JP6761253B2 - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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本発明は、食品に使用される水中油型乳化組成物に関するものであり、さらに詳しくは、酸性下や、殺菌に必要な高温での加熱処理に対する安定性が要求される食品に使用される水中油型乳化組成物に関する。
水と油脂とタンパクを含む水中油型乳化組成物は、牛乳や生クリームの代替としてケーキ生地、ゼリー、ムース、スープ類やソース類等にそのまま添加して使用され、あるいは起泡させてホイップクリームとして、製菓、製パン材料に使用されている。
近年では、このような水中油型乳化組成物に果汁やフルーツ、あるいは酸味料等の酸味成分を加えて加工したゼリー、ムース、ソース類、スープ類等が多く流通するようになり、これらは常温でかつ、6〜12カ月といった長期間の消費期限が要求されている。
そのため、高温での殺菌が必要とされることから、耐熱性に優れ、特に高温においても耐酸性に優れた水中油型乳化組成物が求められている。
しかしながら、従来の水中油型乳化組成物は酸性下や高温下、特に高温酸性下では、乳化物中のタンパクの凝集による乳化破壊が起こる問題があり、これを改善するために、乳清タンパクを使用する技術や、乳清タンパクと特定の乳化剤や増粘多糖類を併用する技術が提案されている(特許文献1、2)。
特開2008−154469号公報 特開平2−48034号公報
しかしながら、耐熱性および耐酸性を向上させる技術にはさらに改良の余地があった。特に、近年この種の水中油型乳化組成物として、フルーツと混合する場合はフルーツの色が映えるよう、また視覚的な味覚向上のために、色の白いものが好まれている。さらにこうした食品は、口溶けが良いこと、乳化剤に起因する異味がないことが望まれている。ところが、耐酸耐熱性と、白色度や口溶けおよび異味の低減を両立する技術は確立されていなかった。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定であり、さらに殺菌に必要な高温での加熱処理による分離や凝集も抑制することができ、これを添加した冷菓等の食品は白色度が良好で、かつ異味がなく口溶けも良い水中油型乳化組成物を提供することを課題としている。
本発明者らはこの課題を解決するために鋭意検討した結果、乳化剤として水溶性の特定のポリグリセリン脂肪酸エステルを使用し、かつ油脂としてラウリン系油脂を含む特定の油脂を使用するとともに、油脂、乳化剤、および油滴のメディアン径の関係に着目し、これらが特定の関係を満足することによって、耐酸耐熱性が良く、これを添加した冷菓、ソース類、スープ類等の食品は白色度が良好で、かつ異味がなく口溶けも良いものが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の水中油型乳化組成物は、水相に、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量Yが0.3〜3.0質量%、油脂の含有量Xが30〜50質量%、油滴のメディアン径Rが0.4〜1.0μmであり、油脂の含有量Xと、油滴のメディアン径Rと、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量Yが次式(I):
Figure 0006761253
で表わされる関係を満足し、前記油脂は、ラウリン系油脂を含有し、かつ融点40℃以上の極度硬化油の含有量が油脂全量に対して1質量%以下であることを特徴としている。
本発明によれば、酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定であり、さらに殺菌に必要な高温での加熱処理による分離や凝集も抑制することができ、これを添加した冷菓等の食品は白色度が良好で、かつ異味がなく口溶けも良い。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の水中油型乳化組成物は、油脂としてラウリン系油脂を含有する。ラウリン系油脂を使用することで、口溶けが良好で、清涼感のある食品を得ることができる。
ラウリン系油脂は、構成脂肪酸にラウリン酸、すなわち炭素数12の飽和脂肪酸を多く含有する油脂である。ラウリン系油脂の構成脂肪酸中におけるラウリン酸の含有量は、通常35質量%以上、好ましくは40質量%以上である。
ラウリン系油脂としては、例えば、パーム核油、ヤシ油、これらの硬化油、分別油などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の水中油型乳化組成物におけるラウリン系油脂の含有量は、油脂全量に対して30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
近年では、トランス脂肪酸の循環器系へ及ぼす悪影響を懸念し、消費者の健康志向を踏まえてトランス脂肪酸の含有量を低減することが望まれているが、ラウリン系油脂として硬化処理されていないもの、極度硬化処理をされたものを使用すると、トランス脂肪酸の含有量を低減できる。
