JP2018155285A - 自動変速機のクラッチ装置 - Google Patents

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Tomotaka Ishizaka
友隆 石坂
龍彦 岩▲崎▼
Tatsuhiko Iwasaki
龍彦 岩▲崎▼
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Abstract

【課題】燃費を悪化させることなく、遠心バランス室へのオイルの充填性を向上させる。【解決手段】自動変速機10の遠心バランス室(第1遠心バランス室120)は、締結ピストンに対して動力伝達軸(入力軸12)の軸方向に離間して配設されたキャンセルプレート82と、キャンセルプレート82との間が液密となるように該キャンセルプレート81に接続されかつ上記締結ピストンと共に上記軸方向に移動可能なキャンセルシリンダ82とを含むバランス室構成部材により構成されており、キャンセルシリンダ82は、該キャンセルシリンダ82と上記締結ピストンとの間に空間90が形成されるように、上記締結ピストンとキャンセルプレート81との間に配設されている。【選択図】図4

Description

本発明は、自動変速機の動力伝達軸上に設けられるとともに、複数の摩擦板と、該複数の摩擦板同士を係合させるように進出する締結ピストンと、該締結ピストンに対して上記摩擦板とは上記動力伝達軸の軸方向の反対側に設けられかつ上記締結ピストンを進出させるための油圧が供給される締結油圧室と、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に設けられた遠心バランス室とを備えた、自動変速機のクラッチ装置に関する。
従来より、締結ピストンと、該締結ピストンを進出させるための油圧が供給される締結油圧室と、上記締結ピストンに対して上記締結油圧室とは動力伝達軸の軸方向の反対側に設けられた遠心バランス室とを備えた、自動変速機のクラッチ装置が知られている。
例えば、特許文献1には、自動変速機の変速機構に動力を伝達する動力伝達用クラッチであって、締結ピストンと、締結ピストンに締結油圧を供給する締結油圧室と、自動変速機の動力伝達軸の軸方向に沿って、上記締結ピストンに対して上記締結油圧室とは反対側に設けられかつ内部に流体媒体が封入された遠心バランス室とを有する動力伝達用クラッチを備え、上記遠心バランス室に、上記締結油圧室から油圧を受けた締結ピストンの移動に伴う上記遠心バランス室内の容積変化を許容する容積変化許容部が設けられた、自動変速機のクラッチ装置が開示されている。
特許文献1に記載の遠心バランス室は、上記動力伝達軸の軸方向に沿って、上記締結ピストンに対して上記締結油圧室とは反対側に設けられたシールプレートと、上記締結ピストンとで構成されている。
特開2015−140864号公報
ところで、自動変速機の遠心油圧キャンセル機構では、遠心バランス室にオイルを充填させ、遠心バランス室内において遠心油圧を発生させることで、上記締結油圧室で発生した遠心油圧による力をキャンセルしている。
つまり、自動変速機の遠心油圧キャンセル機構を適切に作動させるためには、遠心バランス室内に十分な量のオイルを充填させておく必要がある。
しかしながら、特許文献1のように、プレート部材(シールプレート)と締結ピストンとで遠心バランス室を形成する場合、締結ピストンのストロークを確保する関係上、遠心バランス室の容積が大きくなってしまう。遠心バランス室の容積が大きい場合、エンジン始動直後などには遠心バランス室内にオイルが十分に充填されていないことがある。遠心バランス室内にオイルが十分に充填されていない状態で自動変速機の変速が行われると、締結油圧室内で発生した遠心油圧による力を、遠心バランス室内で発生させた遠心油圧による力で相殺しきれずに、クラッチが不意に締結して変速ショックが発生してしまう。
遠心バランス室へのオイルの供給量を増やすことで上記変速ショックを抑えることも考えられるが、オイルの消費量が増大するため、燃費の悪化を招くおそれがある。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃費を悪化させることなく、遠心バランス室へのオイルの充填性を向上させることにある。
上記課題を解決するために、本発明は、自動変速機の動力伝達軸上に設けられるとともに、複数の摩擦板と、該複数の摩擦板同士を係合させるように進出する締結ピストンと、該締結ピストンに対して上記摩擦板とは上記動力伝達軸の軸方向の反対側に設けられかつ上記締結ピストンを進出させるための油圧が供給される締結油圧室と、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に設けられた遠心バランス室とを備えた、自動変速機のクラッチ装置を対象として、上記遠心バランス室は、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に離間した位置に固定された第1のプレートと、該第1のプレートとの間が液密になるように該第1のプレートと接続されかつ上記締結ピストンと共に上記軸方向に移動可能な第2のプレートとを含むバランス室構成部材により構成されており、上記第2のプレートは、該第2のプレートと上記締結ピストンとの間に空間が形成されるように、上記軸方向における上記締結ピストンと上記第1のプレートとの間に配設されている、構成とした。
