JP2018144414A - 立体造形物の製造方法、立体造形用組成物、立体造形用材料セット及び立体造形物の製造装置 - Google Patents

立体造形物の製造方法、立体造形用組成物、立体造形用材料セット及び立体造形物の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高融点かつ高硬度な材料を用いた場合であっても、複雑な立体形状の立体造形物を高強度かつ高精度で製造し得る立体造形物の製造方法を提供する。【解決手段】相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する層形成工程と、前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化工程と、を複数回繰り返すことで立体造形物を造形することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、立体造形物の製造方法、立体造形用組成物、立体造形用材料セット及び立体造形物の製造装置に関する。
近年、複雑な形状をした立体造形物を製造するニーズが高まっている。従来の型を利用して立体造形物を製造する方法は、複雑で微細な造形物の製造には限界があり、型が高額で、低ロット生産には適用できないなど、多くの問題を抱えていた。
これに対し、形状データを用いて、各種材料を積層しながら立体造形物を直接製造する積層造形(付加造形とも称する)は、これらの問題を解決できる有効な方法として注目されている。
これらの方法の一例としては、粉末材料の層にレーザー光を照射し、焼結させながら積層する粉末焼結積層方式、光硬化性樹脂液に紫外線レーザーを照射し、光硬化させながら積層する光造形方式、熱で溶融させた樹脂をノズルから押し出し、積層する熱融解積層方式、インクジェットヘッドから光硬化性樹脂液を噴射し、光硬化させながら積層するマテリアルジェット方式、粉末材料の層上にインクジェットヘッドからバインダー樹脂液を吐出し、これらを繰り返して粉末材料を積層するバインダージェット方式など、多くの方法が提案されている。
これらの中でも、インクジェットヘッドを使用するバインダージェット方式は、造形速度が速いメリットがあるが、粉末材料を用いており、その粉末材料は製造上、安全上の原因で小粒子化に限界があるため、精密な造形が原理上困難となる。そのため、より高密度、高強度、かつ高精度な造形への対応に課題があった。
近年においては粉末の代わりに、微粉末を液体中に分散させたスラリーを用いたバインダージェット方式が提案されており、これまでに困難であったセラミックス微粉末などへの適応が可能になってきている。
この立体積層造形では内部構造を有した繊細な加工が可能となるため、新たな製造方式として期待され、例えば特許文献1、2では両親媒性ポリマーを用いることが報告されている。
しかしながら、造形物から非造型部位を除去する除去性は従来技術をもってしても充分ではなく、非造型部位の除去時に造形物が欠損するなどにより、未だに高い寸法精度を達成することはできていない。
本発明は、高融点かつ高硬度な材料を用いた場合であっても、複雑な立体形状の立体造形物を高強度かつ高精度で製造し得る立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の立体造形物の製造方法は、相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する層形成工程と、前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化工程と、を複数回繰り返すことで立体造形物を造形することを特徴とする。
本発明によれば、高融点かつ高硬度な材料を用いた場合であっても、複雑な立体形状の立体造形物を高強度かつ高精度で製造し得る立体造形物の製造方法を提供することができる。
本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す概略図である。 本発明の立体造形物の製造装置の他の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る立体造形物の製造方法、立体造形用組成物、立体造形用材料セット及び立体造形物の製造装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
(立体造形用組成物)
本発明の立体造形用組成物(「第一の立体造形用液体材料」などとも称することがある)は、相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。本実施形態の立体造形用組成物によれば、高融点かつ高硬度な材料を用いた場合であっても複雑な立体形状の立体造形物を、高強度かつ高精度で製造することができる。また、高融点かつ高硬度な材料を用いた場合であっても、簡便にかつ効率良く立体造形物を製造することができる。
特に立体造形用組成物が、粒子及び溶媒を含むスラリーである場合は、立体造形用組成物層を形成後に層乾燥を行うことが好適に行われるため、造型物だけでなく、非造型部位も乾燥により粒子の凝集によって硬くなり、造形物から非造型部位を除去することが難しく、造形物が欠損する場合がある。一方で本発明においては、相変化性物質を含有するため、容易に非造型部位を除去することができる。また、粒子の流動性の悪化を防ぎ、搬送性を向上できるため、立体造形用組成物としては溶媒と粒子を含むスラリーが好ましい。
<相変化性物質>
相変化性物質は、常温常圧下(25℃、1気圧下)で固体であり、熱や圧力変化などにより物質の状態が固体状態から液体状態に融解、または固体状態から直接気体状態に昇華、あるいは固体からガラス状態に変化する物質のことをさす。
立体造形用組成物が相変化性物質を含むことにより、例えば熱等により未硬化部分を簡便に除去することが可能になり、除去性が上がることで、除去工程において見られていたグリン体の欠け等が減少することにより、造形物の強度を維持しつつ寸法精度の向上が可能となる。
相変化性物質としては、常温常圧下(25℃、1気圧下)で固体であり、相変化が40〜230℃の間で生じる物質が好適に用いられる。特に積層造形時に固体であり、除去工程において相変化を起こす物質が好適に用いられる。また、相変化性物質は、スラリー中で固体として存在していることが好ましい。
前記相変化性物質としては、目的に応じて適宜選択することができ、非晶性樹脂、結晶性樹脂などの樹脂、ワックス、金属化合物、非金属化合物などが挙げられる。中でもワックス、非晶性樹脂、結晶性樹脂が好ましく、ワックスがより好ましい。
樹脂としては、例えば非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン−アクリル樹脂などの低融点樹脂等が挙げられる。
ワックスとしては、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、モンタンワックスなどの鉱物ワックス、カルナバワックス、ライスワックスなどの動植物ワックス、脂肪酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロブシュワックスなどの合成ワックスなどが挙げられる。
金属化合物としては、例えば鉛、はんだ、アルミニウムなどの低融点金属又はそれらの合金材料等が挙げられる。
非金属化合物としては、例えば硫黄、ヨウ素などが用いられる。
その他にも、例えば樟脳やアントラセンなどの昇華性物質、アゾ、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、オキサジン、キサンテン、メチン、アゾメチン等の昇華性染料物質などが挙げられる。
相変化温度については、溶媒やその他材料に応じて適宜選択することができるが、低温で変化するとハンドリング性が低下するため、相変化性物質の相変化温度は35℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、75℃以上が更に好ましく、82℃以上が特に好ましい。また、高温で変化すると除去作業が困難になるため、相変化性物質の相変化温度は300℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、185℃以下が更に好ましく、150℃以下が更に好ましく、100℃以下が特に好ましい。
相変化性物質の含有量としては、特に制限されず、目的に応じて適宜調節可能である。例えば、立体造形用組成物100質量部に対して、下限値としては0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が更に好ましく、1質量部以上が特に好ましい。上限値としては10質量部未満が好ましく、8質量部以下がより好ましく、6質量部以下が特に好ましい。前記相変化性物質の含有量が0.1質量部未満であると、除去性向上効果が得られないことがあり、また、10質量部以上であると除去時に造形物全体の硬度が低下し、精度が悪化することがある。
また、立体造形用組成物中の相変化性物質の含有量(質量%)は、立体造形用組成物中の粒子の含有量(質量%)以下であることが好ましい。すなわち、立体造形用組成物中の相変化性物質と粒子の含有量(質量%)は、
