JP2015144272A - 有機デバイス素子の製造方法および有機デバイス素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安価でフレキシブルかつ安定した性能をもつ有機デバイス素子を提供することを課題とする。【解決手段】少なくとも基材と、下部電極と、第1短絡防止層と、有機半導体層と、第2短絡防止層と、上部電極とをこの順に設けてなる有機デバイス素子において、該第1短絡防止層のみの電気抵抗をR1、該第2短絡防止層のみの電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層膜の電気抵抗をR3としたとき、R3/(R1+R2)>1であることを特徴とする有機デバイスとすることで上記課題を解決する。【選択図】図2
Description
本発明は、有機薄膜太陽電池、有機EL、有機トランジスタ等の有機デバイス素子の製造方法および有機デバイス素子に関するものである。
有機デバイスとは、有機太陽電池、有機EL、有機トランジスタ等の有機半導体を用いたデバイスであり、塗布印刷技術およびロール・ツー・ロール方式による、安価でフレキシブルな製品が期待されている。従来のシリコン等を用いた無機デバイスでは、無機半導体部を大気圧での塗布印刷技術等を用いて作製することは困難であり、この点で有機デバイスは圧倒的に有利と考えられている。
しかし、有機デバイスには、従来のシリコン等を用いた無機デバイスと比較して、少なくともデバイスを構成する有機層が物理的強度に劣るという問題がある。また、ロール・ツー・ロール方式では、作製プロセス中に生じる有機層へのキズ等が原因となり製品の性能が損なわれる場合があることが知られている。例えば特許文献1及び2には、ガスバリアフィルムをロール・ツー・ロール方式により製造する過程で、有機層塗布後のフィルム巻取り工程等で有機層にダメージが生じること、蒸着成膜の際に巻きズレが生じること、が開示されており、またその改善方法についても記載されている。
しかし、有機デバイスには、従来のシリコン等を用いた無機デバイスと比較して、少なくともデバイスを構成する有機層が物理的強度に劣るという問題がある。また、ロール・ツー・ロール方式では、作製プロセス中に生じる有機層へのキズ等が原因となり製品の性能が損なわれる場合があることが知られている。例えば特許文献1及び2には、ガスバリアフィルムをロール・ツー・ロール方式により製造する過程で、有機層塗布後のフィルム巻取り工程等で有機層にダメージが生じること、蒸着成膜の際に巻きズレが生じること、が開示されており、またその改善方法についても記載されている。
本発明者らがロール・ツー・ロール方式による有機デバイス素子の製造を検討したところ、製造した有機デバイス素子は上下電極間の短絡が生じやすいことを見出した。原因について調べたところ、製造プロセス中のロールの巻取り巻出し時に、塗布面とロール裏面の接触や擦れによって有機層にキズ、剥がれが生じてしまう場合があること、ロール搬送を真空環境下でおこなうことでキズ、剥がれが生じやすくなる場合があること、などがわかった。これらのキズ、剥がれが生じたところに電極が形成されると上下電極が直接接触し短絡することで、有機デバイスの性能を低下させることがある。しかしながら前記特許文献1、2に記載された方法では有機デバイスの性能安定性が十分とはならない場合があること、また、前記特許文献2に記載の方法は製造プロセス上、必ずしも効率的とは言えないという問題があることがわかった。
本発明は、このような問題を解決するものであり、安価でフレキシブルかつ安定した性能をもつ有機デバイス素子を提供することを課題とする。
本発明は、このような問題を解決するものであり、安価でフレキシブルかつ安定した性能をもつ有機デバイス素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、有機デバイスの一つである有機薄膜太陽電池を用いて、有機層のキズ、剥がれそのものを少なくするという改善方法とは別に、デバイス特性を大きく阻害しない範囲内で、有機層がはく離した際に高抵抗になり得る層を挿入し、上下電極が直接接することを防ぐという新たな視点での短絡防止法を検討した。その結果、2種の短絡防止層を追加することで十分な短絡防止効果を発揮する場合があることを見出して本発明を完成させた。本発明の概要は以下のとおりである。
本発明の第一の実施態様は有機デバイス素子の製造方法に関し、
可撓性を有する基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成する有機デバイス素子の製造方法であって、
該第1短絡防止層と該第2短絡防止層とは、該第1短絡防止層の電気抵抗をR1、該第2短絡防止層の電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1であることを特徴とする有機デバイス素子の製造方法である。
また、第1短絡防止層を気相成長法により形成することが好ましい。
また、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を含む積層体をロール状に巻き取る前に、第2短絡防止層上に上部電極を形成することが好ましい。
また、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を、可撓性を有する基材を搬送する装置を構成する搬送用のロールに接触させずに、第2短絡防止層上に上部電極を形成することが好ましい。
可撓性を有する基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成する有機デバイス素子の製造方法であって、
該第1短絡防止層と該第2短絡防止層とは、該第1短絡防止層の電気抵抗をR1、該第2短絡防止層の電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1であることを特徴とする有機デバイス素子の製造方法である。
また、第1短絡防止層を気相成長法により形成することが好ましい。
また、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を含む積層体をロール状に巻き取る前に、第2短絡防止層上に上部電極を形成することが好ましい。
また、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を、可撓性を有する基材を搬送する装置を構成する搬送用のロールに接触させずに、第2短絡防止層上に上部電極を形成することが好ましい。
第2短絡防止層の形成方法と上部電極の形成方法が同一の様式であることが好ましい。
また、前記第1短絡防止層がZnOまたはTiO2を主成分とする材料からなり、前記
第2短絡防止層がNiOまたはCuOを主成分とする材料からなることが好ましい。
また、前記有機デバイス素子は、前記第1短絡防止層と前記有機半導体層との間、および/または前記有機半導体層と前記第2短絡防止層との間にバッファ層を有することが好ましい。
また、有機半導体層が有機光電変換層であることが好ましく、有機デバイスが有機薄膜太陽電池であることが好ましい。
また、前記第1短絡防止層がZnOまたはTiO2を主成分とする材料からなり、前記
第2短絡防止層がNiOまたはCuOを主成分とする材料からなることが好ましい。
また、前記有機デバイス素子は、前記第1短絡防止層と前記有機半導体層との間、および/または前記有機半導体層と前記第2短絡防止層との間にバッファ層を有することが好ましい。
また、有機半導体層が有機光電変換層であることが好ましく、有機デバイスが有機薄膜太陽電池であることが好ましい。
また、本発明の第二の実施態様は有機デバイス素子に関し、
基材上に下部電極、第1短絡防止層、第1バッファ層、有機半導体層、第2バッファ層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子である。
また、有機デバイス素子の別の実施態様としては、
基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、
前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子である。
基材上に下部電極、第1短絡防止層、第1バッファ層、有機半導体層、第2バッファ層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子である。
また、有機デバイス素子の別の実施態様としては、
基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、
前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子である。
第一短絡防止層の鉛筆硬度がF以上であることが好ましい。また、有機薄膜太陽電池素子であることが好ましい。
また、前記第1バッファ層が電子取り出し層であり、前記第2バッファ層が正孔取り出し層であることが好ましく、若しくは、前記第1バッファ層が正孔取り出し層であり、前記第2バッファ層が電子取り出し層であることが好ましい。
また、第1短絡防止層が第1バッファ層よりも鉛筆硬度が高いことが好ましい。
また、前記第1バッファ層が電子取り出し層であり、前記第2バッファ層が正孔取り出し層であることが好ましく、若しくは、前記第1バッファ層が正孔取り出し層であり、前記第2バッファ層が電子取り出し層であることが好ましい。
また、第1短絡防止層が第1バッファ層よりも鉛筆硬度が高いことが好ましい。
本発明では、下部電極上に第1短絡防止層及び第2短絡防止層、好ましくは物理的強度の高い第1短絡防止層及び第2短絡防止層を形成することにより、第1短絡防止層の上に形成された物理的強度の小さい有機層にキズや剥がれが生じても下部電極が露出することはなく、上部電極及び下部電極が接触することによる短絡を防止することができる。また、キズや剥がれの生じた有機層上に上部電極を設ける直前に、第2短絡防止層を設けることで、キズや剥がれが生じ有機層等のなくなった部分は、第1短絡防止層と第2短絡防止
層が接して積層された構成となる。第1短絡防止層と第2短絡防止層は接して設けられるときに電気抵抗が大きくなる材料の組合せを選択しているため、短絡を防ぐことができる。
本発明によれば、安価でフレキシブルで安定した性能をもつ有機デバイス素子を得ることができる。
層が接して積層された構成となる。第1短絡防止層と第2短絡防止層は接して設けられるときに電気抵抗が大きくなる材料の組合せを選択しているため、短絡を防ぐことができる。
本発明によれば、安価でフレキシブルで安定した性能をもつ有機デバイス素子を得ることができる。
本発明について以下に具体的に説明するが、本発明は具体的な実施態様のみに限定されない。
本発明の第一の実施態様は、有機デバイス素子の製造方法であり、有機デバイス素子は可撓性を有する基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成するステップを有する。
本発明の第一の実施態様は、有機デバイス素子の製造方法であり、有機デバイス素子は可撓性を有する基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成するステップを有する。
有機デバイス素子としては、有機半導体を用いた有機デバイスが好ましく、例えば発光素子、スイッチング素子、光電変換素子、光電導性を利用した光センサー等が挙げられる。
発光素子としては、表示デバイスに用いられる各種の発光素子が挙げられる。具体例としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント(EL)素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
スイッチング素子の具体例としては、ダイオード(pn接合ダイオード、ショットキー・ダイオード、MOSダイオード等)、トランジスタ(バイポーラートランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等)、サイリスタ、更にはそれらの複合素子(例えばTTL等)等が挙げられる。
光電変換素子の具体例としては、薄膜太陽電池素子、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管、フォトカプラ等が挙げられる。
また、光電導性を利用した光センサーとしては、これらの光電変換素子を利用したものが挙げられる。
これらのうち、有機デバイス素子は有機薄膜太陽電池素子であることが好ましい。
以下、本発明の有機デバイス素子が、有機薄膜太陽電池素子である場合を例に挙げて、説明する。
発光素子としては、表示デバイスに用いられる各種の発光素子が挙げられる。具体例としては、液晶表示素子、高分子分散型液晶表示素子、電気泳動表示素子、エレクトロルミネッセント(EL)素子、エレクトロクロミック素子等が挙げられる。
スイッチング素子の具体例としては、ダイオード(pn接合ダイオード、ショットキー・ダイオード、MOSダイオード等)、トランジスタ(バイポーラートランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)等)、サイリスタ、更にはそれらの複合素子(例えばTTL等)等が挙げられる。
