JP2018125381A - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】時間経過に伴う変換効率の低下が少ない、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供する。【解決手段】素子基板と、太陽電池素子と、封止層と、バリア層と、をこの順に有する太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、封止層の外縁11が、素子基板の外縁10と略同一となるように位置するか、又は封止層の外縁11が、素子基板の外縁10内部に位置することを特徴とする太陽電池モジュール。【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池モジュールに関する。
近年、有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を用いた太陽電池素子が検討されている。一般的に、有機半導体化合物及びペロブスカイト半導体化合物は水分や酸素に弱い傾向があるために、このような材料を用いた太陽電池の実用化のためには、太陽電池内部に水分や酸素等が浸入するのを防ぐために、バリア層により太陽電池素子を封止する構造が提案されている。例えば、特許文献1は、太陽電池素子を、封止層及びガスバリア層の積層体により封止する構造が記載されている。
特開2016−189466号公報
特許文献1に記載されるように、封止層及びガスバリア層の積層体により太陽電池素子を封止することにより、水や酸素等が内部に侵入するのを防ぐことができるために、太陽電池モジュールの耐久性の向上が期待できるものと考えられる。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載の太陽電池モジュールのように、素子基板の端部よりも、封止層の端部が外側に位置する構成の場合、時間経過につれて太陽電池モジュールの変換効率が低下する場合があることが判明した。本発明は、時間経過に伴う変換効率の低下が少ない、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、太陽電池モジュールの構成を工夫することにより、上記課題を解決することができ、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]少なくとも、素子基板と、太陽電池素子と、封止層と、バリア層と、をこの順に有する太陽電池モジュールであって、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、前記封止層の外縁が、前記素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は前記封止層の外縁が、素子基板の外縁内部に位置することを特徴とする太陽電池モジュール。
[2]前記太陽電池素子は、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、前記活性層が有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を含有することを特徴とする[1]に記載の太陽電池モジュール。
[3]前記素子基板の厚さが10μm以上500μm以下であり、かつ、太陽電池素子の厚さが5μm以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の太陽電池モジュール。
[4]前記素子基板が樹脂基材であり、かつ前記バリア層が樹脂基材を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
[5]太陽電池モジュールの周辺領域において、前記素子基板である樹脂基材の少なくとも一部と、前記バリア層を構成する樹脂基材の少なくとも一部が溶融していることを特徴とする[4]に記載の太陽電池モジュール。
本発明により、変換効率の低下の少ない、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの上面図である。 本発明の他の実施形態としての太陽電池モジュールの上面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの断面模式図である。 本発明の他の実施形態としての太陽電池モジュールの断面模式図である。 従来の太陽電池モジュールの模式断面図である。
以下、本発明について実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、これらの内容に限定されない。
<1.太陽電池モジュール>
本発明に係る太陽電池モジュールは、少なくとも、素子基板上に、太陽電池素子と、封止層と、バリア層と、をこの順に有しており、図1に示すように太陽電池モジュールを上面から観察した際に、前記封止層の外縁が、前記素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は図2に示すように前記封止層の外縁が、素子基板の外縁内部に位置する構成を有する。当該構成により、以下の理由により高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供することができる。
通常、太陽電池素子は水分や酸素により影響を受けやすく、特に、有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を用いた太陽電池素子は水分や酸素の影響により、変換効率が大きく低下する傾向がある。そのため、太陽電池素子が劣化するのを防ぐために、例えば、公知の日本国特開2013−168572号公報に記載されるように該太陽電池素子を封止層及びバリア層により封止することが好ましいと考えられる。特に、素子基板として樹脂基材を用いた場合、封止層よりも樹脂基材は水分や酸素を通しやすい傾向があるために、図5に示すように、太陽電池モジュールの断面方向において、素子基板4の端部よりも、封止層2、5の端部が外側に位置して、封止層2、5により素子基板4の端部側面が覆われる構造が好ましいと考えられる。この場合、太陽電池モジュールを上面から観察した場合、素子基板の外縁が封止層の外縁内部に位置することになる。
しかしながら、本発明者らの検討によると、通常、太陽電池素子の厚さは数μm以下程度であるのに対して、素子基板は、数十〜数百μmの厚さを有するために、図5に示されるように、素子基板の端部よりも封止層の端部が外側に位置する構造の場合、太陽電池モジュールの封止工程において、素子基板の側面と封止層とが充分に密着せずに、素子基板の側面と封止層との間に隙間が存在しやすくなる傾向があることが判明した。このように、素子基板の側面と封止層との間に隙間が存在すると、時間経過に伴い、又は太陽電池モジュールの施工時にかかる外部からの圧力により、当該隙間を基にして、素子基板と封止層とが徐々に剥離してしまう場合がある。そして、素子基板と封止層との剥離が進行すると、剥離した部分から水分や酸素が侵入し、結果的に太陽電池素子を劣化させてしまい、太陽電池モジュールの変換効率が低下する場合があることが判明した。また、別の問題として、太陽電池モジュールの製造時に、素子基板の側面と封止層との間の隙間に気泡が入り込んでしまう。このように気泡が入り込むと、太陽電池モジュールを観察した際に、気泡が目立つために、太陽電池モジュールの意匠性も大きく損なわれてしまう。特に、シースルー型の太陽電池モジュールのように、高い意匠性が求められる太陽電池モジュールにおいては、このような問題は好ましくないと考えられる。
一方、本発明においては、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、図1に示すように封止層の外縁が素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は図2に示すように封止層の外縁が素子基板の外縁内部に位置する、すなわち、封止層の全ての端部が、素子基板の端部と略揃っているか、又は発電領域12側に位置するために素子基板の側面は封止層により覆われていない構成となっている。そのため、素子基板の側面と封止層との間で隙間が生じないために、時間経過や太陽電池モジュールの施工時に上記のような素子基板と封止層の剥離は発生しにくい。従って、剥離した界面から水分や酸素が太陽電池素子内に侵入するという上記の問題が起こりにくくなるために、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供することができると考えられる。また、太陽電池モジュールの製造時に、素子基板の側面と封止層との間に隙間が生じないために、隙間に気泡が入り込むという問題も改善することができる。そのため、高い意匠性を備えた太陽電池モジュールを提供することも可能となる。なお、本発明において、発電領域とは、太陽電池素子が形成されている領域を意味するものとする。
