JP2018165414A - 合成繊維用処理剤 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、合成繊維の紡糸、延伸工程に、種々の処理剤が目的に応じて使用されてきた。しかし今日、生産性の向上、品質の向上のために、紡糸、延伸速度が速くなり、高温で処理されることに伴い、合成繊維用処理剤の平滑性、耐熱性の性能向上が強く望まれている。
本発明は、発煙が少なく、延伸ローラー上にできるタールが軟らかく、断糸及び毛羽が少ない合成繊維用処理剤とそれが付着した合成繊維を提供すること目的とする。
すなわち本発明は、
3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤;この合成繊維用処理剤を合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%付着させてなる合成繊維である。
4価の多価アルコールとして、1,2,3,4−ブタンテトラオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビタン、リボース、アラビノース、キシロース及びリキソース等が挙げられる。
5価の多価アルコールとして、トリグリセリン、アラビトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、アロース、グロース、イドース、タロース及びクエルシトール等が挙げられる。
6価の多価アルコールとして、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、ガラクチトール、マンニトール、アリトール、イジトール、タリトール及びイノシトール等が挙げられる。
エステル化合物(A)を構成する炭素数4〜32の脂肪酸(b)の炭素数は、平滑性向上の観点から、炭素数は6〜24が好ましく、さらに好ましくは8〜18である。
酸価が0.2未満であると、処理剤の油膜強度が低下し、延伸ローラー上での断糸及び毛羽が多くなる。酸価が10を超えると、紡糸工程での発煙量が多くなる。
例えば、化合物(A)を製造(エステル化反応)する際のカルボン酸化合物に対するアルコール化合物の比率を大きくすれば、カルボン酸化合物中のカルボン酸がエステル化される割合が高くなり、酸価は小さくなる。
酸価は、JIS K 0070に準じて測定される。
灰分が0.01重量%未満であると、延伸ローラー上で発生するタールが固くなり断糸及び毛羽が増加する。また、灰分が0.5重量%を超えると、延伸ローラー上に堆積するスカムが多くなり、張力変動が大きくなるため長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が増加する。
なお、本発明における灰分は、JIS K 0067「化学製品の減量及び残分を試験する一般的な方法」に準じて測定される。
他方、合成繊維用処理剤中の無機物の含有量を低減することで、灰分を小さくすることができる。
また、合成繊維用処理剤を構成する化合物(A)中、乳化剤成分(B)中等の触媒残渣を濾過処理及び水洗等で取り除くことで低減することができる。
具体的には、ポリエチレングリコール(Mw:200)のヤシ油脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:400)のラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:600)のカプリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:1000)の2−エチルヘキサン酸エステル及びポリプロピレングリコール(Mw:400)のヤシ油脂肪酸エステル等が挙げられる。
<Mwの測定条件>
機種:HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
[いずれも東ソー(株)製]
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準:ポリオキシエチレングリコール
[東ソー(株)製;TSK STANDARDPOLYETHYLENE OXIDE]
データ処理装置:SC−8020[東ソー(株)製]
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、1,4−ブタンジオールのエチレンオキサイド(以下において、エチレンオキサイドをEOと略記することがある。)20モル付加物のステアリン酸エステル、ネオペンチルグリコールEO25モル付加物の硬化牛脂脂肪酸エステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のラウリン酸エステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールEO20モル付加物のヤシ油脂肪酸エステル及びグリセリンEO20モル付加物のパーム油脂肪酸エステル等が挙げられる。
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、1,4−ブタンジオールモノステアリン酸エステルのEO20モル付加物、ネオペンチルグリコールモノ硬化牛脂脂肪酸エステルのEO25モル付加物、トリメチロールプロパンジラウリン酸エステルのEO25モル付加物、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸エステル、ペンタエリスリトールジヤシ油脂肪酸エステルのEO20モル付加物、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物及びグリセリンジパーム油脂肪酸エステルのEO20モル付加物等が挙げられる。