光電変換素子の具体例としては、薄膜太陽電池素子、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管、フォトカプラ等が挙げられる。
また、光電導性を利用した光センサーとしては、これらの光電変換素子を利用したものが挙げられる。
これらのうち、有機デバイス素子は有機薄膜太陽電池素子であることが好ましい。
以下、本発明の有機デバイス素子が、有機薄膜太陽電池素子である場合を例に挙げて、説明する。
1 基材
基材は有機デバイスを保持・形成するための部材であり、当該機能を有する限り、特にその種類は限定されない。
基材の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;
ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
本発明においては、ロール・ツー・ロール方式に適用するために、可撓性を有する基材であり、可撓性が高い点で基材有機材料、紙材料、および複合材料が好ましく、有機材料および複合材料がより好ましく、有機材料が特に好ましい。
本発明において可撓性を有するとは、ロール・ツー・ロール方式に適用できる柔軟性を有することを意味する。具体的には例えば、常温常圧において、直径5m、好ましくは3m、より好ましくは1m、更に好ましくは50cm、特に好ましくは10cm、最も好ましくは3cmの円柱に、巻き取りおよび巻き出しを行っても、割れたり変形しない等、物理的状態が変化しないものをいう。
基材は有機デバイスを保持・形成するための部材であり、当該機能を有する限り、特にその種類は限定されない。
基材の材料は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定されない。基材の材料の好適な例としては、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン;セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;
ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
本発明においては、ロール・ツー・ロール方式に適用するために、可撓性を有する基材であり、可撓性が高い点で基材有機材料、紙材料、および複合材料が好ましく、有機材料および複合材料がより好ましく、有機材料が特に好ましい。
本発明において可撓性を有するとは、ロール・ツー・ロール方式に適用できる柔軟性を有することを意味する。具体的には例えば、常温常圧において、直径5m、好ましくは3m、より好ましくは1m、更に好ましくは50cm、特に好ましくは10cm、最も好ましくは3cmの円柱に、巻き取りおよび巻き出しを行っても、割れたり変形しない等、物理的状態が変化しないものをいう。
また、基材の厚さに制限はないが、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、一方、通常20mm以下、好ましくは10mm以下である。基材の厚さが5μm以上であることは、有機電子デバイスの強度が不足する可能性が低くなるために好ましい。基材の厚さが20mm以下であることは、コストが抑えられ、かつ重量が重くならないために好ましい。
また、基材は透明であっても、不透明であってもよい。有機デバイス素子が有機薄膜太陽電池素子である場合、基材が透明の場合には、基材側から光を入射させることが可能である。
また、基材は透明であっても、不透明であってもよい。有機デバイス素子が有機薄膜太陽電池素子である場合、基材が透明の場合には、基材側から光を入射させることが可能である。
2 電極
有機薄膜太陽電池素子は、有機半導体層である有機光電変換層及び一対の電極(第一電極及び第二電極)を有する。一実施態様では、基材上に下部電極が積層され、積層体を構成し、当該積層体にレーザー加工を行うことができる。また、有機光電変換層の積層後、上部電極が積層された積層体にレーザー加工を行うことができる。一対の電極とは、通常、以下に説明するアノードとカソードをいうが、下部電極がアノードであり、上部電極がカソードであってもよいし、下部電極がカソードであり、上部電極がアノードであってもよい。
有機薄膜太陽電池素子は、有機半導体層である有機光電変換層及び一対の電極(第一電極及び第二電極)を有する。一実施態様では、基材上に下部電極が積層され、積層体を構成し、当該積層体にレーザー加工を行うことができる。また、有機光電変換層の積層後、上部電極が積層された積層体にレーザー加工を行うことができる。一対の電極とは、通常、以下に説明するアノードとカソードをいうが、下部電極がアノードであり、上部電極がカソードであってもよいし、下部電極がカソードであり、上部電極がアノードであってもよい。
一対の電極は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有する。したがって一対の電極には、正孔の捕集に適した電極(以下、アノードと記載する場合もある)と、電子の捕集に適した電極(以下、カソードと記載する場合もある)とを用いることが好ましい。一対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過することを指す。また、透明電極の太陽光線透過率は70%以上であることが、透明電極を透過させて光電変換層に光を到達させるために好ましい。光の透過率は、通常の分光光度計で測定できる。
アノードとは、一般には仕事関数がカソードよりも高い導電性材料で構成され、有機光電変換層で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノードの材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノードが透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノードの材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、インジウム−ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、この導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を、アノードの材料として使用することもできる。
アノードが透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化スズ等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノードの厚さは特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは、50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノードの厚さが上記下限以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノードの厚さが上記上限以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。アノードが透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗とを両立できる厚さを選ぶ必要がある。
アノードのシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
アノードのシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法が挙げられる。
カソードは、一般には仕事関数が低い値を有する導電性材料で構成され、光電変換層で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極である。カソードは、電子取り出し層と隣接する。
カソードの材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料であるため、好ましい。カソードについてもアノードと同様に、電子取り出し層としてチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、高い仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソードの材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム若しくはインジウム等の金属、又は酸化インジウムスズ等のこれらの金属を用いた合金である。
カソードの材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料であるため、好ましい。カソードについてもアノードと同様に、電子取り出し層としてチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、高い仕事関数を有する材料を用いることもできる。電極保護の観点から、カソードの材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウム、カルシウム若しくはインジウム等の金属、又は酸化インジウムスズ等のこれらの金属を用いた合金である。
カソードの厚さは特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。カソードの厚さが上記下限以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソードの厚さが上記上限以下であることにより、光透過率を低下させずに効率よく光を電気に変換することができる。カソードが透明電極である場合には、光透過率とシート抵抗を両立する厚さを選ぶ必要がある。
カソードのシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
カソードのシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソードの形成方法としては、蒸着法若しくはスパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式塗布法等がある。
さらに、アノード及びカソードは、2層以上の積層構造を有していてもよい。また、アノード及びカソードに対して表面処理を行うことにより、特性(電気特性やぬれ特性等)を改良してもよい。
アノード及びカソードを積層した後に、有機薄膜太陽電池素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、有機薄膜太陽電池素子の各層間の密着性、例えば電子取り出し層とカソード及び/又は電子取り出し層と有機光電変換層の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、有機薄膜太陽電池素子の熱安定性や耐久性等が向
上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、有機光電変換層内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
アノード及びカソードを積層した後に、有機薄膜太陽電池素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。アニーリング処理工程を50℃以上の温度で行うことにより、有機薄膜太陽電池素子の各層間の密着性、例えば電子取り出し層とカソード及び/又は電子取り出し層と有機光電変換層の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。各層間の密着性が向上することにより、有機薄膜太陽電池素子の熱安定性や耐久性等が向
上しうる。アニーリング処理工程の温度を300℃以下にすることは、有機光電変換層内の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。アニーリング処理工程においては、上記の温度範囲内で段階的な加熱を行ってもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。アニーリング処理工程は、太陽電池性能のパラメータである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、アニーリング処理工程は、常圧下、かつ不活性ガス雰囲気中で実施することが好ましい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に有機薄膜太陽電池素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に有機薄膜太陽電池素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に有機薄膜太陽電池素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気中に有機薄膜太陽電池素子を入れてもよい。また、加熱はバッチ式で行っても連続方式で行ってもよい。
