JP2018137365A - 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置 - Google Patents

太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018137365A
JP2018137365A JP2017031441A JP2017031441A JP2018137365A JP 2018137365 A JP2018137365 A JP 2018137365A JP 2017031441 A JP2017031441 A JP 2017031441A JP 2017031441 A JP2017031441 A JP 2017031441A JP 2018137365 A JP2018137365 A JP 2018137365A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
base material
roll
solar cell
film
cell element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017031441A
Other languages
English (en)
Inventor
和人 宮脇
Kazuto Miyawaki
和人 宮脇
伸一 伊東
Shinichi Ito
伸一 伊東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Group Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Mitsubishi Chemical Holdings Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Mitsubishi Chemical Holdings Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2017031441A priority Critical patent/JP2018137365A/ja
Publication of JP2018137365A publication Critical patent/JP2018137365A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Photovoltaic Devices (AREA)

Abstract

【課題】ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子の製造において、太陽電池素子の性能劣化を防ぐ太陽電池の製造方法と太陽電池素子製造装置を提供する。
【解決手段】光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層を、可撓性基板を含む基材上にコーティングするコーティングステップを有する、ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子製造方法であって、コーティングステップは、基材上に膜を形成する膜形成ステップ、及び形成した膜を備えた基材を加熱する加熱ステップ、を含み、加熱ステップにおいて、搬送される基材は膜形成ステップよりも張力が低減された状態で搬送され、膜形成ステップと加熱ステップとの間の基材の搬送において、膜を備えた基材が水平搬送方向に対して基材側に凸となる箇所を有し、かつ凸となる箇所においてコーティング面に対し物理的接触を要しない付勢力を供給しながら搬送する。
【選択図】図3

Description

本発明は、太陽電池素子の製造方法に関し、特に、ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子の製造方法に関する。
アモルファスシリコン太陽電池素子や有機薄膜太陽電池素子など、基板上に薄膜を積層させることで製造する太陽電池素子の製造において、製造効率が圧倒的に高いロール・ツー・ロール方式による製造が検討されている(例えば特許文献1、2参照)。
ロール・ツー・ロール方式で用いる装置は、一般的に、巻回した基材等の材料を繰り出すロールを含む供給機構と、該供給機構から供給された材料を巻き取るロールを有する巻取り機構と、を備え、該材料に搬送張力を付与して搬送することができる装置が用いられる。
ロール・ツー・ロール方式による有機素子の製造において、100℃以上の加熱の際、搬送張力が大きいと可撓性基板は軟化・変形し、内部応力が増加して、これに接する有機素子がダメージを受けることが指摘されている(特許文献3参照)。これに対し、サクションロールなどのテンションカットロールを用いて、熱処理工程中の可撓性基板に付与される張力を低減させる技術が開示されている。
特開2015−144272号公報 特開2016−126964号公報 特開2014−29883号公報
特許文献3に開示されたサクションロールは、表面に微細な孔を無数に穿孔し、この孔から吸引することにより、可撓性基板をサクションロールに吸着させることで、ロールと可撓性基板の滑りを防止し、張力を低減することができる。そのため、可撓性基板とロールの接触面積を十分に確保する必要があった。
一方で、可撓性基板の搬送を水平方向のみとする場合には、可撓性基板とサクションロールの接触面積を十分に確保できず、少なくともサクションロールに対し、可撓性基板を垂直方向に旋回することで、可撓性基板とサクションロールとの接触面積を確保する必要があった。そのため特許文献3では、サクションロールの上流において、図中下部方向にロールが搬送させるようにガイドロールを配置し、サクションロールに対しては図中下部から上部に向かって可撓性基板を搬送し、サクションロールを軸に垂直方向に旋回することで接触面積を確保している。
しかしながら、このような方法により太陽電池素子を製造すると、製造された太陽電池素子は、発電効率が低下する、寿命が低下する、などの問題が発生し、太陽電池素子の生産性が低下するという新たな課題を本発明らは見出した。
本発明は、サクションロールのような張力低減機構を有する装置により太陽電池素子を製造した際に生じる性能劣化の問題を解決し、生産性の高い太陽電池の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ね、可撓性基板とサクションロールの接触面積を十分に確保すべく、サクションロールに対し可撓性基板を垂直に旋回して搬送する際のガイドロールに問題があることを見出した。
