JP2018131035A - センサ付タイヤホイール組立体 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ内のセンサに対し軸受装置側からの電力供給が可能であると共に、ホイールに対するタイヤの組み付け作業性を確保できる、センサ付タイヤホイール組立体の構造を実現する。【解決手段】センサ9をタイヤ8の内面に取り付けると共に、このセンサ9に対し電気的に接続した状態で、非接触給電装置10を構成する受電装置25を、タイヤ8の内面に取り付ける。又、送電装置24を、受電装置25に対し径方向に対向させた状態で、ホイール7を構成するリム部12の外周面のうち、外径寸法が最も小さくなったウェル部17に取り付ける。これにより、ホイール7の中心から送電装置24の外面までの距離を、タイヤ8を構成するビード部23の自由状態での内径寸法よりも小さくして、送電装置24の径方向外側をビード部23が軸方向に通過できる様にする。【選択図】図3

Description

本発明は、タイヤに作用する荷重などの状態量を測定する為にタイヤ内にセンサを備えた、センサ付タイヤホイール組立体の改良に関する。
近年、自動車の運動性能や安全性能を向上させる為、車両の挙動や路面状態の情報を正確に収集し、車両制御に利用する事が求められている。現在、車両の挙動に関する情報は、例えば車体に設置したGセンサやヨーレートセンサ、アクセル開度等から得ているが、より正確な情報を得る為には、路面に近いタイヤやホイールの使用状況(例えば空気圧情報)や運動状態(例えば荷重情報)を把握する事が望ましい。この様な事情に鑑みて、例えば特許文献1には、タイヤ内にセンサを設ける事で、路面状態を推定する技術が提案されている。
特許第5878612号公報 特許第4627108号公報 特許第5508124号公報 特許第3983509号公報
ところで、タイヤの内部に設置したセンサを作動させるには、センサに電力を供給する必要がある。この様な事情に鑑み、例えば特許文献2、3には、タイヤ内に発電機を設け、この発電機で発電した電力をセンサに供給する技術が開示されている。但し、タイヤは、構成部品全体が回転し、回転しない部分を備えない為、発電機を構成する為には、車輪の回転運動を利用して相対変位する機構を別途設ける必要がある。この為、発電機の構造が複雑になり易く、コストが嵩む原因になると共に、十分な電力を得る事も難しくなる。
これに対し、例えば特許文献4には、車輪を支持する為の軸受装置の内部に発電機を設ける技術が開示されている。そこで、軸受装置側で発電した電力を、タイヤ内のセンサに供給する事が考えられる。この様な構成を採用すれば、センサに十分な電力を供給できると共に、コストの上昇を抑えられる。ところが、軸受装置から引き出した配線を、タイヤ内のセンサに直接接続する場合、次の様な問題を生じる。
例えば、タイヤの内面に取り付けたセンサに予め配線を接続した状態で、タイヤをホイールに組み付ける作業を行うと、配線がタイヤの組み付け作業の邪魔になり、配線の取り扱いが難しくなる。これに対し、タイヤをホイールに組み付けた後に、タイヤの内面に取り付けられたセンサに配線を接続する場合には、ホイールの一部(例えばリム部の一部)を取り外し可能に構成する等、特殊なホイールを使用しなければならなくなる。又、配線の取り扱い性を確保すべく、配線の長さに余裕を持たせると、タイヤの内部で配線の遊びが生じてしまい、車両走行時に配線が振り回され、断線するなどの問題を生じる可能性がある。
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、タイヤ内のセンサに対し軸受装置側からの電力供給が可能であると共に、ホイールに対するタイヤの組み付け作業性を確保できる、センサ付タイヤホイール組立体の構造を実現すべく発明したものである。
本発明のセンサ付タイヤホイール組立体は、ホイールと、タイヤと、センサと、受電装置と、送電装置とを備えている。
このうちのホイールは、前記タイヤと共に車輪を構成するもので、外径側に円筒状のリム部を有していると共に、リム部の径方向内側に、軸受装置に支持固定されるディスク部を有している。