本発明の水中油型乳化組成物は、油脂としてラウリン系油脂以外の油脂を配合することができる。このような油脂としては、食用に適するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、コーン油などの植物性油脂、豚脂(ラード)、牛脂、魚油などの動物性油脂、乳脂、これらの分別油、硬化油、エステル交換油脂などが挙げられる。中でも、風味が良好となり、乳化剤に起因する異味を抑制できる点からは、乳脂を含有することが好ましい。
これらの油脂は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。またエステル交換油脂は、上記のような油脂の1種あるいは2種以上を選択した配合物をエステル交換反応したものであってもよい。
本発明の水中油型乳化組成物は、油脂における全構成脂肪酸中のオレイン酸含有量が10〜40質量%であることが好ましい。この範囲内であると、耐酸耐熱性が向上し、酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定であり、さらに殺菌に必要な高温での加熱処理による分離や凝集も抑制することができる。さらに白色度が良好で、口溶けも良いものが得られる。例えば、ラウリン系油脂として硬化処理されていないものを主とする油脂組成によって、オレイン酸含有量をこの範囲内に調整することができる。なお、油脂における全構成脂肪酸中のオレイン酸含有量は、ガスクロマトグラフ法(基準油脂分析試験法(公益社団法人日本油化学会)の「2.4.2.2−2013 脂肪酸組成(FID昇温ガスクロマトグラフ法)」)により測定することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、油脂として乳脂を含有すると、風味が良好となり、乳化剤に起因する異味も抑制できる。これらの点を考慮すると、乳脂の含有量は、油脂全量に対して25〜60質量%が好ましい。この範囲内であると風味が向上するとともに、耐酸耐熱性と白色度も良好である。乳脂の由来としては、特に限定されないが、例えば、バター、バターオイル、生クリームや、加工油脂原料として使用されている、商業的に入手可能な、植物性油脂と乳脂を含む調製食用脂など、あるいは乳脂の由来となるこれらの原料に、分別、脱色、脱臭のうちのいずれか1種または2種以上の処理を施したものを用いることができる。乳脂の由来としては、乳化安定性の面から、水分を含まないものが好ましい。
本発明の水中油型乳化組成物は、融点40℃以上の極度硬化油の含有量が油脂全量に対して1質量%以下である。融点40℃以上の極度硬化油の使用量を少なくすることで、ラウリン系油脂を必須とする本発明の油脂組成において特徴的な、口に入れた後に速やかに溶け、清涼感のある口溶けが得られるとともに、乳化剤に起因する異味も抑制できる。なお、融点は、基準油脂分析法(公益社団法人日本油化学会)の「3.2.2.2−2013 融点(上昇融点)」で測定することができる。
本発明の水中油型乳化組成物における油脂の含有量Xは、30〜50質量%である。この範囲内であると、耐酸耐熱性が向上し、酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定であり、さらに殺菌に必要な高温での加熱処理による分離や凝集も抑制することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、水相に、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。
このポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが好ましくは11〜15、構成脂肪酸の炭素数が好ましくは18〜22である。
なお、ここでポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、下記Griffin式(Atlas社法)で計算した値である。
HLB=20×(1−S/A)
上記式中、Sはエステルのケン化価、Aは脂肪酸の酸価である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと脂肪酸がエステル化したものであり、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、ベヘン酸、エルカ酸等が挙げられる。中でも、飽和脂肪酸が好ましく、ステアリン酸、ベヘン酸がより好ましい。
本発明においては、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、水を含むものであっても、水を含まないものであってもよく、市販のものを用いることができる。例えば、阪本薬品工業(株)製のSYグリスターMSW−7S、三菱化学フーズ(株)製のDシリーズSWA−10D、SWA−15D、SWA20D、太陽化学(株)製のサンソフトQ−18S、サンソフトQ−182Sなどが挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量Yは、水中油型乳化組成物の全量に対して0.3〜3.0質量%である。この範囲内であると、耐酸耐熱性が良く、白色度が良好で、口溶けも良いものが得られる。なお、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量Yは、固形分としての値である。