即ち、搬送方向に対し下部方向に向かって可撓性基板を搬送するためには、複数のガイドロールを配置する必要があり、そのうちのいくつかのガイドロールは、加熱機構に供される前の膜形成面に接触することになる。通常、塗布等により形成されたコーティング層は、加熱機構により乾燥させる必要があるが、上記のように、加熱機構に供する前に、可撓性基板のコーティング面がガイドロールに接触することにより、該コーティング層の均一性が失われたり、コーティング層が剥離してしまう等の問題が太陽電池素子の性能劣化の原因であることを本発明者らは見出した。
そこで更なる検討を加え、コーティングステップにおいて、成膜ステップと加熱ステップとの間の搬送において、基材のコーティング面に対して物理的接触を要しない付勢力を供給しながら基材が搬送方向に対して基材側に凸となる箇所を有するように張力を低減して基材を搬送することで、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させた。
本発明は、以下のものを含む。
[1]少なくとも光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層を、可撓性基板を含む基材上にコーティングするコーティングステップを有する、ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子の製造方法であって、
前記コーティングステップは、前記基材上に膜を形成する膜形成ステップ、及び形成した膜を備えた基材を加熱する加熱ステップ、を含み、
前記加熱ステップにおいて、搬送される基材は前記膜形成ステップよりも張力が低減された状態で搬送され、
前記膜形成ステップと加熱ステップとの間の前記基材の搬送において、膜を備えた基材が水平搬送方向に対して基材側に凸となる箇所を有し、かつ該凸となる箇所においてコーティング面に対し物理的接触を要しない付勢力を供給しながら搬送する、製造方法。
[2]前記可撓性基板のガラス転移温度が200℃以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記物理的接触を要しない付勢力がエアである、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記太陽電池素子が有機薄膜太陽電池素子又はペロブスカイト太陽電池素子である、[1]から[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]基材を供給する基材供給ロール、基材を巻取る巻取りロール、基材を該基材供給ロール及び該巻取りロール間において搬送する搬送機構、搬送された基材に対しコーティング膜を形成する膜形成機構、形成された膜を加熱する加熱機構、及び該加熱機構において搬送される基材の張力を低減する張力低減機構を備えた太陽電池素子の製造装置であって、
前記膜形成機構と加熱機構との間において、基材及び形成された膜が搬送方向に対し基材側に凸となる箇所を有し、かつ該凸となる箇所においてコーティング面に対し物理的接触を要しない付勢力を供給する付勢機構を備えた、製造装置。
本発明により、太陽電池素子の性能劣化が少なく、生産性の高い太陽電池素子の製造方法を提供することができる。
太陽電池素子の一形態を示す模式図である。 太陽電池素子製造装置の従来の一形態を示す模式図である。 太陽電池素子製造装置の一形態を示す模式図である。
以下、本発明について、具体的な態様を示しながら詳細に説明するが、本発明は例示する具体的態様に限定されないことはいうまでもない。また、発明の説明において図面を用いるが、用いる図面はいずれも具体的実施形態を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、又は省略等を行っており、各構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
本発明の実施形態は、少なくとも光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層を、可撓性基板を含む基材上にコーティングするコーティングステップを有する、ロール・ツー・ロールによる太陽電池素子の製造方法である。以下、図1を参照して、太陽電池素子の構成を説明する。
図1に示すように、太陽電池素子107は、可撓性基板106上に、下部電極101及び上部電極105により構成される一対の電極と、該一対の電極間に光電変換層103と、下部電極101と光電変換層103との間に下部バッファ層102と、上部電極105と光電変換層103との間に上部バッファ層と、を有する。なお、下部電極とは、可撓性基板106側に積層される電極を意味し、上部電極とは、可撓性基板106をボトムとした際に、下部電極よりも上部に形成される電極を意味する。なお、下部バッファ層102及び上部バッファ層104は、必ずしも両方を有する必要はなく、少なくとも一方のバッファ層を有していればよい。また、太陽電池素子は、上記以外の別の層を任意で有していてもよい。
<可撓性基板106>
可撓性基板106は、太陽電池素子を構成する支持部材である。可撓性基板106は、ロール・ツー・ロール方式に適用できるよう、ロールに巻回できる程度の可撓性を有する材料で形成され、具体的には、直径6インチのロールに巻回してもワレが生じない基板を可撓性基板と称する。
具体的には樹脂材料により形成されてよく、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料などが挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂フィルムが、可撓性基板の形成しやすさの点で好ましい。なかでも、ポリエチレンナフタレートが好ましい。可撓性基板106の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
可撓性基板106の厚さは、ロール巻回し可能であれば特段限定されないが、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であり、一方、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下である。
可撓性基板106の熱膨張率は特段限定されないが、本発明は、熱膨張率が高い基板において有効であるために、熱膨張率が1×10−5−1以上の特に特に有効であり、一
方、通常、20×10−5−1以下、好ましくは、10×10−5−1以下である。
