JP2007138372A - 弾性繊維用油剤の付与方法 - Google Patents

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行範 東瀬
Taro Hamada
太郎 濱田
Naosuke Sakai
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Abstract

【課題】弾性繊維生産時の繊維同士の膠着防止性および長期に渡っての繊維処理用油剤の経日安定性が良好な繊維用油剤の付与方法を提供すること。
【解決手段】 弾性繊維を製造する際に、炭化水素系潤滑油(A1)及び膠着防止剤(A2)からなり、25℃での表面張力が23〜40mN/mの一次油剤(A)を付与した後、25℃での表面張力が13〜23mN/mの二次油剤(B)を付与することを特徴とする弾性繊維用油剤の付与方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、弾性繊維用油剤の付与方法に関する。さらに詳しくはポリウレタン弾性繊維製造時に紡糸工程で使用される弾性繊維用油剤の付与方法に関する。
従来より、ポリウレタン弾性繊維の製造方法としては、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などがあるが、いずれの方法でも繊維同士の膠着性が大きく、特に製造後、ポリウレタン弾性糸の保管期間が長いと経時で繊維同士の膠着性がより大きくなるため、後加工工程での解舒性の悪さが深刻な問題となっている。解舒性が悪いと加工時に糸切れなどを引き起こし、生産性を著しく落とすことになる。このため、これらの課題を解決することが可能な弾性繊維用油剤の開発が急務となっている。
弾性繊維生産時の紡糸工程に用いる繊維処理用油剤として、該油剤に膠着防止剤を添加した油剤が提案されている。この膠着防止剤として、固体の金属石鹸を懸濁させた繊維処理用油剤(特許文献1、2)、ポリエーテル変性シリコーンを配合した繊維処理用油剤(特許文献3〜5)、シリコーン樹脂を配合した繊維処理用油剤(特許文献6、7)などが提案されている。
しかしながら特許文献1〜7で提案されている油剤では、膠着防止成分が弾性繊維に効率的に付着しないため、糸に対して油剤を5〜10質量%付着させて対応しているが、それでも十分な膠着防止性が発揮できず、特に長期保管後、解舒性が悪化し、後加工工程において解舒性不良などが原因で糸切れなどが起こる問題がある。
経時での膠着性を改善する方法として、水溶性変性シリコーンを繊維に付与した後、シリコーンや鉱物油を付与する2段給油方法(特許文献8)が提案されている。この方法では、経時での膠着性は改善されてはいるものの長期保管に耐えうるだけの膠着防止性に乏しいといった問題がある。
特公昭41−286号公報 特公昭40−5557号公報 特公昭61−459号公報 特開平2−127569号公報 特開平6−41873号公報 特公昭63−12197号公報 特開平8−74179号公報 特開平10−158938号公報
従って、本発明の目的とするところは、弾性繊維を製造する際に長期保管後でも繊維同士の膠着防止性に優れる弾性繊維用油剤の付与方法を提供することにある。
本発明者らは上記の弾性繊維用油剤の付与方法を得るべく鋭意検討した結果、特定の成分からなり、25℃での表面張力が23〜40mN/mの一次油剤(A)を付与した後、25℃での表面張力が13〜23mN/mの二次油剤(B)を付与することにより上記問題点を解決できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、弾性繊維を製造する際に、炭化水素系潤滑油(A1)及び膠着防止剤(A2)からなり、25℃での表面張力が23〜40mN/mの一次油剤(A)を付与した後、25℃での表面張力が13〜23mN/mの二次油剤(B)を付与することを特徴とする弾性繊維用油剤の付与方法。;ならびに上記の付与方法により処理されてなる弾性繊維である。
本発明の弾性繊維用油剤の付与方法は、繊維を製造する際に繊維同士の膠着防止性に優れる表面張力の異なる油剤を2段給油することで繊維表面に均一に付着できるため、長期保管後も優れた解舒性を維持できるという効果を奏する。このため、特に膠着性の高いポリウレタン弾性繊維処理に極めて有効である。
本発明において、一次油剤(A)の25℃での表面張力は23〜40mN/mであり、好ましくは23〜35mN/m、特に好ましくは24〜33mN/mである。23mN未満であると二次油剤(B)の濡れ性が悪くなることがあり、40mN/mを越えると弾性繊維への均一付着性が困難になることがある。
本発明の付与方法により適用できる弾性繊維はポリウレタン弾性繊維、ポリエステル弾性繊維、ポリアミド弾性繊維およびポリカーボネート弾性繊維などが挙げられる。このうち好ましくはポリウレタン弾性繊維、ポリアミド弾性繊維、特に好ましくはポリウレタン弾性繊維である。
本発明の繊維処理用油剤を適用できる弾性繊維の維度は、特に限定されないが、通常10〜2500デシテックス(dtx)、好ましくは11〜1870dtxである。
本発明において、表面張力は次の方法によって測定した値である。
[表面張力測定方法]
油剤を内径60mm、深さ15mmのガラス製シャーレに25g採取し、25±1℃に調温して自動表面張力計CBVP−A3(協和界面科学社製)により測定する。
一次油剤(A)は炭化水素系潤滑油(A1)及び膠着防止剤(A2)からなる。
炭化水素系潤滑油(A1)としては、鉱物油およびその精製油、水添油、分解油などが使用できる。
これらのうち好ましいものは、繊維への油剤付着性の観点から、25℃における粘度が1〜1000mm2/sの鉱物油(例えば、25℃における動粘度が100cStである
流動パラフィン等)およびその精製油(例えば、25℃における動粘度が200cStである精製スピンドル油等)、水添油(例えば、25℃における動粘度が100cStである水添鉱物油)、分解油(例えば、25℃における動粘度が100cStである分解油)である。さらに好ましくは2〜500mm2/s、特に好ましくは3〜200mm2/sの鉱物油およびその精製油、水添油である。
膠着防止剤(A2)としては、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有する化合物、タルク、シリカ、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、シリコーンレジン等が挙げられる。
これらのうち、膠着防止性の観点から、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有する化合物が好ましい。
これら化合物としては、高級脂肪酸(塩)(A2−1)、カルボキシル基および/またはカルボキシレート基含有ポリマー(A2−2)が挙げられる。
(A2−1)における高級脂肪酸(塩)としては、通常、炭素数5〜40、好ましくは炭素数6〜30、さらに好ましくは炭素数8〜24、より好ましくは炭素数10〜22の飽和または不飽和の高級脂肪酸が挙げられる。高級脂肪酸の具体例としては、例えば、n−吉草酸、iso−吉草酸、オクタン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、およびリシノレイン酸などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびベヘン酸であり、特に好ましいのはステアリン酸である。これらの脂肪酸は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(A2−1)において、カルボキシル基は金属塩となっていても良く、金属塩を形成する金属として好ましいものは、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(バリウム、カルシウム、マグネシウムなど)、IIB族金属(例えば、亜鉛など)、遷移金属(ニッケル、鉄、銅、マンガン、コバルト、銀、金、白金、パラジウム、チタン、ジルコニウム、カドミウムなど)、IIIB族金属(例えば、アルミニウム塩など)、IVB族金属(錫、鉛など)、およびランタノイド金属(ランタン、セリウムなど)などが挙げられ、さらに好ましいのはアルカリ金属、アルカリ土類金属、およびIIIB族金属、特に好ましいのはアルカリ土類金属であり、中でもマグネシウムが好ましい。
(A2−1)の高級脂肪酸塩の具体例としては、例えば、ラウリン酸リチウム塩、ラウリン酸ナトリウム塩、ラウリン酸カリウム塩;ミリスチン酸リチウム塩、ミリスチン酸ナトリウム塩、ミリスチン酸カリウム塩;パルミチン酸リチウム塩、パルミチン酸ナトリウム塩、パルミチン酸カリウム塩、ステアリン酸リチウム塩、ステアリン酸ナトリウム塩、ステアリン酸カリウム塩;イソステアリン酸リチウム塩、イソステアリン酸ナトリウム塩、イソステアリン酸カリウム塩;ベヘン酸リチウム塩、ベヘン酸ナトリウム塩、ベヘン酸カリウム塩;ジラウリン酸マグネシウム塩、ジラウリン酸カルシウム塩、ジラウリン酸バリウム塩;ジミリスチン酸マグネシウム塩、ジミリスチン酸カルシウム塩、ジミリスチン酸酸バリウム塩;ジパルミチン酸マグネシウム塩、ジパルミチン酸カルシウム塩、ジパルミチン酸バリウム塩;ジステアリン酸マグネシウム塩、ジステアリン酸カルシウム塩、ジステアリン酸バリウム塩;ジイソステアリン酸マグネシウム塩、ジイソステアリン酸カルシウム塩、ジイソステアリン酸バリウム塩;ジベヘン酸マグネシウム塩、ジベヘン酸カルシウム塩、ジベヘン酸バリウム塩;パルミチン酸ステアリン酸マグネシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸カルシウム塩、パルミチン酸ステアリン酸バリウム塩などが挙げられる。このうち特に好ましいものはステアリン酸のアルカリ土類金属塩であり、最も好ましいのはジステアリン酸マグネシウム塩である。なお、市販のジステアリン酸マグネシウム塩などは、一部未反応の水酸化ステアリン酸マグネシウム塩が不純物として混じっているが、差し支えない。
前記高級脂肪酸又はその金属塩である高級脂肪酸(塩)(A2−1)は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
カルボキシル基および/またはカルボキシレート基含有ポリマー(A2−2)としては、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有するモノマー(X)と必要によりその他のモノマー(Y)を(共)重合して得られるポリマー(A2−2−1)、ポリマーの分子内にカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を導入して得られるポリマー(A2−2−2)が挙げられる。
上記モノマー(X)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、アリル酢酸など]、不飽和ジカルボン酸およびそれらの無水物[例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸など]および上記の金属塩が挙げられる。
これらの中で好ましいのは、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸および上記の金属塩であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸およびこれらの金属塩である。
モノマー(X)と共重合可能なその他のモノマー(Y)としては、以下の水溶性不飽和モノマー(Y1)、水不溶性不飽和モノマー(Y2)が挙げられる。
水溶性不飽和モノマー(Y1)としては、ノニオン性モノマー(Y1−1)、カチオン性モノマー(Y1−2)、モノマー(X)以外のアニオン性モノマー(Y1−3)が挙げられる。
(Y1−1)としては、
(Y1−1a);(メタ)アクリレート誘導体[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度3〜50)モノ(メタ)アクリレート、ポリグリセロール(重合度1〜10)モノ(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレートなど]、
(Y1−1b);(メタ)アクリルアミド誘導体[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど]、
(Y1−1c);上記以外の窒素原子含有ビニルモノマー[アクリロニトリル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミダゾール、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルカルバゾールなど]など、およびこれらの混合物が挙げられる。
(Y1−2)としては、
(Y1−2a);窒素原子含有(メタ)アクリレート誘導体[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−モルホリノエチル(メタ)アクリレートなど]、
(Y1−2b);窒素原子含有(メタ)アクリルアミド誘導体[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなど]、
