JP2018159699A - 水素ガス中の不純物の濃縮キット、水素ガス中の不純物の濃縮方法、及び水素ガスの品質管理方法 - Google Patents

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郁枝 長谷
有紀 内原
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有紀 内原
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Tomonobu Momose
知信 百瀬
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Abstract

【課題】従来よりも簡便な構成で、水素ガス中の不純物を濃縮する。
【解決手段】水素ガス中の不純物の濃縮装置10は、シリカ膜11、及び容器13を備えている。容器13は、シリカ膜11を包み込んでいる。容器13には、試料ガス導入口18及び濃縮ガス排出口20が設けられている。試料ガス導入口18は、容器13内に試料ガスを導入するための口である。シリカ膜11と容器13の内壁とは密着しておらず、試料ガス導入口18から導入された試料ガスは容器13の内側とシリカ膜11の外壁との間に滞留する構造となっている。また、濃縮ガス排出口20は、容器13の内側とシリカ膜11の外壁との間のガスを抜き出すための排出口である。
【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、水素ガス中の不純物を濃縮するための水素ガス中の不純物の濃縮キット、水素ガス中の不純物の濃縮方法、及び水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む水素ガスの品質管理方法に関する。
燃料電池車に供給される水素ガスは、燃料電池性能の劣化を最小限に抑えるため、その水素ガス中の各種不純物の最大濃度がISO等によって規定されている。
このため、水素ステーションに貯蔵されている水素ガスおよび水素ステーションから供給される水素ガスの品質を管理することが必要であり、水素ガス中の各種不純物の濃度を測定する必要がある。
燃料水素ガスの品質管理のための不純物濃度測定は、水素ステーションの稼働停止時間を短縮するため、燃料水素ガスの吐出口付近等の水素ステーション付近で測定できる技術が求められている。しかしながら、一般的な可搬型分析装置は感度が低く、水素ガス中の不純物の濃度が最大不純物濃度未満であることを評価するための感度が不足している。
そのため、水素ガス中の不純物の濃度を高めるための装置又は方法が求められている。そのような装置として、特許文献1〜3に記載の装置が知られている。また、気体中の成分を分離又は濃縮する方法として、特許文献2又は3に記載の方法が知られている。
特許文献1には、試料導入部に連結する供給管とガスクロマトグラフ装置に連結する連結管とをパラジウム合金管に連結する連結管とをパラジウム合金管に連通させると共に、該パラジウム合金管を排出口を有するチェンバーにて囲ぎょうし、更にチェンバーの加熱装置を設けた装置が記載されている。
特許文献2及び3には、ゼオライト膜複合体に、複数の成分からなる気体混合物を接触させ、該気体混合物から、透過性の高い成分を透過して分離する、または、透過性の高い成分を透過させて分離することにより透過性の低い成分を濃縮する方法が記載されている。
公開実用平1−102864号公報(1989年7月11日公開) 特開2013−226535号公報(2013年11月7日公開) 特開2013−226533号公報(2013年11月7日公開)
特許文献1に記載の測定装置では、高い加熱温度が必要などの事情から取扱いが難しく、また、高価なパラジウム合金管を利用している。また、特許文献2及び3に記載の分離又は濃縮方法は、組成の複雑なゼオライト膜複合体を利用しているため、ゼオライト膜複合体中の不純物が分析対象ガスに混入する虞があり、不純物の分析に用いるには好ましくない。そのため、取り扱いがより容易な器具を用いて、水素ガス中の不純物を濃縮する方法が求められている。
本発明の一態様は、前記の課題を鑑みてなされた発明であり、その目的は、水素ガス中の不純物をより容易に濃縮することである。
前記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
すなわち、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットは、シリカ膜を備える。
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮方法は、水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む。
本発明の一態様に係る水素ガスの品質管理方法は、水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む。
本発明の一態様によれば、水素ガス中の不純物をより容易に濃縮することができる。
本発明の一実施形態に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットの説明図である。
以下に、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
<水素ガス中の不純物の濃縮キット>