この構成によると、バランス室構成部材が第1のプレートと第2のプレートとを含み、第2のプレートが、該第2のプレートと締結ピストンとの間に空間が形成されるように、動力伝達軸の軸方向における締結ピストンと上記第1のプレートとの間に配設されているため、第2のプレートと上記第1のプレートとを有するバランス室構成部材によって構成された遠心バランス室の容積は、締結ピストンと第1のプレートとで構成される遠心バランス室の容積と比較して、第2のプレートと締結ピストンとの間に形成された空間の容積分小さくなる。これにより、エンジン始動直後などにも遠心バランス室に迅速にオイルを充填させることができる。
また、遠心バランス室の容積が小さくなったことにより、該遠心バランス室に充填させるオイルの量が少なくなるため、燃費の悪化を防止することができる。
したがって、燃費を悪化させることなく、遠心バランス室へのオイルの充填性を向上させることができる。
上記自動変速機のクラッチ装置の一実施形態では、上記第2のプレートは、上記締結ピストンに一体的に結合されている。
この構成によると、第2のプレート締結ピストンに一体的に結合されているため、締結ピストンと第1のプレートとの間に第2のプレートを配置して遠心バランス室を構成したとしても、締結ピストンと第1のプレートとの間の、動力伝達軸の軸方向の長さをほとんど増加させることなく、締結ピストンのストロークを十分に確保することができる。
上記自動変速機のクラッチ装置では、上記遠心バランス室内に設けられかつ上記第2のプレートを介して上記締結ピストンを後退させるリターンスプリングをさらに備え、上記リターンスプリングは、皿ばねである、ことが望ましい。
この構成によると、リターンスプリングを皿ばねにしたことにより、リターンスプリングとしてコイルスプリングを採用する場合と比較して、動力伝達軸の軸方向におけるリターンスプリングが占める範囲を小さくすることができる。これにより、遠心バランス室にリターンスプリングを設ける場合であっても、該遠心バランス室の容積を出来る限り小さくすることができる。
上記自動変速機のクラッチ装置において、上記締結ピストン、上記第1のプレート及び上記第2のプレートは、板材のプレス成形体である、ことが望ましい。
この構成によると、締結ピストン、第1のプレート及び第2のプレートを容易に形成することができ、自動変速機の製造を容易にすることができる。
以上説明したように、本発明に係る自動変速機のクラッチ装置では、遠心バランス室を構成するバランス室構成部材は、締結ピストンに対して、動力伝達軸の軸方向における摩擦板と同じ側に離間した位置に固定された第1のプレートと、該第1のプレートとの間が液密になるように該第1のプレートと接続されかつ上記締結ピストンと共に上記軸方向に移動可能な第2のプレートとを含み、該第2のプレートは、該第2のプレートと上記締結ピストンとの間に空間が形成されるように、上記軸方向における上記締結ピストンと上記第1のプレートとの間に配設されているため、上記第2のプレートと上記第1のプレートとを含むバランス室構成部材によって構成された遠心バランス室の容積は、上記締結ピストンと上記第1のプレートとで構成される遠心バランス室の容積と比較して、上記第2のプレートと上記締結ピストンとの間に形成された上記空間の容積分小さくなる。これにより、遠心バランス室に充填させるオイルの量が少なくなるため、燃費の悪化を防止するとともに、上記遠心バランス室へのオイルの充填性を向上させることができる。
本発明の実施形態に係るクラッチ装置を備えた自動変速機の構成を示すスケルトン図である。 上記自動変速機の摩擦締結要素の締結表である。 上記自動変速機におけるクラッチが設けられた部分を拡大した拡大断面図である。 第1締結油圧室及び第1遠心バランス室周辺を拡大した拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るクラッチ装置を備えた自動変速機10の構成を示す。この自動変速機は、FR式の車両に搭載される縦置き式の自動変速機である。尚、上記車両は、FF式の車両であってもよい。
上記自動変速機10は、変速機ケース11と、該変速機ケース11内に挿入されかつエンジン等の上記車両の駆動源からの動力が入力される入力軸12と、上記変速機ケース11内に収容されかつ上記入力軸12を介して上記駆動源からの動力が伝達される変速機構14と、上記変速機ケース11内に挿入されかつ変速機構14からの動力が入力される出力軸13とを有している。入力軸12及び出力軸13は、自動変速機10の動力伝達軸の一例である。
入力軸12と出力軸13とは、車両前後方向に沿って同軸上に配置されており、自動変速機10が上記車両に搭載された状態で、入力軸12が車両前側に位置しかつ出力軸13が車両後側に位置している。以下の説明では、単に軸方向というときには、入力軸12及び出力軸13の軸方向を意味し、入力軸12及び出力軸13の軸方向における上記駆動源側を前側といい、該軸方向における上記駆動源とは反対側を後側という。
入力軸12及び出力軸13の軸心上には、変速機構14を構成する、第1、第2、第3及び第4プラネタリギヤセットPG1、PG2、PG3、PG4が、車両前側から順に配設されている。
第1〜第4プラネタリギヤセットPG1〜PG4は、いずれも、キャリヤに支持されたピニオンがサンギヤとリングギヤに直接噛合するシングルピニオン側である。第1プラネタリギヤセットPG1は、回転要素として、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1及び第1キャリヤC1を有する。第2プラネタリギヤセットPG2は、回転要素として、第2サンギヤS2、第2リングギヤR2及び第2キャリヤC2を有する。第3プラネタリギヤセットPG3は、回転要素として、第3サンギヤS3、第3リングギヤR3及び第3キャリヤC3を有する。第4プラネタリギヤセットPG4は、回転要素として、第4サンギヤS4、第4リングギヤR4及び第4キャリヤC4を有する。