又、前記タイヤは、外径側に円筒状のトレッド部を有していると共に、トレッド部の軸方向端部から径方向内方に延出する状態で、サイドウォール部、及び、前記リム部に装着されるビード部を有している。
又、前記センサは、前記タイヤの内面(例えばトレッド部の内周面、サイドウォールの内側面、ビード部の内側面)又は内部に設置されている。
又、前記受電装置は、前記送電装置と共に非接触給電装置を構成するものであり、前記センサと電気的に接続された状態で、前記タイヤの内面又は内部に設置されている。
更に、前記送電装置は、前記ホイールを支持固定する軸受装置側から配線等を通じて供給される電力を、前記受電装置に対し非接触で供給するものであり、前記リム部の外周面に対し前記ビード部が径方向外側を通過できる状態で取り付けられている。
本発明のセンサ付タイヤホイール組立体は、例えば外輪の内径側に複数個の転動体を介してハブを回転自在に支持した構成を有する軸受装置により、車体に支持する構成を採用できる。
本発明を実施する場合に、前記タイヤの内部に配置されると共に前記受電装置に接続されるセンサの数は、1個に限らず、複数個とする事ができる。又、センサの種類は、例えばタイヤの状態量を測定する為のセンサのうち、歪みセンサ、温度センサ、摩耗センサなどを採用できる。
又、本発明を実施する場合には、例えば前記受電装置と前記送電装置とを、径方向に対向させて配置する事ができる。
或いは、例えば前記受電装置と前記送電装置とを、軸方向、或いは、ホイール(リム部)の接線方向に対向させて配置する事もできる。
尚、本明細書及び特許請求の範囲で、特に断わる場合を除き、径方向及び軸方向とは、タイヤに関する径方向及び軸方向を言う。
又、本発明を実施する場合に、前記送電装置と前記受電装置との間で電力を非接触で伝送する為の原理(電力伝送方式)は特に問わず、例えば電磁誘導方式や磁界共鳴方式(磁界共振結合)等を採用する事ができる。
又、タイヤの内部に設置する受電装置の数及び送電装置の数は、それぞれ1個に限らず、複数個とする事もできる。
更に、前記受電装置と前記送電装置とに、電力を伝送する機能に加え、センサ信号を送受信(無線通信)する機能を併せ持たせる事もできる。この場合、前記受電装置及び前記送電装置に、それぞれ無線通信回路(手段)を別途設ける事もできるし、或いは、変調復調回路を別途設ける事で伝送される電力にセンサ信号を重ねて送信する事もできる。
上述の様に構成する本発明のセンサ付タイヤホイール組立体によれば、タイヤ内のセンサに対し軸受装置側からの電力供給が可能であると共に、ホイールに対するタイヤの組み付け作業性を確保できる。
本発明の実施の形態の第1例のセンサ付タイヤホイール組立体を懸架装置に対して支持した車輪支持構造を、軸方向外側から見た斜視図。 同じく軸方向内側から見た斜視図。 同じく断面図。 同じく車輪支持用転がり軸受ユニットを取り出して示す断面図。 同じくセンサに対する電力供給経路を説明する為の模式図(回路構成図)。 本発明の実施の形態の第2例を示す、図5と同様の図。 本発明の実施の形態の第3例を示す、図5と同様の図。
[実施の形態の第1例]
本発明の実施の形態の第1例に就いて、図1〜5を参照しつつ説明する。
本例のセンサ付タイヤホイール組立体1は、懸架装置を構成するナックル2に対し、特許請求の範囲に記載した軸受装置に相当する車輪支持用転がり軸受ユニット3を介して回転自在に支持されている。図示の構造の場合、ナックル2は、車体4(図4参照)に対し揺動変位を可能に支持されたアッパアーム5とロアアーム6により支持されている。
センサ付タイヤホイール組立体1は、ホイール7と、タイヤ8と、センサ9と、非接触給電装置10とを備えている。
このうちのホイール7は、タイヤ8と共に車輪11を構成するもので、鉄合金、アルミニウム合金等の弾性を有する金属製である。図示の例では、ホイール7は、ダイカスト等の鋳造によって全体が一体に造られた1ピース構造となっている。この様なホイール7は、外径側にタイヤ8を装着可能な円筒状のリム部12と、径方向外端部がリム部12に結合されたディスク部13とを有している。
