンのAO付加物等の有機アミン、オレイン酸等の有機酸等)、制電剤(脂肪酸石鹸等)、紫外線吸収剤、粘度調整剤及び外観調整剤等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、合成繊維用処理剤の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下である。
本発明の合成繊維用処理剤の1%水希釈液のpHは、紡糸設備及び繊維加工設備の腐食防止の観点から、5〜9が好ましく、さらに好ましくは6〜8である。
なお、pHはJIS Z 8802に準拠して25℃で測定した値である。
本発明の合成繊維用処理剤の粘度は、処理剤を繊維に均一に付着させる観点並びに断糸及び毛羽を防止する観点から、2〜60mPa・sが好ましく、さらに好ましくは5〜40mPa・sである。
粘度は、ウベローデ粘度計により測定した値である。
本発明の合成繊維用処理剤の製造方法については特に制限がなく、種々の方法を用いることができる。例えば、化合物(A)と、必要により乳化剤成分(B)、酸化防止剤(C)及びその他の添加剤を常温(例えば25℃)又は必要により加熱(例えば30〜90℃)して均一に混合することにより得ることができる。各成分の配合順序、配合方法は特に限定されない。
本発明の合成繊維用処理剤は、紡糸及び延伸時の発煙を低減し作業環境を向上させ、延伸ローラー上にできるタールが軟らかくし、ローラーの汚染を抑制し、断糸及び毛羽の発生を低減することができるので、産業資材に用いられる合成繊維用処理剤として用いることができる。
本発明の合成繊維の製造方法は、合成繊維の重量に基づいて、本発明の合成繊維用処理剤を、0.1〜3.0重量%となるよう合成繊維に付着させる工程を含む製造方法である。
合成繊維用処理剤の合成繊維への付着方法としては、公知の方法等が使用でき、ローラー又はガイド給油装置等を用いて、紡糸工程、延伸工程又は巻取り前に付与することができる。
本発明の合成繊維用処理剤の合成繊維に対する付着率は、製糸性及び後加工性の観点から、処理前の合成繊維の重量に基づいて、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
本発明の合成繊維の処理方法は、本発明の合成繊維用処理剤を20〜90重量%の鉱物油と混合し、鉱物油溶液となし、合成繊維用処理剤中の固形分として、該溶液を合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%となるよう付着させることができる(以下、前記処理法をストレート給油と略記)。
本発明の合成繊維用処理剤を70〜90重量%の水と混合し、エマルションとなし、合成繊維用処理剤中の固形分として、該溶液を合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%となるよう付着させて、改質された合成繊を得ることができる(以下、前記処理法をエマルション給油と略記)。
合成繊維用処理剤の合成繊維への付着方法としては、公知の方法等が使用でき、ローラー又はガイド給油装置等を用いて、紡糸工程、延伸工程又は巻取り前に付与することができる。本発明の合成繊維用処理剤の合成繊維に対する付着量は、処理前の合成繊維の重量に基づいて、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
本発明の合成繊維の処理方法としてストレート給油を用いる場合、製糸性の観点から、油剤成分の濃度は、好ましくは25〜75重量%であり、さらに好ましくは30〜70重量%である。
75重量%を超える場合には、給油ローラーあるいは給油ノズルを用いて処理剤を付与する際に糸が処理剤にとられて製糸が不安定になりやすく、製糸性改善の効果が得られにくい。
油剤成分の濃度が25重量%に満たない場合、延伸前ローラー(フィードローラー)上で処理剤が飛散しやすくなり、油剤成分付着効率、防災上の両面から好ましくない。
ストレート給油に用いる鉱物油としては例えば、精製スピンドル油、流動パラフィン等が挙げられる。
本発明の合成繊維の処理方法としてエマルション給油を用いる場合、製糸性の観点から、油剤成分の濃度は、好ましくは15〜30重量%であり、さらに好ましくは18〜25重量%である。
30重量%を超える場合には、給油ローラーあるいは給油ノズルを用いて処理剤を付与する際に糸が処理剤にとられて製糸が不安定になりやすく、製糸性改善の効果が得られにくい。
油剤成分の濃度が15重量%に満たない場合、延伸前ローラー(フィードローラー)上で処理剤が飛散しやすくなり、油剤成分付着効率から好ましくない。
ストレート給油は製糸性の観点からナイロン繊維を紡糸する際の処理方法として好ましい。エマルション給油は防災上およびコストの観点からその他の繊維の処理方法として好ましい。
本発明の合成繊維用処理剤は合成繊維に用いることができる。
合成繊維は、例えば、タイヤコード用ナイロン繊維、エアバッグ用ナイロン繊維及びシートベルト用ポリエステル繊維等の産業資材用繊維である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。
<製造例1:ソルビタントリオレイン酸エステル(A−1−1)と(A−1−2)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、ソルビトール(有効成分70%水溶液)を312g(1.0モル)、オレイン酸を858g(2.55モル)を入れ、140℃まで昇温し脱水を行った。100℃まで冷却した後、エステル化触媒である水酸化カリウムを3.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液2.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に225℃まで昇温し、2時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリオレイン酸エステル(A−1−1)を得た。この(A−1−1)の酸価は10.0mgKOH/gであった。
さらに、エステル化反応時間を15時間に延ばして(A−1−2)を得た。この(A−1−2)の酸価は0.1mgKOH/gであった。
<製造例2:トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル(A−2−1)と(A−2−2)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ラウリン酸422g(2.11モル)、トリメチロールプロパン100g(0.75モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、1時間、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)2.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル(A−2)を得た。この(A−2−1)の酸価は12.0mgKOH/gであった。