(Y1−2c);アミノ基を有するビニル化合物[ビニルアミン、ビニルアニリン、(メタ)アリルアミン、p−アミノスチレンなど]、
(Y1−2d);アミンイミド基を有する化合物[1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)アミン(メタ)アクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリルイミドなど]、
(Y1−2e);上記以外の窒素原子含有ビニルモノマー[2−ビニルピリジン、3−ビニルピペリジン、ビニルピラジン、ビニルモルホリンなど]などとその塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、メチルクロライド塩、ジメチル硫酸塩およびベンジルクロライド塩など)、およびこれらの混合物が挙げられる。
(Y1−3)としては、
(Y1−3a);不飽和スルホン酸〔炭素数2〜20の脂肪族不飽和スルホン酸(ビニルスルホン酸など)、炭素数6〜20の芳香族不飽和スルホン酸(スチレンスルホン酸など)、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート[スルホアルキル(炭素数2〜20)(メタ)アクリレート[2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルオキシメチルベンゼンスルホン酸など]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド[2−(メタ)アクリロイルアミノエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルアミノプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、4−(メタ)アクリロイルアミノブタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、p−(メタ)アクリロイルアミノメチルベンゼンスルホン酸など]、アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アリルスルホコハク酸エステル[メチル(メタ)アリルスルホコハク酸エステルなど]など〕、
(Y1−3b);(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン(炭素数1〜6)硫酸エステル[(メタ)アクリロイルポリオキシエチレン(重合度2〜50)硫酸エステルなど]などとこれらの塩[アルカリ金属塩(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム、カルシウムなど)、アンモニウム塩およびアミン(炭素数1〜20)塩など]、およびこれらの混合物が挙げられる。
水不溶性不飽和モノマー(Y2)としては、
(Y2−1): 炭素数4〜23の(メタ)アクリレート[炭素数1〜20の脂肪族および脂環式アルコールの(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、炭素数4〜20のエポキシ基含有(メタ)アクリレート{例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど}など]、
(Y2−2): ポリプロピレングリコール(重合度2〜50)[モノアルキル(炭素数1〜20)、モノシクロアルキル(炭素数3〜12)もしくはモノフェニルエーテル]不飽和カルボン酸モノエステル〔モノオールまたはジオールのプロピレンオキシド(以下POと略記)付加物、例えばモノオール(炭素数1〜20)PO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[ω−メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−プロポキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−ブトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−シクロヘキシルポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ω−フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど]、ジオール(炭素数1〜20)PO付加物の(メタ)アクリル酸エステル[ω−ヒドロキシエチル(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アクリレートなど]など〕、
(Y2−3):炭素数2〜30の不飽和炭化水素モノマー[炭素数2〜30のオレフィン{例えば、エチレン、プロピレン、炭素数4〜30(好ましくは4〜12、さらに好ましくは4〜10)のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなど)など}、炭素数4〜30(好ましくは4〜18、さらに好ましくは4〜8)のジエン{例えば、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、11−ドデカジエンなど}、炭素数8〜30のアリール基を有するオレフィン{例えば、スチレン、1−メチルスチレンなど}など]、
(Y2−4:)不飽和アルコール[ビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]の炭素数2〜20のカルボン酸エステル(例えば、酢酸ビニルなど)など、
(Y2−5:)ハロゲン含有モノマー(例えば、塩化ビニル)など、およびこれらの混合物が挙げられる。
上記その他のモノマー(Y)の中で好ましいのは、前記(X)と共重合し易い点、(A)との親和性の観点から、(Y1−1)、(Y2−1)、(Y2−2)、(Y2−3)であり、さらに好ましくは(Y2−1)、(Y2−3)、特に好ましくは(Y2−3)、最も好ましくは(Y2−3)の内の炭素数2〜30のオレフィンである。
また、これらのモノマー(Y)は、任意に混合して(X)と共重合することができる。
上記(A2−2−1)中のモノマー(X)の割合(モル%)は、モノマー(X)、(Y)の全モル数に対して、通常10〜100、好ましくは20〜80、さらに好ましくは30〜70である。
(A2−2−1)の製造方法としては、公知のラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などが利用できる。例えば、上記モノマー(X)、必要によりその他のモノマー(Y)を用い、重合触媒、必要により重合溶媒(例えば、有機溶媒、水)および連鎖移動剤などを用いて重合することにより製造することができる。
重合触媒としては、公知のものが使用でき、ラジカル重合触媒としては、例えば、ジターシャルブチルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、デカノイルパーオキサイド、ドデカノイルパーオキサイド、過酸化水素−Fe2+塩およびアゾ化合物が挙げられる。
カチオン重合触媒としては、プロトン酸(例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸など)、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化チタン、四塩化スズなど)などが挙げられ、アニオン重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド、ブチルリチウム、ピリジン、Ziegler触媒およびZiegler−Natta触媒{例えば、(C253Al−TiCl4など}などが挙げられる。
(A2−2−2)としては、ポリオレフィン(a0)を変性してカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を導入したものが挙げられ、カルボキシル基および/またはカルボキシレート基は(a0)に直接結合していても有機基を介して結合していてもよく、1次変性ポリオレフィン(aI)および高次変性(2次変性,3次変性など)ポリオレフィン(aII)が含まれる。
(a0)には炭素数2〜30(好ましくは2〜12、さらに好ましくは2〜10)のオレフィンまたはジエンの1種もしくは2種以上の混合物の(共)重合体によって得られるポリオレフィン(重合法)および高分子量ポリオレフィンの熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィン(熱減成法)が使用できる 。
炭素数2〜30のオレフィンまたはジエンとしては、前記例示したものが使用でき、これらのうち、エチレン、プロピレン、炭素数4〜12のα−オレフィン、ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、さらに好ましくはエチレン、プロピレン、炭素数4〜8のα−オレフィンおよびブタジエン、特に好ましくはエチレン、プロピレンおよびブタジエンである。
高分子量ポリオレフィンとしては、炭素数2〜30(好ましくは2〜12,さらに好ましくは2〜10)のオレフィンの1種または2種以上の混合物の(共)重合体などが使用できる。炭素数2〜30のオレフィンは、上記と同じものが使用でき、これらのうち、エチレン、プロピレンおよび炭素数4〜12のα−オレフィンが好ましく、特に好ましくはプロピレンおよびエチレンである。
熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンは、例えば、特開平3−62804号公報記載の方法などにより容易に得ることができる。重合法によって得られるポリオレフィンは公知の方法で製造でき、例えば、ラジカル重合触媒、金属酸化物触媒、Ziegler触媒およびZiegler−Natta触媒存在下で(共)重合反応させる方法などにより容易に得ることができる。ラジカル重合触媒としては、公知のものが使用でき、例えば、前記の物が挙げられる。金属酸化物触媒としては、シリカ−アルミナ担体に酸化クロムを付着させたものなどが挙げられる。Ziegler触媒およびZiegler−Natta触媒としては、前記の物などが挙げられる。
(a0)の数平均分子量(Mn)は、800〜20,000が好ましく、さらに好ましくは1,000〜10 ,000、とくに好ましくは1,200〜6,000である。Mnがこの範囲であると膠着防止性および油剤の粘度の観点からより好ましい。なお、(a0)、(aI)および(aII)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により、下記の測定装置および測定条件で測定される。
測定装置:Waters製150C−V、カラム:PLgel MIXED−B、
検出器:屈折率
測定条件 溶媒:o−ジクロロベンゼン(以下DCBと略記)
インジェクション量:100μl、
温度:135℃、流速:1ml/分、
校正曲線:ポリスチレン
一次変性ポリオレフィン(aI)としては、以下の方法によって得られる物が挙げられる。
(1)(a0)を直接酸化して得られるもの。
(2)(a0)をヒドロホルミル化し、次いで酸化反応して得られるもの。
(3)(a0)をα,β−不飽和カルボン酸(無水物)[α,β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物。以下同様の表現で記載する。]で変性したもの。
(4)(a0)をヒドロホウ素化し、次いで酸化し、更にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性したもの。
また、高次変性(二次変性,三次変性など)ポリオレフィン(aII)としては、例えば上記(1)〜(4)で得られた一次変性ポリオレフィンを、ラクタムもしくはアミノカルボン酸、および/または、ラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸で更に変性したもの、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(1)の直接酸化は、酸素および/またはオゾンによる酸化、例えば、J.Org.Chem.42巻、3749頁(1977)、米国特許第3,692,877号明細書に記載の方法で行うことができ、カルボキシル基が(a0)に直接結合している変性ポリオレフィンが得られる。
(2)の反応は、オキソ合成(コバルトカルボニル触媒の存在下に一酸化炭素および水素を反応させる)によりヒドロホルミル化し次いで酸化する方法、例えば、Tetrahedron Lett.1979年、399頁記載の方法で行うことができ、カルボキシ
ル基が(a0)に直接結合している変性ポリオレフィンが得られる。
(3)のα,β−不飽和カルボン酸(無水物)による変性は、(a0)の末端二重結合に、溶液法または溶融法の何れかの方法で、α,β−不飽和カルボン酸および/またはその無水物を熱的に付加(エン反応)させることにより行うことができる。(a0)にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)を反応させる温度は通常170〜230℃である。(a0)の末端に付加したα,β−不飽和カルボン酸(無水物)は、1個でも2個以上グラフト重合していてもよい。
