JP2004124354A - 合成繊維用紡糸油剤 - Google Patents

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Hideo Hironaga
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Abstract

【課題】 熱板接触加熱方式又は輻射熱式高温ヒーターによる非接触加熱方式のいずれのタイプの仮撚加工においてもタールやスカムの発生せず、長期間安定な操業を行うことのできる合成繊維用紡糸油剤を提供する。
【解決手段】 220℃で1時間放置後の表面張力(T:mN/m)と400℃で24時間放置後の加熱残渣率(Re:重量%)とが式(1)及び(2)を満足することを特徴とする合成繊維用紡糸油剤を用いる。
      10≦T≦22    (1)
       0≦Re≦0.25 (2)
【選択図】 なし

Description

 本発明は、合成繊維用紡糸油剤に関する。さらに詳しくは仮撚加工に供される熱可塑性合成繊維に適した紡糸油剤に関する。
 従来から、仮撚加工に供される繊維の紡糸油剤としては、ポリアルキレンオキサイド変性ポリシロキサンを少量配合した油剤(特許文献1)や特定の熱分解挙動を示すパーフルオロ基含有化合物を含有する油剤(特許文献2)、あるいはフッ化アルキル基を有するモノマーとポリオキシアルキレン基を有するモノマーの共重合体を含有する油剤(特許文献1)等が提案されている。
特公昭63−57548号公報 特公昭62−44072号公報 特開平11−61645号公報
しかし、変性ポリシロキサンを少量配合した油剤は、最近実用化されてきた輻射熱式高温ヒーターを用いた高速での仮撚加工においては、ヒーター温度が400℃以上となるため、熱分解によってシリカ(灰分)がヒーター内のガイドに固着し、毛羽や糸切れが多くなる問題が指摘されている。
 また、フッ素化合物を含有する油剤のうち前者は、比較的多量のパーフルオロアルキル基含有化合物を必要とするため、油剤コストが大幅に上昇する上、パーフルオロ基含有化合物による糸道の汚染や、分解に伴うガスの発生による機械の損耗等が懸念され実用的でなく、後者は、パーフルオロ基含有化合物が熱的に不安定で、長期間の仮撚加工における安定操業に問題がある。
 すなわち、本発明の目的は、熱板接触加熱方式及び輻射熱式高温ヒーターによる非接触加熱方式の何れのタイプの仮撚加工においてもタールやスカムの発生せず、かつ長期間安定的に仮撚り加工が可能な紡糸油剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱板接触加熱式の仮撚加工及び輻射熱式高温ヒーターによる高速仮撚加工において、紡糸油剤の高温状態における表面張力、具体的には220℃で1時間放置後の表面張力を10〜22mN/mとすることによって、熱板上での油剤の広がり及びタールの生成を抑制することができ、長期間の安定的な仮撚り工程における操業を可能ならしめることを見いだし、さらに、少量ながら生成するタールが熱によって灰化する以前の量、具体的には紡糸油剤の400℃、24時間放置後の加熱残渣率を0.25重量%以下とすることによって、毛羽、糸切れ等の発生の誘発を抑えることに成功した。
 また、これらに加えて、一定時間加熱後の紡糸油剤の動粘度挙動を、ある一定の範囲にコントロールすることによって、さらに長期間の糸切れ抑制が可能であることを見いだした。
 すなわち、本発明の合成繊維用紡糸油剤の特徴は、220℃で1時間放置後の表面張力(T:mN/m)と400℃で24時間放置後の加熱残渣率(Re:重量%)とが式(1)及び(2)を満足する点にある。
            10≦T≦22    (1)
             0≦Re≦0.25 (2)
 本発明の合成繊維用紡糸油剤は、熱板接触加熱方式及び輻射熱式高温ヒーターによる非接触加熱方式の何れのタイプの仮撚加工においてもタールやスカムの発生しないので、長期間安定的に仮撚り加工が可能であるという効果を奏する。
紡糸油剤が式(1)及び(2)を満たすと、熱板接触加熱方式による仮撚加工時に熱板上のタール生成量が少なく、かつ輻射熱式高温ヒーターを用いた非接触加熱方式による仮撚加工時においても、ヒーター内のスカムの付着量が少なく、さらにいずれの方式においても長期間仮撚加工を行っても安定的な操業が極めて容易になる。
 TとReとは、式(3)及び(4)を満足することがさらに好ましく、式(5)及び(6)を満足することが特に好ましい。
            10≦T≦20    (3)
             0≦Re≦0.20 (4)
10≦T≦15 (5)
             0≦Re≦0.15 (6)
  ここで、T及びReの測定方法を示す。
<220℃で1時間放置後の表面張力(T)の測定方法>
試料油剤25gを内径60mm、深さ15mmのステンレス製シャーレに採取し、220±1℃に調温したホットプレート上に1時間放置する。放置後これを自動表面張力計(例えば、協和界面科学製、CBVP−A3型)により220℃で表面張力を測定する。
<400℃で24時間放置後の加熱残渣率(Re)の測定方法>
重量既知(W1)の白金皿に試料油剤を約1g採取し精秤する(W2)。これを400℃の管状電気炉(例えば、いすず製作所製、AT−E58)で24時間加熱した後、(白金皿+加熱残渣)の重量を精秤(W3)し、式(11)から加熱残渣率を算出する。
 加熱残渣率(%)=[(W3−W1)/(W2−W1)]×100 (11)
 また、さらに本発明の紡糸油剤は、220℃で12時間放置後の25℃における動粘度(V2:mm2/s)と放置前の25℃における動粘度(V1:mm2/s)とが、式(7)を満足することがより好ましい。
         0.5≦V2/V1≦60  (7)
V1及びV2が式(7)を満たすと、加熱された紡糸油剤の増粘挙動がある一定の範囲にコントロールされるため、ヒーターへの油剤脱落が少なく、タールや灰分の発生がさらに少なく糸へのダメージがより減少するため、さらに糸切れ、毛羽が少なくなり、品質の良好な糸をさらに長期間安定に得ることができる。
 また、V1とV2とが、式(8)を満足することがさらに好ましい。
          0.8≦V2/V1≦50  (8)
 ここで、V1及びV2の測定方法を示す。
<220℃放置前の油剤の25℃における動粘度(V1)の測定方法>
試料油剤50gを25℃で1時間温調後、ウベローデ粘度計にて動粘度を測定する。
<220℃で12時間放置後の油剤の25℃における動粘度(V2)の測定方法>
試料油剤50gを100mlガラスビーカーに入れ、220±1℃に調温した循風乾燥機内に12時間放置する。放置後これを25℃で1時間温調後、V1の測定と同様にして動粘度を測定する。
本発明の紡糸油剤を構成する成分の組成は特に限定されるものではないが、本発明の目的のため具体的な例としては、1種以上のポリエーテル系潤滑剤(A)とその他の成分(B)とからなる。
 まず、(A)について説明する。
(A)としては、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有する化合物に炭素数2〜4のアルキレンオキシドを(共)重合した化合物及びこの末端水酸基を変性した変性体等が使用できる。
分子内に1個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、炭素数1〜30の天然又は合成の脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環式アルコール及びフェノール類等が使用できる。
 脂肪族アルコールとしては、直鎖の飽和1価アルコール、分岐の飽和1価アルコール、直鎖の不飽和1価アルコール、分岐の不飽和一価アルコール、直鎖の飽和2価アルコール、分岐の飽和2価アルコール、直鎖の不飽和2価アルコール、分岐の不飽和2価アルコール、3〜8価又はそれ以上のアルコール等が用いられる。
 直鎖の飽和1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、n−アミルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール及びステアリルアルコール等が挙げられる。
 分岐の飽和1価アルコールとしては、例えば、イソプロパノール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、炭素数12,14の二級アルコール、イソセチルアルコール及びイソステアリルアルコール等が挙げられる。
 直鎖の不飽和1価アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、クロチルアルコール及びオレイルアルコール等が挙げられる。
 分岐の不飽和1価アルコールとしては、例えば、メチルビニルカルビノール、3−ブテン−2−オール及び4−ペンテン−3−オール等が挙げられる。
 直鎖の飽和2価アルコールとしては、例えば、エチレングルコール、プロピレングリコール及びへキシレングリコール等が挙げられる。
 分岐の飽和2価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール及び2,2−ジエチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。
 直鎖の不飽和2価アルコールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール及び4−ヘキセン−2,3−ジオール等が挙げられる。
 分岐の不飽和2価アルコールとしては、例えば、2−メチル−3−ペンテン−1,2−ジオール、7−エチル−4−オクテン−2,3−ジオール等が挙げられる。
 3〜8価又はそれ以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、グリセリンの2〜6量体、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールの2〜4量体、ソルビタン、ソルビトール、蔗糖及び果糖等が挙げられる。
 芳香族アルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール、2−フェニルエタノール、α−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノール及びシンナミルアルコール等が挙げられる。
 脂環式アルコールとしては、例えば、シクロペンタノール、シクロヘキサノール及びcis−1,2−シクロペンタンジオール等が挙げられる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルフェノール(例えば、クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール等)、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、カテコール、ナフトール等が挙げられる。
 炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド(以下EOと略記する。)、プロピレンオキシド(以下POと略記する。)、ブチレンオキシド(以下BOと略記する。)及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
 EOと他のアルキレンオキシドを共重合する場合、アルキレンオキシド全体の重量に基づいて、EOの含量は、通常5〜90重量%、好ましくは20〜80重量%である。共重合の付加様式はランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。
 (共)重合した化合物の末端水酸基を変性した変性体としては、末端水酸基を炭素数1〜12のハロゲン化アルキル、炭素数1〜12のモノカルボン酸、炭素数2〜18のジカルボン酸、炭素数1〜12のジハロゲン化アルカン、及び炭素数4〜20(NCOの炭素を除く)の脂肪族、脂環式若しくは芳香族ジイソシアネート等で変性した変性体が用いられる。
 炭素数1〜12のハロゲン化アルキルとしては、例えば、メチルクロリド、エチルブロミド、ブチルクロリド及びウンデシルブロミド等が挙げられる(変性体:アルコキシ化物)。
 炭素数1〜12のモノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸及びウンデカン酸等が挙げられる(変性体:エステル化物)。
 炭素数2〜18のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸及びフタル酸等が挙げられる(変性体:エステル化物、ポリエステル化物)。
 炭素数1〜12のジハロゲン化アルカンとしては、例えば、ジクロロメチレン、ジブロモエチレン及びジブロモデシレン等が挙げられる(変性体:二量化体、多量化体)。
 炭素数4〜20(NCOの炭素を除く)の脂肪族、脂環式若しくは芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート及びフェニルイソシアネート等が挙げられる(変性体:ウレタン化物、多量化体)。
(A)のゲルパーミエションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)による重量平均分子量(以下、MWと略記する。)は、400〜20,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜15,000である。
(A)の流動点は、40℃以下が好ましく、さらに好ましくは20℃以下である。
(A)の粘度は、100℃で、5〜1,000cstが好ましく、さらに好ましくは10〜300cstである。
(A)の具体例としては、例えば、ブタノールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=50/50重量%、MW=1,800)、ラウリルアルコールの(PO/EO)ブロック付加物(EO/PO=40/60重量%、MW=1,400)、ヘキシレングリコールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=40/60重量%、MW=4,000)、{トリメチロールプロパンの(PO/EO)ブロック付加物(EO/PO=20/80重量%、MW=5,000)}のジメチルエーテル化物、{ペンタエリスリトールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=50/50重量%、MW=3,000)}のジカプリレート、{ブタノールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=50/50重量%、MW=800)}のジクロロメタンのよる二量化物、{ブタノールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=50/50重量%、MW=800)}のヘキサメチレンジイソシアネートによるウレタン化物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
ポリエーテル系潤滑剤(A)の配合量は、紡糸油剤の合計重量に対し、60〜98重量%が好ましく、さらに好ましくは70〜97重量%である。
 次に、その他の成分(B)について説明する。
 (B)の組成に関しては特に限定はないが、220℃で1時間放置後の紡糸油剤の表面張力を22mN/m以下にする成分(B1)が好ましい。さらに好ましくは20mN/m以下にする成分(B11)であり、特に好ましくは15mN/m以下にする成分(B12)である。
 さらに、紡糸油剤の粘度が、式(7)を満足させるようにする成分(B13)が好ましい。さらに好ましくは式(8)を満足させるようにする成分(B14)である。
 (B1)としては、例えば、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロアルキレン基(以下、Rf基と略記する。)を含有する化合物(B1−A)、シリコーンオイル(B1−B)及びこれらに制御剤(B1−C)を添加したもの等が使用できる。
 (B1−A)としては、Rf基を有する化合物であれば特に限定されないが、該化合物のフッ素含量が(B1−A)の重量に基づいて、3〜60重量%であることが好ましく、5〜40重量%であることがさらに好ましく、7〜35重量%であることが特に好ましい。
 Rf基としては、テロメリゼーション法又は電解フッ素化法で合成される炭素数2〜20の直鎖状のもの(テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロセチル基、パーフルオロオクタデシレン基等)、オリゴメリゼーション法で得られる炭素数2〜20の分岐状のものが使用できる。このうち、テロメリゼーション法による炭素数6〜14の直鎖状のものが好ましい。
(B1−A)は、(A)との相溶性の観点から分子中にさらにポリオキシアルキレン鎖を有するものが好ましい。
該化合物中のポリオキシアルキレン鎖部分の重量割合は、(B1−A)の重量に基づいて、20〜95重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜90重量%である。
 (B1−A)は、熱板上でのタール抑制の観点から、オリゴマー又はポリマーであることが好ましく、そのGPCによるMWは、3,000〜700,000であることが好ましく、さらに好ましくは4,000〜600,000であり、特に好ましくは5,000〜500,000である。
 また、Rf基は、(B1−A)において、その側鎖に結合していることが好ましい。
(B1−A)がオリゴマー又はポリマーである場合は、Rf基を有するモノマーを必須構成単位として含有するものであり、当該モノマーをビニル付加重合(B1−A−1)、重縮合(B1−A−2)、重付加(B1−A−3)及び開環重合(B1−A−4)等の重合形式によって得ることができる。
ビニル付加重合によるオリゴマー又はポリマー(B1−A−1)は、パーフルオロ基を有するビニルモノマー(b1)を必須単量体とし、必要によりポリオキシアルキレン鎖を有するビニルモノマー(b2)及び/又はその他のビニルモノマー(b3)を(共)重合することにより得られる(共)重合体である。好ましくは(b1)及び(b2)を必須とした共重合体である。
 (b1)としては、例えば、下記の一般式(9)で表わされる化合物等が使用できる。
一般式
上記式中、
1は、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基(G−と略記する。)、式G−OCH2−(CHOH)4-p(CHO−G)p−Q−(CH2n−で表される基、又は式−C65-q(−O−G)qで表される基を表す。
 A2及びA3は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−、又は式R3−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基を表す。
 各式中、
  Rfは、炭素数3〜18のパーフルオロアルキル基を表す。
  Xは、式−(CH2r−で表される基、式−SO2NR1−E2−で表される基、又は式−CONR2−E2−で表される基を表す。(各式中、rは0又は1〜4の整数を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。E2 は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。)
  E1 は、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
  mは、0又は1〜20の整数を表す。
  Qは、式−OCO−で表される基、式−O−で表される基、又は式−NHCO−で表される基を表す。
  nは、0又は1の整数を表す。
  pは、0又は1〜4の整数を表す。
  qは、1〜5の整数を表す。
 R3 は、炭素数1〜12のアルキル基又はアシル基を表す。
 一般式(9)中、OE1は、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基から選ばれる一種以上のオキシアルキレン基であり、mが2以上の場合のOE1は同一でも異なっていてもよく、(OE1)部分はランダム付加でもブロック付加でもよい。Qは−OCO−で表される基が好ましく、nは0が好ましい。
 また、Xは、−(CH2r−で表される基及び−SO2NR1−E2−で表される基が好ましく、−(CH2r−で表される基でrが1〜4の整数であるものがさらに好ましい。
 また、A2及びA3のうち、少なくともいずれか一方は、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−又は式R3−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基であることが好ましい。さらに、A3が、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−又は式R3−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基であることが好ましい。
 (B1−A−1)における(b1)の使用比率は、(b1)、(b2)及び(b3)の合計モルに基づき、5〜80モル%が好ましく、さらに好ましくは10〜70モル%、特に好ましくは15〜65モル%、最も好ましくは35〜65モル%である。
 (b1)の具体例としては下記の化合物等が挙げられる。
 C817CH2CH2OCOCH=CH2              (b1−1)
 C817CH2CH2OCOC(CH3)=CH2           (b1−2)
 C817SO2N(C37)(CH22(OC245OCOCH=CH2