さらに、エステル化反応時間を15時間に延ばして(A−2−2)を得た。この(A−2−2)の酸価は0.4mgKOH/gであった。
<製造例3:ポリエチレングリコールジラウリン酸エステル(B1−1)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(Mw:400)400g(1.0モル)、ラウリン酸360g(1.8モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ポリエチレングリコール(Mw:400)のジラウリン酸エステル(B1−1)を得た。
<製造例4:グリセリンEO20モル付加物のジラウリン酸エステル(B2−1)の製造>
乾燥したAOA反応槽にグリセリン92g(1.0モル)、触媒である水酸化カリウム0.6gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド880g(20モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)0.8gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、グリセリンEO20モル付加物を得た。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、上記で得たグリセリンEO20モル付加物460g(0.5モル)、ラウリン酸200g(1.0モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行いグリセリンEO20モル付加物のジラウリン酸エステル(B2−1)を得た。
<製造例5:ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物(B3−1)の製造>
乾燥したAOA反応槽に(A−1)で得たソルビタントリオレイン酸エステル479g(0.5モル)、触媒である水酸化カリウム0.5gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、混合したエチレンオキサイド440g(10モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物(B3−1)を得た。
<製造例6:オレイルアルコールEO5モル付加物(B4−1)の製造>
乾燥したAOA反応槽にオレイルアルコール268g(1.0モル)、触媒である水酸化カリウム1.6gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド220g(5.0モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)0.8gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、オレイルアルコールEO5モル付加物(B4−1)を得た。
<製造例7:ひまし油EO40モル付加物(B5−1)の製造>
乾燥したAOA反応槽にひまし油233g(0.25モル)、触媒である水酸化カリウム1.5gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド440g(10.0モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ひまし油EO40モル付加物(B5−1)を得た。
<製造例8:ひまし油EO40モル付加物のトリステアリン酸エステル(B6−1)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、(B5−1)で得たひまし油EO40モル付加物263.9g(0.1モル)、ステアリン酸85g(0.3モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.2g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.2gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ひまし油EO40モル付加物のトリステアリン酸エステル(B6−1)を得た。
<比較製造例1:エチレングリコールジオレイン酸エステル(A’−1)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、エチレングリコール63g(1.0モル)、オレイン酸を565g(2.0モル)を入れ、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.4g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)2.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、エチレングリコールジオレイン酸エステル(A’−1)を得た。
<比較製造例2:ソルビタントリプロパン酸エステル(A’−2)の製造>
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、ソルビトール(有効成分70%水溶液)を312g(1.0モル)、プロパン酸を189g(2.55モル)を入れ、140℃まで昇温し脱水を行った。100℃まで冷却した後、エステル化触媒である水酸化カリウムを1.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液1.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に225℃まで昇温し、10時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリプロパン酸エステル(A’−2)を得た。
<実施例1〜9及び比較例1〜4>
各成分を表1に記載の配合部数(重量部)で配合し、実施例1〜9及び比較例1〜4の合成繊維用処理剤を調製した。
Figure 2018165414
なお、表1における各成分は以下の通りである。
(A−1−1):ソルビタントリオレイン酸エステル、酸価10
(A−1−2):ソルビタントリオレイン酸エステル、酸価0.1
(A−2−1):トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル、酸価12
(A−2−2):トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル、酸価0.4
(A’−1):エチレングリコールジオレイン酸エステル
(A’−2):ソルビタントリプロパン酸エステル
(B1−1):ポリエチレングリコール(Mw:400)のラウリン酸エステル
(B2−1):グリセリンEO20モル付加物のジラウリン酸エステル
(B3−1):ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物
(B4−1):オレイルアルコールEO5モル付加物
(B5−1):硬化ひまし油EO40モル付加物