(4)の(a0)をヒドロホウ素化および酸化し更にα,β−不飽和カルボン酸(無水物)で変性する反応は、例えば、Macromolecules、32巻2525頁(1999年)記載の方法で行うことができる。(a0)の末端にエーテル酸素原子1個を介して結合したα,β−不飽和カルボン酸(無水物)は1個でも2個以上グラフト重合していてもよい。
上記(3)および(4)の変性に用いられるα,β−不飽和カルボン酸(無水物)としては、前記のモノマー(X)と同様のものが使用でき、これらのうち好ましいものはフマル酸およびとくに(無水)マレイン酸である。
変性に使用する酸(無水物)の量(質量%)は、(a0)の質量に基づき通常0.5〜40、好ましくは1〜30である。 α,β−カルボン酸(無水物)の付加分子数は、末
端二重結合1個あたり、通常1 〜10個、好ましくは1〜8個である。
上記の高次変性に用いるラクタムとしては、炭素数6〜12のラクタム、例えばカプロラクタム、エナントラクタム、ラウロラクタム、ウンデカノラクタム;アミノカルボン酸としては、炭素数2〜12のアミノカルボン酸、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニンなどのアミノ酸、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω−アミノカプリル酸、ω−アミノペラルゴン酸、ω−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸;ラクトンとしては上記ラクタムに相当するラクトン(カプロラクトンなど);ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数2〜12の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、例えばグリコール酸、乳酸、ω−オキシカプロン酸、ω−オキシエナント酸、ω−オキシカプリル酸、ω−オキシペラルゴン酸、ω−オキシカプリン酸、11−オキシウンデカン酸、12−オキシドデカン酸が挙げられる。
これらうち好ましいのは、炭素数6〜8のラクタムおよび炭素数8〜12のアミノカルボン酸、とくにカプロラクタムおよび12−アミノドデカン酸である。高次変性に用いるラクタムもしくはアミノカルボン酸および/またはラクトンもしくはヒドロキシカルボン酸の使用量(モル当量)は、一次変性ポリオレフィンのカルボキシル基のモル数に対して、好ましくは1〜10またはそれ以上、より好ましくは1(等モル)である。
(A2−2−2)の酸価(mgKOH/g)は、通常1〜500、好ましくは50〜400、特に好ましくは100〜350である。繊維との付着性の観点から、酸価がこの範囲であると好ましい。
上記(A2−2)の数平均分子量は、油剤の粘度の観点から、好ましくは800〜30,000、より好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは1,500〜7,000である。
前記カルボキシル基および/またはカルボキシレート基含有ポリマー(A2−2)は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、(A2)としては、(A2−1)と(A2−2)を併用して用いても良い。上記(A2)としては、膠着防止性の観点からステアリン酸のアルカリ土類金属塩が好ましく、ステアリン酸マグネシウム塩がより好ましい。
(A2)の体積平均粒子径(nm)は、特に限定されないが、ノズル給油方式での生産安定性、繊維処理用油剤の経日安定性の観点から、好ましくは1〜2,000、さらに好ましくは5〜300、特に好ましくは10〜100である。
体積平均粒子径は、動的光散乱法{界面活性剤評価・試験法(日本油化学会)、212頁(2002)}、またはX線小角散乱法等で測定するが、本発明おける体積平均粒子径は動的光散乱法で測定した値である。
(A1)の含有量(質量%)は、膠着防止性、平滑性の観点から、(A1)+(A2)の合計質量に基づいて、好ましくは75〜99.99、さらに好ましくは80〜99.95、特に好ましくは85〜99.9である。
これらの範囲であると、平滑性が良好であり、11〜22デシテックス(dtx)などの細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
(A2)の含有量(質量%)は、(A1)+(A2)の合計質量に基づいて、好ましくは0.01〜25、さらに好ましくは0.05〜20、特に好ましくは0.1〜15である。これらの範囲であると、膠着防止性が良好であり、11〜22dtxなどの細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない
一次油剤(A)を構成する炭化水素系潤滑剤(A1)と膠着防止剤(A2)との相溶性を向上させるために、さらに界面活性剤(A3)を添加することができる。
本発明において界面活性剤(A3)は膠着防止剤(A2)を除く界面活性剤であって、溶解度パラメーター(以下、SP値と略す)が、好ましくは7〜10.5、さらに好ましくは7.5〜10、特に好ましくは8〜9.5のものである。これらの範囲であると、炭化水素系潤滑剤(A1)、および膠着防止剤(A2)との相溶性が良くなり、繊維処理用油剤の経日安定性が向上する。
ここでSP値とは、下記に示したように凝集エネルギー密度と分子容の比の平方根で表される。
[SP値]=(△E/V)1/2
式中、△Eは凝集エネルギー密度を、Vは分子容を表す。その値は、ロバート エフ.フェドールス(Robert F.Fedors)らの計算によるもので、例えばポリマー エンジニアリング アンド サイエンス(Polymer engineering and science)第14巻、147〜154頁(1974)に記載されている。
アニオン性界面活性剤(A3)は、膠着防止剤(A2)を除くアニオン界面活性剤ある。
アニオン界面活性剤(A3)としては、カルボン酸(塩)(A31−1)、スルホン酸(塩)(A31−2)、硫酸エステル(塩)(A31−3)、燐酸エステル(塩)(A31−4)が挙げられる。
カルボン酸(塩)(A31−1)としては下記一般式(1)で表されるカルボン酸系アニオン界面活性剤が挙げられる。これらを構成する脂肪酸およびアルコールは天然物由来のものでも合成されたものでも、どちらでもよく、さらにはカルボキシル基または水酸基の結合位置は炭化水素基の末端でも側鎖でもどちらでもよい。
Q−CH2COOM (1)
式中、Qは、R1 またはR2 −O−(AO)pであって、R1 またはR2 は炭素数1〜24のアルキル基、アリル基または炭素数2〜24のアルケニル基を表す。好ましいものは炭素数4〜22のアルキル基であり特に好ましいものは炭素数8〜22のアルキル基である。
また、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表わし、AOは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基を表す。
Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウムまたはアルカノールアミンを表わす。Mのうち好ましいものは水素原子、アルカリ金属原子であり、特に好ましいものは水素原子、Na、Kである。
pは0または1〜10の整数であり、好ましくは1〜6である。pがこれらの範囲であると、炭化水素系潤滑剤(A1)との相溶性が良い。
一般式(1)で表されるカルボン酸系アニオン界面活性剤としては、QがR2 −O−(AO)pの エーテルカルボン酸系アニオン界面活性剤(A31−11)と QがR1 の カルボン酸アニオン界面活性剤(A31−12)が挙げられる。
エーテルカルボン酸系アニオン界面活性剤(A31−11)の具体例としては、オクチルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、デシルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールカルボキシメチル化ナトリウム塩、イソジデシルアルコールとイソトリデシルアルコールのカルボキシメチル化ナトリウム塩およびトリデカノールカルボキシメチル化ナトリウム塩、オクチルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、ラウリルアルコールEO4モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、イソトリデシルアルコールEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、イソジデシルアルコールとイソトリデシルアルコールのEO3モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、トリデカノールEO5モル付加物カルボキシメチル化ナトリウム塩、およびラウリルアルコールカルボキシメチル化物、ラウリルアルコールEO2.5モル付加物カルボキシメチル化物などが挙げられる。
これらの好ましいものの具体例としては、オクチルエーテル酢酸ナトリウム、デシルエーテル酢酸ナトリウム、ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオクチルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)、ポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)、およびポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)などが挙げられる。
カルボン酸アニオン界面活性剤(A31−12)の具体例としては、炭素数が3〜24の脂肪族カルボン酸、例えば、イソプロピオン酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられる。
スルホン酸(塩)(A31−2)としては、炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)(A31−2A)、炭素数8〜24のα−オレフィンのスルホン酸化物(塩)(A31−2B)、炭素数8〜14のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)(A31−2C)、石油スルホネート(塩)(A31−2D)が挙げられる。尚、(A31−2A)、(A31−2B)を構成する疎水基は、天然物由来のものでも合成されたものでもどちらでもよい。これらのうち好ましいものは、油剤の安定性の観点から炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)(A31−2A)である。
硫酸エステル(塩)(A31−3)としては、高級アルコール硫酸エステル(塩)[炭素数8〜18の脂肪族アルコールの硫酸エステル(塩)](A31−3A)、高級アルキルエーテル硫酸エステル(塩)[炭素数8〜18の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物の硫酸エステル(塩)](A31−3B)、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和したもの)(A31−3C)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和したもの)(A31−3D)および硫酸化オレフィン(炭素数12〜18のオレフィンを硫酸化して中和したもの)(A31−3E)が挙げられる。
(A31−3)の好ましいものの具体例としては、ロート油、硫酸化牛脂、硫酸化落花生油、硫酸化オレイン酸ブチル塩、硫酸化リシノレイン酸ブチル塩などが挙げられる。
燐酸エステル(塩)(A31−4)としては、炭素数8〜24の高級アルコールの燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)(A31−4A)、炭素数8〜24の高級アルコールのAO付加物の燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)(A31−4B)が挙げられる。なお、これらを構成する高級アルコールは天然物由来のものでも合成されたものでもどちらでもよい。これらのうち、好ましいものは炭素数8〜18の高級アルコールのAO付加物の燐酸(モノ、ジ)エステル(塩)である。
(A31−4B)に使用されるAOとしては、EO、プロピレンオキサイド(以下POと略記する)およびブチレンオキサイドが挙げられる。これらのうち好ましいものはEOおよびPOである。また、高級アルコール1モルに対するAOの付加モル数としては、通常1〜50モルであり、好ましくは1〜20モルである。
(A31−4)の好ましいものの具体例としては、オクチルアルコールリン酸モノエステルカリウム塩、オクチルアルコールリン酸ジエステルジカリウム塩、ラウリルアルコールリン酸モノエステルモノカリウム塩、ラウリルアルコールリン酸ジエステルジカリウム塩、イソステアリルアルコールのE05モル付加物のリン酸モノエステルカリウム塩、イソステアリルアルコールのE05モル付加物のリン酸ジエステルジカリウム塩などが挙げられる。