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットは、シリカ膜を備える。水素ガスをシリカ膜に供給すると、水素ガスの分子サイズは、シリカ膜の細孔の直径より小さいので、シリカ膜を透過する。水素ガスに含まれていた、シリカ膜の細孔の直径より分子サイズが大きい不純物はシリカ膜を透過しない。よって、シリカ膜を透過しなかったガス中で、不純物が濃縮される。以下では、シリカ膜に供給する水素ガスを「試料ガス」、シリカ膜を透過した水素ガスを「透過ガス」、シリカ膜を透過しなかったガスを「濃縮ガス」とも称する。
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットでは、シリカ膜に比べて高価であり、かつシリカ膜に比べて取扱いの難しいパラジウム膜を必要としない。また、組成の複雑なゼオライト膜を必要としない。よって、従来よりも簡便な構成で、水素ガス中の不純物を濃縮することができる。また、シリカ膜は、パラジウム膜より高い耐久性を有するため、水素ガス中の不純物の濃縮キットを長期間使うことができる。また、シリカ膜はパラジウム膜よりも低温で性能を発揮するので、より簡便な加熱器具を用いた不純物濃縮が可能である。よって、持ち運びが容易であり、通常の貨物として輸送することができる。
(不純物)
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットにおいて、濃縮の対象とする不純物は、試料ガス中に含まれる水素ガス以外の不純物を指す。不純物は例えば、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタンなどの炭化水素類、硫化水素などの硫黄化合物、塩化水素などのハロゲン化合物である。より好ましくは、不純物は、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、アルゴン、硫化水素である。これらの不純物は、一般的な可搬型装置では感度不足で測定できない成分であるが、本態様に係る濃縮キットにより濃縮することで、一般的な可搬型装置で測定を行うことが可能である。これらの例のうち、一種のみを濃縮の対象としてもよく、複数種を濃縮の対象としてもよい。
(濃縮)
本態様において、不純物の濃縮率とは、濃縮ガスに含まれる不純物の濃度が、試料ガスに含まれる不純物の濃度の何倍になったか、それぞれのガスを同じ温度、圧力、体積にして比較した値を指す。濃縮率は、分析に用いる機器等に応じて適宜設定すればよく、例えば10倍〜1000倍が好ましい。不純物の濃縮率が前記の範囲内であれば、一般的な可搬型分析装置の感度で、不純物の濃度が、ISO14687−2等の規格による最大不純物濃度未満の濃度であっても、十分に評価することが可能である。
(シリカ膜)
本明細書中において、「シリカ膜」とは、シリカからなる膜を指す。なお、シリカ膜には、本発明の一態様の目的に反しない範囲内で、シリカ以外の成分が含まれていてもよい。シリカ膜は、水素ガスを透過させ、分析対象の不純物のうち、少なくとも1種を透過させないシリカ膜であればよい。
シリカ膜の細孔の直径は、好ましくは0.29nm〜0.37nm、より好ましくは0.29nm〜0.32nmの範囲内である。シリカ膜の細孔の直径が前記の範囲内であることにより、ISO14687−2等の規制対象の不純物のいずれかを細孔の大きさに応じて、好適に濃縮することが可能である。
シリカ膜の厚みは特に限定されないものの、好ましくは100nm〜1000nmの範囲内である。シリカ膜が1000nm以上になると透過性が悪くなり、シリカ膜が100nm以下になるとそもそもシリカ膜の緻密化が困難なためである。
シリカ膜の製造方法は、特に限定されない。例えば、CVD法、又はゾルゲル法により、シリカ基材にシリカを堆積することで、細孔の直径が所望の範囲内であるシリカ膜を製造すればよい。また、シリカ膜として、例えば、市販されているeSep−HydrogenSepを用いることもできる。
本発明の一態様に係る水素ガス分析用キットは、他の器具を含んでもよい。例えば、水素ガス中の不純物の濃縮装置を組み立てるための工具を含んでもよい。また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットには、水素ガス中の不純物の濃縮装置を製造するための手順及び/又は水素ガス中の不純物の濃縮装置を用いてサンプリングするための手順等を記載した指示書を含んでもよい。紙またはその他の媒体に書かれていても印刷されていてもよく、あるいは磁気テープ、コンピューター読み取り可能なディスク又はCD−ROM等のような電子媒体に付されてもよい。
〔水素ガス中の不純物の濃縮装置10〕
(水素ガス中の不純物の濃縮装置10の構成)
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットの一態様によって作製できる水素ガス中の不純物の濃縮装置10の構成について、図1を用いて説明する。本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮装置10は、シリカ膜11、及び容器13を備えている。なお、本発明に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットの提供方法の態様として、水素ガス中の不純物の濃縮装置10に組み立てられたものを提供してもよく、組み立てるための部品を提供して、使用者が組み立てる態様にしてもよい。