相変化性物質の含有量≦粒子の含有量
を満たすことが好ましい。
<粒子>
前記粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セラミックス粒子、金属粒子などの無機粒子や樹脂粒子などが挙げられる。中でも無機粒子であることが好ましい。前記粒子としては、生体適合性を有することが好ましい。
立体造形用組成物が粒子を含有することにより、得られる立体造形物の硬度を向上させることができる。
<<セラミックス粒子>>
前記セラミックス粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、二ケイ酸リチウム粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジルコニア粒子が好ましい。前記セラミックス粒子としてジルコニア粒子を用いる場合は、安定化剤としてのイットリアやセリア等を含有してもよい。
前記セラミックス粒子の体積平均粒径としては、立体造形用組成物中において、5μm未満が好ましく、1μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が5μm未満であると、グリンシート又はグリン体の密度が低くなることを防止し、良好に焼結することができ、力学的強度を向上できる。
前記セラミックス粒子の体積平均粒子径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができる。例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。なお、前記グリンシート又はグリン体は、スラリーとバインダーの混錬物であるコンパウンドを射出成型したシート又は成型体である。
前記ジルコニア粒子は、極めて高い融点を持つことから、硬化させる上で体積平均粒径が小さいことが好ましい。理想とする体積平均粒径は数十nmオーダーであり、1μm以上になると粒子間隙が多く残存するため、硬化させることが難しくなる。通常の積層造形を行う上では、ジルコニア粒子を含む材料を供給槽から印字槽へ搬送する必要があるが、前記材料を構成する粒子のサイズが小さいと、粒子間力が強く働き、流動性が著しく悪化してしまう傾向にある。従って、硬化性を保持しつつ流動性を向上させるためには、体積平均粒径を数百nmオーダー以下で維持しながらスラリー化し、ハンドリングできるようにすることが好ましい。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤(イットリア、セリア等)の含有量としては、立体造形用組成物全量に対して、2質量%以上6質量%以下が好ましく、3質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、2質量%以上6質量%以下であると、安定化剤としての機能が十分に発揮され、焼成時にクラックが生じることが少なくなる。
前記ジルコニア粒子中の前記安定化剤の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法により測定することができる。
前記ジルコニア粒子の単斜晶相率としては、30%以下が好ましく、20%以下がより好ましい。前記単斜晶相率が、30%以下であると、正方晶相率が適切となり、力学的強度が良好である。前記無機粒子の単斜晶相率は、例えば、X線粉末回折装置を用いて、所定の条件で測定することができる。
前記セラミックス粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱分解法、共沈法、加水分解法などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニア粒子においては熱分解法、共沈法が好ましい。
前記熱分解法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を所定量混合し、塩化ナトリウム(又は塩化カリウム)をオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.1質量%以上1質量%以下添加し、混合する方法などが挙げられる。この混合液を噴霧乾燥法等の瞬間乾燥を行い、乾燥粉末が得られる。
前記瞬間乾燥とは、10秒間以内に乾燥できる手法であり、乾燥温度は200℃以上の加熱空気中で行うことが好ましい。次に、前記乾燥粉末を空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で熱分解させることで、酸化物仮焼粉末が得られる。前記酸化物仮焼粉末を湿式粉砕法で粉砕径を2μm以下になるように粉砕し、水洗する。
前記水洗の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、メンブレンフィルターを使用した連続式洗浄ろ過法が好ましい。前記水洗により、無機粒子中のナトリウム(又はカリウム)濃度が酸化物に換算した量として10ppm以上100ppm以下の範囲になるように十分に水洗する。前記水洗後のスラリーを乾燥させることにより、無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
前記共沈法としては、例えば、オキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウム水溶液を混合する方法などが挙げられる。ここで特にオキシ塩化ジルコニウムと塩化イットリウムからのそれぞれの水和物が析出するpHを一定にするように金属錯体を形成させるため、硫酸ナトリウム(又は硫酸カリウム)をジルコニアに対しモル比が好ましくは0.3以上0.7以下となるように添加し、50℃以上100℃以下の温度で数時間以上反応させる。
この混合液に水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリ水溶液を攪拌しながら加え、水溶液のpHを8以上10以下とする。得られた共沈水和物微粒子を十分水洗し、酸化物に換算したときのナトリウム(又はカリウム)が10ppm以上100ppm以下の範囲となっていることを確認する。
水洗後の水和物微粒子を脱水及び乾燥させ、空気中で800℃以上1,200℃以下の温度で焼成することで酸化物仮焼粉末を得る。得られた酸化物仮焼粉末を2μm以下まで湿式粉砕し、乾燥することにより無機粒子(ジルコニア粉末)が得られる。
<<金属粒子>>
前記金属粒子としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン粒子、チタン合金粒子、コバルト/クロム合金粒子、ステンレス合金粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チタン粒子、チタン合金粒子が好ましい。
前記金属粒子の体積平均粒径としては、50μm未満が好ましく、10μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が、50μm未満であると、粒子間隙を少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くできることで、焼結時の焼成収縮を小さくでき、寸法精度を向上できる。前記金属粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<樹脂粒子>>
前記樹脂粒子としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリフェニルスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフタルアミド、ポリスルフォン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・スチレン、ポリビニールアルコール、ポリメチルメタアクリル、ポリエチレンテフタレート、ポリ塩化ビニデリン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、シリコン樹脂、ユリア樹脂の粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、50μm未満が好ましく、10μm未満がより好ましい。前記体積平均粒径が、50μm未満であると、粒子間隙を少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くできることで、焼結時の焼成収縮を小さくでき、寸法精度を向上できる。前記樹脂粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の粒径測定装置を選択することができ、例えば、マルチサイザーIII(コールターカウンター社製)やFPIA−3000(シスメックス社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<粒子の含有量>>
