JP6658226B2 - 摺動材料、摺動部材及び摺動材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、摺動材料、摺動部材及び摺動材料の製造方法に関する。
電車のパンタグラフ用すり板、電動機器のブラシ、軸受け等の摺動部材の材料として、多孔質カーボン材を金属を含浸した摺動材料が知られている。この摺動材料は、他の摺動材料に比べて架線摩耗、すり板摩耗、欠損等が少ないという利点を有するため、摺動部材の材料として広く使用されている。
多孔質カーボン材に金属を含浸した摺動材料は、例えば、以下のようにして製造される。始めに、コークスを主成分とする人造黒鉛等の骨材と、タールピッチ等の結合剤とを配合し、これらを混練機に投入し、200℃〜300℃の温度で混練する。次に、この混練物を室温まで冷却した後、平均粒子径が10μm〜50μmとなるように粉砕する。次いで、粉砕物を50MPa〜150MPaの圧力で成形し、1000℃〜1800℃の非酸化雰囲気で焼成して多孔質カーボン材を得る。この多孔質カーボン材の開気孔を溶融した金属で含浸して、摺動材料が製造される。
多孔質カーボン材の開気孔を金属で含浸すると、開気孔の壁と金属との濡れ性が充分でなく小さい開気孔に金属が入りこみにくい等の理由から、摺動材料の金属の含浸の状態にバラつきが存在する場合がある。金属の含浸の状態のバラつきは、摺動材料の導電性、強度、耐摩耗性等の物理特性のバラつきの要因となりうる。そこで、多孔質カーボン材への金属の含浸性を改善するための手法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特公昭52−822号公報 特開平7−126713号公報
近年、摺動部材の物理特性に対する要求の高まりを受けて多孔質カーボン材への金属の含浸性のいっそうの向上が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、物理特性のバラつきが抑制された摺動部材を作製可能な摺動材料、摺動部材及び摺動材料の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>開気孔を有するカーボン材と、前記開気孔内に存在する金属と、前記開気孔内であって前記カーボン材と前記金属との間に存在する酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記カーボン材と前記酸化チタンの合計質量の0.2質量%〜4.0質量%である、摺動材料。
<2>前記カーボン材の開気孔率は10体積%〜25体積%である、<1>に記載の摺動材料。
<3>前記金属が銅及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、<1>又は<2>に記載の摺動材料。
<4>前記金属の含有率は、前記摺動材料全体の20質量%〜70質量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動材料。
<5><1>〜<4>のいずれか1項に記載の摺動材料を用いる、摺動部材。
<6>開気孔を有するカーボン材の前記開気孔内に酸化チタンを存在させる工程と、前記カーボン材の前記開気孔内に金属を存在させる工程と、をこの順に有する、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の摺動材料の製造方法。
本発明によれば、物理特性のバラつきが抑制された摺動部材を作製可能な摺動材料、摺動部材及び摺動材料の製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において組成物中の各成分の粒子径は、組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「膜」との語には、当該膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<摺動材料>
本実施形態の摺動材料は、開気孔を有するカーボン材と、前記開気孔内に存在する金属と、前記開気孔内であって前記カーボン材と前記金属との間に存在する酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記カーボン材と前記酸化チタンの合計質量の0.2質量%〜4.0質量%である。
本実施形態の摺動材料は、物理特性のバラつきが抑制されている。その理由は明らかではないが、カーボン材の開気孔内に酸化チタンが特定の含有率で存在することによってカーボン材の開気孔の壁に対する金属の濡れ性が向上し、開気孔への金属の含浸性が向上するためと考えられる。
本明細書において摺動材料が「開気孔内であってカーボン材と金属との間に存在する酸化チタンを含む」とは、摺動材料の少なくとも一部の開気孔内においてカーボン材と金属との間に酸化チタンが存在していることを意味し、摺動材料のすべての開気孔内においてカーボン材と金属との間に酸化チタンが存在している場合に限られない。
摺動材料の開気孔内であってカーボン材と金属との間に酸化チタンが存在しているか否かは、例えば、走査透過型電子顕微鏡によって確認することができる。
(カーボン材)
カーボン材は、金属で含浸しうる開気孔を有するものであれば特に制限されない。カーボン材を製造する場合、その方法は特に制限されない。例えば、コークス、黒鉛、カーボンブラック、油煙等の骨材と、タールピッチ、コールタール等の結合材とを配合し、この配合物に対して加熱混練、粉砕、成形及び焼成をこの順に実施することで製造できる。
