JP2018135414A - 半芳香族ポリアミドシートおよびその製造方法 - Google Patents

半芳香族ポリアミドシートおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】打ち抜き加工性及びレーザー溶着性に優れた半芳香族ポリアミドシートの提供。【解決手段】テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、C9の脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分とから構成される半芳香族ポリアミド100質量部と、黒色顔料0.1〜5.0質量部とを含有し、DSC法による相対結晶化度が99%以上であって、JIS K7127による引張伸度が30〜300%である半芳香族ポリアミドシート。ジカルボン酸成分中、テレフタル酸が、60〜100モル%、特に好ましくは85〜100モル%であり、ジアミン成分中、C9の脂肪族ジアミンが、60〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である、半芳香族ポリアミドシート。前記半芳香族ポリアミドと黒色願料とを溶融混練して、移動冷却体上にシート状に押し出した後、前記シートを結晶化させる、半芳香族ポリアミドシートの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、打ち抜き加工性およびレーザー溶着性に優れた半芳香族ポリアミドシートおよびその製造方法に関するものである。
脂肪族ジアミンとフタル酸の重縮合体である半芳香族ポリアミドは、耐熱性に優れていることから、自動車部材や電気電子部材の中でも特に耐熱性への要求が高い用途に用いられている。半芳香族ポリアミドとしては、例えば、炭素数が6の脂肪族ジアミンとテレフタル酸とからなるポリアミド6Tや、炭素数が9である脂肪族ジアミンとテレフタル酸とからなるポリアミド9Tや、炭素数が10である脂肪族ジアミンとテレフタル酸とからなるポリアミド10Tが知られているが、中でも、耐熱性や低吸水性に優れ、かつシートへの溶融加工が比較的おこないやすいことから、ポリアミド9Tが注目されている。
近年、ポリアミド9Tのシートを、製造時にリフローはんだ耐熱性が必要な電子機器に用いることが検討されている。その際には、シートを機器の部品サイズに応じて打ち抜く必要があり、その際に割れが生じないこと(打ち抜き加工性に優れていること)が要求されている。また、電気機器の組立工程では、部品どうしを溶着させることが行われており、シートはレーザー溶着可能なものであることが好ましい。
特許文献1には、ポリアミド9Tフィルムの未延伸フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献1のフィルムは、レーザー溶着特性が不十分であった。
特許第5881614号公報
本発明は、上記課題を解決するものであって、打ち抜き加工性およびレーザー溶着性に優れた半芳香族ポリアミドシートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討の結果、特定の半芳香族ポリアミドを用いて特定の製造条件でシートを製造することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分とから構成される半芳香族ポリアミド100質量部と、黒色顔料0.1〜5.0質量部とを含有し、DSC法による相対結晶化度が99%以上であって、JIS K7127による引張伸度が30〜300%であることを特徴とする半芳香族ポリアミドシート。
(2)半芳香族ポリアミドと黒色顔料とを溶融混練して、移動冷却体上にシート状に押出した後、前記シートを結晶化させることを特徴とする(1)に記載の半芳香族ポリアミドシートの製造方法。
本発明によれば、打ち抜き加工性およびレーザー溶着性に優れた半芳香族ポリアミドシートを提供することができる。本発明の半芳香族ポリアミドシートは、産業資材、工業材料、家庭用品、特に電気電子材料に好適に用いることができる。
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、半芳香族ポリアミドと黒色顔料とを含有する。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸成分とジアミン成分から構成される。
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸を主成分として含有することが必要である。ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量は、60〜100モル%とすることが好ましく、70〜100モル%とすることがより好ましく、85〜100モル%とすることがさらに好ましい。ジカルボン酸成分において、テレフタル酸の含有量が60モル%未満の場合、得られるシートの耐熱性が低下したり、吸水性が高くなったりするので好ましくない。
ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸や、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