濃縮装置10は、容器13の内部に管状のシリカ膜11が収まった、二重管構造となっている。
容器13は、シリカ膜11を包み込んでいる。容器13には、試料ガス導入口18及び濃縮ガス排出口20が設けられている。試料ガス導入口18は、容器13内に試料ガスを導入するための口である。シリカ膜11と容器13の内壁とは密着しておらず、試料ガス導入口18から導入された試料ガスは容器13の内側とシリカ膜11の外壁との間に滞留する構造となっている。また、濃縮ガス排出口20は、容器13の内側とシリカ膜11の外壁との間のガスを抜き出すための排出口である。試料ガス導入口18及び濃縮ガス排出口20の形状は特に限定されず、例えば、それぞれに連結される部材の形状に基づいて決定すればよい。また、容器13の材料は、特に限定されないものの、気体を透過させず、加熱しても問題のない材料により製造される。そのような材料として、ステンレス鋼等が挙げられる。また、容器13の形状は、特に限定されず、例えば、箱状、筒状等であり得る。
本態様においては、シリカ膜11は管状である。なお、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットが備えるシリカ膜の形状はこの形状に限定されない。例えば、両端が解放された管状、板状であってもよい。また、管状である場合、U字状等に折り曲げられた形状としてもよい。その場合、両端から、シリカ膜を透過したガスを回収したり、シリカ膜にガスを導入したりできる。より多くの試料ガスを処理するために、シリカ膜の表面積を大きくすることが好ましい。シリカ膜の表面積を大きくするために、例えば、管状のシリカ膜の本数を多くしてもよく、管状のシリカ膜の長さを長くしてもよい。シリカ膜の表面積を大きくするために、例えばシリカ膜を表面が波打った管状にしてもよい。また、製造が容易であることから、シリカ膜は管状であることが好ましい。
シリカ膜11は一方の末端17が容器13に密着しており、末端17と容器13との間は、気密に封じられている。末端17と容器13との間の気密性を高めるために、Oリング等のシール部材を用いてもよい。他方の末端16には透過ガス排出口19が形成されており、シリカ膜11を透過したガスを透過ガス排出口19から回収できる。また、容器13には、シリカ膜11の透過ガス排出口19から排出された透過ガスを外部で回収できるように開口部が設けられている。この開口部の縁とシリカ膜11の透過ガス排出口19側の末端である末端16の外壁とは密着し、気密に封じられている。末端16と容器13との間の気密性を高めるために、Oリング等のシール部材を用いてもよい。
なお、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットは、シリカ膜11等が予め容器13内に収まった態様で提供されてもよい。このとき、不純物の濃縮をするときに、シリカ膜11を容器13に取り付ける作業を行なう必要がない。これは、シリカ膜11及び容器13の内部に水素ガス以外の気体が混入する機会が最小限に抑えられているともいえる。このため、水素ガス中の不純物をより正確に分析することができる。
試料ガス導入口18は、試料ガス導入管31につながっている。試料ガス導入管31には、流量制御機21が設けられている。末端16は透過ガス排出管32につながっている。透過ガス排出管32には、流量制御機22が設けられている。濃縮ガス排出口20は、濃縮ガス排出管33につながっている。濃縮ガス排出管33には、流量制御機23が設けられている。また、透過ガス排出管32及び濃縮ガス排出管33には、透過ガス又は濃縮ガスの逆流を防ぐために、逆止弁が設けられていてもよい。
試料ガス導入管31、透過ガス排出管32、及び濃縮ガス排出管33は、気体を通さない材質で管状に形成されたものであればよく、特に限定されない。例えば、ステンレス鋼、銅でできた管を用いればよい。そのような連結管としては、例えば、SUS316、SUS304等が挙げられ、内面がコーティングされていても良い。
流量制御機21〜23は、例えば、流量制御バルブ、容積ポンプ等である。そのような流量制御機としては、例えば、マスフローコントローラ、ニードルバルブ、ダイアフラムポンプ等が挙げられる。
加熱装置14はシリカ膜11を加熱するための装置である。加熱装置14としては、例えば、恒温槽、オーブン、マントルヒーター、リボンヒーター等を用いることができる。また、加熱装置14は、水素ガス中の不純物の濃縮キットに含まれていてもよく、水素ガス中の不純物の濃縮キットには含まれず、キットの使用者が別に用意する形態であってもよい。
本態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮装置10は、分析機器を備えていてもよい。なお、本発明に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットの提供方法の態様として、分析機器を備えて提供する態様にしてもよく、使用者が分析機器を用意する態様にしてもよい。
(水素ガス中の不純物の濃縮装置10の動作)
水素ガス貯蔵源から供給された試料ガスは、試料ガス導入管31を通り、流量制御機21により適宜流量を調節されて、試料ガス導入口18から、容器13内に導入される。試料ガス導入口18から導入する試料ガスの試料ガス流量は、分析の目的等に応じて適宜設定すればよい。