可撓性基板106のガラス転移温度は特段規定されないが、取扱いの観点から、通常50℃以上、好ましくは100℃以上であり、一方、通常400℃以下、300℃以下であることが好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。
可撓性基板106の吸水率は特段規定されないが、通常0.01%以上、10%以下であり、好ましくは1%以下である。
<一対の電極(101、105)>
一対の電極は、下部電極101及び上部電極105により構成され、一対の電極のうち一方の電極は光電変換層が光を吸収することにより発生する正孔を捕集する機能を有する電極(以下、アノードと称す)であり、他方の電極は、光電変換層が光を吸収することにより発生する電子を捕集する機能を有する電極である(以下、カソードと称す)。下部電極101をアノードとする場合、上部電極105をカソードとし、下部電極101をカソードとする場合、上部電極105をアノードとすることが好ましい。
太陽電池素子107が光を受光して発電するために、一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は、透明電極であることが好ましく、他方の電極は、必ずしも透明電極である必要はない。なお透明電極とは、通常60%以上の可視光線透過率を有する電極を意味するが、変換効率を向上させるためには、透明電極の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、一方、上限は特段限定されないが、通常90%以下である。なお、該電極の可視光線透過率は、分光光度計により測定することができ、例えば、紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(島津製作所製)とフィルムサンプルホルダーを用いて測定することができる。測定結果は、JIS R 3106:1998に従って、波長380nm〜900nmまでの透過率が算出され、これらの波長領域の透過率の平均として、透明電極の透過率を算出することができる。
下部電極101及び/又は上部電極105を透明電極とする場合、下部電極101及び/又は上部電極105は、上述の可視光線透過率を有してさえいれば、透明導電層又は金属層による単層で形成されていてもよいし、透明導電層及び金属層との積層により形成されていてもよい。しかしながら、透明電極を透明導電層のみで形成すると、抵抗が高く、良好な導電性を示さない傾向があるために変換効率が低下する場合がある。また、透明電極を薄い金属層のみにより形成する場合、金属層は腐食しやすく、経時的に光電変換素子が劣化する傾向があるために、透明電極とする電極は、透明導電層と金属層の積層により形成することが好ましい。
透明電極層に用いられる材料としては、特段の制限はないが、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化インジウム(In)等である。これらの中でも、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、亜鉛とスズの複合酸化物(ZTO)等の非晶質性酸化物を用いることが好ましい。
また、透明導電層は、シート抵抗が100Ω/□以下であることが好ましく、50Ω/□以下であることがさらに好ましく、一方、0.1Ω/□以上であることが好ましい。
金属層の材料は、特段の制限はなく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、クロム、銅、コバルトの等の金属又はその合金が挙げられる。これらのなかでも、金属層を形成する材料は、高い電気伝導性を示すとともに、薄膜における可視光線透過率の高い銀又は銀の合金であるこ
とが好ましい。なお、銀の合金としては、硫化又は塩素化の影響を受けにくく薄膜としての安定性を向上させるために、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等が挙げられる。
金属層の膜厚は、透明電極として70%以上の可視光線透過率を維持できる限りにおいて、特段の制限はないが、良好な導電性を得るために1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、一方、光透過率が低下して活性層に入射する光量が低下するのを防ぐために、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
上述の通り、一対の電極(101、105)は、一方の電極が透明電極であれば、他方の電極は必ずしも透明電極でなくてもよく、非透明電極であってもよい。非透明電極を用いる場合、特段の制限はないが、例えば、上述したような金属層を厚膜化して形成することにより、非透明電極を形成することができる。なお、下部電極101及び上部電極105を共に透明電極とする場合、下部電極101及び上部電極105はともに、金属層と透明導電層の積層構造であることが好ましい。
下部電極101及び上部電極105の全体の厚さは、特段の制限はなく、光学特性及び電気特性を考慮して任意で選択すればよい。なかでも、シート抵抗を抑えるために、下部電極101及び上部電極105のそれぞれの膜厚は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、一方、高い透過率を維持するために、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
下部電極101をアノードとし、上部電極105をカソードとする場合、下部電極101は上部電極105よりも仕事関数の大きい材料を使用することが好ましい。一方、下部電極101をカソードとして、上部電極105をアノードとする場合、下部電極101は上部電極105よりも仕事関数の小さい材料により形成することが好ましい。なお、太陽電池素子に、後述するような下部バッファ層102及び/又は上部バッファ層104を設けて仕事関数を調整することにより、下部電極101及び上部電極105は同じ仕事関数を有する材料により形成することもできる。
下部電極101及び上部電極105の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。コーティングにおける膜形成ステップとしては、例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布する湿式法が挙げられる。なお、下部電極101及び上部電極105に対して表面処理を行うことにより、電気特性や濡れ特性等を改良してもよい。
<バッファ層(102、104)>
