JP2018159802A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明の課題は、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする電子写真感光体の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の電子写真感光体の製造方法は、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関し、より詳しくは、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする電子写真感光体の製造方法に関する。
スライドホッパー塗布方式(例えば、特許文献1参照。)は、浸漬塗布方式とは異なり、供給された液量分が被塗工体に塗布成膜される塗布方式であり、膜厚管理のためには供給液量管理が重要である。そのため、供液ポンプを1基のコーターに対し1台準備することが理想であるが、設備に多大な費用が発生する。また、小径タイプのドラムや薄膜形成のための少量の送液において、脈動(ビート)を抑え、塗液を安定供給できる有機溶剤に対応する供液ポンプの選定には、かなりの制約がある。さらに、液体の少量流量計の設置も汎用品では市販されておらず、著しく高価であり、有機溶剤適用でその管理は甚だ困難である。
このため1台の供液ポンプで複数基のコーターに供液し、液量をかせぐことが考えられるが、この場合、圧力損失やコーターの詰まり等で供給液量のバランスがくずれ、各コーターで膜厚の異なる塗膜になる場面が起こり、所望の膜厚が得られないといった問題があった。
特開2013−257504号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することにより、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする電子写真感光体の製造方法を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、
前記供液ポンプから前記複数基のコーターへ前記塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、前記連結管内に前記塗液と気体とを封入するとともに、前記連結管内の液面高さを前記コーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
2.前記供液管の内径を全て同一とし、
前記連結管の内径を前記供液管の内径より大きくし、かつ、
前記連結管内の液面高さを前記塗液吐出口の位置より1m以上高くすることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
3.前記連結管の内径が、前記供液管の内径の1.2倍以上であることを特徴とする第2項に記載の電子写真感光体の製造方法。
4.下記関係式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
Q=w×πD×v … (1)
w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
(ここで、Q:塗液の供液流量、w:ウェット膜厚、D:被塗工体の外径、v:被塗工体の搬送速度、K:塗膜セッティング速度とタレ量とにより決定される係数であり、K=0.7、η:塗液粘度、ρ:塗液密度、g:重力加速度である。)
本発明の上記手段により、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
電子写真感光体の場合、例えば、表面層の膜形成においては数μmの薄い塗膜を均一に形成する必要がある。また、小径ドラム(例えば、外形φ30mm以下)の感光体では、その塗膜体積が甚だ少量となる。均一成膜のためにはある程度の液粘度が必要になるため、固形分濃度はそれにともないある程度維持する必要がある。
具体的には、例えば、固形分濃度が10.0体積%である塗液を用いて3μmの塗膜をつくるためには、ウェット膜厚が30μmとなり、これをφ30mmの被塗工体に塗布する場合、被塗工体の搬送速度をv=15mm/secとしたとき、供給液量Qは、
Q=3π×0.003×1.5(cm/sec)
=0.0424(cm/sec)
=2.54(cm/min)
となる。
このように非常に少量の液供給を脈動なしに安定供給するには、1台のポンプで複数基のコーターにまとめて送液し、供給液量を増やすことにより、脈動の安定化を図ることができる。この際、複数基のコーターに塗液を分配するにあたり、均一に液量を配分しなければならない。
ところで、コーターの構成の都合上、スリットギャップ(塗液の出口の隙間)をウェット膜厚と同等〜数倍にすることが求められる。例えば、上述の例ではウェット膜厚30μmで想定しているが、この場合、スリットギャップを50〜80μm程度にする必要がある。
このようにわずかな隙間しかないため、塗布実施中にいずれか1基のコーターで僅かな詰まり等が発生した場合、圧力損失となり複数基のコーターへの塗液の供給量バランスが崩れ、均一に分配できなくなってしまう。このような場合、前述のとおり供給液量そのものが膜厚に直結するため、コーター間での膜厚の不均一が起こることとなる。
そこで、本発明においては、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜する。
連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くすることで、コーターの塗液吐出口から連結管内の液面までの自重の力により脈動の安定化を図りつつ、流量の変動があっても連結管内の液面高さを維持する力が働き、その力で流量を一定にする力が働き、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするものと考えられる。
また、塗布継続による僅かな乾燥等により、各コーター間の供給液量の変動があった場合でも、液面高さが一定になろうとし、流量が各コーター間で均等になるような力が働くため、早期に詰まりをヘッド圧で解消しながら、長期間にわたって安定した塗布を可能とするものと考えられる。
本発明に係るスライドホッパー塗布装置を用いて被塗工体に塗膜を形成する方法を示す模式図 本発明に係るコーターの一例としての概略構成を示す断面図 η・vとwとの関係を示すグラフ (a)は本発明に係る電子写真感光体の側面図、(b)は(a)のC部分における拡大断面図 本発明に係る電子写真感光体の他の態様を示す部分的な拡大断面図 画像形成装置の一例としての概略構成を示す模式図
本発明の電子写真感光体の製造方法は、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、脈動を抑え、圧力バランスを安定化する観点から、供液管の内径を全て同一とし、連結管の内径を供液管の内径より大きくし、かつ、連結管内の液面高さを塗液吐出口の位置より1m以上高くすることが好ましく、更には、連結管の内径が供液管の内径の1.2倍以上であることがより好ましい。
また、供給された塗液を被塗工体に全て塗布・定着させる観点から、関係式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《電子写真感光体の製造方法》
本発明の電子写真感光体の製造方法は、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする。