リム部12は、円筒状に構成されており、軸方向中間部に設けられたリムドロップ部14と、リムドロップ部14の軸方向両側に設けられたビードシート部15、15と、ビードシート部15、15の軸方向両端部から径方向外方に折れ曲がる状態で設けられたリムフランジ部16、16とを有している。又、リムドロップ部14は、ビードシート部15、15よりも外径寸法が小さくなっている。又、リムドロップ部14の軸方向外側部分には、他の部分によりも径方向内方に凹んだウェル部(凹溝)17が設けられている。
尚、本明細書の全体で、特に断わる場合を除き、軸方向に関して「外」とは、自動車への組み付け状態で車体の幅方向外側となる、図3、4の左側を言い、反対に、車体の幅方向中央側となる、図3、4の右側を、軸方向に関して「内」と言う。
ディスク部13は、径方向内端部を構成する円環状の取付部18と、径方向中間部及び外端部を構成する複数本のスポーク19、19とを有している。このうちの取付部18は、車輪支持用転がり軸受ユニット3を構成するハブ41に結合固定される部位で、円周方向等間隔となる複数箇所に、それぞれ軸方向に貫通する取付孔20、20を有している。又、スポーク19、19は、円周方向に離隔して放射状に配置されると共に、径方向内端部を取付部18の外周面に、径方向外端部をリム部12の軸方向外端寄り部分(ビードシート部15)の内周面に、それぞれ一体に結合されている。
上述した様なホイール7と共に車輪11を構成するタイヤ8は、ゴム製で、外径側に円筒状のトレッド部21を有していると共に、トレッド部21の軸方向両端部から径方向内方にそれぞれ延出する状態で、1対のサイドウォール部22、22及び1対のビード部23、23を有している。トレッド部21の外周面には、路面と直接接触するトレッドパターン(凹凸部)が形成されている。又、サイドウォール22、22は、略円輪状に構成されており、径方向に撓む事で、路面からタイヤ8に加わる衝撃等を吸収する役割を有する。又、ビード部23、23は、タイヤ8の径方向内端部に設けられており、タイヤ8をホイール7に対して支持固定する役割を有する。この様なビード部23、23は、リムフランジ部16、16を径方向外側から軸方向に乗り越える様にして、ビードシート部15、15に装着(外嵌)され、この状態で、リムフランジ部16、16によって軸方向の抜け止めが図られる。
トレッド部21の内周面のうちの軸方向中間部には、タイヤ8の状態量を測定する為のセンサ9を取り付けている。タイヤ8の状態量を測定する為のセンサとしては、歪みセンサ、温度センサ、摩耗センサなどを、トレッド部21の内周面に設置する。タイヤ8の内面に対するセンサ9の固定手段は、特に問わないが、例えば接着剤を用いた接着手段など、従来から知られた各種方法を採用できる。又、本発明を実施する場合に、センサをタイヤの内面に取り付ける以外に、センサをタイヤの内部に埋設する事もできる。
本例の場合には、上述の様なセンサ9に対し、非接触給電装置10を用いて電力を供給する。非接触給電装置10は、電磁誘導方式のもので、送電装置24と受電装置25とを備えている。尚、図3には、送電装置24及び受電装置25をそれぞれ1個ずつ図示しているが、これら送電装置24及び受電装置25はそれぞれ複数個ずつ設ける事ができる。
このうちの送電装置24は、発振回路26及び送電コイル(1次コイル)27を有している。この様な送電装置24は、車輪支持用転がり軸受ユニット3側から引き出された配線28に接続された状態で、リム部12を構成するリムドロップ部14の外周面のうち、外径寸法が最も小さくなったウェル部17に設置されている。これにより、ホイール7の中心から送電装置24の外面までの距離を、タイヤ8を構成するビード部23の自由状態での内半径寸法よりも小さくして、送電装置24の径方向外側をビード部23が軸方向に通過できる様にしている。この為、予め送電装置24をホイール7に取り付けた状態で、ホイール7に対するタイヤ8の組み付け作業を行った場合にも、ビード部23と送電装置24との干渉を防止できる。
