JP2018138980A - トナー - Google Patents

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【課題】 トナーの保存安定性に優れ、トナーの揮発成分による定着器汚染を抑制することができるトナーを提供する。【解決手段】 結着樹脂、エステルワックス、及びリン酸エステル金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、リン酸エステル金属塩が、式(2)及び(3)を満たし、エステルワックスが式(1)を満たすエステル化合物を含有し、エステル化合物の含有量が、前記エステルワックスに対して85質量%以上であることを特徴とするトナー。式(1) |Rp−Rw|≦7.50式(2) |Rp−Rb|≧2.00式(3) 5.00≦Rp≦10.00【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、およびトナージェット法のような画像形成方法に用いられるトナーに関する。
近年、プリンターや複写機等で用いられる電子写真技術では、急速に高速化が進んでいる。また、電子写真技術の新興国市場も急速に拡大しているため、多様な使用環境(温度、湿度)においても、安定した画像を形成できることが求められている。
印刷速度が速くなるほど、トナーを瞬時に溶融させるため、定着器温度を高く設定する必要がある。そのため、トナーへ過剰な熱がかかりやすく、揮発成分が発生しやすくなる。このトナーからの揮発成分が画像形成装置内で冷却されると、定着器等の装置内の部材汚染を引き起こす場合がある。定着器等が著しく汚染されると、印刷時の画質低下を招いたり、通紙がスムーズに行われずに紙詰まりの原因となる場合がある。そのため、揮発成分による部材汚染を低減させることが重要である。
部材汚染の低減に関して、特許文献1には、定着器汚染の抑制を目的に、多官能エステルを含む2種類の離型剤を併用したトナーが記載されている。
また、トナーに多官能エステルを用いた場合の保存安定性の向上を目的に、核剤を用いたトナーも提案されている。特許文献2では、1価と2価のエステルワックスを併用し、核剤を含有するトナーが記載されている。
特許第5800450号公報 特許第5794120号公報
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1で用いている多官能エステルは、その結晶化度が低く、そのため、トナー粒子中でのワックスの結晶化が不十分となり、トナーの保存安定性が十分でない場合があることがわかった。特許文献2に記載のトナーは、保存安定性は向上しているが、まだ改良の余地があるものであった。また、定着時のトナーの揮発成分による定着器汚染が起こりやすく、改善の余地があるものであった。
本発明は、上述した課題を解決したトナーを提供するものである。即ち、本発明は、保存安定性に優れ、トナーの揮発成分による定着器汚染を抑制することができるトナーを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記のことを見出した。
本発明は、結着樹脂、エステルワックス、及びリン酸エステル金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記リン酸エステル金属塩が、下記式(2)及び(3)を満たし、
前記エステルワックスが下記式(1)を満たすエステル化合物を含有し、
前記エステル化合物の含有量が、前記エステルワックスに対して85質量%以上であることを特徴とするトナーに関する。
式(1) |Rp−Rw|≦7.50
式(2) |Rp−Rb|≧2.00
式(3) 5.00≦Rp≦10.00
(式(1)〜(3)中、
Rbは、前記結着樹脂のC/O原子比を表す。
Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。
Rpは、前記リン酸エステル金属塩のC/O原子比を表す。)
本発明によれば、トナーの保存安定性に優れ、トナーの揮発成分による定着器汚染を抑制することができるトナーを提供できる。
帯電立上り性の評価に用いるトナーの帯電量を測定する装置の模式図
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
本発明のトナーは、結着樹脂、エステルワックス、及びリン酸エステル金属塩を含有するトナー粒子を有する。そして、式(2)及び(3)を満たす特定のリン酸エステル金属塩を含有し、エステルワックスが式(1)を満たす特定のエステル化合物を含有し、エステル化合物の含有量がエステルワックスに対して85質量%以上であることを特徴とする。
式(1) |Rp−Rw|≦7.50
式(2) |Rp−Rb|≧2.00
式(3) 5.00≦Rp≦10.00
(式(1)〜(3)中、Rbは、前記結着樹脂のC/O原子比を表す。Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。Rpは、前記リン酸エステル金属塩のC/O原子比を表す。)
このような特徴を有することにより、定着器の汚染抑制およびトナーの保存安定性向上の効果が奏することを見出した。このメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えられる。
式(1)〜(3)におけるC/O原子比(以下、「C/O比」とも言う)は、各成分に含まれる炭素原子数と酸素原子数の比率のことである。つまり、Rbは結着樹脂に含まれる炭素原子の数を、同じく結着樹脂に含まれる酸素原子の数で割った値である。同様に、Rwはエステル化合物の、Rpはリン酸エステル金属塩の炭素原子数と酸素原子数の比率を表す。そのため、C/O比の値が大きいほど、当該成分における炭素原子量に対する酸素原子量が少ない。また、各成分はそのC/O比、つまりRb、Rw、Rpの値が近いほど、相対的に組成や極性が近くなるため、親和性、相溶性の向上につながると考えている。
まず、リン酸エステル金属塩について説明する。リン酸エステル金属塩は、一般に「核剤」と呼ばれる、結晶形成の起点となる結晶核機能を示す化合物である。核剤は、無機結晶核剤と有機結晶核剤とに分類される。無機結晶核剤としては、シリカ、タルク、カオリン、アルミナ、ミョウバン、酸化チタン等が挙げられる。有機結晶核剤としては、ソルビトール系化合物、アルミニウムベンゾエート化合物、リン酸エステル金属塩、直鎖脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらの核剤は、結着樹脂中に分散し、結晶核として析出していることが最も好ましい存在形態である。核剤の中でも、エステルワックスとの親和性、結着樹脂との親和性、また一般的な扱いやすさの観点から、リン酸エステル金属塩であることが好ましい。
リン酸エステル金属塩は、その分子構造に起因するC/O比(Rp)が、前記式(3)を満たす。式(3)を満たすと、エステルワックスの主成分であるエステル化合物に核剤として作用しやすくなるため、保存安定性が良化する。Rpは、6.00以上10.00以下の範囲であることがより好ましい。この範囲であれば、エステルワックスのRw値により近づくため、リン酸エステル金属塩の核剤としての効果がより得られやすい。
以下にリン酸エステル金属塩の具体的な構造を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2018138980
化合物(1)〜(5)のRpは、5.00以上10.00以下の範囲内に存在する。各々の化合物の値については、以下の実施例で詳述する。より好ましくは、Rpが6.00以上となる化合物(1)〜(4)である。