(A31)が塩の形をとる場合、通常ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)塩である。これらのうち好ましいものは、ナトリウム塩、カリウム塩、アルカノールアミン塩である。
これら界面活性剤(A3)のうち、好ましいのは膠着防止成分の安定性の観点から、カルボン酸(塩)(A31−1)、炭素数1〜24のアルコールのスルホコハク酸(モノ、ジ)エステル(塩)(A31−2A)であり、さらに好ましいのは前述の一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸系アニオン界面活性剤(A31−11)と の カルボン酸アニオン界面活性剤(A31−12)、特に好ましいのはエーテルカルボン酸系アニオン界面活性剤(A31−11)である。
これら(A3)は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。
(A3)の含有量(質量%)は、(A1)+(A2)の合計質量に基づいて、通常25%以下、好ましくは0.1〜25、さらに好ましくは0.2〜20、特に好ましくは0.5〜15である。これらの範囲であると、ノズル給油方式での生産の際に、(A2)がノズル中で詰ることなく、紡糸が安定的にでき、糸切れなどの問題が改善できより好ましい。
本発明の一次油剤(A)の25℃における粘度は、通常1〜500mm2/sである。
好ましくは2〜100mm2/sであり、さらに好ましくは3〜50mm2/sである。
これらの範囲であると、平滑性が良く、かつ紡糸工程時の繊維処理用油剤の飛散が少なく、作業環境が悪化する恐れがない。
本発明の一次油剤(A)の25℃における濁度は、特に限定されないが、ノズル給油方式での生産安定性、繊維処理用油剤の経日安定性の観点から、20mg/L以下が好ましく、より好ましくは15mg/L以下、特に好ましくは10mg/L以下である。濁度の下限は、測定限界の観点から好ましくは0.01mg/Lである。
濁度は、積分球式光電光度法(JIS K0101−1998、9.4.積分球濁度)で測定することができる。
本発明の二次油剤(B)と好ましいものとして、平滑性の観点から、シリコーンオイル(B1)、フッ素系潤滑油(B2)等が挙げられる。これらは単独でも併用して使用してもよい。
シリコーンオイル(B1)としては、平滑性の観点からポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンの一部が炭素数2〜20のアルキル基および/またはフェニル基で置換されたものが好ましく使用できる。
これらのうち好ましいものは、25℃における粘度が1〜1000mm2/sのポリジ
メチルシロキサンである。さらに好ましくは2〜500mm2/s、特に好ましくは3〜
200mm2/sのポリジメチルシロキサンである。
フッ素系潤滑剤(B2)としては、例えば、Rf基を有する化合物が使用できる。Rf基としては、炭素数2〜20(好ましくは3〜18、さらに好ましくは6〜14)の直鎖状または分岐状のもの[テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロイソオクチル基、パーフルオロセチル基、パーフルオロオクタデシレン基、(CF32CF−基等が挙げられる。
これらは、テロメリゼーション法、電解フッ素化法またはオリゴメリゼーション法により、合成することができる。
Rf基を有する化合物として好ましいものとして、平滑性の観点からポリマー(B2−1)、界面活性剤(B2−2)およびこれら以外のエステルおよび/またはアミド(B2−3)が挙げられる。
また、該化合物中のフッ素含量は、好ましくは3〜60重量%であり、さらに4〜50重量%、とくに5〜40重量%が好ましい。
(B2−1)は、Rf基を有するモノマーを必須構成単位として含有するものであり、当該モノマーを重合させること(ビニル重合、重縮合、重付加、開環重合等)によって得ることができる。
(B2−1)の重量平均分子量[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)により測定。(以下、Mwと略記)]は通常400〜500,000、好ましくは450〜100,000、さらに好ましくは500〜10,000であり、Mwが1,000以下のオリゴマーでも高分子量のポリマーでもよい。
(B2−1)のうちビニル重合によるポリマーは、Rf基を有するビニルモノマーの単独重合、またはその他のビニルモノマーと共重合することにより得られる。ビニル重合は、公知の方法により行うことができる。
Rf基を有するビニルモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等]のフッ素化アルキルエステル[パーフルオロ(シクロ)アルキルエチルエステル等]例えばC817CH2CH2OCOCH=CH2、C817CH2CH2OCOC(CH3)=CH2およびC817CH2CH2OCOCH=CHOCOCH2CH2817;エチレン性不飽和カルボン酸(同上)のN−アルキル(炭素数1〜12)パーフルオロ(シクロ)アルキルスルホンアミドアルキル(炭素数1〜12)ポリオキシアルキレン(炭素数2〜4、重合度1〜100)エステル例えばC817SO2N(C37)(CH22(OC245OCOCH=CH2;並びにフッ素化オレフィン(炭素数2〜10、フッ素数1〜20)例えばヘキサフルオロプロピレンおよびパーフルオロヘキシルエチレン等が挙げられる。
Rf基を有するビニルモノマーの使用比率は、ポリマー全体に対し、通常5〜100モル%、好ましくは8〜80モル%、さらに好ましくは10〜70モル%である。
その他のビニルモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート[アルキル基の炭素数1〜30のもの、例えばメチルメタクリレート(以下、MMAと略記)];ポリオキシアルキレンモノ−もしくはポリ−オールのモノ(メタ)アクリレート[1価または多価のアルコールもしくは1価または多価のフェノールのアルキレンオキシド付加物のモノ(メタ)アクリレートが使用できる。アルキレンオキシド(以下、AOと略記)としては、炭素数2〜4のもの、例えばEO、PO、1,2−、2,3−、1,3−および1,4−ブチレンオキシド(以下、BOと略記)、およびこれらの2種以上の併用(ランダムおよび/またはブロック付加)が挙げられる。付加モル数は1〜100、好ましくは3〜90、さらに好ましくは5〜80である。AO付加物としては、Mwが600〜6,000のポリプロピレングリコール(以下、PPGと略記)のEO(1〜100モル)付加物、炭素数1〜4のアルカノールのEOおよび/またはPO(単独、ランダムまたはブロック)(1〜100モル)付加物等が挙げられる。];炭素数2〜30のビニル系炭化水素[脂肪族ビニル系炭化水素(アルケン例えばエチレン、プロピレン、オクテンおよび前記以外のα−オレフィン;アルカジエン例えばブタジエン、イソプレン等)、脂環式ビニル系炭化水素(シクロヘキセン、シクロペンタジエンおよびジシクロペンタジエン等)、芳香族ビニル系炭化水素(スチレン、α−メチルスチレンおよびジビニルベンゼン等)];炭素数3〜30のカルボキシル基含有ビニル系モノマー[(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、およびこれらのモノアルキルエステル等];炭素数2〜30のスルホン酸基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物、およびこれらの塩[ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ポリオキシアルキレンポリオールのモノ(メタ)アクリレート(上記と同様のもの)の硫酸エステル化物、およびこれらのアルカリ金属塩(ナトリウム塩およびカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩およびマグネシウム塩等)、アミン塩もしくはアンモニウム塩等];炭素数3〜30のヒドロキシル基含有ビニル系モノマー[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アリルアルコール等];炭素数3〜30のアミド基含有ビニル系モノマー[(メタ)アクリルアミド等];炭素数5〜30のエポキシ基含有ビニル系モノマー[グリシジル(メタ)アクリレート等];炭素数4〜30のビニルエステル(酢酸ビニル等);炭素数3〜30のビニルエーテル(ビニルメチルエーテル等);並びに炭素数4〜30のビニルケトン(ビニルメチルケトン等)等が挙げられる。
(B2−1)のうちビニル重合によるポリマーの具体例としては、例えば下記の(1)〜(6)が挙げられる。
(1)C81724OHのアクリレート(50モル%)と、PPG(Mw=1750)EO(30モル)付加物のモノアクリレート(25モル%)と、メタクリル酸メチル(25モル%)との共重合体(フッ素含量=15重量%、Mw=30,000)
(2)C81724OHのアクリレート(40モル%)と、ブタノールPO(20モル)EO(12モル)ランダム付加物のアクリレート(40モル%)と、MMA(20モル%)との共重合体(フッ素含量=14重量%、Mw=18,600)
(3)C817SO2N(C37)C24OHのEO(5モル)付加物のアクリレート(40モル%)と、メタノールEO(15モル)付加物のアクリレート(30モル%)と、MMA(30モル%)との共重合体(フッ素含量=21重量%、Mw=12,000)
(4)C81724OHのアクリレート(50モル%)と、ブタノールEO(20モル)PO(15モル)ランダム付加物のアクリレート(30モル%)と、MMA(20モル%)との共重合体(フッ素含量=18重量%、Mw=150,000)
(5)C81724OHのジフマレート(25モル%)とブタノールEO(20モル)PO(20モル)ランダム付加物のアクリレート(40モル%)と、MMA(35モル%)との共重合体(フッ素含量=14重量%、Mw=26,700)
(6)C81724OHのアクリレート(35モル%)と、ブタノールEO(20モル)PO(15モル)ランダム付加物のモノフマレート(35モル%)と、MMA(30モル%)との共重合体(フッ素含量=13重量%、Mw=21,300)
(B2−1)のうち重縮合によるポリマーとしては、分子内にエステル結合および/またはアミド(もしくはイミド)結合を有するものが挙げられる。
エステル結合を有するポリマーを合成する方法としては、カルボン酸成分[モノ−もしくはポリ−カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(低級アルコールエステル、酸無水物等)]とアルコール成分(1価または多価アルコール、ポリエーテルモノ−もしくはポリ−オール)から直接エステル化またはエステル交換する方法においてカルボン酸成分および/またはアルコール成分の少なくとも一部としてRf基を有するものを用いる方法等が挙げられる。
Rf基を有するアルコール成分としては、Rf基の炭素数が2〜18である1〜6価またはそれ以上のアルコールおよびポリエーテルモノ−もしくはポリ−オールが使用でき、具体的には1価アルコール、例えばパーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)アルカノール(炭素数1〜12)例えばC25CH2OH、C49CH2CH2OH、C817CH2CH2OH;N−アルキル(炭素数1〜12)−パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)スルホンアミドアルカノール(炭素数1〜12)例えばC817SO2N(C37)CH2CH2OH;2価アルコール、例えばパーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)アルキレン(炭素数2〜12)グリコール例えばC817CH(OH)CH2OH、C817CH(OH)CH2OH;多価アルコール(下記に挙げるもの)のモノパーフルオロ(シクロ)アルキルエーテル例えばC817OCH2CH(OH)CH2OH;およびRf基含有エポキシ化合物[下記(B2−1)のうち開環重合によるポリマーで挙げるもの]とカルボン酸[炭素数1〜30の直鎖
状または分岐状の飽和または不飽和脂肪酸等]を反応させて得られる水酸基含有Rf化合物等;ならびにこれらのアルコールのAO(炭素数2〜4)付加物(付加モル数1〜100)等が挙げられる。
その他のアルコール成分としては、下記に挙げるアルコールおよびポリエーテルモノ−もしくはポリ−オールが挙げられる。
アルコールとしては、炭素数1〜30の脂肪族、芳香族および脂環式アルコールが使用できる。