なお、本発明において、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、素子基板の外縁が封止層の外縁と略同一となるように位置するとは、本発明の効果を達成できる範囲における差は許容できるものとする。具体的には、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、素子基板の外縁と封止層の外縁が略同一に位置するとは、太陽電池モジュールの断面を観察した場合に、封止層の端部と封止層の端部が完全に同一になっている場合だけでなく、素子基板の端部と封止層の端部との距離が最大2mm以内であるものも含むものとする。
なお、通常、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、素子基板の外縁と封止層の外縁が略同一に位置する場合は、発電領域は封止層の外縁内部に位置することになるが、封止層の外縁が素子基板の外縁内部に位置する場合も、発電領域は封止層の外縁内部に位置することが好ましい。このような構成にすることにより、発電領域を覆うように封止することが可能になるために、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供することができる。
上記の中でも、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、封止層の外縁が素子基板の外縁と略同一となるように位置することが好ましい。この理由としては、通常、太陽電池モジュールを上面から観察した場合、素子基板と封止層の境界部分は目立つために意匠性の観点からは好ましくない場合がある。一方、素子基板の外縁が封止層の外縁と略同一となるように位置する、すなわち、素子基板の端部と封止層の端部が揃っていれば、このような境界部分が目立つという問題が発生するのを防ぐことができる。そのため、高い耐久性だけでなく、高い意匠性を備えた太陽電池モジュールを提供することができることになる。
なかでも、素子基板の端部と、封止層の端部との距離は、最大1mm以下であることが好ましく、最大500μm以下であることがより好ましく、最大300μm以下であることがさらに好ましく、最大200μm以下であることが殊更好ましく、最大100μm以下であることが特に好ましく、最大50μm以下であることが最も好ましい。また、素子基板の端部と、封止層の端部との距離は、素子基板の厚さよりも小さいことが好ましい。
また、上述の通り、発電領域は封止層の外縁内部に位置することが好ましいため、封止層の外縁が素子基板の外縁と略同一となるように位置すれば、発電領域を素子基板の端部付近まで形成することができ、太陽電池モジュールの設置面積あたりの発電量を向上させることができる。
また、バリア層と封止層との位置関係は特段の制限はないが、一般的に封止層は柔らかいために、バリア層の端部が封止層より大きく内側に位置すると、封止層が表面に露出してしまい傷が入りやすくなる。また、バリア層の端部が封止層より大きく外側に位置するとバリア層の基板に接着していない領域が生じることになり太陽電池モジュールの割れが起きる可能性がある。従って、太陽電池モジュールを上面から観察した場合に、バリア層1の外縁が封止層2の外縁と略同一に位置することが好ましい。このような構造であれば、高い耐久性と高い意匠性を備えた太陽電池モジュールを提供できることができる。なお、本発明において、バリア層の外縁が封止層の外縁と略同一に位置するとは、具体的には、バリア層の端部と封止層の端部が完全に同一になっている場合だけでなく、バリア層の端部と封止層の端部との距離が最大2mm以内であるものも含むものとする。なかでも、バリア層の端部と、封止層の端部との距離は、最大1mm以下であることが好ましく、最大500μm以下であることがより好ましく、最大300μm以下であることがさらに好ましく、最大200μm以下であることが殊更好ましく、最大100μm以下であることが特に好ましく、最大50μm以下であることが最も好ましい。
なお、素子基板4は、後述するような材料により形成することができるが、特に水や酸素が侵入しやすい傾向がある樹脂基材を使用した場合に、本発明は特に有効である。
また、後述する通り、通常、バリア層は樹脂基材上に無機膜を形成することにより構成されるが、素子基板も樹脂基材である場合、太陽電池モジュールの周辺部に溶融領域が存在することが好ましい。具体的には、太陽電池モジュールの周辺領域において、素子基板である樹脂基材の少なくとも一部と、バリア層を構成する樹脂基材の少なくとも一部がともに溶融されていることが好ましい。このような構成の場合、樹脂基材どうしの密着性が非常に高くなり、太陽電池モジュールの製造段階や使用中に樹脂基材が剥離するのを防ぐことができ、その結果、耐久性をさらに向上させることが可能となる。以下、樹脂基材の溶融した領域を溶融領域と称し、該溶融領域について説明する。
太陽電池モジュールの周辺領域において、該溶融領域が存在する領域に特段の制限はないが、素子基板とバリア層との剥離を抑えるために、素子基板の端部から10mm以内の領域に存在することが好ましく、5mm以内の領域に存在することがさらに好ましく、3mm以内の領域に存在することが特に好ましい。
また、後述するように、該溶融領域は、超音波プロセス等により形成することができるが、溶融領域が発電領域近傍に存在すると、該超音波プロセスにより当該発電領域を構成する太陽電池素子が破壊される場合がある。そのために、太陽電池モジュールの断面方向において、溶融領域の内部側の端部は、太陽電池素子と重ならない位置に存在することが好ましい。
太陽電池モジュールの断面を観察した場合の、溶融領域の幅は特段の制限はないが、溶融領域の幅が小さすぎると、素子基板とバリア層との密着性を十分高くできない場合があるために、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、1.3mm以上であることがさらに好ましく、1.5mm以上であることが特に好ましく、1.8mm以上であることが最も好ましい。一方、樹脂基材の溶融領域は脆くなっているために、溶融領域の幅が大きすぎると機械的強度が低下する場合がある。そのため、溶融領域の幅は、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
また、樹脂基材は厚さ方向において、溶融領域と非溶融領域を有することが好ましい。すなわち、素子基板とバリア層の密着性を上げるために、樹脂基材の厚さに対して溶融領域の厚さは、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.3以上であることがさらに好ましく、0.4以上であることがさらに好ましい。一方、樹脂基材の厚さに対して、溶融領域の厚さが大きすぎると、樹脂基材が脆くなり機械的強度が低下する場合があるために、1.0未満であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましく、0.8以下であることがさらに好ましく、0.7以下であることが特に好ましい。なお、素子基板の樹脂基材に関しては、バリア層側に溶融領域が存在していることが好ましく、バリア層を構成する樹脂基材に関しては、素子基板側に溶融領域が存在し、素子基板と反対側に非溶融領域が存在していることが好ましい。
また、溶融領域は、太陽電池モジュールを上面から観察した場合に、1つの辺にのみ存在していてもよいし、複数の辺に存在していてもよい。但し、素子基板とバリア層との密着性を向上させるためには、溶融領域は、発電素子を囲んで連続的に存在することが好ましい。
樹脂基材を溶融させる方法としては、特段の制限はないが、加熱した金属やセラミックスを押し当てる方法、超音波を印加する方法、高周波を印加する方法などが挙げられる。なかでも、超音波を印加する方法は、樹脂基材どうしの摩擦により超音波印加部分を集中的に加熱溶融することが可能であるため好ましい。
また、素子基板と、バリア層との間に封止層が存在する場合であっても、封止層が熱可塑性樹脂であれば樹脂基材に対しホーンで荷重をかけながら溶融させることができ、樹脂基材どうしを溶融して密着させることができる。