太陽電池素子は、一対の電極(101、105)の少なくとも一方の電極と光電変換層103との間にバッファ層を有してもよい。すなわち、上部電極105と光電変換層103との間に上部バッファ層104、及び/又は下部電極101と光電変換層103との間に下部バッファ層102を有する。
バッファ層は、光電変換層103からカソードへの電子取り出し効率を向上させる電子取り出し層又は光電変換層103からアノードへの正孔取り出し効率を向上させる正孔取り出し層に分類される。なお、下部バッファ層102及び上部バッファ層104の両方を設ける場合、下部バッファ層102及び上部バッファ層104の一方の層を正孔取り出し層とし、他方のバッファ層を電子取り出し層とすればよい。例えば、下部電極101をアノードとし、上部電極105をカソードとする場合、下部バッファ層102を正孔取り出
し層とし、上部バッファ層104を電子取り出し層とすればよい。一方、下部電極101をカソードとし、上部電極105をアノードとする場合、下部バッファ層102を電子取り出し層とし、上部バッファ層104を正孔取り出し層とすればよい。
電子取り出し層の材料は、光電変換層103からカソードへの電子取り出し効率を向上させることができる材料であれば特段の制限はなく、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層の材料は特段の制限はないが、LUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法を参考にして実施することができる。
正孔取り出し層の材料としては、光電変換層103からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば、特段の制限はないが、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー;スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物等の導電性化合物;酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物半導体;ナフィオン、後述のp型半導体等の半導体化合物;が挙げられる。好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好まし
くは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。
バッファ層(101、105)の膜厚は特段の制限はなく用いられるバッファ層材料により適宜設定し得る。バッファ層材料として半導体化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましい。一方、太陽電池素子の内部抵抗を低く保ち、太陽電池素子の変換効率を向上させるために、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがさらに好ましい。一方、バッファ層材料として導電性化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましい。一方、太陽電池素子の内部抵抗を低く保ち、太陽電池素子の変換効率を向上させるために1000nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがさらに好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。なお、バッファ層の膜厚は、分光エリプソメトリを用いて平均膜厚を算出することにより求めることができる。
電子取り出し層及び正孔取り出し層の形成方法は特段の制限は無く、使用する材料に合わせて公知のコーティング方法により形成することができる。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は蒸着法、スパッタ法等の真空法により形成することができる。また、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式法により形成することができる。なかでも、PEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
<光電変換層103>
光電変換層103は、光電変換が行われる層である。すなわち、太陽電池素子107が光を受けると、光が光電変換層103に吸収され、光電変換層103内で電気が発生し、発生した電気がアノード及びカソードから取り出される。
光電変換層103の層構成としては、特段の制限はないが、p型半導体化合物を含有する層とn型半導体化合物を含有する層とが積層された薄膜積層型、又はp型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(混合層)であるバルクヘテロ型接合型が挙げられる。また、光電変換層103はペロブスカイト化合物を用いて形成することもできる。なお、バルクヘテロ接合型の光電変換層及びペロブスカイト化合物を用いた光電変換層は、該混合層の他にp型半導体化合物を含有する層及び/又はn型半導体化合物を含有する層がさらに積層された構造であってもよい。また、ペロブスカイト化合物を用いて光電変換層を形成する場合、該有機無機混成化合物の下地層として酸化チタン等の多孔質膜を設けてもよい。これらのなかでも、高い変換効率が期待できることから、光電変換層103はバルクヘテロ接合型であることが好ましい。
p型の有機半導体化合物は、特段の制限はなく、p型の低分子有機半導体化合物、p型の有機半導体オリゴマー、及びp型の有機半導体ポリマーが挙げられる。
p型の低分子有機半導体化合物は、特段の制限はないが、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン等が挙げられる。
p型の有機半導体オリゴマーは特段の制限はないが、セキシチオフェン等のオリゴチオフェン又はこれら化合物を骨格として含む誘導体等が挙げられる。
p型の有機半導体ポリマーは、特段の制限はないが、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、チオフェン環又はチオフェン縮合環を含むポリマー等が挙げられる。より具体的には、国際公開第2011/016430号、国際公開第2013/180243号、日本国特開2012−191194号公報等に記載される公知のp型半導体ポリマーが挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、フラーレン;フラーレン誘導体;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。
