JP2018149691A - インクジェット記録方法 - Google Patents

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鎌志 森部
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Abstract

【課題】シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含むインクセットを用いて、光沢性に優れ、かつ、粒状性が軽減された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】インクセットを構成する複数種のインクを用いて、マルチパス記録により記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法である。インクセットが、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含み、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクは、それぞれ、樹脂分散剤によって分散された顔料、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有し、イエローインク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)が、イエローインク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)よりも多い。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関する。
近年、技術の進歩により、インクジェット記録方法によって銀塩写真やオフセット印刷で実現されている高精細で光沢性に優れた画像を容易かつ安価に記録することが可能になってきている。
染料を色材として含有するインク(染料インク)を用いると、光沢性に優れているとともに、粒状性の低い良好な画像を記録することができる。しかし、染料インクで記録した画像には、堅牢性が低いといった課題が存在する。このため、近年、堅牢性の良好な画像を記録すべく、顔料を色材として含有するインク(顔料インク)が用いられる傾向にある。顔料インクとしては、記録媒体への顔料の定着性や画像の耐擦過性などの特性を向上させるべく、水溶性の樹脂で顔料を分散させたインクが広く使用されている。
しかし、染料インクを用いて記録した画像に比べて、顔料インクを用いて光沢紙などの記録媒体に記録した画像は、顔料が粒子であることに起因して光沢性が不十分である。このため、顔料インクを用いて写真などの高精細な画像を記録する場合に、画像の光沢性を向上させることが強く要望されている。顔料インクを用いて、記録媒体の単位領域の画像を記録ヘッドの複数回の走査によって記録する、いわゆる「マルチパス記録」により記録した画像は、複数のドット間に生ずる段差により平滑性が乏しくなるため、光沢性が劣ると感じられやすい。このような課題を解決し、光沢性に優れた画像を記録すべく、例えば、ウレタン樹脂、有機アミン、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する顔料インクが提案されている(特許文献1)。
特開2016−044237号公報
本発明者らは、特許文献1で提案された構成のシアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを調製し、これらのインクを用いてフルカラーの画像を記録する方法について検討した。その結果、所定のインクの組み合わせで特定の色相を表現する際に、得られる画像の粒状性が顕著となることがわかった。具体的には、イエローインクを多く付与し、かつ、シアンインクやマゼンタインクを少量付与して記録する画像の粒状性が目立つことがわかった。
したがって、本発明の目的は、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含むインクセットを用いて、光沢性に優れ、かつ、粒状性が軽減された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、複数の吐出口を有するインクジェット方式の記録ヘッドから、インクセットを構成する複数種のインクを吐出させながら、前記記録ヘッドを前記記録媒体の単位領域に対して複数回移動させて記録するインクジェット記録方法であって、前記インクセットが、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含み、前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクは、それぞれ、樹脂分散剤によって分散された顔料、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有し、下記(1)〜(3)で定義されるUC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値が、いずれも0.10以上であるとともに、(UY/PY)<(UC/PC)及び(UY/PY)<(UM/PM)の関係を満たし、前記イエローインク中の前記アクリル樹脂の含有量(質量%)が、前記イエローインク中の前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)よりも多いことを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
(1)UC/PC:シアンインク中の、顔料の含有量PC(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UC(質量%)の質量比率
(2)UM/PM:マゼンタインク中の、顔料の含有量PM(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UM(質量%)の質量比率
(3)UY/PY:イエローインク中の、顔料の含有量PY(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UY(質量%)の質量比率