本発明の水中油型乳化組成物は、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量Yが0.3〜3.0質量%、油脂の含有量Xが30〜50質量%、油滴のメディアン径Rが0.4〜1.0μmであり、油脂の含有量Xと、油滴のメディアン径Rと、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量Yが前記式(I)で表わされる関係を満足する。この関係を満足することによって、耐酸耐熱性が向上し、酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定であり、さらに殺菌に必要な高温での加熱処理による分離や凝集も抑制することができる。また、これを添加した冷菓等の食品は白色度が良好で、かつ異味がなく口溶けも良い。
前記式(I)は、水中油型乳化組成物における油滴の全表面積に対し、安定し、かつ食品の白色度と口溶けの良好な水中油型乳化組成物を製造できる適当な乳化剤使用量の範囲を示している。油球表面積に対して適切な乳化剤量ではない場合、すなわち不等式の範囲外の乳化剤量を使用した場合、良好な乳化状態を保つことができなくなるか、あるいは食品の白色度や口溶けの低下を抑制することはできなくなる。
なお、油滴のメディアン径Rは、油滴の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、粒度分布からメディアン径(積算で50体積%における直径)を算出することで得ることができる。
油滴のメディアン径Rが0.4μm以上であると、前記式(I)で表わされる関係を満足することで、白色度が良く異味の少ない食品を得ることができる。油滴のメディアン径Rが1.0μm以下であると、前記式(I)で表わされる関係を満足することで、水中油型乳化組成物の乳化安定性が良好である。
本発明の水中油型乳化組成物には、必要に応じて、水中油型乳化組成物に通常使用される各種の食品素材や食品添加物などを添加することができる。具体的には、乳、乳製品、乳化剤、pH調整剤、糖質、フレーバー、酸化防止剤などが挙げられる。
乳製品としては、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、ホエイパウダー、脱脂粉乳、クリームパウダー、乳タンパク、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳などが挙げられる。風味の面から、乳糖を含む乳製品を使用することが好ましく、固形分として乳糖を50質量%以上含む乳製品がより好ましく、70質量%以上含む乳製品がより好ましい。このような乳製品としては、ホエイパウダーや脱脂粉乳が挙げられ、市販品としては、よつ葉乳業株式会社製のホエイパウダー(乳糖含量 78質量%)、脱脂粉乳(乳糖含量 51質量%)等が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲内において使用することができる。
pH調整剤としては、リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等の無機塩類、クエン酸塩、酒石酸塩等の有機酸塩類などが挙げられる。
糖質としては、砂糖、異性化糖、液糖、澱粉糖化物、糖アルコール、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、アルギン酸塩、ファーセルラン、ローカストビーンガム、ペクチン、カードラン、ジェランガム、結晶セルロース、ゼラチン、寒天、澱粉、加工澱粉等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
本発明の水中油型乳化組成物は、従来と同様の方法で製造することができる。例えば、油脂を含む油相と、水相を予備乳化した後、均質化、加熱殺菌、冷却、エージング等の工程を経て製造される。
予備乳化では、高圧ホモジナイザー等の均質機で均質化処理を行う前に、ホモミキサー等を用いて油相と水相を混合し、油滴を水相中にある程度分散させる。油相には油脂の他に、親油性の乳化剤等を添加してもよく、親水性の乳化剤、乳製品、pH調整剤、糖質等は水相に添加することができる。
予備乳化は、油相については油脂が完全に溶解する温度に加温し、水相については混合後の油相が温度低下を起こさない温度に加温し、油相と水相を混合し、好ましくは55〜80℃、より好ましくは60〜75℃で行うことができる。予備乳化を行った後の乳化物は、減圧して脱泡を行ってもよい。
均質化は、高圧ホモジナイザー等の均質機を用いて、従来より水中油型乳化組成物の製造に用いられている圧力等の条件で行うことができ、圧力は例えば0〜100MPaの範囲で適宜に設定して行うことができる。この均質化の工程において油滴のメディアン径を調整することができる。また均質化の前後の工程として、加熱殺菌処理を行ってもよく、また均質化処理を行った後に加熱殺菌処理を行い、更にその後に均質化処理を行ってもよい。