ジアミン成分としては、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分として含有することが必要である。ジアミン成分における炭素数が9である脂肪族ジアミンの含有量は、60〜100モル%とすることが好ましく、75〜100モル%とすることがより好ましく、90〜100モル%とすることがさらに好ましい。ジアミン成分において、炭素数が9である脂肪族ジアミンの含有量が60モル%未満の場合、得られるシートの耐熱性が低下したり、吸水性が高くなったりするので好ましくない。
炭素数が9である脂肪族ジアミンとしては、例えば、1,9−ノナンジアミン等の直鎖状脂肪族ジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンを挙げることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、成形性の点から、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを併用することが好ましい。
ジアミン成分における炭素数が9である脂肪族ジアミン以外のジアミン酸成分としては、例えば、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の脂肪族ジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、トリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
前記モノマーの組み合わせで得られる半芳香族ポリアミドの中でも、耐熱性と成形性の点から、テレフタル酸のみからなるジカルボン酸成分と、1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンを併せて60〜100モル%含有するジアミン成分からなる半芳香族ポリアミドが好ましい。1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの共重合比[(1,9−ノナンジアミン)/(2−メチル−1,8−オクタンジアミン)]は、50/50〜100/0(モル比)とすることが好ましく、70/30〜100/0とすることがより好ましく、75/25〜95/5(モル比)とすることがさらに好ましい。1,9−ノナンジアミンと2−メチル−1,8−オクタンジアミンとの共重合比[(1,9−ノナンジアミン)/(2−メチル−1,8−オクタンジアミン)]を50/50〜100/0(モル比)とすることにより、耐熱性、低吸水性に優れたシートを得ることができる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドには、末端封止剤を共重合していてもよい。末端封止剤としては、半芳香族ポリアミドの末端におけるアミノ基またはカルボキシル基と反応する単官能性の化合物であれば、特に限定されない。末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類が挙げられる。中でも、反応性および封止された末端基の安定性等の点から、モノカルボン酸またはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さの点からモノカルボン酸がより好ましい。モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が挙げられる。
末端封止剤の含有量は、用いられる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等によって適宜選択することができる。末端封止剤の含有量は、分子量の調整や樹脂の分解抑制の点から、ジカルボン酸成分とジアミン成分の合計100モル%に対して、0.1〜15モル%とすることが好ましい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドは、末端封止剤により分子鎖の末端が封止されていることが好ましい。末端基の全量に対する末端封止されている末端の割合は、10モル%以上とすることが好ましく、40モル%以上とすることがより好ましく、70モル%以上とすることがさらに好ましい。末端封止されている末端量の割合を10モル%以上とすることで、シート製造時の樹脂の分解を抑制することができ、それに伴う気泡の発生が抑制されるため、得られるシートの平滑性は高いものとなる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドには、本発明の目的を損なわない範囲で、ε−カプロラクタム、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタム類や、ε−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン等のアミノカルボン酸を共重合していてもよい。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドの融点は、260〜350℃であることが好ましく、280〜350℃であることがより好ましく、280〜320℃であることがさらに好ましい。半芳香族ポリアミドの融点が280℃未満であると、得られるシートの耐熱性が不十分となり、リフローはんだ耐熱性が得られない場合がある。一方、前記融点が350℃を超えると、溶融温度がアミド結合の分解温度に近づくため、シート製造時に半芳香族ポリアミドが熱分解しやすくなる。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドの極限粘度は、0.8〜2.0dl/gであることが好ましく、0.9〜1.8dl/gであることがより好ましい。半芳香族ポリアミドの極限粘度を前記範囲とすることで、機械物性に優れたシートを得ることができる。半芳香族ポリアミドの極限粘度が0.8dl/g未満であると、製膜してもシート形状を保つのが困難となる場合がある。一方、前記極限粘度が2.0dl/gを超えると、シート製造時に、冷却ロールへの密着が困難となり、シートの平滑性が悪化する場合がある。