以下、本発明の電子写真感光体の製造方法について、図面を用いて説明する。
なお、以下では、スライドホッパー塗布装置として、円筒状のコーターを有する円形スライドホッパー塗布装置を用いて説明するが、特にこれに限定されず、例えば、平状のコーターを有するスライドホッパー塗布装置を用いてもよい。また、説明を単純化するため、2基のコーターを有する場合について説明するが、これに限定されるものではない。
〈円形スライドホッパー塗布装置〉
図1に示すとおり、円形スライドホッパー塗布装置100は、塗液を貯留する貯留タンク110と、塗液CLを供給する供液ポンプ120と、円筒状の基材140の周囲を取り囲むように設けられた環状のコーター130と、を備えて構成されている。
供液ポンプ120と各コーター130との間には、塗液を分流する分流器122が設けられ、当該分流器122と各コーター130とが供液管123、124を介して接続されている。各供液管123、124の内径は、同一であることが好ましい。ここで、供液管の内径が全て同一であるとは、複数の供液管の内径が±1%以内に収まっていることをいう。
各供液管123、124は、一つの連結管125により連結されている。連結管125の内径は、コーター130の塗液吐出口131から連結管125内の液面までの塗液の自重の力を大きくする観点から、供液管123、124の内径より大きいことが好ましく、供液管123、124の内径の1.2倍以上であることがより好ましい。上限としては、特に制限されないが、連結管125設置の制約上、供液管123、124の内径の10倍以下であることが好ましい。
なお、ここで、基材140とは、電子写真感光体の各層形成用塗液が塗布されるべき基材であり、例えば、導電性基体や、導電性基体上に電荷発生層が形成されたもの、導電性基体上に電荷発生層及び電荷輸送層が形成されたもの等が挙げられ、図1では、基材140が導電性基体である場合を示している。
図2に示すように、コーター130には、基材140側に開口する塗液吐出口131を有する幅狭の塗液分配スリット132が基材140の長手方向に対して垂直な方向に沿って、環状のコーター130の全周にわたって形成されている。この塗液分配スリット132は、環状の塗液分配室133に連通し、この塗液分配室133には、貯留タンク110内の塗液CLが供液ポンプ120により供液管123、124を介して供給されるように形成されている。
塗液分配スリット132の塗液吐出口131の下部には、連続して下方に傾斜したスライド面134が形成されている。
塗液分配室133上部には、エア抜き用の配管135が設けられている。
〈円形スライドホッパー塗布方式〉
次いで、上述した円形スライドホッパー塗布装置100を用いた、円形スライドホッパー塗布方式による電子写真感光体の製造方法について説明する。
まず、連結管125上部及びコーター130上部に設けられたバルブ126、136を開状態とし、この状態で貯留タンク110内の塗液CLを円形スライドホッパー塗布装置100内に送液する。より具体的には、塗液CLを貯留タンク110から配管111を介して供液ポンプ120に送液する。この塗液CLは、まず、供液ポンプ120により、配管121を介して、分流器122に圧送される。その後、分流器122に圧送された塗液CLは、分流器122により均等に分配されて、供給管123、124、連結管125、及びコーター130に圧送される。
連結管125内の液面高さがコーター130の塗液吐出口131の高さよりも高くなるように調整し、その後、バルブ126、136を閉状態とする。この際、連結管125内上部は、気体が残った(各コーター130に対し、それぞれ対応する液面が存在する)状態とする。
この連結管125内の液面高さは、塗液吐出口131の位置の高さよりも1m以上高くすることが好ましい。1m以上であれば、塗液吐出口131におけるヘッド圧分の効果が大きく、圧力バランスがくずれにくい。上限としては、特に制限されてないが、供液ポンプ120の送液能や塗布装置100のスケールの観点から、実用上10m以下であることが好ましい。
連結管125内上部に封入する気体としては、特に制限されず、空気、不活性ガス等が挙げられる。
コーター130からバルブ136までは、塗液CLが満たされた状態とする。また、エア抜きを効果的に行う観点から、塗液分配スリット132をバルブ136に向かって傾斜するように設けてもよい。
この状態で、塗液CLを各コーター130に供給しつつ、基材140をエアベアリング150によって矢印方向Xに移動させる。塗液吐出口131から押し出された塗液CLは、スライド面134に沿って流下する。スライド面134先端に至った塗液CLは、スライド面134と基材140との間にビードと呼ばれる塗液溜まりを形成し、このビードを介して、基材140上に高精度の塗布が行われ、塗膜Fが形成される。
以上によれば、コーターの塗液吐出口131の位置の高さから連結管125内の液面までの塗液CLの自重の力が大きいため、塗布継続による僅かな乾燥等により流量の変動があっても、各供液管123、124に連結された連結管125内の液面高さを維持する力が働き、その力で流量を一定にする力が働き、複数基のコーター130間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とする。
なお、コーター130の塗液吐出口131の位置の高さより下に連結管125内の液面高さがある場合、流量に差があったときには差圧ΔPとして観測される。したがって、この二つの配管系(液面高さが塗液吐出口131の位置の高さよりも高くなる連結管125と低くなる連結管)を併用すれば、流量変化に差が発生した場合、ΔPの変化から高揚程配管の効果を確認することが可能である。
このような円形スライドホッパー塗布装置200を用いた塗布方法では、スライド面134先端と基材140とは、ある間隙(例えば、約20μm〜2mm)を持って配置されているため、基材140を傷つけることなく、また、性質の異なる層を多層形成させる場合においても、既に塗布された層を損傷することなく塗布できる。
さらに、性質が異なり同一溶媒に溶解する層を多層形成させる際にも、浸漬コーティング方法と比べて溶媒に接する時間がはるかに短いので、下層成分が上層側へほとんど溶出せず、浸漬塗布時のように塗布槽にも溶出することなく塗布できるので、例えば、金属酸化物微粒子の分散性を劣化させずに塗布することができる。
また、円形スライドホッパー塗布方式において、下記関係式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
Q=w×πD×v … (1)
w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
ここで、Q:塗液の供液流量、w:ウェット膜厚、D:被塗工体の外径、v:被塗工体の搬送速度、K:塗膜セッティング速度とタレ量とにより決定される係数であり、K=0.7、η:塗液粘度、ρ:塗液密度、g:重力加速度である。
以下、図面を用いて説明する。
図3は、η・vとウェット膜厚wとの関係を示すグラフである。
図3において、一番上のラインL1は、ディッピング(浸漬)領域に該当するものであり、K=1.0に相当するものである。この領域では、スライドホッパー塗布領域にはならず、流量過剰状態であるため流量を管理する必要がないが、実際には、塗膜セッティング速度とタレ量との競争でK=1.0の状態を得ることは困難である。
一番下のラインL4は、供給液量の限界であり、供給液量が少なすぎて塗液が切れてしまう経験的ラインである。
