JP2001248076A - 炭素繊維製造工程用油剤 - Google Patents

炭素繊維製造工程用油剤

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JP2001248076A
JP2001248076A JP2000391461A JP2000391461A JP2001248076A JP 2001248076 A JP2001248076 A JP 2001248076A JP 2000391461 A JP2000391461 A JP 2000391461A JP 2000391461 A JP2000391461 A JP 2000391461A JP 2001248076 A JP2001248076 A JP 2001248076A
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acid
weight
residue
oil agent
alcohol
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Application number
JP2000391461A
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English (en)
Inventor
Satoru Murakami
悟 村上
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Publication date
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  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Inorganic Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭素繊維製造工程において、耐熱性、分繊
性、繊維の接着防止性に優れ、高性能の炭素繊維を得る
ことができる炭素繊維製造工程用油剤を提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で示される化合物を含
有することを特徴とする炭素繊維製造工程用油剤。 X1-(-O-R-)a-(-O-Q-O-R-)c-O-(-Q-O-)b-X2 (1) {式中、a及びbは0又は1、cは1〜1,000の整
数を表す。X1及びX2は水素原子又はモノカルボン酸
残基又はモノオール残基、Qはジオール残基、Rはジカ
ルボン酸残基を表す。但し、aが0の時はX1は水素原
子又はモノカルボン酸残基であり、aが1の時はX1は
水素原子又はモノオール残基であり、bが0の時はX2
は水素原子又はモノオール残基であり、bが1の時はX
2は水素原子又はモノカルボン酸残基である。}

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維製造工程
用の油剤に関する。更に詳しくは、高強度・高弾性の炭
素繊維を製造することができる炭素繊維製造工程用油剤
に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維は、一般に酸化性雰囲気下で2
00〜300℃に加熱された後、不活性雰囲気下で70
0℃以上に加熱される工程を経て製造されるため、高い
耐熱性を有する油剤が必要となる。従来、炭素繊維製造
工程用油剤として、ポリエステルの末端アミド化物とポ
リアミド化合物のアルキレンオキサイド付加物とを含有
する油剤等が知られている(特開平8−260254号
公報等)。又、優れた耐熱性や単繊維の接着防止性を示
すアミノ変性基を有したオルガノポリシロキサン化合物
が知られている(特開平5−140821号公報等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のポリエステルの
末端アミド化物等からなる油剤は、耐熱性が十分ではな
く、また、分繊性、繊維間の接着防止性に劣るという問
題点があった。又、オルガノポリシロキサンからなる油
剤では、焼成後に残るケイ素化合物(灰分)の処理コス
トや灰分による炉内壁等の破損、及び残存する灰分によ
る炭素繊維の性能低下といった問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の炭素繊維製造工
程用油剤の特徴は、下記一般式(1)で示される化合物
を含有する点にある。 X1-(-O-R-)a-(-O-Q-O-R-)c-O-(-Q-O-)b-X2 (1) {式中、a及びbは0又は1、cは1〜1,000の整
数を表す。X1及びX2は水素原子又はモノカルボン酸
残基又はモノオール残基、Qはジオール残基、Rはジカ
ルボン酸残基を表す。但し、aが0の時はX1は水素原
子又はモノカルボン酸残基であり、aが1の時はX1は
水素原子又はモノオール残基であり、bが0の時はX2
は水素原子又はモノオール残基であり、bが1の時はX
2は水素原子又はモノカルボン酸残基である。} 本発明は、さらには、上記の油剤を、炭素繊維の前駆体
繊維に処理後の繊維の重量に基づいて純分で0.01〜
5重量%付与する炭素繊維の前駆体繊維の処理方法、並
びに上記の油剤を用いて製造される炭素繊維である。
【0005】
【発明の実施の形態】まず、一般式(1)について説明
する。a及びbは、0又は1を表し、a及びbが1を越
えると耐熱性が悪化する。cは、1〜1000の整数、
好ましくは1〜800の整数、特に好ましくは1〜50
0の整数、最も好ましくは1〜100の整数である。c
がこの範囲を外れると粘度が高くなりすぎ、油剤として
の取り扱い性が悪くなる。
【0006】X1及びX2は、水素原子又はモノカルボ
ン酸残基又はモノオール残基を表す。X1及びX2とし
て、好ましくはモノカルボン酸残基及びモノオール残基
であり、さらに好ましくはモノカルボン酸残基である。
モノカルボン酸残基とは、モノカルボン酸のカルボキシ
ル基からOHを除いた残基(アシル基)を意味する。モ
ノカルボン酸〔以下、(A)と略する〕は、ハロゲン