第1プラネタリギヤセットPG1の第1サンギヤS1は、軸方向に2分割されており、相対的に前側に配置された前側第1サンギヤS1aと相対的に後側に配置された後側第1サンギヤS1bとを有している。つまり、第1プラネタリギヤセットPG1は、ダブルサンギヤ型のギヤセットである。前側及び後側第1サンギヤS1a,S1bは、同じ歯数の歯を有しており、第1キャリヤC1に支持された同じピニオンに噛合しているため、これら前側及び後側第1サンギヤS1a,S1bの回転数は常に等しくなる。すなわち、前側及び後側第1サンギヤS1a,S1bは、常に同じ回転速度で回転し、一方のギヤの回転が停止しているときには他方のギヤの回転も停止する。
本実施形態の自動変速機10においては、第1サンギヤS1(厳密には、後側第1サンギヤS1b)と第4サンギヤS4とが常時連結され、第1リングギヤR1と第2リングギヤR2とが常時連結され、第2キャリヤC2と第4キャリヤC4とが常時転結され、第3キャリヤC3と第4リングギヤR4とが常時連結されている。また、入力軸12は第1キャリヤC1に常時連結され、出力軸13は第4キャリヤC4に常時連結されている。具体的には、入力軸12は、前側及び後側第1サンギヤS1a,S1bの間を通る動力伝達部材18を介して第1キャリヤC1と連結されている。後側第1サンギヤS1bと第4サンギヤS4とは、動力伝達部材15を介して連結されている。第2キャリヤC2と第4キャリヤC4とは、動力伝達部材16を介して連結されている。
変速機構13はまた、摩擦締結要素として、第1クラッチ20、第2クラッチ30、第3クラッチ40、第1ブレーキ50及び第2ブレーキ60を有している。第1〜第3クラッチ20,30,40は、入力軸12上に配設されている。第1クラッチ20は第1プラネタリギヤセットPG1の前側に配設され、第2クラッチ30は第1クラッチ20の前側に配設され、第3クラッチ40は第2クラッチ30の前側に配設されている。また、第1ブレーキ50は第3クラッチ40の前側において変速機ケース11に固定されており、第2ブレーキ60は入力軸12の径方向における第3ギヤセットPG3の外側において変速機ケース11に固定されている。
第1クラッチ20は、入力軸12及び第1キャリヤC1と、第3サンギヤS3とを断接する。上記第2クラッチ30は、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2と、第3サンギヤS3とを断接する。上記第3クラッチ40は、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とを断接する。
また、第1ブレーキ50は、変速機ケース11と第1サンギヤS1(厳密には前側第1サンギヤS1a)とを断接する。第2ブレーキ60は、変速機ケース11と第3リングギヤR3とを断接する。
自動変速機10は、第1クラッチ20、第2クラッチ30、第3クラッチ40、第1ブレーキ50及び第2ブレーキ60の締結状態の組み合わせにより、先進8速、後退1速を達成するものである。図2は、自動変速機10の摩擦締結要素の締結の組み合わせと変速段との関係を示す表である。○印が締結していることを示し、空欄が締結を解除(解放)していることを示す。
次に、本実施形態の第1〜第3クラッチ20,30,40の構成について詳細に説明する。
第1クラッチ20は、図3に示すように、複数の第1摩擦板21と、該第1摩擦板21に対して前側に配設され、該第1摩擦板21同士を係合させるために軸方向の第1摩擦板21側(後側)に進出する第1締結ピストン22と、該第1締結ピストン22に対して第1摩擦板21とは軸方向の反対側(前側)に形成された第1締結油圧室23とを有している。第1締結油圧室23には油路8aを介して、自動変速機10に設けられたオイルポンプ(図示省略)から、第1締結ピストン22を軸方向の第1摩擦板21側(後側)に向かって進出させるための油圧が供給される。
複数の第1摩擦板21は、第1キャリヤC1に結合されかつ入力軸12周りに回転可能な第1クラッチハブ24の外周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第1ハブ側摩擦板21aと、動力伝達部材5,8及び後述の第3クラッチドラム45を介して第3サンギヤS3に結合されかつ入力軸12周りに回転可能な第1クラッチドラム25の内周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第1ドラム側摩擦板21bとからなる。
図3に示すように、第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとは軸方向に交互に並んでいる。第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとの列における最も前側の位置には、第1ドラム側摩擦板21bが位置している一方、上記列における最も後側の位置には、第1ハブ側摩擦板21aが位置している。最も後側に位置する第1ハブ側摩擦板21aの後側には、複数の摩擦板21の後側への移動を規制するリテーニングプレート26が設けられている。また、最も前側に位置する第1ドラム側摩擦板21bには、第1締結ピストン22の後述する押圧部22aが当接している。これにより、第1締結ピストン22が後側に向かって移動したときには、第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとは、第1締結ピストン22の押圧部22aとリテーニングプレート26とに挟まれて圧接される。