これらのなかでも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体又はn型高分子半導体材料が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はn型高分子半導体化合物がより好ましく、フラーレン化合物が特に好ましい。これらの化合物としては、特段の制限はないが、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものを使用することができる。なお、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
ペロブスカイト化合物は、特段の制限はなく、公知のペロブスカイト化合物が挙げられ、例えば、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載のペロブスカイト化合物が挙げられる。
光電変換層103の膜厚は特に限定されないが、通常50nm以上、好ましくは100nm以上であり、一方、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。光電変換層103の膜厚が50nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、光電変換層103の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
光電変換層103の形成方法は、特段の制限はく、使用する材料を考慮して、公知のコーティング方法により形成することができる。コーティングの際の膜形成ステップは、例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空法又は該p型半導体化合物及び/又はn型半導体化合物と、溶媒を含有するインクを用いた湿式法により形成することができる。
湿式成膜法における膜形成方法としては、特段の制限はなく、ダイコート法、リバース
ロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、スプレーコート法、エアナイフコート法、バーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
光電変換層103を湿式成膜法により形成する場合のインクの溶媒は、特段の制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、テトラリン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なお、溶媒は1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
光電変換層103をp型半導体化合物を含む層とn型半導体化合物とを含む層の薄膜積層型とする場合、特段の制限はないが、上述のような方法により各層を形成すればよい。また、光電変換層103をバルクヘテロ接合型とする場合、特段の制限はないが、p型半導体化合物と、n型半導体化合物と、溶媒とを含むインクを作製しておき、該インクを用いて湿式成膜法により形成することが好ましい。また、光電変換層103をペロブスカイト化合物を用いて形成する場合は、例えば、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載の方法を用いればよい。
本実施形態に係る製造方法は、少なくとも光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層を、基材上にコーティングするコーティングステップを有する、ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子の製造方法である。
そして、前記コーティングステップは、基材上に膜を形成する膜形成ステップ、及び形成された膜を備えた基板を加熱する加熱ステップ、を含む。図2はコーティングステップに適用されるロール・ツー・ロール方式による従来の太陽電池素子製造装置の一態様を示す模式図である。
太陽電池素子製造装置10は、基材が巻回されてなる供給ロール11、搬送された基材上に塗膜を形成する塗布機構12、塗膜を予備加熱する予備加熱機構13、塗膜を本加熱する本加熱機構14、膜が形成された基材を巻取る巻取りロール15を備える。すなわち、本実施形態においては、塗布機構12において基材に膜を塗布する工程が膜形成ステップに該当し、本加熱機構14において形成された膜を加熱する工程が加熱ステップに該当する。
供給ロール11から張力を付与され供給された基材は、図中破線矢印で示される搬送方向に搬送される。供給ロール11から供給される基材は、少なくとも可撓性基板を含むものであり、可撓性基板を含む積層体であってもよい。例えば、基材は、可撓性基板上に下部電極が積層されたものでもよい。また、当該方法により光電変換層をコーティングする場合、基材は可撓性基板、下部電極及び下部バッファ層の積層体であってもよい。また、当該方法により上部バッファ層をコーティングする場合、基材は可撓性基板、下部電極及び下部バッファ層及び光電変換層の積層体であってもよい。
塗布機構12では、搬送された基材上に、光電変換層やバッファ層の塗膜を形成する。
形成される塗膜は、光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層であり、膜形成後に溶媒除去や硬化の目的で加熱が必要となる膜である。
塗布機構は既知のものを適用することが可能であるが、ここでは搬送された基材上に膜を形成できればよく、インクジェット機構や印刷機構などを用いて膜形成してもよい。
形成された膜は、予備加熱機構13により予備加熱される。予備加熱の目的は、塗布後、又は本加熱時に膜が流動しないようにするための工程である。なお、予備加熱は必須ではなく省略してもよい。予備加熱は、有機膜へのダメージを考慮して、本加熱温度よりも低い温度で実施され、通常、室温以上であり、50℃以上であってよい。また、通常、本加熱の温度以下であり、100℃以下であることが好ましい。
予備加熱の加熱時間は、用いる溶媒の種類にもよるが、通常10秒以上である。一方、通常2分以下であり、1分以下であってよく、30秒以下であることが好ましい。
予備加熱機構13により予備加熱された塗膜は、次いで加熱機構14により本加熱される。なお、本加熱により、形成された膜の溶媒や水分は除去されるために、その後、ロール状に基材を巻き取った場合に、コーティング層と可撓性基板の裏面が接触しても、接触による膜形成面に対するダメージを抑制できることになる。