(フッ素、塩素、臭素など)やニトロ基、アルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基など)などで置換されていて
もよい、脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸であ
り、その炭素数は、通常1〜32、好ましくは4〜2
4、特に好ましくは8〜18である。炭素数がこの範囲
であると、耐熱性及び平滑性のバランスがさらに良くな
り、油剤としての性能に優れる傾向にある。
【0007】(A)の例としては、炭素数1〜32の飽
和または不飽和、直鎖または分岐脂肪族モノカルボン
酸、炭素数4〜32の脂環式モノカルボン酸、炭素数7
〜32の芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。上記脂
肪族モノカルボン酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸、ペンタン酸、カプロン酸、カプリル
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチ
ン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モン
タン酸等の飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸;アクリル
酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸等の不飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸;α−メチル酪
酸、α,β−ジメチル吉草酸、2−メチルブタン酸、2
−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸等の飽和分岐脂
肪族モノカルボン酸;2−メチル−3−ブテン酸、4−
エチル−6−オクタデセン酸等の不飽和分岐脂肪族モノ
カルボン酸;2−ブロモプロパン酸、γ−クロロ−α−
メチル酪酸等の脂肪族置換モノカルボン酸;が挙げられ
る。
【0008】脂環式モノカルボン酸としては、シクロヘ
キサンカルボン酸等が挙げられる。芳香族モノカルボン
酸としては、フェニル酢酸、安息香酸、γ−フェニル酪
酸、o−トルイル酸、3−フェニルプロパン酸等の芳香
族モノカルボン酸;p−ニトロ安息香酸、p−メトキシ
安息香酸、p−ブロモ安息香酸、3−(p−クロロフェ
ニル)ブタン酸等の芳香族置換モノカルボン酸;が挙げ
られる。
【0009】これらの中で好ましいのは、飽和直鎖脂肪
族モノカルボン酸、不飽和直鎖脂肪族モノカルボン酸及
び飽和分岐脂肪族モノカルボン酸であり、さらに好まし
くは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸及びイソステアリン酸であり、特
に好ましくはステアリン酸、オレイン酸及びイソステア
リン酸である。また一般式(1)中に、2種類以上のモ
ノカルボン酸残基が含まれていてもよい。
【0010】モノオール残基とは、モノオールからOH
基を除いた残基を意味する。モノオール〔以下、(B)
と略する〕は、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素など)や
ニトロ基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基な
ど)などで置換されていてもよい脂肪族、脂環式又は芳
香族モノオールであり、その炭素数は、通常1〜32、
好ましくは4〜24、特に好ましくは8〜18である。
炭素数がこの範囲であると、耐熱性及び平滑性のバラン
スがさらに良くなり、油剤としての性能に優れる傾向に
ある。
【0011】(B)の例としては、炭素数1〜32の飽
和または不飽和、直鎖または分岐脂肪族モノオール、炭
素数3〜32の脂環式モノオール、炭素数6〜32の芳
香族モノオール等が挙げられる。上記脂肪族モノオール
としては、メタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、n−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノ
ール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−デカ
ノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルア
ルコール、モンタンアルコール等の飽和直鎖脂肪族モノ
オール;アリルアルコール、クロチルアルコール、オレ
イルアルコール、リノールアルコール、リノレンアルコ
ール等の不飽和直鎖脂肪族モノオール;イソプロピルア
ルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアル
コール、tert−ブチルアルコール、2−メチル−1
−ブタノール、tert−ペンチルアルコール、2−エ
チルヘキサノール、イソステアリルアルコール、トリエ
チルカルビノール、sec−ブチルカルビノール等の飽
和分岐脂肪族モノオール;メチルビニルカルビノール、
3−メチル−6−ヘキセン−2−オール、4−プロピル
−8−オクタデセン−1−オール等の不飽和分岐脂肪族
モノオール;2−ブロモプロパノール、2−クロロエタ
ノール等の脂肪族置換モノオール;が挙げられる。
【0012】脂環式モノオールとしては、シクロペンタ
ノール、シクロヘキサノール、シクロオクタデカノー
ル、2−メチルシクロヘキサノール等が挙げられる。芳
香族モノオールとしては、フェノール、ベンジルアルコ
ール、α−フェニルエチルアルコール、β−フェニルエ
チルアルコール、ジフェニルカルビノール、トリフェニ
ルカルビノール、シンナミルアルコール等の芳香族モノ
オール;p−ニトロベンジルアルコール、p−メトキシ
−2−フェニルエタノール、p−ブロモベンジルアルコ
ール、3−(p−クロロフェニル)ブタノール等の芳香
族置換モノオール;が挙げられる。
【0013】これらの中で好ましいのは、飽和直鎖脂肪
族モノオール、不飽和直鎖脂肪族モノオール及び飽和分
岐脂肪族モノオールであり、さらに好ましくは、ラウリ
ルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアル
コール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及
びイソステアリルアルコールであり、特に好ましくはス
テアリルアルコール、オレイルアルコール及びイソステ
アリルアルコールである。また一般式(1)中に、2種
類以上のモノオール残基が含まれていてもよい。
【0014】Qは、ジオール残基を表し、ジオール残基
とは、ジオールから2個のOH基を除いた基を意味す
る。ジオール〔以下、(C)と略する〕は、ハロゲン
(フッ素、塩素、臭素など)やニトロ基、アルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基など)などで置換されていて
もよく、そのゲルパーミエションクロマトグラフィーに
よる数平均分子量(以下、単に分子量という)は、通常
60〜10,000、好ましくは300〜8,000、
特に好ましくは600〜5,000、最も好ましくは8
00〜3,000である。分子量がこの範囲であると平
滑性がさらに優れる傾向にある。
【0015】(C)の例としては、炭素数2〜48(と
くに2〜32)の飽和または不飽和、直鎖または分岐脂
肪族2価アルコール、炭素数5〜48(とくに5〜3
2)の脂環式2価アルコール、炭素数6〜48(とくに
6〜32)の芳香族2価アルコール、および、これらの
2価アルコールにアルキレンオキサイド(以下AOと略
する)が付加された構造の(ポリ)オキシアルキレンジ
オールなどが挙げられる。
【0016】上記脂肪族2価アルコールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロ
パンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキ
サンジオール、1,18−オクタデカンジオール等の飽
和直鎖2価アルコール;4−ペンテン−1,5−ジオー
ル、10−オクタデセン−1,18−ジオール等の不飽
和直鎖2価アルコール;2−メチル−1,4−ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,5
−ペンタンジオール、6−ブチル−1,10−デカンジ
オール等の飽和分岐2価アルコール;2−エチル−4−
ペンテン−1,5−ジオール、4,4−ジメチル−6−
オクタデセン−1,18−ジオール等の不飽和分岐2価
アルコール;2−クロロ−1,3−プロパンジオール、
4−ブロモ−1,10−デカンジオール、2−メトキシ
−1,18−オクタデカンジオール等の脂肪族置換2価
アルコール;が挙げられる。
【0017】脂環式2価アルコールとしては、cis−
1,2−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキ
サンジオール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げら
れる。芳香族2価アルコールとしては、4−フェニル−
2,3−ブタンジオール、ビスフェノールA、ビスフェ
ノールF、4−ヒドロキシフェノール等の芳香族2価ア
ルコール;4−(p−ニトロフェニル)−2,3−ブタ
ンジオール等の芳香族置換2価アルコール;が挙げられ
る。
【0018】上記の(ポリ)オキシアルキレンジオール
を得るのに用いるAOの炭素数は、通常2〜10、好ま
しくは2〜8、特に好ましくは2〜4である。具体例と
しては、エチレンオキサイド(以下EOと略する)、プ
ロピレンオキサイド(以下POと略する)、1,2−ブ
チレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、1,
4−ブチレンオキサイド(テトラヒドロフラン、以下T
HFと略する)、2,3−ブチレンオキサイド、スチレ
ンオキサイド、1−デセンオキサイド等が挙げられる。
【0019】(ポリ)オキシアルキレンジオールの具体
例としては、分子量100〜8,000のポリアルキレ
ングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)、炭
素数2〜10のAOの共重合体〔EOとPOの反応モル
比がEO:PO=10:90〜90:10で、分子量1
00〜8,000のランダムもしくはブロック共重合
体、THFとTHF以外のAO(例えばEO)の反応モ
ル比がTHF:AO=10:90〜90:10で、分子
量100〜8,000のランダムもしくはブロック共重
合体等〕、ネオペンチルグリコールのEO2〜100モ
ル付加物、ビスフェノールAのEOおよびPOランダム
付加物(例えば反応モル比EO:PO=10:90〜9
0:10)等が挙げられる。
【0020】これらの中で好ましいのは、炭素数2〜3
2の2価アルコールおよび(ポリ)オキシアルキレンジ
オールであり、さらに好ましくは、炭素数4〜10のA
O(とくにTHF)とそれ以外の炭素数2〜10のAO
との共重合体であり、特に好ましくはTHFとEO及び
/又はPOとの共重合体であり、最も好ましくはTHF
とEOとの共重合体である。共重合の形式は、ランダ
ム、ブロックいずれでもかまわないがランダムであるこ
とが好ましい。上記共重合体のモル比(炭素数4〜10
のAO:それ以外の炭素数2〜10のAO)は通常9
0:10〜10:90、好ましくは85:15〜15:
85、特に好ましくは75:25〜25:75である。
この範囲であると取り扱いやすい粘度(通常、50cp
〜10000cp/25℃)となり、また、平滑性が更
に優れる傾向にある。また、一般式(1)中に、2種類
以上の異なる種類のジオール残基が含まれていてもよ
い。
【0021】(C)として(ポリ)オキシアルキレンジ
オールを使用する場合、(C)は公知の方法で得ること
ができる。例えば、エチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール等の2価アルコール
と1種以上のAOとを、アルカリ触媒(例えば水酸化カ
リウム、水酸化ナトリウム等)、フリーデルクラフト触
媒(例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、五塩化アンチ
