JP2018157115A - 絶縁回路基板の製造方法、及び、ヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、上述の絶縁回路基板においては、絶縁層の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して回路層とし、また、他方の面に放熱性に優れた金属板を接合して金属層を形成した構造のものも提供されている。
さらに、回路層に搭載した素子等において発生した熱を効率的に放散させるために、絶縁層の他方の面側にヒートシンクを接合したヒートシンク付き絶縁回路基板も提供されている。
さらに、特許文献2には、セラミックスからなる基材の一方の面に導電性の回路層が形成され、絶縁基板の他方の面に放熱体が接合され、回路層上に発光素子が搭載された構造のLEDモジュールが開示されている。
また、特許文献3には、パワーモジュール用基板の金属層及びヒートシンクの一方がアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されるとともに、金属層及びヒートシンクの他方が銅又は銅合金で構成されたヒートシンク付パワーモジュール用基板において、金属層とヒートシンクとを固相拡散接合したものが開示されている。
また、特許文献3に記載されたヒートシンク付き絶縁回路基板においては、絶縁回路基板とヒートシンクとを積層し、これを加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で加熱することによって、セラミックス基板とアルミニウム板とを固相拡散接合している。
一方、上述のアルミニウム板の変形を抑制するために、加圧荷重を低く設定した場合には、接合強度が不足するおそれがあった。
この場合、少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P2が1.2MPa以下と比較的低く設定されているので、接合時に発生した反りに起因するアルミニウム板の変形を確実に抑制することができる。
この場合、少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P12が1.2MPa以下と比較的低く設定されているので、接合時に発生した反りに起因するアルミニウム板の変形を確実に抑制することができる。
図1に、本発明の実施形態である絶縁回路基板の製造方法によって製造された絶縁回路基板10、及び、本発明の実施形態であるヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法によって製造されたヒートシンク付き絶縁回路基板30、並びに、この絶縁回路基板10及びヒートシンク付き絶縁回路基板30を用いたパワーモジュール1を示す。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。
そして、本実施形態であるヒートシンク付き絶縁回路基板30は、絶縁回路基板10と、この絶縁回路基板10の他方側(図1において下側)に接合されたヒートシンク31とを備えている。
ここで、回路層12と金属層13の厚さの比t1/t2は、0.01≦t1/t2≦0.9の範囲内とされている。
本実施形態においては、ヒートシンク31は、無酸素銅で構成されており、このヒートシンク31の厚さは、3mm以上10mm以下の範囲内に設定されている。
そして、本実施形態においては、絶縁回路基板10の金属層13とヒートシンク31とが、固相拡散接合によって接合されている。
まず、図3で示すように、セラミックス基板11の一方の面にアルミニウム板22を接合して回路層12を形成するとともに、セラミックス基板11の他方の面にアルミニウム板23を接合して金属層13を形成する(アルミニウム板接合工程S01)。
ここで、Al−Si系のろう材26,27においては、Si濃度が1質量%以上12質量%以下の範囲内のものを用いることが好ましい。また、Al−Si系のろう材26,27の厚さは5μm以上15μm以下の範囲内とすることが好ましい。
また、Al−Si系のろう材26,27として、Al−Si系ろう材箔にマグネシウムを積層したマグネシウム積層ろう材を用いることができる。マグネシウム積層ろう材は、例えば、Al−Si系ろう材箔の少なくとも一方の面に、マグネシウムを蒸着させることで得られる。
このアルミニウム板接合工程S01における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は560℃以上655℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は10分以上120分以下の範囲内に設定されている。
ここで、本実施形態においては、セラミックス基板11の一方の面側に配設されたアルミニウム板22と他方の面側に配設されたアルミニウム板23とが材質、厚さが異なっているため、降温過程において反りが生じることになる。
本実施形態では、上述の積層体を加熱温度まで加熱する昇温過程及び加熱温度における加圧荷重をP1とし、降温過程における加圧荷重をP2とし、P1>P2としている。
なお、上述のように、昇温過程、加熱温度、降温過程において加圧荷重を制御するために、本実施形態においては、ホットプレス装置を用いて積層体を加圧している。
そして、降温過程において少なくとも加熱温度からアルミニウム板22、23を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P2を1.2MPa以下としている。
ここで、昇温過程及び加熱温度における加圧荷重P1と降温過程において、少なくとも加熱温度からアルミニウム板22、23の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P2との比P1/P2が1.2以上12.0以下の範囲内であることが好ましい。