脂肪族アルコールとしては、直鎖および/または分岐の飽和1価アルコール[メタノール、エタノール、n−のプロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびチーグラー触媒を用いて合成されたアルコール(例えば、ALFOL 1214など)等;ネオペンチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール、オキソ法で合成されたアルコール(例えばドバノール23,25,45、トリデカノール、オキソコール1213,1215,1415、ダイヤドール115−L,115H,135等)、炭素数12,14の二級アルコール、イソセチルアルコールおよびイソステアリルアルコール等];直鎖および/または分岐の不飽和1価アルコール(クロチルアルコールおよびオレイルアルコール等;3−オクテン−2−オールおよび4−ドデセン−3−オール等);直鎖および/または分岐の飽和2価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、へキシレングリコール、オクチレングリコールおよびドデシレングリコール等;2,2−ジエチル−1,3ブタンジオール等);直鎖および/または分岐の不飽和2価アルコール(2−オクテン−1,4−ジオールおよび4−ドデセン−2,3−ジオール等;2−プロピル−3−ペンテン−1,2−ジオールおよび7−エチル−4−オクテン−2,3−ジオール等);3〜8価またはそれ以上のアルコール(アルカンポリオール例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール;それらの分子内または分子間脱水物例えばグリセリンの2〜6量体、トリメチロールプロパンの2〜4量体、ペンタエリスリトールの2〜4量体、ソルビタン;並びに糖類またはグルコシド例えば蔗糖、果糖およびメチルグルコシド等)等が挙げられる。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、α−フェニルエチルアルコール、トリフェニルカルビノールおよびシンナミルアルコール等が挙げられる。
脂環式アルコールとしては、シクロブタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキシルアルコール、メントールおよびボルネオール等が挙げられる。
ポリエーテルモノ−もしくはポリ−オールとしては、例えば1〜6個またはそれ以上のヒドロキシル基を有する化合物に、炭素数2〜4のAOの1種以上を1〜100モル付加してなる(共)重合物(ポリエーテルモノ−もしくはポリ−オール)の1種以上が挙げられる。
1個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、炭素数1〜30の天然または合成の脂肪族、芳香族、脂環式アルコールおよびフェノール等が挙げられる。
脂肪族、芳香族および脂環式アルコールとしては、上記で挙げたものが挙げられる。
フェノールとしては、1価または多価(2価もしくはそれ以上)のフェノール性水酸基を有するもの、例えばフェノール、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキルフェノール(クレゾール、オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびジノニルフェノール等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)、単環多価フェノール(ハイドロキノンおよびカテコール等)、および縮合多環フェノール(ナフトール等)等が挙げられる。
炭素数2〜4のAOとしては、EO、PO、1,2−ブチレンオキシドおよびBO等が挙げられる。2種類以上のAOを共重合する場合の付加様式はランダム付加、ブロック付加のいずれでもよい。
ポリエーテルモノ−もしくはポリ−オールの具体例としては、例えば、ブタノールの(EO/PO)ランダム付加物[EO/PO(重量比、以下同様)=50/50%、Mw=1,800]、ラウリルアルコールの(PO/EO)ブロック付加物(EO/PO=40/60%、Mw=1,400)、ヘキシレングリコールの(EO/PO)ランダム付加物(EO/PO=40/60%、Mw=4,000)等が挙げられる。
Rf基を有するモノ−もしくはポリ−カルボン酸としては、Rf基の炭素数が2〜18である1〜2価またはそれ以上のカルボン酸が使用でき、具体的にはパーフルオロ(シクロ)アルキルカルボン酸例えばCF3COOH、C37COOH、C715COOH、C817COOH;パーフルオロ(シクロ)アルキルコハク酸例えばC817CH(COOH)CH2COOH;およびパーフルオロアルキレンジ酢酸例えばHOOCCH2816CH2COOH等が挙げられる。
カルボン酸成分とアルコール成分との比率は、水酸基/カルボキシル基の当量比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2となる比率である。
Rf基を有する成分の含有量は、ポリマー全体の重量に基づいて、は通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
アミド(もしくはイミド)結合を有するものは、Rf基を有するモノカルボン酸および必要により他のモノ−もしくはポリ−カルボン酸(もしくはその無水物)とモノ−もしくは/およびポリ−アミンとの重縮合;モノ−もしくはポリ−カルボン酸(もしくはその無水物)とRf基を有するモノ−もしくはポリ−アミンおよび必要により他のモノ−もしくは/およびポリ−アミンとの重縮合により製造することができる。
Rf基を有するモノカルボン酸としては前記と同じものが使用できる。
Rf基を有するモノ−もしくはポリ−アミンとしては、Rf基の炭素数が2〜18であるモノ−、ジ−またはトリ−アミンが使用でき、具体的には、パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)アルキル(炭素数1〜12)アミン例えばC49CH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2CH2NH2;パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)アルキル(炭素数1〜12)アミノアルキル(炭素数1〜12)アミン例えばC817CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2;パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)アルキル(炭素数1〜12)イミノジ[アルキル(炭素数1〜12)アミン]例えばC817CH2CH2CH2N(CH2CH2CH2NH22;パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)オキシアルキル(炭素数1〜12)アミン例えばC49CH2CH2OCH2CH2CH2NH2、C817CH2CH2OCH2CH2CH2NH2;並びにパーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)オキシアルキル(炭素数1〜12)アミノアルキル(炭素数1〜12)アミン例えばC817CH2CH2OCH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2;パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数2〜18)オキシアルキル(炭素数1〜12)イミノジ[アルキル(炭素数1〜12)アミン]例えばC817CH2CH2OCH2CH2CH2N(CH2CH2CH2NH22等が挙げられる。
モノ−もしくはポリ−アミンとしては、1級および/または2級アミノ基を1個または2〜3個もしくはそれ以上有するもの、例えば脂肪族アミン[炭素数1〜12の脂肪族アルキルアミン(エチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミンおよびラウリルアミン等)、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン等)、ポリアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2〜4、Mw=100〜10,000)ジアミン{ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)(Mw=400)のジアミノプロピルエーテル、PPG(Mw=1,750)EO(30モル)付加物のジアミノプロピルエーテル等}]、炭素数6〜20の脂環式アミン[シクロヘキシルアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンタンジアミンおよび4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等]および炭素数6〜20の芳香族アミン[フェニルアミン、1,2−,1,3−または1,4−フェニレンジアミン、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミンおよびナフチレンジアミン等]等が挙げられる。
カルボン酸とアミンとの比率は、アミノ基/カルボキシル基の当量比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2となる比率である。
Rf基を有する成分の含有量は、ポリマー全体の重量に基づいて、は通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
(B2−1)のうち重縮合によるポリマーの具体例としては、下記の(1)〜(9)が挙げられる。
(1)C817COOH(30モル%)と、アジピン酸(30モル%)と、トリメチロールプロパンPO(10モル)EO(10モル)付加物(40モル%)とのポリエステル(フッ素含量=15重量%、Mw=12,600)
(2)無水トリメリット酸(24モル%)と、アジピン酸(12モル%)と、C817CH2CH2OH(29モル%)と、ヘキシレングリコールPO(10モル)EO(12モル)付加物(35モル%)とのポリエステル(フッ素含量=15重量%、Mw=10,500)(3)C817COOH(28モル%)と、アジピン酸(33モル%)と、トリメチロールプロパンPO(10モル)EO(10モル)付加物(28モル%)と、オクチルアミン(11モル%)とのポリエステルアミド(フッ素含量=18重量%、Mw=9,200)
(4)トリメリット酸トリメチル(43モル%)と、C817CH2CH2OH(31モル%)と、PPG(Mw=1700)EO(16モル)付加物(19モル%)と、Mw=400のPEG(19モル%)とのエステル交換反応で得られるポリエステル(フッ素含量=14重量%、Mw=12,500)
(5)C817CH2CH2OH(43モル%)と、アジピン酸ジメチル(43モル%)と、トリメチロールプロパンPO(68モル)EO(10モル)ブロック付加物(14モル%)とのエステル交換反応で得られるポリエステル(フッ素含量=16重量%、Mw=6,200)
(6)1,2−ジグリシジルエタンとC817CO2Hとをモル比で1:2で反応させて得られる水酸基含有Rf化合物(17モル%)と、PPG(Mw=1700)EO(16モル)付加物(17モル%)と、Mw=400のPEG(17モル%)と、アジピン酸ジメチル(49モル%)とのエステル交換反応で得られるポリエステル(フッ素含量=15重量%、Mw=18,100)
(7)C817CH2CH2CH=CHCH(COOH)CH2COOH(37.5モル%)と、PPG(Mw=1700)EO(16モル)付加物(50モル%)と、C817CH2CH2OH(12.5モル%)とのポリエステル(フッ素含量=11重量%、Mw=11,500)
(8)C817CH(OH)CH2OH(25モル%)と、PPG(Mw=1700)EO(16モル)付加物(15モル%)と、Mw=400のPEG(10モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるポリエステル(フッ素含量=14重量%、Mw=15,400)
(9)ブタノールのPO(15モル)EO(10モル)ブロック付加物のグリシジルエーテルと、アジピン酸とをモル比で2:1で反応させて得られるジエステル(16.7モル%)と、C817CH(OH)CH2OH(33.3モル%)と、アジピン酸ジメチル(50モル%)とのエステル交換反応で得られるポリエステル(フッ素含量=15重量%、Mw=10,800)
(B2−1)のうち重付加によるポリマーには、ウレタン系のものが挙げられる。Rf
基を有するウレタン系ポリマーは、Rf基を有する1価および/または多価アルコールおよび必要により他の1価および/または多価アルコールとモノ−および/またはポリ−イソシアネートとの重付加、または1価および/または多価アルコール(Rf基を有するものおよび/または有しないもの)とRf基を有するモノ−および/またはポリ−イソシアネートおよび必要により他のモノ−および/またはポリ−イソシアネートとの重付加により製造することができる。
Rf基を有する1価または多価アルコールおよびその他の1価または多価アルコールは前記(B2−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたアルコール成分と同じものが使用できる。