水素ステーションに貯蔵されている水素ガスおよび水素ステーションから供給される水素ガスが高圧である場合には、適宜減圧して試料ガス導入口18に接続する。例えば、燃料電池車用の水素ステーションでは、70MPaという高圧の水素ガスを燃料電池車等に供給している。このような高圧のガスは1MPa未満に減圧することがより好ましい。水素ガスの取り扱いがより容易になるからである。減圧するための方法は、例えば、特開2016−114463に記載の方法又は超高圧用圧力調整器を利用することができる。
容器13内に導入された試料ガスは、管状のシリカ膜11に接触する。不純物を含まない水素ガスは、シリカ膜11を透過し、シリカ膜の内部15に入る。シリカ膜11の内部15に入った水素ガスは、末端16の透過ガス排出口19から、透過ガス排出管32を通って、容器13の外部へと排出される。なお、図1では、ガスの流れを、矢印で示している。
試料ガスに含まれていた不純物のうちの少なくとも一種は、シリカ膜11を透過できないため、シリカ膜の内部15に入らず、容器13内で移動し、濃縮ガス排出口20から、濃縮ガス排出管33を通って、容器13の外部へと排出される。これにより、不純物のうちの少なくとも一種が濃縮されたガスを得ることができる。なお、試料ガスに本態様に係る不純物が含まれていなかった場合、不純物は当然排出も濃縮もされない。
水素ガスのシリカ膜11への透過を促進するため、シリカ膜11は加熱装置14により加熱される。シリカ膜11を加熱することで、水素ガスがシリカ膜11を透過する速度をより早くすることができる。シリカ膜11の温度は、好ましくは20℃〜600℃、より好ましくは20℃〜350℃、さらに好ましくは20℃〜150℃に加熱される。シリカ膜の温度を、前記の範囲内にすることで、シリカ膜の透過性能を維持しつつ、より簡便な加熱装置でキットを構成することができる。また、本態様においては、シリカ膜を用いていることで、パラジウム膜を用いた場合と比べ、低い膜の温度で濃縮を行うことが可能である。そのため、引火性のある水素ガスの分析に、安全に用いることができる。
透過ガス、又は、濃縮ガスは、それぞれ流量制御機22又は23により、適切な流量及び流圧へと制御される。
以下、濃縮ガス排出口20から出る濃縮ガスの流量を濃縮ガス流量と称する。また、試料ガス導入口18から導入される試料ガスの流量を試料ガス流量と称する。試料ガス流量と濃縮ガス流量との比を調節することにより、不純物の濃縮率を制御することができる。
透過ガス排出管32はダイアフラムポンプ等を用いて減圧してもよい。試料ガス及び濃縮ガスと、透過ガスとの圧力差を大きくすることで、より高い不純物の濃縮効果を得ることができる。
本態様では、試料ガスをシリカ膜11の外側に供給し、透過ガスがシリカ膜の内部15に移動する例を示した。しかしながら、水素ガス中の不純物の濃縮装置10は、例えば、試料ガスをシリカ膜の内部15に、例えば、末端17を開口部として当該開口部から試料ガスを導入し、濃縮ガスを末端16側の開口部から排出して回収し、透過ガスをシリカ膜の外側から排出する態様であってもよい。
本態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮装置10は、各種測定機器または容器を備えていてもよい。例えば、気体中の各種成分の濃度を測定するための濃度測定機器等がある。そのような濃度測定機器としては、ガスクロマトグラフ、分光計、質量分析計、センサ、検知管等を用いることができる。測定機器は、水素ガス中の不純物の濃縮装置10に一体で設けられていてもよく、濃縮装置10とは独立して設けられてもよい。また、測定機器は、本態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮装置キットに含まれている形態であってもよく、使用者が別途用意する形態であってもよい。また、水素ガス中の不純物の濃縮装置10を用いて得た濃縮ガスを採取用の容器に採取し、該採取用の容器を、離れた場所に設置してある測定機器の所まで運んで、測定を行ってもよい。
<水素ガス中の不純物の濃縮方法>
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮方法は、水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む。本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮方法では、上述した水素ガス中の不純物の濃縮キットを用いて濃縮を行ってもよい。濃縮工程ではシリカ膜の温度を20℃〜600℃とすることが好ましい。シリカ膜の温度は、水素ガス中の不純物の濃縮キットについて上述した方法と同様に加熱等すればよい。
<水素ガスの品質管理方法>
本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の品質管理方法は、水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む。水素ガス中の不純物の濃縮方法は、上述した通りである。不純物濃度を濃縮した後の水素ガスを分析することで水素ガスの品質を管理する。また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の品質管理方法では、濃縮した不純物を定量する定量工程をさらに含んでいてもよい。定量に用いられる測定機器は特に限定されないが、水素ガス中の不純物の濃縮キットについて上述した測定機器等を用いることができる。
〔付記事項〕