本加熱温度は、一般的に窒素雰囲気下で行うために、通常100℃以上であり、120℃以上であってよく、150℃以上であってよい。また、通常400℃以下である。
本加熱の加熱時間は、用いる溶媒の種類にもよるが、通常1分以上であり、5分以上であってよく、10分以上であってよい。また、通常90分以下であり、60分以下であってよく、30分以下であってよい。
ロール・ツー・ロールによる太陽電池素子の製造において、本加熱では通常100℃以上で加熱するため、搬送張力が大きいと可撓性基板は軟化・変形し、これに起因して可撓性基板上に形成された膜が割れる等のダメージを受ける。そのため、加熱ステップ中に、基材の搬送に張力を低減するために、加熱機構14の上流及び下流には、テンションカット機構、いわゆる、機構前後の張力を異なる値にしても基板がスリップせずに保持できる張力低減機構であるサクションロール18が配置され、本加熱に供された基材に付与される張力を低減させる。
膜形成ステップにおいて基材が搬送される際に付与される搬送方向の張力は、良好な膜を形成するために、特段の制限はないが、50N/m以上であることが好ましく、70N/m以上であることがさらに好ましく、100N/m以上であることが特に好ましく、一方、該張力が大きすぎると基材が破損してしまうために、基材が破壊されない程度の張力であることが好ましく、例えば、300N/m以下であることが好ましい。
加熱ステップにおいて基材が搬送される際に付与される搬送方向の張力は、加熱時の基材の収縮を抑えるために、40N/m以下であることが好ましく、30N/m以下であることがさらに好ましく、10N/m以下であることが特に好ましく、一方、基材を搬送するために、1N/m以上であることが好ましい。
ここで、サクションロール18とは、表面に微細な孔を無数に穿孔し、この孔から吸引することにより、可撓性基板をサクションロールに吸着させることで、ロールと可撓性基板の滑りを防止することが可能なロールである。そのため、可撓性基板を水平に搬送するだけでは、可撓性基板とサクションロールとの接触面積を十分に確保できないため、例えば水平搬送方向から垂直方向(図中下方向)に基材を旋回させ、基材とロールの接触面積を確保する必要があった。図2では、複数のガイドロール17を用いて、基材を垂直方向に旋回させることが行われている。
しかしながら、このような形態では、図中下部に存在する2つのガイドロール17は、基材のコーティング面と接触することとなり、予備加熱を行ったとしても、ガイドロール
との接触により形成されたコーティング面にダメージを与えることとなる。他方、図中下部に存在するコーティング面に接触するガイドロール17を取り除くことも考えられるが、当該ガイドロール17を設けないと可撓性基板とサクションロールとの接触面積を増やすことが困難であるために、サクションロール17により張力を低減することが困難になる。また、基材の位置が定まらないため、コーティング面同士が接触し、形成されたコーティング層の均一性が失われたり、当該コーティング層が剥離してしまう場合がある。
図3は、本実施形態に係るコーティングステップに適用されるロール・ツー・ロール方式による膜形成装置の一態様を示す模式図である。
太陽電池素子製造装置20は、加熱機構24の上流、且つ予備加熱機構23の下流の形態以外は、太陽電池素子製造装置10と同様である。
太陽電池素子製造装置20では、加熱機構24の上流であって、ガイドロール27の更に上流であって、かつサクションロール28の下流において、水平搬送方向から垂直方向(図中下方向)に基材を旋回させ、基材とサクションロール28の接触面積を確保する。その手段としては、加熱機構24の上流側にあるサクションロール28とガイドロール27との間に、ガイドロールではなく、コーティング面と接触しなくてもコーティング面に付勢力を与えられる、物理的な接触を要しない付勢機構29であればよく、たとえばエアブロー装置、超音波発生機、空気浮上式ロールなどを用いてもよい。
なお、太陽電池素子製造装置20では、ガイドロール27よりも上流側にサクションロール28の一方が配置されるが、ガイドロール27と上流側のサクションロール28の配置が逆であってよい。しかしながら、図3のように、ガイドロール27よりも上流側にサクションロール28の一方を配置すれば、塗布機構22に供給される基材の張力を好適に保持することができ、良好な膜形成が可能になるために好ましい。
付勢機構29にエアブロー装置を用いる場合は、当該装置はエアを多方向に拡散させて送風できる機能を有し、例えば扇風機、送風機、エアノズルなどが具体的なデバイスとして例示される。このような、基材のコーティング面に対して物理的な接触を要しない付勢機構29を用いることで、膜を備えた基材の水平搬送方向に対して基材側に(図中下部方向に)凸となる箇所を設けることができる。そのため、可撓性基板とサクションロール28との接触面積を十分に確保できることから、2つのサクションロール28により基材の搬送方向の張力を十分に低減することができる。その結果、本加熱機構において、可撓性基板が変形するのを防ぐことができるためにコーティング層が破損するのを防ぐことができ、高い性能を有する太陽電池素子を生産性高く製造することができる。さらに、該凸部においてコーティング面同士が物理的に接触するのを防ぐことができるために、コーティング面にダメージを与えることを防ぎ、またコーティング面が剥離するのを防ぐことが可能となる。
なお、本発明において、基材の水平搬送とは、水平方向に対し±10°の搬送を含むものとする。
また、基材の水平搬送方向に対して凸となる箇所の角度、すなわち図3中において、ガイドロール27における一点鎖線で示される角度θは、可撓性基板とサクションロールが十分に接触させて、張力を低減できる限りにおいて特段の制限はないが、接触面積確保、装置サイズの大型化を防ぐために20°以上であることが好ましく、50°以上であることがさらに好ましく、70°以上であることがより好ましく、90°以上であることが特に好ましく、一方、付勢機構の数を少なくして基材の搬送安定性を高めるために180°未満であることが好ましく、160°以下であることがさらに好ましく、140°以下であることが特に好ましい。
基材の水平搬送方向に対して凸となる箇所の最大高さは、特段の制限はないが、可撓性基板とサクションロールとの接触面積を十分に確保するために、サクションロールの半径以上であることが好ましく、サクションロールの直径以上であることがさらに好ましく、一方、搬送を安定に行うためにロール幅の2倍以下であることが好ましく、ロール幅以下であることがさらに好ましい。なお、ロール幅とは、搬送される基材の幅手方向長さのことをいう。