前記粒子の含有量としては、特に制限されず、目的に応じて適宜調節可能である。例えば、立体造形用組成物100質量部に対して、下限値としては1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、20質量部以上が特に好ましい。上限値としては90質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましく、70質量部以下が特に好ましい。前記粒子の含有量が特に20質量部以上であると、揮発する溶媒量が相対的に少なくでき、グリンシート又はグリン体の密度を高くすることができる。特に70質量部以下であると、スラリーとしての流動性を向上でき、ドクターブレード等によるスラリー搬送を良好に行うことができる。
なお、上述したように立体造形用組成物中の粒子の含有量(質量%)は、立体造形用組成物中の相変化性物質の含有量(質量%)以上であることが好ましい。
(立体造形用材料セット)
本発明の立体造形用材料セット(「積層造形用材料セット」とも称することがある)は、立体造形用組成物と、硬化用材料とを有している。硬化用材料としては、適宜変更することが可能であるが、例えば硬化液として用いることが好ましい。以下、硬化液を例として説明する箇所があるが、これに限られるものではない。
立体造形用組成物が溶媒と粒子を含むスラリーである場合、例えば粒子がジルコニアのような焼結を必要とするセラミックスにおいては、硬化性を担保させるために小粒径化する必要があるが、この場合にもジルコニアの流動性の悪化を防ぎ、搬送性を向上することができるため、立体造形用組成物としては溶媒と粒子を含むスラリーが好ましい。また、硬化用材料中に色材を含ませて、硬化用材料を付与することで、造形物に色のグラデーションを付加することができる。
本実施形態の立体造形用材料セットを用いる場合、立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成したものに硬化用材料を付与することで硬化させることができ、簡便に効率よく、高精度に所望の立体造形物を作製することができる。
また、本実施形態の立体造形用材料セットに重合性モノマーを含有させてもよく、活性エネルギー線を照射させて硬化させることで、簡便に効率よく、高精度に所望の立体造形物を作製することができる。
特に、立体造形用組成物が下記有機化合物Aを含有し、硬化用材料が下記有機化合物Bを含有する場合、立体造形用組成物層に対して硬化用材料が付与された瞬間に有機化合物Aと有機化合物Bが反応して直ぐに硬化するため、寸法精度良く造型することができるため好ましい。
また、インクジェット方式を用いる場合、硬化用材料側に色材を含有させることで造形時のグラデーション付加が可能であり、更なる高付加価値化も期待できる。
本実施形態における立体造形用材料セットは、各種の積層造形物、構造体の簡便かつ効率的な製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形物の製造方法や立体造形物の製造装置に特に好適に用いることができる。
<立体造形用組成物>
本実施形態の立体造形用材料セットに用いられる立体造形用組成物としては、上述した本実施形態の立体造形用組成物を用いることができる。本実施形態の立体造形用組成物には、上記の他にも、以下の有機化合物Aや溶媒を含有させてもよく、必要に応じてその他の成分を含有させてもよい。また、この他にも、活性エネルギー線を照射することで硬化する成分として、重合性モノマーを含有させてもよい。なお、重合性モノマーを含有させる場合は、重合性モノマーは立体造形用組成物及び硬化用材料のうち少なくとも一方が含有していればよい。
<<有機化合物A>>
前記有機化合物Aとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリアニオンバインダー、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Aとしては、塩基性官能基と反応性を有する酸性官能基を有することが好ましい。前記酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記酸性官能基を有する有機化合物Aとしては、例えば、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩基性官能基との反応性が高い点から、ポリアクリル酸が好ましい。
前記ポリアクリル酸の重量平均分子量(Mw)としては、400,000以上が好ましく、400,000以上1,000,000以下がより好ましく、600,000以上800,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が400,000以上であると、塩基性官能基を有する硬化液中の有機化合物B(後述)を用いた場合、有機化合物Bとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間を適切に制御できる。
一方、前記重量平均分子量(Mw)が、1,000,000以下であると、立体造形用組成物(スラリー)の粘度を適切にすることができ、得られるスラリー中での粒子のバラツキを抑制できる。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって、単離したポリアクリル酸の分子量分布を求めて、これを基に重量平均分子量を算出することができる。
前記有機化合物Aの含有量としては、前記粒子100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下が好ましい。前記含有量が5質量部以上であると、結着効果を十分に得ることができ、スラリー中での粒子の分散状態が良好になり、分散安定性を向上できる。一方、前記含有量が30質量部以下であると、スラリーの粘度を低くでき、ドクターブレード等によるスラリーの搬送を良好に行うことができる。
前記有機化合物Aの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<溶媒>>
前記溶媒としては、前記有機化合物Aを溶解することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、メタノール、エタノール、トルエン(沸点:110.6℃)等の極性溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、グリンシート又はグリン体造形の生産性を向上の点から、沸点が低い有機溶剤が好ましく、沸点が80℃以下である有機溶剤がより好ましい。
前記沸点が80℃以下である有機溶剤としては、例えば、エタノール(沸点:78.37℃)、メタノール(沸点:64.7℃)、酢酸エチル(沸点:77.1℃)、アセトン(沸点:56℃)、塩化メチレン(沸点:39.6℃)などが挙げられる。
<<重合性モノマー>>
本実施形態の立体造形用組成物には、重合性モノマーを含有させてもよい。重合性モノマーを含有させる場合、用いる重合性モノマーによっても異なるが、重合開始剤を含有させることが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、不飽和炭素−炭素結合を1つ以上有する化合物が挙げられ、例えば、単官能モノマー、多官能モノマーなどが挙げられる。更に、前記多官能モノマーとして、2官能モノマー、3官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。
前記単官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を1つ有する化合物であり、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、又はN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体としては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)、N−イソプロピルアクリルアミドなどが挙げられる。
前記その他の単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、アクリロイルモルホリン(ACMO)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単官能モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、血管モデルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記単官能モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ハイドロゲル前駆体の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下の範囲であると、ハイドロゲル前駆体中の層状粘土鉱物の分散安定性が保たれ、かつ血管モデルの延伸性を向上させるという利点がある。前記延伸性とは、血管モデルを引っ張った際に伸び、破断しない特性のことを言う。