本発明によれば、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含むインクセットを用いて、光沢性に優れ、かつ、粒状性が軽減された画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、インクジェット用の水性インクのことを、単に「インク」と記載することがある。物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
本発明者らは、特許文献1で提案されたインクで記録した画像の光沢性が向上するメカニズムについて検討した。その結果、ウレタン樹脂が、画像の光沢性の向上に最も寄与する構成成分であることがわかった。ウレタン樹脂を含有するインクを用いると、記録される画像の表面エネルギーを高くすることができるため、次に付与されるインクの濡れ性が向上する。これにより、画像の平滑性が高まり、光沢性が向上する。ウレタン樹脂は、主鎖骨格中にウレタン結合に起因する分極箇所を多く有する、表面エネルギーの高い材料であるため、上記のようなメカニズムによって画像の光沢性の向上に寄与すると推察される。
しかし、ウレタン樹脂を含有するインクで記録された画像に次に付与されるインクは濡れ広がりやすいため、ドット径の大きい画像になりやすい。このため、相対的に明度が高いイエローインクが多く付与された箇所に、相対的に明度が低いシアンインクやマゼンタインクが付与されると、シアンインクやマゼンタインクのドットが視認されやすくなり、画像の粒状性が顕著になりやすい。すなわち、画像の光沢性の向上と、画像の粒状性の軽減とは、トレードオフの関係にあることがわかった。
画像の粒状性を軽減するための手法として、例えば、後から付与されるシアンインクやマゼンタインクに含有させる色材の量を減らし、これらのインクのドットの明度を高める手法がある。また、シアンインクやマゼンタインクの吐出量を減らし、これらのインクのドットあたりのインク量を減少させる手法もある。これらの手法は、インクに用いる色材の種類を問わない公知の手法である。しかし、これらの手法では付与される色材の量が減少するため、画像の発色性が低下することにつながる。画像の発色性の低下を回避すべく、色材量の異なるシアンインクやマゼンタインクを別途用意する方法もあるが、用いるインクの種類(数)が増加するため、記録ヘッドの大型化につながることとなる。
さらなる検討の結果、本発明者らは、イエローインクで記録される画像の表面エネルギーの過度な上昇を抑制することで、光沢性の向上と、粒状性の軽減とが両立されることを見出した。インクの構成成分のうち、画像の表面エネルギーを最も低下させる成分は顔料である。一方、画像の表面エネルギーを最も上昇させる成分はウレタン樹脂である。このため、顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率を変えることで、記録される画像の表面エネルギーの変動を予測できることがわかった。具体的には、顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率が高いインクほど、記録される画像の表面エネルギーは上昇する。一方、顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率が低いインクほど、記録される画像の表面エネルギーは低下する。
画像の粒状性を軽減するには、相対的に明度が高いイエローインクが多く付与された箇所にさらに付与される、シアンインクやマゼンタインクのドットの濡れ広がりを抑制する必要がある。このため、イエローインクで記録される画像の表面エネルギーが低くなるように制御する。すなわち、イエローインク中の顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率を、イエローインク以外のインク中の顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率よりも低くすることを見出した。
イエローインク中の顔料の含有量に対するウレタン樹脂の含有量の質量比率を減少させると、画像の粒状性は軽減される。但し、顔料の含有量(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量(質量%)の質量比率を0.10未満とすると、画像の光沢性が損なわれる。また、イエローインク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)が、イエローインク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)以下であると、画像の粒状性を軽減することができない。アクリル樹脂は、その側鎖にエステル結合を有するが、炭素原子が連続した骨格である主鎖を有するため、ウレタン樹脂と比較して表面エネルギーが低い。また、主鎖骨格の違いから、より疎水性であるアクリル樹脂の方が、ウレタン樹脂よりも記録媒体上に残りやすい。このため、イエローインク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)が、イエローインク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)よりも多いと、画像の表面にアクリル樹脂がより多く残りやすくなり、表面エネルギーの過度な上昇が抑制されると考えられる。
<インク>
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクセットは、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含む。以下、単に「インク」と記した場合には、「シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインク」のすべてのインクを意味する。インクは、それぞれ、樹脂分散剤によって分散された顔料、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有する。そして、下記(1)〜(3)で定義されるUC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値が、いずれも0.10以上であるとともに、(UY/PY)<(UC/PC)及び(UY/PY)<(UM/PM)の関係を満たす。さらに、イエローインク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)は、イエローインク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)よりも多い。以下、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクセットを構成するインクに含まれる各成分や、インクの物性などについて詳細に説明する。