ガイドロール27と加熱機構24の上流側にあるサクションロール28の間の距離は、基材の搬送安定性の観点から、ロール幅の半分以上、好ましくはロール幅以上であり、ロール幅の2倍以下、好ましくは1.5倍以下である。
サクションロール28および駆動ロールの直径は、特に規定されるものではないが、基材の搬送安定性の観点およびサクションロール上での撓み防止の観点から、可撓性基板幅1mに対して200mm程度以上が通常必要である。
凸部における付勢機構29の動作条件は、基材の密度、厚さ、幅、搬送速度などに複雑に依存するが、超音波を使用する場合は超音波の出力を、エアブロー等を使用する場合はエア供給量を、素材のコーティング面に該付勢機構が接触しないように設定するのが良い。超音波の出力が強すぎたり、エア供給量が多すぎたりすると、基材が振動して付勢装置29と接触するようになるので、好ましくない。
付勢装置29は、基材幅程度の幅を持ち、ガイドロール27と加熱機構24の上流側にあるサクションロール28の間の距離程度の厚さを持つことが好ましい。
塗布後、基材が水平に搬送されたのち、加熱ステップで基材にかかる張力を膜形成ステップより低減させる機構は、コーティング面に非接触で張力をカットする機構(サクションロール)とコーティング面に非接触で基材の搬送角度を変更する機構(エア浮上ロール)を有し、更に基材の搬送角度を任意に設定する為にガイドロールを設ける形態でもよい。サクションロールのサイズは搬送する可撓性基板の幅から、またエア浮上ロール能力は必要な張力カット力から選定され、ロール間の距離は搬送の安定性から設定する。予備加熱は装置サイズの短縮化に有効であるが特に設けなくてもよい。
本実施形態は、加熱ステップにおいて、搬送される基材は張力が低減された状態で搬送されており、膜形成ステップと加熱ステップとの間の搬送において、基材が水平搬送方向に対し基材側に凸となる箇所を有し、かつ該凸となる箇所においてコーティング面同士が接触しないようコーティング面に対し物理的な接触を要しない付勢力を供給しながら搬送するものである。
101 下部電極
102 下部バッファ層
103 光電変換層
104 上部バッファ層
105 上部電極
106 可撓性基板
107 太陽電池素子
10、20 太陽電池素子製造装置
11、21 供給ロール
12、22 塗布機構
13、23 予備加熱機構
14、24 本加熱機構
15、25 巻取りロール
16、26 駆動ロール
17、27 ガイドロール
18、28 サクションロール
29 物理的な接触を要しない付勢機構

Claims (5)

  1. 少なくとも光電変換層及びバッファ層から選択される1種以上の層を、可撓性基板を含む基材上にコーティングするコーティングステップを有する、ロール・ツー・ロール方式による太陽電池素子の製造方法であって、
    前記コーティングステップは、前記基材上に膜を形成する膜形成ステップ、及び形成した膜を備えた基材を加熱する加熱ステップ、を含み、
    前記加熱ステップにおいて、搬送される基材は前記膜形成ステップよりも張力が低減された状態で搬送され、
    前記膜形成ステップと加熱ステップとの間の前記基材の搬送において、膜を備えた基材が水平搬送方向に対して基材側に凸となる箇所を有し、かつ該凸となる箇所においてコーティング面に対し物理的接触を要しない付勢力を供給しながら搬送する、製造方法。
  2. 前記可撓性基板のガラス転移温度が200℃以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記物理的接触を要しない付勢力がエアである、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記太陽電池素子が有機薄膜太陽電池素子又はペロブスカイト太陽電池素子である、請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 基材を供給する基材供給ロール、基材を巻取る巻取りロール、基材を該基材供給ロール及び該巻取りロール間において搬送する搬送機構、搬送された基材に対しコーティング膜を形成する膜形成機構、形成された膜を加熱する加熱機構、及び該加熱機構において搬送される基材の張力を低減する張力低減機構を備えた太陽電池素子の製造装置であって、
    前記膜形成機構と加熱機構との間において、基材及び形成された膜が搬送方向に対し基材側に凸となる箇所を有し、かつ該凸となる箇所においてコーティング面に対し物理的接触を要しない付勢力を供給する付勢機構を備えた、製造装置。

JP2017031441A 2017-02-22 2017-02-22 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置 Pending JP2018137365A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031441A JP2018137365A (ja) 2017-02-22 2017-02-22 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017031441A JP2018137365A (ja) 2017-02-22 2017-02-22 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018137365A true JP2018137365A (ja) 2018-08-30

Family

ID=63367013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017031441A Pending JP2018137365A (ja) 2017-02-22 2017-02-22 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018137365A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020085342A1 (ja) * 2018-10-22 2020-04-30 国立大学法人東京大学 導電性ポリマー材料及びその製造方法、高分子膜及びその製造方法、導電性高分子膜、光電変換素子並びに電界効果トランジスタ
KR102201896B1 (ko) * 2019-09-24 2021-01-12 한국화학연구원 페로브스카이트 태양전지의 대량 생산 방법

