JP4260686B2 - プリン及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、芋、栗、かぼちゃ、豆等に由来するでん粉を含有するにもかかわらず、フレーバーリリースの良好なプリン及びその製造方法に関する。
嗜好の多様性から、デザート類には様々な素材と香味の組み合せが求められている。プリンにおいても、様々な種類の香料を添加することにより、新規な味の組み合せのプリンが要望されている。
芋、栗、かぼちゃ、豆、とうもろこし等に由来するでん粉を含むプリンに、香料を添加して香味を付与すると、フレーバーリリース(呈味・香気成分の放出)が遅いという現象が生じ、官能的には味が弱いと感じる場合が多い。これは、でん粉の保水力により、香味成分の流動性が減少することによると考えられる。一般的に、呈味物質の流動性を妨げるものは、呈味の強度を減衰させるものが多いことが知られている(非特許文献1)。
そこで、芋、栗、かぼちゃ、豆等を含むプリンにおいては、フレーバーリリースの良いプリンの開発が求められている。
ところで、香料物質の多くは油性であり、食品香料の形態には、エッセンス、油性香料、O/W乳化型香料、粉末香料等がある。それぞれの形態に特徴と留意点がある(非特許文献2)。
水中油型乳化物であるプリンに香料を用いる場合、以下の製造工程で香料を添加するのが一般的である。
a)エッセンス香料として、水溶性原料を混合した水相部に添加する。b)乳化香料として、水相部に添加する。c)油性香料を、油性原料を混合した油相部に添加する。d)油性原料を乳化する際に、油性香料を添加する。
食品とテクスチャー、p80,川端晶子、光琳、2003年 最新香料の事典、p415,荒井綜一他、朝倉書店、2000年
a)の方法は、軽いトップノートを与える反面、熱によって揮発し易いという欠点がある。b)の方法は、保留効果がある。これは香味物質が乳化物質に囲まれて揮発し難い反面、フレーバーリリースが遅いという欠点がある。c)の方法は、香味物質が油脂の中に存在し、油脂は乳化物質に囲まれて水相部に分散しているため、香味物質を希釈せずに添加できる反面、フレバーリリースは乳化香料よりも更に遅くなるという欠点がある。d)の方法は、油性香料の乳化状態により香味が変化し易く、安定性が悪いという欠点がある。即ち、油性香料が良好に乳化された場合には、油性香料が単独又は油性原料に取り込まれ、乳化物質に囲まれて水相部に分散している。この場合のフレーバーリリースは、b)の方法とc)の方法の中間にあり、単独で乳化されたものと油脂に取り込まれて乳化されたものの比率を一定にすることは困難である。また、油性香料が不完全に乳化された場合には、製造工程の滞留する箇所で、クリーミング(油脂成分が浮上する現象)が起り、浮上した油性香料が製造機器に付着して、香料成分の一部が失われるという現象が起る。
従って、プリンのフレーバリングで安定した方法として、a)又はb)或いは併用の方法が採られているのが現状である。
しかし、原料にでん粉を含有するプリンにおいて、でん粉の影響で遅くなるフレーバーリリースを改善する方法は知られていない。
本発明は、でん粉を含有していてもフレーバーリリースの良好なプリン及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、でん粉含有原料、油性香料及び水からなる成分と、でん粉含有原料、油性香料以外の原料及び水からなる成分を別個に調製し、前者は加熱をするが均質化を行わず、後者は加熱及び均質化を行った後、両成分を混合してゲル化させることにより、でん粉を含有する系において、フレーバーリリースが良好になることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、少なくともでん粉含有原料、油性香料以外の油脂、油性香料、ゲル化剤を含む原料からプリンを製造する方法であって、でん粉含有原料、油性香料及び水を含有する成分(A)と、でん粉含有原料、油性香料以外の原料及び水からなる成分(B)を調製し、成分(A)は加熱しかつ均質化を行わず、成分(B)は加熱及び均質化を行った後、両成分を混合してゲル化させることを特徴とするプリンの製造方法を提供するものである。
本発明において、油性香料は油脂である。
また、本発明は、かかるプリンの製造方法において、成分(A)の粘度が、200〜1000mPa・s(60℃)であるプリンの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、かかるプリンの製造方法において、でん粉含有原料に対する油性香料の含有量が5質量%以下であるプリンの製造方法を提供するものである。
さらに、本発明は、かかるプリンの製造方法により得られるプリンを提供するものである。
本発明によれば、フレーバーリリースが良好なプリンが得られる。