モノ−もしくはポリ−イソシアネートとしては、1価または2価もしくはそれ以上の従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用でき、炭素数6〜20(NCOの炭素を除く、以下同様とする)の芳香族イソシアネート[フェニルイソシアネート、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネートおよびm−またはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等]、炭素数4〜20の脂肪族イソシアネート[エチルイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよび2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等]、炭素数4〜20の脂環式イソシアネート[シクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネート等]および炭素数7〜20の芳香脂肪族ポリイソシアネート[ベンジルイソシアネート、m−またはp−キシリレンジイソシアネートおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等]等が挙げられる。
Rf基を有するポリイソシアネートとしては、米国特許第4,994,542号明細書に記載の弗素含有脂肪族ポリイソシアネートおよび弗素含有脂環式ポリイソシアネート、例えば2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
イソシアネートとアルコールとの比率は、水酸基/イソシアネート基の当量比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2となる比率である。
Rf基を有する成分の含有量は、ポリマー全体の重量に基づいて、は通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
(B2−1)のうち重付加によるポリマーの具体例としては、例えば下記の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)C817CH2CH2OH(27モル%)と、4,4’,4”−トリフェニ
ルメタントリイソシアネート(27モル%)と、ブタノールPO(20モル)EO(12モル)付加物(27モル%)と、PEG(Mw=600)(19モル%)とのポリウレタン(フッ素含量=11重量%、Mw=9,000)
(2)C817CH2CH2OH(22モル%)と、MDI(44モル%)と、ヘキシレングリコールPO(10モル)EO(12モル)付加物(34モル%)とのポリウレタン(フッ素含量=12重量%、Mw=5,600)
(3)C817CH2CH2OH(43モル%)と、IPDI(43モル%)と、トリメチロールプロパンPO(68モル)EO(10モル)ブロック付加物(14モル%)とのポリウレタン(フッ素含量=15重量%、Mw=6,600)
(4)C817CH2CH2OH(40モル%)と、IPDI(40モル%)と、PPG(Mw=1700)EO(16モル)付加物とアジピン酸ジメチルとをモル比で7:6で反応させて得られるMw=11,600のポリエステルジオール(20モル%)とのポリウレタン(フッ素含量=5重量%、Mw=24,300)
(B2−1)のうち開環重合によるポリマーは、Rf基を有する1価または多価アルコールにRf基を有するおよび/または有しないエポキシド(好ましくはモノエポキシド)を開環付加重合させる;Rf基を有しない1価または多価アルコールにRf基を有するエポキシド(好ましくはモノエポキシド)および必要によりRf基を有しないエポキシド(好ましくはモノエポキシド)を開環付加重合させることにより製造することができる。
Rf基を有する1価または多価アルコールおよびRf基を有しない1価または多価アルコールは、前記(B2−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたアルコール成分と同じものが使用できる。
Rf基を有するエポキシドとしては、テトラフルオロEO、ヘキサフルオロPO、オクタフルオロBO、パーフルオロオクタデシレンオキシド等の炭素数2〜20のパーフルオロAOおよびこれらの分子中のフッ素原子の一部(1〜10個)が水素原子で置換されたもの;Rf基を有するグリシジルエーテル例えばパーフルオロ(シクロ)アルキルグリシジルエーテルおよびパーフルオロアルキレンジグリシジルエーテル;および1,2−ビス[パーフルオロ(シクロ)アルキルオキシメチル]EO、N−アルキル(炭素数1〜4)−パーフルオロ(シクロ)アルキルスルホンアミドアルキル(炭素数1〜12)EO等が挙げられる。
Rf基を有しないエポキシドとしては、炭素数2〜4のAO(EO、POおよびBO等)およびグリシジルエーテル[1価のアルコール(炭素数1〜30)またはそのAO(1〜100モル)付加物と、エピクロルヒドリンとを反応させて得られる化合物]が挙げられる。
2種以上のエポキシドを付加する場合、その付加様式はランダム付加でもブロック付加でもよい。また、エポキシドの付加モル数は5〜200モルが好ましい。
(B2−1)のうち開環重合によるポリマーの具体例としては、下記の(1)〜(4)が挙げられる。
(1)PPG(Mw=1,200)(1.4モル%)と、EO(52.8モル%)と、PO(41.7モル%)と、C817CH2−EO(4.1モル%)との開環重合物(フッ素含量=16重量%、Mw=6,000)
(2)C817CH2CH2OH(1.5モル%)と、EO(44.8モル%)と、PO(49.2モル%)と、C817CH2−EO(4.5モル%)との開環重合物(フッ素含量=25重量%、Mw=5,100)
(3)EO(8モル)PO(50モル)EO(8モル)ブロック付加物(14.3モル%)と、C817CH2CH2−グリシジルエーテル(85.7モル%)との開環重合物(フッ素含量=29重量%、Mw=6,700)
(4)C817CH2CH2OH(2.4モル%)と、EO(48.8モル%)と、PO(36.6モル%)と、C817CH2CH2−グリシジルエーテル(12.2モル%)との開環重合物(フッ素含量=34重量%、Mw=4,800)
(B2−1)は、モノマー成分の少なくとも一部としてRf基を有するものを用いる点を除いて、通常の重合方法[塊状重合,溶液重合,乳化重合,懸濁重合、一段法,多段法(プレポリマー法)等]により、必要により触媒その他の助剤(例えばビニル重合の場合は重合開始剤,連鎖移動剤等、乳化重合,懸濁重合の場合は界面活性剤等)の存在下に、行なうことができる。
(B2−1)の具体的製造方法および具体例としては特公昭57−11670号公報に記載のものが挙げられる。
Rf基を有する界面活性剤(B2−2)としては、一般式Rf[(G)m−Z]nで示
されるものが使用できる。式中、Gは2価の有機基、nは1[Rfがパーフルオロ(シクロ)アルキル基の場合]または2(Rfがパーフルオロアルキレン基の場合)の整数、mは0,1または2の整数、n個のZの少なくとも1つは親水性基、nが2のときの他のZはHであってもよい。
親水性基Zとしては、アニオン性基、例えばカルボン酸(塩)基:−COOM’,スルホン酸(塩)基:−SO3M’,硫酸(塩)基:−O−SO3M’,リン酸(塩)基:−O−PO(OM’)2,[>O−PO(OM’)]1/2[式中、M’はカチオン性対イオン、例えばH、アルカリもしくはアルカリ土類金属イオン(ナトリウム,カリウム,カルシウムなど)、アンモニウム、1〜3級アミン(モノ−,ジ−およびトリ−の炭素数1〜4のアルキルおよび炭素数2〜4のアルカノールアミンなど)カチオン、4級アンモニウム(テトラ−炭素数1〜4のアルキルアンモニウムなど)カチオンを表す];カチオン性基、例えば1〜3級アミン(塩)基および4級アンモニウム基[それぞれ、前記の一般式(4)および(5)中のカチオン性基(非イオン基R11,R12,R13またはR14を除いた残基
)]、1〜3級のアミノ基、アミノアルキルアミノ基およびアミノアルキルアミノアルキルアミノ基:−(NR−A)m−NR2[式中、RはHおよび/またはアルキル基(炭素
数1〜4)および/またはヒドロキシアルキル基(炭素数2〜4)、Aはアルキレン基(炭素数2〜4)、mは0、1または2の整数を表す];親水性(ポリ)オキシアルキレン基:−(O−A)p−H(式中、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、pは1〜50またはそれ以上)、たとえばポリオキシエチレン基およびオキシエチレン基を主体とする共重合(ランダムおよび/またはブロック)ポリオキシアルキレン基(共重合オキシエチレン・オキシプロピレン基など)、およびアミンオキシド基、たとえば−NR2→O[式中Rは炭素数1〜4のアルキルおよび/または炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を表す];およびこれらの組合わせ、例えば両性イオン性基、たとえばベタイン型両性基、アミノ酸型両性基およびスルホン酸型両性基[それぞれ、前記の一般式(1)、(2)および(3)中の両性基(非イオン基R1,R2,R3,R7,R9またはR10を除いた残基)]、ポリオキシアルキレン基と結合した前記アニオン性基:−(O−A)p−アニオン性基
が挙げられる。
2価の有機基Gとしては、Rf基で置換されていてもよい、アルキレン基(炭素数2〜6)、アリーレン基、スルホンアミドアルキレン(炭素数2〜6)基、N−アルキル(炭素数1〜6)−スルホンアミドアルキレン(炭素数2〜6)基、カルボンアミドアルキレン(炭素数2〜6)基、N−アルキル(炭素数1〜6)−カルボンアミドアルキレン(炭素数2〜6)基、−CF=CH−CH2−基等が挙げられる。
このような(B2−2)には、特公昭48−23161号公報に記載のものが含まれる。
(B2−2)の具体例としては、下記のアニオン界面活性剤およびノニオン界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数4〜30)スルホン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等)[例えばパーフルオロオクチルスルホン酸アンモニウム塩等]、パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数4〜30)カルボン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等)[例えばパーフルオロオクタン酸カリウム塩等]等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5、重合度1〜50)パーフルオロ(シクロ)アルキル(炭素数4〜30)エーテル[例えばパーフルオロオクチルアルコールEO10モル付加物等]が挙げられる。
(B2−3)は、上記(B2−1)、(B2−2)以外の、Rf基を有するエステルおよび/またはアミドである。
(B2−3)のうち、Rf基を有するエステルは、モノカルボン酸成分[モノカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(低級アルコールエステル等)]と1価アルコール成分(1価アルコール、ポリエーテルモノオール)から直接エステル化またはエステル交換する方法において、モノカルボン酸成分および/または1価アルコール成分にRf基を有するものを用いる方法等により製造される。
Rf基を有するモノカルボン酸としては、前記(B2−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたものと同じものが挙げられる。
Rf基を有する1価アルコール成分およびその他の1価アルコール成分としては、前記(B2−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたものと同じものが挙げられる。
モノカルボン酸成分と1価アルコール成分との比率は、水酸基/カルボキシル基の当量比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2となる比率である。
Rf基を有する成分の含有量は、ポリマー全体の重量に基づいて、は通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
(B2−3)のうち、Rf基を有するアミドは、モノカルボン酸とモノアミンを縮合する方法において、モノカルボン酸および/またはモノアミンにRf基を有するものを用いる方法等により製造される。
Rf基を有するモノカルボン酸としては、前記(B2−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたものと同じものが挙げられる。
Rf基を有するモノアミンおよびその他のモノアミンとしては、前記(B1−1)のうち重縮合によるポリマーで挙げたものと同じものが挙げられる。
モノカルボン酸とモノアミンとの比率は、アミノ基/カルボキシル基の当量比が、通常0.6〜1.6、好ましくは0.7〜1.5、さらに好ましくは0.8〜1.2となる比率である。
Rf基を有する成分の含有量は、ポリマー全体の重量に基づいて、は通常5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜65重量%である。
これら(B2)のうちで好ましいのは、(B2−1)のうち重縮合およびビニル重合によるポリマー、および(B2−3)のうちのエステルである。
