JP2018159802A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前記供液ポンプから前記複数基のコーターへ前記塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、前記連結管内に前記塗液と気体とを封入するとともに、前記連結管内の液面高さを前記コーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
前記連結管の内径を前記供液管の内径より大きくし、かつ、
前記連結管内の液面高さを前記塗液吐出口の位置より1m以上高くすることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
Q=3π×0.003×1.5(cm3/sec)
=0.0424(cm3/sec)
=2.54(cm3/min)
となる。
ところで、コーターの構成の都合上、スリットギャップ(塗液の出口の隙間)をウェット膜厚と同等〜数倍にすることが求められる。例えば、上述の例ではウェット膜厚30μmで想定しているが、この場合、スリットギャップを50〜80μm程度にする必要がある。
このようにわずかな隙間しかないため、塗布実施中にいずれか1基のコーターで僅かな詰まり等が発生した場合、圧力損失となり複数基のコーターへの塗液の供給量バランスが崩れ、均一に分配できなくなってしまう。このような場合、前述のとおり供給液量そのものが膜厚に直結するため、コーター間での膜厚の不均一が起こることとなる。
連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くすることで、コーターの塗液吐出口から連結管内の液面までの自重の力により脈動の安定化を図りつつ、流量の変動があっても連結管内の液面高さを維持する力が働き、その力で流量を一定にする力が働き、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするものと考えられる。
また、塗布継続による僅かな乾燥等により、各コーター間の供給液量の変動があった場合でも、液面高さが一定になろうとし、流量が各コーター間で均等になるような力が働くため、早期に詰まりをヘッド圧で解消しながら、長期間にわたって安定した塗布を可能とするものと考えられる。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする。
なお、以下では、スライドホッパー塗布装置として、円筒状のコーターを有する円形スライドホッパー塗布装置を用いて説明するが、特にこれに限定されず、例えば、平状のコーターを有するスライドホッパー塗布装置を用いてもよい。また、説明を単純化するため、2基のコーターを有する場合について説明するが、これに限定されるものではない。
図1に示すとおり、円形スライドホッパー塗布装置100は、塗液を貯留する貯留タンク110と、塗液CLを供給する供液ポンプ120と、円筒状の基材140の周囲を取り囲むように設けられた環状のコーター130と、を備えて構成されている。
供液ポンプ120と各コーター130との間には、塗液を分流する分流器122が設けられ、当該分流器122と各コーター130とが供液管123、124を介して接続されている。各供液管123、124の内径は、同一であることが好ましい。ここで、供液管の内径が全て同一であるとは、複数の供液管の内径が±1%以内に収まっていることをいう。
各供液管123、124は、一つの連結管125により連結されている。連結管125の内径は、コーター130の塗液吐出口131から連結管125内の液面までの塗液の自重の力を大きくする観点から、供液管123、124の内径より大きいことが好ましく、供液管123、124の内径の1.2倍以上であることがより好ましい。上限としては、特に制限されないが、連結管125設置の制約上、供液管123、124の内径の10倍以下であることが好ましい。
塗液分配スリット132の塗液吐出口131の下部には、連続して下方に傾斜したスライド面134が形成されている。
塗液分配室133上部には、エア抜き用の配管135が設けられている。
次いで、上述した円形スライドホッパー塗布装置100を用いた、円形スライドホッパー塗布方式による電子写真感光体の製造方法について説明する。
まず、連結管125上部及びコーター130上部に設けられたバルブ126、136を開状態とし、この状態で貯留タンク110内の塗液CLを円形スライドホッパー塗布装置100内に送液する。より具体的には、塗液CLを貯留タンク110から配管111を介して供液ポンプ120に送液する。この塗液CLは、まず、供液ポンプ120により、配管121を介して、分流器122に圧送される。その後、分流器122に圧送された塗液CLは、分流器122により均等に分配されて、供給管123、124、連結管125、及びコーター130に圧送される。
連結管125内の液面高さがコーター130の塗液吐出口131の高さよりも高くなるように調整し、その後、バルブ126、136を閉状態とする。この際、連結管125内上部は、気体が残った(各コーター130に対し、それぞれ対応する液面が存在する)状態とする。
この連結管125内の液面高さは、塗液吐出口131の位置の高さよりも1m以上高くすることが好ましい。1m以上であれば、塗液吐出口131におけるヘッド圧分の効果が大きく、圧力バランスがくずれにくい。上限としては、特に制限されてないが、供液ポンプ120の送液能や塗布装置100のスケールの観点から、実用上10m以下であることが好ましい。
連結管125内上部に封入する気体としては、特に制限されず、空気、不活性ガス等が挙げられる。
コーター130からバルブ136までは、塗液CLが満たされた状態とする。また、エア抜きを効果的に行う観点から、塗液分配スリット132をバルブ136に向かって傾斜するように設けてもよい。
さらに、性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬コーティング方法と比べて溶媒に接する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へほとんど溶出せず、浸漬塗布時のように塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、例えば、金属酸化物微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
図3は、η・vとウェット膜厚wとの関係を示すグラフである。
図3において、一番上のラインL1は、ディッピング(浸漬)領域に該当するものであり、K=1.0に相当するものである。この領域では、スライドホッパー塗布領域にはならず、流量過剰状態であるため流量を管理する必要がないが、実際には、塗膜セッティング速度とタレ量との競争でK=1.0の状態を得ることは困難である。
一番下のラインL4は、供給液量の限界であり、供給液量が少なすぎて塗液が切れてしまう経験的ラインである。
下から2番目のラインL3は、理論上、塗液が切れてしまうキレ領域ラインである。塗液は、低粘度である場合、塗液が切れずに流れるが、高粘度である場合、塗液は流れにくく、切れてしまう。すなわち、理論上のキレ領域ラインの作成にあたっては、Kの値が低粘度側である場合(K=0.025)と、高粘度側にある場合(K=0.225)とで異なってしまうため、低粘度又は高粘度のいずれでも塗布成膜できるように、安全上、高粘度側のK=0.225で規定されるラインである。
図4(a)及び(b)に示すように、本発明に係る電子写真感光体10は、ドラム状(円筒状)の長尺な導電性基体1と、当該導電性基体1上に形成された感光層2と、を有している。感光層2は、電荷発生層2a及び電荷輸送層2bから構成されていてもよいし、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層として構成されていてもよいが、電荷発生層2a及び電荷輸送層2bの2層構造を有していることが好ましい。