本発明に用いる半芳香族ポリアミドは、結晶性ポリアミド樹脂を製造する方法として知られている任意の方法を用いて製造することができる。半芳香族ポリアミドの製造方法としては、例えば、酸クロライドとジアミン成分を使用して溶液重合をおこなう方法や界面重合をおこなう方法、または、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを使用してプレポリマーを作製し、前記プレポリマーを用いて溶融重合や固相重合をおこなう方法が挙げられる。中でも、安価に製造することができることから後者の方法の方が好ましい。
プレポリマーは、例えば、ジアミン成分、ジカルボン酸成分および重合触媒を一括で混合することで調製されたポリアミド塩を、200〜250℃の温度で加熱重合することで得ることができる。プレポリマーの極限粘度は、0.1〜0.6dl/gとすることが好ましい。プレポリマーの極限粘度を前記範囲とすることで、続く固相重合や溶融重合において、ジカルボン酸成分におけるカルボキシル基とジアミン成分におけるアミノ基のモルバランスの崩れを生じさせず、重合速度を速くすることができる。上記のプレポリマーの極限粘度が0.1dl/g未満であると、重合時間が長くなり、生産性に劣る場合がある。一方、0.6dl/gを超えると、得られる半芳香族ポリアミドが着色する場合がある。
プレポリマーを固相重合する場合、200〜280℃でおこなうことが好ましい。固相重合を前記範囲でおこなうことで、得られる半芳香族ポリアミドの着色やゲル状異物の発生を抑制することができる。固相重合を200℃未満でおこなうと、重合時間が長くなるため生産性に劣る場合がある。一方、固相重合を280℃を超える温度でおこなうと、得られる半芳香族ポリアミドが着色したり、ゲル状異物が発生する場合がある。固相重合は、減圧下または不活性ガス流通下でおこなうことが好ましい。
プレポリマーを溶融重合する場合、350℃以下でおこなうことが好ましい。溶融重合を350℃を超える温度でおこなうと、得られる半芳香族ポリアミドが分解したり、熱劣化が促進されたりする場合がある。その結果、このような半芳香族ポリアミドから得られたシートは、強度や平滑性に劣る場合がある。なお、上記の溶融重合には、溶融押出機を用いた溶融重合も含まれる。
半芳香族ポリアミドの重合に際しては、触媒を用いることが好ましい。触媒としては、亜リン酸触媒や次亜リン酸触媒が挙げられる。
触媒の含有量は、半芳香族ポリアミド100質量部に対して、0.01〜5質量部とすることが好ましく、0.05〜2質量部とすることがより好ましく、0.07〜1質量部とすることがさらに好ましい。重合触媒の含有量を0.01〜5質量部とすることで、半芳香族ポリアミドの劣化を抑制しつつ、前記半芳香族ポリアミドを効率よく重合することができる。触媒の含有量が0.01質量部未満であると、触媒作用が発現しない場合がある。一方、触媒の含有量が5質量部を超えると、触媒効果が飽和するばかりか、経済的に不利となる。
本発明に用いる黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、アニリンブラックが挙げられ、中でも、着色性と汎用性の点から、カーボンブラックが好ましい。ポリアミドシートに黒色顔料を含有させることにより、レーザー光の吸収が大きくなり、結果としてレーザー溶着性に優れたものとすることができる。
黒色顔料の含有量は、半芳香族ポリアミド100質量部に対して、0.1〜5.0質量部とすることが必要であり、0.3〜3.0質量部とすることが好ましく、0.5〜2.0質量部とすることがより好ましい。含有量が0.1質量部未満の場合、レーザー光が透過し、レーザー溶着性が低下するので好ましくない。一方、含有量が5.0質量部を超えると、着色性能が飽和するだけでなく、シートの強度が低下するので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドシートには、製膜時の熱安定性を高め、シートの強度の劣化を防ぎ、使用時の酸化や分解等に起因するシートの劣化を防止するため、熱安定剤を含有させることが好ましい。熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系熱安定剤、ヒンダードアミン系熱安定剤、リン系熱安定剤、イオウ系熱安定剤、二官能型熱安定剤が挙げられる。