第1締結ピストン22は、円環状の金属板をプレス成形したプレス成形体である。第1締結ピストン22は、図3に示すように、径方向外側の部分に設けられかつ複数の第1摩擦板21を押圧する押圧部22aと、径方向内側の部分に設けられかつ第1締結油圧室23からの油圧を受ける受圧部22bと、押圧部22aと受圧部22bとを連結する連結部22cとを有している。受圧部22bは、径方向に沿った断面が後側に開口を有するU字状をなしている。受圧部22bの径方向内側の端部は動力伝達部材8にシール部材100を介して接続されている一方、受圧部22bの径方向外側の部分は、第1クラッチドラム25にシール部材101を介して接続されている。これにより、第1締結ピストン22、第1クラッチドラム25、動力伝達部材8及びシール部材100,101によって、第1締結油圧室26が画成されるとともに、上記第1締結ピストン22が軸方向に移動可能に支持される。
第2クラッチ30は、図3に示すように、複数の第2摩擦板31と、該第2摩擦板31に対して前側に配設され、該第2摩擦板31同士を係合させるために軸方向の第2摩擦板31側(後側)に進出する第2締結ピストン32と、該第2締結ピストン32に対して第2摩擦板31とは反対側(前側)に形成された第2締結油圧室33とを有している。第2締結油圧室33には油路35bを介して、上記オイルポンプから、第2締結ピストン32を軸方向の第2摩擦板31側(後側)に進出させるための油圧が供給される。
複数の第2摩擦板31は、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2に結合されかつ入力軸12周りに回転可能な第2クラッチハブ34の外周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第2ハブ側摩擦板31aと、第3サンギヤS3に動力伝達部材5,8及び後述の第3クラッチドラム45を介して結合されかつ入力軸12周りに回転可能な第2クラッチドラム35の内周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第2ドラム側摩擦板31bとからなる。
図3に示すように、第2ハブ側摩擦板31aと第2ドラム側摩擦板31bとは軸方向に交互に並んでいる。第2ハブ側摩擦板31aと第2ドラム側摩擦板31bとの列において、軸方向両側の位置には、第2ドラム側摩擦板31bがそれぞれ位置している。最も後側に位置する第2ドラム側摩擦板31bは、第1クラッチドラム25の径方向外側の部分であるドラム外側部25aと当接している。また、最も前側に位置する第2ドラム側摩擦板31bには、第2締結ピストン32の後述する押圧部32aが当接している。これにより、第2締結ピストン32が後側に向かって移動したときには、第2ハブ側摩擦板31aと第2ドラム側摩擦板31bとは、第2締結ピストン32の押圧部32aと第1クラッチドラム25のドラム外側部25aとに挟まれて圧接される。このことから、第1クラッチドラム25のドラム外側部25aは、リテーニングプレートの役割を果たしている。
第2締結ピストン32は、円環状の金属板をプレス成形したプレス成形体である。第2締結ピストン32は、図3に示すように、径方向外側の部分に設けられかつ複数の第2摩擦板31を押圧する押圧部32aと、径方向内側の部分に設けられかつ第2締結油圧室33からの油圧を受ける受圧部32bと、押圧部32aと受圧部32bとを連結する連結部32cとを有している。受圧部32bは、径方向に沿った断面が後側に開口を有するU字状をなしている。受圧部32bの径方向内側の端部は、第2クラッチドラム35にシール部材102を介して接続されている一方、受圧部32bの径方向外側の部分は、第2クラッチドラム35にシール部材103を介して接続されている。これにより、第2締結ピストン35、第2クラッチドラム35及びシール部材102,103によって、第2締結油圧室33が画成されるとともに、上記第2締結ピストン32が軸方向に移動可能に支持される。
第3クラッチ40は、図3に示すように、複数の第3摩擦板41と、該第3摩擦板41に対して前側に配設され、該第3摩擦板41同士を係合させるために軸方向の第3摩擦板41側(後側)に進出する第3締結ピストン42と、該第3締結ピストン42に対して第3摩擦板41とは軸方向の反対側(前側)に形成された第3締結油圧室43とを有している。第3締結油圧室33には油路45aを介して、上記オイルポンプから、第3締結ピストン42を軸方向の第3摩擦板41側(前側)に進出させるための油圧が供給される。
複数の第3摩擦板41は、第2リングギヤR2に結合されかつ入力軸12周りに回転可能な第3クラッチハブ44の外周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第3ハブ側摩擦板41aと、動力伝達部材5と動力伝達部材8とを連結しかつ入力軸12周りに回転可能な第3クラッチドラム45との内周面に、スプライン嵌合により軸方向に移動可能に取り付けられた第3ドラム側摩擦板41bとからなる。
図3に示すように、第3ハブ側摩擦板41aと第3ドラム側摩擦板41bとは軸方向に交互に並んでいる。第3ハブ側摩擦板41aと第3ドラム側摩擦板41bとの列において、軸方向両側の位置には、第3ドラム側摩擦板41bがそれぞれ位置している。最も後側に位置する第3ドラム側摩擦板41bは、第2クラッチドラム35の径方向外側の部分であるドラム外側部35aと当接している。また、最も前側に位置する第3ドラム側摩擦板41bには、第3締結ピストン42の後述する押圧部42aが当接している。これにより、第3締結ピストン42が後側に向かって移動したときには、第3ハブ側摩擦板41aと第3ドラム側摩擦板41bとは、第3締結ピストン42の押圧部42aと第2クラッチドラム35のドラム外側部35aとに挟まれて圧接される。このことから、第2クラッチドラム35のドラム外側部35aは、リテーニングプレートの役割を果たしている。