超音波溶着を行う場合は、超音波振動するホーンと、超音波振動を受け止めるアンビルで当該樹脂基材を挟みつけた状態で超音波を加えることが好ましい。ホーンを素子基板上で滑らせながら移動することで、幅方向において、溶融領域が所定の長さとなるように超音波溶着することが可能である。また、ホーンをロータリー状にして、回転しながら移動させることもできる。なお、溶融領域は連続的であっても良いし、連続でなくてもよい。また、溶融領域は、点線状やその他の形状であってもよい。
溶融領域の幅はホーン、アンビルの幅等により調整できるが、移動速度やホーンを樹脂基材に押し付ける荷重によって調整することも可能である。ホーンの移動速度が遅すぎると生産性が悪化すると同時に樹脂基材にダメージが起こりやすくなるので、0.5m/分以上であることが好ましく、1m/分であることがさらに好ましい。ただし、早すぎると溶融が困難になるため、20m/分以下であることが好ましく、より好ましくは15m/分以下である。ホーンの荷重が弱すぎると溶融が不十分である場合があるために、2mm幅のホーンに対して50N以上であることが好ましく、より好ましくは80N以上である。一方、荷重が大きすぎると樹脂基材全体が溶融してしまい脆くなってしまう場合があるために、200N以下であることが好ましく、さらに好ましくは150N以下である。
以下、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの各構成部材又は層について図3を用いて説明する。なお、図3は図1のX−X’断面を表す。なお、図1のY−Y’断面も図3と同様の断面構造である。
<1−1.素子基板4>
素子基板4は太陽電池素子3を支持する支持部材である。なお、本発明において、素子基板4は、特段の制限はないが、可視光線透過率が60%以上であることが好ましく、変換効率を向上させるためには、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。なお、素子基板4の可視光線透過率は、分光光度計により測定することができ、例えば、製紫外可視近赤外分光光度計UV−3600(島津製作所製)とフィルムサンプルホルダーを用いて測定することができる。測定結果は、JIS R 3106:1998に従って、波長380nm〜780nmまでの透過率が算出され、これらの波長領域の透過率の平均として、素子基板4の透過率を算出することができる。
素子基板4は特段の制限はなく、ガラス基板又は樹脂基材が挙げられる。なかでも、太陽電池モジュールの軽量化が可能となり、太陽電池モジュールの設置自由度を上げる観点から、素子基板は樹脂基材であることが好ましい。
樹脂基材の材料としては、特段の制限はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料などが挙げられる。これらのなかでも、太陽電池素子3の形成のし易さからポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂が好ましく、特に、上述の通り、太陽電池モジュールの周辺領域を溶融する場合、素子基板4の材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
素子基板4の厚さは特段の制限はないが、太陽電池素子を製造する際の張力や加熱に耐えられるように、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることが特に好ましく、一方、素子基板4の厚さが大きすぎると、太陽電池モジュールのフレキシブル性が低下するために500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
<1−2.太陽電池素子3>
太陽電池素子3は、少なくとも、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有して形成される。なお、太陽電池素子の厚さは、特段の制限はないが、フレキシブルな太陽電池モジュールとする場合、太陽電池素子の厚さは5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることが特に好ましい。
<1−2−1.一対の電極>
一対の電極は、下部電極及び上部電極により構成され、一対の電極のうち一方の電極は活性層が光を吸収することにより発生する正孔を捕集する機能を有する電極(以下、アノードと称す)であり、他方の電極は、活性層が光を吸収することにより発生する電子を捕集する機能を有する電極である(以下、カソードと称す)。下部電極をアノードとする場合、上部電極をカソードとし、下部電極をカソードとする場合、上部電極をアノードとすることが好ましい。
なお、一対の電極のうち、一方の電極は透明電極であれば、他方の電極は透明電極であってもよいし、非透明電極であってもよい。但し、太陽電池モジュールを透過型の太陽電池モジュール、所謂、シースルー型の太陽電池モジュールとする場合、一対の電極はともに透明電極であることが好ましい。なお、本発明において、透明電極とは、通常60%以上の可視光線透過率を有する電極を意味するが、変換効率を向上させるためには、透明電極の可視光線透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。一方、上限は特段限定されないが、通常90%以下である。なお、該電極の可視光線透過率は、上述の素子基板4の可視光線透過率の測定方法と同様の方法により測定することができる。
透明電極は、単層の透明導電層で形成されていてもよいし、透明導電層及び金属層との積層により形成されていてもよく、例えば、透明導電層、金属薄層及び透明導電層が順次形成された積層構造であってもよい。
透明電極層に用いられる材料としては、特段の制限はないが、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)、カドミウムとスズとの酸化物(CTO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化亜鉛(ZnO)、亜鉛とアルミニウムとの酸化物(AZO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化トリウム(ThO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化インジウム(In23)、酸化ニオブ(Nb23)、酸化アンチモン(Sb23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ビスマス(BiO2)等である。また、透明高屈折率硫化物を用いても良く、具体的に例示すると、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カドミウム(CdS)、硫化アンチモン(Sb23)等が挙げられる。これらの中でも、スズをドープしたインジウム酸化物(ITO)、亜鉛をドープしたインジウム酸化物(IZO)、タングステンをドープしたインジウム酸化物(IWO)等の非晶質性酸化物を用いることが好ましい。
透明電極を、透明導電層及び金属層の積層構造とする場合、金属層の材料は、特段の制限はなく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、クロム、銅、コバルトの等の金属又はその合金が挙げられる。これらのなかでも、金属層を形成する材料は、高い電気伝導性を示すとともに、薄膜における可視光線透過率の高い銀又は銀の合金であることが好ましい。なお、銀の合金としては、硫化又は塩素化の影響を受けにくく薄膜としての安定性を向上させるために、銀と金の合金、銀と銅の合金、銀とパラジウムの合金、銀と銅とパラジウムの合金、銀と白金の合金等が挙げられる。
金属層の膜厚は、透明電極として70%以上の可視光線透過率を維持できる限りにおいて、特段の制限はなく、1nm以上であることが好ましく、5nm以上であることがより好ましく、一方、15nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。この理由は、金属層が薄すぎると、高い導電性を得ることが困難となる場合があり、また、金属層が厚すぎると光透過率が低下して太陽電池素子に入射する光量が低下してしまい、変換効率が低下してしまうためである。
非透明電極を用いる場合、特段の制限はないが、例えば、上述したような金属層を厚膜化して形成することにより、非透明電極を形成することができる。
