JP6676671B2 - 合成繊維用処理剤及び合成繊維の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、発煙が少なく、延伸ローラー上に蓄積するタールが軟らかいためタールを除去しやすく、長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が少ない合成繊維用処理剤及び合成繊維の製造方法を提供すること目的とする。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(A)及びシリコーンオイル(E)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜1.4mgKOH/gであり、灰分が0.01〜0.5重量%であり、合成繊維用処理剤中のシリコーンオイル(E)の含有量が0.1〜0.5重量%である合成繊維用処理剤;該合成繊維用処理剤を、合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3重量%付着させる工程を含む合成繊維の製造方法である。
R1O−CO−(CH2)m−S−(CH2)n−CO−OR2 (1)
[一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜32のモノアルコール(B1)からヒドロキシル基を除いた残基又は(B1)のアルキレンオキサイド付加物(B2)からヒドロキシル基を除いた残基であり、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。]
R1O−CO−(CH2)m−S−(CH2)n−CO−OR2 (1)
上記一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜32のモノアルコール(B1)からヒドロキシル基を除いた残基又は(B1)のアルキレンオキサイド付加物(B2)からヒドロキシル基を除いた残基であり、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。
モノアルコール(B1)としては、例えば、メタノール、エタノール、炭素数3〜7の直鎖又は分岐のモノアルコール{プロパノール及びブタノール等}、炭素数8〜32の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のモノアルコール{オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール及びベヘニルアルコール等の天然アルコール並びにチーグラー法アルコール、オキソ法アルコール及びセカンダリーアルコール等の合成アルコール等}等が挙げられる。
これらのうち、断糸及び毛羽を防止する観点から、炭素数11〜32の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のモノアルコールが好ましく、さらに好ましくは炭素数20〜32の直鎖又は分岐のモノアルコールである。
(B2)における(B1)として、断糸及び毛羽を防止する観点から、炭素数1〜20のモノアルコールが好ましく、さらに好ましくは炭素数11〜20の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のモノアルコールである。
これらのうち、平滑性の観点から、エチレンオキサイド(以下においてEOと略記することがある)及び1,2−プロピレンオキサイド(以下においてPOと略記することがある)が好ましく、さらに好ましくはエチレンオキサイドである。
AOの平均付加モル数は、耐熱性の観点から、1〜20が好ましく、さらに好ましくは1〜10である。
反応条件としては、温度を165℃〜170℃、減圧度を2.7〜4kPaとすることで、(A)の酸価をより低く調整することが可能である。また、含硫黄脂肪族ジカルボン酸におけるカルボキシル基と(B1)又は(B2)におけるヒドロキシル基との比率(COOH/OH)を1より小さくすることにより酸価をより低く調整することが可能である。
また、反応後にケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等の吸着剤を用いて85〜105℃で処理し、ケイ酸アルミニウムや珪藻土を通して濾過することで、(A)の灰分をより低く調整することが可能である。
酸価が0.2mgKOH/g未満であると、処理剤の油膜強度が低下し、延伸ローラー上での断糸及び毛羽が多くなる。酸価が10mgKOH/gより大きいと、紡糸工程での発煙量が多くなる。
酸価は化合物(A)及び乳化剤成分(C)製造時の反応時間、仕込み比及び温度等を調整することで好ましい範囲に調整が可能である。例えば、化合物(A)を製造(エステル化反応)する際のカルボン酸化合物に対するアルコール化合物の比率を大きくすれば、カルボン酸化合物中のカルボン酸がエステル化される割合が高くなり、酸価は小さくなる。
なお、本発明において酸価は、JIS K 0070に準じて測定される値である。
灰分が0.01重量%未満であると、延伸ローラー上で発生するタールが固くなり断糸及び毛羽が増加する。また、灰分が0.5重量%より大きいと、延伸ローラー上に堆積するスカムが多くなり、張力変動が大きくなるため長時間紡糸した場合における断糸及び毛羽が増加する。
灰分は合成繊維用処理剤中の無機物の含有量を増加することで大きくすることができる。また、灰分は合成繊維用処理剤中の無機物の含有量を低減することで小さくすることができる。また、合成繊維用処理剤を構成する各成分(化合物(A)、必要により乳化剤成分(C)等)の触媒残渣を濾過処理及び水洗等で取り除くことで低減することができる。
なお、本発明において灰分は、JIS K 0067に準じて測定される値である。
乳化剤成分(C)は繊維製造工程後に繊維から合成繊維用処理剤を水で洗い落しやすくするために用いられる。
具体的には、ポリエチレングリコール(Mw:200)のヤシ油脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:400)のラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:600)のカプリン酸エステル、ポリエチレングリコール(Mw:1000)の2−エチルヘキサン酸エステル及びポリプロピレングリコール(Mw:400)のヤシ油脂肪酸エステル等が挙げられる。
<Mwの測定条件>
機種:HLC−8120[東ソー(株)製]
カラム:TSK gel SuperH4000