第3締結ピストン42は、円環状の金属板をプレス成形したプレス成形体である。第3締結ピストン42は、図3に示すように、径方向外側の部分に設けられかつ複数の第3摩擦板41を押圧する押圧部42aと、径方向内側の部分に設けられかつ第3締結油圧室43からの油圧を受ける受圧部42bと、押圧部42aと受圧部42bとを連結する連結部42cとを有している。受圧部42bは、径方向に沿った断面が後側に開口を有するU字状をなしている。受圧部42bの径方向内側の端部は第3クラッチドラム45にシール部材104を介して接続されている一方、受圧部42bの径方向外側の部分は、第2クラッチドラム43にシール部材105を介して接続されている。これにより、第3締結ピストン42、第3クラッチドラム43及びシール部材104,105によって、第3締結油圧室43が画成されるとともに、上記第3締結ピストン42が軸方向に移動可能に支持される。
第1〜第3クラッチ20,30,40の締結状態は、第1〜第3締結油圧室23,33,43への油圧の給排によって制御される。
例えば、第1クラッチ20について説明すると、先ず、初期状態では、第1締結油圧室26には油圧が供給されていないため、図3に示すように、第1締結ピストン22は、その前側の部分が第1クラッチドラム25と当接した状態となる。この初期状態から、第1締結ピストン22を後側に向かって移動させるだけの力(後述するリターンスプリング83の付勢力よりも大きな力)を発生させる油圧が第1締結油圧室23に供給されたときには、第1締結ピストン22が後側に向かって移動し、第1締結ピストン22の押圧部22aが、第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとをリテーニングプレート26に向かって押圧する。これにより、第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとが圧接されて、第1クラッチ20が締結状態となる。第1クラッチ20が締結状態となったときには、第1クラッチハブ24と第1クラッチドラム25とが連結されて、入力軸12及び第1キャリヤC1と、第3サンギヤS3とが連結される。
一方で、第1クラッチ20が締結された状態において、第1締結油圧室23から油圧が排出されたときには、第1締結ピストン22が前側に向かって移動し、第1ハブ側摩擦板21aと第1ドラム側摩擦板21bとの圧接が解除される。これにより、第1クラッチ20が締結解除状態(解放状態)となる。第1クラッチが締結解除状態となったときには、第1クラッチハブ24と第1クラッチドラム25とが分離されて、入力軸12及び第1キャリヤC1と、第3サンギヤS3とが分離される。
第2及び第3クラッチ30,40においても、第2及び第3締結ピストン32,42等が、上述の第1締結ピストン22等と同様の動作をすることによって、締結状態及び締結解除状態が制御される。
自動変速機10の作動時には、第1〜第3クラッチ20,30,40は、入力軸12周りに回転している。変速機ケース11内には、第1〜第3クラッチ20,30,40の回転を円滑にするための潤滑油として、ミスト状のオイルが不図示のオイル噴射装置から噴射されている。上記オイルは上記オイルポンプにより供給されている。
自動変速機10の作動時において、第1〜第3クラッチ20,30,40が入力軸12周りに回転すると、第1〜第3締結油圧室26,36,46内のオイルが遠心力によって入力軸12から遠い側に移動することにより遠心油圧が発生する。この第1〜第3締結油圧室26,36,46内の遠心油圧は、第1〜第3締結ピストン22,32,42を後側に向かって移動させて、対応するクラッチを不意に締結させようとする。
そのため、本実施形態の自動変速機10の第1〜第3クラッチ20,30,40には、軸方向において、第1〜第3締結ピストン22、32,42に対して第1〜第3摩擦板21,31,41と軸方向の同じ側(後側)の各位置に、第1〜第3締結油圧室23,33,43で発生する遠心油圧による第1〜第3締結ピストン22,32,42の後側への移動を、後述するリターンスプリング83と共に阻止するための第1〜第3遠心バランス室120,130,140がそれぞれ設けられている。
以下、第1〜第3遠心バランス室120,130,140の構成及び作用について説明する。尚、第1〜第3遠心バランス室120,130,140は、基本的な構成はそれぞれ同じであるため、以下の説明では、第1遠心バランス室120の構成についてのみ詳細に説明し、第2及び第3遠心バランス室130,140の構成及び作用については、詳細な説明を省略する。
第1遠心バランス室120は、図4に示すように、第1締結ピストン22に対して軸方向に対向しかつ該第1締結ピストン22に対して第1摩擦板21と軸方向の同じ側(後側)に離間して配設されたキャンセルプレート81と、該キャンセルプレート81との間が液密となるように該キャンセルプレート81に接続されたキャンセルシリンダ82とを含むバランス室構成部材によって構成されている。このことから、キャンセルプレート81は第1のプレートに相当し、キャンセルシリンダ82は第2のプレートに相当する。