AOの平均付加モル数は、乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、n−ブタノールのEO11モル付加物、n−ヘキサノールのEO9モル付加物、n−オクタノールのEO11モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル付加物、イソデシルアルコールのEO8モル付加物、n−ブタノールのEO42モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル付加物、イソデシルアルコールのEO38モル付加物、ドデカノールのEO12モル付加物、分岐ドデカノールのEO5モル付加物、トリデカノールのEO13モル付加物、分岐トリデカノールのEO5モル付加物、テトラデカノールのEO12モル付加物、分岐テトラデカノールのEO5モル付加物、オクタデカノールのEO13モル付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル付加物、n−ブタノールのEO11モル・プロピレンオキサイド(以下において、プロピレンオキサイドをPOと略記することがある。)8モルランダム付加物、n−ヘキサノールのEO9モル・PO7モルランダム付加物、n−オクタノールのEO11モル・PO9モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル・BO9モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO8モル・THF6モルランダム付加物、n−ブタノールのEO42モル・PO32モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル・PO30モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO38モル・PO28モルランダム付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルランダム付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルランダム付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルランダム付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルランダム付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルランダム付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、n−ブタノールのPO17モル・EO15モルブロック付加物、n−ヘキサノールのPO16モル・EO14モルブロック付加物、n−オクタノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO20モル・EO9モルブロック付加物、デシルアルコールのPO15モル・EO12モルブロック付加物、イソデシルアルコールのPO18モル・EO7モルブロック付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルブロック付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルブロック付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルブロック付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルブロック付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルブロック付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物及び2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物等が挙げられる。
具体的には、ヒマシ油のEO40モル付加物及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物などが挙げられる。
具体的には、ヒマシ油のEO40モル付加物及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物などが挙げられる。
乳化剤成分(B)のうち、乳化性の観点から、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)、水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B6)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましくはMwが1000〜3000の水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)である。
酸化防止剤(C)としては、フェノール系、チオ系、ホスファイト系等の公知のものが挙げられる。酸化防止剤は1種または2種以上を併用してもよい。酸化防止剤を含有する場合の処理剤の不揮発分に占める酸化防止剤の重量割合は、特に限定はないが、0.1〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%が好ましい。
添加剤としては、表面調整剤(ジメチルポリシロキサン及びアルキル変性シリコーン等)、pH調整剤(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の金属アルカリ、アルキルアミン及びアルキルアミンのAO付加物等の有機アミン、オレイン酸等の有機酸等)、制電剤(脂肪酸石鹸等)、紫外線吸収剤、粘度調整剤及び外観調整剤等が挙げられる。
これらの添加剤の合計含有量は、合成繊維用処理剤の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下である。
なお、pHはJIS Z 8802に準拠して25℃で測定した値である。
粘度は、ウベローデ粘度計により測定した値である。
合成繊維用処理剤の合成繊維への付着方法としては、公知の方法等が使用でき、ローラー又はガイド給油装置等を用いて、紡糸工程、延伸工程又は巻取り前に付与することができる。
本発明の合成繊維用処理剤の合成繊維に対する付着率は、製糸性及び後加工性の観点から、処理前の合成繊維の重量に基づいて、好ましくは0.5〜1.0重量%である。
75重量%を超える場合には、給油ローラーあるいは給油ノズルを用いて処理剤を付与する際に糸が処理剤にとられて製糸が不安定になりやすく、製糸性改善の効果が得られにくい。
油剤成分の濃度が25重量%に満たない場合、延伸前ローラー(フィードローラー)上で処理剤が飛散しやすくなり、油剤成分付着効率、防災上の両面から好ましくない。
30重量%を超える場合には、給油ローラーあるいは給油ノズルを用いて処理剤を付与する際に糸が処理剤にとられて製糸が不安定になりやすく、製糸性改善の効果が得られにくい。
油剤成分の濃度が15重量%に満たない場合、延伸前ローラー(フィードローラー)上で処理剤が飛散しやすくなり、油剤成分付着効率から好ましくない。
合成繊維は、例えば、タイヤコード用ナイロン繊維、エアバッグ用ナイロン繊維及びシートベルト用ポリエステル繊維等の産業資材用繊維である。