均質化処理時の乳化物の液温は、均質化処理の効率等の観点から、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜70℃である。
加熱殺菌処理は、水中油型乳化組成物の各成分を混合して調合し、乳化を行った後に、均質化処理の前後等で行うことができる。加熱殺菌処理としては、微生物等を原因とする食品の物性変化を抑制できる処理であれば特に限定されるものではなく、一般に水中油型乳化組成物の製造工程に用いられる方法等を用いることができ、例えば高温短時間殺菌法(HTST)、超高温殺菌法(UHT)等が挙げられる。中でも殺菌効率や風味等を考慮すると超高温殺菌法(UHT)が好ましい。殺菌温度と処理時間は、例えば高温短時間殺菌法(HTST)の場合は82〜85℃で10秒間前後が好ましく、超高温殺菌法(UHT)の場合は、120〜150℃で2〜15秒間が好ましい。
加熱殺菌処理方式は、乳化物に蒸気を直接吹き込むインジェクション方式、蒸気雰囲気中に乳化物を入れ込むインフュージョン方式等によって、乳化物に直接蒸気を作用させて瞬間的に温度を上げて殺菌した後に減圧工程で蒸発冷却する方法や、プレートやチューブラ等の熱媒体と間接的に乳化物を接触させることで温度を上げて殺菌した後に、同様の方法で冷媒体と間接的に食品を接触させることで冷却する方法等で行うことができる。
前記の均質化処理を行った後の乳化物は冷却される。冷却は、油脂の結晶性の制御等も考慮し、例えば、プレート式、チューブ式、掻き取り式等の熱交換器を用いて、短時間で1〜7℃の温度範囲まで冷却することが好ましい。
冷却後、タンクに移送し、例えば冷却温度にて1〜2日程度エージングを行ってもよい。その後、水中油型乳化組成物は、適宜所定の容器に充填される。
本発明の水中油型乳化組成物は、酸性条件や殺菌に必要な加熱処理による分離や凝集が抑制されることから、pHの比較的低い食品や飲料、レトルト殺菌を行う食品や飲料として好適に用いることができる。
レトルト殺菌は、例えば、アルミパウチ、テーブルカップ、透明パウチ、缶、チアパック等の密封容器に、本発明の水中油型乳化組成物を用いた食品や飲料を封入し、80〜135℃で5〜60分間での処理が行われる。
本発明の水中油型乳化組成物は、冷菓、ホワイトソース、デミグラスソース、ドレッシングなどのソース類、クリームシチューなどのシチュー類、カスタードクリーム、フラワーペーストなどのフィリング類、スープ類等の原料として使用することができる。
冷菓としては、ゼリー、ムース、ババロア等が挙げられる。ゼリーは、果汁やワイン等に砂糖等の甘味を加え、ゲル化剤によって固めたもので、これにフレーバー、果肉、乳製品、鶏卵、酸味料などを加えたもの等が挙げられる。ムースは、鶏卵やクリームで作られる軽くふんわりした食感のデザートであり、主にフルーツのピューレやチョコレート等と組み合わされる。果汁やフルーツ、あるいは酸味料等の酸味成分を加えて加工したゼリー、ムース等は、常温でかつ長期間の消費期限が要求される場合もあり、このような場合には高温での殺菌が必要とされるが、本発明の水中油型乳化組成物は酸性下でも分離や凝集が抑制され、広範囲のpHにて加熱を受けても乳化状態が安定である。
スープ類としては、コンソメ、ポタージュ、とんこつスープ等のラーメンスープ、トムヤムクン、酸辣湯等の中華スープ、カレースープ等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化組成物は、酸性条件下において、起泡させることができる。さらに、起泡させて得られたホイップドクリームは、物性面において安定であることから、必要に応じて冷蔵保存した後、二次加工に供される。ここで二次加工には、起泡後にナッペマシーンや、デポジッター等を通過させる機械を用いた成形手法や、スパテラを用いたナッペやしぼり袋を用いた注入等、手作業による成形手法が含まれる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)水中油型乳化組成物の調製
表1〜表5に示す配合で、水中油型乳化組成物を調製した。所定の油脂含量(X)になるよう量った油脂に乳化剤を添加し油相とした。一方、水に乳化剤、乳タンパク、ホエイパウダー、増粘多糖類を添加し水相とした。水相と油相を60℃に加温し、水相に油相を添加し攪拌して乳化した後、直接加熱殺菌機で、高温(約140℃)で殺菌し、高圧ホモジナイザーで最終的な水中油型乳化組成物の油滴のメディアン径が目標値となるように均質化した。さらにプレート式冷却器で3℃に急冷し、5℃で保管した。
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
※1:太陽化学(株)製 サンラクトN12(乳清タンパク、乳糖含量 7.4質量%)
※2:よつ葉乳業(株)製 ホエイパウダー(乳糖含量 78質量%)
※3:阪本薬品工業(株)製 MSW−7S デカグリセリンモノステアリン酸エステル HLB 13.4 固形分40%
※4:阪本薬品工業(株)製 TS−7S デカグリセリントリステアリン酸エステル HLB 10.0 固形分100%
※5:阪本薬品工業(株)製 MS−5S ヘキサグリセリンモノステアリン酸エステル HLB 11.6 固形分100%