TSK gel SuperH3000
TSK gel SuperH2000
[いずれも東ソー(株)製]
カラム温度:40℃
検出器:RI
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6ml/分
試料濃度:0.25重量%
注入量:10μl
標準:ポリオキシエチレングリコール
[東ソー(株)製;TSK STANDARDPOLYETHYLENE OXIDE]データ処理装置:SC−8020[東ソー(株)製]
AOの平均付加モル数は、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、1,4−ブタンジオールEO20モル付加物のステアリン酸モノ又はジエステル、ネオペンチルグリコールEO25モル付加物の硬化牛脂脂肪酸モノ又はジエステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のラウリン酸モノ、ジ又はトリエステル、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸モノ、ジ又はトリエステル、ペンタエリスリトールEO20モル付加物のヤシ油脂肪酸モノ、ジ、トリ又はテトラエステル及びソルビタンEO20モル付加物のパーム油脂肪酸モノ、ジ、トリ又はテトラエステル等が挙げられる。
(C2)としては、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、トリメチロールプロパンEO付加物の脂肪酸エステル及びソルビタンEO付加物の脂肪酸エステルが好ましい。
酸価の調整方法として、反応条件としては、温度を165℃〜170℃、減圧度を2.7〜4kPaとすることで、(C2)の酸価をより低く調整することが可能である。また、脂肪酸におけるカルボキシル基と多価アルコールAO付加物におけるヒドロキシル基との比率(COOH/OH)を1より小さくすることにより酸価をより低く調整することが可能である。
また、灰分の調整方法として、エステル化反応後にケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等の吸着剤を用いて85〜105℃で処理し、ケイ酸アルミニウムや珪藻土を通して濾過することで、(C2)の灰分をより低く調整することが可能である。
AOの平均付加モル数は、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、1〜80が好ましく、さらに好ましくは5〜50である。
具体的には、n−ブタノールのEO11モル付加物、n−ヘキサノールのEO9モル付加物、n−オクタノールのEO11モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル付加物、イソデシルアルコールのEO8モル付加物、n−ブタノールのEO42モル付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル付加物、イソデシルアルコールのEO38モル付加物、ドデカノールのEO12モル付加物、分岐ドデカノールのEO5モル付加物、
トリデカノールのEO13モル付加物、分岐トリデカノールのEO5モル付加物、テトラデカノールのEO12モル付加物、分岐テトラデカノールのEO5モル付加物、オクタデカノールのEO13モル付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル付加物、n−ブタノールのEO11モル・PO8モルランダム付加物、n−ヘキサノールのEO9モル・PO7モルランダム付加物、n−オクタノールのEO11モル・PO9モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO12モル・BO9モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO8モル・THF6モルランダム付加物、n−ブタノールのEO42モル・PO32モルランダム付加物、2−エチルヘキサノールのEO40モル・PO30モルランダム付加物、イソデシルアルコールのEO38モル・PO28モルランダム付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルランダム付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルランダム付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルランダム付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルランダム付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルランダム付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルランダム付加物、n−ブタノールのPO17モル・EO15モルブロック付加物、n−ヘキサノールのPO16モル・EO14モルブロック付加物、n−オクタノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO15モル・EO13モルブロック付加物、2−エチルヘキサノールのPO20モル・EO9モルブロック付加物、デシルアルコールのPO15モル・EO12モルブロック付加物、イソデシルアルコールのPO18モル・EO7モルブロック付加物、ドデカノールのEO12モル・PO8モルブロック付加物、トリデカノールのEO13モル・PO7モルブロック付加物、分岐トリデカノールのEO12モル・PO9モルブロック付加物、オクタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、分岐オクタデカノールのEO12モル・PO7モルブロック付加物、2−オクチルデカノールのEO15モル・PO10モルブロック付加物、2−デシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−デシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物、2−ウンデシルテトラデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物及び2−ウンデシルペンタデカノールのEO13モル・PO9モルブロック付加物等が挙げられる。