式(2)は、結着樹脂とリン酸エステル金属塩の親和性を意味しており、両者の親和性は低いほど好ましい。その理由としては、リン酸エステル金属塩が結着樹脂とも高い親和性を示すと、エステルワックスの主成分であるエステル化合物への作用が弱まる場合があるためである。そのため、|Rp−Rb|が2.00以上のとなる親和性差が必要である。|Rp−Rb|は、より好ましくは3.00以上である。3.00以上であれば、結着樹脂とリン酸エステル金属塩との親和性がより低下するため、リン酸エステル金属塩とエステル化合物との作用が相対的に高まり、好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは15.00以下である。
エステルワックスは、エステルワックスに対して、式(1)を満たすエステル化合物を85質量%以上含んでいれば、単一成分であっても混合物であっても良い。上記エステル化合物の含有量は、90質量%以上であればより好ましく、95質量%以上であればさらに好ましい。これはは、式(1)を満たすエステル化合物の含有量が多いほど、リン酸エステル金属塩と作用できるエステルワックスの量が増えるためである。その結果、トナー粒子中でエステルワックスを安定して存在させることができ、トナーの保存安定性の良化につながる。
式(1)は、リン酸エステル金属塩とエステル化合物の親和性を表している。リン酸エステル金属塩は、エステル化合物の結晶核となるため、両者の親和性が高いほど、エステル化合物に作用しやすくその結晶化を促進することができる。式(1)を満たすエステル化合物の具体的な構造は、2価以上のエステル化合物である。2価以上のエステル化合物とは、2価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、又は2価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステルである。
式(1)の|Rp−Rw|の値が7.50以下であれば、リン酸エステル金属塩とエステルワックスの主成分であるエステル化合物が十分に作用でき結晶化促進の効果が得られる。式(1)の|Rp−Rw|の値は、好ましくは6.00以下、さらに好ましくは4.50以下である。式(1)の|Rp−Rw|の値が小さい方がリン酸エステル金属塩とエステル化合物との親和性が高くなる。これにより、リン酸エステル金属塩がエステルワックスの主成分であるエステル化合物に作用しやすくなり、保存安定性が向上する。下限は特に制限されないが、好ましくは0.50以上であり、より好ましくは0以上である。
よって、式(1)および式(2)を満たす場合に、結着樹脂、エステル化合物、及びリン酸エステル金属塩の三者間での親和性バランスが良くなり、トナーの保存安定性を向上させることができる。
また、本発明では、2価以上のエステル化合物をエステルワックスの85質量%以上含有することにより、定着器汚染を抑制する効果が見られる。2価以上のエステル化合物は、1価のエステル化合物よりも分子量、粘度が高くなりやすい。そのため、加熱定着時に気化しにくく、揮発成分が発生しにくいため、定着器汚染が抑制されるものと考えられる。
以上のことから、本発明のトナーは、定着器汚染の低減と保存安定性の向上を両立させることができる。また、下記式(7)〜(9)を満足する核剤を用いても、同様に定着器汚染の低減と保存安定性の向上を両立させることができる。
式(7) |Rp−Rw|≦7.50
式(8) |Rp−Rb|≧2.00
式(9) 5.00≦Rp≦10.00
(式(7)〜(9)中、Rbは、前記結着樹脂のC/O原子比を表す。Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。Rpは、前記核剤のC/O原子比を表す。)
結着樹脂、エステルワックス、及びリン酸エステル金属塩は、下記式(4)、(5)を満たすと、より結晶化促進の効果が見られるため好ましい。
式(4) Tc2−Tc1≧1.0℃
式(5) Tc1≧30℃
(式(4)、(5)中、
Tc1は、結着樹脂100質量部とエステルワックス9質量部とを混合した混合物を示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、最も高温側にある発熱ピーク温度を示す。
Tc2は、結着樹脂100質量部、エステルワックス9質量部、及びリン酸エステル金属塩0.9質量部を混合した混合物を示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、最も高温側にある発熱ピーク温度を示す。)
式(4)のTc1及びTc2は、それぞれの混合物の結晶化温度を示す。式(4)で表される結晶化温度の変化が1.0以上であれば、エステルワックスの結晶化が促進されて、保存安定性が良化する。そのため、式(4)の値は大きいほど好ましい。上限は特に制限されないが、好ましくは、15.0以下であり、より好ましくは10.0以下である。
また、式(5)で表されるようにTc1が30℃以上であると、トナーの保存安定性が良化する。より過酷な条件でのトナーの保存安定性を担保するためにも、Tc1は55℃以上100℃以下であることが好ましい。より好ましくは、55℃以上80℃以下である。
エステルワックスの主成分として用いる2価以上のエステル化合物は、従来公知のものを用いることができる。具体的には以下に例示される2価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、又は2価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステルが挙げられる。
2価以上のアルコールとしては、α,ω−脂肪族ジオール(例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,22−ドコサンジオールなど)、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどが挙げられる。
脂肪族モノカルボン酸としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イコサン酸、ベヘン酸などが挙げられる。これらの中でも炭素数が16以上の脂肪族モノカルボン酸であると結晶性が上がるため、好ましい。
2価以上のカルボン酸としては、α,ω−脂肪族ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸など)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マレイン酸、フマル酸など)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸など)、プロパントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
脂肪族モノアルコールとしては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。これらの中でも、炭素数が16以上の脂肪族モノアルコールであると結晶性が高くなるため好ましい。
また1価のエステル化合物を併用する場合には、上述の脂肪族モノカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステルを使用することができる。
エステル化合物は、下記式(6)の範囲を満たすことがより好ましい。
式(6) 8.00≦Rw≦12.00
(式(6)中、Rwは、エステル化合物のC/O原子比を表す。)