モン及びこれらのエーテルとのコンプレックス等)、ま
たは過ハロゲン酸塩(例えば過塩素酸マグネシウム、過
塩素酸アルミニウム等)の存在下に、不活性ガス中で付
加反応させることによって得ることができる。触媒量
は、付加後に得られる(ポリ)オキシアルキレンジオー
ルの重量に基づいて、好ましくは0.001〜5重量%
である。反応温度は、通常−20〜250℃、反応時間
は通常1〜10時間である。
【0022】Rは、ジカルボン酸残基を表す。ジカルボ
ン酸残基とは、ジカルボン酸の2個のカルボキシル基か
らそれぞれOHを除いた基を意味する。ジカルボン酸
〔以下、(D)と略する〕は、ハロゲン(フッ素、塩
素、臭素など)やニトロ基、アルコキシ基(メトキシ
基、エトキシ基など)などで置換されていてもよい脂肪
族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸であり、その炭素数
は、通常2〜40、好ましくは4〜24、特に好ましく
は4〜18である。炭素数がこの範囲であると、耐熱性
及び平滑性のバランスがさらに良くなり、油剤としての
性能に優れる傾向にある。
【0023】(D)の例としては、炭素数2〜40の飽
和または不飽和、直鎖または分岐脂肪族ジカルボン酸、
炭素数5〜40の脂環式ジカルボン酸、炭素数8〜40
の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。上記脂肪族ジカ
ルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ド
デカンジカルボン酸、トリデカンジカルボン酸、ペンタ
デカンジカルボン酸等の飽和直鎖脂肪族ジカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸等の不飽和直鎖脂肪族ジカルボン
酸;3,3−ジメチルペンタン二酸等の飽和分岐脂肪族
ジカルボン酸;3,3−ジエチル−4−ヘプテン二酸等
の不飽和分岐脂肪族ジカルボン酸;2−ブロモペンタン
二酸、2,4−ジクロロペンタン二酸等の脂肪族置換ジ
カルボン酸;が挙げられる。
【0024】脂環式ジカルボン酸としては、1,4−シ
クロヘキサン二酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸
としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の
芳香族ジカルボン酸;4−クロロフタル酸等の芳香族置
換ジカルボン酸が挙げられる。これらの中で好ましいの
は、飽和直鎖脂肪族ジカルボン酸及び不飽和直鎖脂肪族
ジカルボン酸であり、さらに好ましくはアジピン酸、マ
レイン酸、フマル酸、セバシン酸であり、特に好ましく
はアジピン酸及びセバシン酸である。また、一般式
(1)中に、2種類以上のジカルボン酸残基が含まれて
いてもよい。
【0025】一般式(1)で示される化合物は、単独で
用いても2種以上の混合物で用いてもよい。一般式
(1)で示される化合物の分子量は、通常100〜10
0万、好ましくは200〜50万、さらに好ましくは5
00〜10万、特に好ましくは1,000〜20,00
0、最も好ましくは2,000〜10,000である。
また、一般式(1)で示される化合物の酸価は、通常6
0以下、好ましくは30以下、特に好ましくは10以下
であり、水酸基価は、通常200以下、好ましくは18
0以下、特に好ましくは150以下である。この範囲だ
と平滑性、耐熱性及び繊維への均一付着性が良好とな
り、さらに高強度の炭素繊維が得られる傾向にある。
【0026】一般式(1)で示される化合物は、公知の
合成方法で得ることができる。例えば、(C)と(D)
もしくは(D)のエステル形成性誘導体(D’){低級
アルコール(炭素数1〜4)エステル(例えばメチルエ
ステル、エチルエステル等)、酸無水物、酸ハライドな
ど}をエステル化反応又はエステル交換反応を行い、さ
らに必要により、(B)及び/又は(A)もしくはその
エステル形成性誘導体(A’){低級アルコールエステ
ル、酸ハライドなど}でエステル化して製造する方法;
(C)、(D)もしくは(D’)、並びに(B)及び/
又は(A)もしくは(A’)を同時に反応させて、エス
テル化反応又はエステル交換反応を行い製造する方法等
が挙げられる。(D’)として酸無水物を用いる場合
は、これとAO(例えば炭素数2〜10)と(C)を反
応させ、さらに必要により、(B)及び/又は(A)も
しくは(A’)でエステル化して製造することができ
る。(C)、(D)もしくは(D’)、(A)もしくは
(A’)、及び(B)は、2種類以上を用いてもよい。
【0027】いずれの場合も、反応は常圧、加圧下又は
減圧下で行うことができ、触媒の存在下に行ってよい。
触媒としては、酸触媒(例えばパラトルエンスルホン
酸、メタンスルホン酸、硫酸等)、金属触媒(ジブチル
スズオキサイド、酢酸亜鉛等)又はアルカリ触媒〔例え
ば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、1,8−ジアザ
ビシクロ[5,4,0]ウンデセン(DBU)、ヘキサ
エチレンテトラミン等〕等が使用できる。触媒の使用量
は、全仕込量に基づいて好ましくは0.01〜3重量%
である。反応温度は通常70〜250℃、反応時間は通
常1〜30時間である。
【0028】上記反応におけるモル比〔ここでは、
(A)には(A’)を、(D)には(D’)を含む比と
する〕は、通常(C):(D)=1:0.2〜1:5で
ある。(C)、(D)もしくは(D’)、及び(A)も
しくは(A’)の3成分を用いる場合、通常(D):
(A)=1:0.2〜1:5であり、好ましくは
(C):(D)=1:0.3〜1:0.8、(D):
(A)=1:0.4〜1:4である。(C)、(D)も
しくは(D’)、及び(B)の3成分を用いる場合、通
常(C):(B)=1:0.2〜1:5であり、好まし
くは(C):(D)=0.3:1〜0.8:1、
(C):(B)=1:0.4〜1:4である。(C)、
(D)もしくは(D’)、(A)もしくは(A’)、及
び(B)の4成分を用いる場合、通常(C):(B)=
1:0.6〜1:1.6、(D):(A)=1:0.6
〜1:1.6であり、好ましくは(C):(D)=0.