発振回路26は、車輪支持用転がり軸受ユニット3側から配線28を通じて供給される直流電力を高周波の交流電力に変換する。又、送電コイル27は、コア(例えばフェライトコア)に巻き回され、全体を円環状に構成されており、発振回路26から送られる高周波電流に基づき、交流磁界を発生させる。リム部12の外周面に対する送電装置24の固定手段は、特に問わないが、例えば接着剤を利用した接着手段を採用しても良いし、ねじを利用した結合手段を採用しても良い。
上述した様な送電装置24に接続される配線28は、電源線を含んで構成されており、一端部(径方向内端部)を、車輪支持用転がり軸受ユニット3の軸方向外側部分に設けられたコネクタ部29に接続しており、他端部(径方向外端部)を送電装置24に接続している。この様な配線28は、図示の例では、ホイール7を構成するスポーク19に沿って径方向に敷設されており、リム部12の軸方向外端寄り部分を径方向に貫通する状態で設けられた挿通孔を通じて、リム部12の径方向外側に取り出されている。又、挿通孔には、タイヤ8内の空気が漏洩するのを防止する為、シール部材により密封されている。尚、図3に示した配線28の配線経路は、模式的なものであり、実際の配線経路は、使用するホイールの形状や断線のしにくさ等を考慮して決定する。
受電装置25は、受電コイル(2次コイル)30及び整流回路31を有しており、センサ9に対し電源線を含む配線32により電気的に接続された状態で、タイヤ8を構成するトレッド部21の内周面の軸方向中間部のうち、センサ9の近傍に取り付けられている。この状態で、受電装置25は、送電装置24に対して径方向に対向している。
受電コイル30は、コア(例えばフェライトコア)に巻き回され、全体を円環状に構成されており、必要に応じてエポキシ樹脂等によりモールド(封止)した状態で、基板上に設置されている。この様な受電コイル30には、送電コイル27に発生した交流磁界に基づいて起電力が発生し、電流が流れる(電磁誘導現象、相互誘導作用)。又、整流回路31は、受電コイル30に生じた電力に対し整流処理を施す事で、直流電力に変換する。タイヤ8の内面に対する受電装置25の固定手段は、特に問わないが、例えば接着剤を用いた接着手段など、従来から知られた各種方法採用できる。又、本発明を実施する場合に、受電装置をタイヤの内面に取り付ける以外に、受電装置をタイヤの内部に埋設する事もできる。
本例のセンサ付タイヤホイール組立体1は、車輪支持用転がり軸受ユニット3側から配線28を通じて送電装置24に直流電力が送られると、送電装置24を構成する発振回路26により直流電力を高周波の交流電力に変換する。そして、交流電力を送電コイル27に供給し、この送電コイル27に交流磁界を発生させる。これにより、送電装置24に対して径方向に対向して配置された受電装置25を構成する受電コイル30に起電力を発生させる。そして、受電コイル30に生じた電力に対し、整流回路31により整流処理を施し、直流電力に変換する。そして、この直流電力を、配線32を通じてセンサ9等に供給する。これにより、センサ9は、タイヤ8の状態量(例えば歪み、加速度、温度など)を検出する。
センサ9の出力信号は、センサ9に内蔵された無線通信回路33aを利用して、車体4側に配置された無線通信回路33bに送信される。この結果、無線通信回路33bに接続された演算装置(ECU)34が、センサ9の出力信号であるタイヤ8(必要に応じてホイール7を含む)の状態量に関する情報を受け取り、車両の運動制御に利用する。
次に、上述した様な車輪11を回転自在に支持すると共に、送電装置24に電力を供給する、車輪支持用転がり軸受ユニット3の構造に就いて説明する。
図示の車輪支持用転がり軸受ユニット3は、従動輪用であり、車輪11及び制動装置であるディスクブレーキ装置を構成するロータ35を、ナックル2に対し回転自在に支持している。
車輪支持用転がり軸受ユニット3は、軸受機能を有する軸受部36と、発電機能を有する発電機37と、蓄電機能を有するバッテリ38と、充電機能を有する充電器39とを備えている。
このうちの軸受部36は、車輪11をナックル2に対し回転自在に支持する部分であり、外輪40と、ハブ41と、複数個の転動体42、42とを備えている。
