JP2018141523A - 断熱材とその製造方法 - Google Patents

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崇 鶴田
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茂昭 酒谷
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一摩 及川
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Abstract

【課題】3次元形状が形成可能でエアロゲルリッチな断熱材を提供すること。
【解決手段】繊維とナノサイズ多孔体の2成分を含み、上記ナノサイズ多孔体の重量比率が70重量%以上である断熱材を用いる。上記ナノサイズ多孔体の重量比率が95重量%以下である断熱材を用いる。上記断熱材は、凹部形状、または、凸部形状である断熱材を用いる。また、繊維とエアロゲル前駆体をスラリー化する工程と、上記スラリーを成形、ゲル化させる工程と、
を含む、断熱材の製造方法を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面が疎水性の断熱材とその製造方法に関する。特に、形状自由度および断熱性能の高い断熱材とその製造方法に関するものである。
断熱材の種類には様々あるが、断熱性能が高い断熱材としては、シリカエアロゲルおよびシリカキセロゲルが挙げられる。様々な分野において、断熱性の高い断熱材の必要性が高くなってきており、適用する部材の形状も多様化している。シリカエアロゲルおよびシリカキセロゲルは、空気の平均自由行程68nmよりも小さな細孔を有し、固体の熱伝導や対流による熱伝導が少なく、高い疎水性を有するため、優れた断熱効果を有する。
しかしながら、シリカエアロゲルおよび、シリカキセロゲルは機械的強度が低く、これを単独で使用することは難しい。そこで、シリカエアロゲルないし、シリカキセロゲルを繊維シートに複合化させ、断熱シートとして使用する方法がある。先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
この断熱シートは屈曲させることで他の部材と密着させる事が可能であるが、単一曲面形状の部材には形状追従性が高い反面、3次元形状(例えば箱型形状など)の部材に適用するには、一枚の断熱シートでは折り目や重なりが発生するため、カット・穴あけなどの2次加工が必要となる。
なお、2次加工の際には、表面からゲル粒子が離脱し、周囲に付着する(発塵)という課題が知られている。また、他の部材の形状に追従させる場合には、断熱シートは厚み1mm以下のものが一般的であり、断熱シート単体での剛性が弱くなる。
断熱材の剛性を上げる方法としては、高い剛性の材料と複合化する方法がある。先行技術文献としては、例えば、特許文献2が知られており、具体的な事例では図3の様な板状の自立性硬質複合材がある。図3は、特許文献2の方法で作製された硬質複合材の写真である。
特許文献2において、複合化している成分は、(1)疎水性エアロゲル成分(2)バインダー成分(セメント・石膏・石灰など)(3)界面活性剤の3成分、もしくは、上記3成分に加え、(4)繊維成分(炭素繊維・ポリマー系繊維・金属繊維・セルロース繊維・植物由来の繊維)から構成される。これら(1)〜(3)の3成分、もしくは4成分全てを複合化することで、熱伝導率の低い自立性硬質複合材(断熱材)を構成している。
特開2014−237910号公報 特許第5851983号公報
しかしながら、石膏・石灰などのバインダーとの複合化による断熱材は非常に剛性に優れており、建材などに有効利用できる反面、3次元形状や複雑な形状に適用するには不向きである。
現在、複雑な形状部に断熱材を適用する方法としては、圧縮性の高い断熱材を空隙に挟み込むか、発泡成形により空隙を断熱材で埋める方法が挙げられる。
