JP2013142182A - 被覆粒子粉末およびその製造方法 - Google Patents

被覆粒子粉末およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013142182A
JP2013142182A JP2012003688A JP2012003688A JP2013142182A JP 2013142182 A JP2013142182 A JP 2013142182A JP 2012003688 A JP2012003688 A JP 2012003688A JP 2012003688 A JP2012003688 A JP 2012003688A JP 2013142182 A JP2013142182 A JP 2013142182A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicone resin
coated
powder
resin
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012003688A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5833455B2 (ja
Inventor
Jonhan Fan
ジョンハン ファン
Masaaki Tani
昌明 谷
Takeshi Hattori
毅 服部
Daisuke Okamoto
大祐 岡本
Yusuke Oishi
雄介 大石
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2012003688A priority Critical patent/JP5833455B2/ja
Publication of JP2013142182A publication Critical patent/JP2013142182A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5833455B2 publication Critical patent/JP5833455B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Abstract

【課題】金属粉末とシリコーン樹脂からなる成形品等の製造に適した被覆粒子粉末を提供する。
【解決手段】本発明の被覆粒子粉末は、金属粒子と、この金属粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂からなる被覆材と、を有する被覆粒子からなる。そして被覆材は、3つのOと結合したSiがシロキサン結合(−Si−O−Si−結合)した主鎖とメチル基またはフェニル基からなる側鎖とを有する3官能基型の分子構造を有し、平均分子量(Mz1)が10000以下であるシリコーンレジン(特定シリコーン樹脂)からなる。この被覆材を構成する特定シリコーン樹脂は、架橋や縮重合がほとんど進行しておらず、樹脂原料と同様な特性を示す。例えば、分子量分布が被覆前後でほとんど変化せず、固形状態から昇温させた際に極小粘度が100Pa・s以下さらには10Pa・s以下になるぐらいまで軟化する。
【選択図】図3