(1)UC/PC:シアンインク中の、顔料の含有量PC(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UC(質量%)の質量比率
(2)UM/PM:マゼンタインク中の、顔料の含有量PM(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UM(質量%)の質量比率
(3)UY/PY:イエローインク中の、顔料の含有量PY(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UY(質量%)の質量比率
(顔料)
インクセットを構成するインクは、それぞれ顔料を色材として含有する。顔料としては、フタロシアニン、キナクドリン、アゾなどの有機顔料などを用いることができる。シアンインクに用いる顔料としては、C.I.ピグメントブルー15などのフタロシアニン顔料を挙げることができる。マゼンタインクに用いる顔料としては、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレット19、固溶体などのキナクリドン顔料を挙げることができる。イエローインクに用いる顔料としては、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー155などのアゾ顔料を挙げることができる。
インクは、それぞれ、樹脂分散剤によって分散された樹脂分散タイプの顔料を含有する。樹脂分散タイプの顔料としては、樹脂分散剤を使用した樹脂分散型顔料;顔料の粒子表面を樹脂で被覆したマイクロカプセル型顔料;顔料の粒子表面に高分子を含む有機基が化学的に結合した樹脂結合型顔料などを挙げることができる。
インク中の顔料の含有量P(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下であることが好ましく、1.00質量%以上8.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(アクリル樹脂)
インクは、それぞれアクリル樹脂を含有する。アクリル樹脂としては、親水性ユニット及び疎水性ユニットを構成ユニットとして有する樹脂が好ましい。疎水性ユニットは、芳香族基を有することが好ましい。本明細書における「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を意味する。
親水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有する単量体を重合することで形成される。親水性基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボン酸基を有する酸性単量体;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する酸性単量体;これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体;メトキシ(モノ、ジ、トリ、ポリ)エチレングリコール(メタ)アクリレートなどのエチレンオキサイド基を有する単量体などを挙げることができる。アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、有機アンモニウムイオンなどを挙げることができる。
疎水性ユニットは、酸基やヒドロキシ基などの親水性基を有しない、疎水性の単量体を重合することで形成される。疎水性の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体などを挙げることができる。アクリル樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
アクリル樹脂は、顔料を分散するための樹脂分散剤や、樹脂分散剤ではない添加成分として用いることができる。なかでも、顔料を分散するための樹脂分散剤としてアクリル樹脂を用いることが好ましい。
アクリル樹脂の酸価は、インクの信頼性を確保するなどの観点から、80mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。アクリル樹脂の酸価が300mgKOH/g超であると、親水性が高すぎるため、顔料との疎水性相互作用が弱くなりやすく、安定した分散体を得ることがやや困難になることがある。一方、アクリル樹脂の酸価が80mgKOH/g未満であると、親水性が低すぎるため、やはり安定した分散体を得ることがやや困難になることがある。
イエローインク中のアクリル樹脂の酸価は、80mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であることが好ましい。イエローインク中のアクリル樹脂の酸価が130mgKOH/g以下であると、記録される画像の粒状性をさらに軽減することができる。酸価が130mgKOH/g以下のアクリル樹脂は記録媒体の表面上に残りやすいため、イエローインクで記録される画像の表面エネルギーの過度な上昇を抑制することができると考えられる。
インク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対する質量比率で、0.15倍以上1.00倍以下であることが好ましい。上記の質量比率が0.15倍未満であると、アクリル樹脂の量が少なく、顔料の粒子表面を十分に被覆できなくなる場合があり、安定した分散体を得ることがやや困難になることがある。一方、上記の質量比率が1.00倍超であると、顔料の分散に寄与しないアクリル樹脂の影響でインクの粘度が高まりやすく、インクの吐出安定性がやや低下することがある。インク中のアクリル樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以上3.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(ウレタン樹脂)
インクジェット用の水性インクに一般的に用いられるウレタン樹脂は、少なくとも、ポリイソシアネートと、それと反応する成分(ポリオールやポリアミン)を用いて合成され、必要に応じて架橋剤や鎖延長剤も用いられる。本発明のインクジェット記録方法で用いるインクに含有させるウレタン樹脂は、ポリイソシアネートに由来するユニットと、ポリオールに由来するユニットとを有する。本発明におけるウレタン樹脂の「ユニット」とは、1の単量体に由来する繰り返し単位を意味する。以下、ウレタン樹脂を構成するユニットとなる各単量体について説明する。