前記2官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、トリアリルイソシアネート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<重合開始剤>>
重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、中でもラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。また、重合開始剤は、十分な硬化速度を得るために、立体造形用組成物又は硬化用材料の総質量(100質量%)に対し、5〜20質量%含まれることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物などが挙げられる。
また、前記重合開始剤として、例えば光重合開始剤が挙げられる。前記光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。重合促進剤としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン化合物が好ましく、その含有量は、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分散剤、可塑剤、焼結助剤などが挙げられる。
前記立体造形用組成物が、前記分散剤を含むと、前記粒子の分散性を改善し、静止時の沈降を抑制することができる点で好ましく、グリンシート又はグリン体を造形する際に粒子が連続して存在しやすくなる。
また、前記可塑剤を含むと、前記立体造形用組成物からなるグリンシート又はグリン体前駆体が乾燥した際に亀裂が入りにくくなる点で好ましい。
前記焼結助剤を含むと、得られた積層造形物につき焼結処理を行う場合において、より低温での焼結が可能となる点で好ましい。
<硬化用材料(硬化液)>
本実施形態の硬化用材料(「第二の立体造形用液体材料」などとも称することがある)は、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bを含んでいてもよく、更に必要に応じて水性媒体などのその他の成分を含んでいてもよい。また、この他にも、活性エネルギー線を照射することで硬化する成分として、重合性モノマーを含有させてもよい。なお、重合性モノマーを含有させる場合は、重合性モノマーは立体造形用組成物及び硬化用材料のうち少なくとも一方が含有していればよい。
上述したように、硬化用材料としては、適宜変更することが可能であるが、例えば硬化液として用いることが好ましい。以下、硬化液を例として説明する箇所があるが、これに限られるものではない。
<<有機化合物B>>
前記有機化合物Bとしては、前記有機化合物Aに対して反応性を示めす有機化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリカチオンインク組成物、水溶性樹脂などが挙げられる。前記水溶性樹脂における水溶性とは、室温(25℃)において、水に対して10質量%以上溶解することを意味する。
前記有機化合物Bとしては、酸性官能基と反応性を有する塩基性官能基を有することが好ましい。前記塩基性官能基としては、例えば、アミノ基などが挙げられる。
前記アミノ基を有する有機化合物Bとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酸性官能基との反応性の点から、カチオン密度が高いポリエチレンイミンが好ましい。
前記有機化合物Bの重量平均分子量(Mw)としては、1,800以上が好ましく、1,800以上70,000以下がより好ましく、3,000以上20,000以下が特に好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、1,800以上であると、酸性官能基を持つ前記有機化合物Aとの架橋構造の構築が容易であり、立体造形物の硬化時間を適切に制御できる。一方、前記重量平均分子量(Mw)が、70,000以下であると、硬化用材料の粘度を適切に制御でき、安定した吐出が実現できる。前記重量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。
前記有機化合物Bの含有量としては、硬化用材料100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下が好ましい。前記含有量が、3質量部以上であると、前記立体造形用組成物中の有機化合物Aとの架橋構造を十分に構築でき、得られるグリンシート又はグリン体の強度を向上できる。一方、前記含有量が20質量部以下であると、硬化用材料の粘度を低くでき、吐出安定性を向上できる。
前記有機化合物Bの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の熱分析装置を選択することができ、例えば、DSC−200(セイコーインスツル社製)などを用いて、公知の方法に従って測定することができる。
<<水性媒体>>
前記水性媒体としては、例えば、水、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。なお、前記水性媒体は、前記水が前記アルコール等の水以外の成分を若干量含有するものであってもよい。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。
<<重合性モノマー及び重合開始剤>>
本実施形態の硬化用材料には、重合性モノマーを含有させてもよい。重合性モノマーを含有させる場合、用いる重合性モノマーによっても異なるが、重合開始剤を含有させることが好ましい。重合性モノマーとしては、上述の本実施形態の立体造形用組成物における重合性モノマーを用いることができる。また、重合開始剤としては、上述の本実施形態の立体造形用組成物における重合開始剤を用いることができる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、例えば、界面活性剤、保存剤、防腐剤、安定化剤、pH調整剤、紫外線硬化樹脂などが挙げられる。紫外線硬化樹脂を紫外線に照射することでさらに高硬化性を付与することができる。
紫外線硬化性樹脂としては、カチオンを活性種とする重合反応によって硬化するカチオン重合型の紫外線硬化樹脂を含むものと、ラジカルを活性種とする重合反応によって硬化するラジカル重合型の紫外線硬化樹脂を含むものとがある。本実施形態においては、これらのいずれに属する紫外線硬化性樹脂も用いることができる。
ラジカル重合型の紫外線硬化樹脂としては、アクリル系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等が挙げられる。なお、アクリル系樹脂としては、例えば、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、及びポリエーテルアクリレート系樹脂が挙げられる。
また、カチオン重合型の紫外線硬化樹脂としては、エポキシ系樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、及び、シリコーン系樹脂が挙げられる。なお、シリコーン系樹脂としては、アクリルシリコーン系樹脂、ポリエステルシリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、及びメルカプトシリコーン樹脂等が挙げられる。
(立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物(「積層造形物」などとも称する)の製造方法は、相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する層形成工程と、前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化工程と、を複数回繰り返すことで立体造形物を造形する。その他にも、除去工程、層乾燥工程など更に必要に応じてその他の工程を有する。
本発明の立体造形物の製造装置は、立体造形用組成物層を保持するための立体造形用組成物層保持手段と、前記立体造形用組成物層保持手段上に立体造形用組成物を用いて前記立体造形用組成物層を形成する層形成手段と、前記立体造形用組成物層保持手段上に形成された前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化手段と、前記所定領域以外の前記立体造形用組成物を除去する除去手段と、を有し、前記立体造形用組成物が、相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する。その他にも、除去手段、層乾燥手段など更に必要に応じてその他の工程を有する。
本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置における立体造形用組成物としては、上述した立体造形用組成物を好適に用いることができる。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明で用いられる立体造形物の製造装置を用いて好適に実施することができる。前記層形成工程は、前記層形成手段により好適に実施することができ、前記層硬化工程は、前記層硬化手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