下部電極及び上部電極のそれぞれの厚さは、特段の制限はなく、光学特性及び電気特性を考慮して任意で選択すればよい。なかでも、シート抵抗を抑えるために、下部電極及び上部電極のそれぞれの厚さは、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、一方、高い透過率を維持するために、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、500nm以下であることがさらに好ましい。
下部電極をアノードとし、上部電極をカソードとする場合、下部電極は上部電極よりも仕事関数の大きい材料を使用することが好ましい。一方、下部電極をカソードとして、上部電極をアノードとする場合、下部電極は上部電極よりも仕事関数の小さい材料により形成することが好ましい。なお、太陽電池素子に、後述するような下部バッファ層及び/又は上部バッファ層を設けて仕事関数を調整することにより、下部電極及び上部電極は同じ仕事関数を有する材料により形成することもできる。
下部電極及び上部電極の形成方法は、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜方法、又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する湿式成膜法等が挙げられる。
<1−2−2.活性層>
活性層の形成材料は特段の制限はないが、本発明は、特に、水や酸素に対して劣化しやすい有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層の場合に特に有効な発明である。
活性層の構成としては、特段の制限はないが、p型の有機半導体化合物を含有する層とn型の半導体化合物を含有する層とが積層された薄膜積層型、p型の有機半導体化合物とn型の半導体化合物が混合した層(混合層)であるバルクヘテロ型接合型、又はペロブスカイト半導体化合物を含有する層が挙げられる。なお、バルクヘテロ接合型の活性層又はペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層は、他にp型の半導体化合物を含有する層及び/又はn型の半導体化合物を含有する層がさらに積層された構造であってもよい。
p型の有機半導体化合物は、特段の制限はなく、p型の低分子有機半導体化合物、p型の有機半導体オリゴマー、及びp型の有機半導体ポリマーが挙げられる。
p型の低分子有機半導体化合物は、特段の制限はないが、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン等が挙げられる。
p型の有機半導体オリゴマーは特段の制限はないが、セキシチオフェン等のオリゴチオフェン又はこれら化合物を骨格として含む誘導体等が挙げられる。
p型の有機半導体ポリマーは、特段の制限はない。例えば、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、チオフェン環又はチオフェン縮合環を含むポリマー等が挙げられる。より具体的には、国際公開第2011/016430号パンフレット、国際公開第2013/180243号パンフレット、日本国特開2012−191194号公報等に記載されるような公知のp型半導体ポリマーが挙げられる。
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、例えば、フラーレン;フラーレン誘導体;8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体;アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボンナノチューブ、n型ポリマー(n型高分子半導体材料)等が挙げられる。これらのなかでも、フラーレン化合物が特に好ましい。フラーレン化合物としては、特段の制限はないが、例えば、国際公開第2011/016430号又は日本国特開2012−191194号公報等の公知文献に記載のものが挙げられる。なお、上記のうち一種の化合物を用いてもよいし、複数種の化合物の混合物を用いてもよい。
ペロブスカイト半導体化合物は、特段の制限はないが、下記式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
nMX(n+2) ・・・(1)
式(1)中、nは1又は2の整数を表わす。
式(1)中、Aは1価の有機分子を表す。
1価の有機分子は特段の制限はないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミンジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、アゾール、イミダゾリン、カルバゾール及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CH3NH3)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン及びこれらのイオンやフェネチルアンモニウムが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン及びこれらのイオンがより好ましい。
式(1)中、Mは2価の金属原子を表す。2価の金属原子は特段の制限はないが、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。これらの元素は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
式(1)中、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子を表す。ハロゲン原子は、特段の制限はないが、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄が挙げられる。また、カルコゲン原子は特段の制限はないが、セレンが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
なお、ペロブスカイト半導体化合物の具体例としては、例えば、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載のペロブスカイト半導体化合物が挙げられる。
また、活性層がペロブスカイト半導体化合物により形成されている場合、当該化合物を含む層の下に、TiO2、Al23等の多孔質膜が形成されていてもよい。
活性層の膜厚は、特段の制限はないが、通常50nm以上、好ましくは100nm以上であり、一方、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。活性層の膜厚が50nm以上であることは、膜の均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、活性層の厚さが1000nm以下であることは、内部抵抗が小さくなる点、及び電極間が離れすぎず電荷の拡散が良好となる点で、好ましい。
活性層の形成方法は、特段の制限はく、使用する材料を考慮して、公知の方法により形成することができる。具体的には、蒸着法、スパッタ法等の真空成膜法又は該活性層を形成する化合物又はその前駆体化合物と、溶媒を含有するインクを用いた湿式成膜法により形成することができる。
湿式成膜法としては、特段の制限はなく、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
溶媒は、特段の制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、テトラリン若しくはデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン若しくはオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、テトラリン若しくはデカリン等の脂環式炭化水素類;メタノール、エタノール若しくはプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン若しくはシクロヘキサノン等の脂肪族ケトン類;アセトフェノン若しくはプロピオフェノン等の芳香族ケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル若しくは乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン若しくはトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサン等のエーテル類;又は、ジメチルホルムアミド若しくはジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なお、溶媒は1種の溶媒を単独で用いてもよいし、任意の2種以上の溶媒を任意の比率で併用してもよい。