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、ソルビトール(有効成分70%水溶液)を312g(1.0モル)、オレイン酸を858g(2.55モル)を入れ、140℃まで昇温し脱水を行った。100℃まで冷却した後、エステル化触媒である水酸化カリウムを3.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液2.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に225℃まで昇温し、2時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリオレイン酸エステル(A−1−1)を得た。この(A−1−1)の酸価は10.0mgKOH/gであった。
さらに、エステル化反応時間を15時間に延ばして(A−1−2)を得た。この(A−1−2)の酸価は0.1mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ラウリン酸422g(2.11モル)、トリメチロールプロパン100g(0.75モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、1時間、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)2.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル(A−2)を得た。この(A−2−1)の酸価は12.0mgKOH/gであった。
さらに、エステル化反応時間を15時間に延ばして(A−2−2)を得た。この(A−2−2)の酸価は0.4mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ポリエチレングリコール(Mw:400)400g(1.0モル)、ラウリン酸360g(1.8モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ポリエチレングリコール(Mw:400)のジラウリン酸エステル(B1−1)を得た。
乾燥したAOA反応槽にグリセリン92g(1.0モル)、触媒である水酸化カリウム0.6gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド880g(20モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)0.8gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、グリセリンEO20モル付加物を得た。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、上記で得たグリセリンEO20モル付加物460g(0.5モル)、ラウリン酸200g(1.0モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行いグリセリンEO20モル付加物のジラウリン酸エステル(B2−1)を得た。
乾燥したAOA反応槽に(A−1)で得たソルビタントリオレイン酸エステル479g(0.5モル)、触媒である水酸化カリウム0.5gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、混合したエチレンオキサイド440g(10モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物(B3−1)を得た。
乾燥したAOA反応槽にオレイルアルコール268g(1.0モル)、触媒である水酸化カリウム1.6gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド220g(5.0モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)0.8gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、オレイルアルコールEO5モル付加物(B4−1)を得た。
乾燥したAOA反応槽にひまし油233g(0.25モル)、触媒である水酸化カリウム1.5gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度20Torrで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド440g(10.0モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ひまし油EO40モル付加物(B5−1)を得た。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、(B5−1)で得たひまし油EO40モル付加物263.9g(0.1モル)、ステアリン酸85g(0.3モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.2g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.2gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ひまし油EO40モル付加物のトリステアリン酸エステル(B6−1)を得た。
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、エチレングリコール63g(1.0モル)、オレイン酸を565g(2.0モル)を入れ、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.4g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)2.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、エチレングリコールジオレイン酸エステル(A’−1)を得た。
撹拌機、熱電対を備えた2リットルの四ツ口フラスコに、ソルビトール(有効成分70%水溶液)を312g(1.0モル)、プロパン酸を189g(2.55モル)を入れ、140℃まで昇温し脱水を行った。100℃まで冷却した後、エステル化触媒である水酸化カリウムを1.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液1.3gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に225℃まで昇温し、10時間エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い、ソルビタントリプロパン酸エステル(A’−2)を得た。