これらの熱安定剤は、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、例えば、イルガノックス1010(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、イルガノックス1076(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、サイアノックス1790(登録商標)(サイアナミド社製、化学式名:1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸)、イルガノックス1098(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:N,N’−(ヘキサン−1,6‐ジイル)ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド])、スミライザーGA−80(登録商標)(住友化学社製、化学式名:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン)が挙げられる。
ヒンダードアミン系熱安定剤としては、例えば、ナイロスタブ S−EED(登録商標)(クラリアントジャパン社製、化学式名:2−エチル−2’−エトキシ−オキザルアニリド)が挙げられる。
リン系熱安定剤としては、例えば、イルガフォス168(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)、イルガフォス12(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:6,6’,6”−[ニトリロトリス(エチレンオキシ)]トリス(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン)、イルガフォス38(登録商標)(BASFジャパン社製、化学式名:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸)、アデカスタブ329K(登録商標)(旭電化社製、化学式名:トリス(モノ−ジノニルフェニル)ホスファイト)、アデカスタブPEP36(登録商標)(旭電化社製、化学式名:ビス(2,6−ジ―tert―ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト)、Hostanox P−EPQ(登録商標)(クラリアント社製、化学式名:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト)、GSY−P101(登録商標)(堺化学工業社製、化学式名:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト)、スミライザーGP(登録商標)(住友化学社製、化学式名:6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン)が挙げられる。
イオウ系熱安定剤としては、例えば、DSTP(登録商標)(吉富社製、化学式名:ジステアリルチオジプロピオネート)、Seenox 412S(登録商標)(シプロ化成社製、化学式名:ペンタエリスリトール テトラキス−(3−ドデシルチオプロピオネート)、Cyanox 1212(登録商標)(サイアナミド社製、化学式名:ラウリルステアリルチオジプロピオネート)が挙げられる。
二官能型熱安定剤としては、例えば、スミライザーGM(登録商標)(住友化学社製、化学式名:2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート)、スミライザーGS(登録商標)(住友化学社製、化学式名:2−[1−(2‐ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート)が挙げられる。
中でも、シート製膜時におけるフィルター昇圧を抑制する点からは、リン系熱安定剤が好ましく、Hostanox P−EPQ、GSY−P101がより好ましく、Hostanox P−EPQがさらに好ましい。
また、シートの強度の劣化を抑制する点からは、ヒンダードフェノール系熱安定剤が好ましい。ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、熱分解温度が、320℃以上のものが好ましく、350℃以上のものがより好ましい。熱分解温度が320℃以上のヒンダードフェノール系熱安定剤としては、スミライザーGA−80が挙げられる。
リン系熱安定剤とヒンダードフェノール系熱安定剤とを併用することにより、シート製膜時におけるフィルターの昇圧を防止することができ、シートの強度の劣化を抑制することができる。ヒンダードフェノール系熱安定剤とリン系熱安定剤の組み合わせとしては、Hostanox P-EPQまたはGSY−P101と、スミライザーGA−80との組み合わせが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドシートにおける上記の熱安定剤の含有量としては、半芳香族ポリアミド100質量部に対して、0.01〜2質量部とすることが好ましく、0.05〜1質量部とすることがより好ましい。熱安定剤の含有量が0.01質量部未満であると、半芳香族ポリアミドの分解を抑制できない場合がある。一方、熱安定剤の含有量が2質量部を超えると、分解抑制効果が飽和するばかりか経済的に不利となる。