さらに、成分(A)の粘度が200〜1000mPa・s(60℃)である場合、あるいは成分(B)中の油性香料が5質量%以下である場合には、工程中で油性香料のロスが無く、フレーバーリリースが良好なプリンの製造効率を高めることができる。
成分(A)は、でん粉含有原料及び油性香料の他に、必要に応じて色素、塩類等を添加したもので、水を連続相とするものである。でん粉含有原料は、精製された微粉状の形態、あるいは芋、栗、カボチャ、豆等の芋類、穀類等を加熱、粉砕、加糖、酵素処理等してピューレ状、粒餡状、こし餡状、ペースト状等の形態で用いることができる。でん粉含有原料の使用量は、所望する味・食感によって異なるが、成分(A)の粘度が200〜1000mPa・s(60℃)の範囲になるようにすることが望ましい。成分(A)の粘度が200mPa・s(60℃)未満になると製造途中の油性香料が滞留する工程で、油性香料のクリーミングが起り、油性香料の一部が製造機器に付着して失われ易くなり、1000mPa・s(60℃)以上になると殺菌機適性が悪化し易くなる。なお、上記粘度は、B型粘度計(商品名:B8L型粘度計、トキメック社製)を用い、No.3のローターで60r/min、60℃で測定した値である。
油性香料は、油脂であり、クリーム、バター、チーズ、オレンジ、レモン、ライム、エッグ等あるいはいわゆるプリンの香味を有する香料である。油性香料の使用量は、香料の力価を考慮して所望の香味になるように決定すればよいが、でん粉含有原料に対して5質量%以下になるようにすることが望ましい。5質量%を超えるとでん粉に吸着し切れなかった油性香料のクリーミングが起り、その一部が製造機器に付着して失われ易くなる。
色素は、食用として通常用いられているものであれば、特に制限はない。塩類としては、例えばクエン酸ナトリウム等の有機酸塩、リン酸三カリウム等の無機酸塩が挙げられる。
成分(A)は、でん粉含有原料、油性香料及びその他の原料を水に添加して適宜撹拌、混合することにより調製することができる。特に、粘度を200〜1000mPa・s(60℃)に調製する場合には、でん粉含有原料、油性香料及びその他の原料を水の一部に添加し、撹拌、混合した後、粘度を測定しながら水を適宜添加していけば、所望の粘度にすることができる。
成分(B)は、でん粉含有原料、油性香料以外の原料及び水からなる。でん粉含有原料、油性香料以外の原料は、ゲル化剤を用いるプリンの製造に一般的に用いられる原料であり、油性香料以外の油脂、ゲル化剤の他に、乳及び乳製品、糖類、乳化剤、卵類、増粘剤、乳化香料等が挙げられる。
油性香料以外の油脂としては、動植物油脂、具体的には、クリームやバター由来の油脂、パーム油、ヤシ油等が挙げられる。
ゲル化剤としては、例えば寒天、ゼラチン、カラギナン、ファーセルラン、ジェランガム、ローメトキシルペクチン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物等が挙げられる。ゲル化剤の使用量は、所望の食感になるように決定すればよいが、概ね、成分(A)と成分(B)の合計に対して、寒天が0.2〜0.5質量%、ゼラチンが0.8〜2.0質量%、カラギナンが0.1〜0.4質量%、ファーセルランが0.2〜0.5質量%、ジェランガムが0.05〜0.2質量%、ローメトキシルペクチンが0.4〜0.8質量%、アルギン酸ナトリウムが0.2〜0.6質量%、ローカストビーンガムとキサンタンガムの混合物が0.2〜0.5質量%である。
乳及び乳製品としては、例えば、生乳、牛乳、脱脂乳、濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、れん乳、クリーム、バター、チーズ等が挙げられる。糖類としては、例えば、砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、オリゴ糖等が挙げられる。乳化剤しては、例えばショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
卵類としては、生卵の他、卵黄、卵白、これらの粉末、加糖卵黄、加糖卵白等が挙げられる。増粘剤としては、例えばローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム等が挙げられる。
乳化香料とは、水中油型乳化物の形態の香料である。
これらの成分の使用量は、所望の風味・食感になるように、適宜決定することができる。
成分(B)は、これらの原料を水に添加して適宜撹拌、混合することにより調製することができる。