(C3)としては、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、炭素数6〜20の1価アルコールAO付加物が好ましく、さらに好ましくは付加するAOの内、少なくとも1モル以上がEOである炭素数6〜20の1価アルコールAO付加物である。
具体的には、硬化ヒマシ油のEO10モル付加物及び硬化ヒマシ油のEO25モル付加物等が挙げられる。
(C4)としては、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、硬化ヒマシ油のEO付加物が好ましく、さらに好ましくは硬化ヒマシ油のEO10〜50モル付加物である。
乳化剤成分(C)のうち、合成繊維用処理剤の乳化性の観点から、多価アルコールAO付加物の脂肪酸エステル(C2)、1価アルコールAO付加物(C3)及び水酸基を有する動植物油のAO付加物(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、さらに好ましくは1価アルコールAO付加物(C3)及び水酸基を有する動植物油のAO付加物(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、乳化剤成分(C)を用いる場合は、合成繊維用処理剤の灰分を上記範囲とするために、公知の製造方法で製造し、反応後にケイ酸マグネシウムを用いて85〜105℃で処理し、ケイ酸アルミニウムを通して濾過することで、(C)の灰分を低く調整することが好ましい。
炭素数8〜24の脂肪族モノカルボン酸として、具体的には、脂肪族飽和モノカルボン酸(カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸等)、脂肪族不飽和モノカルボン酸(オレイン酸、エライジン酸、リノール酸及びリノレン酸等)、動植物油脂肪酸(ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、硬化ヒマシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸及び豚脂脂肪酸等)]が挙げられる。
炭素数4〜24の脂肪族ジカルボン酸としては、脂肪族飽和ジカルボン酸(コハク酸及びアジピン酸等)等が挙げられる。
(D)としては、平滑性の観点から、脂肪族カルボン酸と脂肪族1〜4価アルコールとのエステル化物が好ましく、さらに好ましくは脂肪族カルボン酸と脂肪族1〜3価アルコールとのエステル化物である。
酸価の調整方法として、反応条件としては、温度を165℃〜170℃、減圧度を2.7〜4kPaとすることで、(D)の酸価をより低く調整することが可能である。また、脂肪族カルボン酸におけるカルボキシル基と脂肪族アルコールにおけるヒドロキシル基との比率(COOH/OH)を1より小さくすることにより酸価をより低く調整することが可能である。
また、灰分の調整方法として、エステル化反応後にケイ酸マグネシウム及びケイ酸アルミニウム等の吸着剤を用いて85〜105℃で処理し、ケイ酸アルミニウムや珪藻土を通して濾過することで、(D)の灰分をより低く調整することが可能である。
(E)としては、置換基がメチル基やフェニル基のみであるストレートシリコンやその他置換基が導入された変性シリコーン等が含まれ、具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルオクチルシロキサン及びアルキル変性シリコーン等が挙げられる。
(G)としては、pH調整剤(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等の金属アルカリ、アルキルアミン及びアルキルアミンのAO付加物等の有機アミン、オレイン酸等の有機酸等)、制電剤(脂肪酸石鹸等)、表面調整剤(ジメチルポリシロキサン及びアルキル変性シリコーン等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤(イルガノックス245及びイルガノックス565等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等)、粘度調整剤及び外観調整剤等が挙げられる。
その他の公知成分(G)の合計含有量は、合成繊維用処理剤の重量に基づいて、好ましくは10重量%以下である。
なお、本発明においてpHは、JIS Z 8802に準拠して25℃で測定した値である。
粘度は、ウベローデ粘度計により測定した値である。
合成繊維用処理剤の合成繊維への付着方法としては、公知の方法等が使用でき、ローラー又はガイド給油装置等を用いて、紡糸工程、延伸工程又は巻取り前に付与することができる。
本発明の合成繊維用処理剤の合成繊維に対する付着率は、製糸性及び後加工性の観点から、処理前の合成繊維の重量に基づいて、好ましくは0.5〜1重量%である。
鉱物油溶液中の合成繊維用処理剤の含有量は、紡糸時の操業性の観点から、鉱物油溶液の重量を基準として、20〜90重量%が好ましい。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、チオジプロピオン酸89g(0.5モル)、2−デシル−1−テトラデカノール367g(1.0モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、減圧度2.7kPaで、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸アルミニウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード700SL」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル(A1−1)を得た。(A1−1)の酸価は1.5mgKOH/gであった。