Description

本発明は、表面が熱硬化性樹脂で被覆された金属粒子からなる被覆粒子粉末およびその製造方法に関する。
表面がシリコーン樹脂で被覆された金属粒子(適宜「被覆粒子」という。)で構成された部材がしばしば用いられる。例えば、交番磁界中で使用される鉄心として、シリコーン樹脂で被覆された軟磁性粒子(鉄系粒子)を加圧成形した圧粉磁心が用いられる。この際のシリコーン樹脂は、交番磁界中の圧粉磁心に発生する渦電流を抑制するための絶縁被膜として機能する。また、製造工程にも依るが、そのシリコーン樹脂は各軟磁性粒子を強固に結合するバインダとしても機能し得る。これらに関連する記載が、例えば、下記の特許文献1または特許文献2にある。
特開2008−303443号公報 特開2009−253030号公報 特開2008−270539号公報 特開2009−259939号公報
特許文献1または特許文献2の記載等から明らかなように、従来から使用されていた被覆粒子は、シリコーン樹脂(樹脂原料)を溶媒で溶解させた溶液と金属粉末を混合、撹拌した後、加熱して溶媒を揮発、乾燥等させることにより製造されていた。
本発明者が調査研究したところ、溶媒を用いて金属粒子の表面に形成されたシリコーン樹脂からなる被覆材は、原料時のシリコーン樹脂と特性が大きく異なったものになっていることが新たに判明した。
なお、特許文献3または特許文献4には、金属粒子(軟磁性粒子)とシリコーン樹脂からなる混合粉末を、成形型のキャビティへ直接投入して、そのシリコーン樹脂が軟化(ゲル化)する温度で温間成形した成形体(圧粉磁心)に関する記載がある。このときのシリコーン樹脂は、金属粒子間のバインダとして金属粉末に単に混合されているに過ぎず、少なくとも成形前において金属粒子を被覆するものではない。つまり、成形前から金属粒子がシリコーン樹脂で被覆された状態となっている訳ではない。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、原料時と同様な特性を発揮し得るシリコーン樹脂で被覆された金属粒子(被覆粒子)からなる被覆粒子粉末およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、熱硬化性樹脂である特定のシリコーン樹脂からなる樹脂原料と金属粉末を、特定の温度域からなる温間状態で混練することにより、原料時とほぼ同様な特性を発揮し得るシリコーン樹脂で被覆された金属粒子(被覆粒子)を得ることに成功した。この成果を発展させることにより、以降に述べる本発明を完成するに至った。
《被覆粒子粉末》
(1)本発明の被覆粒子粉末は、金属粒子と、該金属粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂からなる被覆材と、を有する被覆粒子からなる被覆粒子粉末であって、前記被覆材は、3つのOと結合したSiがシロキサン結合(−Si−O−Si−結合)した主鎖とメチル基またはフェニル基からなる側鎖とを有する分子構造を有し、平均分子量(Mz1)が10000以下であるシリコーンレジンからなることを特徴とする。
(2)本発明に係る被覆粒子は、金属粒子の表面が特定のシリコーンレジン(適宜「特定シリコーン樹脂」という。)からなる被覆材により被覆されている。この被覆材を構成する特定シリコーン樹脂は、熱硬化性樹脂であるが、その平均分子量(Mz1)は相対的に小さく、架橋、縮重合等が殆ど進行していない状態にある。言い換えるなら、その特定シリコーン樹脂は、被覆前の状態(原料時の状態)とほぼ同様な状態にあり、原料時とほぼ同様な特性を発現する。
従って、このような特定シリコーン樹脂で被覆された金属粒子からなる本発明の被覆粒子粉末を用いて温間成形等すると、その際に特定シリコーン樹脂が本来有する特性が発揮され、効率的に高品質な成形品等を製造可能となる。
より具体的にいうと、本発明の被覆粒子粉末が温間成形(加熱された成形型内で加圧成形)される場合、成形型のキャビティで加熱された本発明に係る被覆材は、被覆前の樹脂原料と同様な挙動を示して、低粘度まで軟化し、高い流動性を発揮する。このような状態になった特定シリコーン樹脂は、各金属粒子間に浸透または流動して、各金属粒子を均一的に被覆すると共に、各金属粒子間にできる隙間(三重点など)を埋める。その結果、各金属粒子が特定シリコーン樹脂で均一的に被覆された被覆粒子からなる高密度な成形体が効率的に得ることが可能となる。このように本発明の被覆粒子粉末を用いると、高品質な成形性等を容易に製造できるようになる。
このような本発明に係る被覆粒子は、金属粒子とシリコーン樹脂の単なる混合物でもなければ、シリコーン樹脂が金属粒子の表面に分散的に付着しているだけのものでもない。均一的でないとしても、本発明に係る被覆材は金属粒子の表面全体をほぼ被覆した状態にある。このため、例えば、加熱された成形型のキャビティへ充填される際に、本発明の被覆粒子粉末なら、樹脂粉末だけが成形型の内壁面に融着したり凝集したりすることなく、スムーズな充填が可能となる。従って本発明の被覆粒子粉末は、成形性のみならず充填性にも優れる。
(3)ここで本発明に係る被覆材の軟化性は、例えば、固形状態から昇温させて軟化状態にあるときの極小粘度が100Pa・s以下さらには50Pa・s以下となり得ることにより示される。
また本発明の被覆粒子粉末は、一粒一粒それぞれが特定シリコーン樹脂で被覆された金属粒子からなることが好ましいが、凝集した複数粒が特定シリコーン樹脂で一括的に被覆された金属粒子群を含んでもよい。
さらに本発明に係る被覆材は、特定シリコーン樹脂が金属粒子の表面をほぼ覆う状態となっていれば足り、必ずしも金属粒子の全表面をほぼ均一的に被覆する状態(皮膜状態)となっている必要はない。つまり本発明に係る被覆粒子は、金属粒子と特定シリコーン樹脂のコンパウンド状態にあればよく、被覆粒子粉末はそのようなコンパウンドの集合体であれば足る。
《被覆粒子粉末の製造方法》
(1)本発明は、被覆粒子粉末としてのみならず、その製造方法としても把握できる。すなわち本発明は、3つのOと結合したSiがシロキサン結合(−Si−O−Si−結合)した主鎖とメチル基またはフェニル基からなる側鎖とを有する分子構造を有するシリコーンレジン(特定シリコーン樹脂)からなる樹脂原料と金属粉末を、樹脂原料の軟化開始温度以上で硬化開始温度未満の温間状態で混練する温間混練工程を備え、該樹脂原料の溶媒を用いずに、金属粒子が熱硬化性樹脂からなる被覆材で被覆された被覆粒子からなる粉末を得ることを特徴とする被覆粒子粉末の製造方法でもよい。
(2)本発明に係る温間混練工程によれば、被覆前(原料時)の特性をほぼ発揮し得る特定シリコーン樹脂により表面が被覆された被覆粒子からなる上述した被覆粒子粉末を容易に得ることができる。