成分(A)と成分(B)の混合比率は、A:B=3:7〜7:3(質量比)の範囲が望ましい。即ち、成分(A)の割合を3割未満とすると、最終製品中のでん粉含有原料の含有量を一定に保つためには、成分(A)中に配合すべきでん粉含有原料の割合を高くする必要が生じるため、成分(A)の粘度が上昇して殺菌機適性が悪くなり易い。例えば、成分(A)の割合を2割とすると、最終製品中のでん粉含有原料の含有量を10%に保つためには、成分(A)中に配合すべきでん粉含有原料の割合は50%とする必要が生じる。同様に、成分(B)の割合を3割未満とすると、最終製品中のゲル化剤の含有量を一定に保つためには、成分(B)中に配合すべきゲル化剤の割合を高くする必要が生じるため、成分(B)の粘度が上昇して殺菌機適性が悪くなり易い。
次いで、成分(A)を加熱処理する。ただし、均質化は行わない。均質化を行わない成分(A)を用いることにより、フレーバーリリースが良好なプリンが得られる。油性香料を含む成分に対して、均質化を行わないのは、油性香料を含む成分を均質化すると油性香料が微粒子化され、大きな粒子に比較してフレーバーリリースが悪くなるためである。
成分(A)の加熱処理には、例えば均質機を含まない殺菌機を用いることができる。例えば、バッチパストライザーやUHT殺菌機が用いられるが、細菌的な品質面ではUHT殺菌機が望ましい。UHT殺菌機には、間接加熱式と直接加熱式があるが、直接加熱式では、イクスパンジョンベッスル(加えた蒸気を減圧して除く装置)で蒸気と共に香気成分が揮発する惧れがあるので、間接加熱方式が望ましい。間接加熱式には、プレート式、多重管式、掻き取り式、チューブラー式等があるが、加熱部で狭い流路を通過するとでん粉が崩壊し易いので、掻き取り式やチューブラー式が望ましい。
成分(A)の加熱温度に特に制限はないが、例えば80〜150℃、特に90〜140℃が好ましい。加熱時間にも特に制限はないが、例えば1秒〜30分、特に2秒〜15分が好ましい。冷却温度に特に制限はないが、例えば30〜80℃、特に30〜70℃が好ましい。
成分(B)は、加熱処理及び均質化処理を行う。加熱処理及び均質化処理は、例えば均質機を含む殺菌機を用いて行うことができる。具体的には、バッチパストライザーやUHT殺菌機の加熱の途中又は冷却の途中に均質機が設けられているものが用いられ、細菌的な品質面ではUHT殺菌機が望ましい。UHT殺菌機には、間接加熱式と直接加熱式があるが、直接加熱式では、イクスパンジョンベッスル(加えた蒸気を減圧して除く装置)で蒸気と共に香気成分が揮発する惧れがあるので、間接加熱方式が望ましい。間接加熱式には、プレート式、多重管式、掻き取り式、チューブラー式等があるが、伝熱面を高速で通液できる方が乳原料の焦げ付きが少ないので、プレート式や多重管式が望ましい。均質機の位置は、Down Homo(冷却部の途中にある場合)と Up Homo(加熱部の途中にある場合)があるが、どちらを用いても可能である。
成分(B)の加熱温度に特に制限はないが、例えば80〜150℃、特に90〜140℃が好ましい。加熱時間にも特に制限はないが、例えば1秒〜30分、特に2秒〜15分が好ましい。冷却温度に特に制限はないが、例えば20〜80℃、特に20〜70℃が好ましい。成分(B)の均質圧力に特に制限はないが、例えば0.1〜30MPa、特に0.2〜25MPaが好ましい。
次いで、両成分を混合する。混合の方法に特に制限はなく、成分(A)に成分(B)を混合してもよく、成分(B)に成分(A)を混合してもよい(両成分を混合したものを、以下「成分(C)」という)。また、成分(A)と成分(B)を配管中で連続的に混合させてもよい。これを適宜撹拌した後、冷却することにより、フレーバーリリースの良好なプリンを得ることができる。成分(A)と成分(B)の混合時の温度は、同一でも異なっていても良いが、成分(C)の温度は、ゲル化剤がゲル化しない温度、例えば30〜80℃、特に35〜75℃が好ましい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(試験例1)
この試験は、香料の添加方法を検討する目的で実施された。
(試料の調製)
表1の配合割合に従い、成分(A)と成分(B)を調製した。成分(A)は、原料をステンレスバットに入れ混合し、湯せんで85℃に加熱し10分間保持した後、冷却水槽に入れて60℃に冷却して調製した。成分(B)は、原料をステンレスバットに入れ混合し、湯せんにて80℃に加熱した後、均質機(商品名:HOMOGENIZER;三丸機械工業製)で均質化し、再び湯せんで85℃に加温し10分間保持した後、冷却水槽に入れて60℃に冷却して調製した。
調製した成分(A)と成分(B)を1:1で混合して成分(C)を作成し、これをプラスチックカップ(岸本産業社製)に100g充填し、プラスチックフィルム(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して試料を調製した。
Figure 0004260686
(評価方法)