なお、熱安定剤を併用する場合は、各々の熱安定剤の個別の含有量および熱安定剤の合計の含有量のいずれもが、上記の範囲に入っていることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミドシートには、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、例えば、着色防止剤、酸化防止剤、耐候性改良剤、滑剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強化剤、改質剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、防曇剤、各種ポリマー樹脂が挙げられる。耐候性改良剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤やリン系難燃剤が挙げられる。強化剤としては、例えば、タルクが挙げられる。なお、前記添加剤を本発明の半芳香族ポリアミドシートに含有させるには、本発明の半芳香族ポリアミドシートを製造する際の任意の段階で添加すればよい。
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、厚みが100〜600μmであることが好ましく、150〜550μmであることがより好ましい。厚みが100μm未満の場合、結晶化の際に皺が生じたりする場合がある。一方、厚みが600μmを超えると、加工時に割れやすくなる場合がある、
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、相対結晶化度が99%以上である必要があり、100%であることが好ましい。相対結晶化度が99%未満であると、リフローによる熱処理時や、高温下での使用時に熱変形が生じたりする場合があるため好ましくない。また、打ち抜き加工性が低下するので好ましくない。
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、引張伸度が、幅方向(TD)および長手方向(MD)ともに、30〜300%であることが必要であり、40〜250%であることが好ましく、50〜200%であることがより好ましい。引張伸度が30%未満であると、打ち抜き時に、シートが割れたりするので好ましくない。一方、引張伸度が300%を超えると、打ち抜き時に、バリが発生したり、高負荷下での使用時に圧縮変形したりするので好ましくない。
半芳香族ポリアミドシートの相対結晶化度を99%以上とし、引張伸度を30〜300%とするには、後述するように特定の製造条件でシートを製造すればよい。
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、半芳香族ポリアミドと黒色顔料とを溶融混練して溶融ポリマーを得、移動冷却体上にシート状に押出し、製膜と同時に結晶化させる一工程法や、溶融ポリマーを移動冷却体上にシート状に押出した後、別工程で結晶化させる二工程法で製造することができる。中でも、打ち抜き加工性に優れたシートを得ることができることから、二工程法の方が好ましい。
必要に応じて添加する添加剤は、半芳香族ポリアミドとドライブレンドしてから溶融混練してもよいし、途中から加えて溶融混練してもよい。
半芳香族ポリアミドの溶融温度および溶融ポリマーの押出温度は、半芳香族ポリアミドの融点以上、かつ、350℃以下であることが好ましい。押出温度が350℃を超えると、半芳香族ポリアミドの分解や熱劣化が促進される場合がある。
溶融ポリマーをシート状に押出す際には、絶対濾過径60μm以下の金属焼結フィルターを用いて濾過することが好ましい。中でも、フィルターを構成する金属がランダムな方向で配置され、ゲル状欠点となる微細な塊状物をより効果的に除去することができる点から、金属繊維焼結フィルター、金属粉末焼結フィルターを用いることがより好ましい。また、濾過の際の濾圧の上昇を抑制しやすいことから、金属繊維焼結フィルターを用いることがさらに好ましい。なお、金属繊維焼結フィルター、金属粉末焼結フィルターではなく、網状の金属焼結フィルターを用いると、上記の微細な塊状物を十分に取り除くことができない場合がある。その結果、得られたシートにおいて、ゲル状異物が十分に低減できない場合がある。
金属焼結フィルターの濾過径を表すものとしては、絶対濾過径と公称濾過径がある。絶対濾過径とは、JIS−B8356の方法に従って測定された、フィルターメディア(濾過材)を通過した最大のグラスビーズ粒径のサイズにより定義されるものである。一方、公称濾過径とは、JIS−B8356の方法に従って測定された、フィルターメディアによる捕集効率が95%であるコンタミナントの粒径(異物の粒径)のサイズにより定義されるものである。
金属繊維焼結フィルターは、単層のものであってもよいし、濾過径の異なる2層以上の層が積層された構造を有するものであってもよい。
金属焼結フィルターの絶対濾過径は、60μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。絶対濾過径が小さいほどゲル状異物を除去する効果が高くなる。これにより、ゲル状異物が少なく、平滑性に優れたシートを製造することできる。絶対濾過径が60μmを超えると、ゲル状異物を十分に抑制することができない場合がある。
シート状に押出す際のダイとしては、Tダイ、Iダイ等が挙げられるが、汎用性が高いことから、Tダイが好ましい。