(3)ところで、温間混練工程前後であまり変化せずに保持または再現される特定シリコーン樹脂の特性として、例えば、分子量分布若しくは平均分子量、昇温時の粘度変化若しくは極小粘度等がある。温間混練工程により、それらの特性が保持等されるメカニズムは必ずしも定かではないが、現状では次のように考えられる。本発明に係る特定シリコーン樹脂は熱硬化性樹脂ではある。しかし、特定シリコーン樹脂を溶媒に溶解等させることなく用いると、硬化開始温度未満の加熱を行っても、シロキサン結合間に生じる架橋、縮重合等の進行は抑制され得る。その結果、特定シリコーン樹脂は、温間混練工程の前後で生じる分子量変化や粘度変化等が小さくなったと考えられる。
ここで、温間混練工程時の温度が硬化開始温度未満なら、特定シリコーン樹脂の特性が変化しないのは、一見当然のようにも思えるが、そうではない。先ず、本発明に係る特定シリコーン樹脂は、熱硬化性樹脂であるため、硬化開始温度未満の加熱でも、熱履歴を与えないようにするのが通常である。そして常温で固形状態にある特定シリコーン樹脂で金属粒子を被覆する場合、特定シリコーン樹脂を溶媒に溶解させた溶液を用いて被覆処理を行うのが通常である。
ところが、溶媒を用いた被覆処理を行った場合、金属粉末の表面に被膜形成された樹脂は、原料時とは異なる特性を示すことが本発明者の研究により明らかとなった。特に、その溶媒を揮発させるために加熱乾燥を行う場合、そのときの加熱温度が硬化開始温度未満の低温であっても、被膜形成された特定シリコーン樹脂の平均分子量がかなり増大することが新たに判明した。
この理由は定かではないが、一端溶媒に溶解させた特定シリコーン樹脂は、分子間の絡み合いが解放されて、各分子間で架橋や縮重合が生じ易い状態になると考えられる。このような特定シリコーン樹脂を加熱乾燥すると、その温度が十分に低い温度であっても、分子間の架橋や縮重合が進行して、分子量の大きな成分が増大したと考えられる。逆に本発明では、そのような溶媒を用いずに温間混練工程を行ったため、硬化開始温度未満内の比較的高い温度で加熱をしても、溶媒を用いた場合のような大きな特性変化が生じなかったと考えられる。
(4)この本発明の製造方法を踏まえると、本発明の被覆粒子粉末は、前記被覆材が、その原料である樹脂原料と前記金属粒子の原料である金属粉末とを、該樹脂原料の軟化開始温度以上で硬化開始温度未満の温間状態で混練する温間混練工程を経て得られたものであるということもできる。
このような被覆材の平均分子量(Mz1)は、例えば、樹脂原料の平均分子量(Mz0)に対する変化率(100×(Mz1−Mz0)/Mz0)が30%以内、20%以内さらには10%以内であると好ましい。
《その他》
特に断らない限り本明細書でいう「x〜y」は下限値xおよび上限値yを含む。本明細書に記載した種々の数値または数値範囲に含まれる任意の数値を新たな下限値または上限値として「a〜b」のような範囲を新設し得る。
本発明に係るストレートシリコーンレジンの分子構造式である。 実施例で用いた原料シリコーン樹脂の粘度変化を示すグラフである。 その原料シリコーン樹脂を溶媒を用いずに加熱した後に得られたシリコーン樹脂の粘度変化を示すグラフである。 その原料シリコーン樹脂を溶媒を用いて加熱した後に得られたシリコーン樹脂の粘度変化を示すグラフである。 各試料に係るシリコーン樹脂の微分分子量分布曲線を示す。 各試料に係るシリコーン樹脂をTOF−SIMSで分析して得られたイオンカウント比を示す棒グラフである。 試料No.1〜3に係るシリコーン樹脂をNMRで分析した際に得られたスペクトル図である。 試料No.C1〜C3に係るシリコーン樹脂をNMRで分析した際に得られたスペクトル図である。 磁心用粉末の調製時に加えた温度と圧粉磁心の密度との関係を示すグラフである。 その温度と圧粉磁心の強度との関係を示すグラフである。 その温度と圧粉磁心の鉄損との関係を示すグラフである。 温間混練工程を経た磁心用粉末からなる圧粉磁心の断面を示す顕微鏡写真である。 その一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。 溶媒被覆工程を経た磁心用粉末からなる圧粉磁心の断面を示す顕微鏡写真である。 その一部をさらに拡大した顕微鏡写真である。
本明細書で説明する内容は、本発明の被覆粒子粉末のみならず、その製造方法さらには被覆粒子粉末を用いた部材にも該当し得る。上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。この際、製造方法に関する構成要素は、プロダクトバイプロセスとして理解すれば物に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《被覆粒子(粉末)》
本発明の被覆粒子粉末は、被覆粒子の集合体であり、被覆粒子は金属粒子とその表面を被覆する被覆材からなる。以下、金属粒子および被覆材について詳述する。
〈金属粒子〉
金属粒子は、金属からなる限り、その材質、組成、粒径や粒形状等の形態を問わない。金属粒子は、例えば、鉄系材料、銅系材料、アルミニウム系材料、チタン系材料、マグネシウム系材料等からなる。ここでいう「〜系材料」には、純金属または合金が含まれる。
金属粒子の一例として軟磁性粒子がある。軟磁性粒子は、8属遷移元素(Fe、Co、Ni等)などの強磁性元素を主成分とする金属粒子であり、純鉄粒子またはケイ素(Si)を含有した鉄合金粒子等が代表的である。
金属粒子の粒径は、成形品等の仕様、成形性等の生産性、取扱性、入手性等を考慮して適宜選定され、軟磁性粒子なら通常は20〜300μm程度である。金属粒子の製法も、その形態、成形品等の仕様、コスト等に応じて適宜選定される。金属粒子は、例えば、粉砕粉またはアトマイズ粉からなり、アトマイズ粉は、水アトマイズ粉でも、ガスアトマイズ粉でも、水ガスアトマイズ粉でもよい。
金属粒子は、各種の表面処理、加熱処理、前処理等が施されたものでもよい。表面処理として、特定シリコーン樹脂との濡れ性、流動性等を改善するカップリング処理、絶縁性被膜を形成する絶縁処理(酸化被膜や絶縁樹脂被膜の形成等)などがある。加熱処理としては、焼鈍、焼準等がある。前処理として水素還元処理などがある。
〈被覆材〉
被覆材は、メチル基またはフェニル基を有するシリコーンレジン(特定シリコーン樹脂)からなる(図1参照)。この特定シリコーン樹脂は、シリコーンのみからなり、シリコーンと有機系ポリマーとで構成される変性用シリコーンレジンとは区別される。特定シリコーン樹脂は、直鎖状のストレートシリコーンレジンでも、側鎖を有する分岐構造のシリコーンレジンでもよい。つまり特定シリコーン樹脂は、3つのOと結合したSiがシロキサン結合を有する3官能基型シリコーンレジンからなればよい。