また、本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置は、歯科用補綴物の製造に用いることができる。
<層形成工程及び層形成手段並びに立体造形用組成物層保持手段>
前記層形成工程は、本実施形態の立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する工程である。
前記層形成手段は、本実施形態の立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する手段である。
前記立体造形用組成物層保持手段は、前記立体造形用組成物層を保持する手段である。
−立体造形用組成物層保持手段−
前記立体造形用組成物層保持手段(支持体などとも称する)としては、前記立体造形用組成物を載置することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記立体造形用組成物の載置面を有する台、特開2000−328106号公報の図1に記載の装置におけるベースプレート、などが挙げられる。前記支持体の表面、すなわち、前記立体造形用組成物を載置する載置面としては、例えば、平滑面であってもよいし、粗面であってもよく、また、平面であってもよいし、曲面であってもよい。
−立体造形用組成物層の形成−
前記立体造形用組成物を前記支持体上に配置させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、立体造形用組成物(スラリー材料)を薄層に配置させる方法としては、特許第3607300号公報に記載の選択的レーザー焼結方法に用いられる、公知のカウンター回転機構(カウンターローラ)などを用いる方法、前記スラリー材料をブラシ、ローラ、ブレード等の部材を用いて薄層に拡げる方法、前記スラリー材料層の表面を押圧部材を用いて押圧して薄層に拡げる方法、公知の粉末積層造形装置を用いる方法などが好適に挙げられる。
前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ乃至ブレード、前記押圧部材などを用いて、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させるには、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、例えば、外枠(「型」、「中空シリンダー」、「筒状構造体」などと称されることもある)内に、前記外枠の内壁に摺動しながら昇降可能に配置された前記支持体上に前記スラリー材料を、前記カウンター回転機構(カウンターローラ)、前記ブラシ、ローラ又はブレード、前記押圧部材などを用いて載置させる。
このとき、前記支持体として、前記外枠内を昇降可能なものを用いる場合には、前記支持体を前記外枠の上端開口部よりも少しだけ下方の位置に配し、すなわち、前記立体造形用組成物層(スラリー材料層)の厚み分だけ下方に位置させておき、前記支持体上に前記スラリー材料を載置させる。以上により、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させることができる。
また、前記スラリー材料を前記支持体上に薄層に載置させるには、前記公知の粉末積層造形装置を用いて自動的にかつ簡便に行うこともできる。前記粉末積層造形装置は、一般に、前記スラリー材料を積層するためのリコーターと、前記スラリー材料を前記支持体上に供給するための可動式供給槽と、前記粉末材料を薄層に載置し、積層するための可動式成形槽とを備える。
前記粉末積層造形装置においては、前記供給槽を上昇させるか、前記成形槽を下降させるか、又はその両方によって、常に前記供給槽の表面は前記成形槽の表面よりもわずかに上昇させることができる。また、前記供給槽側から前記リコーターを用いて前記粉末材料を薄層に配置させることができ、前記リコーターを繰り返し移動させることにより、薄層の前記スラリー材料を積層させることができる。この粉末積層造形装置をそのままスラリー積層用に置き換えてもよいし、リコーター部分をシート成形用のドクターブレードに変えてもよい。
<硬化工程及び硬化手段>
前記硬化工程は、立体造形用組成物層の所定領域を硬化する工程である。
前記硬化手段は、立体造形用組成物層の所定領域を硬化する手段である。
硬化工程の一実施形態としては、前記立体造形用組成物に上述の有機化合物Aを含有させ、前記有機化合物Aに対して反応性を示す上述の有機化合物Bを含む硬化用材料を前記立体造形用組成物層の所定領域に付与する工程により行うことができる。前記立体造形用組成物が有機化合物Aを含有することにより、有機化合物Bを含む硬化用材料を付与することで硬化させることができる。
硬化手段の一実施形態としては、前記立体造形用組成物に上述の有機化合物Aを含有させ、前記有機化合物Aに対して反応性を示す上述の有機化合物Bを含む硬化用材料を前記立体造形用組成物層の所定領域に付与する手段により行うことができる。前記立体造形用組成物が有機化合物Aを含有することにより、有機化合物Bを含む硬化用材料を付与することで硬化させることができる。
また、硬化工程の他の実施形態としては、前記立体造形用組成物層の所定領域に硬化用材料を付与する工程と、活性エネルギー線照射工程と、を有するものであり、前記立体造形用組成物及び前記硬化用材料の少なくとも一方が上述の重合性モノマーを含んでいる。重合性モノマーを含有させ、活性エネルギー線を照射することで硬化させることができる。
また、硬化手段の他の実施形態としては、前記立体造形用組成物層の所定領域に硬化用材料を付与する手段と、活性エネルギー線照射手段と、を有するものであり、前記立体造形用組成物及び前記硬化用材料の少なくとも一方が上述の重合性モノマーを含んでいる。重合性モノマーを含有させ、活性エネルギー線を照射することで硬化させることができる。
活性エネルギー線照射手段としては、紫外線照射の他、レーザー照射や電子線照射等であってもよい。
前記レーザー照射におけるレーザーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、COレーザー、Nd−YAGレーザー、ファイバーレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。前記レーザー照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、小型レーザーを用いる場合、前記粉末材料を溶融することができないため、併用する接着剤(例えば、ポリエステル系接着剤)を混在させて、レーザー照射により接着剤を溶融させて造形することが好ましい。その場合、COレーザーを用いることが好ましい。照射条件としては、例えば、レーザー出力15W、波長10.6μm、ビーム径0.4mm程度が好ましい。
前記電子線照射としては、前記立体造形用組成物中の粒子が溶融するエネルギーの電子線を照射するが、目的に応じて適宜選択することができる。電子線を照射する際には、前記立体造形用組成物は真空環境下で扱われることが好ましい。前記電子線照射の条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、出力1,500W、ビーム径0.1mm、真空度1.0×10−5mbar程度が好ましい。
なお、硬化の態様により、硬化は前記立体造形用組成物層に載置された立体造形用組成物層においてのみならず、その下に存在する、先に硬化して得られた立体造形用組成物層の硬化物との間でも生ずる。この場合、立体造形用組成物層に載置された立体造形用組成物の約2層分の厚みを有する硬化物(立体造形物)が得られる。
前記立体造形用組成物層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、一層当たりの平均厚みで、3μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。前記平均厚みが、3μm以上であると、立体造形物が得られるまでの時間を適正にすることができ、焼結等の処理乃至取扱い時に型崩れ等の問題が生じることがない。一方、前記平均厚みが、200μm以下であると、立体造形物の寸法精度が充分に得られる。なお、前記平均厚みは、公知の方法に従って測定することができる。
前記硬化用材料を前記立体造形用組成物層の所定の領域に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ディスペンサ方式、スプレー方式、インクジェット方式などで用いられている液体吐出手段などが挙げられる。本実施形態においては、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で、前記インクジェット方式で用いられる液体吐出手段(圧電アクチュエーター等の振動素子を用い、複数ノズルから液滴を吐出するもの)が好ましい。