活性層をp型の有機半導体化合物を含む層とn型の半導体化合物とを含む層の薄膜積層型とする場合、特段の制限はないが、上述のような方法により各層を成膜することにより形成すればよい。また、活性層をバルクヘテロ接合型とする場合、特段の制限はないが、p型の有機半導体化合物と、n型の半導体化合物と、溶媒とを含むインクを作製しておき、該インクを用いて湿式成膜法により形成することが好ましい。
また、活性層をペロブスカイト半導体化合物により形成する場合、活性層の形成方法は特段の制限はないが、国際公開第2014/045021号、日本国特開2014−49596号公報、日本国特開2016−82003号公報等に記載されるように前駆体となる塗布液を塗布することにより、該活性層を形成することができる。
<1−2−3.バッファ層>
太陽電池素子3は上述以外の層を有していてもよく、例えば、一対の電極の少なくとも一方の電極と、活性層との間にバッファ層を有していてもよい。バッファ層とは、活性層からカソードへの電子取り出し効率を向上させる電子取り出し層又は活性層からアノードへの正孔取り出し効率を向上させる正孔取り出し層に分類される。なお、本発明において、便宜上、活性層と上部電極との間に設けるバッファ層を上部バッファ層と称し、活性層と下部バッファ層との間に設けるバッファ層と称す場合がある。なお、下部電極をアノードとし、上部電極をカソードとする場合、下部バッファ層を正孔取り出し層とし、上部バッファ層を電子取り出し層とすればよい。一方、下部電極をカソードとし、上部電極をアノードとする場合、下部バッファ層を電子取り出し層とし、上部バッファ層を正孔取り出し層とすればよい。
電子取り出し層の材料は、活性層からカソードへの電子取り出し効率を向上させることができる材料であれば特段の制限はなく、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化チタン(TiOx)や酸化亜鉛(ZnO)のようなn型半導体酸化物等が挙げられる。なかでも、アルカリ金属の塩としては、LiF、NaF、KF又はCsFのようなフッ化物塩が好ましく、n型半導体酸化物としては、酸化亜鉛(ZnO)が好ましい。このような材料の動作機構は不明であるが、Al等で構成されるカソードと組み合わされた際にカソードの仕事関数を小さくし、太陽電池素子内部に印加される電圧を上げる事が考えられる。
有機化合物の例としては、例えば、トリアリールホスフィンオキシド化合物のようなリン原子と第16族元素との二重結合を有するホスフィン化合物;バソキュプロイン(BCP)又はバソフェナントレン(Bphen)のような、置換基を有してもよく、1位及び10位がヘテロ原子で置き換えられていてもよいフェナントレン化合物;トリアリールホウ素のようなホウ素化合物;(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)のような有機金属酸化物;オキサジアゾール化合物又はベンゾイミダゾール化合物のような、置換基を有していてもよい1又は2の環構造を有する化合物;ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)又はペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)のような、ジカルボン酸無水物のような縮合ジカルボン酸構造を有する芳香族化合物等が挙げられる。
正孔取り出し層の材料としては、活性層からアノードへの正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば、特段の制限はないが、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミン又はポリアニリン等に、スルホン酸及び/又はヨウ素等がドーピングされた導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物等の導電性化合物;酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物半導体、ナフィオン、後述のp型半導体等の半導体化合物;が挙げられる。好ましくは、スルホン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングした(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)である。
バッファ層の膜厚は特段の制限はないが、バッファ層材料として半導体化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがさらに好ましく、50nm以上であることが特に好ましく、一方、太陽電池素子の内部抵抗を低く保ち、太陽電池素子の変換効率を向上させるために、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがさらに好ましく、100nm以下であることが特に好ましい。一方、バッファ層材料として導電性化合物を用いる場合、電子又は正孔取り出し効率を向上させるために、10nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがさらに好ましく、100nm以上であることが特に好ましく、一方、太陽電池素子の内部抵抗を低く保ち、太陽電池素子の変換効率を向上させるために1000nm以下であることが好ましく、700nm以下であることがさらに好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。
電子取り出し層及び正孔取り出し層の形成方法は特段の制限は無く、使用する材料に合わせて公知の方法により形成することができる。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は蒸着法、スパッタ法等の真空蒸着法により形成することができる。また、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。また、半導体材料を用いる場合は、活性層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換してもよい。
<1−3.封止層2、5>
封止層2、5は、太陽電池素子3と、バリア層1、6との密着性を高めるために設けられる層である。なお、本発明において、便宜上、封止層1を第1の封止層と称し、封止層5を第2の封止層と称す場合がある。
封止層2、5を形成する材料は特段の制限はないが、例えば、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、ポリイソブチレン(PIB)樹脂、ポリイミド樹脂(PI)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリオキシメチレン(POM)樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、マレイン酸またはシラン等で変性した変性ポリエチレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、又はポリアミド(PA)樹脂が挙げられる。
なお、封止層2、5はそれぞれ1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、封止層2、5はそれぞれ単層であってもよいし、2層以上の積層構造であってもよい。積層構造の場合、封止層を形成する材料は同じであってもよいし異なっていてもよい。また、封止層2、5は、無機フィラー等を有していてもよい。
また、太陽電池モジュールを施工する際や曲げが生じた場合に、太陽電池モジュール内部での剥離を防止するために、封止層2、5と素子基板1とのT字型剥離試験で測定される層間密着強度は5N/25mm以上であることが好ましく、10N/25mm以上であることがさらに好ましい。一方、上限は特にない。
封止層2、5は、太陽電池モジュールの強度保持の観点から曲げ強度が高いことが好ましい。封止材以外の層の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、太陽電池モジュール全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような曲げ強度を有するのが望ましい。具体的には、施工する際に太陽電池モジュール内部に生じる応力を緩和する観点から、封止層2、5の25℃における曲げ強度は1.0×105Pa以上、1.0×107Pa以下であることが好ましい。