(1)本発明に係る被覆材を構成する特定シリコーン樹脂(以下適宜「被覆シリコーン樹脂」という。)は、平均分子量(Mz)が10000以下さらには7500以下であり、比較的分子量が小さい。この被覆シリコーン樹脂は、被覆前の特定シリコーン樹脂(以下適宜「原料シリコーン樹脂」という。)と分子量分布が似ており、両者間の平均分子量差も小さい。例えば、平均分子量差でいうと、前述したように、被覆シリコーン樹脂の平均分子量(Mz1)と原料シリコーン樹脂の平均分子量(Mz0)の平均分子量差(Mz1−Mz0)は、その平均分子量(Mz0)に対して30%以内、20%以内さらには10%以内となる。
なお、本明細書でいう平均分子量(Mz)は、周知なZ平均分子量であり、Mz=ΣM /ΣM (M:各分子量、N:分子量Mの分子数)により算出される。具体的には、標準試料に単分散ポリスチレンを使い、東ソー株式会社製GPC−8を用いて得られた平均分子量を、本明細書でいう平均分子量(Mz)とする。
(2)被覆シリコーン樹脂は、原料シリコーン樹脂に対して平均分子量変化が小さいが、同様に粘度変化も小さい。すなわち、被覆シリコーン樹脂も原料シリコーン樹脂も共に熱硬化性樹脂ではあるが、常温から昇温させていくと、徐々に粘度が低下していき、ある温度(硬化開始温度)まで粘度が徐々に低下する。その硬化開始温度で粘度が極小となった後、温度の上昇と共に両者の粘度は急激に増加する。被覆シリコーン樹脂の極小粘度は、例えば、100Pa・s以下、10Pa・sさらには1Pa・s以下となり得る。
一方、溶媒を用いて金属粒子の表面に被覆させた特定シリコーン樹脂(以下適宜「溶媒被覆シリコーン樹脂」という。)も、常温から昇温していくにつれて粘度が低下し得るが、その低下は僅かである。その極小粘度は1000Pa・sさらには10000Pa・s程度であり、被覆シリコーン樹脂や原料シリコーン樹脂の極小粘度に比べて遥かに高い。また、特定シリコーン樹脂の種類にも依るが、被覆シリコーン樹脂や原料シリコーン樹脂の極小粘度は200℃付近で現れるが(図2A、図2B参照)、溶媒被覆シリコーン樹脂の極小粘度は100℃付近で現れる(図2C参照)。
このような粘度変化の相違は、各シリコーン樹脂内における架橋や縮重合の進行度合に依ると考えられる。つまり被覆シリコーン樹脂は、熱履歴を受けているにもかかわらず、架橋や縮重合が殆ど進行しておらず、原料シリコーン樹脂と同様な粘度変化を示したと考えられる。一方、溶媒被覆シリコーン樹脂は、溶媒および熱履歴の影響を大きく受けて、架橋や縮重合が相当に進行した状態にあり、原料シリコーン樹脂とは大きく異なる粘度変化を示したと考えられる。
なお、本明細書でいう粘度は、各シリコーン樹脂を加熱して昇温させながら測定したものである。この際の測定は、昇温速度:20℃/分で行った。具体的には、TA Instruments製 粘弾性測定装置 ARES−G2 レオメータを用いて動的粘弾性法により測定した粘度を、本明細書でいう「粘度」としている。また、粘度測定の際には、プレートと試験片の滑りを抑制することを目的として約2kpaで加圧しながら測定した。
(3)各シリコーン樹脂の特性変化を判断する要因として、上述した分子量や粘度の他、溶媒に対する溶解性も挙げることができる。例えば、原料シリコーン樹脂が特定の溶媒に完全に溶解する場合、本発明に係る被覆シリコーン樹脂もほぼ同様に完全に溶解する。一方、同様の溶媒を用いても、溶媒被覆シリコーン樹脂は完全には溶解せず、架橋により縮重合した高分子量成分などが溶解せずに残存し易い。なお、シリコーン樹脂の種類にも依るが、そのような溶媒として、エタノール、イソプロパノール(IPA)等のアルコール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒がある。
(4)本発明に係るシリコーンレジンの具体例として次のようなものがある。メチル基を有する3官能基型(ストレート)シリコーンレジンとして、信越化学工業株式会社社製のKR−220L、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のYR3370等がある。
フェニル基を有する3官能基型シリコーンレジンは、例えば、メチル系、フェニル系またはメチルフェニル系の有機溶媒を含むシリコーンレジン(例えば、信越化学工業株式会社社製のKR312、KR242A、YR3187など)を、禁水環境で慎重に脱溶媒することにより得られる。こうして得られたシリコーンレジンは、上記のKR−220LやYR3370等と同様な特性を発現する。
《被覆粒子粉末の製造方法》
本発明の被覆粒子粉末は、上述した特定シリコーン樹脂からなる樹脂原料と金属粉末を、温間状態で混練することにより得られる。ここで本明細書では、特定シリコーン樹脂の状態または熱履歴を問わず、軟化開始温度以上で硬化開始温度未満内にある状態を「温間状態」といい、その範囲内の温度を適宜「温間温度」または「被覆処理温度」という。
その軟化開始温度(軟化点)は、固体状の特定シリコーン樹脂を徐々に昇温していったときに、その粘度が低下して軟化を始める温度である。但し、本明細書では、前述した方法で測定した特定シリコーン樹脂の粘度が1000Pa・sとなるときの温度を「軟化開始温度」と定義する。
また硬化開始温度は、加熱されて粘度の低下した特定シリコーン樹脂が、さらなる昇温により粘度を上昇させ始める温度である。が、但し、本明細書では、前述した方法で測定した特定シリコーン樹脂の粘度が極小となるときの温度を「硬化開始温度」と定義する。
これらの温度は、特定シリコーン樹脂の種類、熱履歴等により変化するため、一概に特定することは困難である。通常、軟化開始温度は70〜130℃であり、硬化開始温度は140〜250℃ぐらいである。そこで温間混練工程を行う温度(被覆処理温度)は、(軟化開始温度+80℃)以内、より具体的には80〜150℃程度とすると好ましい。
なお、軟化した特定シリコーン樹脂と金属粉末の混練は、種々の方法により行えるが、ニーダ等のミキサーを用いると効率的に行うことができる。
《用途》
本発明の被覆粒子粉末は、その用途を問わず、各種成形品の製造等に用いることができる。本発明の被覆粒子粉末により高品質で高性能な製品を効率的に生産し得る。例えば、本発明に係る特定シリコーン樹脂で被覆された軟磁性粒子(磁心用粒子)からなる磁心用粉末を用いて温間成形すると、高密度、高磁気特性、低損失な圧粉磁心を効率的に得ることができる。これは特定シリコーン樹脂が温間成形時に十分に軟化して各軟磁性粒子を被覆すると共に粒子間の空隙へ流動した後に凝固するためである。なお、本明細書でいう「温間成形」は、成形型を加熱して原料粉末を加圧成形する成形方法である。成形型の加熱温度は、例えば100〜220℃程度である。特に好ましい温間成形方法は、金型潤滑温間高圧成形法として、日本特許公報特許3309970号公報、日本特許4024705号公報など多数の公報で詳述されている。