また、前記液体材料塗布後に成分によっては活性エネルギー線照射を実施してもよい。前記立体造形用組成物及び前記硬化用材料の少なくとも一方が重合性モノマーを含む場合、活性エネルギー線照射工程を行う。
活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
活性エネルギー線は立体造形用組成物層全体に照射されてもよいが、少なくとも硬化用材料の付与された所定の領域に照射されていればよい。また、活性エネルギー線の照射は硬化用材料の付与と交互に行ってもよいし、立体造形用組成物層を積層するごとに行ってもよいし、あるいは複数の立体造形用組成物層に対して一度に行ってもよい。
<除去工程及び除去手段>
本実施形態の立体造形物の製造方法は、更に造形後に前記所定領域以外の前記立体造形用組成物を除去する除去工程を有していてもよい。
本実施形態の立体造形物の製造装置は、更に造形後に前記所定領域以外の前記立体造形用組成物を除去する除去手段を有していてもよい。
本実施形態の除去工程は、立体造形用組成物中の相変化性物質を融解又は昇華させることによって、未硬化の立体造形用組成物を軟化、崩壊、分離させて取り除くものであり、相変化性物質を融解、昇華させられる手段であれば適宜使用することができる。例えば、加熱工程を有することが好ましい。
前記除去手段としては、例えば、造形物をホットプレート、高温槽、ヒートガン、スチームなどを用いて加熱する方法、造形物をウォーターバス、オイルバスなどで加熱した液体中に浸漬させる方法などが挙げられる。また、前記の加熱方法は常圧よりも低圧力に減圧した環境下で実施するなどで融点や昇華点をより低温にするなどの方法も適宜使用することができる。例えば、加熱手段を有することが好ましい。
なお、除去工程において、未硬化の立体造形用組成物の除去と同時に除去性を評価することができる。例えば、ヒートガンでブロー加熱して容易に未硬化物を取り除くことができる場合、除去性が非常に良いといえる。また、容易に未硬化物を取り除くことができない場合でも、例えばホットプレートで加熱しながら、スパチュラ等で未硬化部を掻き取ることで未硬化物を取り除くことができる場合も除去性が良いといえる。除去性が良い場合、高精度な立体造形物が得られる。
<層乾燥工程及び層乾燥手段>
前記層乾燥工程は、前記層形成工程後、前記硬化工程前において、得られたスラリー層を乾燥させる工程であり、層乾燥手段により行われる。なお、硬化工程後更に層乾燥工程を行ってもよい。
前記層乾燥工程では例えば硬化前の立体造形用組成物層中に含まれる水分(溶媒)を揮発する。なお、前記層乾燥工程としては、立体造形用組成物層から溶媒をすべて除去せず、半乾燥状態としてもよい。前記層乾燥手段としては、例えば、公知の乾燥機などが挙げられる。層乾燥工程は、自然乾燥であってもよい。
前記層乾燥工程における乾燥時間は適宜変更することができる。前記乾燥時間を長くすれば、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが抑制され、造形精度が向上するが、層間の接着力が弱くなる傾向にある。一方、前記乾燥時間を短くすれば、層間での粒子移動が起こり、層間の接着力が強くなるが、前記層乾燥工程後の液体材料付与工程で付与される液体材料の横方向への染み出しが発生し、造形精度が悪化する傾向にある。これは用いる材料種によって適宜選択すればよい。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、表面保護工程、塗装工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、表面保護手段、塗装手段などが挙げられる。
−表面保護工程及び表面保護手段−
前記表面保護工程は、前記液体材料付与工程、又は前記焼結工程において形成した立体造形物に保護層を形成する工程である。前記表面保護工程を行うことにより、前記立体造形物を、例えば、そのまま使用等することができる耐久性等を前記立体造形物の表面に与えることができる。
前記保護層としては、例えば、耐水性層、耐候性層、耐光性層、断熱性層、光沢層などが挙げられる。
前記表面保護手段としては、公知の表面保護処理装置、例えば、スプレー装置、コーティング装置などが挙げられる。
−塗装工程及び塗装手段−
前記塗装工程は、前記立体造形物に塗装を行う工程である。この塗装工程を行うことにより、前記立体造形物に所望の色に着色させることができる。前記塗装手段としては、公知の塗装装置、例えば、スプレー、ローラ、刷毛等による塗装装置などが挙げられる。
<立体造形物の製造方法、製造装置の一例>
ここで、図1に本発明の立体造形物の製造装置の一例を示す。図1に示される立体造形物の製造装置は、造形側スラリー貯留槽1と供給側スラリー貯留槽2とを有し、これらのスラリー貯留槽は、それぞれ上下に移動可能なステージ3を有し、該ステージ上にスラリー材料からなる層を形成する。
造形側スラリー貯留槽1の上には、該スラリー貯留槽内の立体造形用組成物(スラリー材料)に向けて硬化用材料4を吐出するインクジェットヘッド5を有し、更に、供給側スラリー貯留槽2から造形側スラリー貯留槽1にスラリー材料を供給すると共に、造形側スラリー貯留槽1の立体造形用組成物層(スラリー材料層)表面を均す、均し機構6(以下、リコーターということがある)を有する。
造形側スラリー貯留槽1のスラリー材料上にインクジェットヘッド5から硬化用材料4を滴下する。このとき、硬化用材料4を滴下する位置は、最終的に造形したい立体形状を複数の平面層にスライスした二次元画像データ(スライスデータ)により決定される。
一層分の描画が終了した後、供給側スラリー貯留槽2のステージ3を上げ、造形側スラリー貯留槽1のステージ3を下げる。その差分のスラリー材料を、前記均し機構6によって、造形側スラリー貯留槽1へと移動させる。
このようにして、先に描画したスラリー材料層面上に、新たなスラリー材料層が一層形成される。このときのスラリー材料層一層の厚みは、数十μm以上100μm以下程度である。前記新たに形成されたスラリー材料層上に、更に二層目のスライスデータに基づく描画を行い、この一連のプロセスを繰り返して立体造形物を得、図示しない加熱手段で加熱乾燥させることで造形物が得られる。
図2に、本発明の立体造形物の製造装置における他の例を示す。図2の立体造形物の製造方法は、原理的には図1と同じものであるが、立体造形用組成物(スラリー材料)の供給機構が異なる。すなわち、供給側スラリー貯留槽2は、造形側スラリー貯留槽1の上方に配されている。一層目の描画が終了すると、造形側スラリー貯留槽1のステージ3が所定量降下し、供給側スラリー貯留槽2が移動しながら、所定量のスラリー材料を造形側スラリー貯留槽1に落下させ、新たな立体造形用組成物層(スラリー材料層)を形成する。その後、均し機構6で、スラリー材料層を圧縮し、かさ密度を上げると共に、スラリー材料層の高さを均一に均す。
図2に示す構成の立体造形物の製造装置によれば、2つのスラリー貯留槽を平面的に並べる図1の構成に比べて、装置をコンパクトにできる。
<立体造形物(積層造形物)>
前記立体造形物(積層造形物)は、本発明の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置により製造される。
前記立体造形物としては、口腔内の咀嚼力に長期間耐えることができ、審美性を有している点から、人工歯であることが好ましい。
前記人工歯は、う蝕、外傷、歯周病などにより失った天然歯の代わりに、その機能を回復するために作られた人工の歯であり、ブリッジ、クラウン等の歯科用補綴物も含まれる。
本実施形態の立体造形物の製造方法及び立体造形物の製造装置によれば、複雑な立体形状の造形物を、本実施形態の立体造形用組成物を用いて、簡便かつ効率良く、寸法精度良く製造することができる。こうして得られた立体造形物(硬化物)は、細胞毒性がなく、充分な強度を有し、寸法精度に優れ、微細な凹凸、曲面なども再現できるので、美的外観にも優れ、高品質であり、各種用途に好適に使用される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、立体造形(積層造形)を用い、型を用いないで積層造形物を製造した例を示したが、これらに制限されるものではない。
(実施例1)
<粒子1の合成>
20質量%のオキシ塩化ジルコニウム水溶液に、イットリア及びジルコニアの換算モル比(イットリア:ジルコニア)が2.8:97.2となるように、18質量%の塩化イットリウム水溶液を混合した。これに、塩化ナトリウムをオキシ塩化ジルコニウム全量に対して、0.5質量%添加し溶解した。
次いで、得られた水溶液に塩化アルミニウムをジルコニア全量に対して、アルミナとして0.4質量%となるように添加し溶解した。この水溶液を200℃の温度の空気内で噴霧乾燥し、乾燥粉末を得た。得られた乾燥粉末を、空気中で1,000℃の温度で焼成し、仮焼粉末を合成した。得られた仮焼粉末の単斜晶相率は8.2%であった。この仮焼粉末を、湿式アトライターで粉砕して30質量%スラリーを得た。次に、得られたスラリーを、目開き0.5μmのメンブレンフィルターにて希釈・ろ過濃縮を繰り返し、ろ過水の電気伝導度が20μS以下になるまで繰り返し洗浄して、[粒子1]を合成した。なお、前記仮焼粉末の単斜晶相率は下記のようにして同定した。