各成分を表1に記載の配合部数(重量部)で配合し、実施例1〜9及び比較例1〜4の合成繊維用処理剤を調製した。
(A−1−1):ソルビタントリオレイン酸エステル、酸価10
(A−1−2):ソルビタントリオレイン酸エステル、酸価0.1
(A−2−1):トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル、酸価12
(A−2−2):トリメチロールプロパントリラウリン酸エステル、酸価0.4
(A’−1):エチレングリコールジオレイン酸エステル
(A’−2):ソルビタントリプロパン酸エステル
(B1−1):ポリエチレングリコール(Mw:400)のラウリン酸エステル
(B2−1):グリセリンEO20モル付加物のジラウリン酸エステル
(B3−1):ソルビタントリオレイン酸エステルのEO20モル付加物
(B4−1):オレイルアルコールEO5モル付加物
(B5−1):硬化ひまし油EO40モル付加物
(B6−1):硬化ひまし油EO40モル付加物のトリステアリン酸エステル
(C−1):ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)](BASF製イルガノックス245)
(C−2):ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASF製イルガノックス1010)
(D−1):ジメチルポリシロキサン(信越化学工業製「KF−96A−20CS」)
(D−2):牛脂アルキルアミンEO15モル付加物
アルミ製キャップ(直径40mm、深さ7mm)に合成繊維用処理剤0.2gを量り取り、柴田科学(株)製の粉塵試験機で250℃で1分間加熱後の粉塵量を柴田科学(株)製デジタル粉塵計AP−632T型にてカウント数/1分間(CPM)として記録し、下記基準で判定した。
なお、値が低いほど、発煙性が良好であることを示す。また、5000CPM未満であれば、発煙がほとんどないと判断できるレベルである。
[判定基準]
◎:3000未満
○:3000以上5000CPM未満
△:5000CPM以上10000未満
×:10000CPM以上、
調製した合成繊維用処理剤を、市販のナイロンタイヤコード糸(1000dtx)に合成繊維用処理剤を純分換算として1.0重量%となるように付着させた。
この試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重1000g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定した。
なお、値が低い程、摩擦が少なく、油膜強度が良好であることを意味し、荷重が1500g以下であれば断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを示す。
・サンプル作成
SUS製シャーレ(直径50mm、深さ10mm)に合成繊維用処理剤0.5gを量り取り、エスペック(株)製の防爆型循風乾燥機SAFETY OVEN SPHH−101で260℃、ダンパー開度25%条件で5時間焼成した。
・タールの硬度測定
合成繊維用処理剤の加熱劣化物(タール)の硬度はJIS K 5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し、「手かき法」によって生成した合成繊維用処理剤の加熱劣化物の硬度を測定した。なお、硬度が低い程、処理剤の加熱劣化物の除去性が良好であることを示し、2B以下が好ましい。
調整した合成繊維用処理剤を市販のナイロンタイヤコード糸(1000dtx)に合成繊維用処理剤(純分)として1.0重量%となるように付着させた試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重1000g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重T1(g)及び、24時間走行させた後の荷重T2(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定し、張力変動T2−T1(g)を算出し次の基準で判定した。なお、油膜強度が良好であり、張力変動が小さいほど、長時間使用における断糸及び毛羽が少なくなることを意味し、張力変動が20g未満であれば、断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを意味する。
一方、酸価が0.2未満の比較例1は油膜強度が不良であり、酸価が10超えの比較例2は発煙性が不良だった。
2価の多価アルコールに由来するエステル化合物(A’−1)を用い、灰分が0.5%超えの比較例3は油膜強度と加熱張力変動が不良だった。炭素数が4未満の脂肪酸に由来するエステル化合物(A’−2)を用い、灰分が0.01%未満の比較例4は油膜強度とタール硬度が不良であった。
Claims (5)
- 3〜6価の多価アルコール(a)と炭素数4〜32の脂肪酸(b)とのエステル化合物(A)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜10であり、灰分が0.01〜0.5重量%である合成繊維用処理剤。
- さらに、ポリオキシアルキレングリコールの脂肪酸エステル(B1)、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B2)、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(B3)、1価アルコールアルキレンオキサイド付加物(B4)、水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(B5)及び水酸基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(B6)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤成分(B)を含有する請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
- エステル化合物(A)と乳化剤成分(B)の重量比(A)/(B)が30/70〜80/20である請求項2に記載の合成繊維用処理剤。
- さらに酸化防止剤(C)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成繊維用処理剤。
- 請求項1〜4のいずれか記載の合成繊維用処理剤を、合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3.0重量%付着させてなる合成繊維。
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