8:1〜1.3:1、(C):(B)=1:0.8〜
1:1.3、(D):(A)=1:0.8〜1:1.3
である。
【0029】また、反応後に吸着剤(例えば活性白土、
シリカゲルなど)を用いて触媒等を吸着処理し精製を行
ってもよい。この場合の吸着剤処理は、通常70〜13
0℃で0.5〜2時間処理する。処理剤の量は、反応後
の反応物の重量に基づいて通常0.1〜2重量%であ
る。
【0030】本発明の油剤は、その他の成分を含有して
いてもよい。その他の成分として以下に例示する、平滑
剤{(ア)〜(コ)}、乳化剤{(キ)〜(タ)}、制
電剤{(コ)〜(タ)}、酸化防止剤{(チ)、
(ツ)}、紫外線吸収剤{(テ)、(ト)}、PH調整
剤{(コ)、(ス)、(セ)、(ナ)、(ニ)}等が挙
げられる。これらの成分は2種以上を併用して使用して
もよい。
【0031】(ア)25℃における動粘度が5〜10
0,000cStであるオルガノポリシロキサン又はこ
れらが他の置換基(アミノ基、ハロゲン基、カルボキシ
ル基、フェニル基、カルビノール基、エポキシ基、ポリ
エーテル基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール
基等;これらの置換基は2つ以上の異なる基を含有して
いてもよい)で変性された変性オルガノポリシロキサン
{例えば25℃における動粘度が5〜100,000c
Stであるアミノ変性オルガノポリシロキサン、フェニ
ル変性オルガノシロキサン、メチルポリオキシエチレン
プロピル(分子量800〜3000)変性オルガノポリ
シロキサン}。
【0032】(イ)鉱物油(例えば、25℃における動
粘度が10〜500cStである精製スピンドル油及び
流動パラフィン等)。 (ウ)動植物油(例えば、牛脂、マッコウ鯨油、ヤシ油
及びヒマシ油等)。 (エ)炭素数8〜32のカルボン酸と炭素数4〜32の
アルコールからなる合成脂肪酸エステル(例えば、イソ
ステアリルラウレート、オレイルオレエート、ジオレイ
ルアジペート等)。 (オ)天然および合成ワックス〔例えば、カルナバワッ
クス、みつろう、融点30℃〜100℃のパラフィンワ
ックス及びポリオレフィンワックス(オレフィンの炭素
数2〜18、分子量1,000〜10,000のワック
ス、例えばポリエチレンワックス)等〕。 (カ)パーフルオロアルキルおよびその誘導体(例えば
パーフルオロオクタスルホン酸ナトリウム塩、パーフル
オロオクタノールのEO15モル付加物等)。
【0033】(キ)炭素数4〜32の高級アルコールの
EO1〜10モル付加物と炭素数8〜32のカルボン酸
とからなるアルキルエーテルエステル(例えば、ラウリ
ルアルコールのEO3モル付加物ラウレート、イソステ
アリルアルコールのEO5モル付加物アジペート等)。 (ク)炭素数1〜32の高級アルコールの炭素数2〜4
のアルキレンオキサイド付加物(例えば、付加モル数1
〜100)〔例えば、ブタノールのEO/POランダム
付加物(分子量500〜10,000)、オクチルアル
コールのEO及び/又はPO付加物(分子量300〜1
0,000)、ステアリルアルコールのEO及び/又は
PO付加物(分子量500〜10,000)等〕。 (ケ)炭素数2〜6の3〜8価またはそれ以上のアルコ
ールと炭素数8〜32の脂肪酸とからなるエステルの炭
素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(例えば、付
加モル数1〜200)(硬化ヒマシ油のEO25モル付
加物、ソルビタントリオレエートのEO20モル付加物
等)。 (コ)炭素数6〜32のアルキルアミン及びこれらの炭
素数2〜4のアルキレンオキサイド付加物(付加モル数
1〜40)(例えば、トリエチルアミン、ラウリルアミ
ンのEO1モル付加物、ステアリルアミンのEO7モル
付加物等)。
【0034】(サ)炭素数8〜32のアルコール及びこ
れらの炭素数2〜4アルキレンオキサイド付加物(例え
ば付加モル数1〜20)のホスフェート(例えば、ラウ
リルアルコールのリン酸エステルカリウム塩、ステアリ
ルアルコールのEO2モル付加物のリン酸エステルナト
リウム塩等)。 (シ)炭素数9〜90の(チオ)ホスファイト(例え
ば、トリフェニルホスファイト、トリラウリルトリチオ
ホスファイト等)。 (ス)炭素数8〜32の脂肪酸石鹸(対イオンは、例え
ばナトリウム、カリウム、アンモニア等)(例えば、オ
レイン酸石鹸、ヒマシ油石鹸等)。 (セ)炭素数8〜32のイミダゾリン系添加剤(例え
ば、ラウリルイミダゾリン、オレイルイミダゾリン
等)。 (ソ)炭素数8〜32の硫酸エステル類及びその塩(例
えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、
オレイルアルコール硫酸エステルアンモニウム等)。 (タ)炭素数8〜32のスルホン酸及びその塩(例え
ば、ドデシルベンゼンスルホン酸及びそのナトリウム
塩、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナ
トリウム塩等)。
【0035】(チ)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
〔例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート]等〕 (ツ)アミン系酸化防止剤〔2,4−ビス−(n−オク
チルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−
ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン等〕。