                               (b1−3)
 C817CH2CH2OCOCH=CHOCOCH2CH2817 (b1−4)
 (b2)としては、例えば下記一般式(10)で表わされる化合物が使用できる。
一般式
上記式中、
 A4は、式R4−(OE3s−Z−(CH2t−で表される基(J−と略記する。)、式J−OCH2−(CHOH)4-p(CHO−J)p−Z−(CH2 t−で表される基、又は式−C65-q(O−J)qで表される基を表す。
 A5及びA6は、同一又は異なって、水素原子、メチル基又はJ−を表す。
 各式中、
  R4 は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基若しくはアシル基を表す。
  E3は、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
  sは、1〜200の整数を表す。
  Zは、式−OCO−で表される基、式−O−で表される基、又は式−NHCO−で表される基を表す。
  tは、0又は1〜12の整数を表す。
  pは、0又は1〜4の整数を表す。
  qは、1〜5の整数を表す。
 一般式(10)中、OE3はオキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基から選ばれる一種以上のオキシアルキレン基であり、sが2以上の場合のOE3は同一でも異なっていてもよいが、好ましいのはオキシエチレン基(OEt)とオキシプロピレン基(OPr)の組み合わせで、重量比でOEt/OPr=8/2〜2/8が好ましい。また、この場合、OEtとOPrの付加様式はランダム付加でもブロック付加でもよい。
また、sは、好ましくは2〜200、さらに好ましくは10〜180、特に好ましくは15〜150である。
 また、A5及びA6のうち、少なくともいずれか一方は、J−であることが好ましい。さらに、A6が、J−であることが好ましい。
 (b2)のGPCによるMWは、200〜9,000が好ましく、さらに好ましくは300〜8,000である。Zは式−OCO−で表される基が好ましい。
 (b2)の使用割合は、(b1)、(b2)及び(b3)の合計モルに基づいて、0又は0.1〜60モル%が好ましく、さらに好ましくは0又は10〜50モル%、特に好ましくは0又は15〜45重量%である。
 (B1−A−1)には必要により他のビニル系モノマー(b3)を構成単位として用いることができる。
 (b3)としては、アルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン含有アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、硫黄含有アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、エチレン性モノマー、酢酸ビニル等が使用できる。
 アルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
 シリコーン含有アルコールとしては、例えば、炭素数3〜20のヒドロキシアルキル基で変性された動粘度5〜10,000/25℃のポリシロキサン、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが付加された(付加モル数1〜30)動粘度5〜10,000/25℃のポリシロキサン等が挙げられる。
 硫黄含有アルコールとしては、例えば、チオジグリコール及び炭素数4〜16のアルキルチオエタノール等が挙げられる。
 エチレン性モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン及び1−ドデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィン等が挙げられる。
 (b3)の使用割合は、(b1)、(b2)及び(b3)の合計モルに基づいて、0又は0.1〜80モル%が好ましく、さらに好ましくは0又は5〜70モル%、特に好ましくは0又は10〜50モル%である。
 (B1−A−1)は、上記モノマーを通常のラジカル重合により製造することができ、重合方法としては、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等の方法を選択できる。
 重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物系開始剤、1分子内に2つ以上のパーオキシド基を有する多官能性重合開始剤、1分子内に1つ以上のパーオキシド基と1つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性重合開始剤等が使用できる。
 アゾ開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスイソバレロニトリル等が挙げられる。
 過酸化物開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等が挙げられる。
 1分子内に2つ以上のパーオキシド基を有する多官能性重合開始剤としては、例えば、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート等が挙げられる。
 1分子内に1つ以上のパーオキシド基と1つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性重合開始剤としては、例えば、ジアリルパーオキシジカーボネート及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。
溶液重合によって製造する場合の溶剤としては、特に限定されず芳香族系溶剤(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、エステル系溶剤(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン、アセトン)及び極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド)等のいずれも使用できる。
重合温度は、70〜210℃が好ましく、さらに好ましくは75〜200℃である。重合中の雰囲気は、窒素のような不活性ガスの存在下で行うか、溶剤の蒸気雰囲気下で行い、実質的に無酸素状態で行うことが好ましい。
 (B1−A−1)の具体例としては、下記のオリゴマーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
(1)C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1750)(EO)30モル付加物のモノアクリレート(25モル%)と、メタクリル酸メチル(25モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=30,000)
(2)C81724OHのアクリレート(40モル%)と、ブタノール(PO)20モル(EO)12モル付加物のアクリレート(40モル%)と、メタクリル酸メチル(20モル%)との共重合オリゴマー (フッ素含量=14重量%、MW=18,600)
(3)C817SO2N(C37)C24OHの(EO)5モル付加物のアクリレート(40モル%)と、メタノール(EO)15モル付加物のアクリレート(30モル%)と、メタクリル酸メチル(30モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=21重量%、MW=12,000)
 (4)C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ブタノール(EO)20モル(PO)15モルランダム付加物のアクリレート(30モル%)と、メタクリル酸メチル(20モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=18重量%、MW=150,000)
(5)C81724OHのフマル酸ジエステル(25モル%)とブタノール(EO)20モル(PO)20モルランダム付加物のアクリレート(40モル%)と、メタクリル酸メチル(35モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=14重量%、MW=26,700)
(6)C81724OHのアクリレート(35モル%)と、ブタノール(EO)20モル(PO)15モルランダム付加物のフマル酸モノエステル(35モル%)と、メタクリル酸メチル(30モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=13重量%、MW=21,300)
 重縮合によるオリゴマー又はポリマー(B1−A−2)は、分子内にエステル結合やアミド結合を介して重合される重合体である。
エステル結合を介して重合される重合体は、カルボン酸とアルコールから直接エステル化する方法及びカルボン酸エステルとアルコールをエステル交換する方法等により得られ、例えば、(i)Rf基を有する一価若しくは多価アルコールとモノ、ジ若しくはトリカルボン酸及び/又はそのエステル化物との重縮合、(ii)Rf基を有する一価若しくは多価カルボン酸及び/又はそのエステル化物と一価若しくは多価アルコールとの重縮合、(iii)Rf基を有する一価若しくは多価アルコール及び必要により他の一価若しくは多価アルコールとRf基を有する一価若しくは多価カルボン酸及び必要により他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸並びに/又はそのエステル化物との重縮合により得られる。
 Rf基を有する一価若しくは多価アルコールとしては、Rf基の炭素数が1〜18であるアルコールが使用でき、例えば、C25CH2OH、C49CH2CH2OH、C817CH2CH2OH、C817SO2N(C37)CH2CH2OH、C817CH(OH)CH2OH、C817CH(OH)CH2OH、C817OCH2CH(OH)CH2OH及びこれらのアルコールのアルキレンオキシド(炭素数2〜4)付加物(付加モル数;1〜20)並びにRf基含有エポキシ化合物とカルボン酸を反応させて得られる水酸基含有Rf化合物等が使用できる。
 その他の一価若しくは多価アルコールとしては、(A)の説明で例示した分子内に1個以上のヒドロキシル基を有する化合物が使用でき、さらに、それらのアルキレンオキシド(EO、PO、BO等)付加物(1〜50モル付加){例えば、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、MW=200〜1,000のポリエチレングリコール、MW=200〜1,000のポリプロピレングリコール、MW=200〜1,000のポリテトラメチレングリコール等)が使用できる。
 2種以上のアルキレンオキシドを付加する場合、付加様式はランダム付加でもブロック付加でもよい。