骨材は、粒子状であってもよい。骨材が粒子状である場合の平均粒子径は、強度の観点からは、10μm〜30μmであることが好ましく、15μm〜25μmであることがより好ましい。なお、本実施形態において、骨材の平均粒子径は、レーザー回折法によって測定した粒度の体積累積分布(%)において、粒子径の小さい方から積算して50%となるときの粒子径D50(μm)をいう。
骨材と結合材との配合割合は、例えば、骨材と結合材とが質量基準(骨材:結合材)で30:70〜50:50であることが好ましく、35:65〜45:55であることがより好ましく、37:63〜43:57であることが更に好ましい。
加熱混練は、双腕型ニーダー等を用いて、各原料を、好ましくは150℃〜300℃、より好ましくは180℃〜270℃、更に好ましくは200℃〜250℃の温度で混練する。混練温度が150℃以上であれば、混練時間が長くなりすぎず、製造上好ましい。一方、混練温度が300℃以下であれば、摺動材料を用いる摺動部材の機械的強度が向上する傾向にある。混練時間は、混練物の量、骨材及び結合剤の配合割合等に応じて選択できる。
粉砕は、加熱混練で得られた混練物を、公知の粉砕機を用いて粉砕することにより行われる。粉砕後の粉砕物の平均粒子径は、摺動材料の所望の特性を考慮して選択できる。例えば、粉砕物の平均粒子径は10μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜70μmであることがより好ましく、10μm〜50μmであることが更に好ましい。
成形は、粉砕して得られた粉砕物を、金型プレス等の方法で成形することにより行われる。成形圧力は、50MPa〜200MPaであることが好ましく、60MPa〜150MPaであることがより好ましく、80MPa〜130MPaであることが更に好ましい。成形圧力が50MPa以上であれば、摺動材料を用いる摺動部材の機械的強度が向上する傾向にある。一方、成形圧力が200MPa以下であれば、後述の焼成中に揮発分の散逸の抑制が防止され、成形品に内部圧力が生じにくくなり、成形品が割れにくくなる傾向にある。
焼成は、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いた非酸化雰囲気下で行われる。焼成における最高到達温度は900℃〜1800℃であることが好ましく、1000℃〜1500℃であることがより好ましく、1000℃〜1300℃であることが更に好ましい。焼成における最高到達温度が900℃以上であれば、炭素化が充分に進行して摺動特性が向上する傾向にある。一方、焼成における最高到達温度が1800℃以下であれば、焼成炉の劣化が進みにくい傾向にある。
焼成時間(昇温開始から冷却開始までの時間)は、原料の配合割合、成形品の形状、焼成炉の能力等により選択できる。生産性及び生産コストの観点からは、焼成時間は短いほど好ましく、炭素化を充分に進行させる観点からは、焼成時間は長いほど好ましい。具体的には、5時間〜400時間であることが好ましく、10時間〜350時間であることがより好ましく、20時間〜150時間であることが更に好ましい。焼成中の昇温速度は一定であっても一定でなくてもよい。
カーボン材の開気孔率は、比抵抗の観点からは、10体積%以上であることが好ましく、12体積%以上であることがより好ましい。かさ密度の観点からは、25体積%以下であることが好ましく、23体積%以下であることがより好ましい。カーボン材の開気孔率は、例えば、水銀圧入法により測定される。
(酸化チタン)
カーボン材の開気孔内に酸化チタンを存在させる方法は、特に制限されない。例えば、酸化チタン又は酸化チタンの前駆体を含む組成物(以下、酸化チタン生成剤ともいう)を開気孔を有するカーボン材に接触させ、必要に応じて熱処理、溶剤除去等を実施することで、カーボン材の開気孔内に酸化チタンを存在させることができる。この方法によれば、カーボン材の開気孔内に酸化チタンを膜の状態で存在させることができるため、金属の含浸性がより向上する傾向にある。
酸化チタンを含む組成物としては、酸化チタン粒子の分散物が挙げられる。市販品としては、例えば、多木化学株式会社から市販されているタイノックシリーズのA−6、M−6及びAM−15が挙げられる。
酸化チタンの前駆体を含む組成物としては、チタンアルコキシド、チタンキレート、チタンアシレート等の有機チタン化合物を含む組成物が挙げられる。市販品としては、例えば、マツモトファインケミカル株式会社から市販されているオルガチックスシリーズのオルガチックスTA−10、オルガチックスTA−21、オルガチックスTA−23、オルガチックスTA−30、オルガチックスTC−100、オルガチックスTC−201、TC−401、TC−710、TC−1040、TC−750、オルガチックスTC−300オルガチックスTC−310、オルガチックスTC−315、オルガチックスTA−730、オルガチックスTA−800等が挙げられる。
酸化チタン生成剤は、1種のみを使用しても2種以上を併用してもよい。安全性の観点からは、水系の酸化チタン生成剤が好ましく用いられる。
金属の含浸の度合いのバラつきを抑制する観点からは、酸化チタンの含有率は、カーボン材と酸化チタンの合計質量の0.2質量%以上であり、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。
摺動材料を用いる摺動部材の機械的強度を維持する観点からは、酸化チタンの含有率は、カーボン材と酸化チタンの合計質量の4.0質量%以下であり、3.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
酸化チタンの含有率は、例えば、酸化チタン生成剤によるカーボン材の含浸の回数、酸化チタン生成剤中の酸化チタン又は酸化チタンの前駆体の濃度等によって調節することができる。
(金属)