下から2番目のラインL3は、理論上、塗液が切れてしまうキレ領域ラインである。塗液は、低粘度である場合、塗液が切れずに流れるが、高粘度である場合、塗液は流れにくく、切れてしまう。すなわち、理論上のキレ領域ラインの作成にあたっては、Kの値が低粘度側である場合(K=0.025)と、高粘度側にある場合(K=0.225)とで異なってしまうため、低粘度又は高粘度のいずれでも塗布成膜できるように、安全上、高粘度側のK=0.225で規定されるラインである。
すなわち、ラインL1とラインL3とで挟まれた領域に規定されるラインとなるようにKの値を規定すれば、安定した塗布成膜を実現することが可能となるが、本発明においては、K=0.7(ラインL2)であることが好ましいものである。このK=0.7とは、溶媒が蒸発して塗膜が定着することと、塗膜が定着する前に塗液が重力で垂れる量(タレ量)とのバランスがとれた状態、すなわち、供給された塗液が、被塗工体である基材に全て塗布・定着される領域を規定するものである。
《電子写真感光体》
図4(a)及び(b)に示すように、本発明に係る電子写真感光体10は、ドラム状(円筒状)の長尺な導電性基体1と、当該導電性基体1上に形成された感光層2と、を有している。感光層2は、電荷発生層2a及び電荷輸送層2bから構成されていてもよいし、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層として構成されていてもよいが、電荷発生層2a及び電荷輸送層2bの2層構造を有していることが好ましい。
また、本発明の電子写真感光体10は、図5に示すとおり、後述する下引き層3、表面保護層4等を有していてもよい。表面保護層5には、金属酸化物微粒子5が含有されている。
〈導電性基体〉
導電性基体は、ドラム状(円筒状)で、その軸方向両端部に空洞を有している。導電性基体の軸方向両端部の内周面には、インロー加工部が形成されていてもよい。インロー加工部は、電子写真感光体にフランジを取り付ける際に、フランジを嵌める部分である。
導電性基体の外径は、20〜120mmの範囲内であることが好ましく、24〜100mmの範囲内であることが好ましい。導電性基体の外径は、実用面から24mm以上であることが好ましい。
導電性基体のインロー加工部を除く部分の平均肉厚は、2mm以下であることが好ましく、1.5mm以下であることがより好ましい。また、外径がφ60mm以下であれば1.0mm以下がさらに好ましい。
インロー加工部を設ける場合、インロー加工部の直径は、表面切削後外径−1.4〜表面切削後外径−2.2mmの範囲内であることが好ましい。
また、導電性基体のインロー加工部から面取り開始点位置までの距離は、外側面取り量と、上述のインロー径の関係に合う範囲で、適宜設定することが好ましい。導電性基体の外径によって好ましい範囲が異なるが、例えば、外径がφ30mmの場合は、0.70〜0.74mmの範囲内であることが好ましい。
導電性基体の振れ精度(寸法精度)は、0.05mm以下であることが好ましく、0.03mm以下であることがより好ましい。
導電性基体の軸方向の長さは、220〜500mmの範囲内であることが好ましい。
導電性基体の表面粗さRtは、好ましくは0.6μm以上であり、より好ましくは0.8〜1.4μmの範囲内である。「表面粗さRt」とは、JIS B 0601:2001に準拠するパラメーターであって、JIS規格による粗さ曲線の最大断面高さである。
導電性基体(原管)の材料としては、種々の材料を用いることができるが、一般的には、電気伝導率、加工性及び製造コストの点から、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられ、中でも、JIS A 1000系、3000系(Al−Mn系合金)、5000系(Al−Mg系合金)又は6000系(Al−Mg−Si系合金)が好ましい。
〈感光層〉
上述したように、感光層は、感光層の機能(電荷発生機能及び電荷輸送機能)を、電荷発生層と電荷輸送層とに分離させた層構成のものがより好ましい。機能分離型の層構成によれば、繰り返し使用にともなう残留電位の上昇を小さく制御できる他、各種の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすいメリットがある。
負帯電性感光体では、下引き層の上に電荷発生層、その上に電荷輸送層を設ける構成をとる。正帯電性感光体では、下引き層の上に電荷輸送層、その上に電荷発生層を設ける構成をとる。
感光層の好ましい態様は、機能分離構造を有する負帯電性感光体である。
ここでは、感光層の具体例として、機能分離型の負帯電性感光体の感光層の各層について説明する。
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生物質(CGM)を含有するものである。
電荷発生物質としては、スーダンレッドやダイアンブルーなどのアゾ原料、ピレンキノンやアントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴなどのインジゴ顔料や、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン及びチタニルフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも700nm以上に感度を有するフタロシアニン系顔料が好ましく、中でもチタニルフタロシアニン系顔料、特にY−チタニルフタロシアニン(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で、少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン顔料で、780nmに非常に大きな吸収を有する。Y−TiOPcと記載する。)を含有することが好ましいが、電荷発生物質はこれらに限定されるものではない。
これらの電荷発生物質は、単独又は公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
電荷発生層を形成するバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、及びこれらの樹脂のうち二つ以上を含む共
重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリビニルカルバゾール樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層を形成する場合は、バインダー樹脂を溶媒で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散させて塗液を調製し、塗液を導電性基体上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられるが、特に本発明では、円形スライドホッパー塗布装置を用いた円形スライドホッパー法が好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層に使用するバインダー樹脂を溶解し塗布するための溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、ホモミキサーなどが使用できるが、これらに限定されるものではない。
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷発生物質1〜600質量部の範囲内が好ましく、50〜500質量部の範囲内がより好ましい。
電荷発生層の厚さは、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性、混合割合などにより異なるが、0.01〜5μmの範囲内が好ましく、0.05〜3μmの範囲内がより好ましい。