 Rf基を有する一価若しくは多価カルボン酸としては、Rf基の炭素数が1〜18であるカルボン酸が使用でき、例えば、CF3COOH、C37COOH、C715COOH、C817COOH、C817CH(COOH)CH2COOH及びHOOCCH2816CH2COOH等が使用できる。
 その他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸としては、炭素数1〜18のモノカルボン酸、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、炭素数6〜20の脂環式ジカルボン酸、炭素数6〜20の芳香族ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の無水物並びに無水トリメリット酸等が使用できる。
 炭素数1〜18のモノカルボン酸としては、例えば、酢酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸等の直鎖の飽和カルボン酸;2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸等の分岐の飽和カルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和のカルボン酸が挙げられる。
 炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、アゼライン酸、メサコン酸、シトラコン酸及びグルタコン酸等が挙げられる。
 炭素数6〜20の脂環式ジカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸及びメチルメジック酸等が挙げられる。
 炭素数6〜20の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸及びナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
 これらのエステル化物(例えば、メチル、ブチル等のアルキル(炭素数1〜4)エステル)もエステル交換反応で使用可能である。
 カルボン酸とアルコールとの比率は、水酸基当量/カルボキシル基当量の比が、0.6〜1.6となるような比率が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.4となるような比率である。
反応は、触媒の存在下で、好ましくは150℃ 〜300℃、さらに好ましくは170〜280℃の温度下で行われる。また、反応は、常圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。
 触媒としては、通常のポリエステルの製造に用いられる触媒、例えば、金属(例えば、スズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等)、これらの金属含有化合物(例えば、ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、硫酸、塩酸及び有機酸(パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等)等が使用できる。
 アミド結合を介して重合する重合体は、例えば、(i)Rf基を有するモノカルボン酸及び必要により他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸と一価若しくは多価アミンとの重縮合、又は(ii)モノ、ジ若しくはトリカルボン酸とRf基を有する一価若しくは多価アミンとの重縮合により製造することができる。
Rf基を有するモノカルボン酸及びその他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸は前記と同じものが使用できる。
Rf基を有する一価若しくは多価アミンとしては、Rf基の炭素数が1〜18であるアミンが使用でき、例えば、C49CH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2CH2N(CH2CH2CH2NH22、C49CH2CH2OCH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2OCH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2OCH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2及びC817CH2CH2OCH2CH2CH2N(CH2CH2CH2NH22等が挙げられる。
 一価若しくは多価アミンとしては、炭素数1〜12の脂肪族アルキルアミン、炭素数2〜12のアルキレンジアミン、ポリアルキレングリコール誘導ジアミン、炭素数6〜20の脂環式アミン及び炭素数6〜20の芳香族アミン等が使用できる。
炭素数1〜12の脂肪族アルキルアミンとしては、例えば、エチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン及びラウリルアミン等が挙げられる。
 炭素数2〜12のアルキレンジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
 ポリアルキレングリコール誘導ジアミンとしては、例えば、ポリエチレングリコール(MW=400)のジアミノプロピルエーテル及びポリプロピレングリコール(MW=1,750)(EO)30モル付加物のジアミノプロピルエーテル等が挙げられる。
 炭素数6〜20の脂環式アミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミン及び4,4´−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等が挙げられる。
 炭素数6〜20の芳香族アミンとしては、例えば、フェニルアミン、1,2−,1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4´−又は4,4´−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4´,4”−トリアミン及びナフチレンジアミン等が挙げられる。
 カルボン酸とアミンとの比率は、アミノ基当量/カルボキシル基当量の比が、0.6〜1.6となるような比率が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.4となるような比率である。
反応は、触媒の存在下、好ましくは140℃ 〜250℃ 、さらに好ましくは180〜230℃の温度下で行われる。また、反応は、常圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。触媒としては、上記のポリエステルの製造に用いられるものが使用できる。
 エステル結合及びアミド結合を介して重合する重合体は、例えば、(i)Rf基を有するモノカルボン酸及び必要により他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸と一価若しくは多価アルコール及び一価若しくは多価アミンとの重縮合、(ii)モノ、ジ若しくはトリカルボン酸と一価若しくは多価アルコール及びRf基を有する一価若しくは多価アミンとの重縮合、又は(iii)モノ、ジ若しくはトリカルボン酸とRf基を有する一価若しくは多価アルコール及び一価若しくは多価アミンとの重縮合により製造することができる。
 Rf基を有するモノカルボン酸、他のモノ、ジ若しくはトリカルボン酸、一価若しくは多価アルコール、一価若しくは多価アミン、Rf基を有する一価若しくは多価アミン、及びRf基を有する一価若しくは多価アルコールは前記と同じものが使用できる。
 カルボン酸とアルコールとアミンとの比率は、(水酸基当量とアミノ基当量の合計当量)/カルボキシル基当量の比が、0.6〜1.6となるような比率が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.5、特に好ましくは0.8〜1.4となるような比率である。また、水酸基当量とアミノ基等量の比は、通常、水酸基当量:アミノ基等量=100:0〜0:100の範囲であり、好ましくは100:0又は0:100又は90:10〜10:95の範囲であり、さらに好ましくは100:0又は0:100又は80:20〜20:80の範囲である。
反応は、触媒の存在下、好ましくは140℃ 〜250℃ 、さらに好ましくは180〜230℃の温度下で行われる。また、反応は、常圧下、減圧下又は加圧下で行うことができる。触媒としては、上記のポリエステルの製造に用いられるものが使用できる。
 (B1−A−2)の具体例としては、下記のオリゴマーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
(1)C817COOH(30モル%)と、アジピン酸(30モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)10モル(EO)10モル付加物(40モル%)とのエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=12,600)
(2)無水トリメリット酸(24モル%)と、アジピン酸(12モル%)と、C817CH2CH2OH(29モル%)と、ヘキシレングリコール(PO)10モル(EO)12モル付加物(35モル%)とのエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=10,500)
(3)C817COOH(28モル%)と、アジピン酸(33モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)10モル(EO)10モル付加物(28モル%)と、オクチルアミン(11モル%)とのエステルアミドオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=9,200)
(4)アジピン酸と化学式(11)で示される化合物とをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(10モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(23モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=13,500)
(5)トリメリット酸トリメチル(43モル%)と、C817CH2CH2OH(31モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(19モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(19モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=14重量%、MW=12,500)