3 バッファ層(電子取り出し層、正孔取り出し層)
本実施態様に係る有機薄膜太陽電池素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に存在する有機光電変換層を有するが、通常、該有機光電変換層と該電極の一方との間にバッファ層を有する。第1短絡防止層と有機半導体層との間に位置するバッファ層を第1バッファ層、有機半導体層と第2短絡防止層との間に位置するバッファ層を第2バッファ層という。
また、本発明において、電子取り出し層および/又は正孔取り出し層をバッファ層と呼び、第1バッファ層が電子取り出し層で、第2バッファ層が正孔取り出し層の場合と、第1バッファ層が正孔取り出し層で、第2バッファ層が電子取り出し層の場合がある。通常は、カソードと有機光電変換層との間に電子取り出し層を有する。また、有機光電変換層とアノードとの間に正孔取り出し層を有する。なお、電子取り出し層および正孔取り出し層は必須ではない。
本実施態様に係る有機薄膜太陽電池素子は、少なくとも一対の電極と、該電極間に存在する有機光電変換層を有するが、通常、該有機光電変換層と該電極の一方との間にバッファ層を有する。第1短絡防止層と有機半導体層との間に位置するバッファ層を第1バッファ層、有機半導体層と第2短絡防止層との間に位置するバッファ層を第2バッファ層という。
また、本発明において、電子取り出し層および/又は正孔取り出し層をバッファ層と呼び、第1バッファ層が電子取り出し層で、第2バッファ層が正孔取り出し層の場合と、第1バッファ層が正孔取り出し層で、第2バッファ層が電子取り出し層の場合がある。通常は、カソードと有機光電変換層との間に電子取り出し層を有する。また、有機光電変換層とアノードとの間に正孔取り出し層を有する。なお、電子取り出し層および正孔取り出し層は必須ではない。
本実施態様では、有機光電変換層と電極との間にバッファ層を有することが好ましく、有機光電変換層と上部電極との間にバッファ層を有することがより好ましい。また、バッファ層を有することで光電変換効率が向上するだけでなく、レーザー加工の際のダメージを軽減できる。この場合のバッファ層は、電子取り出し層または正孔取り出し層のどちらでも良いが、厚さは0.1nm以上であることが好ましい。
電子取り出し層の厚さは、通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。電子取り出し層の厚さが上記下限以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子取り出し層の厚さが上記上限以下であることで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層の厚さは、通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。電子取り出し層の厚さが上記下限以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、電子取り出し層の厚さが上記上限以下であることで、電子が取り出しやすくなり、光電変換効率が向上しうる。
正孔取り出し層の厚さは、通常0.1nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層の厚さが上記下限以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層の厚さが上記上限以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上しうる。
電子取り出し層と正孔取り出し層とは、一対の電極間に、有機光電変換層を挟むように配置されることが好ましい。すなわち、有機薄膜太陽電池素子が電子取り出し層と正孔取り出し層の両者を含む場合、上部電極、正孔取り出し層、有機光電変換層、電子取り出し層、及び下部電極をこの順に配置することができる。有機薄膜太陽電池素子が電子取り出し層を含み正孔取り出し層を含まない場合は、上部電極、有機光電変換層、電子取り出し層、及び下部電極をこの順に配置することができる。電子取り出し層と正孔取り出し層とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層と正孔取り出し層の少なくとも一方が異なる複数の層により構成されていてもよい。
電子取り出し層と正孔取り出し層とは、一対の電極間に、有機光電変換層を挟むように配置されることが好ましい。すなわち、有機薄膜太陽電池素子が電子取り出し層と正孔取り出し層の両者を含む場合、上部電極、正孔取り出し層、有機光電変換層、電子取り出し層、及び下部電極をこの順に配置することができる。有機薄膜太陽電池素子が電子取り出し層を含み正孔取り出し層を含まない場合は、上部電極、有機光電変換層、電子取り出し層、及び下部電極をこの順に配置することができる。電子取り出し層と正孔取り出し層とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層と正孔取り出し層の少なくとも一方が異なる複数の層により構成されていてもよい。
3.1 電子取り出し層
電子取り出し層の材料は、有機光電変換層からカソードへ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の材料の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
電子取り出し層の材料は、有機光電変換層からカソードへ電子の取り出し効率を向上させる材料であれば特段の制限はないが、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の材料の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の材料の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−4.0eV以上、好ましくは−3.9eV以上である。一方、通常−1.9eV以下、好ましくは−2.0eV以下である。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−1.9eV以下であることは、電荷移動が促進されうる点で好ましい。電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位が−4.0eV以上であることは、n型半導体材料への逆電子移動が防がれうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位は、特に限定は無いが、通常−9.0eV以上、好ましくは−8.0eV以上である。一方、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。電子取り出し層の材料のHOMOエネルギー準位が−5.0eV以下であることは、正孔が移動してくることを阻止しうる点で好ましい。
電子取り出し層の材料のLUMOエネルギー準位及びHOMOエネルギー準位の算出方法としては、サイクリックボルタモグラム測定法が挙げられる。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法を参考にして実施することができる。
電子取り出し層の材料が有機化合物である場合、DSC法により測定した場合のこの化合物のガラス転移温度(以下、Tgと記載する場合もある)は、特段の制限はないが、観測されないか、又は55℃以上であることが好ましい。DSC法によりガラス転移温度が観測されないとは、ガラス転移温度がないことを意味する。具体的には400℃以下のガラス転移温度の有無により判別する。DSC法によるガラス転移温度が観測されない材料は、熱的に高い安定性を有している点で好ましい。
また、DSC法により測定した場合のガラス転移温度が55℃以上である化合物の中でも、ガラス転移温度が、好ましくは65℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは110℃以上、特に好ましくは120℃以上である化合物が望ましい。一方、ガラス転移温度の上限は特に限定はないが、通常400℃以下、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、電子取り出し層の材料は、DSC法によるガラ
ス転移温度が30℃以上55度未満に観測されないものであることが好ましい。
ス転移温度が30℃以上55度未満に観測されないものであることが好ましい。
本明細書におけるガラス転移温度とは、アモルファス状態の固体において、熱エネルギーにより局所的な分子運動が開始される温度とされており、比熱が変化する点として定義される。Tgよりさらに温度が上がると、固体構造が変化して結晶化が起こる(この時の温度を結晶化温度(Tc)とする)。さらに温度が上がると、融点(Tm)で融解し液体状態に変化することが一般的である。但し、高温で分子が分解したり、昇華したりして、これらの相転移が見られないこともある。
DSC法とは、JIS K−0129“熱分析通則”に定義された熱物性の測定法(示差走査熱量測定法)である。ガラス転移温度をより明確に決める為には、一度ガラス転移点以上の温度に加熱したサンプルを急冷した後に測定することが望ましい。例えば、公知文献(国際公開第2011/016430号)に記載の方法により、測定を実施することができる。
電子取り出し層に用いられる化合物のガラス転移温度が55℃以上である場合、この化合物は、印加される電場、流れる電流、曲げや温度変化による応力等の外部ストレスに対して構造が変化しにくいため、耐久性の面で好ましい。さらに、化合物の薄膜の結晶化が進みにくい傾向も有すことから、使用温度範囲においてこの化合物がアモルファス状態と結晶状態との間で変化しにくくなることにより、電子取り出し層としての安定性が良くなるため、耐久性の面で好ましい。この効果は、材料のガラス転移温度が高ければ高いほど、より顕著に表れる。
電子取り出し層の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。
塗布法により電子取り出し層を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
具体的には、例えばアルカリ金属塩を電子取り出し層の材料として用いる場合、真空蒸着、スパッタ等の真空成膜方法を用いて電子取り出し層を成膜することが可能である。なかでも、抵抗加熱による真空蒸着によって、電子取り出し層を形成するのが望ましい。真空蒸着を用いることにより、有機光電変換層等の他の層へのダメージを小さくすることができる。
塗布法により電子取り出し層を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
具体的には、例えばアルカリ金属塩を電子取り出し層の材料として用いる場合、真空蒸着、スパッタ等の真空成膜方法を用いて電子取り出し層を成膜することが可能である。なかでも、抵抗加熱による真空蒸着によって、電子取り出し層を形成するのが望ましい。真空蒸着を用いることにより、有機光電変換層等の他の層へのダメージを小さくすることができる。
一方、n型半導体の金属酸化物については、例えば、酸化亜鉛ZnOを電子取り出し層の材料として用いる場合には、スパッタ法等の真空成膜方法を用いることもできるが、塗布法を用いて電子取り出し層を成膜することが望ましい。例えば、Sol−Gel Science、C.J.Brinker,G.W.Scherer著、Academic Press(1990)に記載のゾルゲル法に従って、酸化亜鉛で構成される電子取り出し層を形成できる。この場合の厚さは、通常0.1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは5nm以上であり、通常1μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。電子取り出し層が薄すぎると、電子の取り出し効率を向上させる効果が十分でなくなり、厚すぎると、電子取り出し層が直列抵抗成分として作用することにより素子の特性を損なう傾向がある。
3.2 正孔取り出し層
正孔取り出し層の材料に特に限定は無く、有機光電変換層からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ナフィオン、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の層も使用することができる。金属等の層は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の材料に特に限定は無く、有機光電変換層からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、ナフィオン、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。また、金、インジウム、銀又はパラジウム等の金属等の層も使用することができる。金属等の層は、単独で形成してもよいし、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコート法やインクジェット法等の湿式塗布法等により形成することができる。正孔取り出し層に半導体材料を用いる場合は、後述の有機光電変換層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