(2)ゼリーの作製
水中油型乳化組成物15質量%に、液糖20質量%、グラニュー糖5質量%、ゲル化剤1.5質量%、クエン酸0.3質量%、クエン酸三ナトリウム0.1質量%、水58.1質量%を配合し、85℃で30分殺菌を行った後、冷却して酸性のゼリーを作製した。
(3)評価
実施例および比較例の各試料について次の評価を行った。
なお、水中油型乳化組成物の油滴のメディアン径(R)は、レーザー回折式粒子径分布測定装置(SALD−2300)を用いて測定した。
[粘度]
製造後、翌々日、水中油型乳化組成物をB型粘度計(東京計器製)を用いて5℃、No.1ローター、20rpm、30秒の条件で粘度を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:70mPa・s超100mPa・s以下
〇:50mPa・s超70mPa・s以下、または100mPa・s超
150mPa・s以下
△:20mPa・s以上50mPa・s以下、または150mPa・s超
200mPa・s以下
×:200mPa・s超
[乳化安定性]
製造後、一晩静置し、粒度分布測定装置にて油滴の粒度分布を測定し、標準偏差や分布データにより、以下の基準で評価した。目視にてハッキリと分離が確認されたものについては、測定を行わず、×と評価した。
評価基準
◎:標準偏差が0.15未満で、凝集が無く、乳化安定性が良好
〇:標準偏差が0.15以上0.2未満で、わずかに凝集があるが、乳化安定性が良好
△:標準偏差が0.2超で、凝集があり、乳化安定性が不良
×:目視にてハッキリと分離が確認され、乳化安定性が不良
[耐酸耐熱性試験]
1Lのトールビーカーに精製水900gを加え85℃に加熱した。その後水中油型乳化組成物を100g添加し、クエン酸とクエン酸三ナトリウムでpH3に調整し、85℃で30分加熱後、5℃で18時間保管した後、底からの分離距離(mm)を測定し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:15mm以下
〇:15mm超20mm以下
△:20mm超30mm以下
×:30mm超
[ゼリーの口溶け]
作製したゼリーの口溶けについて、パネル10名により試食し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が良好であると評価した。
○:パネル10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:パネル10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:パネル10名中2名以下が良好であると評価した。
[ゼリーの白色度]
作製したゼリーの白色度を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:白濁感が強い
○:白濁感がある
△:白濁感がやや弱い
×:白濁感が弱い
[ゼリーの異味]
作製したゼリーの異味について、パネル10名により試食し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が異味を感じないと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が異味を感じないと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が異味を感じないと評価した。
×:パネル10名中2名以下が異味を感じないと評価した。
[ゼリーの風味]
作製したゼリーの風味について、パネル10名により試食し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が良好であると評価した。
○:パネル10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:パネル10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:パネル10名中2名以下が良好であると評価した。
上記の評価結果を表6〜表10に示す。
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
Figure 0006761253
(4)水中油型乳化組成物を用いたホイップドクリームの作製と評価
(4−1)ホイップドクリームの作製
表11の配合割合に従い、卓上ミキサー(Kitchen Aid社製)による起泡性試験を行った。水中油型乳化組成物400gを5クォートミキサーボールへ入れ、グラニュー糖を48g添加し、製品温度5℃、クエン酸にてpHを3.0に調整し、スピード4にて比重が0.3になるまで起泡した。
(4−2)起泡性試験
起泡後のホイップドクリームは、プラスチックカップに花形状に絞り、直後の造花性、15℃で18時間後の保形性、離水性を評価した。
[造花性]
評価基準
◎:きれいなツノができる。
○:ほぼきれいなツノができる。またはツノが少し垂れる。
△:きれいなツノができない。またはツノが垂れる。
×:ツノができない。
[保形性]
評価基準
◎:造花直後と比較して形状の変化なし。
○:やや形状の変化がある。または若干「しわ」のようなものが見える。