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートは、その分子構造中に2以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネートとしては、脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどを用いることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの鎖状構造を有するポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの環状構造を有するポリイソシアネート;などを挙げることができる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどを挙げることができる。これらのポリイソシアネートのなかでも、脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましい。さらに、脂肪族ポリイソシアネートのなかでも、環状構造を有するものが好ましく、イソホロンジイソシアネートがさらに好ましい。
ウレタン樹脂中のポリイソシアネートに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
[ポリオール、ポリアミン]
ポリオールは、その分子構造中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物である。ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどの酸基を有しないポリオール;酸基を有するポリオール;などを挙げることができる。また、ポリアミンは、その分子構造中に2以上のアミノ基を有する化合物である。ウレタン樹脂中の、ポリオール及びポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以上80.0モル%以下であることが好ましく、20.0モル%以上60.0モル%以下であることがさらに好ましい。
〔酸基を有しないポリオール〕
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキサイド及びポリオール類の付加重合物;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイドなどを挙げることができる。アルキレンオキサイドと付加重合させるポリオール類としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4−ジヒドロキシフェニルメタン、水素添加ビスフェノールA、ジメチロール尿素及びその誘導体などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールメラミン及びその誘導体、ポリオキシプロピレントリオールなどのトリオール;などを挙げることができる。グリコール類としては、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの(ポリ)アルキレングリコール;エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体;などを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、酸エステルなどを挙げることができる。酸エステルを構成する酸成分としては、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;これらの芳香族ジカルボン酸の水素添加物などの脂環族ジカルボン酸;マロン酸、コハク酸、酒石酸、シュウ酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの脂肪族ジカルボン酸;などを挙げることができる。これらの無水物、塩、誘導体(アルキルエステル、酸ハライド)なども酸成分として用いることができる。また、酸成分とエステルを形成する成分としては、ジオール、トリオールなどのポリオール類;(ポリ)アルキレングリコールなどのグリコール類;などを挙げることができる。ポリオール類やグリコール類としては、上記のポリエーテルポリオールを構成する成分として例示したものを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、公知の方法で製造されるポリカーボネートポリオールを用いることができる。具体的には、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールなどのアルカンジオール系ポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。また、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートなどのカーボネート成分やホスゲンと、脂肪族ジオール成分と、を反応させて得られるポリカーボネートジオールなどを挙げることができる。
酸基を有しないポリオールの数平均分子量は、400以上4,000以下であることが好ましい。酸基を有しないポリオールは、ポリエーテルポリオールであることが好ましく、ポリプロピレングリコールであることがさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの構造中のアルキレンオキサイド部分には、水分子が水和する。このため、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂を用いると、記録媒体に付与されたインク中の水分が蒸発する過程で生ずる顔料の急激な凝集を抑制することができる。その結果、より平滑な表面を有する顔料層が形成されるため、画像の光沢性をさらに向上させることができる。特に、イエローインク中のウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有するウレタン樹脂であることが好ましい。