式(6)を満たすことによって、よりリン酸エステル金属塩との親和性を上げることができるため、保存安定性が向上しやすくなる。また、式(6)を満たすエステル化合物は、分子量、粘度が大きいため揮発成分が少なく、定着器汚染がより抑制される。
エステルワックスの融点は55℃以上であることが好ましい。より好ましくは、100℃以下であり、更に好ましくは70℃以上100℃以下である。融点が55℃以上であれば、高温保存時にエステルワックスが溶融しにくいため保存安定性が向上する。また100℃以下であれば、低温定着性が良好になるため好ましい。
エステルワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、5.00質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。5.00質量部以上含有されていれば、トナーとして十分な定着性が得られる。30.0質量部以下であれば、エステルワックスを内包化できるためトナーの部材融着を起こしにくく、また保存安定性が良好になる。
前記リン酸エステル金属塩の含有量は、エステルワックス100質量部に対して、3質量部以上20質量部以下であることが好ましい。リン酸エステル金属塩の含有量がこの範囲であれば、リン酸エステル金属塩が核剤としての効果を十分に発揮してエステルワックスの結晶性が向上し、保存安定性が良化する。またトナーの帯電立上がり性が良化する。
トナー粒子に含有される結着樹脂は、式(2)を満たすものであれば、特に限定はされない。具体的には、スチレンアクリル樹脂、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など従来公知の樹脂を用いることができる。中でも汎用性、製造容易性の観点から、スチレンアクリル樹脂またはポリエステル樹脂が好ましい。
スチレンアクリル樹脂を生成するためのスチレン単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。アクリル酸系単量体としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸ベンジル等が挙げられる。メタクリル酸系単量体としては、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ベンジル等が挙げられる。上記スチレン単量体、アクリル酸系単量体、及びメタクリル酸系単量体は、それぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
スチレンアクリル樹脂を生成するための単量体として、多官能性重合性単量体を併用しても良い。多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、及びジビニルエーテルなどが挙げられる。これらは単独あるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合により生成される。具体的な多価カルボン酸としては、2価以上のエステルワックスで例示した化合物と同様のものが挙げられる。
多価アルコールとしては、2価以上のエステルワックスで例示した化合物と同様のものが挙げられる。さらに、アルキレンエーテルグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールA・エチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド2.0モル付加物など)などを用いてもよい。
これらの多価カルボン酸、多価アルコールは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
トナー粒子には、着色剤を含有してもよい。着色剤としては、以下の有機顔料、有機染料、および、無機顔料が挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。より具体的には、C.I.Pigment Yellow 3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、155、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199などが挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。より具体的には、C.I.Pigment Red 2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.Pigment Violet19などが挙げられる。
シアン系着色剤としては、フタロシアニン化合物、フタロシアニン化合物の誘導体、アントラキノン化合物,塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。より具体的には、C.I.Pigment Blue 1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが挙げられる。
ブラック系着色剤としては、カーボンブラック、および、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、および、シアン系着色剤を用いて黒色に調色されたものが挙げられる。
これらの着色剤は、1種を単独で又は2種以上を併用して使うこともできる。また、着色剤は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上20質量部以下の範囲で用いることが好ましい。
トナー粒子は、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、従来公知の荷電制御剤を用いることが可能である。負帯電制御剤として、例えば、サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属化合物;スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体;アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体;ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。また、正帯電制御剤として、例えば、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;ニグロシン系化合物;イミダゾール化合物が挙げられる。
スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体または共重合体としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸などのスルホン酸基含有ビニル系モノマーの単重合体あるいはビニル系単量体と上記スルホン酸基含有ビニル系モノマーの共重合体を用いることが可能である。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5.00質量部以下であることが好ましい。
