JP2018165239A - 黒鉛及びその製造方法、並びに混合物 - Google Patents
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じる黒鉛。
[2]インクボトル型の細孔を有する、[1]に記載の黒鉛。
[4]前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方を0.01〜30重量%含む、請求項3に記載の混合物。
[6]前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行う、請求項5に記載の黒鉛の製造方法。
本発明の黒鉛は、水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、細孔分布が0.005〜20μmであり、かつ窒素ガス吸着量測定の相対圧に対するプロットでP/P0が0.3〜0.7となる範囲でガス脱離曲線とガス吸着曲線にヒステリシスを生じるものである。前述の通り、成形体の硬度と低熱膨張率は通常、両立することが困難であったが、本発明の黒鉛は、これらの物性がいずれも優れるという効果を奏する。
水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、0.05mL/g以上の対数微分細孔容積を有する細孔分布が0.005〜20μmである。この細孔分布のピークトップは、0.01μm以上であり、一方、10μm以下であることにより黒鉛中の広範囲に空孔が分布することで硬度を高めることとなり、この観点から、細孔分布のピークトップは好ましくは8μm以下である。また、0.05mL/g以上の対数微分細孔容積を有する細孔分布は、0.005μm以上であり、また、20μm以下であることにより強度低下の原因となる粗大な細孔が減少することとなり、この観点から、細孔分布は好ましくは15μm以下である。
る入り口がその先の細孔より狭まった構造をとる場合に確認される。上記の相対圧P/P0が上記範囲であると、本発明における特定の細孔構造を有することを示すものであり、特に、この値は好ましくは0.4〜0.6である。
本発明の混合物はキノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを含むものである。この混合物は前述した本発明の黒鉛を得るために有用である。
本発明において、「生コークス」とは、キノリン不溶分が0〜30重量%、トルエン不溶キノリン可溶分を0〜20重量%である重質油を300〜500℃で熱処理することで得られる炭素前駆体を意味する。生コークスとしては、例えば、石炭由来の石炭生コークス、石油由来の石油生コークス等が挙げられる。
本発明の混合物にはマンガン及びマンガン化合物のうちの少なくとも一方が用いられるが、マンガン化合物の種類は特に制限されない。マンガン化合物としては、例えば、酸化マンガン、硫化マンガン、炭化マンガン、硝酸マンガン、過マンガン酸カリウム等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、酸化マンガン、炭化マンガン等である。以上に挙げたマンガン化合物は、1種のみで用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の混合物は、前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン化合物及びマンガン化合物の少なくとも一方の含有量が、0.01重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、一方、30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下であることがより好ましい。本発明の混合物におけるマンガン化合物の含有量が上記下限値以上であると熱膨張が明確に低減されるために好ましく、一方、上記上限値以下であると成形体の自己結着性を保持する観点で好ましい。なお、混合した前記マンガン及びマンガン化合物は加熱処理後に酸処理などにより使用用途に合わせ調整してもよい。
本発明の黒鉛の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称することがある。)は、キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを混合し、600〜1700℃でのか焼、2000〜3500℃での黒鉛化を経るものである。即ち、本発明の製造方法は、前述の本発明の混合物を用い、これを特定の温度範囲でのか焼及び黒鉛化を経るものである。
本発明の製造方法において、か焼は600〜1700℃で行われる。か焼の温度範囲が、600℃未満であると成形体の収縮や揮発分散逸が不十分となり、一方、1700℃超過であると、黒鉛化前にピッチ含浸などの高密度化処理を行う際にピッチの浸透が困難となる。これらの観点から、か焼の温度範囲は、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上であり、一方、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1400℃以下である。