この他、本発明の被覆粒子粉末は、金属粒子の材質等を変更することにより、高電気絶縁性で高強度が要求される金属基複合材品等の製造に用いることもできる。
《特定シリコーン樹脂の特性》
先ず、本発明に係る特定シリコーン樹脂の特性が、溶媒の有無と熱履歴により如何に変化するかを調べた。
〈試料の調製〉
(1)基準試料(試料No.S1)
樹脂原料となる特定シリコーン樹脂として、常温で固形であるストレートシリコーンレジン粉末(信越化学工業株式会社製「KR220L」、粒径:10μm以下、軟化開始温度:75℃、硬化開始温度:250℃)を用意した。適宜、この樹脂原料自体を基準試料という。
(2)第一試料群(試料No.1〜3)
上記の樹脂原料を容器に入れて加熱して軟化させた。軟化した樹脂原料を表1に示す加熱温度に保持して、ガラス棒で15分間攪拌した。この樹脂を容器に入れたまま放冷し、室温まで冷却させて固化させた後、容器から取り出した。こうして被覆シリコーン樹脂に相当する第一試料群を得た。なお、特に断らない限り、各工程は大気圧雰囲気下で行った。
(3)第二試料群(試料No.C1〜C5)
上記の樹脂原料をエタノール(有機溶媒)に入れて溶解させた。これをマントル炉に入れて、80℃で10分間加熱しながら溶媒を揮発させた。この後さらに、第一試料群と同様の加熱処理を施し、第一試料群と同様な熱履歴を与えた。この際、一部の試料は真空(0.007MPa)中で処理した(試料No.C4および試料No.C5)。こうして溶媒被覆シリコーン樹脂に相当する第二試料群を得た。
〈試料の測定〉
(1)粘度変化
試料No.S1、試料No.1および試料No.C1の粘度変化を、TA Instruments製 粘弾性測定装置 ARES−G2 レオメータを用いて動的粘弾性法により測定した。得られた結果を図2A〜2Cにそれぞれ示した。また、測定はそれぞれ2回行った。
他の試料の粘度変化も、同様にして測定した。得られた結果から、各試料の極小粘度ρmin、軟化開始温度Tm(粘度が1000Pa・sとなるときの温度)および硬化開始温度Th(粘度が極小となるときの温度)を特定し、表1に併せて示した。
(2)分子量分布
試料No.S1、試料No.1および試料No.C1の分子量分布を、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により求めた。得られたそれら試料の微分分子量分布曲線を図3に示した。また、GPCにより求めた各試料のZ平均分子量(Mz)も表1に併せて示した。また、試料No.S1の平均分子量(Mz0)に対する各試料の平均分子量(Mz1)の変化率(100×(Mz1−Mz0)/Mz0)も算出して表1に併せて示した。なお、図3の縦軸中のwは質量、Mはモル数である。
(3)分子構造
試料No.S1、試料No.1および試料No.C1の分子構造を、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用いて解析した。得られた正イオンスペクトルから各種のイオンカウント数を求め、それらをSiのイオンカウント数で規格化したイオンカウント比を図4に示した。
各試料の分子構造を、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて解析した。得られたスペクトルに基づき、ppm単位で規格化した化学シフトと、それらに対応する官能基を有する分子式を図5Aおよび図5Bに併せて示した。
〈試料の評価〉
(1)粘度変化
図2Aおよび図2Bからわかるように、試料No.1は、試料No.S1とほぼ同様な粘度変化を示し、極小粘度も10Pa・s以下となり十分に小さくなった。
一方、図2Cからわかるように、試料No.C1は、試料No.1や試料No.S1にと異なり、昇温と共に粘度は低下し始めるものの、比較的低温域(110℃ぐらい)から粘度が上昇し始める。また、その極小粘度は非常に大きく(1000Pa・s程度)、殆ど軟化しないこともわかった。この試料No.C1の場合には、本明細書でいうような軟化開始温度が実質的に存在しないといえる。
このように、第一試料群は基準試料とほぼ同等な粘度特性を示すが、第二試料群はそれらと大きく異なる粘度特性を示すことがわかった。いずれの試料も同じ熱硬化性樹脂からなるが、第一試料群は架橋や縮重合が殆ど進行していないのに対して、第二試料群は架橋や縮重合がかなり進行したためと考えられる。
(2)分子量分布
図3からわかるように、試料No.1は、試料No.S1と同様な分子量分布となった。しかし、試料No.C1は、それらと明らかに異なる分子量分布となった。
試料No.C1の場合、分子量分布が低分子量側に大きくシフトしたのは、GPCで溶媒(テトラヒドロフラン/THF)に溶解しない成分が多く、その溶媒に溶解した低分子量の成分だけが検出されたためと思われる。逆にいうと、試料No.C1は、溶媒に溶解しない高分子量のシリコーン樹脂(縮重合して硬化したシリコーン樹脂)を多く含んでいたと考えられる。
このように、第一試料群は基準試料とほぼ同等な分子量分布を示すが、第二試料群はそれらと大きく異なる分子量分布を示すこともわかった。
(3)分子構造
図4からわかるように、試料No.1および試料No.S1に対して、試料No.C1はSi 対する官能基フラグメントの比が少ない傾向が認められた。これは、試料No.C1が架橋や縮重合の進行により高分子化しているためと考えられる。
図5Aおよび図5Bからわかるように、試料No.1〜3は試料No.S1と同様な化学シフトを示した。しかし、試料No.C1〜C3では、それらと異なる化学シフトを示し、水(HO)が検出された。このことからも、第二試料群では縮重合が相当に進行して高分子化していることが推察される。
(4)溶解性
有機溶媒(エタノール)に対する第一試料群と第二試料群のそれぞれの溶解性を確認した。第一試料群の各試料はいずれも、基準試料と同様に、その溶媒に完全に溶解した。一方、第二試料群の各試料はいずれも、不溶な樹脂が残存した。この結果も表1に併せて示した。
《被覆粒子粉末》
〈被覆粒子粉末の製造〉
(1)原料
Fe−3質量%Siの組成からなる市販のアトマイズ粉を用意した。これを−80meshで分級して、粒径が180μm未満の金属粒子(軟磁性粒子)からなる金属粉末(軟磁性粉末)とした。この金属粉末に900〜950℃の水素還元処理を施した。こうして得られた金属粉末を試料の製造に供した。また上述した樹脂粉末(信越化学工業株式会社製「KR220L」)を、金属粒子を被覆する樹脂原料とした。
(2)温間混練工程(試料No.4〜7)
これら金属粉末と樹脂原料を混合した(混合工程)。樹脂原料は、金属粉末に対して0.5質量%とした。この混合粉末を容器に入れて加熱し、樹脂原料を軟化させた。この軟化した樹脂原料と金属粉末をガラス棒で攪拌して15分間の混練を行った。この混練は、表2に示す加熱温度(被覆処理温度)に保持して行った。得られた混練物をガラス棒で撹拌しながら、室温まで冷却させた。こうして特定シリコーン樹脂で被覆された金属粒子からなる被覆粒子粉末(磁心用粉末)を得た。なお、特に断らない限り各工程は大気圧雰囲気下で行った。