また、封止層2、5は、太陽電池モジュールを施工する際に太陽電池モジュールに加わる外的応力を緩和する観点から25℃における縦弾性率が高い方が好ましい。特にフィルム型の太陽電池モジュールにおいては重要な実用性能である。縦弾性率の測定方法としては、封止層を溶融した後に試験片に加工し(硬化が必要な場合は硬化処理を含む)、得られた試験片から従来公知の引張試験機で測定される応力−歪曲線において、フックの法則が成立する弾性範囲での同軸方向の応力と歪の比例定数から求められる。
封止層2、5の25℃における縦弾性率は、1.0×108Pa以上、好ましくは5.0×108Pa以上、より好ましくは1.0×109Pa以上である。縦弾性率がこの範囲にあることで、太陽電池モジュールへのダメージを最小限とし施工することができ、仕上がり後の太陽電池モジュールの意匠性が良好である。さらに、太陽電池モジュールとしてのコシも付与できるため、施工時や加工時の太陽電池モジュールの折れ、シワの防止、および太陽電池モジュール取扱いの際のハンドリング性を向上させることができる。
さらに、太陽電池モジュールは光を受けて熱せられることが多いため、封止層2、5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止層2、5を形成する材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで太陽電池モジュールの使用時に封止材が融解・劣化するのを防ぐことができる。
封止層2、5の膜厚は特段の制限はないが、太陽電池モジュール表層側からの外圧や衝撃により太陽電池素子がダメージを受けることを防止するために、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることが特に好ましく、一方、可視光線透過率が大幅に低下するのを防ぐために、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがさらに好ましく、60μm以下であることが特に好ましい。
なお、封止層2、5に、紫外線遮断、熱線遮断、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池素子は、水や酸素により劣化しやすい傾向があり、また、太陽光の紫外線により劣化する場合があるため、ガスバリア性や紫外線遮断機能を持つことが好ましい。このような機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布成膜等により封止層2、5上に積層してもよいし、このような機能を有する材料を溶解・分散させるなどして封止層2、5に含有させてもよい。
封止層2、5の100μmにおける水蒸気透過率は、40℃90%RH環境下で、通常10g/m-2/day以下、好ましくは10-1g/m2/day以下、より好ましくは10-2g/m2/day以下、さらに好ましくは10-3g/m2/day以下である。水蒸気透過率は、JIS K7129に準じた感湿センサ、赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置による測定、カップ法(JIS Z0208)により、40℃90%RH環境で測定することができる。
封止層2、5の100μmにおける酸素透過性は、25℃環境下で、通常1cc/m2/day/atm以下であり、1×10-1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、1×10-2cc/m2/day/atm以下であることがより好ましく、1×10-3cc/m2/day/atm以下であることがさらに好ましく、1×10-4cc/m2/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10-5cc/m2/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、薄膜太陽電池素子の酸化による劣化が抑えられる利点がある。なお、酸素透過率は、JIS K7126Aに準じた差圧法に基づく装置、あるいはJIS K7126Bに準じた等圧法に基づく赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置で測定することができる。
<1−4.バリア層1、6>
上述の通り、通常、有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を含有する活性層を備えた太陽電池素子3は、湿気及び酸素に弱い傾向がある。そこで、バリア層1、6を設けることにより、該太陽電池素子3を水及び酸素から保護し、発電性能を高く維持することができる。
本実施形態において、バリア層1、6は、樹脂基材に薄膜の無機層を積層させた構成することが好ましい。
樹脂基材を形成する材料は特段の制限はないが、効率良く溶融し、素子基板4との密着性を向上させるために、素子基板4と同様に、熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリエステル系樹脂であることがさらに好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)であることが特に好ましい。
樹脂基材の厚さは特段の制限はないが、太陽電池素子の機械的強度を向上させるために10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることが特に好ましく、一方、太陽電池モジュールのフレキシブル性の低下を防ぐために500μm以下であることが好ましく、400μm以下であることがさらに好ましく、300μm以下であることが特に好ましい。
なお、樹脂基材は複数の材料により形成されていてもよい。また、耐候性を向上させるために、樹脂基材は公知の無機フィラー等を含んでいてもよい。
無機フィラーとしては、特段の制限はないが、例えば、シリカ、マイカ、タルク、クレー、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト、ワラストナイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維などが挙げられる。これらのなかでも、好ましくはタルクが挙げられる。なお、樹脂基材中に混合される無機フィラーは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
無機層を構成する無機材料は、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、あるいは、これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、酸化炭化窒化物、ダイヤモンドライクカーボン又はこれらの混合物等が挙げられる。これらのなかでも、太陽電池モジュールに適用した場合に、電流のリークを防ぐために、無機層を構成する材料は、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、ダイヤモンドライクカーボン並びにこれらの混合物が好ましい。これらのなかでも、高い防湿性が安定に維持できるために、酸化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化窒化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム及びこれらの混合物が特に好ましい。なお、無機層は複数の無機材料により構成されていてもよい。また、複数の無機層を有していてもよい。この場合も、複数の無機層は同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。太陽電池モジュールの意匠性の観点から、光学物性はより透明であることがよく、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素が好ましい。