また、ポリプロピレングリコールに由来するユニットを有するウレタン樹脂は、プロピレンオキサイド構造中の分岐したメチル基の作用によって、顔料の粒子近傍に存在しやすくなる。このため、ポリプロピレングリコールに由来するユニットを有するウレタン樹脂を用いると、顔料の凝集を特に効率よく抑制することができるとともに、顔料の粒子間に形成される隙間を埋めるような状態となりやすい。したがって、特に平滑な表面を有する顔料層が形成され、画像の光沢性を特に向上することができる。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有しないポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、60.0%以上90.0モル%以下であることが好ましい。
〔酸基を有するポリオール〕
酸基を有するポリオールとしては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基などの酸基を有するポリオールを挙げることができる。酸基は、カルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基を有するポリオールとしては、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酪酸などを挙げることができる。なかでも、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸が好ましい。酸基を有するポリオールの酸基は塩型であってもよい。塩を形成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属のイオン;アンモニウムイオン、ジメチルアミンなどの有機アミンのカチオンなどを挙げることができる。なお、汎用の酸基を有するポリオールの分子量は大きくても400程度であるので、酸基を有するポリオールに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。
ウレタン樹脂中の、ポリオールに由来するユニットの合計量に占める、酸基を有するポリオールに由来するユニットの割合(モル%)は、50.0モル%以上95.0モル%以下であることが好ましい。また、60.0モル%以上90.0モル%以下であることがさらに好ましい。
〔ポリアミン〕
ポリアミンとしては、ジメチロールエチルアミン、ジエタノールメチルアミン、ジプロパノールエチルアミン、ジブタノールメチルアミンなどの複数のヒドロキシ基を有するモノアミン;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジンなどの2官能ポリアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミンなどの3官能以上のポリアミン;などを挙げることができる。なお、便宜上、複数のヒドロキシ基と、1つの「アミノ基、イミノ基」を有する化合物も「ポリアミン」として列挙した。ポリアミンの分子量は大きくても400程度であるので、ポリアミンに由来するユニットは、基本的にはウレタン樹脂のハードセグメントとなる。ウレタン樹脂中の、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、10.0モル%以下であることが好ましく、5.0モル%以下であることがさらに好ましい。ウレタン樹脂中の、ポリアミンに由来するユニットの割合(モル%)は、0.0モル%であってもよい。
[架橋剤、鎖延長剤]
ウレタン樹脂を合成する際には、架橋剤や鎖延長剤を用いることができる。通常、架橋剤はプレポリマーの合成の際に用いられ、鎖延長剤は予め合成されたプレポリマーに対して鎖延長反応を行う際に用いられる。基本的には、架橋剤や鎖延長剤としては、架橋や鎖延長など目的に応じて、水や、ポリイソシアネート、ポリオール、ポリアミンなどから適宜に選択して用いることができる。鎖延長剤として、ウレタン樹脂を架橋させることができるものを用いることもできる。
[ウレタン結合の割合]
ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合は、95.0モル%以上であることが好ましい。ウレア結合に由来する分子間水素結合は、ウレタン結合に由来する分子間水素結合よりも強い。このため、ウレア結合の割合が低いウレタン樹脂は、凝集が抑制され、不溶化しにくくなると考えられる。したがって、ウレタン樹脂中のウレタン結合の割合を上記の範囲内とすることで、ウレタン樹脂が不溶化する際の吸熱反応が生じにくくなり、インクの吐出安定性を向上させることができる。ウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合が95.0モル%未満であると、ウレア結合に由来する分子間水素結合が強くなる。このため、インクの吐出安定性の向上効果が低下する場合がある。
ウレタン樹脂中のウレタン結合の割合を調整する方法としては、例えば、以下に示す第1の方法及び第2の方法を挙げることができる。第1の方法は、ウレタン樹脂の製造時にポリイソシアネートと反応させるアミン化合物の量を調整する方法である。この方法では、アミン化合物とイソシアネート基との反応により形成されるウレア結合の量を制御する。具体的には、まず、アミン化合物の使用量を変えて複数種のウレタン樹脂を合成する。そして、後述する方法によって、合成した各ウレタン樹脂のウレタン結合の割合(モル%)を算出する。算出したウレタン結合の割合(モル%)と、アミン化合物の使用量との関係から検量線を作成する。作成した検量線を利用して、ウレタン結合の割合が所望とするモル%となるウレタン樹脂を製造するために必要なアミン化合物の使用量を決定することができる。なお、同種のアミン化合物を使用したとしても、その他の成分の種類が異なると反応率などが変化する場合があるため、得られるウレタン樹脂中のウレタン結合の割合は必ずしも同一にはならない。このため、予め検量線を作成することで、ウレタン結合の割合が所望とするモル%となるウレタン樹脂を製造することができる。