なかでも、正孔取り出し層の材料としてPEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
なかでも、正孔取り出し層の材料としてPEDOT:PSSを用いる場合、分散液を塗布する方法によって正孔取り出し層を形成することが好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、ヘレウス社製のCLEVIOSTMシリーズや、アグファ社製のORGACONTMシリーズ等が挙げられる。
塗布法により正孔取り出し層を形成する場合は、塗布液にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡若しくは異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。なかでも、ケイ素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤としては1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
4 有機光電変換層(有機半導体層)
有機光電変換層は、通常p型半導体化合物とn型半導体化合物をと含む。p型半導体化合物とは、p型半導体材料として働く化合物であり、n型半導体化合物とは、n型半導体材料として働く化合物である。有機薄膜太陽電池素子が光を受けると、光が有機光電変換層に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極から取り出される。
有機光電変換層の材料に有機化合物を用いると、簡易な塗布プロセスにより形成しうるため好ましい。有機光電変換層の層構成としては、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物層と、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)と、n型半導体化合物層とが積層されたもの、等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型が好ましい。
有機光電変換層は、通常p型半導体化合物とn型半導体化合物をと含む。p型半導体化合物とは、p型半導体材料として働く化合物であり、n型半導体化合物とは、n型半導体材料として働く化合物である。有機薄膜太陽電池素子が光を受けると、光が有機光電変換層に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物との界面で電気が発生し、発生した電気が電極から取り出される。
有機光電変換層の材料に有機化合物を用いると、簡易な塗布プロセスにより形成しうるため好ましい。有機光電変換層の層構成としては、p型半導体化合物層とn型半導体化合物層とが積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層を有するバルクヘテロ接合型、p型半導体化合物層と、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層(i層)と、n型半導体化合物層とが積層されたもの、等が挙げられる。なかでも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層を有するバルクヘテロ接合型が好ましい。
有機光電変換層の厚さは特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。有機光電変換層の厚さが10nm以上であることは、層の均一性が
保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、有機光電変換層の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、有機光電変換層の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
有機光電変換層の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法としては、任意の方法を用いることができるが、例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
例えば、p型半導体化合物層及びn型半導体化合物層は、p型半導体化合物又はn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。また、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。後述するように、半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後で、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換してもよい。
なお、有機光電変換層は、ロール・ツー・ロールにより製造されることが好ましく、その場合には、塗布法により形成されることが好ましい。
例えば、p型半導体化合物層及びn型半導体化合物層は、p型半導体化合物又はn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。また、p型半導体化合物とn型半導体化合物とが混合した層は、p型半導体化合物及びn型半導体化合物を含む塗布液を塗布することにより作製しうる。後述するように、半導体化合物前駆体を含む塗布液を塗布した後で、半導体化合物前駆体を半導体化合物へと変換してもよい。
なお、有機光電変換層は、ロール・ツー・ロールにより製造されることが好ましく、その場合には、塗布法により形成されることが好ましい。
4.1 光電変換特性
有機薄膜太陽電池素子の光電変換特性は次のようにして求めることができる。有機薄膜太陽電池素子にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効
率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
有機薄膜太陽電池素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
また、有機薄膜太陽電池素子の耐久性を測定する方法としては、有機薄膜太陽電池素子を大気暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
有機薄膜太陽電池素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、1週間大気暴露する前後での光電変換効率の維持率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。
有機薄膜太陽電池素子の光電変換特性は次のようにして求めることができる。有機薄膜太陽電池素子にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定する。得られた電流−電圧曲線から、光電変換効
率(PCE)、短絡電流密度(Jsc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
有機薄膜太陽電池素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はなく、高ければ高いほどよい。
また、有機薄膜太陽電池素子の耐久性を測定する方法としては、有機薄膜太陽電池素子を大気暴露する前後での、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間後の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
有機薄膜太陽電池素子を実用化するには、製造が簡便かつ安価であること以外に、高い光電変換効率及び高い耐久性を有することが重要である。この観点から、1週間大気暴露する前後での光電変換効率の維持率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、高ければ高いほどよい。
5 第1短絡防止層および第2短絡防止層
本実施態様では、第1短絡防止層および第2短絡防止層を用い、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層とは、該第1短絡防止層の電気抵抗をR1、該第2短絡防止層の電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1であることを特徴とする。
本実施態様では、第1短絡防止層および第2短絡防止層を用い、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層とは、該第1短絡防止層の電気抵抗をR1、該第2短絡防止層の電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1であることを特徴とする。
本実施態様では、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成する。ロール・ツー・ロール方式は、有機デバイス素子の生産効率の観点からは非常に有用な方法である。しかしながら、本発明者らがロール・ツー・ロール方式による有機デバイス素子の製造を検討したところ、上下電極間の短絡が生じやすいことを見出した。原因について調べたところ、製造プロセス中のロールの巻き取り巻出し時に、塗布面とロール裏面の接触や擦れによって有機層にキズ、剥がれが生じてしまう場合があること、ロール搬送を真空環境下でおこなうことでキズ、剥がれが生じやすくなる場合があること、という、有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成した際に生じる新たな課題を見出した。そして本発明者らは、このような課題に対応すべく、特定の性質を有する第1短絡防止層、及び第2短絡防止層を設けることに想到した。
このことについて、図を用いて説明する。
図1は、従来の技術を用いて、有機薄膜太陽電池素子をロール・ツー・ロール方式で製造した場合の層構成を表す模式図である。
図1に示す有機薄膜太陽電池は、基材1上に下部電極2、有機光電変換層3、及び上部電極4を順に積層してなる。有機光電変換層3がロール・ツー・ロール方式で製造された場合、ロールの巻き取り巻出し時に、塗布面とロール裏面の接触や擦れによって有機光電変換層3にキズ、剥がれが生じる場合がある。そのような状況において、上部電極4を積層した場合には、下部電極2と上部電極4とが接点10において接触乃至はそれに近い状態となり、有機薄膜太陽電池素子が短絡する場合が生じる。
図1は、従来の技術を用いて、有機薄膜太陽電池素子をロール・ツー・ロール方式で製造した場合の層構成を表す模式図である。
図1に示す有機薄膜太陽電池は、基材1上に下部電極2、有機光電変換層3、及び上部電極4を順に積層してなる。有機光電変換層3がロール・ツー・ロール方式で製造された場合、ロールの巻き取り巻出し時に、塗布面とロール裏面の接触や擦れによって有機光電変換層3にキズ、剥がれが生じる場合がある。そのような状況において、上部電極4を積層した場合には、下部電極2と上部電極4とが接点10において接触乃至はそれに近い状態となり、有機薄膜太陽電池素子が短絡する場合が生じる。
一方で、図2に示す、本実施態様に係る有機薄膜太陽電池は、基材1上に下部電極2、第1短絡防止層5、有機光電変換層3、第2短絡防止層6、上部電極4を順に積層してなる。本実施態様では、このように第1短絡防止層及び第2短絡防止層を有することで、有機光電変換層3にキズを生じた場合であっても、下部電極2と上部電極4との間には短絡防止層が存在するため、電極同士が直接接触することはない。加えて、第1短絡防止層5と第2短絡防止層6は、接触した際に非常に高い抵抗を有する、という特徴がある。そのため、第1短絡防止層5と第2短絡防止層6の積層体は電流が流れにくく、有機薄膜太陽電池素子の短絡を防ぐことができる。
第1短絡防止層は下部電極と有機半導体層の間に設けられ、有機半導体層にキズや剥がれが生じても上下電極が直に接することのないようにする役割があるため、物理的に強固な層である必要がある。そのためには緻密な層を形成することが好ましく、物理気相成長法や化学気相成長法等の真空減圧下で薄膜を形成する方法(気相成長法)が好ましい成膜方法として挙げられる。すなわち、スパッタリング、イオンビームデポジション、イオンプレーティング、真空蒸着、CVD等の真空減圧下で第1短絡防止層を形成する方法が好ましい。
薄膜ハンドブック(日本学術振興会、薄膜第131委員会編、オーム社、第1版第6刷、P865)には、耐摩耗性向上に関する記述で、無機物は本質的に硬さが大きく耐摩耗性が非常に優れていること、無機物薄膜形成に有効な方法としてはスパッタリング、反応性蒸着、反応性イオンプレーティング、CVD等のドライプロセスが挙げられること、が記載されている。下部電極はスパッタリング法により形成される場合が多いため、第1短絡防止層の形成にもスパッタリング法を用いれば下部電極の作製と連続して第1短絡防止層まで巻取り工程等を含まず作製することが原理的に容易であり好ましい。