製造例1において、「ケイ酸アルミニウム1.5g」を加えず、さらに濾過を行わない以外は同様にして、2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル(A’1−1)を得た。(A’1−1)の酸価は2.0mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、チオジプロピオン酸60g(0.33モル)、2−デシル−1−テトラデカノール367g(1.0モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、減圧度2.7kPaで、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸アルミニウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード700SL」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル(A’’1−1)を得た。(A’’1−1)の酸価は0.1mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、チオジプロピオン酸107g(0.60モル)、2−デシル−1−テトラデカノール367g(1.0モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、8時間、常圧で、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸アルミニウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード700SL」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル(A’’’1−1)を得た。(A’’’1−1)の酸価は19.5mgKOH/gであった。
製造例1において、「2−デシルテトラデカノール367g(1.0モル)」に代えて「ラウリルアルコールEO3モル付加物318g(1.0モル)」を用いる以外は同様にしてラウリルアルコールEO3モル付加物のチオジプロピオン酸ジエステル(A2−1)を得た。(A2−1)の酸価は1.5mgKOH/gであった。
製造例5において、「ケイ酸アルミニウム1.5g」を加えず、さらに濾過を行わない以外は同様にして、ラウリルアルコールEO3モル付加物のチオジプロピオン酸ジエステル(A’2−1)を得た。(A’2−1)の酸価は2.0mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ステアリン酸183g(0.64モル)、トリメチロールプロパンEO24モル付加物347g(0.29モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、減圧度2.7kPaで、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.5gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行いトリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸ジエステル(C2−1)を得た。(C2−1)の酸価は1.5mgKOH/gであった。
製造例7において、「ケイ酸マグネシウム1.5g」を加えず、さらに濾過を行わない以外は同様にして、トリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸ジエステル(C’2−1)を得た。(C’2−1)の酸価は2.0mgKOH/gであった。
乾燥したAOA反応槽に2−エチルヘキシルアルコール46g(0.35モル)、触媒である水酸化カリウム1.6gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度2.7kPaで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、プロピレンオキサイド284g(4.9モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、エチレンオキサイド194g(4.4モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)0.8gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い2−エチルヘキシルアルコールPO14モルEO12.5モル付加物(C3−1)を得た。
乾燥したAOA反応槽にステアリルアルコール306g(1.1モル)、触媒である水酸化カリウム5.3gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度2.7kPaで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、混合したプロピレンオキサイド565g(9.7)/エチレンオキサイド565g(12.8モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行いステアリルアルコールEO13モルPO10モル付加物(C3−2)を得た。
乾燥したAOA反応槽に硬化ひまし油280g(0.3モル)、触媒である水酸化カリウム3.4gを仕込み、減圧窒素置換を行った後、100℃まで昇温し、減圧度2.7kPaで90分間脱水を行った。脱水後160℃まで昇温し、エチレンオキサイド335g(7.6モル)を徐々に仕込み圧力0.5MPa(G)で反応を行った。圧力平衡となるまで熟成を行った後、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.6gを加え80℃で30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い硬化ヒマシ油EO25モル付加物(C4−1)を得た。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ステアリン酸193g(0.68モル)、2−オクチルドデカノール220g(0.74モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、減圧度2.7kPaで、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)1.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行い2−オクチルドデカノールのステアリン酸エステル(D1−1)を得た。(D1−1)の酸価は1.5mgKOH/gであった。
製造例12において、「ケイ酸マグネシウム1.0g」を加えず、さらに濾過を行わない以外は同様にして、2−オクチルドデカノールのステアリン酸エステル(D’1−1)を得た。(D’1−1)の酸価は2.0mgKOH/gであった。