第2の方法は、ウレタン樹脂を水に転相する際に、未反応のイソシアネート基の残存率を調整する方法である。この方法では、水とイソシアネート基との反応により形成されるウレア結合の量を制御する。具体的には、まず、ウレタン樹脂を製造する過程(合成途中)で、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)を使用して分析することにより、ポリイソシアネートの使用量に対するイソシアネート基の残存率を確認する。イソシアネート基の残存率は、反応時間やポリイソシアネートの使用量などを変えることで調整することができる。そして、イソシアネート基の残存率が、所望とするウレタン結合の割合となった時点で、イオン交換水を反応系に添加する。例えば、ウレタン結合の割合が95モル%であるウレタン樹脂を製造する場合には、使用したポリイソシアネートに由来するイソシアネート基の残存率が5モル%になった時点で、イオン交換水を反応系に添加すればよい。後述する実施例では、この第2の方法によって、ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合(モル%)を調整した。
ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合は、以下のようにして測定することができる。すなわち、重水素化ジメチルスルホキシドにウレタン樹脂を溶解させて測定用試料を調製する。そして、カーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により調製した試料を分析し、得られたウレタン結合とウレア結合のそれぞれのピークの積算値から、ウレタン樹脂中のウレタン結合の割合を算出することができる。ただし、ウレタン結合とウレア結合のそれぞれのピークの位置は、ウレタン樹脂の製造に用いた化合物の種類によって異なる。このため、ウレタン樹脂の合成に使用した化合物毎に、ウレタン結合とウレア結合のピークの位置を調べる必要がある。以下、その方法について説明する。
まず、ウレタン樹脂の組成、具体的には、ポリイソシアネートと、ポリイソシアネートと反応させる成分(酸基を有しないポリオールや酸基を有するポリオールなど)を分析する。なお、ウレタン樹脂の組成については、後述する方法にしたがって分析することができる。次いで、ポリイソシアネートに対応するウレタン結合及びウレア結合の化学シフトを確認するため、以下に示す操作を行う。ポリイソシアネートと、ポリイソシアネートと反応させる成分(酸基を有しないポリオール、酸基を有するポリオール、ポリアミン、水)とを1種ずつ用いて、反応物を調製する。例えば、酸基を有しないポリオールと酸基を有するポリオールが併用されていれば、(i)ポリイソシアネートと酸基を有しないポリオールの反応物、(ii)ポリイソシアネートと酸基を有するポリオールの反応物、(iii)ポリイソシアネートと水の反応物、をそれぞれ調製する。このようにして調製した反応物を重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させ、カーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析して、各反応物についてのウレタン結合及びウレア結合の化学シフトを確認する。
上記の例の場合、(i)の反応物と(ii)の反応物からウレタン結合の化学シフトを確認し、(iii)の反応物からウレア結合の化学シフトを確認する。確認したそれぞれの化学シフトから、ウレタン結合のピークとウレア結合のピークを特定し、これらのピークの積算値の比から、ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合を算出する。例えば、イソホロンジイソシアネートを用いて得たウレタン樹脂の場合、測定条件やウレタン樹脂の組成により多少のずれは生ずるが、ウレタン結合のピークは155ppm付近に検出され、ウレア結合のピークは158ppm付近に検出される。
後述する実施例では、以下のようにしてウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合を求めた。製造したウレタン樹脂を含む液体に過剰の酸(塩酸)を添加し、析出したウレタン樹脂を分取して乾燥させた。乾燥させたウレタン樹脂を重水素化ジメチルスルホキシドに溶解させた試料をカーボン核磁気共鳴法(13C−NMR)により分析し、ウレタン結合及びウレア結合の化学シフトのピーク積算値を求めた。13C−NMRは、核磁気共鳴装置(商品名「Avance500」、BRUKER Bio Spin製)を使用して分析した。そして、これらのピーク積算値から、ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合を求めた。
インクセットを構成する各インクは、下記(1)〜(3)で定義されるUC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値が、いずれも0.10以上であることを要する。UC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値が0.10未満であると、後から付与されるインクに対する顔料層の濡れ性を高める効果が不足する。このため、画像の表面を平滑にすることができず、画像の光沢性を向上させることができない。また、下記(1)〜(3)で定義されるUC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値は、(UY/PY)<(UC/PC)及び(UY/PY)<(UM/PM)の関係を満たすことを要する。
(1)UC/PC:シアンインク中の、顔料の含有量PC(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UC(質量%)の質量比率
(2)UM/PM:マゼンタインク中の、顔料の含有量PM(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UM(質量%)の質量比率
(3)UY/PY:イエローインク中の、顔料の含有量PY(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UY(質量%)の質量比率
インク中のウレタン樹脂の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.50質量%以上3.00質量%以下であることがさらに好ましい。
(水性媒体)
本発明のインクジェット記録方法で用いるインクは、水を含む水性媒体を含有する水性インクである。水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、50.00質量%以上90.00質量%以下であることがさらに好ましい。
水性媒体には、さらに水溶性有機溶剤を含有させることができる。水溶性有機溶剤としては、1価アルコール、多価アルコール、(ポリ)アルキレングリコール、グリコールエーテル、含窒素極性溶媒、含硫黄極性溶媒などを用いることができる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