トナーは、トナーの流動性の改善を目的として、外添剤を含有してもよい。外添剤としては、従来公知の外添剤を用いることが可能である。例えば、湿式製法シリカ、乾式製法シリカなどの原体シリカ微粒子、またはそれら原体シリカ微粒子にシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルなどの処理剤により表面処理したシリカ微粒子;酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子などの金属酸化物微粒子、または金属酸化物を疎水化処理した金属酸化物微粒子;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩;サリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などの芳香族カルボン酸の金属錯体;ハイドロタルサイトなどの粘土鉱物の微粒子;フッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子などのフッ素系樹脂微粒子が挙げられる。中でも、流動性および摩擦帯電性に優れるという観点から、原体シリカ微粒子に上記処理剤によって表面処理したシリカ微粒子を用いることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
トナー粒子を製造するための製造方法は、どのような製造方法であっても構わない。例えば、結着樹脂を生成し得る重合性単量体、エステルワックス、リン酸エステル金属塩などを含有する溶液を水系溶媒に懸濁させて、重合性単量体を重合してトナー粒子を得る懸濁重合法;結着樹脂、エステルワックス、リン酸エステル金属塩等の各種トナー構成材料を混練、粉砕、分級してトナー粒子を得る混練粉砕法;結着樹脂を乳化した分散液と、エステルワックス、リン酸エステル金属塩等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、エステルワックス、リン酸エステル金属塩等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂と、エステルワックス、リン酸エステル金属塩等を含有する溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒してトナー粒子を形成する溶解懸濁法;等が使用できる。
これらの中でも、ワックスを溶解または溶融した状態から結晶化させた方がリン酸エステル金属塩の核剤効果を得られやすいため、懸濁重合法または混練粉砕法が好ましい。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることが可能である。例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレ−ト、t−ブチルパーオキシイソブチレ−ト、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系重合開始剤が挙げられる。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに公知の連鎖移動剤、重合禁止剤を用いることが可能である。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に無機または有機の分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては、公知の分散安定剤を用いることが可能である。無機の分散安定剤としては、例えば、ヒドロキシアパタイト、第三リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛などのリン酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;メタケイ酸カルシウム;ベントナイト;シリカ;アルミナが挙げられる。また、有機の分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、ポリアクリル酸及びその塩、デンプンが挙げられる。
分散安定剤として、無機化合物を用いる場合、市販のものをそのまま用いてもよいが、より細かい粒子を得るために、水系媒体中にて上記無機化合物を生成して用いてもよい。例えば、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムなどのリン酸カルシウムの場合、高撹拌下において、リン酸塩水溶液とカルシウム塩水溶液を混合するとよい。
懸濁重合法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、公知の界面活性剤を用いることが可能である。例えば、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両性界面活性剤;ノニオン性界面活性剤が挙げられる。
溶解懸濁法によってトナー粒子を得る場合の有機溶媒としては、水に混和せず、昇温による脱溶剤が容易な溶媒を用いることが好ましい。例えば、酢酸エチル、メチルエチルケトンが挙げられる。
溶解懸濁法によってトナー粒子を得る場合、さらに水系媒体に無機または有機の分散安定剤を含有してもよい。分散安定剤としては上記懸濁重合法の説明で述べた分散安定剤と同様のものを用いることが可能である。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<C/O比の算出法>
各材料におけるC/O比は、計算により算出することができる。
Rw、Rpはその構造中の炭素原子数と酸素原子数を数えることにより求める。なお、エステルワックスが1種単独ではなく併用している場合には、最も含有量の高いエステル化合物のRwを採用する。Rbは、結着樹脂を構成する単量体の構造とその導入モル比から求める。なお、本発明において結着樹脂とはトナー中に占める割合が最も多い樹脂を指す。
<エステルワックスの融点(Tm)>
エステルワックスの融点(Tm)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、測定サンプル1mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。100℃で10分間ホールドし、その後100℃から20℃の間で、降温速度10℃/分の速度で冷却する。20℃で10分間ホールドし、その後20℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で測定を行う。この2回目の昇温で観測される吸熱ピークのピーク温度をワックスの融点とする。
<結着樹脂/エステルワックス/リン酸エステル金属塩混合物の結晶化温度(Tc1またはTc2)>
結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量分析装置「Q1000」を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
結着樹脂100質量部とエステルワックス9質量部とを混合した混合物をTc1用の測定サンプルとする。また、結着樹脂100質量部、エステルワックス9質量部、及びリン酸エステル金属塩0.9質量部を混合した混合物をTc2用の測定サンプルとする。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。具体的には、上述の測定サンプル2mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲20℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で昇温する。100℃で10分間ホールドし、その後100℃から20℃の間で、降温速度10℃/分の速度で冷却する。20℃で10分間ホールドし、その後20℃から100℃の間で、昇温速度10℃/分の速度で測定を行う。この1回目の降温過程における比熱変化曲線(DSC曲線)の最も高温側の発熱ピーク温度を結晶化温度(Tc1またはTc2)とする。