キャンセルプレート81は、円環状の金属板をプレス成形して形成されたものである。キャンセルプレート81は、図4に示すように、径方向外側に向かって広がるように変速機ケース11内に配設されており、その径方向内側の端部はスナップリング110を介して動力伝達部材8に固定されている。これにより、キャンセルプレート81は軸方向に移動しないようになっている。キャンセルプレート81の径方向中間の部分には、後側から前側に向かって突出するように折り曲げられた屈曲部81aが形成されている。該屈曲部121aには、後述するリターンスプリング83が当接する。
キャンセルシリンダ82は、キャンセルプレート81と同様に、円環状の金属板をプレス成形して形成されたものである。キャンセルシリンダ82は、図4に示すように、径方向に沿った断面が略S字状をなすように成形されている。具体的には、キャンセルシリンダ82は、相対的に径方向外側に位置しかつ軸方向に延びるシリンダ外側部82aと、相対的に径方向内側に位置しかつ軸方向に延びるシリンダ内側部82bと、シリンダ外側部82aの前側端部とシリンダ内側部82bの後側端部とを連結するように径方向に沿って延びるシリンダ連結部82cとを有している。
シリンダ外側部82aの後側端部は、キャンセルプレート81の径方向外側の端部の径方向外側に位置し、該キャンセルプレート81の径方向外側の端部とシール部材106を介して接続されている。一方で、シリンダ内側部82bの前側端部は、第1締結ピストン22の受圧部22bにおける径方向内側の部分と圧入により一体的に結合されている。これらのことにより、第1締結ピストン22が軸方向に移動したときには、キャンセルシリンダ82は第1締結ピストン22と共に、キャンセルプレート81に接近するように移動する。つまり、キャンセルシリンダ82は、キャンセルプレート81に対して相対移動可能に、該キャンセルプレート81に接続されているとともに、第1締結ピストン22と共に移動するように、該第1締結ピストン22と一体的に結合されている。尚、キャンセルシリンダ82と第1締結ピストン22とは、キャンセルシリンダ82が第1締結ピストン22と共に移動可能になるのであれば、シール部材を介して結合されていてもよい。
キャンセルシリンダ82が、上述のようにキャンセルプレート81及び第1締結ピストン22に結合されることによって、第1締結ピストン22の受圧部22bにおける前側の部分と第1キャンセルリンダ122のシリンダ連結部82cとが軸方向に離間するようになり、図4に示すように、第1締結ピストン22とキャンセルシリンダ82との間には空間90が形成される。つまり、キャンセルシリンダ82は、該キャンセルシリンダ82と第1締結ピストン22との間に空間90が形成されるように、第1締結ピストン22とキャンセルプレート81との間に配設されている。
第1締結ピストン22とキャンセルシリンダ82との間に形成された空間90は、図4に示すように、シリンダ外側部82aとシリンダ連結部82cとの角部と上記受圧部25bの径方向外側の部分との間に設けられた隙間91によって、該空間90外と連通している。つまり、空間90は、径方向外側の一部分が開放された開空間となっている。
また、シリンダ連結部82cの径方向中間の部分には、前側から後側に向かって突出するように折り曲げられた屈曲部82dが形成されている。該屈曲部82dには、後述するリターンスプリング83が当接する。
キャンセルプレート81及びキャンセルシリンダ82が上述のように構成されることで、キャンセルプレート81、キャンセルシリンダ82、第1締結ピストン22、動力伝達部材8及びシール部材100,106によって第1クラッチ20の第1遠心バランス室120が画成されている。すなわち、第1締結ピストン22、動力伝達部材8及びシール部材100,106もバランス室構成部材の一部となっている。
第1遠心バランス室120内には、図4示すように、第1締結ピストン22を、第1摩擦板21とは反対側(前側)に後退させるリターンスプリング83が配設されている。本実施形態では、リターンスプリング83は皿ばねであり、図4に示すように、径方向内側の部分がキャンセルプレート81の屈曲部81aと当接している一方、径方向外側の部分がキャンセルシリンダ82の屈曲部82dと当接している。リターンスプリング83の付勢力は、キャンセルシリンダ82を介して第1ピストン22に伝達される。
リターンスプリング83が設けられていることにより、第1締結ピストン22は、第1締結油圧室23に油圧が供給されて、第1締結油圧室23内の油圧により発生する力がリターンスプリング83の付勢力よりも大きな力になったときには、リターンスプリング83の付勢力に抗して、第1摩擦板21側(後側)に向かって進出する一方、第1締結油圧室23から油圧が排出されて、第1締結油圧室23内の油圧により発生する力がリターンスプリング83の付勢力よりも小さくなったときには、リターンスプリング83の付勢力によって、第1摩擦板21とは反対側(前側)に向かって後退する。
第1遠心バランス室120内には、油路8bを介して上記オイルポンプからのオイルが供給される。自動変速機10の作動時には、第1遠心バランス室120は入力軸12の軸周りに回転し、第1遠心バランス室120内のオイルは遠心力により入力軸12から遠い側に移動するため、第1遠心バランス室120内には遠心油圧が発生する。この第1遠心バランス室120内で発生する遠心油圧に基づく力により、第1締結油圧室23内で発生する遠心油圧による力が相殺されて、第1締結油圧室23内で発生する遠心油圧による第1締結ピストン22の第1摩擦板21側(後側)への移動が阻止される。第1遠心バランス室120内で発生する遠心油圧に基づく力は、キャンセルシリンダ82を介して第1締結ピストン22に伝達される。