【0036】(テ)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
〔2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール等〕。 (ト)ヒンダードアミン系紫外線吸収剤〔ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケー
ト等〕。
【0037】(ナ)低級脂肪酸(炭素数2〜8)及びそ
の誘導体(酢酸、酢酸ナトリウム、乳酸等)。 (ニ)アンモニア;アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム等)。 これらのうち、好ましいものは(ア)、(エ)、(キ)
〜(コ)である。
【0038】油剤中の、一般式(1)で示される化合物
の含有量は特に限定されないが、油剤の全重量(揮発成
分を除く純分)に基づいて、通常40重量%以上、好ま
しくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以
上である。その他の成分の含有量は、油剤の全重量に基
づいて、通常、平滑剤は0〜60重量%、乳化剤は0〜
50重量%、制電剤は0〜10重量%、酸化防止剤は0
〜5重量%、紫外線吸収剤は0〜5重量%、PH調整剤
は油剤エマルションのpHが5〜9の範囲となる量(例
えば0〜5重量%)用いるのが好ましい。その他の成分
の合計の含有量は、油剤の全重量に基づいて、通常60
重量%以下、好ましくは0.001〜50重量%、さら
に好ましくは0.1〜40重量%である。
【0039】本発明における、一般式(1)で示される
化合物とその他の成分を混合する方法は特に限定され
ず、従来公知の方法を用いて油剤の使用形態にあわせて
適当な方法をとることができる。例えば、撹拌羽根を備
えた配合槽やニーダー等を用いて一般式(1)で示され
る化合物とその他の成分を直接配合し加温、混合する方
法;一般式(1)で示される化合物とその他の成分を別
々に希釈、乳化等を行ったのち配合する方法等が挙げら
れる。
【0040】油剤の付与形態は、非含水又は水乳化物等
のいずれの状態でも使用することができる。非含水処理
剤の場合は、そのまま又は希釈剤〔有機溶媒、低粘度
(10cst未満)鉱物油等〕で希釈して使用すること
ができる。希釈比率は特に限定されないが、油剤の含量
は、希釈後の希釈液の全重量に基づいて、通常1〜80
重量%、好ましくは5〜70重量%である。一般式
(1)で示される化合物の含量は、希釈後の希釈液の全
重量に基づいて、通常0.4〜48重量%、好ましくは
2〜42重量%である。
【0041】有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ペ
ンタン等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジプロ
ピルエーテル等のエーテル;メタノール、エタノール、
イソプロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素;DMF、DMSO
等の極性溶媒;クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン
化炭化水素が挙げられ、低粘度鉱物油としては、例え
ば、25℃における動粘度が0.5〜5cStである流
動パラフィンや精製スピンドル油が挙げられる。
【0042】水乳化物の場合は、公知の方法で乳化する
ことができるが、例えば、本油剤を必要に応じ乳化剤
{その他の成分の具体例として例示した(キ)〜(コ)
等が挙げられる}と混合し、水中に乳化することによっ
て得ることができる。乳化剤の量は、油剤の全重量に基
づいて、通常0〜50重量%である。乳化機としては、
攪拌翼を備えた乳化槽やボールミル、ガウリンホモジナ
イザー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いることが
できる。エマルションの濃度は特に限定されないが、油
剤の含量は、乳化後のエマルションの全重量に基づいて
通常0.01〜30重量%、好ましくは0.2〜20重
量%である。一般式(1)で示される化合物の含量は、
乳化後のエマルションの全重量に基づいて、通常0.0
04〜18重量%、好ましくは0.08〜12重量%で
ある。
【0043】本発明の油剤は、炭素繊維の製造工程のう
ち、炭素繊維の前駆体繊維(例えば、アクリル繊維、レ
ーヨン繊維、ピッチ繊維が挙げられ、以下、プレカーサ
ーと略する)製造工程又は耐炎化工程前の段階で付与す
ることができる。給油方法については、特に限定はな
く、ノズル給油、ローラー給油、スプレー給油、油剤の
入った槽に糸をディッピングしローラーで所定の付着量
となるように絞る、ディップ法等が適用可能である。処
理剤の付着量は、処理後の繊維の重量に基づいて、純分
(水、有機溶媒及び低粘度鉱物油以外の成分)で通常、
0.01〜5重量%、好ましくは0.3〜2.0重量%
である。
【0044】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0045】実施例1 <ジオール成分の合成>撹拌羽根、温度計を備えた1リ
ットルオートクレーブに、1,4−ブタンジオール45
重量部、THF369重量部を仕込み、触媒として三フ
ッ化ホウ素THF錯体5重量部を加え窒素置換後密閉す
る。冷却しながら40℃で2時間かけてEO82.5重
量部を滴下し(THFとEOのモル比=75:25)、
40℃で2時間重合させTHFとEOのランダム共重合