外輪40は、全体を略円環状に構成されており、内周面に複列の外輪軌道43a、43bを、外周面の軸方向中間部に静止側フランジ44をそれぞれ有する。又、静止側フランジ44には、軸方向に貫通する取付孔(ねじ孔又は通孔)が複数設けられている。
ハブ41は、ハブ本体45と内輪46とを組み合わせて成るもので、外周面に複列の内輪軌道47a、47bを有し、外輪40の内径側にこの外輪40と同心に支持されている。具体的には、ハブ本体45の外周面の軸方向中間部に外側列の内輪軌道47aを直接形成すると共に、同じく軸方向内端寄り部分に形成した小径段部48に、外周面に内側列の内輪軌道47bを形成した内輪46を外嵌固定している。そして、ハブ本体45の軸方向内端部を径方向外方に塑性変形させて形成したかしめ部49により、内輪46の軸方向内端面を抑え付けている。又、ハブ本体45の軸方向外端部で、外輪40の軸方向外端開口部よりも軸方向外方に突出した部分には、車輪11を支持する為の回転側フランジ50を設けている。回転側フランジ50には、軸方向に貫通する結合孔(ねじ孔又は通孔)51が設けられている。又、ハブ本体45の中心部には、軸方向に貫通した貫通孔52が設けられている。そして、貫通孔52内に、バッテリ38及び充電器39を配置している。
尚、本発明を実施する場合には、ハブ本体のうち、内輪が外嵌固定された部分よりも軸方向内方に突出した部分に雄ねじ部を形成し、該雄ねじ部にナットを螺合し更に締め付ける事で、内輪をハブ本体に支持固定する構成を採用する事もできる。
転動体(玉)42、42は、外輪軌道43a、43bと内輪軌道47a、47bとの間に、両列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器53、53により保持した状態で、背面組み合わせ型の接触角と共に予圧を付与した状態で転動自在に設けている。又、図示の例の場合、両列の転動体42、42同士の間で、直径、ピッチ円直径、及び、接触角の大きさを、互いに同じに設定している。但し、本発明を実施する場合には、両列の転動体の直径は必ずしも同じである必要はない。例えば、内側列を構成する転動体の直径を、外側列を構成する転動体の直径よりも大きくすると共に、外側列のピッチ円直径を、内側列のピッチ円直径よりも大きくする事で、貫通孔52の軸方向外端側部分の容積をより大きく確保する(内部に収納するバッテリの容量を増大させる)事もできる。
又、外輪40をナックル2に支持固定する為に、外輪40のうち、静止側フランジ44よりも軸方向内側に設けられた部分(ナックル側パイロット部)を、ナックル2に形成された円形の支持孔54に挿入すると共に、静止側フランジ44の軸方向内側面をナックル2の軸方向外端面に当接させる。そして、この状態で、静止側フランジ44に設けられた取付孔と、ナックル2に設けられたナックル側取付孔とに、それぞれ結合部材(ボルト)55、55を螺合又は挿通し、更に締め付ける。これにより、外輪40をナックル2に支持固定する。
これに対し、回転側フランジ50には、ホイール7及びロータ35を結合固定する。この為に、ロータ35の中心孔及びホイール7の中心孔に、ハブ本体45の軸方向外端部に設けられたパイロット部と呼ばれる位置決め筒部56を順次挿入(内嵌)する。これにより、ホイール7及びロータ35の径方向の位置決めを図った状態で、互いに整合する位置に設けられた、取付孔20、20及び結合孔51、51に、それぞれ結合部材57、57を螺合又は挿通し更に締め付ける。これにより、回転側フランジ50の軸方向外側面に、ホイール7及びロータ35を結合固定している。
又、図示の構造では、外輪40の軸方向外端部内周面とハブ本体45の軸方向中間部外周面との間に、シールリング58を設置すると共に、外輪40の軸方向内端部に、有底円筒状のカバー59を装着している。これにより、転動体42、42を設置した内部空間内に封入したグリースが外部空間に漏洩したり、又は外部空間に存在する異物が、この内部空間内に侵入したりする事を防止している。
本例の場合、上述の様な構成を有する軸受部36に対して、発電機37と、バッテリ38と、充電器39とを組み付けている。