<エステルワックス/樹脂混合物の結晶化度>
前記結晶化温度(Tc)の測定での2回目の昇温過程におけるDSC曲線の吸熱ピークを積分して得られる吸熱量を算出し、この値をA(J/g)とする。さらに、エステルワックス単体も同様の方法により、2回目の昇温過程におけるDSC曲線の吸熱ピークを積分して得られる吸熱量を算出し、この値をB(J/g)とする。算出された吸熱量AおよびBから、下記式により結晶化度を算出する。
Figure 2018138980
上記式において、「ワックス」、「結着樹脂」は、ワックスの含有量、結着樹脂の含有量を意味する。
<合成した樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量>
室温で、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:高速GPC装置「HLC−8220GPC」[東ソー(株)製]
カラム:LF−604の2連[昭和電工(株)製]
溶離液:THF
流速:0.6mL/min
オーブン温度:40℃
試料注入量:0.020mL
サンプルの分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<トナー粒子重量平均粒径(D4)>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いて測定する。測定は下記条件で行う。
実効測定チャンネル数:2万5千チャンネル
コントロールモーター総個数:50000個
アパチャー:100μm
カレント:1600μA
ゲイン;2
Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値で測定する。
測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(D1)を算出する。なお、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、文中の「部」及び「%」は、特に断りのなり限り質量基準である。
<結着樹脂1の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器にキシレン200部を仕込み、70℃に昇温した。スチレン75.0部、アクリル酸n−ブチル25.0部、重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの75%トルエン溶液10.0部を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下した。70℃で加熱撹拌し、所望の分子量に達したところで反応液を冷却して反応を停止させた。反応液をメタノール中で固液分離して精製した後、減圧下40℃で乾燥させ、結着樹脂1(スチレンアクリル樹脂)を得た。得られた結着樹脂1の数平均分子量(Mn)は12000、重量平均分子量(Mw)は32000であった。
<結着樹脂2の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、下記表1に示す組成のカルボン酸成分およびアルコール成分を添加して130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫を加え、温度200℃に昇温し所望の分子量になるまで縮重合した。得られた結着樹脂2(ポリエステル樹脂)の物性を表1に示す。
<結着樹脂3、4の製造>
前記結着樹脂2の製造の原材料混合比を下記表1に示す組成に変更した以外は、結着樹脂2の製造と同様の方法により、結着樹脂3、4を製造した。得られた結着樹脂3、4の物性を表1に示す。
Figure 2018138980
表1中、「TPA」はテレフタル酸、「IPA」はイソフタル酸、「TMA」はトリメリット酸を示す。「BisA(PO)」はビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物、「BisA(EO)」はビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物を示す。またEGはエチレングリコールを示す。カルボン酸成分およびアルコール成分のモノマー組成比は、モル比である。
<極性樹脂1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物100部、テレフタル酸25.0部、セバシン酸28.3部を添加して撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.24部を加え、温度200℃に昇温し所望の分子量になるまで縮重合し極性樹脂1を得た。得られた極性樹脂1のMnは8000、Mwは27000であった。
<極性樹脂2の製造>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えた反応容器にキシレン200部を仕込んだ。スチレン95.0部、メタクリル酸ヒドロキシエチル2.0部、メタクリル酸2.0部、メタクリル酸メチル3.0部を混合した。この混合液に重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの75%トルエン溶液15.0部を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下した。70℃で加熱撹拌し、所望の分子量に達したところで反応液を冷却して反応を停止させた。反応液をメタノール中で固液分離して精製した後、減圧下40℃で乾燥させ、極性樹脂2を得た。得られた極性樹脂2のMnは9000、Mwは16000であった。
<エステル化合物1の製造>
撹拌機、温度計、窒素導入管、脱水管、及び、減圧装置を備えた反応容器に、キシレン300部とジペンタエリスリトール25.5部、ベヘン酸205部を加え、撹拌しながら温度130℃まで加熱した。その後、エステル化触媒としてジ(2−エチルヘキサン酸)錫0.41部を加え、温度200℃に昇温して縮合した。反応後、溶媒を留去してエステル化合物1を得た。
<エステル化合物2〜13の製造>
エステル化合物1の製造と同様の方法により、表2に示す組成に従い、エステル化合物2〜13を製造した。
Figure 2018138980
表2中、エステル化合物14は、ユニスターH−476D(日油株式会社製)を用いた。
<トナーの製造>
<トナー1の製造>
(マスターバッチ分散液1の調製)
・スチレン 216.0部
・銅フタロシアニン顔料 39.0部
(Pigment Blue 15:3,大日精化工業株式会社製)
・サリチル酸系化合物 3.0部
(ボントロンE84,オリヱント化学工業株式会社製)
・化合物(1)(リン酸エステル金属塩) 5.4部
上記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(180部)を用いて250rpm、25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液1を調整した。
(トナー組成物溶解液1の調製)
・マスターバッチ分散液1 195.8部
・スチレン 80.3部
・アクリル酸ブチル 80.3部
・エステル化合物1 40.1部
・極性樹脂1 17.8部
・極性樹脂2 35.7部
上記材料を混合して65℃に加温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、3500rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液1を得た。