導電性基体は、ドラム状(円筒状)で、その軸方向両端部に空洞を有している。導電性基体の軸方向両端部の内周面には、インロー加工部が形成されていてもよい。インロー加工部は、電子写真感光体にフランジを取り付ける際に、フランジを嵌める部分である。
また、導電性基体のインロー加工部から面取り開始点位置までの距離は、外側面取り量と、上述のインロー径の関係に合う範囲で、適宜設定することが好ましい。導電性基体の外径によって好ましい範囲が異なるが、例えば、外径がφ30mmの場合は、0.70〜0.74mmの範囲内であることが好ましい。
上述したように、感光層は、感光層の機能(電荷発生機能及び電荷輸送機能)を、電荷発生層と電荷輸送層とに分離させた層構成のものがより好ましい。機能分離型の層構成によれば、繰り返し使用にともなう残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。
負帯電性感光体では、下引き層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとる。正帯電性感光体では、下引き層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。
感光層の好ましい態様は、機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
ここでは、感光層の具体例として、機能分離型の負帯電性感光体の感光層の各層について説明する。
電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)を含有するものである。
電荷発生物質としては、スーダンレッドやダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料や、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン及びチタニルフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも700nm以上に感度を有するフタロシアニン系顔料が好ましく、中でもチタニルフタロシアニン系顔料、特にY−チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料で、780nmに非常に大きな吸収を有する。Y−TiOPcと記載する。)を含有することが好ましいが、電荷発生物質はこれらに限定されるものではない。
重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)を含有するものである。
電荷輸送物質としては、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの化合物を単独又は2種類以上混合して使用することができる。
なお、電荷輸送層形成用の塗液を調製するのに使用する溶媒としては、上記のものに限定されるものではない。
本発明に係る電子写真感光体は、導電性基体と感光層との間に下引き層を有していてもよい。下引き層は、バリア機能及び接着機能を有している。
下引き層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて、上述した電荷発生層と同様の公知の塗布方法によって形成される。バインダー樹脂としては、アルコール可溶性のポリアミド樹脂を使用するのが好ましい。
これら金属酸化物は、1種類で使用されてもよいし、2種類以上が混合され使用されてもよい。2種類以上が混合され使用される場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。このような金属酸化物は、微粒子の状態で下引き層に含有されることが好ましく、その場合、個数平均1次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
当該金属酸化物の個数平均1次粒径の測定方法は、表面保護層に含有される金属酸化物微粒子のそれと同様である(後述参照。)。
具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数2〜4のアルコール類が挙げられる。これらアルコール類は、バインダー樹脂として公的なポリアミド樹脂に対し良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
かかる溶媒には、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、以下のような助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、ホモミキサーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層は、少なくとも架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂と金属酸化物微粒子とで構成されていることが好ましい。また、表面保護層は、必要に応じて、公知の電荷輸送物質、滑剤粒子や各種の酸化防止剤などを含有してもよい。
表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基を二つ以上有するラジカル重合性の化合物が挙げられ、ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有するラジカル重合性単量体が好ましい。
が、ラジカル重合性単量体はこれらに限定されるものではない。
ここで、Rは下記アクリロイル基、R′は下記メタクリロイル基を表す。
表面保護層には、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。
金属酸化物微粒子としては、酸化スズ微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子及び酸化アルミニウム微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子の個数平均1次粒径は、1〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜100nmの範囲内である。
金属酸化物微粒子の個数平均1次粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く。)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均1次粒径として算出する。
水平方向フェレ径とは、金属酸化物微粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
表面保護層に含有される金属酸化物微粒子は、カップリング剤で修飾されたものであることが好ましく、更には反応性有機基を有するカップリング剤で表面修飾されたものがより好ましい。
金属酸化物微粒子を表面修飾するカップリング剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するカップリング剤が好ましく、これらのカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
カップリング剤としては、表面保護層の硬度を更に高くする目的で、反応性有機基を有するカップリング剤が好ましく、反応性有機基を有するカップリング剤としては、ラジカル重合性反応基を有するカップリング剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、架橋性の重合性化合物とも反応して強固な保護膜を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有するカップリング剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤の例としては、下記のような公知の化合物を挙げることができる。