一方、wet塗布法等の塗布法を用いると有機物が残存し易いこともあり強固な層は得にくい傾向があるが、ゾルゲル法などは比較的強固な層が得られる傾向がある。ただし熱処理等のプロセスは基材等にダメージを与える可能性があるため、注意が必要である。
一方、wet塗布法等の塗布法を用いると有機物が残存し易いこともあり強固な層は得にくい傾向があるが、ゾルゲル法などは比較的強固な層が得られる傾向がある。ただし熱処理等のプロセスは基材等にダメージを与える可能性があるため、注意が必要である。
第1短絡防止層が物理的に強固であることは、硬さを有機半導体層等と比較して測定すること等により調べることができる。硬さ試験の種類としては、マイクロビッカース硬さ、ヌープ硬さ等の押し込み硬さや、鉛筆硬度などの引掻き試験等がある。いずれも最表層のみの性質だけでなく下地の影響等を受けると考えられるが、本発明における試験法としては、例えば、少なくとも第2短絡防止層の直下の層まで形成した積層体にJIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用しひっかきキズを生じさせたとき、第1短絡防止層より上の層が削られ最表面が第1短絡防止層になり得るかを確認する方法が挙げられる。
用いる鉛筆のしんの硬さを変えたとき、あるしんの硬さにおいて第1短絡防止層より上の層が削られ最表面が第1短絡防止層になれば、特に本発明の効果が期待できる。十分な効果が期待できる硬度として、第1短絡防止層はF以上の鉛筆硬度を有することが好まし
く、H以上であることがより好ましい。更に、上記同様の理由により、有機半導体層がバッファ層を含む場合には、第1短絡防止層と第1バッファ層とが積層することになり、第1短絡防止層の鉛筆硬度が第1バッファ層の鉛筆硬度よりも高いことが好ましい。
用いる鉛筆のしんの硬さを変えたとき、あるしんの硬さにおいて第1短絡防止層より上の層が削られ最表面が第1短絡防止層になれば、特に本発明の効果が期待できる。十分な効果が期待できる硬度として、第1短絡防止層はF以上の鉛筆硬度を有することが好まし
く、H以上であることがより好ましい。更に、上記同様の理由により、有機半導体層がバッファ層を含む場合には、第1短絡防止層と第1バッファ層とが積層することになり、第1短絡防止層の鉛筆硬度が第1バッファ層の鉛筆硬度よりも高いことが好ましい。
また、第1短絡防止層の鉛筆硬度を測定するには、例えば有機デバイス素子の製造過程において第1短絡防止層まで形成した積層体にJIS K 5600−5−4に記載の鉛筆
硬度測定法を適用すれば良い。完成した有機デバイスの第1短絡防止層の鉛筆硬度を測定する場合は、保護材等を取り除き有機デバイス機能を発現させる積層体部を露出させた後、テープ剥離や溶剤を浸透させた布で拭き取る等の方法で第1短絡防止層を最表面に露出させた上で、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用する。
硬度測定法を適用すれば良い。完成した有機デバイスの第1短絡防止層の鉛筆硬度を測定する場合は、保護材等を取り除き有機デバイス機能を発現させる積層体部を露出させた後、テープ剥離や溶剤を浸透させた布で拭き取る等の方法で第1短絡防止層を最表面に露出させた上で、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用する。
有機半導体層のキズ部及び/又は剥がれ部で、第1短絡防止層と第2短絡防止層の接触を確実に作るためには、第2短絡防止層にキズや剥がれが生じさせない必要がある。従って、第2短絡防止層作製後上部電極作製前にロールの巻取り等のキズ等の原因となるプロセスを挟まず、連続で上部電極を作製することが好ましい。すなわち、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層が他の物体と接触することなく、上部電極を形成することが好ましい。物理的強度の小さい有機層等が下にあると、巻き取り巻出し等のキズ等の原因となるプロセスにおいて、他の物体(巻き取り巻出しでは基材)と接触することとなり、第2短絡防止層が有機層ごと取り除かれてしまう可能性が増すからである。
例えば、スパッタリング法を用いれば、ロール・ツー・ロールプロセスで第2短絡防止層と上部電極を連続で作製することが容易に可能となる。なお、上部電極まで設けた後にキズ等が生じたとしても上部電極ごと取り除かれることになるので、上部電極と下部電極とが短絡する可能性は低い。
例えば、スパッタリング法を用いれば、ロール・ツー・ロールプロセスで第2短絡防止層と上部電極を連続で作製することが容易に可能となる。なお、上部電極まで設けた後にキズ等が生じたとしても上部電極ごと取り除かれることになるので、上部電極と下部電極とが短絡する可能性は低い。
第1短絡防止層及び第2短絡防止層の電気抵抗は大きい方が短絡防止には好ましいが、本発明では第1短絡防止層と第2短絡防止層とを積層することで高抵抗層を得るため、どちらか一方のみで高抵抗になる必要はない。単層での電気抵抗が大きすぎると有機デバイス素子の性能を低下させるため、積層体の電気抵抗が各層の単層の電気抵抗の和よりも大きくなる材料の組合せにする必要がある。一方、短絡防止層それぞれの単層での抵抗が通常の金属導体のように小さければ有機デバイスの性能を阻害する可能性は小さくなるが、2種の短絡防止層を積層したときに高抵抗を示す組合せを得ることは難しい。したがって、積層することで単層の場合より電気抵抗が大きくなる性質が重要である。
このような性質をもつ短絡防止層の組合せとしては、第1短絡防止層がn型、第2短絡防止層がp型の半導体的な性質をもたせるか、または、第1短絡防止層がp型、第2短絡防止層がn型の半導体的な性質をもたせる方法が考えられる。n型半導体とp型半導体が接触していると、n型半導体の電気伝導を担う伝導帯の電子をp型半導体側で受け取りにくく、また、p型半導体の電気伝導を担う正孔に対してn型半導体側から電子を渡しにくい状況等が生じるからである。
有機薄膜太陽電池の場合には、電子を取り出す電極側にn型半導体的性質をもつ短絡防止層を設け、正孔を取り出す電極側にp型半導体的性質をもつ短絡防止層を設けることが好ましいが、個々の材料の組合せにおいて2種の短絡防止層のキャリア(電子、正孔)の密度やエネルギーレベル、易動度、厚さなどの関係により積層での高抵抗化は変化する可能性があるため、必ずしもn型とp型の組合せに分類できない。
有機薄膜太陽電池の場合には、電子を取り出す電極側にn型半導体的性質をもつ短絡防止層を設け、正孔を取り出す電極側にp型半導体的性質をもつ短絡防止層を設けることが好ましいが、個々の材料の組合せにおいて2種の短絡防止層のキャリア(電子、正孔)の密度やエネルギーレベル、易動度、厚さなどの関係により積層での高抵抗化は変化する可能性があるため、必ずしもn型とp型の組合せに分類できない。
以上詳述した通り、第1短絡防止層のみの電気抵抗をR1、第2短絡防止層のみの電気抵抗をR2、第1短絡防止層と第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたとき、R3/(R1+R2)の値が1を超えることで短絡防止効果が得られる。好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは100以上が良い。短絡防止効果を得るにはR3/(R1+R2)の値は大きい方が好ましい。なお、金属導体の積層体のR3/(
R1+R2)の値は、通常1である。
本発明において、層の電気抵抗は、厚さ方向の値である。電気抵抗の測定は、有機デバイスの特性を測定する公知の機器により、四端子法を用いて行うことができる。すなわち、基材、下部電極、抵抗測定対象層、上部電極の構成として電気抵抗の測定を行う。測定された電気抵抗が測定端子部までの導通を確保する電極部面内抵抗を含んだ値であれば、公知の方法で補正を行う。第1短絡防止層、第2短絡防止層の材料によっては光照射によってキャリアが生成され抵抗が変化する場合もあるが、本実施態様においては光を遮断した状態で抵抗の測定を行う。電圧と電流が比例関係になく電気抵抗が電圧により変化する場合は、本発明の目的を考慮すると抵抗測定時の電圧は有機デバイス素子の動作電圧とすることが好ましく、太陽電池素子の場合は+0.5Vと−0.5Vの電圧をかけたときの電流の差により電気抵抗を測定することが好ましい。電流が大きくなりすぎて測定に支障を来す場合は電流が測定できる低い電圧値を用いて良い。
R1+R2)の値は、通常1である。
本発明において、層の電気抵抗は、厚さ方向の値である。電気抵抗の測定は、有機デバイスの特性を測定する公知の機器により、四端子法を用いて行うことができる。すなわち、基材、下部電極、抵抗測定対象層、上部電極の構成として電気抵抗の測定を行う。測定された電気抵抗が測定端子部までの導通を確保する電極部面内抵抗を含んだ値であれば、公知の方法で補正を行う。第1短絡防止層、第2短絡防止層の材料によっては光照射によってキャリアが生成され抵抗が変化する場合もあるが、本実施態様においては光を遮断した状態で抵抗の測定を行う。電圧と電流が比例関係になく電気抵抗が電圧により変化する場合は、本発明の目的を考慮すると抵抗測定時の電圧は有機デバイス素子の動作電圧とすることが好ましく、太陽電池素子の場合は+0.5Vと−0.5Vの電圧をかけたときの電流の差により電気抵抗を測定することが好ましい。電流が大きくなりすぎて測定に支障を来す場合は電流が測定できる低い電圧値を用いて良い。
第1短絡防止層、第2短絡防止層の材料としては上記電気抵抗の条件を満たすものであれば特に制限はなく、積層による抵抗の増大、有機デバイス特性の変化、等の特性により材料の組合せを選ぶことができる。電子取り出し層、正孔取り出し層の材料を用いることもできるが、硬さ等の点で無機物が好ましく、酸化物、フッ化物、窒化物、炭化物等の半導体的性質を持つ材料等が挙げられる。透明性の点では酸化物、フッ化物が好ましい。具体例としては以下の第1群の中から第1短絡防止層または第2短絡防止層の一方を、第2群の中からもう一方を選ぶことが好ましい。
第1群:Zn−O、Ti−O、Sn−O、In−O、Cd−O、In−Sn−O、Ga−O、Ca−Al−O、In−Ga−Zn−O、In−Zn−O、Cu−In−O、Te−O、Ge−O、W−O、Mo−O、V−O、Eu−O、Zn−Al−O、Zn−Ga−O、Ti−Nb−O、Nb−O、Zr−O、Al−O、Li−F、Na−F、K−F、Cs−F、及びこれらの混合物。
第2群:Ni−O、Cu−O、Cu−Al−O、Zn−Rh−O、Ni−Li−O、Cu−Mn−O、Cu−Ga−O、La−Cu−O−S、Mo−O、W−O、V−O、La−Cu−O−Se、Sr−Cu−O、Cu−In−O、Cu−Bi−O、及びこれらの混合物。
特に優れた組合せとしては、積層抵抗を大きくする意味では一方の短絡防止層はZn−OかTi−Oを主成分とした材料とし、もう一方をNi−OかCu−Oを主成分とした材料とすることが好ましい。なお、短絡防止層の主成分とは含有量が60at.%以上であり、好ましくは80at.%以上、より好ましくは90at.%以上、さらに好ましくは95at.%以上である。
なお、M−O、M−Fの表記は元素Mの酸化物、元素Mのフッ化物であって化合物組成からずれた組成比も含まれることを表している。
第1群:Zn−O、Ti−O、Sn−O、In−O、Cd−O、In−Sn−O、Ga−O、Ca−Al−O、In−Ga−Zn−O、In−Zn−O、Cu−In−O、Te−O、Ge−O、W−O、Mo−O、V−O、Eu−O、Zn−Al−O、Zn−Ga−O、Ti−Nb−O、Nb−O、Zr−O、Al−O、Li−F、Na−F、K−F、Cs−F、及びこれらの混合物。
第2群:Ni−O、Cu−O、Cu−Al−O、Zn−Rh−O、Ni−Li−O、Cu−Mn−O、Cu−Ga−O、La−Cu−O−S、Mo−O、W−O、V−O、La−Cu−O−Se、Sr−Cu−O、Cu−In−O、Cu−Bi−O、及びこれらの混合物。
特に優れた組合せとしては、積層抵抗を大きくする意味では一方の短絡防止層はZn−OかTi−Oを主成分とした材料とし、もう一方をNi−OかCu−Oを主成分とした材料とすることが好ましい。なお、短絡防止層の主成分とは含有量が60at.%以上であり、好ましくは80at.%以上、より好ましくは90at.%以上、さらに好ましくは95at.%以上である。
なお、M−O、M−Fの表記は元素Mの酸化物、元素Mのフッ化物であって化合物組成からずれた組成比も含まれることを表している。
第1短絡防止層は有機半導体層のキズや剥がれと同時に取り除かれてしまわないように、厚さは通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは30nm以上である。一方有機薄膜太陽電池特性を阻害しにくくするため通常500nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