特に、発泡成形(代表例では冷蔵庫に適用されているウレタン発泡成形など)では、空隙を完全に断熱材で充填させる事が可能で、高い断熱性能が得られる。
このため、冷蔵庫のように全体が断熱箱体である商品には有効であるが、部分的に断熱性能を確保したい商品や電子回路部品と断熱材を隣接して使用したい商品には不向きである。
よって、本発明の課題は、3次元形状に適用可能で、部分的なヒートスポット(熱源)に適用可能な高性能な断熱材とその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、繊維とナノサイズ多孔体の2成分を含み、上記ナノサイズ多孔体の重量比率が70重量%以上である断熱材を用いる。
また、繊維とエアロゲル前駆体をスラリー化する工程と、上記スラリーを成形、ゲル化させる工程と、を含む、断熱材の製造方法を用いる。
本発明によれば、3次元形状の断熱材が製造可能で、適用可能なアプリケーション領域を広げることが可能となる。また、高い断熱性能のエアロゲルを高い割合で含有する断熱材を製造することが可能であり、断熱性能の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態1の断熱材製造方法の工程図 本実施の形態1の断熱材の外観写真を示す図 特許文献2の自立性硬質複合材の写真を示す図
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態)
<全体プロセス>
図1は本発明の実施の形態1の断熱材製造方法の工程図である。図1の工程図に沿って工程を説明する。図2は本発明の実施の形態1で製造したお椀型の断熱材の外観写真である。
実施の形態は、繊維とエアロゲルであるナノサイズ多孔体の2成分から成り、上記ナノサイズ多孔体の重量比率が70〜95重量%である断熱材とその製造方法である。
ここで、上記ナノサイズ多孔体とは、エアロゲルである。エアロゲルとしては、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲルなどが知られているが、断熱性能、製造コストの面からシリカエアロゲルが好ましい。
エアロゲルは、エアロゲル粒子が連鎖的に3次元ネットワークを構築し、上記エアロゲル粒子間に微細な細孔を有する。
上記細孔のサイズは、平均細孔径で10〜68nmであることが好ましく、より好ましくは20〜50nmである。
平均細孔径が10nm未満の場合、固体成分が過多となるため固体の伝熱成分の影響により熱伝導率が大きくなってしまう。
平均細孔径が68nmを超える場合、空気の約78%を占める窒素分子の平均自由行程(68nm)よりも大きな細孔となるため、空気の対流の影響により熱伝導率が大きくなってしまう。
(1)繊維の解繊
まず、物理的に繊維の小片化を行なう。本実施の形態1で用いた繊維は、一般的に極短繊維と呼ばれており、繊維長は0.1〜10mm、好ましくは1〜5mmであり、線径は直径0.2〜6μm、好ましくは1〜3μmのものを用いている。
上記繊維は、紡糸される際にある程度大きな綿状である。上記綿状のサイズは、数十mm以上のものや、運搬時の押圧により圧縮され数百mm以上のものなど様々である。上記大きな綿状のままで、後の(3)スラリー化に用いると、ゾル溶液に繊維を分散させる際に時間を要す。
スラリー化を円滑に進めるためには、予め、綿状の繊維を物理的に小片サイズに解き解す必要がある。実施の形態1では、大きな綿状の繊維集合体を小片サイズに解き解す工程を解繊と呼ぶことにする。解繊後の小片サイズの繊維は平板状にすることが好ましい。
上記解繊後の小片サイズの繊維の大きさは、上記平板状の平面方向における長手寸法をA、厚み方向の代表的な厚み寸法をBとした場合に、AとBとの比率が、A:B=20:1以下、好ましくはA:B=10:1以下にし、かつ、Aの寸法を20mm以下、好ましくは10mm以下とする。