本発明の製造方法において、黒鉛化は2000〜3500℃で行われる。黒鉛化の温度範囲が、2000℃未満であると本発明における添加物や原料由来の不純物が残存し黒鉛純度が低下し、一方、3500℃超過であると、黒鉛化の進行は停止しているものの余剰なエネルギーを費やすこととなる。これらの観点から、黒鉛化の温度範囲は、好ましくは2200℃以上、より好ましくは2500℃以上であり、一方、好ましくは3300℃以下、より好ましくは3000℃以下である。
本発明の製造方法は、特に、前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行うことが好ましい。加圧成型を行うことにより黒鉛を高密度化しかつ添加剤の効果を高めることができるために好ましい。加圧成型の方法としては金型成型、押出成型、冷間静水等方圧加圧成型等が挙げられる。
成形体作製に用いるコークス及び生コークスは80〜300℃程度で乾燥を行うことで、水分量、揮発分量などを任意に調整することが出来る。この工程はコークス及び生コークスの粉砕前及び粉砕後、ブレンド後、バインダーピッチ添加及び混練後のいずれにおいても可能であるが、より厳密な物性調整とバインダー親和性の観点からコークス及び生コークス粉砕前及び粉砕後に行うことが望ましい。
成形体を作製する上で主要材料であるか焼コークスは、性状の異なる2種類以上のか焼コークスを混合することで物性を微調整可能である。本発明における成形体の主材料である生コークスについても同様で、性状の異なる2種類以上の生コークスをブレンドして使用することで物性を微調整することができる。なお、上記の物性微調整はあくまで前述のとおり、物性トレードオフの関係にある点を注意する必要がある。
通常の黒鉛材料製造では、主要材料であるか焼コークス自身は融着性を有しないため、バインダーピッチなどの結着成分を添加して成形を行う。この際、か焼コークスと結着成分を十分に馴染ませる目的で、通常、結着成分の軟化点以上で加温をしつつか焼コークスと結着成分を混合する。この工程は混練と呼ばれ、黒鉛成形体の密度、硬度、電気抵抗などの諸物性に大きく影響する。本発明における生コークスは基本的に自身が融着性を有するため、結着成分の添加は不要であるが、か焼コークス同様に結着成分を加え、混練操作を行った上で成形体とすることも可能である。以上の結着成分の添加及び混練の工程はか焼コークス及び生コークスの粉砕前、粉砕後のどちらでも行うことが出来るが、結着成分との十分な馴染みを達成する上で、粉砕後に行うことが望ましい。また、混練後に得られる混合物は再粉砕し、粒度を調節することもできる。
か焼によって生成した空隙にさらに含浸ピッチを浸漬する工程をピッチ含浸という。その後、再度か焼により結着成分を焼結するが、この含浸・再か焼を繰り返すことでより高密度化された黒鉛を得ることができる。この工程は成形体か焼後及び黒鉛化後に行うことができるが、含浸ピッチの浸透し易さから成形体か焼後に行うことが望ましい。
一部の高純度が求められる用途では、ハロゲンガスなどと反応させることで黒鉛中に含まれる不純物元素が除去することができる。また、薬品耐性や表面硬さが求められる用途には表面にガラス状炭素などによるコーティング処理を行ってもよい。
以下の実施例及び比較例において、金型成型により加圧成型を行った。生コークス粉単味又は生コークス粉と各添加剤(二酸化マンガン、鉄化合物又は硫黄)との混合粉1.3gをφ20mmのコイン状の金型に封入し、120℃まで加温したのち30MPaまで加圧し、10分間維持した後、取出しを行うことでφ20mm×厚み2〜3mmのコイン型成形体を得た。また、以下の物性測定に用いるためにコイン型成形体から2mm×2mm×14mmの直方体サンプル3本を切り出し、以降の物性測定に使用した。
熱膨張率測定にはRigaku社製の熱機械分析装置(Thermo plus EVO2 / TMA)を利用し、SiO2標準を使用した200℃〜1000℃における示唆膨張方式により測定を行った。本測定において180℃〜201℃及び980℃〜1001℃の範囲では1℃/分の速度で昇温を行い、上記以外の範囲では100℃/分で昇温を行った。
ショア硬度測定には今井精機社製のカタサ試験機(ショア式D型)を用いて、直方体サンプルの2面(成形時圧力をかけた面と断面)を3カ所ずつ測定し、計6カ所の平均値をサンプルのショア硬度として採用した。
電気抵抗率測定は四探針法により行いJIS K 7194に準ずる測定を計5回実施し、平均値をサンプルの電気抵抗率として採用した。
細孔測定には上記の物性測定に用いた直方体サンプルを粉砕せず、そのまま使用した。0.01〜50μmの範囲における細孔測定には、Micromeritics社製のAutoPore IV 9520を利用し、50μmHgまで室温で10分間減圧した上で水銀圧入法による細孔容積測定を実施した。0.001〜0.1μmの範囲における細孔測定には、Quantachrome社製のAutosorb−iQ3を利用し、減圧下、250℃で5時間保持した後、窒素吸着法による細孔容積測定を行った。