第2短絡防止層は、第1短絡防止層と確実に積層させ高抵抗を得るため通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上であるが、キズ部の面積が比較的小さい等のため大幅な高抵抗化が必ずしも必要ない場合には10nm以下の薄い厚さで調整することもできる。一方有機太陽電池特性を阻害しにくくするため、また、セルを直列化する場合に抵抗が大きくなりすぎないようにするため通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
短絡防止層を設けたときに有機太陽電池特性を良好に保つには有機半導体層(活性層)を挟んで第1バッファ層と第2バッファ層を有機半導体層に接して設けることが好ましい。第1短絡防止層は機械強度が高く、第2短絡防止層と接したときに抵抗値が大幅に大きくなることが好ましい。一方、バッファ層は電子取り出し機能または正孔取り出し機能に優れる材料とするために、エネルギーレベルやキャリア密度を所定の範囲に設定した材料や製法を選択する必要等がある。これらの異なる要求特性を満たすためには、第1短絡防止層と有機半導体層との間にバッファ層を有するのが好ましい。
また、第2短絡防止層は、第1短絡防止層と接したときに抵抗値が大幅に大きくなる性質に加え、上部電極の形成直前に連続して形成することが好ましい等の制限があるため、第2バッファ層を兼ねることは難しい。上部電極形成に適したスパッタリング法を第2短絡防止層の形成法に用いる場合には、第2バッファ層が無い場合有機半導体層がプラズマによるダメージを受け易くなる可能性も高くなるため、有機半導体層と第2短絡防止層との間にバッファ層を有するのが好ましい。
なお、本実施態様では、第1短絡防止層と第1バッファ層とを、同一種類の膜で積層させることも好ましい態様である。なお、同一種類の膜とは、それぞれの膜の主成分(含有比率が最も高い成分)が同一の成分である場合をいう。
同一の成分にすることにより、これらの層のエネルギーレベルを合わせやすくなり、その結果、太陽電池の効率を上げるための層構成の設計が容易となる。
また、同一の成分にすることにより第1短絡防止層と第1バッファ層との間の電子移動における散乱を小さくすることが可能となり、その結果、太陽電池の効率を上げるための設計が容易となる。
また、第2短絡防止層は、第1短絡防止層と接したときに抵抗値が大幅に大きくなる性質に加え、上部電極の形成直前に連続して形成することが好ましい等の制限があるため、第2バッファ層を兼ねることは難しい。上部電極形成に適したスパッタリング法を第2短絡防止層の形成法に用いる場合には、第2バッファ層が無い場合有機半導体層がプラズマによるダメージを受け易くなる可能性も高くなるため、有機半導体層と第2短絡防止層との間にバッファ層を有するのが好ましい。
なお、本実施態様では、第1短絡防止層と第1バッファ層とを、同一種類の膜で積層させることも好ましい態様である。なお、同一種類の膜とは、それぞれの膜の主成分(含有比率が最も高い成分)が同一の成分である場合をいう。
同一の成分にすることにより、これらの層のエネルギーレベルを合わせやすくなり、その結果、太陽電池の効率を上げるための層構成の設計が容易となる。
また、同一の成分にすることにより第1短絡防止層と第1バッファ層との間の電子移動における散乱を小さくすることが可能となり、その結果、太陽電池の効率を上げるための設計が容易となる。
セルを直列化するため上下電極を接触させたい部分でレーザー照射等を用い有機層を取り除く場合は同時に第1短絡防止層も取り除き抵抗を小さくすることが好ましい。第2短絡防止層は上部電極と連続で作製することが好ましく、通常、直列化部で第2短絡防止層は取り除きにくくなるため、第2短絡防止層の電気抵抗は要求性能を満たす範囲内で小さくすることが好ましい。セルの直列化が必要なモジュールにおいては、第2短絡防止層の電気抵抗は、10Ωcm2以下とし、好ましくは1Ωcm2以下、より好ましくは0.5Ωcm2以下とする。第2短絡防止層を取り除くことが可能で第1短絡防止層を取り除く
ことができない場合には、逆に、第1短絡防止層の電気抵抗を10Ωcm2以下とし、好
ましくは1Ωcm2以下、より好ましくは0.5Ωcm2以下とする。
ことができない場合には、逆に、第1短絡防止層の電気抵抗を10Ωcm2以下とし、好
ましくは1Ωcm2以下、より好ましくは0.5Ωcm2以下とする。
<有機薄膜太陽電池素子、有機薄膜太陽電池モジュールの製造方法>
本実施態様に係る有機薄膜太陽電池素子は、有機薄膜太陽電池セルが直列に接続されたモノリシック構造を有することが好ましい。レーザースクライブによるモノリシック構造を有する有機薄膜太陽電池素子の、ロール・ツー・ロール方式を用いた製造は、公知の方法で実施することができるが、具体例を以下に示す。
基材である、可撓性を有するロールフィルムを準備し、ロールフィルム上に下部電極及び第1短絡防止層を順に形成する。ロールフィルムとして例えばPENを用い、下部電極として例えばITO/Ag/ITOを用い、第1短絡防止層として例えばZnOを用いる。
下部電極および第1短絡防止層の形成方法は限定されず、公知の方法により形成することができるが、第1短絡防止層が製造工程において剥離しないようにするためには、硬い層、具体的には鉛筆硬度が高い層を形成するのが好ましい。第1短絡防止層の鉛筆硬度を高くする、例えばF以上とするためには、気相成長法により形成するのが好ましい。気相成長法としては、例えばスパッタリング等が挙げられる。
当該積層体に対し、レーザースクライブにより第1の開溝を設ける。第1の開溝の幅は通常50〜1000μmであり、特に100〜500μm程度が好ましい。
本実施態様に係る有機薄膜太陽電池素子は、有機薄膜太陽電池セルが直列に接続されたモノリシック構造を有することが好ましい。レーザースクライブによるモノリシック構造を有する有機薄膜太陽電池素子の、ロール・ツー・ロール方式を用いた製造は、公知の方法で実施することができるが、具体例を以下に示す。
基材である、可撓性を有するロールフィルムを準備し、ロールフィルム上に下部電極及び第1短絡防止層を順に形成する。ロールフィルムとして例えばPENを用い、下部電極として例えばITO/Ag/ITOを用い、第1短絡防止層として例えばZnOを用いる。
下部電極および第1短絡防止層の形成方法は限定されず、公知の方法により形成することができるが、第1短絡防止層が製造工程において剥離しないようにするためには、硬い層、具体的には鉛筆硬度が高い層を形成するのが好ましい。第1短絡防止層の鉛筆硬度を高くする、例えばF以上とするためには、気相成長法により形成するのが好ましい。気相成長法としては、例えばスパッタリング等が挙げられる。
当該積層体に対し、レーザースクライブにより第1の開溝を設ける。第1の開溝の幅は通常50〜1000μmであり、特に100〜500μm程度が好ましい。
次に、第1短絡防止層の上に電子取り出し層、有機半導体層、及び正孔取り出し層を順
に塗布法により形成する。これらの層を塗布した後、第1の開溝と重ならないように、その近傍に数10〜100μm程度離れて、第1短絡防止層に達する第2の開溝をレーザースクライブにより形成する。第2の開溝の幅は通常50〜1000μmであり、特に100〜500μmが好ましい。
に塗布法により形成する。これらの層を塗布した後、第1の開溝と重ならないように、その近傍に数10〜100μm程度離れて、第1短絡防止層に達する第2の開溝をレーザースクライブにより形成する。第2の開溝の幅は通常50〜1000μmであり、特に100〜500μmが好ましい。
次に、正孔取り出し層上に第2短絡防止層、上部電極を順に形成する。本発明においては、下部電極と上部電極との間に第1短絡防止層と第2短絡防止層とを全面に形成する必要がある。第2短絡防止層をロール・ツー・ロール方式により形成する場合、第2短絡防止層がロール状に巻き取られる際の積層体は、一方の表面が基材で、他方の表面が第2短絡防止層となる。従って、ロール状の積層体は、基材と第2短絡防止層とが接することになるため、第2短絡防止層が、巻きズレにより損傷したり、巻出し時に基材と離れる際に、一部がはく離する場合がある。また、ロール・ツー・ロール方式で用いる装置は、可撓性を有する基材または該基材に所定の層が積層された積層体(本明細書において、これらを合わせて基材ということがある)を、巻出しロールから巻き取りロールまで搬送するためのロールを有する。従って、第2短絡防止層が形成された後、第2短絡防止層が、前記の搬送するためのロールに接すると、キズや剥離等を生じる恐れがある。
従って、第2短絡防止層を全面に形成するためには、第2短絡防止層を形成した後、第2短絡防止層が他の物体と接触することなく、第2短絡防止層上に上部電極を形成するよう、連続して第2短絡防止層、上部電極を形成することが好ましい。具体的には、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を含む積層体をロール状に巻き取る前に、第2短絡防止層上に上部電極を形成するか、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を、可撓性を有する基材を搬送する装置を構成する、搬送用のロールに接触させずに、第2短絡防止層上に上部電極を形成するのが好ましい。
第2短絡防止層として例えばNiOを用い、上部電極としてAgを用いる。
従って、第2短絡防止層を全面に形成するためには、第2短絡防止層を形成した後、第2短絡防止層が他の物体と接触することなく、第2短絡防止層上に上部電極を形成するよう、連続して第2短絡防止層、上部電極を形成することが好ましい。具体的には、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を含む積層体をロール状に巻き取る前に、第2短絡防止層上に上部電極を形成するか、第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を、可撓性を有する基材を搬送する装置を構成する、搬送用のロールに接触させずに、第2短絡防止層上に上部電極を形成するのが好ましい。
第2短絡防止層として例えばNiOを用い、上部電極としてAgを用いる。
その後、積層体をレーザースクライブにより下部電極まで達する第3の開溝を形成して、複数の単位素子に分割し、複数の単位素子が直列に接続された構造を形成する。その後、発電した電気を取り出す集電線を、直列に接続された単位素子列の一端の単位素子と他端の単位素子の上部電極に貼り付けて有機薄膜太陽電池素子を得る。有機薄膜太陽電池素子全体を封止し、有機薄膜太陽電池モジュールを製造する。有機薄膜太陽電池素子の封止は、公知の方法で行うことができる。
本実施態様では、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で製造するものであり、基材上の下部電極及び第1短絡防止層以外の層をロール・ツー・ロール方式で製造するのが好ましく、基材上の下部電極以外の層をロール・ツー・ロール方式で製造するのがより好ましく、基材上の全ての層をロール・ツー・ロール方式で製造するのが更に好ましい。
本実施態様では、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で製造するものであり、基材上の下部電極及び第1短絡防止層以外の層をロール・ツー・ロール方式で製造するのが好ましく、基材上の下部電極以外の層をロール・ツー・ロール方式で製造するのがより好ましく、基材上の全ての層をロール・ツー・ロール方式で製造するのが更に好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明が以下の実施例にのみ限定されないことはいうまでもない。
<実施例1〜3>
図3に示す層構成を有する有機薄膜太陽電池素子を作製した。具体的には、
基材:PEN(厚さ:100μm)
下部電極:ITO/Ag/ITO(厚さ:40/10/40nm)
第1短絡防止層:表1参照
電子取り出し層:ZnOナノ粒子(130nm)
有機半導体層:P3HT:C60(ind)2 (厚さ250nm)
正孔取り出し層:PEDOT:PSS(130nm)
第2短絡防止層:表1参照
上部電極:Ag(厚さ:100nm)
を順に積層した7mm角の有機太陽電池素子を作製した。
<実施例1〜3>
図3に示す層構成を有する有機薄膜太陽電池素子を作製した。具体的には、
基材:PEN(厚さ:100μm)
下部電極:ITO/Ag/ITO(厚さ:40/10/40nm)
第1短絡防止層:表1参照
電子取り出し層:ZnOナノ粒子(130nm)
有機半導体層:P3HT:C60(ind)2 (厚さ250nm)
正孔取り出し層:PEDOT:PSS(130nm)
第2短絡防止層:表1参照
上部電極:Ag(厚さ:100nm)
を順に積層した7mm角の有機太陽電池素子を作製した。
・第1短絡防止層の形成
第1短絡防止層の形成にはスパッタリング法を用い、スパッタチャンバーを2.0×10-4以下の圧力の真空状態とした後にArガスを流し0.3Paとし、ZnOターゲットにRF300Wの電力を印加することでZnO層を形成した。
TiO2層は同様に1.2PaでTiO2ターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。
・電子取り出し層の形成
次いで、平均一次粒径40nmの酸化亜鉛を40重量%含有するメトキシプロピルアセテート分散液(ビックケミー・ジャパン社製)をイソプロピルアルコールで10倍に希釈し、得られた酸化亜鉛含有インクを2000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで、ZnOナノ粒子(130nm)層を形成した。