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09307128A (ja) * 1996-05-20 1997-11-28 Fuji Electric Co Ltd 薄膜光電変換素子の製造装置および製造方法
JP2006310764A (ja) * 2005-03-28 2006-11-09 Tdk Corp 印刷乾燥方法、電子部品の製造方法および印刷乾燥装置
JP2013139327A (ja) * 2012-01-06 2013-07-18 Toray Eng Co Ltd エアダンサー
US20130277669A1 (en) * 2010-09-27 2013-10-24 The Technical University Of Denmark Electron transport layer
JP2014011331A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Mitsubishi Chemicals Corp 有機薄膜太陽電池の製造方法
JP2014029883A (ja) * 2009-02-03 2014-02-13 Konica Minolta Inc ロールツーロール方式の有機エレクトロニクス素子の製造装置

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09307128A (ja) * 1996-05-20 1997-11-28 Fuji Electric Co Ltd 薄膜光電変換素子の製造装置および製造方法
JP2006310764A (ja) * 2005-03-28 2006-11-09 Tdk Corp 印刷乾燥方法、電子部品の製造方法および印刷乾燥装置
JP2014029883A (ja) * 2009-02-03 2014-02-13 Konica Minolta Inc ロールツーロール方式の有機エレクトロニクス素子の製造装置
US20130277669A1 (en) * 2010-09-27 2013-10-24 The Technical University Of Denmark Electron transport layer
JP2013139327A (ja) * 2012-01-06 2013-07-18 Toray Eng Co Ltd エアダンサー
JP2014011331A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Mitsubishi Chemicals Corp 有機薄膜太陽電池の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020085342A1 (ja) * 2018-10-22 2020-04-30 国立大学法人東京大学 導電性ポリマー材料及びその製造方法、高分子膜及びその製造方法、導電性高分子膜、光電変換素子並びに電界効果トランジスタ
JP7464987B2 (ja) 2018-10-22 2024-04-10 国立大学法人 東京大学 導電性ポリマー材料及びその製造方法、光電変換素子並びに電界効果トランジスタ
KR102201896B1 (ko) * 2019-09-24 2021-01-12 한국화학연구원 페로브스카이트 태양전지의 대량 생산 방법
WO2021060866A1 (ko) * 2019-09-24 2021-04-01 한국화학연구원 페로브스카이트 태양전지의 대량 생산 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. Graphene oxide derivatives as hole-and electron-extraction layers for high-performance polymer solar cells
JP5748350B2 (ja) 透明導電フィルム、その製造方法、フレキシブル有機電子デバイス、及び、有機薄膜太陽電池
JP5862189B2 (ja) 有機光電変換素子およびこれを用いた太陽電池
JP2016058455A (ja) 光電変換素子、光電変換素子の配線基板、光電変換素子の製造方法、および光電変換構造体
JP5444743B2 (ja) 有機光電変換素子
JP5585066B2 (ja) 有機薄膜型太陽電池及びその製造方法
JP2014064000A (ja) 有機薄膜太陽電池素子
JP2018137365A (ja) 太陽電池素子の製造方法、及び太陽電池素子製造装置
JP5375066B2 (ja) 有機光電変換素子の製造方法、及び有機光電変換素子
JP2014179374A (ja) 太陽電池
US9178171B2 (en) Photovoltaic cell and method for manufacturing the same
KR20180035057A (ko) 유기 태양전지 및 이의 제조 방법
JP2015144272A (ja) 有機デバイス素子の製造方法および有機デバイス素子
JP2018125381A (ja) 太陽電池モジュール
JP2018142597A (ja) 太陽電池モジュール
JP2018137354A (ja) 太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池モジュール製造装置
JP2017183351A (ja) 光電変換素子及びその製造方法、太陽電池、並びに太陽電池モジュール
JP6255746B2 (ja) 有機薄膜太陽電池製造装置
JP2018137409A (ja) 薄膜太陽電池モジュール
JP6069959B2 (ja) 有機薄膜太陽電池素子の製造方法
JP2014064001A (ja) 太陽電池素子、及び太陽電池素子の製造方法
JP2015191964A (ja) 光電変換素子及びその製造方法、並びに太陽電池及び太陽電池モジュール
Oh et al. Electron Beam-Assisted Conjugated Polyelectrolyte/Graphene Oxide Hybrid as a Hole Transporting Material in Organic Solar Cells
JP2014011331A (ja) 有機薄膜太陽電池の製造方法
JP2016051854A (ja) 光電変換素子、有機薄膜太陽電池、及び太陽電池モジュール

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200824

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210309