なお、電荷発生層形成用塗液は、塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、電荷輸送物質(CTM)を含有するものである。
電荷輸送物質としては、公知の化合物を用いることが可能で、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの化合物を単独又は2種類以上混合して使用することができる。
これらの電荷輸送物質は、単独又は公知のバインダー樹脂中に分散させる形態で使用することができる。
電荷輸送層用のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることが可能で、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などが挙げられる。これらの中でもポリカーボネート樹脂が好ましく、さらに、ビスフェノールA(BPA)、ビスフェノールZ(BPZ)、ジメチルBPAタイプのポリカーボネート樹脂、BPA−ジメチルBPA共重合体などのタイプのポリカーボネート樹脂が耐クラック性、耐摩耗性、帯電特性の観点から好ましいものである。
電荷輸送層を形成する場合は、バインダー樹脂と電荷輸送物質とを溶媒に溶解させて塗液を調製し、塗液を電荷発生層上に一定の層厚に塗布して塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられるが、特に本発明では、後述の円形スライドホッパー塗布装置を用いた円形スライドホッパー法が好ましい。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、層厚に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
上記バインダー樹脂と電荷輸送物質を溶解する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどが挙げられる。
なお、電荷輸送層形成用の塗液を調製するのに使用する溶媒としては、上記のものに限定されるものではない。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との混合比率は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質を10〜500質量部の範囲内とすることが好ましく、20〜100質量部の範囲内とすることがより好ましい。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質やバインダー樹脂の特性、これらの混合比などにより異なるが、5〜40μmの範囲内が好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
電荷輸送層中には、公知の酸化防止剤を添加することが可能で、例えば、特開2000−305291号公報記載の酸化防止剤が使用できる。
〈下引き層〉
本発明に係る電子写真感光体は、導電性基体と感光層との間に下引き層を有していてもよい。下引き層は、バリア機能及び接着機能を有している。
下引き層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンなどのバインダー樹脂を公知の溶媒に溶解させて、上述した電荷発生層と同様の公知の塗布方法によって形成される。バインダー樹脂としては、アルコール可溶性のポリアミド樹脂を使用するのが好ましい。
下引き層には、抵抗調整の目的で、金属酸化物が含有させることもできる。同様に、下引き層には、抵抗調整の目的で、各種導電性微粒子などの無機微粒子が含有されてもよい。金属酸化物としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマスなどが挙げられる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ及び酸化ジルコニウムなどの超微粒子も用いることができる。
これら金属酸化物は、1種類で使用されてもよいし、2種類以上が混合され使用されてもよい。2種類以上が混合され使用される場合には、固溶体又は融着の形態をとってもよい。このような金属酸化物は、微粒子の状態で下引き層に含有されることが好ましく、その場合、個数平均1次粒径が0.3μm以下のものが好ましく、0.1μm以下のものがより好ましい。
当該金属酸化物の個数平均1次粒径の測定方法は、表面保護層に含有される金属酸化物微粒子のそれと同様である(後述参照。)。
下引き層の形成に使用可能な溶媒としては、前述した導電性微粒子や金属酸化物などの無機微粒子を良好に分散させ、ポリアミド樹脂をはじめとするバインダー樹脂を溶解するものが好ましい。
具体的には、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、tert−ブタノール、sec−ブタノールなどの炭素数2〜4のアルコール類が挙げられる。これらアルコール類は、バインダー樹脂として公的なポリアミド樹脂に対し良好な溶解性と塗布性能を発現させることから好ましい。
かかる溶媒には、保存性や無機微粒子の分散性を向上させるために、以下のような助溶剤を併用することができる。好ましい効果が得られる助溶媒としては、例えば、メタノール、ベンジルアルコール、トルエン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
塗液形成時のバインダー樹脂濃度は、下引き層の厚さなどに合わせて適宜選択することができる。
無機微粒子を分散させるとき、バインダー樹脂に対する無機微粒子の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、無機微粒子を20〜400質量部の範囲内とすることが好ましく、50〜200質量部の範囲内とすることがより好ましい。
無機微粒子の分散手段は、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー、ホモミキサーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
下引き層の乾燥方法は、溶媒の種類や形成する厚さに応じて公知の乾燥方法を適宜選択することができ、特に熱乾燥が好ましい。
下引き層の厚さは、好ましくは1〜30μmの範囲内であり、より好ましくは0.1〜15μmの範囲内であり、更に好ましくは0.3〜10μmの範囲内である。
〈表面保護層〉
表面保護層は、少なくとも架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂と金属酸化物微粒子とで構成されていることが好ましい。また、表面保護層は、必要に応じて、公知の電荷輸送物質、滑剤粒子や各種の酸化防止剤などを含有してもよい。
表面保護層は、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂をバインダー樹脂として含有する。表面保護層では、架橋性の重合性化合物を重合して得られた樹脂の他に、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂などの公知の樹脂を併用して用いることができる。
(1)架橋性の重合性化合物
表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基を二つ以上有するラジカル重合性の化合物が挙げられ、ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合性反応基として、アクリロイル基又はメタクリロイル基の少なくともいずれかを有するラジカル重合性単量体が好ましい。