第1クラッチ20に設けられた第1遠心バランス室120は、上記のように構成されている。第2クラッチ30に設けられた第2遠心バランス室130及び第3クラッチ40に設けられた第3遠心バランス室140も、第1遠心バランス室120と同様に、キャンセルプレート81及びキャンセルシリンダ82を含むバランス室構成部材によって画成されている。一方で、本実施形態では、各遠心バランス室120,130,140は、容積がそれぞれ異なっている。具体的には、図3に示すように、第2遠心バランス室130の容積は、第1遠心バランス室120の容積よりも大きい一方、第3遠心バランス室140の容積は、第1遠心バランス室120の容積よりも小さい。これは、各締結油圧室23,33,43の容積に合わせて、各遠心バランス室120、130,140の容積を変えているためである。つまり、各遠心バランス室120、130,140の各容積は、各締結油圧室23,33,43内で発生した遠心油圧による力を適度に相殺して、第1〜第3締結油圧室23,33,43内で発生した遠心油圧による第1〜第3締結ピストン22,32,42の第1摩擦板21側(後側)をそれぞれ阻止することができる力を発生させる程度の遠心油圧が発生するような容積にそれぞれ設定されている。より詳しくは、各遠心バランス室120、130,140の各容積は、各クラッチ20,30,40の非締結時における各締結油圧室23,33,43の容積よりも大きい容積に設定されている。
第2遠心バランス室130には、油路35cを介して上記オイルポンプからオイルが供給され、第3遠心バランス室140には、油路43bを介して上記オイルポンプからオイルが供給される。
各遠心バランス室120,130,140内において、第1〜第3締結油圧室22,32,42内で発生した遠心油圧による力を適度に相殺する力を生み出す遠心油圧を発生させるには、各遠心バランス室120,130,140内に十分な量のオイルを充填させておく必要がある。
従来は、上記キャンセルシリンダを設けずに、キャンセルプレートと締結ピストンとで遠心バランス室を形成していたため、締結ピストンのストロークを確保する関係上、遠心バランス室の容積が必要以上に大きくなっていた。従来のように遠心バランス室の容積が大きい場合、エンジン始動直後などには遠心バランス室にオイルが十分に充填されていないことがある。遠心バランス室が十分に満たされていない状態で自動変速機の変速が行われると、締結油圧室で発生した遠心油圧による力を、遠心バランス室で発生させた遠心油圧による力で相殺しきれずに、クラッチが急に締結して変速ショックが発生してしまう。
本実施形態では、キャンセルシリンダ82が、該各キャンセルシリンダ82と第1〜第3締結ピストン22,32,42との間に空間90がそれぞれ形成されるように、第1〜第3締結ピストン22,32,42と各キャンセルプレート81との間にそれぞれ配設されているため、キャンセルシリンダ82とキャンセルプレート81とを含むバランス室構成部材によって構成された各遠心バランス室120,130,140の容積は、キャンセルプレート82を設けない従来の遠心バランス室の容積と比較して、空間90の容積分小さくなる。これにより、エンジン始動直後などにも第1遠心バランス室120内に迅速にオイルを充填させることができる。
また、各遠心バランス室120,130,140の容積が従来よりも小さくなったことにより、各遠心バランス室120,130,140に充填させるオイルの量が従来と比べて少なくなるため、燃費の悪化を防止することもできる。
したがって、燃費を悪化させることなく、各遠心バランス室120,130,140へのオイルの充填性を向上させることができる。
また、本実施形態では、キャンセルシリンダ82を、各締結ピストン22,32,42と一体となって移動可能に、各締結ピストン22,32,42と結合させたことにより、各締結ピストン22,32,42と該各締結ピストン22,32,42に対応したキャンセルプレート81との間にキャンセルシリンダ82をそれぞれ配置して各遠心バランス室120,130,140を構成したとしても、各締結ピストン22,32,42と該各締結ピストン22,32,42に対応したキャンセルプレート81との間の軸方向の長さをほとんど増加させることなく、第1〜第3締結ピストン22,32,42のストロークを十分に確保することができる。
また、本実施形態では、リターンスプリング83を皿ばねにしているため、リターンスプリング83として圧縮コイルばね等を採用する場合と比較して、軸方向におけるリターンスプリング80が占める範囲を小さくすることができる。これにより、第1遠心バランス室120内にリターンスプリング83を設ける場合であっても、該第1遠心バランス室120の容積を出来る限り小さくすることができる。
本実施形態では、変速機ケース11内には、第1〜第3クラッチ20,30,40の潤滑のために、ミスト状のオイルが散布されているため、各キャンセルシリンダ82と第1〜第3締結ピストン22,32,42との間の各空間90に、上記オイルが侵入して該空間90内に溜まることがある。空間90内にオイルを溜めたままにすると、オイルの損失が生じて、燃費の悪化を招くため、空間90内から上記オイルを排出する必要がある。
そこで、本実施形態では、各空間90は、径方向外側の一部分が開放された開空間となっている。これにより、上記空間90内に、上記オイルが溜まったとしても、オイルを該空間90外に排出することができるため、上記オイルの損失を防止することができる。この結果、燃費の悪化をより効果的に防止することができる。