(6)C817CH2CH2OH(43モル%)と、アジピン酸ジメチル(43モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)68モル(EO)10モルブロック付加物(14モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=16重量%、MW=6,200)
(7)1,2−ジグリシジルエタンとC817CO2Hとをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した
化合物(17モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(17モル%)と、アジピン酸ジメチル(49モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=18,100)
(8)C817CH2CH2CH=CHCH(COOH)CH2COOH(37.5モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(50モル%)と、C817CH2CH2OH(12.5モル%)とのエステル化物(フッ素含量=11重量%、MW=11,500)
(9)C817CH(OH)CH2OH(25モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(15モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(10モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=14重量%、MW=15,400)
(10)2−エチルヘキサノールのPO10モル付加物のカリウム塩とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルと、アジピン酸とをモル比で2:1で反応させてエステル化合物を得、このエステル化合物(25モル%)と、上記の化学式11で示される化合物とアジピン酸とをモル比で2:1で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(25モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=26重量%、MW=17,500)
(11)化学式(12)で示される化合物とアジピン酸とをモル比で2:1で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(10モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(23モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=19重量%、MW=16,700)
(12)ブタノールのPO15モルEO10モルブロック付加物のナトリウム塩又はカリウム塩とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルと、アジピン酸とをモル比で2:1で反応させてエステル化合物を得、このエステル化合物(16.7モル%)と、C817CH(OH)CH2OH(33.3モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=10,800)
 重付加によるオリゴマー又はポリマー(B1−A−3)としては、ウレタン系のものが挙げられ、Rf基を有する一価若しくは多価アルコール及び必要により他の一価若しくは多価アルコールと一価若しくは多価イソシアネートとの重付加により得られる。
 Rf基を有する一価若しくは多価アルコール及びその他の一価若しくは多価アルコールは前記と同じものが使用できる。
一価若しくは多価イソシアネートとしては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用でき、炭素数4〜20(NCOの炭素を除く)の芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環式イソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートが使用できる。
芳香族イソシアネートの具体例としては、フェニルイソシアネート、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等が使用できる。
 脂肪族イソシアネートの具体例としては、エチルイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が使用できる。
脂環式イソシアネートの具体例としては、シクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が使用できる。
芳香脂肪族イソシアネートの具体例としては、ベンジルイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が使用できる。
 イソシアネートとアルコールとの比率は、水酸基当量/イソシアネート基当量の比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.4となるような比率であればよい。
反応温度は、ポリウレタン化反応に通常採用される温度と同じで良く、溶媒を使用する場合は通常20〜100℃、無溶媒の場合は通常20〜220℃、好ましくは50〜200℃である。
 反応を促進させるため、必要によりポリウレタン反応に通常使用される触媒(例えば、トリエチルアミン,N−エチルモルホリン,トリエチレンジアミン等のアミン系触媒;トリメチルチンラウレート,ジブチルチンジラウレート等の錫系触媒)が使用できる。
 (B1−A−3)の具体例としては、下記のオリゴマーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
(1)C817CH2CH2OH(27モル%)と、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート(27モル%)と、ブタノール(PO)20モル(EO)12モル付加物(27モル%)と、ポリエチレングリコール(MW=600)(19モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=11重量%、MW=9,000)
(2)C817CH2CH2OH(22モル%)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(44モル%)と、ヘキシレングリコール(PO)10モル(EO)12モル付加物(34モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=12重量%、MW=5,600)
(3)アジピン酸と上記の化学式(11)で示される化合物とをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(25モル%)と、イソホロンジイソシアネート(50モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(20モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(5モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=28,600)
(4)C817CH2CH2OH(43モル%)と、イソホロンジイソシアネート(43モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)68モル(EO)10モルブロック付加物(14モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=6,600)
(5)C817CH2CH2OH(40モル%)と、イソホロンジイソシアネート(40モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物とアジピン酸ジメチルとをモル比で7:6で反応させて得られるMW=11,600のポリエステルジオール(20モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=5重量%、MW=24,300)
 開環重合によるエーテルオリゴマー又はポリマー(B1−A−4)は、Rf基を有する一価若しくは多価アルコールにエポキシ化合物及び/又はRf基を有するエポキシ化合物を開環付加重合させた構造を有する重合体、並びに一価若しくは多価アルコールにRf基を有するエポキシ化合物及び必要によりRf基を有しないエポキシ化合物を開環付加重合させた構造を有する重合体等が使用できる。
 (B1−A−4)は、Rf基を有する一価若しくは多価アルコールにエポキシ化合物及び/又はRf基を有するエポキシ化合物を開環付加重合させる方法、並びに一価若しくは多価アルコールにRf基を有するエポキシ化合物及び必要によりRf基を有しないエポキシ化合物を開環付加重合させる方法により製造することができる。
 一価若しくは多価アルコール(Rf基を有しないアルコール)及びRf基を有する一価若しくは多価アルコールは、前記と同じものが使用できる。Rf基を有するエポキシ化合物としては、テトラフルオロエチレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、オクタフルオロブチレンオキシド、パーフルオロオクタデシレンオキシド等の炭素数2〜20のアルキレンオキシド及びこれらの分子中のフッ素原子の一部(1〜10個)が水素原子で置換されたフッ素化合物、並びにパーフルオロアルキル基を有するグリシジルエーテル及び式(13)で示されるフッ素化合物(例えば、上記化学式(11)で示した化合物)等が挙げられる。
(wは0又は1〜4の整数を表す)
 エポキシ化合物(Rf基を有しないエポキシ化合物)としては、EO、PO、BO及びグリシジルエーテル(1価アルコール又はそのアルキレンオキシド付加物と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られる化合物)等が挙げられる。
 アルコールへのエポキシ化合物の付加は、通常の方法で行うことができ、無触媒で又は触媒(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒;トリエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N−メチルピロリジン、ベンジルジメチルアミン等のアミン系触媒;トリフェニルホスフィン等の酸性触媒)の存在下に常圧又は加圧下に1段階若しくは多段階で行なわれる。2種以上のエポキシドを付加する場合、その付加様式はランダム付加でもブロック付加でもよい。また、エポキシドの付加モル数は5〜200モルが好ましい。