発電機37は、三相の交流を発電する磁石式交流発電機で、センサ9等に対し供給する電力を発電するものであり、互いに同心に配置された固定子60と回転子61とを備えている。尚、本発明を実施する場合には、単相の交流を発電する交流発電機を使用する事もできる。
このうちの固定子60は、磁性金属板により円筒状に構成された支持環62と、支持環62の内周面の円周方向複数個所に等間隔に支持固定された永久磁石63、63とを備えている。永久磁石63、63は、ブロック状に構成されており、径方向に着磁すると共に、円周方向に隣り合う永久磁石63、63同士の間で着磁の向きを異ならせている。この為、支持環62の内側には、S極とN極とが交互に且つ等間隔で配置されている。又、支持環62を、カバー59を構成する筒状部分の軸方向中間部内周面に内嵌固定している。
これに対し、回転子61は、複数枚の電磁鋼板を積層する事により形成したステータコア64と、コイル65、65とから構成されている。コイル65、65は、ステータコア64を構成する放射状に配置された複数本のティース(突極)の周囲に巻装されている。そして、本例の場合には、回転子61を構成するステータコア64を、ハブ本体45に対し軸方向に関する相対変位を不能に内嵌支持された収納筒部66の軸方向内端部外周面に外嵌固定している。
本例の場合、上述の様に、固定子60を、カバー59を構成する筒状部分の内周面に結合固定すると共に、回転子61を、収納筒部66を介してハブ本体45に支持固定している。この状態で、固定子60と回転子61とが同心に配置され、回転子61の外周面が、固定子60を構成する永久磁石63、63の内周面に対し、微小隙間を介して径方向に対向する。この様な構成を採用する事で、回転子61がハブ41と共に回転した際に、コイル65、65の電磁誘導作用により起電力が発生する様にしている。つまり、車輪11と共にハブ41を回転させる事により、発電機37が発電する様にしている。
バッテリ38は、発電機37が発電した電力を蓄えるものであり、複数本の蓄電池(例えばニッケル水素電池)を直列に接続する事により構成している。又、充電器39は、発電機37により発電した電力をバッテリ38に供給し、バッテリ38を充電するものであり、発電機37が発電した交流電圧を直流電圧に変換する為の整流回路と、バッテリ38の残量に応じて充放電を制御する充放電制御回路と、回転子61の回転数変化に拘らず定電圧出力を行う為の電圧制御回路とを備えている。本例の場合には、このうちの充電器39を、収納筒部66の軸方向内側部分に配置しており、バッテリ38を、略円筒状のバッテリケース67内に収納した状態で、収納筒部66の軸方向外側部分に軸方向外側から挿入している。
又、ハブ本体45に形成された貫通孔52の軸方向外端開口部を、コネクタ部29を備えたキャップ68により塞いでいる。前述した様に、このコネクタ部29には、送電装置24に接続された配線28が接続されている。これにより、センサ9に対し、発電機37により発電した電力を供給する様にしている。
本例の場合、上述の様な構成により、軸受部36に対して、発電機37と、バッテリ38と、充電器39とを組み付けた状態で、構成各部材同士が電力の供給及び信号の通信を可能に電気的に接続されている。
以上の様な構成を有する本例の場合には、車両の走行に伴い車輪11(ホイール7及びタイヤ8)が回転すると、軸受部36を構成するハブ41が回転する。すると、ハブ41の軸方向内端部に支持固定された回転子61が、外輪40に支持固定された固定子60に対して相対回転する。これにより、これら固定子60及び回転子61から構成される発電機37が発電する。そして、発電機37により発電された交流電圧は、図示しないケーブル等を通じて充電器39に送られる。そして、充電器39にて直流電圧に変換された後、バッテリ38に給電される。バッテリ38に蓄えられた電力は、図示しないケーブル等によりコネクタ部29へ送られ、そこから配線28を通じて、ホイール7を構成するリム部12の外周面に取り付けられた送電装置24に供給される。