もし、繊維を解繊しなければ、下記の(3)のスラリー化で、ゾル溶液に繊維を分散する際に時間を要す。解繊後のサイズが大き過ぎたり、解繊なしで繊維をゾル溶液と分散させても、後の(3)のスラリー化の工程において、その元の繊維の塊のままゾル溶液を吸い込むだけであり、所望の均一なスラリーが得られない。
また、一般的に短繊維と呼ばれる50〜65mm程度の長さの繊維では予め細かく解繊していても、後の(3)のスラリー化の工程において、繊維同士が絡み合い、大きな繊維の塊となってしまい、均一な分散液は得られない。
繊維長について、0.1mm以下になると繊維同士の絡み合いが発生し難くなり、成形体としての強度が確保できなくなる場合がある。繊維長が10mm以上、特に上記短繊維の領域に近づくと、後のスラリー化工程において、繊維同士の絡み合いや回転翼への巻きつきなどが発生し、生産性が低下する場合がある。
<繊維径>
線径について、1μm以下になると繊維自体の調達が難しくなり、経済性および生産性が損なわれる場合がある。
線径が3μmを超えると、断熱材としての性能を低下させる場合がある。太過ぎる線径の繊維では、この繊維自体が熱パスとなり適さない。本実施の形態1で用いる繊維は、断熱材用途であるため細めの線径が好ましい。また、本実施の形態1では1種類の繊維について記述しているが、これに限定されるものではなく、複数種の繊維を混合させても良い。
<材質>
繊維の材質については、ガラス繊維を用いているが、これに限定されるものではなく、他に、ポリマー系繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、植物由来繊維、鉱物由来繊維などを用いても良い。
(2)シリカゾル溶液調整
シリカエアロゲルを製造する際の出発原料として、水ガラス(珪酸ソーダ水溶液)を用い、調製は水ガラスの珪酸濃度、また、ゲル化時に使用する酸の種類と濃度、ゲル化条件(温度、時間、pH)を調整することで制御できる。
この水ガラスの珪酸濃度については、シリカ重量がゾル総重量に対して5〜20重量%になるように調製すればよく、10〜20重量%であると好ましく、15〜20重量%であるとより好ましい。珪酸濃度が、6重量%以下であると、珪酸濃度が薄いため湿潤ゲル骨格の強度が不十分になる場合がある。また、珪酸濃度が20重量%を越えると、ゾル溶液のゲル化時間が急激に早くなり制御できなくなる場合がある。
<酸>
酸については、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸などを使用することができる。珪酸の加水分解反応の促進および得られるゲルの骨格強度、後に続く疎水化工程も考慮すると、塩酸を使用することが好まし。塩酸の濃度については、1N〜12Nが好ましく、より好ましくは6N〜12Nである。塩酸濃度が低過ぎると、所望のpHに調整する際、より大量の希塩酸を添加する必要があるため、珪酸濃度が減少し、シリカネットワークの構築が効果的に進行しない場合がある。
より工業的には、シリカゾル溶液のポットライフの観点から、所望のゲル化反応を起こすためには以下の方法が良い。必要な酸の2倍量を仕込んだシリカゾル溶液Aと、酸を含まないシリカゾル溶液Bを調整する。これらのシリカゾル溶液をそれぞれ別系統で搬送し、塗布先の型や基材の直上で、これらのシリカゾル溶液を混合させ、型や基材に塗布する方法が好ましい。
(3)スラリー化
工程(1)で小片状に解繊した繊維を、工程(2)で調整したシリカゾル溶液と混合、攪拌し、所望のスラリーを得る。回転翼を有する攪拌槽に、上記小片状に解繊した繊維と上記シリカゾル溶液を投入し、攪拌させ、均一なスラリーを得る。
本実施の形態1における均一なスラリーの定義として、粘度100mPa・s以下で、かつ攪拌直後に繊維が沈降していないこと、かつ目視で繊維が塊状に残っていないことが好ましい。
粘度が100mPa・sを超えると、後の(4)注液〜ゲル化工程で、型内へのスラリーの充填性が損なわれる場合がある。また、繊維が沈降および塊状に残っている場合は、型内へスラリーを注液する際に、繊維とシリカゾル溶液が偏在し、3次元形状維持が困難になる場合がある。
攪拌槽に投入するシリカゾル溶液の量は、繊維の重量に対し、50倍以上、好ましくは100〜200倍の重量比のシリカゾル溶液を投入する。
シリカゾル溶液が50倍未満の場合、繊維が非常に嵩高いため攪拌が促進せず、均一なスラリーを得ることができない場合がある。そのため、繊維重量に対し、十分に多いシリカゾル溶液が必要となるが、200倍を超える場合はスラリー内の繊維割合が低下するだけでなく、経済性、生産性を損なってしまう場合がある。
攪拌条件は、回転翼の回転数を180〜1800rpmで30分〜3時間攪拌する。回転数が180rpm未満であると、投入する繊維の重量にもよるが、繊維が均一に分散するまでに長時間要することになり、生産性を損なう場合がある。
回転数が1800rpmを超えると、回転開始から間もない時間帯は繊維が小片状であり、繊維とシリカゾル溶液の分散が十分に行なわれていないため、シリカゾル溶液が飛散する場合がある。そのため、回転翼は回転開始から3〜5分間程度は低速回転で回転させ、徐々に高速回転させることが好ましい。
回転翼の形状については、ピッチドパドル、アンカー翼、2〜4枚プロペラ、ピッチドタービン、ディスクタービン、リボン翼など特に限定しないが、軸流と上下循環流を合成流として発生させ、回転翼と攪拌槽壁面によるせん断力を発生させれば良い。
回転中の温度については、恒温水槽などを用いて20〜70℃で温調する。繊維を攪拌する媒体として用いるシリカゾル溶液は水溶液であるため、20℃未満、特に0℃に近い温度では、繊維が均一に分散するまでに長時間要することになり、生産性を損なう場合がある。
70℃を超える温度では、シリカゾル溶液の揮発が促進されるため、所望のシリカゾル溶液の濃度が得られない場合がある。また、攪拌に用いるシリカゾル溶液が攪拌中にゲル化することを防ぐため、工程(2)で示したように、必要な酸の2倍量を仕込んだシリカゾル溶液Aと、酸を含まないシリカゾル溶液Bの段階で、どちらかのシリカゾル溶液のみを攪拌に用いた方が良い。特に、シリカゾル溶液Aを媒体として用いる場合は、含んだ酸が揮発し易いため、高温域での攪拌は所望のゲル化反応が得られない場合がある。
(4)注液〜ゲル化
工程(3)で得られたスラリーを型に注液し、ゲル化させ、所望の形状の成形体を得る。上記シリカゾル溶液Aと上記シリカゾル溶液Bを予め混合させ、型へ注液し、十分にゲル化が完了する間、型内で保持する。ゲル化を促進させるために、型温度を30〜70℃で加熱する。30℃未満ではゲル化が促進され難く、生産性を損なう場合がある。70℃を超えるとシリカゾル溶液中の水分が揮発し、ゲル化反応の途中で揮発水分が分離して、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。
より高強度なシリカエアロゲルと繊維の複合成形体を得るためには、上型と下型に分かれた型の下型側を、メッシュ状にし、シリカゾル溶液のみを型外へ脱水させることで、繊維の重量割合が高くなり、シリカゾル溶液が脱水する際に、繊維が脱水方向に対し並行に配向し易くなり、型内においてより複雑な繊維の配向となるため、より高強度な成形体を得ることができる。
メッシュサイズについては、10〜150メッシュが良い。10メッシュでは、メッシュの線径にもよるが、一般的に目開き量が1.4〜2.1mmであり、開口サイズが大きくなる。そのため、脱水時にメッシュ内にスラリー中の繊維が入り込み、メッシュの形状のままゲル化する場合があり、所望の形状の成形体を得られない場合がある。また、後の離型工程で離型し辛くなり、生産性を損なう場合がある。
また、150メッシュでは、一般的に目開き量が0.1mm程度であり、開口サイズが小さくなるため、脱水し難く、脱水時に圧力を掛ける場合があり、生産性を損なう場合がある。
(5)離型
本工程は、工程(4)でゲル化した成形体を型から取り出す工程である。取り出す成形体は、ゲル細孔やゲルと繊維の界面に水分を多く含んだヒドロゲルの状態であり、成形体形状を崩さないように取り出す必要がある。取り出す方法としては、局所的に取り出しの加重(圧力)が掛からないように、ストリッパー方式やエアー方式を用いることが好ましい。
また、複雑な形状の成形体や、薄肉の成形体を作製する場合は、この離型工程中に無理に離型させる必要はなく、上型もしくは下型のどちらか片方のみを離型し、後の(6)養生工程に型ごと投入しても良い。上型、下型の両方を成形体と同時に(6)養生工程に投入すると、養生に要する時間が増大し、生産性を損なう場合がある。
(6)養生
離型した成形体を、乾燥時にかかる毛管力に耐えうるだけの強度にするために、シリカ粒子の重縮合、および、二次粒子の成長を促す必要がある。ゲル化後、成形体の水分が揮発しない0〜100℃で、好ましくは60〜90℃、で加熱養生し、シリカ粒子の重縮合と二次粒子の成長を促進させる。養生温度が60℃未満であると珪酸に必要な熱が伝わらず、シリカ粒子の成長が促進されず、養生が十分に進行するまでに時間を要する上に、ゲル強度が低く、乾燥時に大きく収縮する場合があり、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。また、養生温度が90℃を超え100℃に近づくほど、成形体の水分が揮発してゲルと分離する現象がみられ、これにより得られるゲルの体積が減少して、所望のシリカエアロゲルが得られない場合がある。
また、養生中に成形体の水分が容易に揮発しないよう、養生中の湿度を70%以上にすることが好ましい。
養生時間は養生する温度や成形体の厚みにもよるが、3分〜24時間が好ましい。養生時間が3分未満であると、ゲル壁の強度向上が不十分な場合がある。養生時間が24時間を超えると、ゲル壁の強度の向上における養生の効果が乏しくなり、逆に生産性を損なう場合がある。
(7)疎水化(塩酸浸漬)
疎水化工程は、親水性のヒドロゲルを疎水化剤と反応させて、疎水性のゲルとする工程である。この疎水化工程は主に2つのステップに分かれている。
まず、第1のステップは、養生後のヒドロゲルの細孔に塩酸を取り込むための工程である。ヒドロゲルの細孔全体に塩酸が取り込まれないと、後の第2ステップにおいて、所望の反応が発生せず、疎水化処理が完了しないため、一部親水性のエアロゲルとなる。エアロゲルの表面から内部まで疎水化が完了しないと、所望の断熱性能が得られない。
用いる塩酸の塩酸濃度は3〜12Nが好ましい。3N未満の塩酸濃度の場合、塩酸濃度が低いため、シロキサンの反応生成物である活性種の濃度が低く、第2ステップ(8)疎水化(シリル化工程)が十分に進行しない場合がある。12Nより高い濃度の塩酸は、工業的に生産されておらず、入手困難である。
また、塩酸の量は、ヒドロゲルが十分に浸漬する量であれば特に制限はないが、ヒドロゲルの重量の2〜100倍が好ましい。塩酸の使用量がヒドロゲルの2倍未満の場合、塩酸濃度が低いため、シロキサンの反応生成物である活性種の濃度が低く、第2ステップ(8)疎水化(シリル化工程)が十分に進行しない場合がある。また、塩酸の使用量が100倍より多い場合、塩酸を過剰量使用するため、生産性を損なう場合がある。
塩酸の浸漬条件としては、液温0〜50℃、浸漬時間30秒〜72時間が好ましい。塩酸が0℃未満、かつ浸漬時間30秒未満の場合、ヒドロゲルの細孔に塩酸が十分浸透しない場合がある。塩酸が50℃より高く、かつ浸漬時間が72時間より長い場合、生産性を損なう場合がある。
(8)疎水化(シリル化処理)
疎水化の第2ステップ(シリル化処理)は、ヒドロゲルの細孔に浸透させた塩酸と疎水化剤の反応により生成した活性種とシリカ表面のシラノールを反応させる工程である。上記塩酸と上記疎水化剤の反応が完了していないと、疎水化処理が完了しないため、一部親水性のエアロゲルとなる。エアロゲルの表面から内部まで疎水化が完了しないと、上記親水性のエアロゲルに水分が吸着する場合がある。エアロゲルの表面から内部に渡り、上記水分が担持されると、上記水分が熱パスとなることで、所望の断熱性能が得られない場合がある。
本実施の形態1の疎水化剤は、鎖状シロキサン、または環状シロキサンである。上記疎水化剤を少なくとも1種の疎水化剤として用いており、アルコールと上記疎水化剤との混合溶媒中において、疎水化反応を行なう。
上記鎖状シロキサンとしては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサンなどが用いられる。上記鎖状シロキサンと塩酸とを反応させることで、トリアルキルクロロシランとジアルキルジクロロシランが生成し、同時に水が副生する。
上記環状シロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどが用いられる。上記環状シロキサンと塩酸を反応させることで、ジアルキルジクロロシランとジアルキルジクロロシランが生成し、同時に水が副生する。
疎水化剤である鎖状シロキサン、あるいは環状シロキサンの仕込み量は、ヒドロゲルの細孔容積に対して、100〜800%が好ましく、100〜300%がより好ましい。疎水化剤がヒドロゲルの細孔容積に対して、100%未満の場合、ヒドロゲル表面および内部に存在するシラノール(Si−OH)が未反応のまま残ってしまう場合がある。この場合、乾燥時に溶媒の毛管力によりシラノールが物理的に接触することで、脱水縮合反応が起こり、ゲルの収縮・高密度化につながってしまう場合がある。疎水化剤がヒドロゲルの細孔容積に対して、800%より多い場合、シラノールと反応すべき必要最低限の疎水化剤量よりも過剰になっている場合があり、経済性および、生産性を損なってしまう。
疎水化反応は必要であれば溶媒中で行い、一般に20〜100℃、好ましくは40〜80℃において実施される。反応温度が20℃未満の場合、疎水化剤の拡散が十分でなく、疎水化が十分に行なわれない場合がある。反応温度が100℃を超えると、疎水化剤が揮発しやすく、反応に必要なシリル化剤がヒドロゲルの外部、および内部に供給されない場合がある。同時に、疎水化反応の進行に伴い、排出する酸水溶液が沸騰してしまい、安全性に問題が生じる。反応温度が40〜80℃であれば、疎水化剤は速やかに拡散するため、十分に反応が行なわれ、疎水化反応の進行に伴い、排出する酸水溶液を沸騰させずに安全に作業することができる。
使用する溶媒は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの直鎖脂肪族炭化水素類が好ましい。
ヒドロゲルは固体で親水性であるのに対し、疎水化剤は液体で疎水性であるため、両者は容易に混ざり合わない上に、固液不均一系反応であることから、反応活性種を効率よくヒドロゲルと反応させるために、両親媒性の溶媒であるアルコール類、もしくはケトン類を用いるのが好ましく、アルコール類がより好ましい。
シリル化処理の浸漬時間としては、3分〜72時間が好ましい。反応の終点を確認するには、疎水化反応の進行に伴いヒドロゲルから排出される酸水溶液の量が、一定量で止まることで判断できる。浸漬時間3分未満の場合、反応に必要なシリル化剤がヒドロゲルの外部、および内部に供給されない場合があり、反応不十分となる場合がある。浸漬時間が72時間より長い場合、生産性を損なう場合がある。
(9)乾燥
乾燥工程は、前工程で得られた疎水化ゲル中の液体溶媒を揮発させる工程である。乾燥手法は公知の乾燥方法であれば、超臨界乾燥法、および非超臨界乾燥法(常圧乾燥法、凍結乾燥法)のどちらでも良く、特に制限はない。
非超臨界乾燥法として常圧乾燥を用いることが、量産性、安全性、経済性の観点から好ましい。ゲルが耐え得る乾燥温度であれば、乾燥時間に制限はないが、急激な加熱では、ヒドロゲル中の溶媒が突沸して、シリカエアロゲル中に大きな亀裂が生じる場合がある。シリカエアロゲルに亀裂が生じると、亀裂の大きさによるが、空気の対流による伝熱を生じさせ、断熱性を損なわせたり、粉状となり取扱性が著しく損なわれたりする場合がある。
乾燥工程は、例えば常圧以下においては、乾燥温度0〜400℃で0.5〜5時間乾燥することが好ましい。乾燥温度が0℃以下だと、著しく乾燥時間が長くなり、生産性を損なう場合がある。
また、乾燥温度が400℃を超えると、疎水化条件にもよるが、疎水性エアロゲルのジアルキルジシロキサン結合、あるいは架橋型ジシロキサン結合が熱分解により遊離し、得られるゲルは疎水性を消失したヒドロゲルになってしまう場合がある。なお、疎水性エアロゲルをポリマー系の繊維、不織布などの基材に複合化させて製造する場合は、基材の融点以下である200℃以下で乾燥させるのが好ましい。
<効果>
本実施の形態1は、シリカゾル溶液と繊維をスラリー化し、型内でゲル化させることで、3次元形状のシリカエアロゲルと繊維の複合断熱材の製造が可能である。複合断熱材のシリカエアロゲルの重量比率は、70〜95重量%、好ましくは85〜95重量%とすることが可能である。この方法では、シリカエアロゲルの重量比率が高いが、複雑な形状ができ、かつ、断熱性能が高い、複合断熱材が実現する。
ここで、本実施の形態の複合断熱材が、なぜ高いシリカエアロゲルの重量比率で製造可能かを説明する。従来の不織布などの繊維基材とシリカエアロゲルを複合化させる製造方法においては、用いる繊維基材は、その繊維同士が複雑に絡み合い、繊維が密集した状態になっている。ここにシリカエアロゲルを複合化させようとしても、上記繊維基材の空隙と繊維基材の表面にシリカエアロゲルを導入するのみに留まる。
従来の上記繊維基材の表面にシリカエアロゲルを大量に積層させようとしても、上記(9)乾燥の工程の非超臨界乾燥法では、シリカエアロゲルに亀裂が生じ、粉状、鱗片状に脱落する場合がある。
本実施の形態の複合断熱材は、溶媒に極短繊維を分散させて、注型、ゲル化させており、3次元形状を保つために、最低限必要な繊維の絡み合いで形成されている。
また、3次元形状の形状制約については、用いる型から問題なく離型可能で、かつ、後の養生工程に移行できる範囲であれば、特に制限はない。
3次元形状は、複合したものでなく、1つの均質な3次元形状である。なお、当然、平面形状も同様の方法で製造可能である。
実施の形態の方法では、石灰などのバインダーとの複合化せずに、繊維とナノサイズ多孔体の2成分からなる3次元形状の断熱体を提供できる。
3次元形状としては、図2からわかるように、凹部形状を形成できる。また、凸部形状も形成できる。なお、凹凸は、断熱材の厚み以上の凹部の深さ、凸部の高さである。
複数のものを組み合わせたものでなく、1種類の固まり、または、1層の物体である。上記の方法により、ナノサイズ多孔体が高い濃度であっても、このような3次元形状ができる。
本発明の断熱材は、3次元形状が形成可能で、様々な形状に対する断熱性能を向上させることができ、その結果、各種電子機器、住宅、自動車などの車両等の、各種断熱の用途に適用でき、産業上有用である。
なし

Claims (6)

  1. 繊維とナノサイズ多孔体の2成分を含み、前記ナノサイズ多孔体の重量比率が70重量%以上である断熱材。
  2. 前記ナノサイズ多孔体の重量比率が95重量%以下である請求項1記載の断熱材。
  3. 前記断熱材は、凹部形状、または、凸部形状である請求項1または2に記載の断熱材。
  4. 前記ナノサイズ多孔体はエアロゲルである請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱材。
  5. 前記断熱材は表面および内部が疎水性である請求項1〜4のいずれか1項に記載の断熱材。
  6. 繊維とエアロゲル前駆体をスラリー化する工程と、
    前記スラリーを成形、ゲル化させる工程と、
    を含む、断熱材の製造方法。
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