移動冷却体としては、冷却ロールやスチールベルト等が挙げられる。
移動冷却体の温度は、一工程法とする場合と二工程法とする場合で好適温度は異なるが、20〜250℃に設定することが好ましい。一工程法においては、120〜250℃とすることが好ましく、120〜220℃とすることがより好ましく、120〜180℃とすることがさらに好ましい。移動冷却体の温度が120℃未満の場合はシートの結晶化が進行せず、移動冷却体の温度が250℃を超える場合、溶融シートが移動冷却体に貼りつく場合がある。二工程法においては、20〜90℃とすることが好ましく、40〜70℃とすることがより好ましい。移動冷却体の温度が20℃未満では、溶融シートが移動冷却体に接触した際に冷却ムラが起こったり、得られるシートの平滑性が損なわれたり、半芳香族ポリアミドに含まれる低分子量物等が移動冷却体に付着しシートが汚れたりする場合がある。移動冷却体の温度が90〜110℃の場合、結晶化が進行せず、溶融シートが移動冷却体に貼りつく場合がある。
二工程法において、別工程で結晶化させる方法としては特に限定されないが、例えば、120〜250℃に設定された加熱ロールに接触させながら通過させることで結晶化させたり、遠赤外線加熱炉や熱風炉等を通過させることで結晶化させたりする方法が挙げられる。加熱ロールの設定温度は、120〜230℃とすることが好ましく、130〜210℃とすることがより好ましい。遠赤外線加熱炉や熱風炉を通過させる時間は、10〜25秒とすることが好ましく、10〜20秒とすることがより好ましい。加熱温度が120℃未満や通過させる時間が10秒未満では、結晶化が進行せず、加熱温度が250℃以上や通過させる時間が25秒を超えると、加熱ロールに張り付いたり、シートの平滑性が低下したり、打ち抜き特性が低下する場合がある。
本発明の製造方法においては、均一な厚みのシートを得ることを目的として、溶融ポリマーを均一に移動冷却体に密着させ、冷却固化する方法を採用することが好ましい。そのような方法としては、例えば、エアーナイフキャスト、静電印加法、バキュームチャンバ法、スリーブタッチ法を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、シリンダーやバレルの溶融部、計量部、単管、フィルター、Tダイ等の表面に対して、樹脂の滞留を防ぐため、その表面の粗さを小さくする処理がされることが好ましい。表面の粗さを小さくする方法としては、例えば、極性の低い物質で改質する方法や、窒化珪素やダイヤモンドライクカーボンを蒸着させる方法が挙げられる。
得られた半芳香族ポリアミドシートは、枚葉とされてもよいし、巻き取りロールに巻き取られることでロールの形態とされていてもよい。各種用途への利用に際しての生産性の点から、ロールの形態とすることが好ましい。ロールとされた場合は、所望の巾にスリットされてもよい。
本発明の半芳香族ポリアミドシートは、打ち抜き加工性およびレーザー溶着性に優れたものである。このため、産業資材、工業材料、家庭用品、特に電気電子材料に好適に用いることができる。電気電子材料としては、例えば、プッシュスイッチ、タクタイルスイッチ、ロッカースイッチ、トグルスイッチ、ロータリースイッチ等のスイッチ各種が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
A.測定方法
半芳香族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドシートの物性測定は、以下の方法によりおこなった。なお、(1)〜(12)を測定する場合は、温度20℃、湿度65%の環境下でおこなった。
(1)半芳香族ポリアミドの極限粘度
半芳香族ポリアミドを、濃度が96質量%である濃硫酸中に、30℃にて、それぞれ、0.05g/dl、0.1g/dl、0.2g/dl、0.4g/dlの濃度となるように溶解させて、フィルター濾過した後、還元粘度を求めた。そして、各々の還元粘度の値を用い、濃度を0g/dlに外挿した値を極限粘度とした。
(2)半芳香族ポリアミドの融点、ガラス転移温度
半芳香族ポリアミド10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC−7」)を用い、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで10℃/分で昇温し(1st Scan)、350℃にて5分間保持した。その後、100℃/分で20℃まで降温し、20℃にて5分間保持後、350℃まで20℃/分でさらに昇温した(2nd Scan)。そして、2nd Scanで観測される結晶融解ピークのピークトップ温度を融点とし、ガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間点を、ガラス転移温度とした。
(3)半芳香族ポリアミドの熱分解温度
半芳香族ポリアミド10mgを、熱重量測定装置(パーキンエルマー社製、「TGA−7」)を用い、窒素雰囲気下で30℃から500℃まで20℃/分で昇温した。昇温前の半芳香族ポリアミドの質量に対して5質量%が減少した温度を、熱分解温度とした。
(4)シートの平均厚み
厚み計(HEIDENHAIN社製、「MT12B」)を用い、MDが110mのシートの厚みを100点測定し、その平均値を平均厚みとした。測定位置はフィルムの幅の中央部分とし、MD1m毎に100点測定した。