無機層の形成方法としては、特段の制限はなく、使用する材料に合わせて任意の方法で形成すればよい。具体的には、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できる。なかでも、バリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、化学気相蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)等の方法が含まれる。物理気相蒸着法としては、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等が挙げられ、化学気相蒸着法としては、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
無機層の厚さは、防湿性能の向上のために、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがさらに好ましく、30nm以上であることが特に好ましく、一方、透明性の向上のために、1000nm以下であることが好ましく、800nm以下であることがさらに好ましく、600nm以下であることが特に好ましい。
なお、図3に示すような太陽電池モジュールの場合、第1の封止層2及び第2の封止層5それぞれの外縁が、ともに素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は第1の封止層2及び第2の封止層5それぞれの外縁が、ともに素子基板の外縁内部に位置することが好ましい。
<2.太陽電池モジュールの製造方法>
本実施態様に係る太陽電池モジュールの製造方法は、特段の制限はなく、上記構成が得られる限り、任意の方法で形成することができる。以下に示すように、例えば、素子基板4上に太陽電池素子3を形成する工程と、太陽電池素子3を封止する工程と、により製造することができる。
<2−1.素子基板4上に太陽電池素子3を形成する工程>
素子基板4上に太陽電池素子3を形成する方法は特段の制限はない、上述の<1−2.太陽電池素子3>で説明したように、太陽電池素子3を構成する各層を順次積層させて形成することができる。
太陽電池素子3を構成する各層は、枚葉式で形成してもよいし、ロール・ツー・ロール方式で形成してもよい。但し、生産性を向上させるためには、ロール・ツー・ロール方式により各層又は少なくとも一部の層を形成することが好ましい。
なお、太陽電池モジュールは、1つの太陽電池素子により構成されていてもよいし、直列に接続された複数の太陽電池素子により構成されていてもよい。さらには、直列に接続された複数の太陽電池素子を複数有し、それらが互いに並列接続された構成であってもよい。太陽電池モジュールが、複数の太陽電池素子が直列に接続された構成とする場合、各層を成膜した後に、公知のレーザ―スクライブ法等を用いて直列化構造を形成すればよい。
<2−2.太陽電池素子3の封止工程>
太陽電池素子3を封止するためには、封止層2とバリア層1との積層体及び封止層5とバリア層6の積層体を用意し、それぞれの積層体を構成する封止層2、5が太陽電池素子基板側になるように貼り合わせればよい。なお、予め、素子基板4に封止層5及びバリア層6の積層体を貼り合わせてから、素子基板4の当該積層体が存在しない側に、太陽電池素子3を形成し、その後、太陽電池素子3側を、封止層2及びバリア層1の積層体により封止してもよい。封止の方法は特段の制限はなく、真空ラミネートやロールラミネートといった公知の方法により行えばよい。なお、本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、封止層の外縁が、素子基板の外縁と略同一であるか、又は封止層の外縁が、素子基板の外縁内に位置するが、所望の太陽電池モジュールの構造が得られるように、適宜、封止層とバリア層の積層体と、素子基板の位置を調整して貼り合わせを行なえばよい。
また、貼り合わせた後に太陽電池モジュールを所望の大きさに切断することも可能であり、この切断プロセスにより、封止層の外縁が素子基板の外縁と略同一となるように位置させた構造とすることができる。
また、太陽電池モジュールの周辺領域を溶融する場合、太陽電池素子を封止した後に、太陽電池モジュールの周辺領域に上述の通り、超音波処理等を施せばよい。
<3.その他の実施形態に係る太陽電池モジュール>
本発明に係る太陽電池モジュールは、太陽電池モジュールを上面から観察した際に、図1に示すように封止層の外縁が素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は図2に示すように封止層の外縁が、素子基板の外縁内部に位置していれば、太陽電池モジュールの層構造は図3の構造に特に限定されない。例えば、図4に示すように、素子基板の一方の側に、封止層5及びバリア層6の積層体を設けずに、素子基板4と、太陽電池素子3と、封止層2と、バリア層1との積層構造であってもよい。この場合も、封止層2の外縁が素子基板4の外縁と略同一となるように位置するか、又は封止層の外縁が、素子基板の外縁内部に位置していれば、図3の太陽電池モジュールと同様に耐久性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
なお、図4に係る太陽電池モジュールの構成の場合、太陽電池素子3が形成されていない側の素子基板4の水分や酸素の侵入を防ぎ、バリア性能を向上させるために、<1−4.バリア層1、6>の項目に記載した無機層を、素子基板表面に設けることが好ましい。
また、本発明に係る太陽電池モジュールは、上記以外に、他の構成部材又は層を有していてもよい。
例えば、太陽電池素子3から発生した電気を外部に取り出すために、任意の太陽電池素子に集電線を設置することが好ましい。集電線は、特段の制限はなく、公知の集電線を使用することができ、また、集電線の設置方法も公知の方法を用いればよい。
また、太陽電池モジュールが紫外線により劣化するのを防ぐために紫外線カットフィルムを設けてもよい。さらには、太陽電池モジュールの物理的損傷を防ぐために、ハードコート層を設けてもよい。これらの紫外線カットフィルムやハードコート層も公知の材料・形成方法により設けることができる。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<実施例1−1:太陽電池モジュール1の製造・評価>
図3の模式断面図に示す構成を有する太陽電池モジュール1を以下の方法で作成した。
幅200mm、長さ300mmの50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上にスパッタリングによりシリコン酸化膜を成膜したバリア層(水蒸気透過率は、温度40℃、湿度90%において3x10-3g/m2/day)と、素子基板として幅200mm、長さ300mmの50μm厚のポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム社製Q65)とを、30μm厚のポリオレフィン接着剤により、ロール温度90℃のロールラミネータにより、素子基板の外縁が接着剤の外縁と、略同一の位置となるように接着した。
その後、バリア層が積層された反対側の素子基板上に、スパッタリング法により、厚さ50nmの第1の酸化インジウム層、厚さ8nmの銀層、厚さ30nmの第2の酸化インジウム層をこの順に積層して、下部電極を形成した。
次に、下部電極の上に、日本国特開2015−127408号公報に記載された方法により、電子取り出し層として、厚さ50nmの酸化亜鉛層を形成した。
次に、酸化亜鉛層上に、厚さ320nmの活性層を形成した。具体的には、高分子有機半導体とフェニルC61フラーレン酪酸メチルエステル(PCBM)を重量比1:2.5で含む混合物を、6質量%となるように有機溶媒に溶解させた溶液を用いて塗布により形成した。
次に、活性層上に、正孔取り出し層として、厚さ400nmのPEDOT:PSS層を形成した。具体的には、PEDOT:PSS層は、PEDOT:PSS分散液を超音波分散した後、96時間放置し、その後、ドクターブレード法で活性層上に塗布し、窒素雰囲気化145℃、30分間乾燥して形成した。
次に、PEDOT:PSS層上に、スパッタリング法により厚さ8nmの銀層、及び厚さ40nmの酸化インジウム層をこの順に積層して、上部電極を形成した。こうして、素子基板上に太陽電池素子を作製した。
この太陽電池素子を作成した素子基板を、80mm角の正方形に切断し、その外周10mm幅にわたって532nmのレーザーを用いて太陽電池素子を除去した。このようにして70mm角の発電領域を作製した。