撹拌機、熱電対を備えた1リットルの四ツ口フラスコに、ラウリン酸422g(2.11モル)、トリメチロールプロパン100g(0.75モル)、エステル化触媒であるパラトルエンスルホン酸を0.5g、着色防止剤として50重量%次亜リン酸水溶液0.4gを仕込み、窒素雰囲気下、徐々に165℃まで昇温し、10時間、減圧度2.7kPaで、エステル化反応を行った。95℃まで冷却し、ケイ酸マグネシウム(協和化学工業(株)製、「キョーワード600S」)2.0gを加え、30分間撹拌した。その後、ろ紙(ろ紙NO.1、アドバンテック製)上に珪藻土を厚さ5mmで敷き、濾過を行いトリメチロールプロパンのラウリン酸トリエステル(D1−2)を得た。(D1−2)の酸価は1.5mgKOH/gであった。
各成分を表1に記載の配合重量部で配合し、実施例1〜13及び比較例1〜4の合成繊維用処理剤を調整した。
(A1−1):製造例1で得た2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル
(A’1−1):製造例2で得た2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル
(A’’1−1):製造例3で得た2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル
(A’’’1−1):製造例4で得た2−デシル−1−テトラデカノールのチオジプロピオン酸ジエステル
(A2−1):製造例5で得たラウリルアルコールEO3モル付加物のチオジプロピオン酸ジエステル
(A’2−1):製造例6で得たラウリルアルコールEO3モル付加物のチオジプロピオン酸ジエステル
(C2−1):製造例7で得たトリメチロールプロパンEO24モル付加物のステアリン酸ジエステル
(C’2−1):製造例8で得たトリメチロールプロパンEO24モル付加物のステ
(C3−1):製造例9で得た2−エチルヘキシルアルコールPO14モルEO12.5モル付加物
(C3−2):製造例10で得たステアリルアルコールEO13モルPO10モル付加物
(C4−1):製造例11で得た硬化ヒマシ油EO25モル付加物
アリン酸ジエステル
(D1−1):製造例12で得た2−オクチルドデカノールのステアリン酸エステル
(D’1−1):製造例13で得た2−オクチルドデカノールのステアリン酸エステル
(D1−2):製造例14で得たトリメチロールプロパンのラウリン酸トリエステル
(E1−2):ジメチルポリシロキサン(信越化学工業(株)製「KF−4917」)
(G1−1):イルガノックス245
(G1−2):イルガノックス565
(G2−1):牛脂アルキルアミンEO15モル付加物
アルミ製キャップ(直径40mm、深さ7mm)に合成繊維用処理剤0.2gを量り取り、柴田科学(株)製の粉塵試験機で250℃で一分間加熱後の粉塵量を柴田科学(株)製デジタル粉塵計AP−632T型にてカウント数(CPM)として記録した。なお、値が低いほど、発煙性が良好であることを示す。また、5000CPM未満であれば、発煙がほとんどないと判断できるレベルである。
調整した合成繊維用処理剤を市販のナイロンエアバッグ糸(470dtx)に合成繊維用処理剤(純分)として1.0重量%となるように付着させた試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重500g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定した。なお、値が低い程、摩擦が少なく、油膜強度が良好であることを意味し、荷重が650g未満であれば断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを示す。
・サンプル作成
SUS製シャーレ(直径50mm、深さ10mm)に合成繊維用処理剤0.5gを量り取り、エスペック(株)製の防爆型循風乾燥機SAFETY OVEN SPHH−101で260℃、ダンパ25%で5時間焼成した。
・硬度測定
合成繊維用処理剤の加熱劣化物の硬度はJIS K 5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠し手かき法によって測定した。
作成した合成繊維用処理剤の加熱劣化物の硬度を測定した。なお、硬度が低い程、処理剤の加熱劣化物の除去性が良好であることを示す。
調整した合成繊維用処理剤を市販のナイロンエアバッグ糸(470dtx)に合成繊維用処理剤(純分)として1.0重量%となるように付着させた試験糸を、温度250℃の条件下で摩擦体(表面梨地クロムメッキ、直径5cm)に初期荷重500g、糸速度0.5m/min、接触角180°で接触させ、接触後の荷重T1(g)及び、24時間走行させた後の荷重T2(g)を東レ式高荷重摩擦測定器により測定し、加熱張力変動(T2−T1)(g)を算出し次の基準で判定した。なお、油膜強度が良好であり、加熱張力変動が小さいほど、長時間使用における断糸及び毛羽が少なくなることを意味し、加熱張力変動が20g未満であれば、断糸及び毛羽がほとんど発生しないことを意味する。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表される化合物(A)及びシリコーンオイル(E)を含有する合成繊維用処理剤であって、酸価が0.2〜1.4mgKOH/gであり、灰分が0.01〜0.5重量%であり、合成繊維用処理剤中のシリコーンオイル(E)の含有量が0.1〜0.5重量%である合成繊維用処理剤。
R1O−CO−(CH2)m−S−(CH2)n−CO−OR2 (1)
[一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜32のモノアルコール(B1)からヒドロキシル基を除いた残基又は(B1)のアルキレンオキサイド付加物(B2)からヒドロキシル基を除いた残基であり、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数を表す。] - さらにポリアルキレングリコールの脂肪酸エステル(C1)、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物の脂肪酸エステル(C2)、1価アルコールアルキレンオキサイド付加物(C3)及びヒドロキシル基を有する動植物油のアルキレンオキサイド付加物(C4)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤成分(C)を含有する請求項1に記載の合成繊維用処理剤。
- 請求項1又は2に記載の合成繊維用処理剤を、合成繊維の重量に基づいて、0.1〜3重量%付着させる工程を含む合成繊維の製造方法。
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