・有機半導体層の形成
P3HTとC60(Ind)2を重量比1:0.94とし、トルエンとテトラリンを重
量比19:1で混合した溶媒に、3.5重量%の濃度で溶解した。得られた溶液を、80℃で1時間スターラーで攪拌混合した後、1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過し、有機半導体層塗布液を作製した。作製した有機半導体層塗布液を大気中でバー塗布することで、P3HT:C60(ind)2 (厚さ230nm)を
形成した。
・正孔取り出し層の形成
正孔取り出し層であるPEDOT:PSS(130nm)は、界面活性剤(日信化学工業製、オルフィンEXP4036)を1重量%含有させた、PEDOT:PSS水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOS PH」)を、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過してから、1000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで形成した。その後、150℃で窒素中10分間加熱乾燥をおこなった。
・第2短絡防止層の形成
第2短絡防止層であるNiO層は第1短絡防止層と同様にスパッタリング法で、0.9PaでNiOターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。MoO3は抵
抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.2nm/sで形成した。
・上部電極の形成
Ag上部電極は、抵抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.4nm/sで形成した。
第1短絡防止層の形成にはスパッタリング法を用い、スパッタチャンバーを2.0×10-4以下の圧力の真空状態とした後にArガスを流し0.3Paとし、ZnOターゲットにRF300Wの電力を印加することでZnO層を形成した。
TiO2層は同様に1.2PaでTiO2ターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。
・電子取り出し層の形成
次いで、平均一次粒径40nmの酸化亜鉛を40重量%含有するメトキシプロピルアセテート分散液(ビックケミー・ジャパン社製)をイソプロピルアルコールで10倍に希釈し、得られた酸化亜鉛含有インクを2000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで、ZnOナノ粒子(130nm)層を形成した。
・有機半導体層の形成
P3HTとC60(Ind)2を重量比1:0.94とし、トルエンとテトラリンを重
量比19:1で混合した溶媒に、3.5重量%の濃度で溶解した。得られた溶液を、80℃で1時間スターラーで攪拌混合した後、1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過し、有機半導体層塗布液を作製した。作製した有機半導体層塗布液を大気中でバー塗布することで、P3HT:C60(ind)2 (厚さ230nm)を
形成した。
・正孔取り出し層の形成
正孔取り出し層であるPEDOT:PSS(130nm)は、界面活性剤(日信化学工業製、オルフィンEXP4036)を1重量%含有させた、PEDOT:PSS水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOS PH」)を、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過してから、1000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで形成した。その後、150℃で窒素中10分間加熱乾燥をおこなった。
・第2短絡防止層の形成
第2短絡防止層であるNiO層は第1短絡防止層と同様にスパッタリング法で、0.9PaでNiOターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。MoO3は抵
抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.2nm/sで形成した。
・上部電極の形成
Ag上部電極は、抵抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.4nm/sで形成した。
<評価1:積層体のキズ付け試験>
ロール・ツー・ロールに方式より製造した際に積層体が受ける損傷を想定した評価を行った。実施例1〜3の有機薄膜太陽電池の製造において、第1短絡防止層まで形成した状態で、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用し、鉛筆の芯の硬さをFとしてひっかき試験を行なった結果、キズは観察されなかった。また、同様に鉛筆の芯の硬さをHとしてひっかき試験を行なってもキズは観察されなかった。
一方、実施例1〜3において正孔取り出し層であるPEDOT:PSS層まで形成し、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用し、鉛筆の芯の硬さをFとし
てひっかきキズを生じさせ、光学顕微鏡によりキズの程度を確認した。その結果、第1短絡防止層より上の層、具体的には、正孔取り出し層、有機半導体層、および電子取り出し層に損傷が見られた。中でも、実施例2においては第1短絡防止層より上の層が完全に削り取られ、ひっかきキズにおいて第1短絡防止層が完全に露出した。
ロール・ツー・ロールに方式より製造した際に積層体が受ける損傷を想定した評価を行った。実施例1〜3の有機薄膜太陽電池の製造において、第1短絡防止層まで形成した状態で、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用し、鉛筆の芯の硬さをFとしてひっかき試験を行なった結果、キズは観察されなかった。また、同様に鉛筆の芯の硬さをHとしてひっかき試験を行なってもキズは観察されなかった。
一方、実施例1〜3において正孔取り出し層であるPEDOT:PSS層まで形成し、JIS K 5600−5−4に記載の鉛筆硬度測定法を適用し、鉛筆の芯の硬さをFとし
てひっかきキズを生じさせ、光学顕微鏡によりキズの程度を確認した。その結果、第1短絡防止層より上の層、具体的には、正孔取り出し層、有機半導体層、および電子取り出し層に損傷が見られた。中でも、実施例2においては第1短絡防止層より上の層が完全に削り取られ、ひっかきキズにおいて第1短絡防止層が完全に露出した。
<評価2:短絡防止層の効果>
次に実施例1〜3における短絡防止層の組み合わせにおいて、短絡防止層単層での抵抗と、2種類の短絡防止層積層での抵抗を測定した。抵抗の測定は、前記7mm角の有機太陽電池素子における基材、上下電極、測定機器と同様のものを用い、上下電極間に第1短絡防止層の単層のみを形成した時の電気抵抗と、第2短絡防止層の単層のみを形成した時の電気抵抗と、これらの積層体を形成した時の電気抵抗を測定することにより行った。
測定された抵抗は測定端子部までの導通を確保する電極部面内抵抗を含んだ値であるので、抵抗測定用の層を形成せずに作製した、PENフィルム/下部透明電極/Ag上部電極、の構成で測定された抵抗が電極部面内抵抗であり、この電極部面内抵抗と短絡防止層自体の抵抗とが直列に繋がれた抵抗が測定されているとして短絡防止層自体の抵抗を求めた。抵抗Rは、±0.5Vの電圧をかけたときのそれぞれの電流値I1、I2からR=1/(I1−I2)の大きさとして求めた。結果を以下の表2に示す。なお、積層体では上段の層の材料を下部透明電極側に接するように設けた。
次に実施例1〜3における短絡防止層の組み合わせにおいて、短絡防止層単層での抵抗と、2種類の短絡防止層積層での抵抗を測定した。抵抗の測定は、前記7mm角の有機太陽電池素子における基材、上下電極、測定機器と同様のものを用い、上下電極間に第1短絡防止層の単層のみを形成した時の電気抵抗と、第2短絡防止層の単層のみを形成した時の電気抵抗と、これらの積層体を形成した時の電気抵抗を測定することにより行った。
測定された抵抗は測定端子部までの導通を確保する電極部面内抵抗を含んだ値であるので、抵抗測定用の層を形成せずに作製した、PENフィルム/下部透明電極/Ag上部電極、の構成で測定された抵抗が電極部面内抵抗であり、この電極部面内抵抗と短絡防止層自体の抵抗とが直列に繋がれた抵抗が測定されているとして短絡防止層自体の抵抗を求めた。抵抗Rは、±0.5Vの電圧をかけたときのそれぞれの電流値I1、I2からR=1/(I1−I2)の大きさとして求めた。結果を以下の表2に示す。なお、積層体では上段の層の材料を下部透明電極側に接するように設けた。
以上の評価結果より、塗布により形成した層は、物理的強度が小さくキズが付き剥がれやすいが、第1短絡防止層の存在により上部電極形成前に下部電極が露出しないことがわかる。また、有機層が剥がれた部分は、PENフィルム/下部透明電極/第1短絡防止層/第2短絡防止層/Ag上部電極、の構成となり、このときに電極間の抵抗が高くなるので、有機デバイス素子の短絡を防ぐことができることがわかる。
<実施例4>
以下の層構成を有する有機薄膜太陽電池素子を2個作製した。具体的には、
基材:PEN(厚さ:100μm)
下部電極:ITO/Ag/ITO(厚さ:40/10/40nm)
第1短絡防止層: ZnO(40nm)
電子取り出し層:ZnOナノ粒子(130nm)
有機半導体層: 以下に説明するJ1組成物(350nm)
正孔取り出し層:PEDOT:PSS(200nm)
第2短絡防止層: NiO(75nm)
上部電極:Ag(厚さ:100nm)
を順に積層した7mm角の有機太陽電池素子を作製した。
得られた機薄膜太陽電池素子のR3/(R1+R2)の値を測定したところ、83080であった。
以下の層構成を有する有機薄膜太陽電池素子を2個作製した。具体的には、
基材:PEN(厚さ:100μm)
下部電極:ITO/Ag/ITO(厚さ:40/10/40nm)
第1短絡防止層: ZnO(40nm)
電子取り出し層:ZnOナノ粒子(130nm)
有機半導体層: 以下に説明するJ1組成物(350nm)
正孔取り出し層:PEDOT:PSS(200nm)
第2短絡防止層: NiO(75nm)
上部電極:Ag(厚さ:100nm)
を順に積層した7mm角の有機太陽電池素子を作製した。
得られた機薄膜太陽電池素子のR3/(R1+R2)の値を測定したところ、83080であった。
・第1短絡防止層の形成
第1短絡防止層の形成にはスパッタリング法を用い、スパッタチャンバーを圧力4.0×10-4Paの真空状態とした後にArガスを48sccm、O2ガスを6sccm流し
0.6Paとし、ZnターゲットにDC150Wの電力を印加することでZnO層を形成した。
・電子取り出し層の形成
次いで、平均一次粒径40nmの酸化亜鉛を40重量%含有するメトキシプロピルアセテート分散液(ビックケミー・ジャパン社製)をイソプロピルアルコールで10倍に希釈し、得られた酸化亜鉛含有インクを2000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで、ZnOナノ粒子(130nm)層を形成した。
・有機半導体層の形成
モノマーとして、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E1,86mg,0.204mmol)、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2,80mg,0.108mmol)、及び公知文献(Chem.Commun.,2011,47,4920−4922)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ジ−n−オクチル−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3,80mg,0.108mmol)を用いて、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にしてコポリマーAを合成した。
p型半導体高分子化合物としてコポリマーA、及びn型半導体化合物としてフラーレン混合物(フロンティアカーボン社製 NS−E124)を、重量比が1:3となるように混合し、混合物が6重量%の濃度となるように窒素雰囲気中でオルトキシレンとテトラリン(テトラヒドロナフタレン)との混合溶媒(重量比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃、90分間撹拌混合した。撹拌混合後の溶液を孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液であるインクJ1を得た。
活性層成膜用インクJ1を、電子取出し層まで成膜済みの基板上にスピンコーターで塗布し、風乾することで乾燥膜厚350nmの活性層を設けた。
・正孔取り出し層の形成
活性層上に、PEDOT:PSS(荒川化学社製)を1000rpmの速度でスピンコー