インクには、上記した成分以外にも必要に応じて、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの多価アルコール類や、尿素、エチレン尿素などの尿素誘導体などの、常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。さらに、インクには、必要に応じて、界面活性剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性樹脂などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
25℃におけるインクのpHは、5.0以上10.0以下であることが好ましく、7.0以上9.5以下であることがさらに好ましい。25℃におけるインクの静的表面張力は、30mN/m以上45mN/m以下であることが好ましく、35mN/m以上40mN/m以下であることが好ましい。25℃におけるインクの粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上述のインクセットを構成する複数種のインク(シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインク)をインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して記録媒体に画像を記録する方法である。より具体的には、本発明のインクジェット記録方法では、複数の吐出口を有する記録ヘッドを記録媒体の単位領域に対して複数回移動させながら、吐出口からシアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクを吐出して、画像を記録媒体に記録する。本明細書における「単位領域」とは、1画素(ピクセル)や1バンドなどのことであり、必要に応じて種々の領域として単位領域を設定することができる。また、1画素とは、解像度に対応した1画素のことであり、1バンドとは、1回の記録ヘッドの走査で形成される画像の領域のことである。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。上記で説明したインクセットを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図1は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
<アクリル樹脂の合成>
表1に示す種類及び量の単量体を常法により共重合して、アクリル樹脂1〜5をそれぞれ合成した。水酸化カリウム水溶液を用いて樹脂中のすべての酸基を中和した後、イオン交換水を加えて、樹脂(固形分)の含有量が20.0%である各アクリル樹脂を含む液体を調製した。アクリル樹脂を含む液体に塩酸を添加し、析出したアクリル樹脂を40℃で一晩真空乾燥させた。乾燥したアクリル樹脂テトラヒドロフランに溶解させて測定用試料を調製した。そして、水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差自動滴定装置(商品名「AT−510」、京都電子工業製)を使用し、アクリル樹脂の酸価を測定した。測定結果を表1に示す。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2018149691
<ウレタン樹脂の合成>
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流管を備えた四つ口フラスコを用意した。この四つ口フラスコに、表2に示す種類及び量のポリイソシアネート、酸基を有しないポリオール、酸基を有するポリオール、及びメチルエチルケトン300.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、80℃で6時間反応させた。表2に示す種類及び量の鎖延長剤を添加し、FT−IRによりイソシアネート基の残存率を確認しながら80℃で反応させた。40℃まで冷却してイオン交換水を添加し、ホモミキサーで高速撹拌しながら水酸化カリウム水溶液を添加した。加熱減圧下でメチルエチルケトンを留去し、樹脂(固形分)の含有量が20.0%であるウレタン樹脂1〜15を含む液体を得た。前述の水酸化カリウムメタノール滴定液を用いた電位差滴定により測定したウレタン樹脂の酸価を表2に示す。また、前述のGPCにより測定したウレタン樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量を表2に示す。さらに、13C−NMRにより測定及び算出した、ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合を「ウレタン結合の割合(モル%)」として表2に示す。ウレタン樹脂中のウレタン結合とウレア結合の合計に占める、ウレタン結合の割合は、鎖延長剤(アミン系化合物)の使用量により調整した。また、表2中の各成分の詳細を以下に示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
H12MDI:ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
PPG2000:ポリプロピレングリコール(数平均分子量2,000)
PTMG2000:ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量2,000)
ポリエステル:ポリエステルポリオール(数平均分子量2,000)
ポリカーボネート:ヘキサンジオール系ポリカーボネートポリオール(数平均分子量2,000)
PPG450:ポリプロピレングリコール(数平均分子量450)
PPG4000:ポリプロピレングリコール(数平均分子量4,000)
DMPA:ジメチロールプロピオン酸
EDA:エチレンジアミン
Figure 2018149691
<顔料分散液の調製>
バッチ式縦型サンドミルを使用し、表3に示す各成分(単位:%)を10時間分散させた。遠心分離して粗大粒子を除去した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過し、顔料分散液1〜12を調製した。
Figure 2018149691
<インクの調製>