金属の種類は特に制限されず、摺動部材の用途等に応じて選択できる。例えば、銅、銅合金等が挙げられる。金属は、1種のみを使用しても2種以上を併用してもよい。比抵抗の観点からは、銅及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。銅合金としては、黄銅、リン青銅、白銅等が挙げられる。
金属が銅及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む場合、金属の全構成元素中に銅の占める割合が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
金属は、金属中に不可避的に混入する金属以外の原子を含んでいてもよい。金属が金属以外の原子を含む場合、その含有率は0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。
カーボン材の開気孔内に金属を存在させる方法は、特に制限されない。例えば、開気孔内に酸化チタンを存在させる処理を行った後のカーボン材を金属含浸用の容器内に配置し、0.5kPa以下に減圧脱気した後、金属の溶湯を流し込んで窒素ガスを用いて8MPa〜25MPaの範囲まで加圧することにより行うことができる。
摺動材料における金属の含有率は特に制限されない。例えば、摺動材料全体の20質量%〜70質量%であることが好ましく、30質量%〜60質量%であることがより好ましく、40質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
<摺動部材>
本実施形態の摺動部材は、本実施形態の摺動材料を用いるものである。本実施形態の摺動部材としては、例えば、パンタグラフ用すり板、電動機器用ブラシ、軸受け等が挙げられる。
本実施形態の摺動部材は、摺動材料の作製の段階で所望の摺動部材の形状となるようにしてもよく(例えば、摺動部材の形状を有するカーボン材を金属で含浸する)、摺動材料の作製後に所望の摺動部材の形状となるように摺動材料を加工してもよい。
<摺動材料の製造方法>
本実施形態の摺動材料の製造方法は、開気孔を有するカーボン材の前記開気孔内に酸化チタンを存在させる工程と、前記カーボン材の前記開気孔内に金属を存在させる工程と、をこの順に有する。
上記方法において、カーボン材の開気孔内に酸化チタンを存在させる方法、及びカーボン材の開気孔内に金属を存在させる方法は特に制限されず、これらの方法について上述した記載を参照してもよい。
以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
[比較例1]
(カーボン材の作製)
骨材として平均粒子径が20μmのピッチコークス55質量%及び結合剤としてタールピッチ(川崎製鉄株式会社製、商品名:PKL)45質量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で4時間加熱混練した。この混練物を、平均粒子径が25μmとなるように粉砕した。この粉砕物を、寸法が150mm×250mm×50mmの金型に入れ、成形圧力140MPaで成形した。得られた成形品を、窒素雰囲気で1200℃まで120時間かけて昇温速度10℃/分で昇温した後、1200℃で1時間保持し、その後冷却してカーボン材を作製した。
(酸化チタン膜の形成)
作製したカーボン材を容器に配置し、0.5kPa以下に減圧脱気した。その後、酸化チタン生成剤(マツモトファインケミカル株式会社製、商品名:TC−201)でカーボン材を含浸した。更に、乾燥機に入れて150℃で1時間保持して溶剤を除去し、カーボン材の開気孔内に酸化チタン膜を形成して、カーボン材の開気孔内に酸化チタンを存在させた。
(銅の含浸)
酸化チタン膜を形成した後のカーボン材を容器に配置し、0.5kPa以下に減圧脱気した。この状態で銅の溶湯を流し入れて、窒素ガスを用いて雰囲気を20MPaまで加圧した。この状態で30分保持してカーボン材の開気孔を銅で含浸して、カーボン材の開気孔内に銅を存在させた。
以上の工程を経て、摺動材料を作製した。同様の方法で、計4つの摺動材料を作製した。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率(水銀圧入法により測定、以下同様)の平均値は、14体積%であった。
(酸化チタン含有率の測定)
摺動材料におけるカーボン材と酸化チタンの合計質量中の酸化チタン含有率(質量%)は、次式により算出した。作製した4つの摺動材料の酸化チタン含有率の平均値を表1に示す。
酸化チタン含有率=〔{(酸化チタン膜形成後のカーボン材の質量)−(酸化チタン膜形成前のカーボン材の質量)}/酸化チタン膜形成後のカーボン材の質量〕×100
(銅含有率の測定)
摺動材料における銅含有率(質量%)は、次式により算出した。作製した4つの摺動材料の銅含有率の最小値Aと最大値Bを表1に示す。
銅含有率=〔{(作製した摺動材料の質量)−(酸化チタン膜形成後且つ銅含浸前のカーボン材の質量)}/作製した摺動材料の質量〕×100
(比抵抗の測定)
摺動材料の比抵抗は、作製した4つの摺動材料のそれぞれから採取した試験片(寸法が10mm×10mm×50mmの角棒)の両端を電流端子で挟み、1Aの電流を通電し、試験片の中央部に1cmの間隔の電圧降下測定端子を押し付け、電圧降下を測定し、得られた測定値から算出される値(μΩ・m)とした。得られた値の最小値Aと最大値Bを表1に示す。
(摩耗量の測定)
摺動材料の摩耗量は、作製した4つの摺動材料のそれぞれから採取した寸法が5mm×5mm×25mmの試験片(摺動面が5mm×5mm)を外径寸法φが300mmの銅リング上で摺動させる試験を実施した後の摩耗量(μm)とした。試験は、周速30m/s、面圧0.3MPa、電流20Aの条件で、5時間行った。得られた値の最小値Aと最大値Bを表1に示す。