<<粒子1(ジルコニア粒子)の結晶相率の同定>>
合成した[粒子1]としてのジルコニアの結晶相の同定を、X線粉末回折装置(リガク電機社製RINT1100)を用いて以下の条件で実施した。
[測定条件]
・管球:Cu
・電圧:40kV
・電流:40mA
・開始角度:3°
・終了角度:80°
・スキャンスピード:0.5°/min
なお、ジルコニアの単斜晶相率(%)は、粉末X線回折測定により、単斜晶相の111面及び11−1面、正方晶相の111面及び立方晶相の111面の反射ピーク強度Im(111)、Im(11−1)、It(111)、Ic(111)より、下記式(1)により算出した。
[式(1)]
単斜晶相率(%)=[Im(111)+Im(11−1)]/[Im(111)+Im(11−1)+It(111)+Ic(111)]
<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>
[粒子1]30質量部、重量平均分子量(Mw)が800,000であるポリアクリル酸(PAA、日本触媒社製AS−58)5質量部、可塑剤としてのフタル酸ベンジルブチル10質量部、セラミックス分散剤(マリアリム、日油社製AKM−0531)1.5質量部、相変化性物質としてパラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)3質量部、及び水60質量部を混合し、直径3mmのジルコニアビーズにて3時間ビーズミル分散することで[立体造形用組成物1]を得た。
得られた[立体造形用組成物1]中の粒子の体積平均粒径について、以下のように測定した。測定により得られた粒子の体積平均粒径は0.60μmであった。
<<粒子の体積平均粒径>>
[立体造形用組成物1]中における粒子の体積平均粒径は、装置名:LA−920(堀場製作所製)を用いて測定した。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver.3.32)(堀場製作所製)を用いて解析を行った。具体的にはクロロホルムで光軸調整した後、バックグラウンドを測定した。その後、循環を開始し、[立体造形用組成物1]を滴下した。透過率が安定したことを確認した後に超音波を下記条件で照射した。照射した後に透過率の値が70%以上95%以下の範囲となる条件で体積平均粒径を測定した。体積平均粒径の測定再現性の点から、前記LA−920の透過率の値が70%以上95%以下となる条件で測定した。また、超音波照射後に透過率が前記値から外れた場合は再度測定を行った。前記透過率の値を得るために[立体造形用組成物1]の滴下量を調節した。なお、測定及び解析条件は、以下のように設定した。
[測定及び解析条件]
・データ取り込み回数:15回
・相対屈折率:1.20
・循環:5
・超音波強度:7
<硬化液1の調製>
水88質量部と、重量平均分子量(Mw)が10,000であるポリエチレンイミン(PEI、日本触媒社製SP−200)12質量部と、界面活性剤としてTween20(東京化成工業社製)0.5質量部とを、ホモミキサーを用いて30分間分散させて、[硬化液1]を調製した。
<立体造形物(積層造形物)1の作製>
得られた[立体造形用組成物1]と、[硬化液1]とを用いて[立体造形用材料セット1]とし、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、[立体造形物(積層造形物)1]を以下(1)〜(4)のようにして作製した。
(1)まず、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に[立体造形用組成物1]を移送させ、支持体上に平均厚みが100μmの立体造形用組成物層を形成した。層形成後、常温放置にて乾燥させ、立体造形用組成物層中の溶媒を揮発させた。
(2)次に、形成した立体造形用組成物層の表面に、[硬化液1]を、インクジェットプリンター(リコー社製SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)し、立体造形用組成物層を硬化させた。
(3)次に、前記(1)及び前記(2)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した立体造形用組成物層を順次積層して硬化物を造形した。得られた硬化物を常温放置にて乾燥し、溶媒を揮発させた。
(4)次に、造形した硬化物に対して除去工程を行った。除去工程としては、ヒートガンでブロー加熱し、未硬化物を融解、昇華させ、硬化物の表面から未硬化物を分離させた。ヒートガンでブロー加熱しても未硬化物を分離できない場合は、ホットプレートで加熱しながら、スパチュラ等で未硬化部を掻き取った。
このようにして、[立体造形物(積層造形物)1]を作製した。
(実施例2)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質をモンタンワックス(クラリアント社製リコワックスLP)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例3)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質をカルナバワックス(東洋アドレ社製カルナバワックス1号)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例4)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質をフィッシャートロブシュワックス(日本精鑞社製FT100)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例5)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質を脂肪酸エステルワックス(日本精鑞社製WEP5)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例6)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質を以下の[低分子ポリエステル1]に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
<低分子ポリエステルの作製>
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物781部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部、及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応し、更に10〜15mmHgの減圧で5時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸65部を入れ、180℃、常圧で4時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。
[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量4,200、重量平均分子量8,200、Tg42℃であった。
(実施例7)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質を以下の[結晶性ポリエステル1]に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
<結晶性ポリエステル1の作製>
1,6−ヘキサンオール1260g、エチレングリコール120g、フマル酸1400g、無水トリメリット酸350g、オクチル酸錫3.5g、及びハイドロキノン1.5gを、窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱伝対を装備した5リットル容量の四つ口フラスコに入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、更に8.3kPaにて1時間反応させ、[結晶性ポリエステル1]を得た。
[結晶性ポリエステル1]は融点が85℃であった。
(実施例8)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質をはんだ(白光社製鉛フリーはんだ)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例9)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質を2−フェノキシ−1−アミノ−4−ヒドロキシアントラセン−9,10−ジオン(酒井興業社製Disperse Red 60)に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(実施例10)
<立体造形用組成物10(スラリー材料)の調製>