キノリン不溶分が96重量%である生コークス(以下、「炭素材A」と称することがある。)を粉砕し53〜100μmとした生コークス粉を使用し、この生コークス粉に対して添加剤として53〜100μmに粉砕した二酸化マンガン粉末を、添加量が10重量%となるよう混合した。この混合粉を金型成型して炭素成形体を1300℃まで昇温し2時間熱処理したのち常温まで冷却し、黒鉛化炉にて2800℃まで昇温し30分間熱処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
実施例1において生コークスをキノリン不溶分が93重量%である生コークス(「炭素材B」と称することがある。)を粉砕し53〜100μmとした生コークス粉とした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
実施例1において二酸化マンガン粉末の添加量が5重量%となるようにした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
炭素材Aを粉砕し53〜100μmとした生コークス粉を使用した。この生コークス粉を金型成型して得られた炭素成形体を1300℃まで昇温し2時間熱処理したのち常温まで冷却し、黒鉛化炉にて2800℃まで昇温し30分間熱処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
実施例1において生コークス粉に対する添加剤を二酸化マンガンの代わりに53〜100μに粉砕した酸化鉄(Fe2O3)粉末を用いた以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
実施例1において生コークス粉に対する添加剤を二酸化マンガンの代わりに53μm以
下に粉砕した硫黄粉末とした以外、実施例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
比較例1において生コークスをキノリン不溶分が93重量%である生コークス(炭素材B)を粉砕して53〜100μmの生コークス粉とした以外、比較例1と同様の処理を行った。得られた黒鉛について、上記の各評価を行った結果を表−1に示す。
例1、4は原料の生コークスのみを変更したもので、前述のように熱膨張が大きいものではショア硬度が高く、逆に熱膨張が小さいものではショア硬度が低いことが確認された。更に酸化鉄Fe2O3を10重量%添加した比較例2及び前記非特許文献1においても用いられている硫黄を10重量%添加した比較例3でも、比較例1と比較すると熱膨張率が低減されているものの、ショア硬度も同様に低下していることが確認された。この様に炭素質の変更や先行技術では熱膨張を抑制するためにはショア硬度が低くなり、これらはトレードオフの関係にあることがわかる。
Claims (6)
- 水銀圧入法により測定した細孔分布のピークトップが0.01〜10μm、細孔分布が0.005〜20μmであり、かつ窒素ガス吸着量測定の相対圧に対するプロットでP/P0が0.3〜0.7となる範囲でガス脱離曲線とガス吸着曲線にヒステリシスを生じる黒鉛。
- インクボトル型の細孔を有する、請求項1に記載の黒鉛。
- キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物のうちの少なくとも一方とを含む混合物。
- 前記生コークスと前記マンガン及びマンガン化合物との合計量に対し、マンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方を0.01〜30重量%含む、請求項3に記載の混合物。
- キノリン不溶分が70〜99重量%である生コークスとマンガン及びマンガン化合物の少なくとも一方とを混合し、600〜1700℃でのか焼、2000〜3500℃での黒鉛化を経る黒鉛の製造方法。
- 前記混合の後、か焼する前に加圧成型を行う、請求項5に記載の黒鉛の製造方法。
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CN109319775A (zh) * | 2018-11-19 | 2019-02-12 | 成都炭素有限责任公司 | 一种短流程高密高强各向同性石墨的制备方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008078679A1 (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-03 | Toyo Tanso Co., Ltd. | 黒鉛材料及びその製造方法 |
WO2016039268A1 (ja) * | 2014-09-09 | 2016-03-17 | 株式会社東北テクノアーチ | 多孔質黒鉛の製造方法および多孔質黒鉛 |
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