表4、5、及び6−1〜6−3に示す各成分(単位:%)を混合し、十分に撹拌した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
Figure 2018149691
Figure 2018149691
Figure 2018149691
Figure 2018149691
Figure 2018149691
<評価>
熱エネルギーの作用により液体を吐出する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置(商品名「PIXUS Pro9500」、キヤノン製)を用意した。調製した各インクをインクカートリッジに充填し、シアンインクをシアンのポジション、マゼンタインクをマゼンタのポジション、イエローインクをイエローのポジションにそれぞれセットした。単位領域(1ピクセル)の画像を、記録ヘッドのホームポジションから開始する走査と、記録ヘッドのホームポジションの逆側から開始する走査とを交互に行い、合計8回の走査で記録媒体に画像を記録した(8パス双方向記録)。本実施例においては、1/1,200インチ×1/1,200インチを1ピクセルと定義し、1ピクセル単位の領域に4.5ng±10%のインクを付与する条件で記録したベタ画像の記録デューティを100%と定義する。本発明においては、以下に示す各項目の評価基準において、「A」及び「B」を許容できるレベル、「C」及び「D」を許容できないレベルとした。評価結果を表7に示す。
(光沢性)
記録媒体として、光沢紙(商品名「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]」、キヤノン製)を用意した。この光沢紙に、以下に示す記録デューティで10cm×10cmのベタ画像を記録して記録物を得た。
・シアンインク120%デューティ
・マゼンタインク120%デューティ
・イエローインク120%デューティ
・シアンインク60%デューティ+マゼンタインク60%デューティ
・シアンインク60%デューティ+イエローインク60%デューティ
・マゼンタインク60%デューティ+イエローインク60%デューティ
・シアンインク40%デューティ+マゼンタインク40%デューティ+イエローインク40%デューティ
得られた記録物を24時間自然乾燥させた。観察光源として10cm間隔で配置した2本の蛍光灯を用い、照明角度45度、観察角度45度、2m離れた距離から画像に対して蛍光灯を投影した。画像に投影された蛍光灯の形状を目視で確認し、以下に示す評価基準にしたがって画像の光沢性を評価した。
A:2本の蛍光灯が画像にはっきり投影されていた。
B:投影された2本の蛍光灯のエッジが若干ぼやけていた。
C:投影された2本の蛍光灯の境目がわからなかった。
D:投影された2本の蛍光灯の境目がわからず、反射光が暗かった。
(粒状性)
記録媒体として、光沢紙(商品名「キヤノン写真用紙・光沢プロ[プラチナグレード]」、キヤノン製)を用意した。この光沢紙に、以下に示す記録デューティで10cm×10cmのベタ画像を記録して記録物を得た。
・シアンインク100%デューティ+マゼンタインク5%デューティ
・シアンインク100%デューティ+イエローインク5%デューティ
・マゼンタインク100%デューティ+シアンインク5%デューティ
・マゼンタインク100%デューティ+イエローインク5%デューティ
・イエローインク100%デューティ+シアンインク5%デューティ
・イエローインク100%デューティ+マゼンタインク5%デューティ
得られた記録物を24時間自然乾燥させた。乾燥させた記録物を、20cm、30cm及び50cmの距離から観察し、以下に示す評価基準にしたがって画像の粒状性を評価した。
A:20cmの距離から観察しても粒状性に起因するざらつきが認められず、均一に視認できた。
B:20cmの距離から観察すると粒状性に起因するざらつきが認められたが、30cmの距離から観察すると粒状性に起因するざらつきが認められず、均一に視認できた。

C:50cmの距離から観察すると粒状性に起因するざらつきが認められず均一に視認されたが、30cmの距離から観察すると粒状性に起因するざらつきが認められた。
D:50cmの距離から観察しても粒状性に起因するざらつきが認められた。
Figure 2018149691

Claims (3)

  1. 複数の吐出口を有するインクジェット方式の記録ヘッドから、インクセットを構成する複数種のインクを吐出させながら、前記記録ヘッドを前記記録媒体の単位領域に対して複数回移動させて記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクセットが、シアンインク、マゼンタインク、及びイエローインクの組み合わせを含み、
    前記シアンインク、前記マゼンタインク、及び前記イエローインクは、それぞれ、樹脂分散剤によって分散された顔料、アクリル樹脂、及びウレタン樹脂を含有し、
    下記(1)〜(3)で定義されるUC/PC、UM/PM、及びUY/PYの値が、いずれも0.10以上であるとともに、(UY/PY)<(UC/PC)及び(UY/PY)<(UM/PM)の関係を満たし、
    前記イエローインク中の前記アクリル樹脂の含有量(質量%)が、前記イエローインク中の前記ウレタン樹脂の含有量(質量%)よりも多いことを特徴とするインクジェット記録方法。
    (1)UC/PC:シアンインク中の、顔料の含有量PC(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UC(質量%)の質量比率
    (2)UM/PM:マゼンタインク中の、顔料の含有量PM(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UM(質量%)の質量比率
    (3)UY/PY:イエローインク中の、顔料の含有量PY(質量%)に対するウレタン樹脂の含有量UY(質量%)の質量比率
  2. 前記イエローインク中の前記アクリル樹脂の酸価が、130mgKOH/g以下である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記イエローインク中の前記ウレタン樹脂が、ポリエーテルポリオールに由来するユニットを有する請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
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