体であるジオール成分(C1)496重量部を得た。
(C1)の分子量は1,000であった。 <本発明の油剤1の合成>撹拌羽根、温度計、窒素導入
管を備えた1リットルの四つ口コルベンに、ジオール成
分(C1)300重量部、ジカルボン酸としてアジピン
酸(D1)30.7重量部、モノカルボン酸としてオレ
イン酸(A1)168.0重量部を仕込み(モル比C
1:D1:A1は、1:0.7:2)、触媒としてパラ
トルエンスルホン酸1.5重量部を加え窒素気流下、1
50℃で12時間反応させ、本発明の油剤1を得た。油
剤1の分子量は3,500であった。
【0046】実施例2 <ジオール成分の合成>実施例1と同様にして、1,4
−ブタンジオール22.5重量部、THF288重量部
を仕込み、三フッ化ホウ素THF錯体5重量部を加え、
40℃で3時間かけてEO187重量部を滴下し(TH
FとEOのモル比=50:50)、40℃で3時間重合
させTHFとEOのランダム共重合体であるジオール成
分(C2)497重量部を得た。(C2)の分子量は
2,000であった。 <本発明の油剤2の合成>実施例1と同様にして、ジオ
ール成分(C2)400重量部、アジピン酸(D1)1
4.6重量部、オレイン酸(A1)112.0重量部を
仕込み(モル比C2:D1:A1は、1:0.5:
2)、触媒としてパラトルエンスルホン酸1.6重量部
を加え窒素気流下、150℃で10時間反応させ、本発
明の油剤2を得た。油剤2の分子量は5,000であっ
た。
【0047】実施例3 <ジオール成分の合成>実施例1と同様にして、1,4
−ブタンジオール15重量部、THF159重量部を仕
込み、三フッ化ホウ素THF錯体4.9重量部を加え、
40℃で4時間かけてEO313.5重量部を滴下し
(THFとEOのモル比=25:75)、40℃で2時
間重合させTHFとEOのランダム共重合体であるジオ
ール成分(C3)487重量部を得た。(C3)の分子
量は3,000であった。 <本発明の油剤3の合成>実施例1と同様にして、ジオ
ール成分(C3)400重量部、セバシン酸(D2)1
3.5重量部、オレイン酸(A1)37.4重量部を仕
込み(モル比C3:D2:A1は、1:0.5:1)、
触媒としてパラトルエンスルホン酸1.4重量部を加え
窒素気流下、150℃で14時間反応させ、本発明の油
剤3を得た。油剤3の分子量は7,000であった。
【0048】実施例4 <本発明の油剤4の合成>ジオール成分(C2)を30
0重量部、アジピン酸(D1)を15.3重量部、モノ
カルボン酸としてステアリン酸(A2)を29.4重量
部(モル比C2:D1:A2は、1:0.7:0.
7)、触媒としてパラトルエンスルホン酸1.0重量部
とした以外は実施例2と同様にして、本発明の油剤4を
得た。油剤4の分子量は6,500であった。
【0049】実施例5 <本発明の油剤5の合成>ジオール成分(C4)として
ポリエチレングリコール(分子量2000、商品名PE
G−2000、三洋化成工業株式会社製)400重量
部、アジピン酸(D1)14.6重量部、オレイン酸
(A1)16.8重量部(モル比C4:D1:A1は、
1:0.5:0.3)、触媒としてパラトルエンスルホ
ン酸1.3重量部とした以外は実施例2と同様にして、
本発明の油剤5を得た。油剤5の分子量は4,000で
あった。
【0050】実施例6 <本発明の油剤6の合成>ジオール成分(C5)として
ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量300
0、商品名PTMG−3000、三洋化成工業株式会社
製)400重量部、セバシン酸(D2)18.9重量
部、イソステアリン酸(A3)74.7重量部(モル比
C5:D2:A3は、1:0.7:2)、触媒としてパ
ラトルエンスルホン酸1.5重量部とした以外は実施例
3と同様にして、本発明の油剤6を得た。油剤6の分子
量は10,000であった。
【0051】比較例1 流動パラフィン(レッドウッド60秒、株式会社松村石
油研究所製、商品名:モレスコホワイトP−60)をそ
のまま比較油剤7とした。
【0052】比較例2 2−エチルヘキシルパルミテートをそのまま比較油剤8
とした。
【0053】比較例3 ポリオキシエチレン(付加モル数20モル)アルキルエ
ーテル(三洋化成工業株式会社製、商品名:エマルミン
200)をそのまま比較油剤9とした。
【0054】比較例4 アミノ変性シリコーン(動粘度250cSt/25℃、
信越化学工業株式会社製、商品名:KF−860)をそ
のまま比較油剤10とした。
【0055】実施例7および比較例5 (1)プレカーサーの製造 アクリロニトリル99%とイタコン酸1%を共重合した
ポリアクリロニトリル重合体の20%ジメチルスルホオ
キシド(DMSO)溶液を、50%DMSO水溶液中に
押し出し湿式紡糸にてアクリルトウを得た。これを水洗
後、90℃の熱水中で延伸し乾燥してプレカーサー(3
0,000デニール/12,000フィラメント)を得
た。 (2)耐炎化 本発明の油剤1〜6及び比較油剤7〜10を、それぞれ
上記で得たプレカーサーに付着量0.5重量%となるよ
うにディップ法にて付与し、130℃で60秒間加熱し
た。これを、単糸デニールあたり0.01gの張力がか
かるように鉄製金属枠に保持したのち金属枠ごと250
℃の循風乾燥機に60分間放置し、耐炎化繊維を得た。 (3)炭素化 上記で得た耐炎化繊維を、単糸デニール当たり0.01
gの張力をかけながら、窒素雰囲気下、300〜1,4
00℃(50℃/分の温度勾配)、1400℃で10分
間、炭素化炉で焼成して炭素繊維を得た。