10人のパネルに、各試料の風味を評価させ、バターフレーバーが強い順に順位をつけさせ、各試料の順位の合計を求めた。この結果から、順位法の検定表を用いる方法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際」、p28、古川秀子著、幸書房、1994年)で有意差を検定した。
この結果を表2に示す。
Figure 0004260686
(結果)
表2より、官能評価でバターフレーバーが強いのは、No.1>2≧4≧5≧3≧6の順である。
(>:記号の左が右より上位で、統計的有意差がある。≧記号の左が右より上位であるが、統計的有意差は無い。)
(考察)
バターフレーバーが最も強く出るのは、油性香料として成分(A)に添加した場合であり、従来法である乳化香料あるいはエッセンスとして添加する方法より、フレバーリリースが改善された。また、油性香料を成分(B)に添加した場合よりフレーバーリリースが改善された。
(試験例2)
この試験は、でん粉を含む原料に対する油性香料の割合を検討する目的で実施された。
(試料の調製)
表3の配合に従い、試験例1と同一の方法で成分(A)を調製した。各成分(A)の粘度は450〜500mPa・sであった。
Figure 0004260686
(評価方法)
調製した成分(A)kgを1000mlビーカー(IWAKI社製)に入れ、60℃に調整した恒温器に無攪拌で2時間静置した後、目視により油性香料の浮上の有無を確認した。この結果を表4に示す。
Figure 0004260686
(結果)
表4より、油性香料の浮上を認めるのは、No.17である。
(考察)
油性香料の浮上を防止して、フレーバーリリースが良好なプリンの製造効率を高めるためには、でん粉含有原料に対する油性香料の含有量が5質量%以下であることが必要であることが確認された。
(試験例3)
この試験は、成分(A)の粘度を検討する目的で実施された。
(試料の調製)
表5の配合に従い、試験例1と同一の方法で成分(A)を調製した。
Figure 0004260686
(評価方法)
試験例2と同一の方法で実施した。この結果を表6に示す。
Figure 0004260686
(結果)
表6より、油性香料の浮上を認めるのは、No.21,22である。また、No.26,27は、85℃に加熱し10分間保持する工程において、容器への焦げ付きが認められた。
(考察)
油性香料の浮上を防止し、かつ、加熱中に容器への焦げ付きを防止するためには、成分(A)の粘度が200〜1000mPa・s(60℃)であることが必要であることが確認された。
(試験例4)
この試験は、殺菌機の均質機の有無を検討する目的で実施された。
(試料の調製)
試験例1のNo.1と同一の配合で表7に示す工程条件で調製した。成分(C)の作成(成分(A)と成分(B)の混合)以降は、試験例1と同一の方法で調製した。
Figure 0004260686
(評価方法)
試験例1と同一の方法で評価した。この結果を表8に示す。
Figure 0004260686
(結果)
表8より、官能評価でバターフレーバーが強いのは、No.31>34≧32≧33の順である。
(>:記号の左が右より上位で、統計的有意差がある。≧記号の左が右より上位であるが、統計的有意差は無い。)
(考察)
バターフレーバーが強く出るのは、成分(A)を均質化しないで、成分(B)を均質化する場合であることが確認された。
成分(A)を均質化すると油性香料が微粒子化され、均質化しない場合の大きな粒子に比較してフレーバーリリースが悪くなるためと推定される。
成分(B)を均質化しない場合には、成分(B)の油性香料の乳化が不完全であるため、でん粉に吸着している油性香料が不完全な乳化油脂に吸着されて、フレーバーリリースが遅くなるものと推定される。
(試験例5)
この試験は、全原料を一括調製する方法(従来法の一つ)と2成分(成分(A)と成分(B))に分けて調製する方法のフレーバーリリースを比較する目的で実施された。
(試料の調製)
No.51は、表1のNo.1(試験例1)と同一の方法でプリンを調製した。
No.52は、表1のNo.1の配合割合の各成分を、一括してステンレスバットに入れて混合し、湯せんにて80℃に加熱した後、均質機(商品名:HOMOGENIZER;三丸機械工業製)で均質化し、再び湯せんに入れて85℃に加温し10分間保持した後、冷却水槽に入れて60℃に冷却して調製した後、プラスチックカップ(岸本産業社製)に100g充填し、プラスチックフィルム(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して試料を調製した。
(評価方法)
20人のパネルに、各試料の風味を評価させ、バターフレーバーが強い方を選択させた。この結果から、2点嗜好試験法(「おいしさを測る−食品官能検査の実際」、p21、古川秀子著、幸書房、1994年)で有意差を検定した。
(結果)