さらに、加熱温度での保持時間の下限は10分以上とすることが好ましく、15分以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は120分以下とすることが好ましく、60分以下とすることがさらに好ましい。
このヒートシンク接合工程S02における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は440℃以上610℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は10分以上150分以下の範囲内に設定されている。
ここで、本実施形態においては、絶縁回路基板10とヒートシンク31との熱膨張係数が互いに異なっているため、降温過程において反りが生じることになる。
本実施形態では、上述のヒートシンク積層体を加熱温度まで加熱する昇温過程及び加熱温度における加圧荷重をP11とし、降温過程における加圧荷重をP12とし、P11>P12としている。
なお、上述のように、昇温過程、加熱温度、降温過程において加圧荷重を制御するために、本実施形態においては、ホットプレス装置を用いてヒートシンク積層体を加圧している。
そして、降温過程において少なくとも加熱温度から回路層12(アルミニウム板22)を構成するアルミニウム又はアルミニウム合金の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P12を1.2MPa以下としている。
ここで、昇温過程及び加熱温度における加圧荷重P11と降温過程において、少なくとも加熱温度から回路層12(アルミニウム板22)の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P12との比P1/P2が1.2以上12.0以下の範囲内であることが好ましい。
さらに、加熱温度での保持時間の下限は15分以上とすることが好ましく、30分以上とすることがさらに好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は150分以下とすることが好ましく、120分以下とすることがさらに好ましい。
次いで、回路層12の一方の面に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、加熱炉内においてはんだ接合する(半導体素子接合工程S03)。
上記のようにして、本実施形態であるパワーモジュール1が製造される。
また、本実施形態においては、昇温過程及び加熱温度における加圧荷重P1を1.5MPa以上3.5MPa以下(15kgf/cm2以上35kgf/cm2以下)の範囲内に設定しているので、セラミックス基板11とアルミニウム板22、23とを強固に接合することができる。
また、本実施形態においては、昇温過程及び加熱温度における加圧荷重P11を1.5MPa以上3.5MPa以下(15kgf/cm2以上35kgf/cm2以下)の範囲内に設定しているので、絶縁回路基板10の金属層13とヒートシンク31とを強固に接合することができる。
また、本実施形態では、絶縁層をセラミックス基板で構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、絶縁層を樹脂等で構成したものであってもよい。
さらに、本実施形態では、ヒートシンクを銅板の放熱板から成るものとして説明したが、これに限定されることはなく、アルミニウム又はアルミニウム合金(例えばA3003合金、A6063合金等)、あるいは、SiC等からなる炭素質の多孔質体に金属を含浸させた炭素質複合材料(例えばAlSiC等)で構成されていてもよいし、内部に冷却媒体が流通される流路を備えたものであってもよい。
さらに、アルミニウム板としては、純度99.9質量%以上のアルミニウムや純度が99.99質量%以上のアルミニウム等のアルミニウム板、又は、アルミニウム合金板を用いることもできる。
また、図7に示すように、回路層312及び金属層313の一方をアルミニウム板からなるものとし、回路層312及び金属層313の他方を他の金属等で構成した絶縁回路基板310を対象としてもよい。
さらに、図8に示すように、金属層413がアルミニウム板で構成され、回路層412がアルミニウム層412aと銅層412bが積層された構造の絶縁回路基板410を対象としてもよい。
AlNからなるセラミックス基板(40mm×40mm×0.635mmt)を準備し、このセラミックス基板の一方の面に表1記載のアルミニウム又はアルミニウム合金の圧延材からなるアルミニウム板(37mm×37mm×0.4mmt)をろう材を介して積層し、セラミックス基板の他方の面に表1記載のアルミニウム又はアルミニウム合金の圧延材からなるアルミニウム板(37mm×37mm×0.4mmt)をろう材を介して積層した。なお、ろう材として、Al−7.5質量%Si合金からなるろう材箔(厚さ12μm)を用いた。
回路層及び金属層を上面からレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−X200)を用いて倍率10倍で観察し、回路層及び金属層の接合端部から0.5mmの範囲内における平均厚みを測定し、回路層及び金属層の接合端部から2mmの位置における厚みから5%以上減少した場合を「×」と評価した。回路層及び金属層のいずれかに変形が見られた場合、「×」と評価した。
接合率は回路層とセラミックス基板との接合部の超音波探傷像を、超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて測定し、以下の式から接合率を算出した。
ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、回路層の面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
接合率が90%以上を「○」と評価した。