これらのラジカル重合性単量体としては、例えば以下の化合物を例示することができる
が、ラジカル重合性単量体はこれらに限定されるものではない。
Figure 2018159802
Figure 2018159802
上記のラジカル重合性単量体は公知であり、市販品として入手できる。
ここで、Rは下記アクリロイル基、R′は下記メタクリロイル基を表す。
Figure 2018159802
(2)金属酸化物微粒子
表面保護層には、金属酸化物微粒子が含有されていることが好ましい。
金属酸化物微粒子としては、酸化スズ微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化チタン微粒子及び酸化アルミニウム微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子の個数平均1次粒径は、1〜300nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜100nmの範囲内である。
(2.1)金属酸化物微粒子の個数平均1次粒径の測定法
金属酸化物微粒子の個数平均1次粒径は、走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除く。)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均1次粒径として算出する。
水平方向フェレ径とは、金属酸化物微粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
(2.2)金属酸化物微粒子の表面修飾
表面保護層に含有される金属酸化物微粒子は、カップリング剤で修飾されたものであることが好ましく、更には反応性有機基を有するカップリング剤で表面修飾されたものがより好ましい。
(2.2.1)カップリング剤
金属酸化物微粒子を表面修飾するカップリング剤としては、金属酸化物微粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応するカップリング剤が好ましく、これらのカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などが挙げられる。
カップリング剤としては、表面保護層の硬度を更に高くする目的で、反応性有機基を有するカップリング剤が好ましく、反応性有機基を有するカップリング剤としては、ラジカル重合性反応基を有するカップリング剤が好ましい。これらのラジカル重合性反応基は、架橋性の重合性化合物とも反応して強固な保護膜を形成することができる。
ラジカル重合性反応基を有するカップリング剤としては、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などのラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤が好ましく、このようなラジカル重合性反応基を有するシランカップリング剤の例としては、下記のような公知の化合物を挙げることができる。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSiCl
S−4:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6:CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9:CH=CHCOO(CHSiCl
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=CHSi(C)(OCH
S−21:CH=C(CH)Si(OCH
S−22:CH=C(CH)Si(OC
S−23:CH=CHSi(OC
S−24:CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25:CH=CHSi(CH)Cl
S−26:CH=CHCOOSi(OCH
S−27:CH=CHCOOSi(OC
S−28:CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29:CH=C(CH)COOSi(OC
S−30:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−31:CH=CHCOO(CHSi(CH(OCH
S−32:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCOCH
S−33:CH=CHCOO(CHSi(CH)(ONHCH
S−34:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OC
S−35:CH=CHCOO(CHSi(C1021)(OCH
S−36:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
シランカップリング剤としては、上記S−1〜S−36以外でも、ラジカル重合可能な反応性有機基を有するシラン化合物を用いてもよい。これらのシランカップリング剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
(2.2.2)金属酸化物微粒子の表面修飾方法
表面修飾するに際して、金属酸化物微粒子100質量部に対し、カップリング剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して表面修飾することが好ましい。乾式でも表面修飾することができる。
以下、均一にカップリング剤で表面修飾された金属酸化物微粒子を製造する表面修飾方法について説明する。
金属酸化物微粒子とカップリング剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると同時に微粒子の表面修飾が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化することで、均一にカップリング剤により表面修飾された金属酸化物微粒子を得ることができる。
表面修飾装置である湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置である。
分散型装置の構成としては、金属酸化物微粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物微粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式など、種々の様式が採用できる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミルなどが使用できる。これらの分散型装置では、ボール又はビーズなどの粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力などにより微粉砕及び分散が行われる。
上記湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。
ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用し得るが、0.1〜1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用できるが、特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁を使用するのが好ましい。