この様にして、送電装置24に車輪支持用転がり軸受ユニット3側から直流電力が送られると、前述した通り、発振回路26により交流電力に変換される。そして、交流電力が送電コイル27に供給され、この送電コイル27に交流磁界を発生させる。これにより、受電装置25を構成する受電コイル30に起電力を発生させる。そして、受電コイル30に生じた電力を、整流回路31により直流電力に変換した後、この直流電力を、配線32を通じてセンサ9等に供給する。これにより、センサ9は、タイヤ8の状態量(例えば歪み、加速度、温度など)を検出する。その後、センサ9の出力信号は、演算装置(ECU)34に無線送信され、車両の運動制御に利用される。
以上の様に、本例の場合には、車輪支持用転がり軸受ユニット3の内部に設けた発電機37により発電した電力を、リム部12の外周面に設置された送電装置24とトレッド部21の内周面に設置された受電装置25とから構成される非接触給電装置10を利用して、タイヤ8の内面に設置したセンサ9に供給する事ができる。しかも、本例の場合には、送電装置24を、リム部12を構成するリムドロップ部14の外周面のうち、外径寸法が最も小さくなったウェル部17に設置しており、ホイール7の中心から送電装置24の外面までの距離を、タイヤ8を構成するビード部23の自由状態での内半径寸法よりも小さくしている。この為、予め送電装置24をホイール7に取り付けた状態で、ホイール7に対するタイヤ8の組み付け作業を行った場合にも、ビード部23と送電装置24との干渉を防止できる。この為、送電装置24が、タイヤ8をホイール7に組み付ける際に邪魔になる事を防止できる。又、受電装置25及びセンサ9に就いても、トレッド部21の内周面に取り付けている為、これら受電装置25及びセンサ9(並びに配線32)が、タイヤ8をホイール7に組み付ける際に邪魔になる事を防止できる。従って、本例の場合には、ホイール7に対するタイヤ8の組み付け作業性を確保できる。
又、本例の場合には、送電装置24と受電装置25とを、タイヤ8の内部で、径方向に対向させている為、送電コイル27と受電コイル30との間の伝送効率を高くする事が可能になり、送電コイル27から受電コイル30に対し、センサ9の消費電力に見合う大きな電力を伝達する事ができる。又、ホイール7とタイヤ8との間に配線を架け渡す必要がない為、配線が断線する等の問題が生じる事を防止でき、センサ9に対する電力供給の信頼性を高める事ができる。更に、ホイール7とタイヤ8(特にトレッド部21)との間の距離は、接地によるタイヤ8の弾性変形に基づく変位を除き、大きな変位は生じない。この為、送電装置24と受電装置25との相対位置が変化するのを抑制でき、伝送効率を安定させる事ができる。
本発明を実施する場合に、センサ及び受電装置の取付位置は、トレッド部の内周面に限定されず、サイドウォール部の内側面やビード部の内側面に取り付ける事もできる。この様な構成により、トレッド部の内周面に取り付ける場合に比べて、受電装置と送電装置との伝送距離を縮める事が可能になり、伝送効率の向上を図る事ができる。
[実施の形態の第2例]
本発明の実施の形態の第2例に就いて、図6を参照しつつ説明する。前述した実施の形態の第1例の場合には、図5に示した様に、センサ9の出力信号を、センサ9に内蔵した無線通信回路33aと、車体4側に配置された無線通信回路33bとの間で無線送信していた。
これに対し、本例の場合には、センサ9の出力信号を、配線32(図3参照)を通じて、受電装置25aに送り、受電装置25aに内蔵した無線通信回路69aと、送電装置24aに内蔵した無線通信回路69bとの間で無線送信を行う。そして、受電装置25aに無線送信された信号を、配線28(図3参照)を通じて、車輪支持用転がり軸受ユニット3に送る。その後、この車輪支持用転がり軸受ユニット3に内蔵した無線通信回路を利用して、車体4側に配置された無線通信回路33bに無線送信する。
以上の様な構成を有する本例の場合には、センサ9毎に無線通信回路を備える必要がない為、センサ9のコストを低く抑える事ができる。又、前記実施の形態の第1例の場合に比べて、センサ9の出力信号の伝送距離を短くできる為、無線通信を安定させる事ができると共に、消費電力を抑える事もできる。又、無線通信回路69a、69b間に、金属製の部材等の遮蔽物が存在しない為、通信が途中で途絶える事を防止でき、無線通信の確実性を高める事もできる。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