ターで塗布し、風乾することで乾燥膜厚約200nmの正孔取り出し層を形成した。その後、この基板を140度で10分加熱した。
・第2短絡防止層の形成
第2短絡防止層であるNiO層は第1短絡防止層と同様にスパッタリング法で、0.9PaでNiOターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。
・上部電極の形成
Ag上部電極は、抵抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.4nm/sで形成した。
第1短絡防止層の形成にはスパッタリング法を用い、スパッタチャンバーを圧力4.0×10-4Paの真空状態とした後にArガスを48sccm、O2ガスを6sccm流し
0.6Paとし、ZnターゲットにDC150Wの電力を印加することでZnO層を形成した。
・電子取り出し層の形成
次いで、平均一次粒径40nmの酸化亜鉛を40重量%含有するメトキシプロピルアセテート分散液(ビックケミー・ジャパン社製)をイソプロピルアルコールで10倍に希釈し、得られた酸化亜鉛含有インクを2000rpm、30sの条件で大気中でスピンコートすることで、ZnOナノ粒子(130nm)層を形成した。
・有機半導体層の形成
モノマーとして、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にして得られた1,3−ジブロモ−5−オクチル−4H−チエノ[3,4−c]ピロール−4,6−(5H)−ジオン(化合物E1,86mg,0.204mmol)、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ビス(2−エチルヘキシル)−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E2,80mg,0.108mmol)、及び公知文献(Chem.Commun.,2011,47,4920−4922)に記載の方法を参考にして得られた4,4−ジ−n−オクチル−2,6−ビス(トリメチルスズ)−ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]シロール(化合物E3,80mg,0.108mmol)を用いて、公知文献(J.Am.Chem.Soc.2011,133,10062)に記載の方法を参考にしてコポリマーAを合成した。
p型半導体高分子化合物としてコポリマーA、及びn型半導体化合物としてフラーレン混合物(フロンティアカーボン社製 NS−E124)を、重量比が1:3となるように混合し、混合物が6重量%の濃度となるように窒素雰囲気中でオルトキシレンとテトラリン(テトラヒドロナフタレン)との混合溶媒(重量比9:1)に溶解させた。この溶液をホットスターラー上で80℃、90分間撹拌混合した。撹拌混合後の溶液を孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過することにより、活性層塗布液であるインクJ1を得た。
活性層成膜用インクJ1を、電子取出し層まで成膜済みの基板上にスピンコーターで塗布し、風乾することで乾燥膜厚350nmの活性層を設けた。
・正孔取り出し層の形成
活性層上に、PEDOT:PSS(荒川化学社製)を1000rpmの速度でスピンコー
ターで塗布し、風乾することで乾燥膜厚約200nmの正孔取り出し層を形成した。その後、この基板を140度で10分加熱した。
・第2短絡防止層の形成
第2短絡防止層であるNiO層は第1短絡防止層と同様にスパッタリング法で、0.9PaでNiOターゲットにRF300Wの電力を印加することで形成した。
・上部電極の形成
Ag上部電極は、抵抗加熱型真空蒸着法で成膜速度0.4nm/sで形成した。
<実施例5>
電子取り出し層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
電子取り出し層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
比較例1
第2短絡防止層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
第2短絡防止層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
比較例2
第1短絡防止層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
第1短絡防止層を形成しなかった以外は、実施例4と同様に有機薄膜太陽電池素子を作製した。
<評価3:有機薄膜太陽電池素子のキズ付け試験>
実施例4、5及び比較例1、2の有機薄膜太陽電池素子を作成する過程で、正孔取り出し層を形成した後、上部電極を形成する前に、槍綿棒によりキズを付け、電子取り出し層(実施例4、比較例1、及び比較例2のみ)、有機半導体層、および正孔取り出し層の一部を剥離させた。具体的には、槍綿棒を正孔取り出し層に垂直に設置し、槍綿棒の先端を約0.05Nの力で正孔取り出し層に接触させながら約2回転させた。
キズのある有機薄膜太陽電池素子とキズのない有機薄膜太陽電池素子のPCEを測定し、PCE変化率を算出した。
PCEの測定は、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製、2400型)によ
り行なった。実施例4のキズなし素子のPCEで規格化したPCE値および各サンプルのキズによるPCE維持率(=(キズ有素子のPCE)/(キズ無素子のPCE))を下表に示す。
実施例4、5及び比較例1、2の有機薄膜太陽電池素子を作成する過程で、正孔取り出し層を形成した後、上部電極を形成する前に、槍綿棒によりキズを付け、電子取り出し層(実施例4、比較例1、及び比較例2のみ)、有機半導体層、および正孔取り出し層の一部を剥離させた。具体的には、槍綿棒を正孔取り出し層に垂直に設置し、槍綿棒の先端を約0.05Nの力で正孔取り出し層に接触させながら約2回転させた。
キズのある有機薄膜太陽電池素子とキズのない有機薄膜太陽電池素子のPCEを測定し、PCE変化率を算出した。
PCEの測定は、照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cm2のソーラシミュレータを用い、ソースメーター(ケイスレー社製、2400型)によ
り行なった。実施例4のキズなし素子のPCEで規格化したPCE値および各サンプルのキズによるPCE維持率(=(キズ有素子のPCE)/(キズ無素子のPCE))を下表に示す。
実施例4、5と比較例1、2を対比すると、キズによるPCEの維持率が実施例4、5の方が比較例1、2より大幅に大きいことがわかる。これは第1短絡防止層と第2短絡防止層の両層があるときにのみ短絡防止効果が大幅に増すことを示している。
また、実施例4と実施例5を対比すると、電子取り出し層を設けた実施例4の方がPCEは大きいことがわかる。これは十分な短絡防止機能を有した短絡防止層と十分な電子取り出し機能を有した電子取り出し層を兼ねることが簡単ではないことを示す一例である。
従って、本発明によれば、ロール・ツー・ロール方式により有機デバイスを製造した際に、有機層が損傷した場合であっても、当該損傷部の短絡を防止することができ、それにより、安価でフレキシブルかつ安定した性能を有する有機デバイス素子を提供することができる。
1 基材
2 下部電極
3 有機光電変換層
4 上部電極
5 第1短絡防止層
6 第2短絡防止層
11 基材
12 下部電極
13 第1短絡防止層
14 バッファ層
15 有機半導体層
16 バッファ層
17 第2短絡防止層
18 上部電極
2 下部電極
3 有機光電変換層
4 上部電極
5 第1短絡防止層
6 第2短絡防止層
11 基材
12 下部電極
13 第1短絡防止層
14 バッファ層
15 有機半導体層
16 バッファ層
17 第2短絡防止層
18 上部電極
Claims (17)
- 可撓性を有する基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、少なくとも有機半導体層をロール・ツー・ロール方式で形成する有機デバイス素子の製造方法であって、
該第1短絡防止層と該第2短絡防止層とは、該第1短絡防止層の電気抵抗をR1、該第2短絡防止層の電気抵抗をR2、該第1短絡防止層と該第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である
ことを特徴とする、有機デバイス素子の製造方法。 - 第1短絡防止層を気相成長法により形成する、請求項1に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を含む積層体をロール状に巻き取る前に、第2短絡防止層上に上部電極を形成する、請求項1または2に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 第2短絡防止層の形成後、第2短絡防止層を、可撓性を有する基材を搬送する装置を構成する、搬送用のロールに接触させずに、第2短絡防止層上に上部電極を形成する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 第2短絡防止層の形成方法と上部電極の形成方法が同一の様式である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 前記第1短絡防止層がZnOまたはTiO2を主成分とする材料からなり、前記第2短
絡防止層がNiOまたはCuOを主成分とする材料からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機デバイス素子の製造方法。 - 前記有機デバイス素子は、前記第1短絡防止層と前記有機半導体層との間、および/または前記有機半導体層と前記第2短絡防止層との間にバッファ層を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 前記有機半導体層が有機光電変換層である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 有機デバイスが有機薄膜太陽電池である、請求項8に記載の有機デバイス素子の製造方法。
- 基材上に下部電極、第1短絡防止層、有機半導体層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、
前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子。 - 基材上に下部電極、第1短絡防止層、第1バッファ層、有機半導体層、第2バッファ層、第2短絡防止層、および上部電極をこの順に有し、
前記第1短絡防止層の電気抵抗をR1、前記第2短絡防止層の電気抵抗をR2、前記第1短絡防止層と前記第2短絡防止層の積層体の電気抵抗をR3としたときR3/(R1+R2)>1である有機デバイス素子。 - 前記第1短絡防止層がZnOまたはTiO2を主成分とする材料からなり、前記第2短
絡防止層がNiOまたはCuOを主成分とする材料からなる請求項10または11に記載の有機デバイス素子。 - 第1短絡防止層の鉛筆硬度がF以上である、請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機デバイス素子。
- 第1短絡防止層が第1バッファ層よりも鉛筆硬度が高い、請求項11に記載の有機デバイス素子。
- 有機薄膜太陽電池素子である、請求項10〜14のいずれか1項に記載の有機デバイス素子。
- 前記第1バッファ層が電子取り出し層であり、前記第2バッファ層が正孔取り出し層である請求項11〜15のいずれか1項に記載の有機デバイス素子。
- 前記第1バッファ層が正孔取り出し層であり、前記第2バッファ層が電子取り出し層である請求項11〜15のいずれか1項に記載の有機デバイス素子。
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Cited By (3)
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CN105761379A (zh) * | 2016-02-01 | 2016-07-13 | 蔡雄 | 一种能够实现亮度自由快速调节功能的atm机输入装置 |
US10431702B2 (en) | 2017-07-21 | 2019-10-01 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Transparent electrode, manufacturing method thereof and electronic device employing the transparent electrode |
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-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014265702A patent/JP2015144272A/ja active Pending
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