以上のような湿式処理により、カップリング剤によって表面修飾された金属酸化物微粒子を得ることができる。
上述した表面修飾金属酸化物微粒子は、架橋性の重合性化合物100質量部に対して、30〜250質量部の範囲内で含有されることが、表面保護層の耐摩耗性向上の観点から好ましい。
(3)表面保護層の形成
表面保護層を形成する場合は、溶媒に架橋性の重合性化合物、表面修飾金属酸化物微粒子、必要に応じて、その他の樹脂、重合開始剤、滑剤粒子、酸化防止剤などを添加して塗液を調製し、塗液を感光層上に一定の厚さで塗布して塗膜を形成し、塗膜を自然乾燥又は熱乾燥させることにより硬化処理(重合反応)され形成することができる。
表面保護層形成用塗液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法などの公知の方法が挙げられるが、特に本発明では、後述の円形スライドホッパー塗布装置を用いた円形スライドホッパー法が好ましい。
表面保護層の厚さは、0.2〜10μmの範囲内が好ましく、0.5〜6μmの範囲内がより好ましい。
(3.1)溶媒
表面保護層の形成に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、ベンジルアルコール、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(3.2)重合開始剤
表面保護層に使用可能な架橋性の重合性化合物を重合反応させる方法としては、電子線開裂反応を利用する方法やラジカル重合開始剤の存在下で光や熱を利用する方法などにより重合反応を行うことができる。
ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を行う場合、重合開始剤として光重合開始剤、熱重合開始剤のいずれも使用することができる。また、光、熱の両方の開始剤を併用することもできる。
熱重合開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルアゾビスバレロニリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物、過酸化ベンゾイル(BPO)、ジ−tert−ブチルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイルなどの過酸化物などの熱重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1(イルガキュア369:BASFジャパン社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどのアセトフェノン系又はケタール系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニルエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどのベンゾフェノン系光重合開始剤、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどのチオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
その他の光重合開始剤としては、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキしド(イルガキュア819:BASFジャパン社製)、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物及びイミダゾール系化合物が挙げられる。
また、光重合促進効果を有するものを単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノンなどが挙げられる。
表面保護層に用いられる重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましく、アルキルフェノン系化合物及びホスフィンオキシド系化合物が好ましく、更に好ましくは、α−ヒドロキシアセトフェノン構造又はアシルホスフィンオキシド構造を有する開始剤が好ましい。
これらの重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
重合開始剤の含有量は、架橋性の重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部の範囲内であり、より好ましくは0.5〜20質量部の範囲内である。
(3.3)その他の添加剤
表面保護層には、これらの他に必要に応じて滑剤粒子、酸化防止剤などを含有させてもよい。
滑剤粒子としては、例えば、フッ素原子含有樹脂粒子が挙げられる。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
(3.4)表面保護層の重合反応
表面保護層の重合反応では、塗膜に活性線を照射してラジカルを発生させて重合させ、かつ、分子間及び分子内で架橋反応による架橋結合を形成させて硬化させ、硬化樹脂を生成することが好ましい。
活性線としては、紫外線、可視光などの光や電子線が好ましく、使いやすさなどの見地から紫外線が特に好ましい。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。
例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン、紫外線LEDなどを用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常1〜20mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜15mJ/cmの範囲内である。光源の出力電圧は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5〜3kWの範囲内である。
電子線源としては、電子線照射装置に格別の制限はなく、一般にはこのような電子線照射用の電子線加速機として、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、100〜300kVの範囲内であることが好ましい。吸収線量としては0.005Gy〜100kGy(0.5rad〜10Mrad)の範囲内であることが好ましい。
活性線の照射時間は、活性線の必要照射量が得られる時間であり、具体的には0.1秒〜10分が好ましく、重合効率又は作業効率の観点から1秒〜5分がより好ましい。
表面保護層の形成では、活性線の照射前後及び活性線を照射中に、表面保護層を乾燥処理することができ、乾燥を行うタイミングは活性線の照射条件と組み合わせて適宜選択することができる。
表面保護層の乾燥条件は、塗液に使用する溶媒の種類や表面保護層の厚さなどにより適宜選択することが可能である。
乾燥温度は、室温(25℃)〜180℃の範囲内が好ましく、80〜140℃の範囲内が特に好ましい。乾燥時間は、1〜200分が好ましく、5〜100分が特に好ましい。上記乾燥条件で表面保護層を乾燥させることにより、表面保護層に含有される溶媒量を20〜75ppmの範囲内に制御することができる。
以上のようにして感光層上に表面保護層を設けることにより、感光体表面の硬度を上げ、耐摩耗性を向上させ耐久性を向上させることができる。
《画像形成装置》