(3)溶媒被覆工程(試料No.C6〜C9)
上記の樹脂原料をイソプロパノールに溶解させた溶液を調製し、この溶液を用いて上記の金属粉末に被覆処理を施した試料も用意した。具体的には次のようにして各試料を製造した。先ず、樹脂原料の溶液へ金属粉末を投入してガラス棒で撹拌した。この混合物をマントル炉に入れて、80℃で10分間撹拌しながら加熱し、溶媒を揮発させた。これに続けてさらに、その混合物を表2に示す加熱温度で撹拌しながら15分間保持した。得られた混合物を容器に入れたまま撹拌しながら放冷し、室温まで冷却させた。こうして溶媒を用いた特定シリコーン樹脂で被覆された金属粒子からなる被覆粒子粉末(磁心用粉末)を得た。なお、被覆粒子粉末中の樹脂量は、前述した場合と同様に、金属粉末に対して0.5質量%とした。ちなみに、溶媒の揮発後に加熱したのは、温間混練をした試料と同様な熱履歴を与えるためである。
《用途例/圧粉磁心》
〈製造〉
上述した各種の被覆粒子粉末(磁心用粉末)を用いて、圧粉磁心を次のようにして製造した。
(1)リング状のキャビティを有する超硬製の成形型を用意した。成形型の内周面にはTiNコート処理を施してあり、その表面粗さは0.4Zであった。この成形型をキャビティ内の温度が130℃となるようにバンドヒータで予熱した。
加熱された成形型の内周面に、水溶液に分散させたステアリン酸リチウム(1%)を、スプレーガンにて10cm/分程度の割合で均一に塗布した。ここで用いた水溶液は、水に界面活性剤と消泡剤を添加したものである。界面活性剤には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(EO)6、(EO)10及びホウ酸エステルエマルボンT−80を用いて、それぞれを水溶液全体(100体積%)に対して1体積%ずつ添加した。また消泡剤には、FSアンチフォーム80を用いて、水溶液全体(100体積%)に対して0.2体積%添加した。ステアリン酸リチウムには、融点が約225℃で、粒径が20μmのものを用いた。その分散量は、上記水溶液100cmに対して25gとした。これをさらにボールミル式粉砕装置で微細化処理(テフロン(登録商標)コート鋼球:100時間)し、得られた原液を20倍に希釈し、最終濃度1%の水溶液として上記の塗布に供した。
(2)こうしてステアリン酸リチウムが内面に塗布された成形型のキャビティへ磁心用粉末を充填した(充填工程)。
キャビティ内の温度を130℃の温間状態に保持したまま、充填した磁心用粉末を1600MPaで加圧成形した。こうしてリング状(外径:φ39mm×内径φ30mm×厚さ5mm)の圧粉体を得た。
この圧粉体を加熱炉に入れて、13.3kPa、600℃の窒素雰囲気中で45分間の加熱処理(焼鈍)をした。こうしてリング状の圧粉磁心を得た。
〈測定・観察〉
(1)測定
各圧粉磁心の密度(圧粉磁心の嵩密度)は、測定した寸法および重量に基づき計算により求めた。なお、用いた金属粒子(軟磁性粒子)の真密度は、7.68g/cmであった。圧環強度は、5kNオートグラフを用いて最大荷重を測定し、JISZ 2507に準じて算出した。
またリング状の圧粉磁心にφ0.5mmの銅線を巻回し、交流BHアナライザ(メーカ:(株)岩通計測、型番:SY−8258)を用いて、0.2T、10kHzの交流磁場を印加したときの鉄損を測定した。
こうして得られた結果を図6A〜図6Cにそれぞれ示した。各図中に示した温度は、表2に示した加熱温度(被覆処理温度)である。また各図中に示した「溶媒なし」は温間混練工程を経た磁心用粉末(試料No.4〜7)を用いたことを示し、「溶媒あり」は溶媒被覆工程を経た磁心用粉末(試料No.C6〜C9)を用いたことを示す。
(2)観察
試料No.5に係る磁心用粉末からなる圧粉磁心の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真を図7Aに示した。その一部の拡大写真を図7Bに示した。同様に、試料No.C7に係る磁心用粉末からなる圧粉磁心の断面写真を図8Aに、その一部拡大写真を図8Bに示した。
〈評価〉
(1)特性
図6A〜図6Cからわかるように、「溶媒なし」で被覆された磁心用粉末を用いた圧粉磁心は、「溶媒あり」で被覆された磁心用粉末を用いた圧粉磁心よりも、全般的に、密度(磁気特性に影響する)、強度および鉄損のいずれにおいても優れた特性を発揮することが明らかとなった。この傾向は、各磁心用粉末の製造時の加熱温度には依らないこともわかった。但し、その加熱温度が100〜150℃さらには120〜140℃であるとき、特に優れた特性の圧粉磁心が得られることもわかった。
(2)図7Aおよび図7Bからわかるように、「溶媒なし」で被覆された磁心用粉末を加圧成形した圧粉磁心は、各軟磁性粒子が緻密に密集している。また、それらの粒界および粒子間の隙間(3重点)には、流動したシリコーン樹脂が固化した様子が観られる。これは温間成形時に、被覆シリコーン樹脂が十分に軟化し、高い流動性を発現して、各軟磁性粒子間に浸透し易くなったためと考えられる。また、軟磁性粒子間で軟化した被覆シリコーン樹脂が潤滑剤のように機能して、成形時の軟磁性粒子の姿勢変化を容易にしたことも考えられる。
一方、「溶媒あり」で被覆された磁心用粉末を用いた圧粉磁心では、各軟磁性粒子の粒界や粒子間(3重点)に隙間が多く観られる。これは溶媒被覆シリコーン樹脂が温間成形時に殆ど軟化または流動せず、既に硬化したシリコーン樹脂で被覆された軟磁性粒子が単に加圧成形された状態となったためと考えられる。
《他の特定シリコーン樹脂》
(1)試料No.S1と別の基準試料(試料No.S2: モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「YR3370」)を用いて、上述した場合と同様に、特定シリコーン樹脂の特性変化を調べた。その結果を表3に示す。なお、試料No.11は試料No.1等と同様に調製したものであり、試料No.C11は試料No.C1等と同様に調製したものである。
(2)表3からわかるように、溶媒を用いない試料No.11では、基準試料である試料No.S2に近い平均分子量となり、平均分子量の変化率も30%以内となった。これに対して、試料No.C11は、試料No.S2よりも遥かに小さい平均分子量となった。これは、GPCで用いた溶媒(テトラヒドロフラン/THF)に可溶な低分子量の成分だけが検出されたためと思われる。すなわち試料No.C11も、試料No.C1等と同様に、溶媒に溶解しない高分子量のシリコーン樹脂(縮重合して硬化したシリコーン樹脂)を多く含んでいたと考えられる。