(曲げ強さの測定)
摺動材料の曲げ強さは、オートグラフ試験機を使用し、作製した4つの摺動材料のそれぞれから採取した試験片(寸法が10mm×10mm×50mmの角棒)を支点間距離が40mmの治具の上に置き、垂直に荷重を加えて試験片が破壊したときの最大荷重(MPa)とした。得られた値の最小値Aと最大値Bを表1に示す。
[実施例1]
酸化チタン生成剤をタイノックM−6(多木化学株式会社製)に変更して酸化チタン膜を形成した以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、酸化チタン含有率(質量%)、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、14体積%であった。
[実施例2]
粉砕物の成形圧力を100MPaに変更した以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、酸化チタン含有率(質量%)、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、14体積%であった。
[実施例3]
粉砕物の成形圧力を80MPaに変更し、酸化チタン生成剤をTC−100(マツモトファインケミカル株式会社製)に変更した以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、酸化チタン含有率(質量%)、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、15体積%であった。
[実施例4]
ピッチコークスとタールピッチの配合割合をそれぞれ65質量%と35質量%にし、粉砕物の成形圧力を120MPaに変更し、酸化チタン生成剤をTC−315(マツモトファインケミカル株式会社製)に変更した以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、酸化チタン含有率(質量%)、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、19体積%であった。
[比較例2]
ピッチコークスとタールピッチの配合割合をそれぞれ65質量%と35質量%にし、粉砕物の成形圧力を80MPaに変更し、酸化チタン生成剤をTC−100(マツモトファインケミカル株式会社製)に変更した以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、酸化チタン含有率(質量%)、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、21体積%であった。
[比較例3]
ピッチコークスとタールピッチの配合割合をそれぞれ65質量%と35質量%にし、粉砕物の成形圧力を100MPaに変更し、酸化チタン膜を形成しなかった以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、20体積%であった。
[比較例4]
粉砕物の成形圧力を100MPaに変更し、酸化チタン膜を形成しなかったこと以外は比較例1と同様にして4つの摺動材料を作製し、銅含有率(質量%)並びに物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)を比較例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。4つの摺動材料の作製に用いたカーボン材の開気孔率の平均値は、14体積%であった。
表1に示されるように、カーボン材の開気孔内に酸化チタンが存在し、かつ酸化チタンの含有率がカーボン材と酸化チタンの合計質量の0.2質量%〜4.0質量%の範囲内である実施例では、酸化チタンを含まないか、酸化チタンの含有率がカーボン材と酸化チタンの合計質量の0.2質量%〜4.0質量%の範囲外である比較例に比べて銅含有率のバラつきが少なく、物理特性(比抵抗、曲げ強さ及び摩耗量)のバラつきも総合的にみて少なかった。
以上より、本実施形態の摺動材料は、物理特性のバラつきが抑制されていることがわかる。

Claims (6)

  1. 開気孔を有するカーボン材と、前記開気孔内に存在する金属と、前記開気孔内であって前記カーボン材と前記金属との間に存在する酸化チタンと、を含み、前記酸化チタンの含有率は、前記カーボン材と前記酸化チタンの合計質量の0.2質量%〜4.0質量%である、摺動材料。
  2. 前記カーボン材の開気孔率は10体積%〜25体積%である、請求項1に記載の摺動材料。
  3. 前記金属が銅及び銅合金からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1又は請求項2に記載の摺動材料。
  4. 前記金属の含有率は、前記摺動材料全体の20質量%〜70質量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の摺動材料。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動材料を用いる、摺動部材。
  6. 開気孔を有するカーボン材の前記開気孔内に酸化チタンを存在させる工程と、前記カーボン材の前記開気孔内に金属を存在させる工程と、をこの順に有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の摺動材料の製造方法。
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