昇温・保持時及び再結晶温度未満までの降温時における加圧荷重を比較的高い荷重で一定とした従来例1においては、回路層及び金属層(アルミニウム板)の変形が認められた。降温過程において加圧装置とアルミニウム板とが局所的に強く接触し、回路層及び金属層(アルミニウム板)に変形が生じたと推測される。
昇温・保持時及び再結晶温度未満までの降温時における加圧荷重を比較的低い荷重で一定とした従来例2においては、回路層及び金属層(アルミニウム板)とセラミックス基板とを接合することができなかった。
上述の本発明例1の絶縁回路基板を準備するとともに、ヒートシンクとして表2記載の材質からなる板材(50mm×60mm×5mmt)を準備した。
絶縁回路基板の金属層側にヒートシンクを積層し、このヒートシンク積層体を加圧装置(ホットプレス)を用いて積層方向に加圧して、6.0×10−4Paの雰囲気において表2に示す加熱温度にまで加熱し、金属層とヒートシンクとを固相拡散接合した。このとき、加熱温度までの昇温過程及び加熱温度における加圧荷重P11、加熱温度からの降温過程における加圧荷重を、表2に示す条件とした。なお、ヒートシンクの材質としてアルミニウム合金(A6063)及びAlSiCを用いた場合には、絶縁回路基板とヒートシンク(AlSiC又はA6063)の間に銅板(37mm×37mm×0.2mmt)を介して積層し、接合した。
回路層を上面からレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−X200)を用いて倍率10倍で観察し、回路層及の接合端部から0.5mmの範囲内における平均厚みを測定し、回路層の接合端部から2mmの位置における厚みから5%以上減少した場合を「×」と評価した。
接合率は絶縁回路基板の金属層とヒートシンクとの接合部(ヒートシンクがAlSiC又はA6063の場合には絶縁回路基板と銅層との接合部)の超音波探傷像を、超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて測定し、以下の式から接合率を算出した。
ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、即ち、絶縁回路基板の金属層の面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
超音波探傷像を二値化処理した画像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
接合率が90%以上を「○」と評価した。
昇温・保持時及び再結晶温度未満までの降温時における加圧荷重を比較的高い荷重で一定とした従来例21においては、回路層(アルミニウム板)の変形が認められた。降温過程において加圧装置とアルミニウム板とが局所的に強く接触し、回路層(アルミニウム板)に変形が生じたと推測される。
昇温・保持時及び再結晶温度未満までの降温時における加圧荷重を比較的低い荷重で一定とした従来例22においては、絶縁回路基板とヒートシンクとを接合することができなかった。
3 半導体素子
10 絶縁回路基板
11 セラミックス基板(絶縁層)
12 回路層(アルミニウム板)
13 金属層(アルミニウム板)
30 ヒートシンク付き絶縁回路基板
31 ヒートシンク
Claims (4)
- 絶縁層と、この絶縁層の少なくとも片方の面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、
前記絶縁層と前記アルミニウム板を積層した積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で所定の加熱温度まで加熱し、前記絶縁層と前記アルミニウム板を接合するアルミニウム板接合工程を有し、
このアルミニウム板接合工程では、前記積層体を前記加熱温度まで昇温した後に温度を下降させる降温過程において、少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P2を、前記加熱温度における加圧荷重P1よりも低く設定することを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。 - 少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P2が1.2MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板の製造方法。
- 絶縁層とこの絶縁層の少なくとも一方の面に接合されたアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板を備えた絶縁回路基板と、前記絶縁層の他方の面側に配設されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法であって、
前記絶縁回路基板と前記ヒートシンクを積層したヒートシンク積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で所定の加熱温度まで加熱し、前記絶縁回路基板と前記ヒートシンクを接合するヒートシンク接合工程を有し、
このヒートシンク接合工程では、前記ヒートシンク積層体を前記加熱温度まで昇温した後に温度を下降させる降温過程において、少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P12を、前記加熱温度における加圧荷重P11よりも低く設定することを特徴とするヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。 - 少なくとも前記加熱温度から前記加圧装置に当接される前記アルミニウム板の再結晶温度までの温度領域における加圧荷重P12が1.2MPa以下であることを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク付き絶縁回路基板の製造方法。
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