S−2:CH2=CHSi(OCH3)3
S−3:CH2=CHSiCl3
S−4:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−5:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OCH3)3
S−6:CH2=CHCOO(CH2)2Si(OC2H5)(OCH3)2
S−7:CH2=CHCOO(CH2)3Si(OCH3)3
S−8:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−9:CH2=CHCOO(CH2)2SiCl3
S−10:CH2=CHCOO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−11:CH2=CHCOO(CH2)3SiCl3
S−12:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)(OCH3)2
S−13:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(OCH3)3
S−14:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)(OCH3)2
S−15:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OCH3)3
S−16:CH2=C(CH3)COO(CH2)2Si(CH3)Cl2
S−17:CH2=C(CH3)COO(CH2)2SiCl3
S−18:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(CH3)Cl2
S−19:CH2=C(CH3)COO(CH2)3SiCl3
S−20:CH2=CHSi(C2H5)(OCH3)2
S−21:CH2=C(CH3)Si(OCH3)3
S−22:CH2=C(CH3)Si(OC2H5)3
S−23:CH2=CHSi(OC2H5)3
S−24:CH2=C(CH3)Si(CH3)(OCH3)2
S−25:CH2=CHSi(CH3)Cl2
S−26:CH2=CHCOOSi(OCH3)3
S−27:CH2=CHCOOSi(OC2H5)3
S−28:CH2=C(CH3)COOSi(OCH3)3
S−29:CH2=C(CH3)COOSi(OC2H5)3
S−30:CH2=C(CH3)COO(CH2)3Si(OC2H5)3
S−31:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)2(OCH3)
S−32:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OCOCH3)2
S−33:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(ONHCH3)2
S−34:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH3)(OC6H5)2
S−35:CH2=CHCOO(CH2)2Si(C10H21)(OCH3)2
S−36:CH2=CHCOO(CH2)2Si(CH2C6H5)(OCH3)2
表面修飾するに際して、金属酸化物微粒子100質量部に対し、カップリング剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して表面修飾することが好ましい。乾式でも表面修飾することができる。
分散型装置の構成としては、金属酸化物微粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置では、ボール又はビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕及び分散が行われる。
ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用し得るが、0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
上述した表面修飾金属酸化物微粒子は、架橋性の重合性化合物100質量部に対して、30〜250質量部の範囲内で含有されることが、表面保護層の耐摩耗性向上の観点から好ましい。
表面保護層を形成する場合は、溶媒に架橋性の重合性化合物、表面修飾金属酸化物微粒子、必要に応じて、その他の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤などを添加して塗液を調製し、塗液を感光層上に一定の厚さで塗布して塗膜を形成し、塗膜を自然乾燥又は熱乾燥させることにより硬化処理(重合反応)され形成することができる。
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法などにより重合反応を行うことができる。
ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
これらの重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の含有量は、架橋性の重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部の範囲内であり、より好ましくは0.5〜20質量部の範囲内である。
表面保護層には、これらの他に必要に応じて滑剤粒子、酸化防止剤などを含有させてもよい。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
表面保護層の重合反応では、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生させて重合させ、かつ、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成させて硬化させ、硬化樹脂を生成することが好ましい。
活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使いやすさなどの見地から紫外線が特に好ましい。
例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LEDなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cm2の範囲内、好ましくは5〜15mJ/cm2の範囲内である。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5〜3kWの範囲内である。
表面保護層の乾燥条件は、塗液に使用する溶媒の種類や表面保護層の厚さなどにより適宜選択することが可能である。
乾燥温度は、室温(25℃)〜180℃の範囲内が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。乾燥時間は、1〜200分が好ましく、5〜100分が特に好ましい。上記乾燥条件で表面保護層を乾燥させることにより、表面保護層に含有される溶媒量を20〜75ppmの範囲内に制御することができる。
本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造された電子写真感光体を使用した画像形成装置は、少なくとも、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する。さらに、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものが挙げられる。