以上のように、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットは、不純物の濃度を測定する測定機器をさらに備えることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットでは、前記シリカ膜の細孔の直径が、0.29nm〜0.37nmの範囲内であることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットでは、前記不純物は、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタンなどの炭化水素類、硫化水素などの硫黄化合物、塩化水素などのハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つであることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮キットは、前記シリカ膜を加熱する加熱装置をさらに備えることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る水素ガス中の不純物の濃縮方法では、前記濃縮工程において、前記シリカ膜の温度を20℃〜600℃とすることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る品質管理方法は、濃縮した前記不純物を定量する定量工程をさらに含むことがより好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明の一態様を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1に示す水素ガス中の不純物の濃縮装置10を用いて、水素ガス中の一酸化炭素の濃縮を行った。試料ガスとして、水素ガスに、一酸化炭素を5ppmの濃度となるよう混合したものを作製した。
シリカ膜11としては、eSep−HydrogenSep(イーセップ社製、品番eSep−HydrogenSep−1A)、容器13はステンレス鋼製を用いて、水素ガス中の不純物の濃縮装置10を作製した。また、加熱装置14としてはGC−14A(島津製作所製)を用いた。
一酸化炭素を5ppmの濃度となるよう混合した水素ガス中、及び濃縮後のガス中の一酸化炭素の濃度は、バリア放電イオン化検出器付ガスクロマトグラフ GC−2010PlusAおよびBID−2010Plus(島津製作所製)を用いて、Micropacked STカラムを35℃から265℃まで昇温させて、測定した。
また、試料ガスとして、水素ガスに、一酸化炭素、メタン、エタン、およびプロパンをそれぞれ1ppmの濃度となるように全て混合したものを作製した。シリカ膜としてeSep−HydrogenSep(イーセップ社製、品番eSep−HydrogenSep−1B)を用い、加熱装置14としてはマントルヒーター(大科電器製)を用いた。その他は一酸化炭素を5ppmの濃度となるよう混合した水素ガスと同じ操作を行なって、濃縮後のガス中の成分を測定した。
結果を表1に示す。なお、表1において、「供給圧」とは、試料ガスが、試料ガス導入口から導入される圧力である。表1に示されるように、本実施例では、水素ガスに含まれていた5ppmの一酸化炭素の濃度を18倍に、1ppmの一酸化炭素の濃度を34倍に、1ppmのメタンの濃度を39倍に、1ppmのエタンの濃度を38倍に、1ppmのプロパンの濃度を39倍に、濃縮できた。
Figure 2018159699
本発明は、例えば燃料電池車に配給される水素ガスの品質管理に利用することができる。
10 水素ガス中の不純物の濃縮装置
11 シリカ膜
14 加熱装置

Claims (9)

  1. シリカ膜を備える、水素ガス中の不純物の濃縮キット。
  2. 不純物の濃度を測定する測定機器をさらに備える、請求項1に記載の水素ガス中の不純物の濃縮キット。
  3. 前記シリカ膜の細孔の直径が、0.29nm〜0.37nmの範囲内である、請求項1又は2に記載の水素ガス中の不純物の濃縮キット。
  4. 前記不純物は、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ギ酸、ホルムアルデヒド、メタンなどの炭化水素類、硫化水素などの硫黄化合物、塩化水素などのハロゲン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素ガス中の不純物の濃縮キット。
  5. 前記シリカ膜を加熱する加熱装置をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素ガス中の不純物の濃縮キット。
  6. 水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む、水素ガス中の不純物の濃縮方法。
  7. 前記濃縮工程において、前記シリカ膜の温度を20℃〜600℃とする、請求項6に記載の水素ガス中の不純物の濃縮方法。
  8. 水素ガスをシリカ膜に供給し、シリカ膜を透過しなかったガスを回収することによって、前記水素ガス中に含まれていた不純物の濃度を高める濃縮工程を含む、水素ガスの品質管理方法。
  9. 濃縮した前記不純物を定量する定量工程をさらに含む、請求項8に記載の水素ガスの品質管理方法。
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