 (B1−A−4)の具体例としては、下記のオリゴマーが挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。
(1)ポリプロピレングリコール(MW=1,200)(1.4モル%)と、EO(52.8モル%)と、PO(41.7モル%)と、上記の化学式(11)で示した化合物(4.1モル%)との開環重合物(フッ素含量=16重量%、MW=6,000)
(2)C817CH2CH2OH(1.5モル%)と、EO(44.8モル%)と、PO(49.2モル%)と、上記の化学式(11)で示した化合物(4.5モル%)との開環重合物(フッ素含量=25重量%、MW=5,100)
(3)(EO)8モル(PO)50モル(EO)8モルブロック付加物(14.3モル%)と、上記の化学式(12)で示した化合物(85.7モル%)との開環重合物(フッ素含量=29重量%、MW=6,700)
(4)C817CH2CH2OH(2.4モル%)と、EO(48.8モル%)と、PO(36.6モル%)と、上記の化学式(12)で示した化合物(12.2モル%)との開環重合物(フッ素含量=34重量%、MW=4,800)
(B1−A)の含量は、特に限定はないが、本発明の目的からは配合後の紡糸油剤の全重量に基づいて、0.001〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.004〜0.8重量%である。
 シリコーンオイル(B1−B)としては、25℃における動粘度が5〜1,000,000cStのポリジメチルシリコーンオイル、並びに該シリコーンオイルをアミノ変性、ポリアルキレングリコール変性、カルボン酸変性、エポキシ変性、カルビノール変性及び/又はアルキル(メチル基を除く)変性等で変性したシリコーン化合物等が使用できる。
 次に制御剤(B1−C)について説明する。
 (B1−C)は、(B1−A)及び(B1−B)の熱による分解を抑制し時間とともに油剤の表面張力が上昇するのを防ぎ、長時間にわたって低い表面張力を維持するとともに、分解をコントロールすることによって、加熱後の油剤動粘度を一定の範囲に制御する添加剤(表面張力上昇防止及び動粘度制御剤を意味する)であって、分子内にラジカルトラップ能を有する官能基を持つ化合物が好ましい。
 ラジカルトラップ能を有する官能基としては、例えば、ヒンダードヒドロオキシフェニル基、アミノ基、ヒンダードアミノアルキル基、チオエーテル基及びホスフェート等が挙げられ、これらの官能基を分子内に有する化合物が適用可能である。
 ラジカルトラップ能を有する官能基は、分子内に合計で1〜6個存在することが好ましく、さらに好ましくは2〜4個である。
 (B1−C)のGPCによるMWは、200〜3000が好ましく、さらに好ましくは400〜2000である。MWがこの範囲であると(A)、(B1−A)及び(B1−B)との相溶性がさらに良好となる。また、分子内に異なる2種類以上のラジカルトラップ能を有する官能基が存在していてもよく、2種以上の(B1−C)を使用してもよい。
 (B1−C)の具体例を以下に述べるが、これらに限定されるものではない。(1)ヒンダードフェノール系制御剤
 トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(2)アミン系及びヒンダードアミン系制御剤
 オクチル化ジフェニルアミン、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等。
(3)チオエーテル系制御剤
 ジドデシル−3.3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−ドデシルチオプロピオニルオキシ)−5−ブチルフェニル]スルフィド、テトラキス[メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート]メタン等。
(4)ホスフェート系制御剤
 4,4’−イソプロピリデン−ジドデシルフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジフェニルモノデシルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等。
(5)2種類以上の異なる官能基を含む制御剤
 2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフェート−ジエチルエステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イゾシアヌレイト、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、トリドデシルトリチオフォスフィト等。
 (B1−C)を使用する場合、(B1−C)の使用量は、特に限定はないが、本発明の目的からは配合後の紡糸油剤の全重量に基づいて、0.001〜1重量%が好ましく、さらに好ましくは0.004〜0.8重量%である。
 (B1)としては、Rf基を含有する化合物(B1−A)が好ましく、(B1−A)と制御剤(B1−C)とからなるものがさらに好ましい。
 (B)には、(B1)以外の成分(B2)を含有させることができる。
(B2)としては、通常の紡糸油剤に使用される乳化剤(例えば、高級アルコールEO付加物、高級脂肪酸のEO付加物等のノニオン活性剤)、静電気防止剤(例えば、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤等)等が挙げられる。
 (B2)を使用する場合、(B2)の使用量は、紡糸油剤全体の合計重量に基づいて、0.001〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは0.005〜15重量%、特に好ましくは0.01〜12重量%である。
さらに、本発明の合成繊維用紡糸油剤には本発明の目的から逸脱しないかぎり任意の成分が使用可能である。
 任意の成分としては(A)以外の潤滑剤(例えば、鉱物油、脂肪酸エステル油等)、極圧添加剤、防錆剤、酸化防止剤、及びその他の機能添加剤等を含有することができ、これらの種類について特に限定はない。
 任意の成分を使用する場合、任意の成分の使用量は、紡糸油剤の合計重量に基づいて、0.001〜20重量%が好ましい。
 (A)と(B)を配合する方法については、特に限定されず公知の方法が適用可能である。例えば、撹拌羽を備えた配合槽に(A)及び(B)を所定量仕込み、加温、撹拌、均一とする方法等が使用できる。
 また、本発明は、上記紡糸油剤を熱可塑性合成繊維に適用し、仮撚加工を行う、熱可塑性合成繊維の処理方法でもある。
本発明の合成繊維用紡糸油剤は、熱可塑性合成繊維の溶融紡糸工程において、紡糸油剤そのままで、あるいは、その水溶液又は水系エマルションとして、紡出直後の糸条に給油される。
 水溶液又は水系エマルションとして使用する場合、水溶液又は水系エマルション中の油剤の濃度は、水溶液又は水系エマルションの重量に基づいて、0.5〜20重量%の範囲の任意の濃度の選択が可能である。好ましくは5.0〜15.0重量%である。
紡糸油剤の給油方法については、特に限定はなく、ノズルを介した計量給油、ローラー給油又はこれらの組み合わせ等のいずれでもよい。
紡糸油剤の付着量は、巻き取り後の繊維の重量に基づいて、純分(水以外の油剤の成分として)で0.1〜1.5重量%、好ましくは0.2〜0.6重量%である。
適用できる繊維としては、ポリエステル、ポリアミド及びポリプロピレン等の熱可塑性合成繊維等が挙げられ、特に仮撚加工に供されるポリエステル長繊維用やナイロン長繊維用の紡糸油剤として好適である。
 本発明の紡糸油剤は、上記熱可塑性繊維の紡糸工程において給油処理され、その後、仮撚加工が行われるという方法に好適に用いられる。特に、部分配向糸(POY)を用い、延伸仮撚加工(DTY)を行う、いわゆるPOY−DTY(Partially Oriented Yarn−Draw Textured
 Yarn)に最適である。
 以下、実施例等により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において、部及び%は特に断らない限りそれぞれ重量部及び重量%を示す。
実施例1〜48
下記のポリエーテル系潤滑剤(A)からなるベースオイルと、その他の成分(B)とを用いて、表1〜5に示す割合で、本発明の紡糸油剤1〜51(実施例1〜51)及び比較の紡糸油剤1〜14(比較例1〜14)を調合し、以下の評価を行い、それらの結果を表1〜5に示す。
 (i) 220℃、1時間放置後の表面張力(mN/m)
 (ii) 400℃、24時間放置後の加熱残渣率(%)
 (iii)調合後の紡糸油剤の25℃における動粘度(V1)と220℃で12時間加熱後の紡糸油剤の25℃における動粘度(V2)の比(V2/V1)
<ベースオイル>
   ブタノール(EO/PO)ランダム付加物 60部
    (EO/PO=50/50重量%、MW:1800)
   ラウリルアルコール(PO)(EO)ブロック付加物 20部
    (EO/PO=40/60重量%、MW:1400)
  プロピレングリコール(EO/PO)ランダム付加物 10部
    (EO/PO=50/50重量%、MW:6000)
  ラウリン酸EO10モル付加物    10部
<その他の成分>
(B1−Aa)
 C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1750)(EO)30モル付加物のモノアクリレート(25モル%)と、メタクリル酸メチル(25モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=30,000)
(B1−Ab)
 C81724OHのアクリレート(40モル%)と、ブタノール(PO)20モル(EO)12モル付加物のアクリレート(40モル%)と、メタクリル酸メチル(20モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=14重量% 、MW=18,600)
(B1−Ac)
 C817SO2N(C37)C24OHの(EO)5モル付加物のアクリレート(40モル%)と、メタノール(EO)15モル付加物のアクリレート(30モル%)と、メタクリル酸メチル(30モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=21重量%、MW=12,000)
(B1−Ad)
 C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ブタノール(EO)20モル(PO)15モルランダム付加物のアクリレート(30モル%)と、メタクリル酸メチル(20モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=18重 量%、MW=150,000)