(5)シートの引張強度および引張伸度
島津製作所製オートグラフ「AGS−5kND」を用い、シートのMDおよびTDについて、JIS K7127に従って測定した。サンプルの大きさは10mm×150mm、チャック間の初期距離は100mm、引張速度は500mm/分とした。
本発明においては、引張強度が65MPa以上を合格とした
(6)シートの相対結晶化度
シート10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、「DSC−7」)を用い、窒素雰囲気下で20℃から350℃まで20℃/分で昇温した際の結晶化熱量(ΔHc)と結晶融解熱量(ΔHm)を測定し、以下の式により相対結晶化度を算出した。
相対結晶化度(%)={(ΔHm−ΔHc)/ΔHm}×100
(7)シートの全光線透過率
シートを、濁度計(日本電色工業社製、「NDH2000」)を用いて、JIS K7136に従って測定した。
(8)シートのリフロー耐熱性
50mm×50mmに加工したシート2枚用意し、それぞれ、赤外線加熱式のリフロー炉にて、100℃/分の速度で、240℃および255℃まで昇温し、10秒保持した。リフロー処理後のシートを観察し、以下の評価をおこなった。
◎:240℃、255℃いずれの場合も、変形が見られなかった。
○:240℃の場合は、変形が見られなかったが、255℃の場合は、変形が見られた。
×:240℃、255℃いずれの場合も、変形が見られた。
本発明においては「◎」、「○」の場合を合格とした。
(9)シートの打ち抜き特性
シートから、10mm角のトムソン刃を用いて50個の打ち抜き試験片を作製した。試験片を目視にて観察し、バリや割れの発生数を計測した。
◎:バリや割れが発生しなかった。
○:バリや割れの発生数が1〜4個であった。
×:バリや割れの発生数が5個以上であった。
本発明においては「◎」、「○」の場合を合格とした。
(11)製膜加工性
シート状の溶融物を冷却ロール状に押出した際の張り付き具合と、得られたシート上の剥離パターンの発生を評価した。
◎:冷却ロールへの貼り付きがなく、シートのTDに剥離パターンは発生しなかった。
○:冷却ロールへの貼り付きが発生し、シートのTDに剥離パターンが発生した。
×:冷却ロール上への貼り付きが発生し、シートが得られなかった。
本発明においては「◎」、「○」の場合を合格とした。
(12)結晶化加工性
得られたシートのシワおよび歪みを評価した。
◎:シワおよび歪みがいずれも発生しなかった。
×:シワおよび/または歪みが発生した。
本発明においては「◎」の場合を合格とした。
B.原料
<原料モノマー>
(1)NMDA:1,9−ノナンジアミン
(2)MODA:2−メチル−1,8−オクタンジアミン
(3)TPA:テレフタル酸
<触媒>
(1)PA:亜リン酸
<半芳香族ポリアミド>
(1)半芳香族ポリアミドA
1343gのNMDA、237gのMODA、1627gのTPA(平均粒径:80μm)(NMDA:MODA:TPA=85:15:99、モル比)、48.2gの安息香酸(BA)、3.2gのPA(ジカルボン成分とジアミン成分の合計量に対して0.1質量%)、1100gの水を反応装置に入れ、窒素置換した。さらに、80℃で0.5時間、毎分28回転で撹拌した後、230℃に昇温した。その後、230℃で3時間加熱した。その後冷却し、反応物を取り出した。前記反応物を粉砕した後、乾燥機中において、窒素気流下、220℃で5時間加熱し、固相重合してポリマーを得た。
(2)、(3)半芳香族ポリアミドB、C
表1に示すように、原料モノマーの種類と配合量および重合触媒の配合量を変更する以外は、半芳香族ポリアミドAと同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミドB、Cを調製した。
表1に、半芳香族ポリアミドA〜Cの組成および特性値を示す。
<黒色顔料>
(1)#980:三菱化学社製#980、粒子径16nm
(2)#44:三菱化学社製#44、粒子径24nm
<熱安定剤>
A.ヒンダードフェノール系安定剤
(1)GA:住友化学社製 スミライザーGA−80、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、熱分解温度392℃
B.リン系安定剤
(2)EPQ:クラリアント社製 Hostanox P−EPQ、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト
<フィルター>
NF−13:金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF−13」、公称濾過径:60μm、絶対濾過径:60μm)
<2工程法>
実施例1
100質量部の半芳香族ポリアミドAと熱安定剤GAと黒色顔料#980をドライブレンドした後に溶融混練してストランド状に押し出した。その後、冷却、切断してペレット状の半芳香族ポリアミドを作製した。さらに、得られたペレット状ポリマーを、シリンダー温度を320℃に加熱した、スクリュー径が50mmである単軸押出機に投入して溶融して、溶融ポリマーを得た。前記溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF−13」、絶対濾過径:60μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイよりシート状に押出し、シート状の溶融物とした。50℃に設定した冷却ロール上に、前記溶融物を静電印加法により密着させて冷却し、実質的に未結晶性の幅300mmのシート(厚さ:200μm)を得た。