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水1000部と0.1M−NaPO水溶液480部を投入し、T.K.ホモミクサーを12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl水溶液71.9部と10%塩酸3.90部とを徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
次に、トナー組成物溶解液1へ重合開始剤1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートの75%トルエン溶液28.9部を溶解し、十分に混合したのち上記水系媒体へ投入した。これを、温度60℃、N雰囲気下において、T.K.ホモミクサーにて12,000rpmで10分間撹拌して重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、5時間重合を行った。その後、昇温速度1℃/分で85℃に昇温し1時間反応させ重合反応を終了した。次いで、減圧下でトナー粒子の残存モノマーを留去し、水系媒体を冷却しトナー粒子の分散液を得た。
トナー粒子の分散液に塩酸を加えpHを1.4にし、1時間撹拌することでリン酸カルシウム塩を溶解させた。これを加圧濾過器にて、固液分離を行い、トナーケーキを得た。このトナーケーキを洗浄、乾燥し、トナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の重量平均粒径(D4)は5.8μmであった。
トナー粒子1 100部にヘキサメチルジシラザンで表面処理された疎水性シリカ微粉体1.5部(数平均一次粒子径:10nm)を添加し、三井ヘンシェルミキサ(三井三池化工機株式会社製)で300秒間混合してトナー1を得た。
<トナー2の製造>
(マスターバッチ分散液2の調製)
・メチルエチルケトン 120部
・銅フタロシアニン顔料 32.5部
(Pigment Blue 15:3,大日精化工業株式会社製)
・サリチル酸系化合物 2.5部
(ボントロンE84)
・化合物(1)(リン酸エステル金属塩) 4.5部
上記材料をアトライタに導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(180部)を用いて250rpm、25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液2を調製した。
(トナー組成物溶解液2の調製)
・マスターバッチ分散液2 108部
・メチルエチルケトン 27.0部
・結着樹脂1 244部
・エステル化合物1 30.1部
・極性樹脂1 13.5部
・極性樹脂2 27.1部
上記材料を混合して75℃に加温し、T.K.ホモミクサーを用いて、5000rpmにて60分間均一に溶解し分散し、トナー組成物溶解液2を得た。
T.K.ホモミクサーを備えた2リットルの四つ口フラスコに、イオン交換水1000部と0.1M−NaPO水溶液480部を投入し、T.K.ホモミクサーを12,000rpmに調整して60℃に加温した。その後、1.0M−CaCl水溶液71.9部と10%塩酸3.90部とを徐々に添加してリン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
次に、トナー組成物溶解液2を上記水系媒体へ投入した。これを、温度60℃、T.K.ホモミクサーにて12,000rpmで30分間撹拌しトナー組成物溶解液を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度85℃に昇温し、常圧下で5時間蒸留を行った。次いで減圧下で残存溶媒をさらに留去したのち、水系媒体を冷却してトナー粒子の分散液を得た。
トナー粒子1と同様の後処理を行い、トナー粒子2を得た。得られたトナー粒子2の重量平均粒径(D4)は5.7μmであった。トナー粒子2に、トナー粒子1と同様の条件で外添剤を添加し、トナー2を得た。
<トナー3の製造>
(マスターバッチ分散液3の調製)
・メチルエチルケトン 120.0部
・銅フタロシアニン顔料 32.5部
(Pigment Blue 15:3,大日精化工業株式会社製)
・サリチル酸系化合物 2.5部
(ボントロンE84)
・化合物(1)(リン酸エステル金属塩) 4.5部
上記材料をアトライタに導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(180部)を用いて250rpm、25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液3を調製した。
温度120℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)に、結着樹脂1 81.2部を投入し、さらにマスターバッチ分散液3 109.1部を3回に分けて投入し混練することで溶媒を除去した。次いで、下記材料を投入し、混練を行った。
・結着樹脂1 162部
・エステル化合物1 30.8部
・極性樹脂1 13.7部
・極性樹脂2 27.4部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業株式会社製)にて微粉砕した。さらに回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて分級を行い、トナー粒子3を得た。回転型分級機(200TSP、ホソカワミクロン株式会社製)の運転条件は、分級ローター回転数を50.0s−1で分級を行った。得られたトナー粒子3の重量平均粒径(D4)は5.9μmであった。次いで、トナー粒子3をトナー粒子1と同様の条件で外添を行い、トナー3を得た。
<トナー4の製造>
<着色剤粒子分散液1の調製>
(マスターバッチ分散液4の調製)
・メチルエチルケトン 120部
・銅フタロシアニン顔料 32.5部
(Pigment Blue 15:3,大日精化工業株式会社製)
・サリチル酸系化合物 2.5部
(ボントロンE84)
上記材料をアトライタに導入し、半径2.5mmのジルコニアビーズ(180部)を用いて250rpm、25℃で180分間撹拌を行い、マスターバッチ分散液4を調製した。
イオン交換水125部に、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンR)1.63部を混合した。そこへ上記マスターバッチ分散液4を滴下しながらホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)により、乳化分散を行い、全量加えた後、さらに10分間分散した。この分散液を常温減圧下で、固形分量25%になるまで溶媒留去してから、超音波バスにより30分間分散し、中心径200nm、固形分量25%の着色剤粒子分散液1を得た。
<樹脂粒子分散液1の調製>
・メチルエチルケトン 200部
・結着樹脂1 372部
・極性樹脂2 32.0部
上記材料を、撹拌機を備えたリアクターに投入し、70℃で60分溶解、混合し樹脂溶液1とした。95℃に加熱したイオン交換水1600部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8.10部、1N NaOH水溶液3.00部を溶解させ中和用水溶液を作製した。この中和用水溶液を樹脂溶液1のフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス)で5分間乳化した。この分散液を60℃減圧下で、固形分量20%になるまで溶媒留去してから、超音波バスにより30分間分散し、室温(25℃)の水にてフラスコを冷却した。これにより樹脂粒子のメジアン径が250nm、固形分量が20質量%の樹脂粒子分散液1を得た。