これら二次油剤(B)の25℃での表面張力が13〜23mN/mであり、好ましくは15〜22.5mN/m、特に好ましくは16〜22mN/mである。25℃での表面張力が13mN/m未満の場合、油剤の飛散が多くなる問題があり、23mN/mを超える場合は十分な平滑性を発揮できない問題がある。
これら二次油剤(B)はシリコーンオイル(B1)単独でもフッソ系潤滑油(B2)単独でも使用できるし、(B1)と(B2)を併用して使用することもできる。
(B1)と(B2)を併用して使用する場合、その配合比率は特に限定されないが、(B1)の含有量(質量%)は膠着防止性、平滑性の観点から、(B1)+(B2)の合計質量に基づいて、好ましくは80〜99.99、さらに好ましくは90〜99.5である。
これらの範囲であると、平滑性が良好であり、11〜22デシテックス(dtx)などの細糸を紡糸する際でも糸切れなどの問題が生じる恐れがない。
本発明の一次油剤(A)、二次油剤(B)は、(A1)、(A2)、(A3)、(B1)、(B2)以外に、必要により他の成分(C)を含有していてもよい。(C)としては、例えば、(A2)以外の膠着防止成分(C1)、制電成分(C2)、柔軟成分(C3)、およびこれら以外の添加剤(C4)が挙げられる。また、後述する溶解助剤(D)を含有してもよい。
(C1)は本発明の繊維処理用油剤の性能を損なわない程度に追加配合してよく、追加させることで膠着防止効果を増大させることができる。
(C1)としては、例えば、常温で固体のシリコーン(C11)、ポリエーテル変性シリコーン(C12)、これら以外の膠着防止剤(C13)、およびこれら2種以上の併用が挙げられる。ここで常温で固体とは、25℃において固体であるという意味である。
常温(25℃)で固体のシリコーン(C11)としては、分子内に3官能性シロキサン単位、あるいは4官能性シロキサン単位を含有するポリオルガノシロキサン(シリコーンレジン)などが挙げられ、例えば、分岐度の高い三次元構造の固体ポリマー[例えば、2
官能性シロキサン単位(D単位)と3官能性シロキサン単位(T単位)を主構成成分として含むDTレジン、1官能性シロキサン単位(M単位)と4官能性シロキサン単位(Q単位)を主構成成分として含むMQレジン、T単位のみからなるポリオルガノシルセスキオンサンなど]が挙げられる。
好ましいものは、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる、Mwと略記する)が1,000〜100,000のメチルシリコーンレジン、およびMwが1,000〜100,000のアミノ変性オルガノポリシロキサンからなるレジンであり、さらに好ましくは、Mwが1,500〜30,000のメチルシリコーンレジンである。
(C1)の配合量(質量%)は、繊維処理用油剤の質量に基づいて、好ましくは4以下、さらに好ましくは2以下である。また、(B)100質量部に対して、200質量部以下が好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。
制電成分(C2)としては、例えば、両性界面活性剤(C21)および非イオン界面活性剤(C22)が挙げられる。
(C21)としては、ベタイン型両性界面活性剤、アミノ酸型両性界面活性剤およびスルホン酸塩型両性界面活性剤などが使用できる。
これらの制電成分を使用する場合には、(C2)の含有量(質量%)は、繊維処理用油剤の質量に基づいて、好ましくは0〜12、さらに好ましくは0.1〜10である。
柔軟成分(C3)としては、例えば、エポキシ変性シリコーン(C31)、アミノ変性シリコーン(C32)、およびカルボキシル変性シリコーン(C33)が挙げられる。
(C31)〜(c33)中で、炭素数2〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよく、エチル基、n−およびi−のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基およびオクタデシル基ならびに2−エチルデシル基などが挙げられる。
炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−およびi−のプロポキシ基およびブトキシ基などが挙げられる。
炭素数1〜4のアルキレン基としては、炭素数5のアルキレン基としては、1,2−、1,3−、1,4−、2,3−および2,4−ペンチレン基が挙げられる。
これらの柔軟成分を使用する場合には、(C3)の含有量(質量%)は、繊維処理用油剤の質量に基づいて、好ましくは0〜12、さらに好ましくは0.1〜10である。
上記以外の添加剤(C4)としては、通常繊維処理用油剤に使用される成分を使用でき、酸化防止剤(ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなど)、紫外線吸収剤などが挙げられる。これら添加剤を使用する場合、(D4)配合量(質量%)は、繊維処理用油剤の質量に基づいて、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜2である。
本発明の一次用油剤(A)は、溶解助剤(D)に膠着防止剤(A2)を溶解させた状態
で炭化水素系潤滑油(A1)、界面活性剤(C)等と混合して製造することもできる。 溶解助剤(D)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価アルコール;ヘキサン、ペンタンなどの脂肪族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの高極性溶媒;クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素などが挙げられ、これらは2種以上用いてもよい。
なお、炭化水素系潤滑油(A1)を用いる場合は、(D)を(A1)の少なくとも一部とすることができる。(D)は、そのまま本発明の油剤中に含有させてもよいし、ストリッピングなどにより除去してもよい。
本発明の一次油剤(A)の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)一次油剤の構成成分を一緒に温調、撹拌が可能な反応槽に入れ、加熱(50〜100℃)し、透明(濁度が20mg/L以下)になるまで撹拌する。その後、撹拌しながら必要により(A1)を入れ、室温(20〜40℃)まで冷却する方法。
(2)(A1)、(A3)を一緒に温調、撹拌が可能な反応槽に入れ、加熱(40〜100℃)、撹拌しながら別途溶融(100〜250℃)または溶解助剤(D)に溶解させた(A2)を反応槽内に滴下し、撹拌しながら室温(20〜40℃)まで冷却する方法。
これらのうちで、得られる本発明の繊維用油剤の経日安定性および膠着防止性の観点から、(1)の方法がより好ましい。
また(A2)を前記の金属塩として用いる場合、予め金属塩を形成しているものを用いても良いし、上記方法の製造時または製造後に他の金属塩(例えば、前記金属酸化物、塩化物など)と反応させ金属塩を形成させても良い。
上記方法で得られた一次油剤(A)をそのまま本発明の繊維処理用油剤とすることもできるが、必要により(C)や(D)などを(A1)投入時に併せて添加し、本発明の一次油剤(A)としてもよい。
本発明の二次油剤(B)の製造方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
(1)二次油剤の構成成分を一緒に温調、撹拌が可能な反応槽に入れ、10〜100℃の温度で均一になるまで撹拌する方法。
上記方法で得られた二次油剤(B)をそのまま本発明の繊維処理用油剤とすることもできるが、必要により(C)や(D)などを(B1)及び/又(B2)の投入時に併せて添加し、本発明の二次油剤(B)としてもよい。
本発明の一次油剤(A)、二次油剤(B)の粘度は、均一付着、ローラ巻き付き防止のために、25℃で1〜500mm2/sが好ましい。
粘度は以下の方法で測定する。
[粘度の測定方法]
試料繊維処理用油剤を20gウベローデ粘度計に入れ、恒温水槽で25±0.5℃に試料油剤を温調する。30分後、ウベローデ法により粘度を測定する。
一次用油剤(A)、二次用油剤(B)の付与形態は、通常非含水の状態で使用することができるが、必要に応じて水乳化物として使用してもよい。
非含水の状態とは、そのまま(ストレート給油)、または希釈剤(有機溶媒、低粘度鉱物油など)で希釈して使用することができる。希釈比率は特に限定されないが、油剤の質量[非揮発分の合計質量]は、希釈後の希釈油剤の全重量に基づいて、通常1〜80質量%、好ましくは5〜70質量%である。
有機溶媒としては、例えば、前述した溶解助剤(D)と同じものが挙げられる。低粘度鉱物油としては、例えば、25℃における粘度が1mm2 /s未満の流動パラフィンや精製スピンドル油が挙げられる。
水乳化物の場合は、公知の方法で乳化することができるが、例えば、本油剤を必要に応じ乳化剤と混合し、水中に乳化することによって得ることができる。
乳化剤としては、(A2)、(A3)などの種類によっては特に加える必要はなく、例えば前述したアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などが使用できる。
前記各成分に該当する以外の乳化剤を使用する場合の乳化剤の量(質量%)は、乳化剤配合後の一次用油剤(A)、二次用油剤(B)(非揮発分)の全質量に基づいて、好ましくは0〜50である。
乳化に用いる乳化機としては、攪拌機を備えた乳化槽やボールミル、ガウリンホモジナイザー、ホモディスパーおよびビーズミルなどを用いることができる。
エマルションの濃度は特に限定されないが、繊維処理用油剤の質量(質量%)は、乳化後のエマルションの全質量に基づいて、好ましくは0.01〜30、さらに好ましくは0.2〜20である。
本発明の弾性繊維の処理方法は、紡糸工程で、最初に上記一次用油剤(A)を付着させ、続いて巻取りまでの間で上記二次用油剤(B)を、弾性繊維に対して(A)と(B)の合計付着量が0.1〜12質量%になるように付与し、必要により精練することからなるものである。(A)と(B)の合計付着量は、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量%である。0.5〜10重量%の範囲では、膠着防止性に優れる。
本発明の一次油剤(A)、二次油剤(B)は弾性繊維の紡糸工程(例えば200〜1,200m/分)において、紡出後、糸が巻き取られるまでの任意の位置で、ノズルまたはローラー給油で糸に付与させることができる。給油する一次用油剤(A)、二次用油剤(B)の温度は通常10〜80℃、好ましくは15〜60℃である。
本本発明の一次油剤(A)、二次油剤(B)で処理されてなる弾性繊維は、後加工工程(例えばエアースパンヤーン工程、カバーリング工程、エアーカバーリング工程、編み工程、整経工程、精錬工程、染色工程および仕上げ工程など)を経て最終製品に仕上げられる。
なお、弾性繊維は他の合成繊維、例えばナイロン繊維やポリエステル繊維と混紡して使用される。従って、本発明の繊維処理用油剤は、付与された後、他の合成繊維の紡糸油剤と一緒に洗浄され、除去されることが多い。精練工程では、水系精練または溶剤精練が行われる。
最終製品としては、衣料用[例えばパンティーストッキング、靴下、インナーファンデーション(ブラジャー、ガードル、ボディースーツなど)、アウターウェア(ジャケット、スラックスなど)、スポーツウェア(水着、レオタード、スキーズボンなど)]および産業資材用(例えば紙おむつ、ベルトなど)などに広く適用できる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、文中および表中の部は質量部(有効成分)を表す。
実施例1〜7および比較例1〜3
表1記載の配合処方で各成分を配合して、本発明および比較例の繊維用油剤を調製した。
[実施例1]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム2部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)3部、および流動パラフィン95部を70〜80℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例1の一次油剤(A)を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン100部を実施例1の二次油剤(B)として調整した。
[実施例2]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム2部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)3部、および流動パラフィン95部を70〜80℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例2の一次油剤(A)を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン99部とC817CH2CH2OCOCH2CH(C36CH3
)C24CH31部を40〜50℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例2
の二次油剤(B)を調整した。