本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造された電子写真感光体を使用した画像形成装置は、少なくとも、感光体の表面を帯電させる帯電手段と、感光体の表面に静電潜像を形成する露光手段、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、を有する。さらに、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えてなるものが挙げられる。
図6は、画像形成装置の一例における構成を示す説明用断面図である。
画像形成装置500は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙手段21と、定着手段24とからなる。画像形成装置500の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、ドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、ドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、ドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、1次転写手段としての1次転写ローラー5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
画像形成装置500は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkの少なくとも一つとして、上記した本発明の電子写真感光体の製造方法によって製造された感光体を用いる。
4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkを中心に、帯電手段2Y、2M、2C及び2Bkと、露光手段3Y、3M、3C及び3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C及び4Bk、並びに感光体1Y、1M、1C及び1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C及び6Bkより構成されている。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで同じ構成であり、以下では画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yを一体化するように設けている。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段である。本発明においては、帯電手段としては、接触又は非接触のローラー帯電方式のものなどが挙げられる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又は、レーザー光学系などが用いられる。
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ、及び当該現像スリーブと感光体との間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
画像形成装置500としては、感光体と、現像手段、クリーニング手段などの構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkより形成された各色の画像は、1次転写手段としての1次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、及びレジストローラー23を経て、2次転写手段としての2次転写ローラー5bに搬送され、転写材P上に2次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材などの感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体という。
一方、2次転写手段としての2次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の1次転写ローラー5Y、5M及び5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M及び1Cに当接する。
2次転写ローラー5bは、ここを転写材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とからなる。
画像形成部10Y、10M、10C及び10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C及び1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73及び74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bk、並びにクリーニング手段6bとからなる。
なお、図6に示す画像形成装置500では、カラーのレーザープリンターを示したが、モノクロのレーザープリンターやコピーにも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
以上のような画像形成装置において使用されるトナーとしては、特に限定されないが、真球を100とする形状係数SFが140未満のトナーが好ましい。この形状係数SFが140未満であれば、良好な転写性等が得られ、得られる画像の画質が向上する。トナーを構成するトナー粒子は、高画質化の観点からすれば、その体積平均粒径が2〜8μmの範囲内であることが好ましい。
トナー粒子は、通常、結着樹脂及び着色剤が含有され、所望により離型剤が含有される。この結着樹脂、着色剤及び離型剤はいずれも、従来トナーに用いられている材料を用いることができ、特に制限されない。
上記のトナー粒子を製造する方法としては、特に制約されないが、例えば、通常の粉砕法や、分散媒中で作製する湿式溶融球形化法や、懸濁重合、分散重合、乳化重合凝集法等の既知の重合法などが挙げられる。
また、上記トナー粒子に、外添剤として、平均粒径10〜300nm程度のシリカ、チタニア等の無機微粒子、0.2〜3μm程度の研磨材を適宜量外添することができる。また、上記トナー粒子と、平均粒径25〜45μmの範囲内のフェライトビーズ等からなるキャリアを混合して2成分現像剤として用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《電子写真感光体の作製》
以下のようにして、電子写真感光体101及び102を作製した。
〈電子写真感光体101の作製〉
(被塗工体の作製)
(1)導電性基体の準備
円筒型アルミニウム支持体(JIS A 6063系)を外径φ29.96mm、長さ360mmとなるように表面を切削加工し、洗浄して導電性基体を準備した。
(2)中間層の形成
下記組成物をサンドミルを用いて10時間分散を行った。その後、同一溶媒を用いて2倍に希釈し、一夜放置後にリジメッシュ5μmフィルタにてろ過し、中間層形成用塗液を調製した。
この塗液を導電性支持体上に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにして浸漬塗布法にて塗布し、中間層を形成した。
バインダー:ポリアミド樹脂(ダイアミドX4685:ダイセル・エポニック社製)
100質量部
無機微粒子:酸化チタン(STM500SAS:テイカ社製) 300質量部
溶媒:エタノール 1440質量部
溶媒:1−プロパノール 360質量部