さらに、本実施形態では、第1〜第3締結ピストン22,32,42、キャンセルプレート81及びキャンセルシリンダ82が、金属板のプレス成形体であるため、第1〜第3締結ピストン22,32,42、キャンセルプレート81及びキャンセルシリンダ82を容易に形成することができ、自動変速機10の製造を容易にすることができる。
したがって、本実施形態では、第1〜第3遠心バランス室120,130,140のそれぞれを構成するバランス室構成部材は、第1〜第3締結ピストン22,32,42に対して第1〜第3摩擦板21,31,41と軸方向に離間した位置にそれぞれ固定されたキャンセルプレート81と、該キャンセルプレート81との間が液密になるように該キャンセルプレート82に接続されかつ第1〜第3締結ピストン22,32,42と共に軸方向に移動可能なキャンセルシリンダ82とを有し、キャンセルシリンダ82は、該キャンセルシリンダ82と第1〜第3締結ピストン22,32,42との間に空間90が形成されるように、第1〜第3締結ピストン22,32,42とキャンセルプレート81との間にそれぞれ配設されているため、キャンセルプレート81とキャンセルシリンダ82とを含むバランス室構成部材によって構成された第1〜第3遠心バランス室120,130,140の容積は、従来の遠心バランス室の容積と比較して、空間90の容積分小さくなる。これにより、第1〜第3遠心バランス室120,130,140に充填させるオイルの量がそれぞれ少なくなるため、燃費の悪化を防止するとともに、遠心バランス室へのオイルの充填性を向上させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
例えば、上記の実施形態では、キャンセルシリンダ82のシリンダ内側部82bと第1〜第3締結ピストン22,32,42の受圧部22b,32b,42bとが結合するようにしていたが、これに限らず、キャンセルシリンダ82が第1〜第3締結ピストン22,32,42と共に軸方向に移動可能であれば、第1〜第3クラッチ20,30,40に設けられた各キャンセルシリンダ82を動力伝達部材8、第2クラッチドラム35及び第3クラッチドラム45とそれぞれ接続させるようにしてもよい。また、各締結ピストン22,32,42とキャンセルシリンダ81とをそれぞれ一体で構成してもよい。
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、自動変速機の動力伝達軸上に設けられるとともに、複数の摩擦板と、該複数の摩擦板同士を係合させるように進出する締結ピストンと、該締結ピストンに対して上記摩擦板とは上記動力伝達軸の軸方向の反対側に設けられかつ上記締結ピストンを進出させるための油圧が供給される締結油圧室と、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に設けられた遠心バランス室とを備えた、自動変速機のクラッチ装置として有用である。
10 自動変速機
12 入力軸(動力伝達軸)
13 出力軸(動力伝達軸)
20 第1クラッチ
21 第1摩擦板
22 第1締結ピストン
23 第1締結油圧室
30 第2クラッチ
31 第2摩擦板
32 第2締結ピストン
33 第2締結油圧室
40 第3クラッチ
41 第3摩擦板
42 第3締結ピストン
43 第3締結油圧室
80 遠心バランス室
81 キャンセルプレート(第1のプレート)
82 キャンセルシリンダ(第2のプレート)
83 リターンスプリング
90 空間

Claims (4)

  1. 自動変速機の動力伝達軸上に設けられるとともに、複数の摩擦板と、該複数の摩擦板同士を係合させるように進出する締結ピストンと、該締結ピストンに対して上記摩擦板とは上記動力伝達軸の軸方向の反対側に設けられかつ上記締結ピストンを進出させるための油圧が供給される締結油圧室と、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に設けられた遠心バランス室とを備えた、自動変速機のクラッチ装置であって、
    上記遠心バランス室は、上記締結ピストンに対して上記摩擦板と上記軸方向の同じ側に離間した位置に固定された第1のプレートと、該第1のプレートとの間が液密になるように該第1のプレートと接続されかつ上記締結ピストンと共に上記軸方向に移動可能な第2のプレートとを含むバランス室構成部材により構成されており、
    上記第2のプレートは、該第2のプレートと上記締結ピストンとの間に空間が形成されるように、上記軸方向における上記締結ピストンと上記第1のプレートとの間に配設されていることを特徴とする自動変速機のクラッチ装置。
  2. 請求項1に記載の自動変速機のクラッチ装置において、
    上記第2のプレートは、上記締結ピストンに一体的に結合されていることを特徴とする自動変速機のクラッチ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の自動変速機のクラッチ装置において、
    上記遠心バランス室内に設けられかつ上記第2のプレートを介して上記締結ピストンを後退させるリターンスプリングをさらに備え、
    上記リターンスプリングは、皿ばねであることを特徴とする自動変速機のクラッチ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の自動変速機のクラッチ装置において、
    上記締結ピストン、上記第1のプレート及び上記第2のプレートは、板材のプレス成形体であることを特徴とする自動変速機のクラッチ装置。
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