官能評価でバターフレーバーが強い方として、No.51を選択した者が16名、No.52を選択した者が4名であった。この結果は、5%の危険率で統計的に有意差がある。
(考察)
成分(A)と成分(B)を別個に調製した方が一括して調製したものより、バターフレーバーが強くでることが分かり、フレバーリリースが改善されたと考えられる。
<実施例1>
表9のNo.41に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラー式UHT殺菌機(MOチューブラー式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒の条件で殺菌し、30℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒で殺菌した後、80℃に冷却し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び冷却部で20℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵した後、多管式熱交換機(スピフレックス;新光産業社製)で90℃に再加温し、80℃に再冷却して調製した。
成分(A)と成分(B)を配管中で連続的に混合して55℃の成分(C)とし、充填機(DOGAseptic:GASTI社製)でポリプロピレンカップ(凸版印刷社製)に成分(C)を80gづつ充填し、アルミ蓋(エムエーパッケージング社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、バターフレーバーのさつま芋プリンを製造した。この試作品は、バターフレーバーの良好な香味を有した上、さつま芋味が良好な試作品であった。
この実施例では、成分(A)殺菌後に1日タンクに保持しても、バターフレーバーの低下は認められなかった。
尚、この実施例で、成分(B)を成分(A)と混合する前に再加温しているのは、殺菌機での冷却で失われているゲル化剤のゲル化能力を復活させるためである。
<実施例2>
表9のNo.42に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒で殺菌した後、30℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で140℃、2秒で殺菌した後、80℃に冷却し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び冷却部で20℃に冷却して、タンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に1日間貯蔵した後、多管式熱交換機(スピフレックス;新光産業社製)で90℃に再加温し、80℃に再冷却して調製した。
成分(A)と成分(B)を配管中で連続的に混合して55℃の成分(C)とし、充填機充填機(BK Cup Filler;HAMBA社製)でポリプロピレンカップ(吉野工業所社製)に120g充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、クリーム味のマロンプリンを試作した。この試作品はクリームフレーバーの良好な香味を有した上、マロン味が良好な試作品であった。
この実施例では、成分(A)を殺菌後に1日タンクに保持しても、クリームフレーバーの香味の低下は認められなかった。
成分(B)の再加温は、実施例1と同一の理由による。
<実施例3>
表9のNo.43に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、加熱部で80℃に加温し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び加熱部で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却し調製した。
成分(A)と成分(B)をタンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に入れタンク内で攪拌しながら混合して60℃の成分(C)とし、充填機(BK Cup Filler;HAMBA社製)でポリプロピレンカップ(吉野工業所社製)に100gづつ充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、卵味のかぼちゃプリンを試作した。この試作品はエッグフレーバーの良好な香味を有した上、かぼちゃ味が良好で、オレンジフレーバーの爽やかなアクセントが利いた試作品であった。
<実施例4>