Claims (5)

  1. 金属粒子と、
    該金属粒子の表面を被覆する熱硬化性樹脂からなる被覆材と、
    を有する被覆粒子からなる被覆粒子粉末であって、
    前記被覆材は、3つの酸素(O)と結合したケイ素(Si)がシロキサン結合(−Si−O−Si−結合)した主鎖とメチル基またはフェニル基からなる側鎖とを有する分子構造を有し、平均分子量(Mz1)が10000以下であるシリコーンレジンからなることを特徴とする被覆粒子粉末。
  2. 前記被覆材は、固形状態から昇温させて軟化状態にあるときの極小粘度が100Pa・s以下となる請求項1に記載の被覆粒子粉末。
  3. 前記被覆材は、該被覆材の原料である樹脂原料と前記金属粒子の原料である金属粉末とを、該樹脂原料の軟化開始温度以上で硬化開始温度未満の温間状態で混練する温間混練工程を経て得られる請求項1または2に記載の被覆粒子粉末。
  4. 前記被覆材の平均分子量(Mz1)は、前記樹脂原料の平均分子量(Mz0)に対する変化率(100×(Mz1−Mz0)/Mz0)が30%以内である請求項3に記載の被覆粒子粉末。
  5. 3つのOと結合したSiがシロキサン結合(−Si−O−Si−結合)した主鎖とメチル基またはフェニル基からなる側鎖とを有する分子構造を有するシリコーンレジンからなる樹脂原料と金属粉末とを、樹脂原料の軟化開始温度以上で硬化開始温度未満の温間状態で混練する温間混練工程を備え、
    該樹脂原料の溶媒を用いずに、金属粒子が熱硬化性樹脂からなる被覆材で被覆された被覆粒子からなる粉末を得ることを特徴とする被覆粒子粉末の製造方法。
JP2012003688A 2012-01-12 2012-01-12 被覆粒子粉末およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5833455B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012003688A JP5833455B2 (ja) 2012-01-12 2012-01-12 被覆粒子粉末およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012003688A JP5833455B2 (ja) 2012-01-12 2012-01-12 被覆粒子粉末およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013142182A true JP2013142182A (ja) 2013-07-22
JP5833455B2 JP5833455B2 (ja) 2015-12-16