<離型剤粒子分散液1の製造例>
・アニオン性界面活性剤 1.80部
(第一工業製薬株式会社製、ネオゲンR)
・イオン交換水 350部
・エステル化合物1 90.0部
・化合物(1)(リン酸エステル金属塩) 9.0部
上記成分を混合し、120℃に加熱して、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径170nmの25質量%の離型剤粒子分散液1を得た。
<樹脂粒子分散液2の製造例>
・メチルエチルケトン 50.0部
・極性樹脂1 72.0部
上記材料を、撹拌機を備えたリアクターに投入し、70℃で60分溶解、混合し樹脂溶液2とした。95℃に加熱したイオン交換水238部にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.44部、1N NaOH水溶液を3.00部溶解させ中和用水溶液を作製した。この中和用水溶液を樹脂溶液2のフラスコ中に投入し、ホモジナイザー(ウルトラタラックス)で5分間乳化した。この分散液を60℃減圧下で、固形分量20%になるまで溶媒留去してから、超音波バスにより30分間分散し、室温(25℃)の水にてフラスコを冷却した。これにより樹脂粒子のメジアン径が250nm、固形分量が20質量%の樹脂粒子分散液2を得た。
(トナー粒子4の作製)
・樹脂粒子分散液1 1860部
・着色剤粒子分散液1 112部
・アニオン性界面活性剤 25.0部
(Dowfax2A1 20%水溶液)
・離型剤粒子分散液1 158部
まず、pHメーター、攪拌羽、温度計を具備した重合釜に、上記原料のうち、樹脂粒子分散液1、アニオン性界面活性剤、及びイオン交換水250部を入れ、130rpmで15分間攪拌した。これに着色剤粒子分散液1および離型剤粒子分散液1を加え混合した後、この原料混合物に0.3Mの硝酸水溶液を加えて、pHを4.8に調製した。ついで、ウルトラタラックスにより3000rpmでせん断力を加えながら、凝集剤として硫酸アルミニウムの10%硝酸水溶液20.0部を滴下した。この凝集剤滴下の途中で、原料混合物の粘度が増大するので、粘度上昇した時点で、滴下速度を緩め、凝集剤が一箇所に偏らないようにした。凝集剤の滴下が終了したら、さらに回転数5000rpmに上げて5分間攪拌し、凝集剤と原料混合物を充分混合した。
次いで、上記原料混合物を25℃に加温しながら500rpmで攪拌した。一次粒径が形成するのを確認した後、凝集粒子を成長させるために0.1℃/分で43℃まで昇温した。凝集粒子の成長を随時確認し、その凝集速度によって凝集温度や攪拌の回転数を変えた。
一方、凝集粒子の表面を樹脂で被覆するため、樹脂粒子分散液2 80.0部に対し、イオン交換水60.0部、アニオン性界面活性剤(Dowfax2A1 20%水溶液)5.50部を加えて混合した。この混合液のpHを3.8に調整し、被覆用樹脂粒子分散液とした。上記凝集工程で凝集粒子が5.2μmに成長したところで、予め調製した被覆用樹脂粒子分散液を加え、攪拌しながら20分間保持した。その後、被覆した凝集粒子の成長を停止させるために、1Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、原料混合物のpHを7.6に制御した。ついで、凝集粒子を融合させるために、pHを7.6に調整しながら昇温速度1℃/minで85℃まで昇温した。85℃に達してからは、融合を進めるためにpHを7.6もしくはそれ未満に調整し、光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、粒径の成長を停止させる為に、氷水を注入して降温速度10℃/分で急冷した。
得られた粒子を15μmメッシュで一度篩分した後、イオン交換水で洗浄、乾燥を経て、トナー粒子4を得た。得られたトナー粒子4の重量平均粒径(D4)は6.0μmであった。トナー粒子4をトナー粒子1と同様の条件で外添を行い、トナー4を得た。
<トナー8〜17、21〜24、26、34、35の製造>
表3に示す組成に変更したこと以外は、トナー1の製造と同様の方法により、トナー8〜17、21〜24、26、34、35を製造した。
Figure 2018138980
表3中、リン酸エステル金属塩の化合物(1)〜(5)は、例示した化合物(1)〜(5)を示す。化合物(6)、(7)はリン酸エステル金属塩ではない核剤であり、それぞれシリカ粒子(アドマナノ、株式会社アドマテックス製)とジベンジリデンソルビトールを示す。
<トナー5〜7、18〜20、25、27〜33、36〜40の製造>
表4に示す組成に変更したこと以外は、トナー3の製造と同様の方法により、トナー5〜7、18〜20、25、27〜33、36〜40を製造した。
Figure 2018138980
表4中、リン酸エステル金属塩の化合物は、表3と同じである。トナー31において、エステルワックスに対するエステル化合物1の含有量は、94質量%である。トナー32において、エステルワックスに対するエステル化合物1の含有量は、89質量%である。トナー40において、エステルワックスに対するエステル化合物1の含有量は、78質量%である。
<トナーのRb、Rw、Rp値>
前記トナー処方におけるRb、Rw、Rpおよび式(1)、(2)の数値を表5に示す。
Figure 2018138980
表5中、「A」の欄は、エステルワックス100質量部に対するリン酸金属塩の添加質量を示す。
<リン酸エステル金属塩の効果確認>
前記トナー1〜40に含有する結着樹脂、エステルワックス、リン酸エステル金属塩を200℃のホットプレート上で溶融混練した。また、トナー1〜40に用いる結着樹脂、エステルワックスを200℃のホットプレート上で溶融混練した。これらの混練したサンプルを粉砕し、Tc1、Tc2および結晶化度を算出した。結果を表6に示す。
Figure 2018138980
表6中、結晶化度向上率は、リン酸エステル金属塩ありでの結晶化度をリン酸エステル金属塩なしでの結晶化度の値で割った比率(%)である。なお、トナー34〜36では、リン酸エステル金属塩の代わりに使用したシリカ粒子およびジベンジリデンソルビトールの有無での結晶化度の比率(%)である。
<実施例1〜32および比較例1〜8>
トナー1〜40について以下の評価を行った。
<保存安定性の評価>
試験には、目開き75μm(200メッシュ)の篩にかけたトナーを用いて、下記2つの条件での保存安定性を評価した。
(保存試験1)
篩にかけたトナー5gを50ccの樹脂製カップに取り、温度55℃/湿度10%RHで72時間放置した。
(保存試験2)
篩にかけたトナー5gを50ccの樹脂製カップに取り、下記に示す条件で保存性試験を行った。
(試験条件)
(1)温度15℃、湿度10%RHで12時間放置
(2)12時間かけて温度55℃、湿度95%RHまで上げる
(3)温度55℃、湿度95%RHで12時間放置
(4)12時間かけて温度15℃、湿度10%RHまで下げる
上記(1)〜(4)を1サイクルとし、これを3サイクル繰り返した。
保存試験1、2を行ったそれぞれのトナーについて、上記保存試験前と上記保存試験後のトナーの凝集度を下記の方法により測定し、評価した。
(凝集度の測定)
測定装置として、「パウダーテスター」(ホソカワミクロン株式会社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(昭和測器株式会社製)を接続したものを用いた。パウダーテスターの振動台上に、下から順に目開き20μm(635メッシュ)、38μm(390メッシュ)、75μm(200メッシュ)の篩を重ねてセットした。測定は、温度23℃、湿度60%RH環境下で、以下のようにして行った。