(3)電荷発生層の形成
下記組成物を混合し、サンドミルを用い10時間分散し、電荷発生層形成用塗液を調製した。
この塗液を中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが0.3μmの電荷発生層を形成した。
バインダー:ポリビニルブチラール樹脂(#6000−C) 10質量部
電荷発生物質:Y−チタニルフタロシアニン顔料(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で少なくとも27.3°の位置に最大回折ピークを有する)
20質量部
溶媒:酢酸t−ブチル 700質量部
溶媒:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン 300質量部
(4)電荷輸送層の形成
下記組成物を溶解、混合して、電荷輸送層形成用塗液を調製した。
この塗液を電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、乾燥後の厚さが16μmの電荷輸送層を形成し、外径φ30mmの被塗工体を作製した。
バインダー:ポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ−300: 三菱ガス化学社製)
145.0質量部
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 116.0質量部
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン 11.6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン 711.4質量部
溶媒:トルエン 173.4質量部
添加剤:シリコーンオイル(KF−96、信越化学社製) 0.071質量部
(表面保護層の形成)
下記組成の表面保護層形成用塗液を調製した。
バインダー:ポリカーボネート樹脂(TS2050、帝人株式会社製) 100質量部
電荷輸送物質:4,4′−ジメチル−4″−(β−フェニルスチリル)トリフェニルアミン 60質量部
酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン 6質量部
溶媒:テトラヒドロフラン 808質量部
溶媒:トルエン 197質量部
添加剤:シリコーンオイル(KF−96、信越化学社製) 0.12質量部
上記塗液は、粘度η=110mPa・sec、固形分濃度=10.9体積%、塗液密度ρ=0.92g/cmであった。
粘度(25℃)は、回転型粘度計(東機産業社製 TVB15形粘度計)を用いて測定した。
次いで、コーターを4基備え、各コーターに塗液を供液する供液管を連結管により1か所で連結した円形スライドホッパー塗布装置(図1参照。)を用いて、被塗工体上に表面保護層を形成した。
上記円形スライドホッパー塗布装置は、あらかじめ、各コーターに表面保護層形成用塗液を送液して、連結管の液面高さをコーターの塗液吐出口位置より1.5m高くし、その後バルブを閉め、空気が封入された状態とした。
また、供液管の内径はφ3mm、連結管の内径はφ4.0mmとした。
表面保護層のウェット膜厚の設定値(目標値)を120μm(ドライ膜厚13.1μm)とし、これからコーター4基分の供給液量を40.7ml/min、被塗工体の搬送速度を15mm/secとした。
上記調製した表面保護層形成用塗液は乾燥速度が遅いため、K=0.7とした。このとき、K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2=299μmであり、ウェット膜厚の設定値である120μmは、これより小さくなっていることを確認した。
次いで、外径φ30mmの被塗工体を搬送し、表面保護層形成用塗液を塗布し、表面保護層が形成された電子写真感光体101を作製した。
〈電子写真感光体102の作製〉
電子写真感光体101の作製において、円形スライドホッパー塗布装置として、各供液管が連結管により連結されていないものを用いた以外は同様にして、電子写真感光体102を作製した。
《評価》
〈表面保護層の厚さ〉
作製した各電子写真感光体について、各コーターにおいて同様の電子写真感光体を連続して1000本作製し、50本ごとに1本、計20本についての表面保護層の厚さを渦電流方式の膜厚測定器「ISOSCOPE FMP30型」((株)フィッシャー・インストルメンツ社製)を用いて測定し、平均値を算出した。
測定結果を表Iに示す。
Figure 2018159802
〈まとめ〉
表Iから明らかなように、本発明の電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体は、表面保護層の平均膜厚の差が最大で0.3μmであるのに対し、比較例の電子写真感光体は、表面保護層の平均膜厚の差が最大で1.0μmとなっている。
以上から、1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、連結管内に塗液と気体とを封入するとともに、連結管内の液面高さをコーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜する電子写真感光体の製造方法が、複数基のコーター間での膜厚ばらつきを抑制し均一な成膜を可能とするとともに、長期間にわたって安定した塗布を可能とすることに有用であることが確認された。
100 円形スライドホッパー塗布装置
110 貯留タンク
111 配管
120 供液ポンプ
121 配管
122 分流器
123、124 供液管
125 連結管
126 バルブ
130 コーター
131 塗液吐出口
132 塗液分配スリット
133 塗液分配室
134 スライド面
135 配管
136 バルブ
140 基材
150 エアベアリング
CL 塗液
F 塗膜
L1〜L4 ライン

Claims (4)

  1. 1台の供液ポンプから複数基のコーターへ塗液を供給するスライドホッパー塗布装置を用いた電子写真感光体の製造方法であって、
    前記供液ポンプから前記複数基のコーターへ前記塗液を供給する供液管を連結管を介して連結し、前記連結管内に前記塗液と気体とを封入するとともに、前記連結管内の液面高さを前記コーターの塗液吐出口の位置よりも高くして成膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記供液管の内径を全て同一とし、
    前記連結管の内径を前記供液管の内径より大きくし、かつ、
    前記連結管内の液面高さを前記塗液吐出口の位置より1m以上高くすることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 前記連結管の内径が、前記供液管の内径の1.2倍以上であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 下記関係式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体の製造方法。
    Q=w×πD×v … (1)
    w<K×{(η・v)/(ρ・g)}1/2 … (2)
    (ここで、Q:塗液の供液流量、w:ウェット膜厚、D:被塗工体の外径、v:被塗工体の搬送速度、K:塗膜セッティング速度とタレ量とにより決定される係数であり、K=0.7、η:塗液粘度、ρ:塗液密度、g:重力加速度である。)
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