得られた未結晶のシートを、加熱距離1.5mの遠赤外線加熱炉を通過させて結晶化した半芳香族ポリアミドシートを得た。処理条件は、炉内温度150℃、処理時間18秒とした。
実施例2〜15、比較例1〜6
表2に示すように、樹脂組成や製造条件を変更する以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミドシートを製造した。
<1工程法>
実施例16
100質量部の半芳香族ポリアミドAと熱安定剤GAと黒色顔料#980をドライブレンドした後に溶融混練してストランド状に押出した。その後、冷却、切断してペレット状の半芳香族ポリアミドを作製した。さらに、得られたペレット状ポリマーを、シリンダー温度を320℃に加熱した、スクリュー径が50mmである単軸押出機に投入して溶融して、溶融ポリマーを得た。前記溶融ポリマーを金属繊維焼結フィルター(日本精線社製、「NF−13」、絶対濾過径:60μm)を用いて濾過した。その後、320℃にしたTダイよりシート状に押し出し、シート状の溶融物とした。120℃に設定した冷却ロール上に、前記溶融物を静電印加法により密着させて冷却し、結晶性の幅300mmのシート(厚さ:200μm)を得た。
実施例17、比較例7〜9
表3に示すように、樹脂組成や製造条件を変更する以外は、実施例16と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミドシートを製造した。
比較例10
表3に示すように、製造条件を変更する以外は、実施例16と同様の操作をおこなって、半芳香族ポリアミドシートを製造しようとしたが、冷却ロール温度が高かったため、製膜時に溶融シートが冷却ロールに貼りつき、半芳香族ポリアミドシートを得ることができなかった。
実施例1〜17の半芳香族ポリアミドシートは、いずれも、リフロー耐熱性、打ち抜き特性にも優れていた。また、全光線透過率が低く、レーザー溶着可能なものであった。
実施例3の半芳香族ポリアミドシートは、原料モノマー中のMODA比率が高く、融点がやや低かったため、リフロー耐熱性がやや劣るものであった。
実施例14の半芳香族ポリアミドシートは、赤外線加熱炉の温度がやや高い条件で製造したため、平滑性がやや低く、打ち抜き加工すると若干割れが見られた。
実施例15の半芳香族ポリアミドシートは、冷却ロール温度がやや高い条件で製造したため、製膜時に溶融シートが冷却ロールに貼り付き、平滑性がやや低かった。
実施例16の半芳香族ポリアミドシートは、冷却ロール温度がやや低い条件で製造したため、引張破断伸度がやや大きく、打ち抜き加工すると若干バリの発生があった。
比較例1の半芳香族ポリアミドシートは、黒色顔料の含有量が少なかったため、全光線透過性が5%を超え、レーザー照射性に劣るものであった。
比較例2の半芳香族ポリアミドシートは、黒色顔料の含有量が多すぎたため、引張強度が低く、打ち抜き加工すると割れが発生した。
比較例3の半芳香族ポリアミドシートは、赤外線加熱炉での処理温度が低い条件で製造したため、相対結晶化度、リフロー耐熱性が低く、また、打ち抜き加工するとバリが発生した。
比較例4の半芳香族ポリアミドシートは、赤外線加熱炉での処理温度が高い条件で製造したため、打ち抜き加工すると割れが発生し、結晶化加工性が悪かった。
比較例5の半芳香族ポリアミドシートは、遠赤外線加熱炉での処理時間が長い条件で製造したため、打ち抜き加工すると割れが発生した。
比較例6の半芳香族ポリアミドシートは、遠赤外線加熱炉での処理時間が短かったため、相対結晶化度、リフロー耐熱性が低く、また、打ち抜き加工するとバリが発生した。
比較例7の半芳香族ポリアミドシートは、冷却ロール温度が低い条件で製造したため、相対結晶化度、リフロー耐熱性が低く、打ち抜き加工するとバリが発生した。
比較例8の半芳香族ポリアミドシートは、冷却ロール温度が低い条件で製造したため、相対結晶化度、リフロー耐熱性が低く、また、製膜時に溶融シートが冷却ロールへの貼り付きが若干見られた。
比較例9の半芳香族ポリアミドシートは、冷却ロール温度が高い条件で製造したため、引張伸度が低く、打ち抜き加工すると割れが発生した。

Claims (2)

  1. テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と、炭素数が9である脂肪族ジアミンを主成分とするジアミン成分とから構成される半芳香族ポリアミド100質量部と、黒色顔料0.1〜5.0質量部とを含有し、DSC法による相対結晶化度が99%以上であって、JIS K7127による引張伸度が30〜300%であることを特徴とする半芳香族ポリアミドシート。
  2. 半芳香族ポリアミドと黒色顔料とを溶融混練して、移動冷却体上にシート状に押出した後、前記シートを結晶化させることを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリアミドシートの製造方法。
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