Family

ID=49038923

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012003688A Expired - Fee Related JP5833455B2 (ja) 2012-01-12 2012-01-12 被覆粒子粉末およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5833455B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016035477A1 (ja) * 2014-09-03 2016-03-10 アルプス・グリーンデバイス株式会社 圧粉コア、電気・電子部品および電気・電子機器
JP2019512171A (ja) * 2016-02-29 2019-05-09 ロード コーポレーション 磁気レオロジー流体用添加剤
WO2022196315A1 (ja) 2021-03-19 2022-09-22 愛知製鋼株式会社 磁心用粉末とその製造方法および圧粉磁心

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08157605A (ja) * 1994-12-01 1996-06-18 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd シラノール末端シルセスキオキサンラダーおよびその製造方法
JP2010183057A (ja) * 2009-01-07 2010-08-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心
JP2012077363A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 冶金用粉末の製造方法および圧粉磁心の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08157605A (ja) * 1994-12-01 1996-06-18 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd シラノール末端シルセスキオキサンラダーおよびその製造方法
JP2010183057A (ja) * 2009-01-07 2010-08-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 軟磁性材料の製造方法、軟磁性材料、および圧粉磁心
JP2012077363A (ja) * 2010-10-05 2012-04-19 Sumitomo Electric Ind Ltd 冶金用粉末の製造方法および圧粉磁心の製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016035477A1 (ja) * 2014-09-03 2016-03-10 アルプス・グリーンデバイス株式会社 圧粉コア、電気・電子部品および電気・電子機器
JP6093941B2 (ja) * 2014-09-03 2017-03-15 アルプス電気株式会社 圧粉コア、電気・電子部品および電気・電子機器
CN106575557A (zh) * 2014-09-03 2017-04-19 阿尔卑斯电气株式会社 压粉磁芯、电气/电子部件以及电气/电子设备
JP2019512171A (ja) * 2016-02-29 2019-05-09 ロード コーポレーション 磁気レオロジー流体用添加剤
US11518957B2 (en) 2016-02-29 2022-12-06 Lord Corporation Additive for magnetorheological fluids
WO2022196315A1 (ja) 2021-03-19 2022-09-22 愛知製鋼株式会社 磁心用粉末とその製造方法および圧粉磁心

Also Published As

Publication number Publication date
JP5833455B2 (ja) 2015-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9159489B2 (en) Method of producing powder magnetic core and method of producing magnetic core powder
JP4044591B1 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法ならびに圧粉磁心
JP4284004B2 (ja) 高強度圧粉磁心用粉末、高強度圧粉磁心の製造方法
JP5202382B2 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末およびその製造方法、ならびに圧粉磁心
JP6560091B2 (ja) 圧粉磁心材料、圧粉磁心、およびその製造方法
JP2014216495A (ja) 軟磁性体組成物、磁芯、コイル型電子部品および成形体の製造方法
JP2014143286A (ja) 軟磁性体組成物およびその製造方法、磁芯、並びに、コイル型電子部品
JP2016058496A (ja) 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法
WO2014013914A1 (ja) 圧粉磁心用粉末、および圧粉磁心
JP5071671B2 (ja) 軟磁性粒子粉末及びその製造法、該軟磁性粒子粉末を含む圧粉磁心
JP5833455B2 (ja) 被覆粒子粉末およびその製造方法
JP6477124B2 (ja) 軟磁性金属圧粉コア、及び、リアクトルまたはインダクタ
JP4064711B2 (ja) 圧粉磁心用粉末および高強度圧粉磁心、並びにその製法
JP2012049203A (ja) 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法
JP2005307336A (ja) 軟磁性粉末材料及び軟磁性粉末材料成形体の製造方法
JP5023041B2 (ja) 圧粉磁心及びその製造方法
JP2009032880A (ja) 高周波用の圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末および圧粉磁心
JP2017073479A (ja) ボンド磁石硬化体
JP2007220876A (ja) 軟磁性合金圧密体及びその製造方法
JP5159751B2 (ja) 圧粉磁心の製造方法およびこの製造方法によって得られた圧粉磁心
JP6734371B2 (ja) 被覆磁性粉末の製造方法、圧粉磁心の製造方法、電磁部品の製造方法
JP2011129857A (ja) 圧粉磁心の製造方法およびこの製造方法によって得られた圧粉磁心
JP2019153614A (ja) 圧粉磁心とその製造方法および磁心用粉末
JP4856602B2 (ja) 圧粉磁心用鉄基軟磁性粉末および圧粉磁心
JP2008066665A (ja) 圧粉磁心用粉末、圧粉磁心およびそれらの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130716

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150908

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151027

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5833455

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees