JP2018139572A - クリームソース及びその製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1に、水48〜68重量%、油脂20〜42重量%、タンパク質2〜9重量%、澱粉、ゲル化剤及び/又は増粘剤(好ましくは、グァーガム、スクシノグリカン、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ジェランガム、キサンタンガム及びカラギナンからなる群から選ばれる1種以上)、及び乳化剤(好ましくは、酵素処理レシチン及び/又はグリセリン有機酸エステル)を含有することを特徴とする加熱耐性を有するソース状水中油型乳化物が記載されている。
このソース状水中油型乳化物によれば、加熱殺菌や再加熱による乳化状態の破壊を防止し、かつ滑らかなソース状の物性を加熱後も維持することができる。
この加熱殺菌済みクリームソースは、低温で低粘度でも乳化が安定したクリームソースであり、しかも食感に優れており、特に、冷製パスタなどの冷えたソースとして好適なものである。
この加熱殺菌済みクリームソースは、加熱殺菌工程中及び保存中などにおいて、乳化状態が壊れたり、乳風味が失われてしまうことがなく、ソース部の乳化状態が極めて安定であり且つ乳風味の豊かなものである。
本発明の目的は、高い含有率(40重量%以上)で乳脂肪を含むクリームソースであって、凍結した後に例えば熱湯で解凍した場合であっても、良好な乳化状態を保つことができるクリームソース、及びその製造方法を提供することである。
[1] 乳脂肪、乳化剤、および乳タンパク質を含む、O/W型のクリームソースであって、上記乳脂肪の含有率が、40重量%以上であり、上記乳化剤が、ポリソルベート類であり、上記乳タンパク質が、乳タンパク質濃縮物であることを特徴とするクリームソース。
[2] 上記乳タンパク質濃縮物中のカルシウムの含有率が、0.4〜2.0重量%である、上記[1]に記載のクリームソース。
[3] 上記乳タンパク質濃縮物の含有率が、3重量%以上である、上記[1]又は[2]に記載のクリームソース。
[4] 上記乳脂肪の粒度が、メディアン径で1.0〜3.0μmである、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のクリームソース。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載のクリームソースを製造するための方法であって、上記クリームソースを構成する材料を混合して、混合物を調製した後であって、かつ、上記混合物を加熱殺菌する前に、上記混合物を予備乳化する予備乳化工程を含むことを特徴とするクリームソースの製造方法。
[6] 上記加熱殺菌の後に、上記混合物を均質化処理する均質化工程を含む、上記[5]に記載のクリームソースの製造方法。
[7] 上記均質化処理が、75〜95℃で15〜110kgf/cm2の圧力下で行われる、上記[5]又は[6]に記載のクリームソースの製造方法。
本発明において、乳脂肪としては、通常、バターが用いられる。
バターとしては、特にその種類が限定されず、例えば、無発酵の有塩バター、無発酵の食塩不使用バター(無塩バター)、有塩の発酵バター、食塩不使用の発酵バターのいずれも用いることができる。
また、バターの全部または一部として、焦がしバターを用いることができる。
本発明において、乳脂肪を構成する材料として、バターに加えて、生乳、全脂粉乳等を用いてもよい。ただし、本発明のクリームソースに含まれる乳脂肪の全量(100重量%)中のバター以外の材料に由来する乳脂肪の含有率は、乳脂肪の含有率の高いクリームソースの製造の容易性等の観点から、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
ポリソルベート類とは、ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテルをいう。ポリソルベート類は、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドを縮合反応させることによって得ることができる。
ポリソルベート類の製造時の材料の一つであるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールと脂肪酸をアルカリ触媒下で加熱して反応させることによって得ることができる。
ポリソルベート類の例としては、ポリソルベート60(別名:モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 60)、ポリソルベート65(別名:トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 65)、ポリソルベート20(別名:モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 20)、ポリソルベート80(別名:オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、Tween 80)等が挙げられる。
中でも、ポリソルベート60は、乳化安定性を高める観点から、特に好ましい。
本発明において、ポリソルベート類以外の乳化剤(他の乳化剤)は、用いないことが望ましい。
他の乳化剤を用いる場合、ポリソルベート類100重量部に対する他の乳化剤の量は、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
乳タンパク質濃縮物中のカルシウムの含有率は、該乳タンパク質濃縮物中の乳タンパク質濃度が80重量%である粉末形態の場合には、好ましくは0.4〜2.0重量%、より好ましくは0.7〜1.9重量%、さらに好ましくは1.0〜1.8重量%、特に好ましくは1.2〜1.7重量%である。該含有率が0.4重量%以上であると、乳化安定性をより高めることができる。該含有率が2.0重量%以下であると、乳化安定性をより高めることができる。
なお、乳タンパク質濃縮物の添加量は、該乳タンパク質濃縮物の水分含量に応じて、適宜、調整することができる。
該含有率の上限は、乳化安定性の観点から、好ましくは8重量%、より好ましくは7重量%、特に好ましくは6重量%である。
本発明において、任意に配合可能な材料の例として、食塩、胡椒(例えば、ホワイトペッパー、ブラックペッパー等)、動物性パウダー(例えば、チキンパウダー、ポークパウダー、ビーフパウダー等)、野菜ペースト(例えば、オニオンペースト、ガーリックペースト等)、化学調味料(例えば、グルタミン酸ナトリウム等)、甘味料等が挙げられる。
本発明においては、これら任意に配合可能な材料を用いた場合であっても、良好な乳化安定性を維持することができる。
本発明のクリームソース中の水の含有率は、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは32〜55重量%、さらに好ましくは34〜50重量%、特に好ましくは36〜45重量%である。該含有率が30重量%以上であると、O/W型のクリームソースをより容易に得ることができる。該含有率が60重量%以下であると、乳脂肪の含有率がより高くなり、より濃厚な食感(特に、バター風味)を与えることができる。
本発明のクリームソースの製造方法は、(A)クリームソースを構成する材料を混合して、混合物を得る混合工程と、(B)上記混合物を予備乳化して、予備乳化された混合物を得る予備乳化工程と、(C)上記予備乳化された混合物を加熱殺菌して、殺菌された混合物を得る加熱殺菌工程と、(D)上記殺菌された混合物を均質化処理して、クリームソースを得る均質化工程を含む。
混合工程は、クリームソースを構成する材料を混合して、混合物を得る工程である。
クリームソースを構成する材料の混合方法としては、特に限定されないが、例えば、乳脂肪含有材料(例えば、バター)を加熱して、溶解した乳脂肪含有材料を得た後、この溶解した乳脂肪含有材料に、撹拌および加熱を行いつつ、乳化剤(ポリソルベート類)、乳タンパク質(乳タンパク質濃縮物)等の材料を加える方法が挙げられる。
予備乳化工程は、工程(A)(混合工程)で得た混合物を予備乳化して、予備乳化された混合物を得る工程である。
予備乳化の温度は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜65℃である。該温度が30℃以上であると、予備乳化の効率をより高めることができる。該温度が70℃以下であると、液中への乳タンパク濃縮物の分散性が、より良好になる。
予備乳化における撹拌の速度は、撹拌羽根の直径が2.5cmでかつ容器(ビーカー)の直径が18cmの場合には、好ましくは5,000〜16,000rpm、より好ましくは6,000〜15,000rpmである。該速度が5,000rpm以上であると、予備乳化の効率をより高めることができる。該速度が16,000rpm以下であると、脂肪球の皮膜の破壊を抑制することができる。
予備乳化における撹拌の時間は、温度や撹拌の速度によっても異なるが、好ましくは30秒間〜60分間、より好ましくは1〜30分間である。該時間が30秒間以上であると、予備乳化をより十分に行うことができる。該時間が60分間以下であると、処理効率をより高めることができる。
加熱殺菌工程は、工程(B)(予備乳化工程)で得た混合物を加熱殺菌して、殺菌された混合物を得る工程である。
加熱温度は、好ましくは75〜130℃、より好ましくは80〜120℃、特に好ましくは85〜100℃である。該温度が75℃以上であると、殺菌時間を短縮することができ、また、殺菌をより確実に行うことができる。該温度が130℃以下であると、クリームソースを構成する材料の化学的な変質を抑制することができる。
加熱時間は、加熱温度によっても異なるが、好ましくは2秒間〜30分間、より好ましくは30秒間〜15分間である。該時間が2秒間以上であると、殺菌をより確実に行うことができる。該時間が30分間以下であると、加熱殺菌の効率をより高めることができる。
均質化工程は、工程(C)(加熱殺菌工程)で得た混合物を均質化処理して、クリームソースを得る工程である。
均質化処理の温度は、好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜90℃である。該温度が75℃以上であると、均質化処理の効率をより高めることができる。該温度が95℃以下であると、沸騰による均質化のバラつきを抑制することができる。
均質化処理の圧力は、好ましくは15〜110kgf/cm2(1.5〜11MPa)、より好ましくは20〜90kgf/cm2(0.2〜0.9MPa)、特に好ましくは30〜70kgf/cm2(0.3〜0.7MPa)である。該圧力が15kgf/cm2(1.5MPa)以上であると、均質化処理の効率をより高めることができる。該圧力が110kgf/cm2(11MPa)以下であると、均質化が過度に進行することによる脂肪球の二次凝集を抑制することができる。
また、以下の実施例および比較例において、特に断らない限り、「%」は、重量%を意味する。
バター53.3重量部を加熱して溶解させた。このバター(55℃)に、加温下で、乳化剤(ポリソルベート60)0.5重量部、乳タンパク質濃縮物(カルシウムの含有率:1.5重量%、製造元:Fonterra社、商品名:MPC4882)7.8重量部、食塩0.7重量部、グルタミン酸ナトリウム1.7重量部、および、水36.1重量部(以上の合計量100重量部)を加えて、ホモミキサーで撹拌し、混合物(液温:55℃、容量:3.5リットル)を得た。
次いで、この混合物を、55℃、12,500rpm、15分間の条件(撹拌羽根の直径が2.5cmでかつ容器(ビーカー)の直径が18cmであった。)の下で、予備乳化した。その後、予備乳化された混合物を、90℃で5分間加熱して殺菌し、殺菌済の混合物を得た。
最後に、殺菌済の混合物を、高圧ホモジナイザー(三和機械社製)を用いて、85℃で50kgf/cm2の圧力下で均質化処理し、クリームソースを得た。
得られたクリームソースは、全固形分含量が60重量%であり、無脂乳固形分含量が7.5重量%であり、粘度(70℃)が550mPa・sのものであった。
また、得られたクリームソースを、袋に収容して、−35℃に急速凍結した後、袋ごと熱湯(液温:95℃)で解凍し、液温70℃のクリームソースを得た。
このクリームソースに含まれている乳脂肪の粒度分布を測定したところ、1μm〜10μmの範囲内に乳脂肪の全量の99%以上が含まれており、かつ、1μm〜5μmの範囲内に乳脂肪の全量の約95%が含まれていること、および、メディアン径が2.1μmであることがわかった。また、乳脂肪の粒度分布は、正規分布であった。
これらの結果から、実施例1で得たクリームソースは、凍結した後に熱湯で解凍した場合であっても、良好な乳化状態を保つことが確認された。
予備乳化の条件を、55℃、12,500rpm、15分間の条件から、55℃、7,000rpm、2分間の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして実験した。
なお、実施例1と同様に、撹拌羽根の直径は2.5cmであり、容器(ビーカー)の直径は18cmであった。
得られたクリームソースに含まれている乳脂肪の粒度分布を測定したところ、1μm〜10μmの範囲内に乳脂肪の全量の99%以上が含まれ、かつ、1μm〜5μmの範囲内に乳脂肪の全量の約95%が含まれていること、および、メディアン径が2.0μmであることがわかった。また、乳脂肪の粒度分布は、正規分布に近いものであった。
これらの結果から、実施例2で得たクリームソースは、凍結した後に熱湯で解凍した場合であっても、良好な乳化状態を保つことが確認された。
Claims (7)
- 乳脂肪、乳化剤、および乳タンパク質を含む、O/W型のクリームソースであって、
上記乳脂肪の含有率が、40重量%以上であり、上記乳化剤が、ポリソルベート類であり、上記乳タンパク質が、乳タンパク質濃縮物であることを特徴とするクリームソース。 - 上記乳タンパク質濃縮物中のカルシウムの含有率が、0.4〜2.0重量%である請求項1に記載のクリームソース。
- 上記乳タンパク質濃縮物の含有率が、3重量%以上である請求項1又は2に記載のクリームソース。
- 上記乳脂肪の粒度が、メディアン径で1.0〜3.0μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリームソース。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリームソースを製造するための方法であって、
上記クリームソースを構成する材料を混合して、混合物を調製した後であって、かつ、上記混合物を加熱殺菌する前に、上記混合物を予備乳化する予備乳化工程を含むことを特徴とするクリームソースの製造方法。 - 上記加熱殺菌の後に、上記混合物を均質化処理する均質化工程を含む請求項5に記載のクリームソースの製造方法。
- 上記均質化処理が、75〜95℃で15〜110kgf/cm2の圧力下で行われる請求項5又は6に記載のクリームソースの製造方法。
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よつ葉乳業オンラインショップ,よつ葉北海道バターミルクパウダー(1KG),[ONLINE],2016年4月7日,[2020, JPN6021001415, JP, ISSN: 0004552768 * |
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