まず、デジタル表示式振動計の変位の値を0.50mm(peak−to−peak)になるように調整した。トナー2gを精秤し、最上段の目開き75μm(200メッシュ)の篩上に静かにのせた。篩を30秒間振動させ、各篩上に残ったトナー量を測定し、下記式(8)に基づき凝集度を算出した。
式(8)
凝集度(%)={(目開き75μm篩の残量(g))/2(g)}×100
+{(目開き38μm篩の残量(g))/2(g)}×100×0.6
+{(目開き20μm篩の残量(g))/2(g)}×100×0.2
凝集度の評価基準は以下の通りであり、C以上であれば本発明の効果が得られているレベルとする。結果を表7に示す。
保存試験後の凝集度と保存試験前の凝集度の差が、
A:5.0%未満
B:5.0%以上10.0%未満
C:10.0%以上15.0%未満
D:15.0%以上
<定着器汚染の評価>
市販のレーザープリンターであるLBP−5400(キヤノン株式会社製)の一部を改造して評価を行った。
市販のシアンカートリッジからトナーを抜取り、内部をエアブローで清掃し、代わりに評価するトナー200gを充填した。シアン以外のステーションのカートリッジは、それぞれトナーを抜取り、トナー残量検知機構を無効にし、1色で評価できるようにした。改造点としては、プロセススピードを240mm/secに設定し、定着器温度を210℃に設定して評価を行った。
上記評価機を用いて、常温常湿環境下(23℃,60%RH)において、印字率5%のテストチャートを5,000枚画出しした。5,000枚印刷後の定着器の汚染状態を目視により観察し、以下の基準で評価した。C以上であれば本発明の効果が得られているレベルとする。結果を表7に示す。
A:定着器の汚染はほとんど見られない。
B:定着器に微量の汚染が見られる。
C:定着器の端部に汚染が見られる。
D:定着器全体に汚染が見られる。
<帯電立上り性の評価>
トナー濃度6.0質量%になるようにフェライトキャリアF813−300(パウダーテック社製)と評価するトナーを混合し、二成分現像剤とした。50ccの樹脂製容器に前記二成分現像剤50gを入れ、常温常湿環境(23℃/60%RH)で4日間放置した。その後、15秒かけて30回振とう、90秒かけて180回振とうした。
図1に示す装置(吸引機1)において、底に635メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に、振とう後の二成分現像剤を0.1g入れ、金属製のフタ4をした。容器全体の質量をW1(g)とした。次に吸引機(測定容器2と接する部分は絶縁体)において、吸引口7から吸引し、風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を1.0kPaにした。この状態で1分間吸引を行い、トナーを吸引除去した。この時の電位計9の電位をV(ボルト)、コンデンサー8の容量をC(mCF)とし、吸引後の測定容器全体の質量をW2(g)とした。このトナーの帯電量(mC/kg)は下記式に従って算出した。
帯電量(mC/kg)=(C×V)/(W1−W2)
評価は、180回振とう後の二成分現像剤の摩擦帯電量の絶対値に対する30回振とう後の二成分現像剤の摩擦帯電量の絶対値の割合を帯電立上がり性として算出し、以下の基準で評価した。C以上であれば、本発明の効果が得られているレベルとする。結果を表7に示す。
A:80%以上
B:70%以上80%未満
C:60%以上70%未満
D:60%未満
Figure 2018138980
1 吸引機
2 測定容器
3 スクリーン
4 フタ
5 真空計
6 風量調節弁
7 吸引口
8 コンデンサー
9 電位計

Claims (8)

  1. 結着樹脂、エステルワックス、及びリン酸エステル金属塩を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記リン酸エステル金属塩が、下記式(2)及び(3)を満たし、
    前記エステルワックスが下記式(1)を満たすエステル化合物を含有し、
    前記エステル化合物の含有量が、前記エステルワックスに対して85質量%以上であることを特徴とするトナー。
    式(1) |Rp−Rw|≦7.50
    式(2) |Rp−Rb|≧2.00
    式(3) 5.00≦Rp≦10.00
    (式(1)〜(3)中、
    Rbは、前記結着樹脂のC/O原子比を表す。
    Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。
    Rpは、前記リン酸エステル金属塩のC/O原子比を表す。)
  2. 前記エステルワックス及び前記リン酸エステル金属塩が、下記式(4)及び(5)を満たす請求項1に記載のトナー。
    式(4) Tc2−Tc1≧1.0℃
    式(5) Tc1≧30℃
    (式(4)、(5)中、
    Tc1は、前記結着樹脂100質量部と前記エステルワックス9質量部とを混合した混合物を示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、最も高温側にある発熱ピーク温度を示す。
    Tc2は、前記結着樹脂100質量部、前記エステルワックス9質量部及び前記リン酸エステル金属塩0.9質量部を混合した混合物を示差走査熱量測定して得られるDSC曲線において、最も高温側にある発熱ピーク温度を示す。)
  3. 前記エステル化合物が、下記式(6)を満たす請求項1又は2に記載のトナー。
    式(6) 8.00≦Rw≦12.00
    (式(6)中、
    Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。)
  4. 前記エステルワックスの融点が55℃以上100℃以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記リン酸エステル金属塩の含有量が前記エステルワックス100質量部に対して3質量部以上20質量部以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂、またはポリエステル樹脂である請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記エステル化合物が、2価以上のアルコールと脂肪族モノカルボン酸とのエステル、又は2価以上のカルボン酸と脂肪族モノアルコールとのエステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 結着樹脂、エステルワックス、及び核剤を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記核剤が、下記式(8)及び(9)を満たし、
    前記エステルワックスが下記式(7)を満たすエステル化合物を含有し、
    前記エステル化合物の含有量が、前記エステルワックスに対して85質量%以上であることを特徴とするトナー。
    式(7) |Rp−Rw|≦7.50
    式(8) |Rp−Rb|≧2.00
    式(9) 5.00≦Rp≦10.00
    (式(7)〜(9)中、
    Rbは、前記結着樹脂のC/O原子比を表す。
    Rwは、前記エステル化合物のC/O原子比を表す。
    Rpは、前記核剤のC/O原子比を表す。)
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