本発明の実施の形態の第3例に就いて、図7を参照しつつ説明する。本例の場合にも、上述した実施の形態の第2例の場合と同様に、センサ9の出力信号を、受電装置25bから送電装置24bに無線送信する。
但し、本例の場合には、受電装置25bの内部に設けた変調復調回路70aを利用して整流回路31を制御すると共に、送電装置24bの内部に設けた変調復調回路70bを利用して発振回路26を制御する様にしている。これにより、負荷変調方式等を用いて、電力信号にセンサ9の出力信号を重畳させて送信する様にしている。具体的には、受電装置25b側では、変調復調回路70aを利用して、センサ9の出力信号を送電装置24bと受電装置25bとの間で伝送される電力信号に乗せられる形態に変換(変調)し、送電装置24b側では、変調復調回路70bを利用して、センサ9の出力信号を取り出す(復調する)様にしている。
その他の構成及び作用効果に就いては、前記実施の形態の第1例及び第2例の場合と同様である。
本発明を実施する場合に、リム部の外周面に設置した送電装置に対して車輪支持用転がり軸受ユニット側から供給する電力は、車輪支持用転がり軸受ユニット内部に設けた発電機により発電した電力に限らず、車輪支持用転がり軸受ユニット内部に設けた受電デバイスが、車体側に設置された送電デバイスから、非接触給電により供給された電力を利用する事もできる。又、車輪支持用転がり軸受ユニットと車体間で行う非接触給電に関しても、電力伝送方式は特に問わず、例えば電磁誘導方式や磁界共鳴方式等を採用できる。
1 センサ付タイヤホイール組立体
2 ナックル
3 車輪支持用転がり軸受ユニット
4 車体
5 アッパアーム
6 ロアアーム
7 ホイール
8 タイヤ
9 センサ
10 非接触給電装置
11 車輪
12 リム部
13 ディスク部
14 リムドロップ部
15 ビードシート部
16 リムフランジ部
17 ウェル部
18 取付部
19 スポーク
20 取付孔
21 トレッド部
22 サイドウォール部
23 ビード部
24、24a、24b 送電装置
25、25a、25b 受電装置
26 発振回路
27 送電コイル
28 配線
29 コネクタ部
30 受電コイル
31 整流回路
32 配線
33a、33b 無線通信回路
34 演算装置
35 ロータ
36 軸受部
37 発電機
38 バッテリ
39 充電器
40 外輪
41 ハブ
42 転動体
43a、43b 外輪軌道
44 静止側フランジ
45 ハブ本体
46 内輪
47a、47b 内輪軌道
48 小径段部
49 かしめ部
50 回転側フランジ
51 結合孔
52 貫通孔
53 保持器
54 支持孔
55 結合部材
56 位置決め筒部
57 結合部材
58 シールリング
59 カバー
60 固定子
61 回転子
62 支持環
63 永久磁石
64 ステータコア
65 コイル
66 収納筒部
67 バッテリケース
68 キャップ
69a、69b 無線通信回路
70a、70b 変調復調回路

Claims (2)

  1. 円筒状のリム部を有するホイールと、
    前記リム部に装着されるビード部を有するタイヤと、
    前記タイヤの内面又は内部に設置されたセンサと、
    前記センサに電気的に接続された状態で前記タイヤの内面又は内部に設置された受電装置と、
    前記ホイールを支持固定する軸受装置側から供給される電力を前記受電装置に対し非接触で供給するもので、前記リム部の外周面に対し前記ビード部が径方向外側を通過できる状態で取り付けられた送電装置と、
    を備えたセンサ付タイヤホイール組立体。
  2. 前記受電装置と前記送電装置とが径方向に対向している、請求項1に記載したセンサ付タイヤホイール組立体。
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