(B1−Ae)
 C81724OHのフマル酸ジエステル(25モル%)とブタノール(EO)20モル(PO)20モルランダム付加物のアクリレート(40モル%)と、メタクリル酸メチル(35モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=14重量%、MW=26,700)
(B1−Af)
 C81724OHのアクリレート(35モル%)と、ブタノール(EO)20モル(PO)15モルランダム付加物のフマル酸モノエステル(35モル%)と、メタクリル酸メチル(30モル%)との共重合ポリマー(フッ素含量=13重量%、MW=21,300)
(B1−Ag)
 C817COOH(30モル%)と、アジピン酸(30モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)10モル(EO)10モル付加物(40モル%)とのエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=12,600)
(B1−Ah)
 無水トリメリット酸(24モル%)と、アジピン酸(12モル%)と、C817CH2CH2OH(29モル%)と、ヘキシレングリコール(PO)10モ ル(EO)12モル付加物(35モル%)とのエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=10,500)
(B1−Ai)
 C817COOH(28モル%)と、アジピン酸(33モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)10モル(EO)10モル付加物(28モル%)と、オクチルアミン(11モル%)とのエステルアミドオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=9,200)
(B1−Aj)
 アジピン酸と上記の化学式(11)で示した化合物とをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(10モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(23モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=13,500)
(B1−Ak)
 トリメリット酸トリメチル(43モル%)と、C817CH2CH2OH(31モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(19モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(19モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=14重量%、MW=12,500)
(B1−Al)
 C817CH2CH2OH(43モル%)と、アジピン酸ジメチル(43モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)68モル(EO)10モルブロック付加物(14モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=16重量%、MW=6,200)
(B1−Am)
 1,2−ジグリシジルエタンとC817CO2Hとをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(17モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(17モル%)と、アジピン酸ジメチル(49モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=18,100)
(B1−An)
 C817CH2CH2CH=CHCH(COOH)CH2COOH(37.5 モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(50モル%)と、C817CH2CH2OH(12.5モル%)とのエステル化物(フッ素含量=11重量%、MW=11,500)
(B1−Ao)
 C817CH(OH)CH2OH(25モル%)と、プロピレングリコール( MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(15モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(10モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=14重量%、MW=15,400)
(B1−Ap)
 2−エチルヘキサノールのPO10モル付加物のカリウム塩とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルとアジピン酸とをモル比で2:1で反応させてエステル化合物を得、このエステル化合物(25モル%)と、上記の化学式11で示される化合物とアジピン酸とをモル比で2:1で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(25モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=26重量%、MW=17,500)
(B1−Aq)
 上記の化学式(12)で示される化合物とアジピン酸とをモル比で2:1で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(10モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(23モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=19重量%、MW=16,700)
(B1−Ar)
 ブタノールのPO15モルEO10モルブロック付加物のカリウム塩とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテルとアジピン酸とをモル比で2:1で反応させてエステル化合物を得、このエステル化合物(16.7モル%)と、C817CH(OH)CH2OH(33.3モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるエステルオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=10,800)
(B1−As)
 C817CH2CH2OH(27モル%)と、4,4’,4”−トリフェニル メタントリイソシアネート(27モル%)と、ブタノール(PO)20モル(EO)12モル付加物(27モル%)と、ポリエチレングリコール(MW=600)(19モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=11重量%、MW=9,000)
(B1−At)
 C817CH2CH2OH(22モル%)と、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(44モル%)と、ヘキシレングリコール(PO)10モル(EO)12モル付加物(34モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=12重量%、MW=5,600)
(B1−Au)
 アジピン酸と上記の化学式(11)で示される化合物とをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(25モル%)と、イソホロンジイソシアネート(50モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオキシド16モルを付加した化合物(20モル%)と、MW=400のポリエチレングリコール(5モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=28,600)
(B1−Av)
 C817CH2CH2OH(43モル%)と、イソホロンジイソシアネート(43モル%)と、トリメチロールプロパン(PO)68モル(EO)10モル ブロック付加物(14モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=15重量%、MW=6,600)
(B1−Aw)
 C817CH2CH2OH(40モル%)と、イソホロンジイソシアネート( 40モル%)と、ポリプロピレングリコール(MW=1700)にエチレンオ キシド16モルを付加した化合物とアジピン酸ジメチルとをモル比で3:2で 反応させて得られるMW=7,400のポリエステルジオール(20モル%)とのウレタンオリゴマー(フッ素含量=7重量%、MW=15,000)
(B1−Ax)
 ポリプロピレングリコール(MW=1,200)(1.4モル%)と、EO(52.8モル%)と、PO(41.7モル%)と、上記の化学式(11)で示される化合物(4.1モル%)との開環重合物(フッ素含量=16重量%、MW=6,000)
(B1−Ay)
 C817CH2CH2OH(1.5モル%)と、EO(44.8モル%)と、PO(49.2モル%)と、上記の化学式(11)で示される化合物(4.5モル%)との開環重合物(フッ素含量=25重量%、MW=5,100)
(B1−Az)
 (EO)8モル(PO)50モル(EO)8モルブロック付加物(14.3モル%)と、上記の化学式(12)で示される化合物(85.7モル%)との開環重合物(フッ素含量=29重量%、MW=6,700)
(B1−Aaa)
 C817CH2CH2OH(2.4モル%)と、EO(48.8モル%)と、PO(36.6モル%)と、上記の化学式(12)で示される化合物(12.2モル%)との開環重合物(フッ素含量=34重量%、MW=5,000)
(B1−Aab)
 C81724OHのアクリレート(35モル%)と、ブタノール(EO)15モル付加物のアクリレート(15モル%)と、メタクリル酸メチル(50モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=31重量%、MW=45,600)
(B1−Aac)
 C81724OHのアクリレート(65モル%)と、ブタノール(PO)100モル(EO)50モル付加物のアクリレート(35モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=7重量%、MW=18,000)
(B1−Aad)
 C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ブタノール(PO)15モル(EO)20モル付加物のアクリレート(30モル%)と、メタクリル酸メチル(20モル%)との共重合オリゴマー(フッ素含量=18重量%、MW=500,000)
(B1−Ca)