(B6−1):硬化ひまし油EO40モル付加物のトリステアリン酸エステル
(C−1):ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)](BASF製イルガノックス245)
(C−2):ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASF製イルガノックス1010)
(D−1):ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF−96A−20CS」)
(D−2):牛脂アルキルアミンEO15モル付加物
表1に記載の実施例1〜9及び比較例1〜4の合成繊維用処理剤を用い、合成繊維用処理剤の発煙性、油膜強度、タール硬度及び加熱張力変動の評価を行った。その結果を表1に示す。
<発煙性の評価方法>
アルミ製キャップ(直径40mm、深さ7mm)に合成繊維用処理剤0.2gを量り取り、柴田科学(株)製の粉塵試験機で250℃で1分間加熱後の粉塵量を柴田科学(株)製デジタル粉塵計AP−632T型にてカウント数/1分間(CPM)として記録し、下記基準で判定した。
なお、値が低いほど、発煙性が良好であることを示す。また、5000CPM未満であれば、発煙がほとんどないと判断できるレベルである。
[判定基準]
◎:3000未満
○:3000以上5000CPM未満
△:5000CPM以上10000未満
×:10000CPM以上、
<油膜強度の評価方法>
調製した合成繊維用処理剤を、市販のナイロンタイヤコード糸(1000dtx)に合成繊維用処理剤を純分換算として1.0重量%となるように付着させた。
この試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重1000g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定した。
なお、値が低い程、摩擦が少なく、油膜強度が良好であることを意味し、荷重が1500g以下であれば断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを示す。
<タール硬度の評価方法>
・サンプル作成
SUS製シャーレ(直径50mm、深さ10mm)に合成繊維用処理剤0.5gを量り取り、エスペック(株)製の防爆型循風乾燥機SAFETY OVEN SPHH−101で260℃、ダンパー開度25%条件で5時間焼成した。
・タールの硬度測定
合成繊維用処理剤の加熱劣化物(タール)の硬度はJIS K 5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し、「手かき法」によって生成した合成繊維用処理剤の加熱劣化物の硬度を測定した。なお、硬度が低い程、処理剤の加熱劣化物の除去性が良好であることを示し、2B以下が好ましい。
<加熱張力変動の評価方法>
調整した合成繊維用処理剤を市販のナイロンタイヤコード糸(1000dtx)に合成繊維用処理剤(純分)として1.0重量%となるように付着させた試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重1000g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重T1(g)及び、24時間走行させた後の荷重T2(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定し、張力変動T2−T1(g)を算出し次の基準で判定した。なお、油膜強度が良好であり、張力変動が小さいほど、長時間使用における断糸及び毛羽が少なくなることを意味し、張力変動が20g未満であれば、断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを意味する。
表1から明らかなように、実施例1〜9の合成繊維用処理剤は、250℃の高温での処理において、発煙性、油膜強度、タール硬度及び加熱張力変動のすべての評価において良好であった。したがって、本発明の合成繊維用処理剤は、高温での処理においても、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく発生したタールを除去しやすく、長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が少ない合成繊維用処理剤であることがわかる。
一方、酸価が0.2未満の比較例1は油膜強度が不良であり、酸価が10超えの比較例2は発煙性が不良だった。
2価の多価アルコールに由来するエステル化合物(A’−1)を用い、灰分が0.5%超えの比較例3は油膜強度と加熱張力変動が不良だった。炭素数が4未満の脂肪酸に由来するエステル化合物(A’−2)を用い、灰分が0.01%未満の比較例4は油膜強度とタール硬度が不良であった。
本発明の合成繊維用処理剤は、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく発生したタールを除去しやすく、長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が少ないので、近年のより紡糸、延伸速度の高速化、延伸ローラー等の加熱体の高温化においても処理剤加熱劣化物の除去性が優れており、毛羽が発生し難く長時間生産を継続でき、掃除周期を延長することが可能であり、特にエマルション給油方式のタイヤコード用ナイロン繊維の紡糸、延伸工程に好適に使用できる。

Claims (5)

  1. 3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤。
  2. さらに、ポリオキシアルキレングリコールの脂肪酸エステル(B1)、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B2)、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)、1価アルコールアルキレンオキサイド付加物(B4)、水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤成分(B)を含有する請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
  3. エステル化合物(A)と乳化剤成分(B)の重量比(A)/(B)が30/70〜80/20である請求項2に記載の合成繊維用処理剤。
  4. さらに酸化防止剤(C)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成繊維用処理剤。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の合成繊維用処理剤を、合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%付着させてなる合成繊維。
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