[粒子2](シリカ粒子、トクヤマ社製エクセリカSE−5V)30質量部、ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:150,000〜400,000):5質量部と、相変化性物質としてパラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)3質量部、及び水56質量部を混合し、[立体造形用組成物10]を得た。
<<粒子の体積平均粒径>>
[立体造形用組成物10]中における粒子の体積平均粒径を実施例1と同様に測定したところ、体積平均粒径は4.6μmであった。
<硬化用材料1の調製>
以下のようにして活性エネルギー線硬化型組成物を混合し、[硬化用材料1]を得た。
−紫外線硬化樹脂−
・フェノキシエチルアクリレート:40.8質量%
・ジエチレングリコールジアクリレート:5質量%
−水溶性モノマー−
・4−ヒドロキシブチルアクリレート:50質量%
−重合開始剤−
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド:1質量%
・2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド:2質量%
−蛍光増白剤(増感剤)−
・1,4−ビス−(ベンズオキサゾイル−2−イル)ナフタレン:0.2質量%
−界面活性剤−
・ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン:1質量%
<立体造形物(積層造形物)10の作製>
得られた[立体造形用組成物10]と、[硬化用材料1]とを用いて[立体造形用材料セット10]とし、サイズ(長さ70mm×巾12mm)の形状印刷パターンにより、[立体造形物(積層造形物)10]を以下(1)〜(4)のようにして作製した。
(1)まず、図1に示したような立体造形物の製造装置を用いて、供給側粉末貯留槽から造形側粉末貯留槽に[立体造形用組成物10(スラリー材料)]を移送させ、支持体上に平均厚みが100μmの立体造形用組成物層を形成した。層形成後、常温放置にて乾燥させ、立体造形用組成物層中の溶媒を揮発させた。
(2)次に、形成した立体造形用組成物層の表面に、[硬化用材料1]を、インクジェットプリンター(リコー社製SG7100)を用いてノズルから付与(吐出)した。
(3)次に、Integration社製SubZero−LED(365nm)を用い、紫外線照射を行った。紫外線照射の条件は、350mJ/cmの光量とした。このようにして紫外線照射を行い、立体造形用組成物層を硬化させた。
前記(1)〜(3)の操作を所定の3mmの総平均厚みになるまで繰返し、硬化した立体造形用組成物層を順次積層して硬化物を造形した。得られた硬化物を常温放置にて乾燥し、溶媒を揮発させた。
(4)次に、造形した硬化物に対して除去工程を行った。除去工程としては、ホットプレートで加熱しながら、スパチュラ等で未硬化部を掻き取った。
このようにして、[立体造形物(積層造形物)10]を作製した。
(実施例11)
<立体造形用組成物11(スラリー材料)の調製>
[粒子3](ポリメチルメタクリル樹脂粒子、綜研化学社製MP−100)10質量部、ポリエチレンオキサイド(粘度平均分子量:150,000〜400,000)5質量部と、相変化性物質としてパラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9)3質量部、及び水56質量部を混合し、[立体造形用組成物11]を得た。そして、[立体造形用組成物1]を[立体造形用組成物11]に変更した以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(比較例1)
実施例1の<立体造形用組成物1(スラリー材料)の調製>において、相変化性物質を用いない以外は、実施例1と同様にして立体造形物(積層造形物)を作製した。
(評価)
<除去性>
前記除去工程において、未硬化物を分離できたかどうか下記評価基準に基づいて目視により除去性を評価した。
[評価基準]
○:ヒートガンでブロー加熱することで、容易に未硬化物が融解、昇華して、立体造形物の表面より分離できている。
△:ホットプレートで加熱しながら、スパチュラ等で未硬化部を掻き取ることで、立体造形物の表面より分離できている。
×:加熱しても分離できない。
<寸法精度>
次に、得られた立体造形物について、目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、寸法精度を評価した。
[評価基準]
○:得られた立体造形物の表面が滑らかで美麗であり、反りも生じていない状態
△:得られた立体造形物の表面に若干の歪みと僅かに反りが生じている状態
×:得られた立体造形物の表面に歪みが生じており、激しく反りが生じている状態
実施例・比較例の組成、各評価結果を下記表1に示す。
なお、表中、「スラリー中の含有量」の数値は質量%を示す。
また、表中、*1は以下を示す。
フェノキシエチルアクリレート
ジエチレングリコールジアクリレート
4−ヒドロキシブチルアクリレート
1 造形側スラリー貯留槽
2 供給側スラリー貯留槽
3 ステージ
4 硬化用材料
5 インクジェットヘッド
6 均し機構
特許第5692430号公報 特許第5831610号公報

Claims (13)

  1. 相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する立体造形用組成物を用いて立体造形用組成物層を形成する層形成工程と、
    前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化工程と、を複数回繰り返すことで立体造形物を造形することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 更に造形後に前記所定領域以外の前記立体造形用組成物を除去する除去工程を有し、
    前記除去工程が、加熱工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記層形成工程後、前記硬化工程前に、前記立体造形用組成物層を乾燥する層乾燥工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記相変化性物質が常温常圧下で固体であり、相変化が40〜230℃の間で生じる物質であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記立体造形用組成物中の前記相変化性物質の含有量は10質量%未満であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記立体造形用組成物中の前記相変化性物質と前記粒子の含有量(質量%)は、
    相変化性物質の含有量≦粒子の含有量
    を満たすことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 前記立体造形用組成物は有機化合物Aを含み、
    前記硬化工程は、前記有機化合物Aに対して反応性を示す有機化合物Bを含む硬化用材料を前記立体造形用組成物層の所定領域に付与する工程を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  8. 前記硬化工程は、
    前記立体造形用組成物層の所定領域に硬化用材料を付与する工程と、
    活性エネルギー線照射工程と、を有し、
    前記立体造形用組成物及び前記硬化用材料の少なくとも一方が重合性モノマーを含むことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  9. 相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有する立体造形用組成物であって、
    前記相変化性物質は常温常圧下で固体であり、相変化が40〜230℃の間で生じる物質であることを特徴とする立体造形用組成物。
  10. 前記立体造形用組成物中の前記相変化性物質と前記粒子の含有量(質量%)は、
    相変化性物質の含有量≦粒子の含有量
    を満たすことを特徴とする請求項9に記載の立体造形用組成物。
  11. 請求項9または10に記載の立体造形用組成物と、硬化用材料とを有することを特徴とする立体造形用材料セット。
  12. 前記立体造形用組成物は有機化合物Aを含み、
    前記硬化用材料は前記有機化合物Aに反応性を示す有機化合物Bを含むことを特徴とする請求項11に記載の立体造形用材料セット。
  13. 立体造形用組成物層を保持するための立体造形用組成物層保持手段と、
    前記立体造形用組成物層保持手段上に立体造形用組成物を用いて前記立体造形用組成物層を形成する層形成手段と、
    前記立体造形用組成物層保持手段上に形成された前記立体造形用組成物層の所定領域を硬化する硬化手段と、
    前記所定領域以外の前記立体造形用組成物を除去する除去手段と、を有し、
    前記立体造形用組成物が、相変化性物質と、粒子と、溶媒とを含有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
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