次に、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、スパッタリング法により透明シリコン酸化膜を成膜したバリア層(水蒸気透過率は温度40℃、湿度90%において5x10-4g/m2/day)を80mm角の正方形に切断し、該ポリエチレンテレフタレートフィルムに、封止層として80mm角の30μm厚のポリイソブチレンのシートをロールラミネーションにより接着し、封止層及びバリア層の積層体を作製した。その後、素子基板の太陽電池素子が形成された側に、封止層と、バリア層とをこの順になるように積層体を重ねた後、真空ラミネータに投入し、80℃で真空ラミネート封止を行った。こうして、素子基板の外縁が、封止層の外縁と略同一となるように太陽電池モジュール1−1を作製した。なお、素子基板と封止層の外縁部のずれは最大1mm以下であった。
得られた太陽電池モジュール1−1を上面から目視しても、太陽電池モジュール内に気泡の存在は確認されなかった。また、得られた太陽電池モジュール1−1をソーラシミュレーターでAM1.5G条件の光を照射強度1000W/cm2で照射して、電流−電圧特性を測定し、得られた電流−電圧曲線から、初期の光電変換効率(PCE)を算出した。その後、同様の方法により、温度85℃、湿度85%の環境下における100時間後の太陽電池モジュールの変換効率を算出し、初期変換効率に対する100時間後の変換効率の維持率を算出し、耐久性の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<比較例1−1:太陽電池モジュール2の作製・評価>
以下の方法により、図5に示されるような太陽電池モジュールを作製した。
太陽電池素子形成前に、素子基板にバリア層を接着させなかったこと以外は、実施例1−1と同様の方法により素子基板上に太陽電池素子を形成した。その後、太陽電池素子を作成した素子基板を、60mm角の正方形に切断した。次に、実施例1−1同様のバリア層を80mm角の正方形に切断し、封止層として30μm厚の80mm角のポリイソブチレンシートをロールラミネーションにより接着した積層体を2つ作製した。その後、バリア層、封止層、太陽電池素子が形成された素子基板、封止層、バリア層という積層順になるように、太陽電池素子が形成された素子基板と、2つの積層体とを重ねて、真空ラミネータに投入し、80℃で真空ラミネート封止を行った。こうして得られた太陽電池モジュール1−2の封止層の端部と、素子基板の端部との距離はそれぞれ10mmであった。
この太陽電池モジュールに対して実施例1−1と同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、太陽電池モジュール1−2を上面から目視した際に、素子基板の端部付近に気泡の存在が確認できた。
Figure 2018125381
比較例1−1に係る太陽電池では、維持率が79%であったのに対して、実施例1−1に係る太陽電池では、98%という高い維持率が得られた。この結果から、本発明に係る太陽電池モジュールは、高い耐久性を備えていることが分かる。さらに、比較例1−1では、太陽電池モジュールの素子基板端部付近に気泡が確認されたのに対して、実施例1−1に係る太陽電池モジュールでは気泡が確認できなかった。このことから、本発明によれば、高い意匠性を備えた太陽電池モジュールも提供できることが分かる。
<実施例2−1:太陽電池モジュール2−1の作製・端部融着による評価>
100μmのポリエチレンナフタレートフィルム上に、実施例1−1と同様の方法により太陽電池素子を形成した。次に、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに30μmのオレフィン系熱可塑性接着剤を積層させた積層体を作成し、該積層体の四辺端部がポリエチレンナフタレートフィルムの四辺端部とそれぞれ揃うように、真空ラミネータを用いて、140℃の条件下で、太陽電池素子が形成された素子基板と、該積層体を貼り合わせた。このようにして作成された太陽電池モジュールを、SONOPET436D/M(精電舎電子工業社製)を用い、太陽電池モジュールの四辺端部に超音波を印加した。具体的には、周波数28.5kHz、振幅20μmで2mm幅のホーンを振動させ、重荷を60Nとし、ホーンを接触させながら3m/分の速度で太陽電池モジュールを移動させた。
このようにして作成した太陽電池モジュール2−1の、素子基板であるポリエチレンナフタレートフィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルム基材の剥離強度をT型剥離試験機で測定した。また、得られた太陽電池モジュールの断面を観察して、溶融領域が形成されている幅を算出した。得られた結果を表1に示す。
<実施例2−2:太陽電池モジュール2−2の作製・端部融着による評価>
実施例2−1の重荷を80Nとした以外は、実施例2−1と同様に太陽電池モジュール2−2を作成し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例2−3:太陽電池モジュール2−3の作製・端部融着による評価>
実施例2−1の重荷を100Nとした以外は、実施例2−1と同様に太陽電池モジュール2−3を作成し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例2−4:太陽電池モジュール2−4の作製・端部融着による評価>
実施例2−1の重荷を120Nとした以外は、実施例2−1と同様に太陽電池モジュール2−4を作成し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
<実施例2−5.太陽電池モジュール2−5の作製・評価>
超音波を印加しなかった以外は、実施例2−1と同様の方法により太陽電池モジュール2−5を作成し、同様の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 2018125381
実施例2−3に係る太陽電池モジュールを透過型電子顕微鏡により断面を観察すると素子基板であるポリエチレンナフタレートフィルムの上面から厚さ方向50μmの範囲で、溶融領域が形成されており、該上面から厚さ方向50μm〜100μmの範囲には溶融領域は形成されていなかった。また、バリア層のポリエチレンテレフタレートフィルムの下面から50μmの範囲で溶融領域が形成されており、該下面から50μm〜100μmの範囲には溶融領域は形成されていなかった。すなわち、各フィルムの厚さ方向に対して、0.5の割合で溶融領域が形成されていた。一方、実施例2−5に係る太陽電池モジュールにおいては、素子基板のポリエチレンナフタレートフィルムと、バリア層のポリエチレンテレフタレートフィルムは厚み方向の全体にわたって溶融しており、非溶融領域は存在していなかった。
表2の結果を参照すると、太陽電池モジュールの周辺領域において、素子基板の樹脂基材、及びバリア層の樹脂基材が溶融している太陽電池モジュールは、素子基板と、バリア層との剥離強度が極めて高くなることが確認できる。そのため、剥離が少なく、高い耐久性を備えた太陽電池モジュールを提供できることが分かる。
1、6 バリア層
2、5 封止層
3 太陽電池素子
4 素子基板
10 素子基板の外縁
11 封止層の外縁
12 発電領域

Claims (5)

  1. 少なくとも、素子基板と、太陽電池素子と、封止層と、バリア層と、をこの順に有する太陽電池モジュールであって、
    太陽電池モジュールを上面から観察した際に、前記封止層の外縁が、前記素子基板の外縁と略同一となるように位置するか、又は前記封止層の外縁が、素子基板の外縁内部に位置することを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記太陽電池素子は、一対の電極と、該一対の電極間に活性層と、を有し、前記活性層が有機半導体化合物又はペロブスカイト半導体化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記素子基板の厚さが10μm以上500μm以下であり、かつ、太陽電池素子の厚さが5μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記素子基板が樹脂基材であり、かつ前記バリア層が樹脂基材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
  5. 太陽電池モジュールの周辺領域において、前記素子基板である樹脂基材の少なくとも一部と、前記バリア層を構成する樹脂基材の少なくとも一部が溶融していることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュール。
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