画像形成装置500は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21と、定着手段24とからなる。画像形成装置500の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、1次転写手段としての1次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
画像形成装置500は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkの少なくとも一つとして、上記した本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造された感光体を用いる。
以下のようにして、電子写真感光体101及び102を作製した。
(被塗工体の作製)
(1)導電性基体の準備
円筒型アルミニウム支持体(JIS A 6063系)を外径φ29.96mm、長さ360mmとなるように表面を切削加工し、洗浄して導電性基体を準備した。
下記組成物をサンドミルを用いて10時間分散を行った。その後、同一溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜放置後にリジメッシュ5μmフィルタにてろ過し、中間層形成用塗液を調製した。
この塗液を導電性支持体上に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにして浸漬塗布法にて塗布し、中間層を形成した。
100質量部
無機微粒子:酸化チタン(STM500SAS:テイカ社製) 300質量部
溶媒:エタノール 1440質量部
溶媒:1−プロパノール 360質量部
下記組成物を混合し、サンドミルを用い10時間分散し、電荷発生層形成用塗液を調製した。
この塗液を中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが0.3μmの電荷発生層を形成した。
電荷発生物質:Y−チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有する)
20質量部
溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
下記組成物を溶解、混合して、電荷輸送層形成用塗液を調製した。
この塗液を電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが16μmの電荷輸送層を形成し、外径φ30mmの被塗工体を作製した。
145.0質量部
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 116.0質量部
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン 11.6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン 711.4質量部
溶媒:トルエン 173.4質量部
添加剤:シリコーンオイル(KF−96、信越化学社製) 0.071質量部
下記組成の表面保護層形成用塗液を調製した。
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 60質量部
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン 6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン 808質量部
溶媒:トルエン 197質量部
添加剤:シリコーンオイル(KF−96、信越化学社製) 0.12質量部
粘度(25℃)は、回転型粘度計(東機産業社製 TVB15形粘度計)を用いて測定した。
上記円形スライドホッパー塗布装置は、あらかじめ、各コーターに表面保護層形成用塗液を送液して、連結管の液面高さをコーターの塗液吐出口位置より1.5m高くし、その後バルブを閉め、空気が封入された状態とした。
また、供液管の内径はφ3mm、連結管の内径はφ4.0mmとした。
上記調製した表面保護層形成用塗液は乾燥速度が遅いため、K=0.7とした。このとき、K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2=299μmであり、ウェット膜厚の設定値である120μmは、これより小さくなっていることを確認した。
電子写真感光体101の作製において、円形スライドホッパー塗布装置として、各供液管が連結管により連結されていないものを用いた以外は同様にして、電子写真感光体102を作製した。
〈表面保護層の厚さ〉
作製した各電子写真感光体について、各コーターにおいて同様の電子写真感光体を連続して1000本作製し、50本ごとに1本、計20本についての表面保護層の厚さを渦電流方式の膜厚測定器「ISOSCOPE FMP30型」((株)フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて測定し、平均値を算出した。
測定結果を表Iに示す。
表Iから明らかなように、本発明の電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体は、表面保護層の平均膜厚の差が最大で0.3μmであるのに対し、比較例の電子写真感光体は、表面保護層の平均膜厚の差が最大で1.0μmとなっている。
以上から、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜する電子写真感光体の製造方法が、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とすることに有用であることが確認された。
110 貯留タンク
111 配管
120 供液ポンプ
121 配管
122 分流器
123、124 供液管
125 連結管
126 バルブ
130 コーター
131 塗液吐出口
132 塗液分配スリット
133 塗液分配室
134 スライド面
135 配管
136 バルブ
140 基材
150 エアベアリング
CL 塗液
F 塗膜
L1〜L4 ライン
Claims (4)
- 1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、
前記供液ポンプから前記複数基のコーターへ前記塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、前記連結管内に前記塗液と気体とを封入するとともに、前記連結管内の液面高さを前記コーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。 - 前記供液管の内径を全て同一とし、
前記連結管の内径を前記供液管の内径より大きくし、かつ、
前記連結管内の液面高さを前記塗液吐出口の位置より1m以上高くすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。 - 前記連結管の内径が、前記供液管の内径の1.2倍以上であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 下記関係式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
Q=w×πD×v … (1)
w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
(ここで、Q:塗液の供液流量、w:ウェット膜厚、D:被塗工体の外径、v:被塗工体の搬送速度、K:塗膜セッティング速度とタレ量とにより決定される係数であり、K=0.7、η:塗液粘度、ρ:塗液密度、g:重力加速度である。)
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