[実施例3]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム5部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)1部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)10部、ジデシルジメチルアンモニウム・ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)塩3部、および流動パラフィン84部を70〜80℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例3の一次油剤(A)を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン60部と流動パラフィン40部を30〜40℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例3の二次油剤(B)を調整した。
[実施例4]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム4部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)3部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)8部、ジデシルジメチルアンモニウム・ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)塩4部、および流動パラフィン64部を80〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン17部を加え、30℃に冷却、実施例4の一次油剤を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン99部とC817CH2CH2OCOCH2CH(C36CH3
)C24CH31部を40〜50℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例4
の二次油剤(B)を調整した。
[実施例5]
(1)一次油剤
ジベヘン酸カルシウム4部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)3部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)8部、ジデシルジメチルアンモニウム・ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)塩4部、および流動パラフィン64部を80〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン17部を加え、30℃に冷却、実施例5の一次油剤を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン99部とC817CH2CH2OCOCH2CH(C36CH3
)C24CH31部を40〜50℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例5の二次油剤(B)を調整した。
[実施例6]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム4部、n-カプリン酸1部、および流動パラフィン64部を80〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン31部を加え、30℃に冷却、実施例6の一次油剤を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン99部とC817CH2CH2OCOCH2CH(C36CH3
)C24CH31部を40〜50℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例6の二次油剤(B)を調整した。
[実施例7]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム4部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)6部、n-カプリン酸1部、および流動パラフィン64部を80〜90℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン26部を加え、30℃に冷却、実施例7の一次油剤を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン99部とC817CH2CH2OCOCH2CH(C36CH3
)C24CH31部を40〜50℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、実施例7の二次油剤(B)を調整した。
[比較例1]
(1)一次油剤
ポリジメチルシロキサン100部を比較例1の一次油剤として調整した。
(2)一次油剤
流動パラフィン100部を比較例1の一次油剤として調整した。
[比較例2]
(1)一次油剤
ジステアリン酸マグネシウム0.005部、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル酢酸ナトリウム(EO3モル付加物)0.005部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)0.005部、ジデシルジメチルアンモニウム・ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸(EO2.5モル付加物)塩0.005部、および流動パラフィン99.98部を70〜80℃で1時間混合した。その後、30℃に冷却、比較例2の一次油剤を調整した。
(2)二次油剤
ポリジメチルシロキサン100部を実施例1の二次油剤(B)として調整した。
[比較例3]
ジステアリン酸Mg2部および流動パラフィン38部を115〜120℃で1時間混合した。その後、ポリジメチルシロキサン60部を加え、30℃に冷却、比較例3の油剤を調整した。
ポリウレタン繊維の乾式紡糸法において、実施例1〜7および比較例1,2の一次油剤、二次油剤をノズル給油で二段階に分けて繊維処理用油剤がフィラメント重量に対し6質量%になるよう付与させ、600m/分でチーズに巻き取り、40D(44.4dtx)のポリウレタン繊維を得た。
比較例3の一次油剤はポリウレタン乾式紡糸法において、ノズル給油で繊維処理用油剤付着量がフィラメント質量に対し6質量%になるよう1段で付与させ、600m/分でチーズに巻き取り、40D(44.4dtx)のポリウレタン繊維を得た。
さらに、上記で得られたポリウレタン繊維の膠着性試験、繊維処理用油剤の経日安定性試験を行なった。性能評価結果を併せて表1に示す。なお、表中の油剤の表面張力は前述の方法により測定した。また、後述の方法でウベローデ粘度計にて測定した25℃における繊維処理用油剤の粘度、日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000にて測定した25℃における繊維処理用油剤の濁度を表1に示す。
Figure 2007138372
実施例および比較例で得られた繊維処理用油剤の粘度の測定方法、濁度の測定方法、経日安定性試験、および得られた繊維処理用油剤を付与した糸の膠着性試験法は以下の通りである。
<粘度の測定方法>
試料繊維処理用油剤を20gウベローデ粘度計に入れ、恒温水槽で25℃に試料繊維処理用油剤を温調する。30分後、ウベローデ法により粘度を測定した。
<濁度の測定方法>
25℃に温調した繊維処理用油剤を長さ10mmのセルに入れて、日本電色工業株式会社製のWater Analyzer−2000を使って、積分球式光電光度法で測定した。
<繊維処理用油剤の経日安定性試験>
調整した繊維処理用油剤100gを、145mlガラス製ボトルに入れ、−5℃、25℃、50℃の恒温槽中に30日間静置した後、繊維処理用油剤の外観を肉眼で観察し、調整直後の繊維処理用油剤の外観と比較し、次の基準で判定した。
−判定基準−
○:変化無し。
△:層分離や沈降物の発生はないが、繊維処理用油剤調整直後よりカスミ度合いが強い。
×:層分離や沈降物が発生。
<膠着性試験>
紡糸工程で巻き取ったチーズを50℃で2週間エージングを行った繊維を用い、可変倍率(引き出し速度と巻き取り速度との比率の変更が可能)の引き出し巻き取り装置にかけ、50m/分の速度で糸を送り出した時、糸が膠着により巻き込まれずに巻き取ることのできる最低の速度を求め、次の基準で判定した。
−判定基準−
○:速度が 50〜65
×:速度が 66以上
表1から明らかなように、本発明の2段給油方法を用い、規定した範囲の表面張力を有する繊維処理用油剤(実施例1〜4)は、膠着防止性に非常に優れることがわかった。それに対し、比較例1〜3の中には膠着性を満たすものはない。また繊維処理用油剤の経日安定性にも優れていることがわかる。
本発明の弾性繊維用油剤の付与方法は繊維同士の膠着防止性が優れている特長があり、後加工工程での断糸などのトラブル発生を減らすといった特徴を有しており、また油剤が経日安定性にも優れるため、弾性繊維生産時のノズル給油方式での紡糸工程でノズル詰りがなく安定的に操業できる、ローラー給油方式およびノズル給油方式のいずれの紡糸方法においても断糸などのトラブル発生を減らすことができるといった優れた特徴を有し、特に小デシテックス弾性繊維の高速紡糸工程に好適である。

Claims (12)

  1. 弾性繊維を製造する際に、炭化水素系潤滑油(A1)及び膠着防止剤(A2)からなり、25℃での表面張力が23〜40mN/mの一次油剤(A)を付与した後、25℃での表面張力が13〜23mN/mの二次油剤(B)を付与することを特徴とする弾性繊維用油剤の付与方法。
  2. 該一次油剤(A)が、さらにアニオン性界面活性剤(A3)を含有する請求項1記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  3. 前記二次油剤(B)が、シリコーンオイル(B1)および/またはフッ素系潤滑油(B2)からなる請求項1または2記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  4. 前記(A2)が、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基および/またはカルボキシレート基を有する化合物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  5. 該一次油剤(A)の25℃における濁度が20mg/L以下である請求項1〜4のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  6. 該(A1)が、25℃における粘度が1〜1000mm2/sの、鉱物油およびその精製油、水添油または分解油である請求項1〜5のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  7. 該(A2)が炭素数10〜22の脂肪族カルボン酸のアルカリ土類金属塩である請求項1〜6のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  8. 該(A3)が下記一般式(1)で表されるカルボン酸系アニオン界面活性剤である請求項2〜7のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
    Q−CH2COOM (1)
    [式中、Qは、R1 またはR2 −O−(AO)pであって、R1 またはR2 は炭素数1〜24のアルキル基、アリル基または炭素数2〜24のアルケニル基を表す。Aは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウムまたはアルカノールアミンを表し;pは0または1〜10の整数を表す]
  9. 該(A3)が、一般式(1)中のQがR2 −O−(AO)pで表されるエーテルカルボン酸系アニオン界面活性剤である請求項7記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  10. 前記(B1)が、ポリジメチルシロキサン、またはその一部が炭素数2〜20のアルキル基および/またはフェニル基で置換されたポリジメチルシロキサンである請求項3〜9のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  11. 前記(B2)が、Rf基を有するポリマー(B2−1)、Rf基を有する界面活性剤(B2−2)およびこれら以外のRf基を有するエステルおよび/またはアミド(B2−3)からなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項3〜10のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか記載の弾性繊維用油剤の付与方法により処理されてなる弾性繊維。
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