 1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
(B1−Cb)
 トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イゾシアヌレイト
(B1−Cc)
 ビス[2−メチル−4−(3−ドデシルチオプロピオニルオキシ)−5−ブチルフェニル]スルフィド
(B1−Cd)
 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
(B2−a)
 炭素数14〜16アルカンスルホネートNa(MW=314)
(B2−b)
 イソステアリルアルコール(EO)5モル付加物のホスフェートK(MW=872)
(B2−c)
 オクチルトリメチルアンモニウムオクチルホスフェート(MW=382)
(B2−d)
 トリエチルメチルアンモニウムフタレート(MW=397)
(比較成分a)
 パーフルオロオクチルスルホネートK(フッ素含量=60重量%、MW=538)
(比較成分b)
 N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−アミノプロピルエタノール(EO)10モル付加物(フッ素含量=32重量%、MW=1,025)
(比較成分c)
 N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−アミノプロピルエタノール(EO)20モル付加物(フッ素含量=22重量%、MW=1,465)
(比較成分d)
 ポリアルキレングリコール変性ポリジメチルシロキサン(MW=15,000)
 表1〜5から本発明の油剤が、比較油剤に比較して、220℃で1時間放置後の表面張力が低く、かつ、400℃で24時間放置後の加熱残渣率が低いことが明らかである。また、220℃で12時間加熱前後の動粘度比が特定の範囲にコントロールされていることも明らかである。
使用例及び比較使用例
 巻取り速度3,200m/分でポリエステルを溶融紡糸し、230デニール/36フィラメントのPOYを巻き取った。この際、本発明の紡糸油剤1〜51及び比較の紡糸油剤1〜14の10重量%エマルションを純分付着量が0.3%になるようにノズル給油した。これらのPOYを用い、ポリウレタンディスクによる3軸外接フリクション方式、熱板温度220℃、加工速度800m/分で延伸仮撚加工を行なった。加工開始後1ケ月経過時点での熱板上のタールの発生状態(目視評価 ◎:ほとんどなし、○:糸道の一部にわずかに発生、△:糸道と糸道周辺の一部に少し発生、×:糸道と糸道周辺の一部に多く発生、××:糸道と糸道周辺に多く発生)及び糸切れ率(4kgの加工糸チーズ1000個を採取する間に発生する糸切れ回数を計測し、加工糸チーズ100個当たりの糸切れ回数に換算した数値)の評価結果を表6〜8に示す。
 また、巻取り速度2,700m/分でポリエステルを溶融紡糸し、270デニール/36フィラメントのPOYを巻き取った。この際、本発明の紡糸油剤1〜51及び比較の紡糸油剤1〜14の10重量%エマルションを純分付着量が0.3%になるようにノズル給油した。これらのPOYを用い、ポリウレタンディスクによる3軸外接フリクション方式、輻射熱式高温ヒーター温度(上段温度500℃、下段温度450℃)加工速度1100m/分で延伸仮撚加工を行なった。加工開始後3ケ月経過時点でのヒーター内のガイドに付着しているスカムの程度(目視評価 ◎:ほとんどなし、○:わずかにあり、△:少しあり、×:大量にあり)及び糸切れ率の評価結果を表6〜8に示す。
表6〜8から本発明の紡糸油剤が熱板接触加熱式の仮撚加工においても、輻射熱式高温ヒーターによる仮撚加工においても優れた紡糸性を有し、長期間糸切れが少ない安定した操業が可能であることが明らかである。
本発明の合成繊維用紡糸油剤を使用することにより、従来から行なわれている熱板接触加熱式による仮撚加工及び輻射熱式高温ヒーターによる非接触加熱方式の仮撚加工の何れにおいても、POYの極めて長期間の安定生産が可能であり、ヒーター掃除周期が大幅に延長される。
 従って、生産性及び作業性の面から、仮撚り加工に供される熱可塑性合成繊維用の紡糸油剤として、極めて有用である。

Claims (20)

  1. 220℃で1時間放置後の表面張力(T:mN/m)と400℃で24時間放置後の加熱残渣率(Re:重量%)とが、式(1)及び(2)を満足することを特徴とする合成繊維用紡糸油剤。
                10≦T≦22    (1)
                 0≦Re≦0.25 (2)
  2. TとReとが、式(3)及び(4)を満足する請求項1記載の紡糸油剤。
                10≦T≦20 (3)
                 0≦Re≦0.20 (4)
  3. TとReとが、式(5)及び(6)を満足する請求項2記載の紡糸油剤。
                10≦T≦15 (5)
                 0≦Re≦0.15 (6)
  4. さらに、220℃で12時間放置後の25℃における動粘度(V2:mm2/s)と放置前の25℃における動粘度(V1:mm2/s)とが、式(7)を満足する請求項1〜3いずれか記載の紡糸油剤。
             0.5≦V2/V1≦60  (7)
  5. V1とV2とが、式(8)を満足する請求項4記載の紡糸油剤。
             0.8≦V2/V1≦50  (8)
  6. ポリエーテル系潤滑剤(A)とその他の成分(B)とからなり、(B)が配合後の油剤の220℃で1時間放置後における表面張力を22mN/m以下にする成分(B1)を含有してなる請求項1〜5いずれか記載の紡糸油剤。
  7. (B1)が、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロアルキレン基を有する化合物(B1−A)を含有してなる請求項6記載の紡糸油剤。
  8. (B1−A)のフッ素含量が、(B1−A)の重量に基づいて5〜40重量%である請求項7記載の紡糸油剤。
  9. (B1−A)が、さらにポリオキシアルキレン鎖を有する請求項7又は8記載の紡糸油剤。
  10. (B1−A)のポリオキシアルキレン部分の重量割合が、(B1−A)の重量に基づいて30〜90重量%である請求項9記載の紡糸油剤。
  11. (B1−A)が、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロアルキレン基を側鎖に有してなるものである請求項7〜10いずれか記載の紡糸油剤。
  12. (B1−A)が、パーフルオロアルキル基及び/又はパーフルオロアルキレン基を有するモノマーを、ビニル付加重合(B1−A−1)、重縮合(B1−A−2)、重付加(B1−A−3)及び開環重合(B1−A−4)からなる群より選ばれる重合形式によって重合させて得られるオリゴマー又はポリマーである請求項7〜11いずれか記載の紡糸油剤。
  13. (B1−A−1)が、パーフルオロアルキル基を有するビニルモノマー(b1)及びポリオキシアルキレン鎖を有するビニルモノマー(b2)を必須構成単位とするビニルオリゴマー又はビニルポリマーである請求項12記載の紡糸油剤。
  14. (b1)が、下記一般式(9)で表わされる(共)重合性不飽和単量体である請求項13記載の紡糸油剤。
    上記式中、A1は、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基(G−と略記する。)、式G−OCH2−(CHOH)4-p(CHO−G)p−Q−(CH2n−で表される基、又は式−C65-q(−O−G)qで表される基を表す。 A2及びA3は、同一又は異なって、水素原子、メチル基、式Rf−X−(OE1m−Q−(CH2n−、又は式R3−X−(OE1m−Q−(CH2n−で表される基を表す。
     各式中、
      Rfは、炭素数3〜18のパーフルオロアルキル基を表す。
      Xは、式−(CH2r−で表される基、式−SO2NR1−E2−で表される基、又は式−CONR2−E2−で表される基を表す。(各式中、rは0又は1〜4の整数を表す。R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。E2 は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。)
      E1 は、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
    mは、0又は1〜20の整数を表す。
    Qは、式−OCO−で表される基、式−O−で表される基、又は式−NHCO−で表される基を表す。
    nは、0又は1の整数を表す。
      pは、0又は1〜4の整数を表す。
      qは、1〜5の整数を表す。
     R3 は、炭素数1〜12のアルキル基又はアシル基を表す。
  15. (b2)が、下記一般式(10)で表わされる(共)重合性不飽和単量体である請求項13又は14記載の紡糸油剤。
    上記式中、
     A4は、式R4−(OE3s−Z−(CH2t−で表される基(J−と略記する。)、式J−OCH2−(CHOH)4-p(CHO−J)p−Z−(CH2 t−で表される基、又は式−C65-q(O−J)qで表される基を表す。
     A5及びA6は、同一又は異なって、水素原子、メチル基又はJ−を表す。
     各式中、
      R4 は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基若しくはアシル基を表す。
    3 は、炭素数2〜4のアルキレン基を表す。
    sは、1〜200の整数を表す。
    Zは、式−OCO−で表される基、式−O−で表される基、又は式−NHCO−で表される基を表す。
    tは、0又は1〜12の整数を表す。
    pは、0又は1〜4の整数を表す。
    qは、1〜5の整数を表す。
  16. 一般式(10)において、sが2〜200の整数であり、ポリオキシアルキレン鎖−(OE3s−がオキシエチレン基及びオキシプロピレン基の組合せからなるものである請求項15記載の紡糸油剤。
  17. (B1−A−1)が、(b1)、(b2)及びその他のモノマー(b3)を含有してなり、(b1)、(b2)及び(b3)の合計モルに基づいて、(b1)が10〜70モル%、(b2)が10〜50モル%及び(b3)が10〜70モル%である請求項13〜16のいずれか記載の紡糸油剤。
  18. (B1−A)の含量が、紡糸油剤全体の合計重量に対して、0.001〜1.0重量%である請求項7〜17のいずれか記載の紡糸油剤。
  19. POY−DTY用である請求項1〜18のいずれか記載の紡糸油剤。
  20. 請求項1〜19のいずれか記載の紡糸油剤を熱可塑性合成繊維に適用し、仮撚加工を行う熱可塑性合成繊維の処理方法。
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