表9のNo.44に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、加熱部で80℃に加温し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び加熱部で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却し調製した。
成分(A)と成分(B)をタンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に入れタンク内で攪拌しながら混合して60℃の成分(C)とし、充填機(BK Cup Filler;HAMBA社製)でポリプロピレンカップ(吉野工業所社製)に100gづつ充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、クリーム味のこし餡プリンを試作した。この試作品はクリームフレーバーな香味を有した上、こし餡の味が良好で、レモンフレーバーの爽やかなアクセントが利いた試作品であった。
<実施例5>
表9のNo.45に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、加熱部で80℃に加温し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び加熱部で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却し調製した。
成分(A)と成分(B)をタンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に入れタンク内で攪拌しながら混合して60℃の成分(C)とし、充填機(BK Cup Filler;HAMBA社製)でポリプロピレンカップ(吉野工業所社製)に100gづつ充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、レモン味のさつま芋プリンを試作した。この試作品はレモンフレーバーの良好な香味を有した上、さつま芋味が良好な試作品であった。
<実施例6>
表9のNo.46に示した配合割合に従って、成分(A)と成分(B)を別個に調製した。
成分(A)は、原料を混合溶解後、均質機を内蔵しないチューブラ式UHT殺菌機(MOチューブラ式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却して調製した。
成分(B)は、原料を混合溶解後、均質機を冷却部の途中に内蔵したプレート式UHT殺菌機(MOプレート式殺菌機;森永エンジニアリング社製)で、加熱部で80℃に加温し均質機で15MPaの圧力で均質化し、再び加熱部で125℃、2秒で殺菌した後、60℃に冷却し調製した。
成分(A)と成分(B)をタンク(アセプティックタンク;ヤスダファインテ社製)に入れタンク内で攪拌しながら混合して60℃の成分(C)とし、充填機(BK Cup Filler;HAMBA社製)でポリプロピレンカップ(吉野工業所社製)に100gづつ充填し、アルミ蓋(東洋アルミニウム社製)をヒートシールし、冷蔵庫にて10℃に冷却して、オレンジ味のマロン芋プリンを試作した。この試作品はオレンジフレーバーの良好な香味を有した上、マロン味が良好な試作品であった。
Figure 0004260686
本発明は、ゲル化剤を用いるプリンのフレーバーリリースの向上に有効に利用することができる。

Claims (5)

  1. 少なくともでん粉含有原料、油性香料以外の油脂、油性香料、ゲル化剤を含む原料からプリンを製造する方法であって、前記油性香料は油脂であり、
    でん粉含有原料、油性香料及び水を含有する成分(A)と、でん粉含有原料、油性香料以外の原料及び水からなる成分(B)を調製し、成分(A)は加熱しかつ均質化を行わず、成分(B)は加熱及び均質化を行った後、両成分を混合してゲル化させることを特徴とするプリンの製造方法。
  2. 前記油性香料が、バターフレーバー(Oil型)、クリームフレーバー(Oil型)、エッグフレーバー(Oil型)、オレンジオイル及びレモンオイルからなる群から選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1に記載のプリンの製造方法。
  3. 成分(A)の粘度が、200〜1000mPa・s(60℃)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンの製造方法。
  4. でん粉含有原料に対する油性香料の含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリンの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により製造されるプリン。
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