【0056】本発明の油剤1〜6及び比較油剤7〜10
について、分繊性、耐接着性、平滑性、制電性、加熱後
灰分及び炭素繊維強度をそれぞれ以下の方法で測定し
た。これらの結果を表1に示す。
【0057】<分繊性の評価>実施例7および比較例5
において、油剤処理後、130℃で60秒間加熱して得
たプレカーサートウを長さ約2cmに切断し黒紙上で単
繊維の分繊性を観察した。 評価基準 ◎:単繊維の接着がなく、単繊維がバラバラとなる(分
繊性極めて良好) ○:ほとんど単繊維の接着ないが、所々に単繊維のバラ
バラにならない部分がある(分繊性良好) △:かなりの部分に単繊維の接着があり、単繊維のバラ
バラにならない部分が多い(分繊性不良) ×:ほとんど単繊維が接着しており、ほとんど単繊維が
バラバラにならない(分繊性極めて不良)
【0058】<耐接着性の評価>実施例7および比較例
5において得られた耐炎化繊維を、長さ約2cmに切断
し、白紙上で繊維の接着性を観察した。 評価基準 ◎:単繊維の接着が見られない ○:僅かに単繊維が接着している △:所々に単繊維の接着が見られる ×:単繊維の接着極めて多い
【0059】<平滑性の評価>油剤をアクリルフィラメ
ント(300デニール/300フィラメント)に付着量
0.5重量%となるようにディップ法で付与し、初張力
10g、糸速度50m/minでクロムメッキした梨地
ピンと接触させ、アクリルフィラメントと梨地ピンとの
摩擦係数を張力計(エイコー測器製)を用いて求めた。
値は小さいほど平滑性良好である。
【0060】<制電性の評価>上記平滑性の評価時に梨
地ピン上で発生する静電気を、集電式電位差測定装置
(KS−525、春日電機株式会社製)にて測定した。 評価基準 ◎:静電気の発生ほとんどなし(発生電気量:−50〜
+50V) ○:やや静電気発生(発生電気量:−250〜−50
V、+50〜+250V) △:静電気発生やや多い(発生電気量:−500〜−2
50V、+250〜+500V) ×:静電気発生非常に多い(発生電気量:−500V未
満、+500Vを越える)
【0061】<加熱後灰分>JIS−K−0067に記
載の灰分試験、第1法に基づいて各油剤の灰分を測定し
た。
【0062】<炭素繊維強度の評価>実施例7および比
較例5において得られた炭素繊維を用い、JIS−R−
7601に記載の方法に準じてストランド強度を測定し
た。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明の油剤は、優れた耐熱性、潤滑
性、制電性を有すると共に、優れた工程通過性(プレカ
ーサー製造工程や耐炎化工程で毛羽、糸切れの発生が少
ない)を有する。従って、本発明の油剤を使用すること
によって、高強度・高弾性の高性能炭素繊維を極めて安
定的に製造することができる。さらに、本油剤は、焼成
後の灰分の発生が少なく、炭素繊維製造炉を傷める心配
が極めて少ないという特徴を有している。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で示されるカルボン酸エス
    テルを含有することを特徴とする炭素繊維製造工程用油
    剤。 X1-(-O-R-)a-(-O-Q-O-R-)c-O-(-Q-O-)b-X2 (1) {式中、a及びbは0又は1、cは1〜1,000の整
    数を表す。X1及びX2は水素原子又はモノカルボン酸
    残基又はモノオール残基、Qはジオール残基、Rはジカ
    ルボン酸残基を表す。但し、aが0の時はX1は水素原
    子又はモノカルボン酸残基であり、aが1の時はX1は
    水素原子又はモノオール残基であり、bが0の時はX2
    は水素原子又はモノオール残基であり、bが1の時はX
    2は水素原子又はモノカルボン酸残基である。}
  2. 【請求項2】 ジオールが炭素数2〜32の2価アルコ
    ール又は(ポリ)オキシアルキレンジオールである請求
    項1記載の油剤。
  3. 【請求項3】 ジオールが、テトラヒドロフランとテト
    ラヒドロフラン以外の炭素数2〜10のアルキレンオキ
    サイドとからなる共重合体である請求項2記載の油剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか記載の油剤を、
    炭素繊維の前駆体繊維に処理後の繊維の重量に基づいて
    純分で0.01〜5重量%付与する炭素繊維の前駆体繊
    維の処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか記載の油剤を用
    いて製造される炭素繊維。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004250814A (ja) * 2003-02-19 2004-09-09 Toho Tenax Co Ltd ポリアクリロニトリル系酸化繊維紡績糸
WO2006070706A1 (ja) * 2004-12-27 2006-07-06 Toray Industries, Inc. 炭素繊維前駆体繊維用油剤、炭素繊維および炭素繊維の製造方法
KR101841797B1 (ko) 2010-12-13 2018-03-23 도레이 카부시키가이샤 탄소 섬유 프리프레그 및 그의 제조 방법, 탄소 섬유 강화 복합 재료
CN112726207A (zh) * 2020-12-29 2021-04-30 镇江市高等专科学校 一种碳纤维原丝制造用油剂、碳纤维制造方法及碳纤维

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