△:かなり形が崩れている。または「しわ」のようなものが見える。
×:完全に形が崩れている。または「ひび」が入っている。
[離水性]
評価基準
◎:造花直後と比較して離水が認められない。
○:やや離水が認められる。
△:かなりの離水が認められる。
×:離水が激しい。
(4−3)二次加工試験
起泡直後のホイップドクリームをデポジッターに通過させ、プラスチックカップに花形状に絞り、直後の造花性、15℃で18時間後の保形性、離水性を評価した。
[造花性]
評価基準
◎:きれいなツノができる。
○:ほぼきれいなツノができる。またはツノが少し垂れる。
△:きれいなツノができない。またはツノが垂れる。
×:ツノができない。
[保形性]
評価基準
◎:造花直後と比較して形状の変化なし。
○:やや形状の変化がある。または若干「しわ」のようなものが見える。
△:かなり形が崩れている。または「しわ」のようなものが見える。
×:完全に形が崩れている。または「ひび」が入っている。
[離水性]
評価基準
◎:造花直後と比較して離水が認められない。
○:やや離水が認められる。
△:かなりの離水が認められる。
×:離水が激しい。
上記の評価結果を表11に示す。
Figure 0006761253
(4−4)チーズクリームの作製
上記において得られた水中油型乳化組成物を用い、表12の配合割合により起泡を有するチーズクリームを作製した。柔らかくしたクリームチーズ、水中油型乳化組成物、グラニュー糖、加糖練乳、濃縮レモン汁、卵黄加工品を90クォートミキサーボールへ入れ、ミキサー(関東混合機工業株式会社製)にて比重が0.46になるまで起泡した。
(4−5)起泡性試験
起泡後のクリームは、プラスチックカップに花形状に絞り、直後の造花性、15℃で18時間後の保形性、離水性、異味を評価した。
[造花性]
評価基準
◎:きれいなツノができる。
○:ほぼきれいなツノができる。またはツノが少し垂れる。
△:きれいなツノができない。またはツノが垂れる。
×:ツノができない。
[保形性]
評価基準
◎:造花直後と比較して形状の変化なし。
○:やや形状の変化がある。または若干「しわ」のようなものが見える。
△:かなり形が崩れている。または「しわ」のようなものが見える。
×:完全に形が崩れている。または「ひび」が入っている。
[離水性]
評価基準
◎:造花直後と比較して離水が認められない。
○:やや離水が認められる。
△:かなりの離水が認められる。
×:離水が激しい。
[異味]
作製したチーズクリームの異味について、パネル10名により試食し、以下の基準で評価した。
評価基準
◎:パネル10名中8名以上が異味を感じないと評価した。
○:パネル10名中7〜5名が異味を感じないと評価した。
△:パネル10名中4〜3名が異味を感じないと評価した。
×:パネル10名中2名以下が異味を感じないと評価した。
(4−6)二次加工試験
起泡直後のチーズクリームをデポジッターに通過させ、プラスチックカップに花形状に絞り、直後の造花性、15℃で18時間後の保形性、離水性を評価した。
[造花性]
評価基準
◎:きれいなツノができる。
○:ほぼきれいなツノができる。またはツノが少し垂れる。
△:きれいなツノができない。またはツノが垂れる。
×:ツノができない。
[保形性]
評価基準
◎:造花直後と比較して形状の変化なし。
○:やや形状の変化がある。または若干「しわ」のようなものが見える。
△:かなり形が崩れている。または「しわ」のようなものが見える。
×:完全に形が崩れている。または「ひび」が入っている。
[離水性]
評価基準
◎:造花直後と比較して離水が認められない。
○:やや離水が認められる。
△:かなりの離水が認められる。
×:離水が激しい。
上記の評価結果を表12に示す。
Figure 0006761253

Claims (3)

  1. 水相に、HLBが11以上、重合度が10以上、構成脂肪酸の炭素数が18以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し、
    前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量Yが0.3〜3.0質量%、
    油脂の含有量Xが30〜50質量%、
    油滴のメディアン径Rが0.4〜1.0μmであり、
    油脂の含有量Xと、油滴のメディアン径Rと、前記ポリグリセリン脂肪酸エステルの合計量Yが次式(I):
    Figure 0006761253
    で表わされる関係を満足し、
    前記油脂は、ラウリン系油脂を含有し、かつ融点40℃以上の極度硬化油の含有量が油脂全量に対して1質量%以下である、水中油型乳化組成物。
  2. 前記油脂における全構成脂肪酸中のオレイン酸含有量が10〜40質量%である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
  3. 前記油脂は、乳脂を25〜60質量%含有する、請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
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